Wales Edition
credit
contents Editor in chief : Shigeyuki Inoue
Director : Masami Kurosawa
発行/株式会社KURUMAG. 東京都中央区築地1-5-1 制作/株式会社クロモ・コミュニケーションズ 協力/Visit Wales
広告掲載に関するお問い合わせ / 株式会社KURUMAG plusroadtrip@kurumag.net
本誌掲載の記事・写真・イラスト等の無断転載および複写を禁じます 本誌掲載の情報は取材を行った2025年時点での情報です(2025年2月発行) page. 07_ The Wales Way page. 08_ The North Wales Way page. 12_ Conwy page. 16_ Llangollen Motor Museum page. 18_ The Cambrian Way page. 26_ Cardiff page. 28_ St Fagans National Museum of History page. 32_ The Coastal Way
A Country like no other Wales text=Shigeyuki Inoue
photo=Shigeyuki Inoue, Visit Wales, Cadw, Naomi Llewellyn, Huw Jones chillderness, Ynyshir, Himeji City, Aston Martin Lagonda Limited [特集] ウェールズ
Wales 英国の西端に位置するウェールズ。四国よりもわずかに大きな約20,800㎢の面積を持つこ の国は、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国を構成する4つの国のひとつであ りながら、その景観、歴史、文化のすべてが他のどこにも似ていない特別な魅力を持つ。
ウェールズの国土の約4分の1は、国立公園または特別自然美観地域として保護されてい る。ウェールズ最高峰のスノードン山を擁するスノードニアでは険しい峰々が連なり、ペン ブルックシャーの海岸線では切り立った崖と白い砂浜が織りなす美しい風景が広がり、ア ザラシやイルカが生息する豊かな自然にも出会うことができる。そして、羊の群れる広大な 丘陵風景が広がるバンナイ・ブラヘイニョグ国立公園は、日が沈むと同時に世界でも有数 の星空観察スポットへと姿を変える。
また、ウェールズは「世界で最も城の密度が高い国」としても知られている。ウェールズ全土 に600を超える城が点在し、なかでもカーナーヴォン城、コンウィ城、ハーレック城といった 歴史的な城の周辺には、中世の面影を色濃く残す町が今も息づいている。これらの城を訪 れ、歴史ある町並みを散策すれば、ウェールズの奥深い歴史をより身近に感じることができ るだろう。さらに、ウェールズ語という固有の言語が今なお大切に受け継がれており、伝統 的な食文化とあわせてこの地ならではの魅力となっている。
自然、歴史、文化が融合するウェールズのロードトリップは、生涯記憶に残る旅を約束して くれる。日本とウェールズの友好関係をさらに強化する「Wales and Japan 2025」が展開 されている2025年。この特別な機会に、ウェールズを実際に訪れ、自らステアリングを握っ てその素晴らしさを体験してほしい。
Conwy
Aberystwyth
Holyhead
Aberdaron
Dolgellau
Cardiff
St Davids
Broughton
Llandudno
Snowdon
Pen y Fan
Cadair Idris
Snowdonia National Park
Aberaeron
Swansea
Tenby
Pembrokeshire Cast National Park
Bannau Brycheiniog National Park
Betws-y-Coed
The Wales Way 2018年、英国ウェールズ政府はウェールズの壮大な自然と豊かな歴史を満喫できる3つのロードト リップルートを設計した。ウェールズ・ウェイ(The Wales Way)と名付けられたこのルートは、世界 遺産に登録される中世の城が点在するウェールズの歴史が色濃く残るエリアを巡る「ノース・ウェー ルズ・ウェイ(The North Wales Way)」、ウェールズの背骨ともいえるカンブリア山脈を縦断するル ート「カンブリアン・ウェイ(The Cambrian Way)」、そして大西洋に面した壮大な海岸線をドライブ する「コースタル・ウェイ(The Coastal Way)」から構成され、これらのルートをベースにドライブす ればウェールズの自然・文化・歴史をより深く体験できるようになっている。本誌では、それぞれのル ートを構成する3つの主要道路にフォーカスし、それぞれの見どころを紹介する。
The North Wales way -A55 ノース・ウェールズ・ウェイは、ウェールズ北海岸に沿った古代の通商ルートをたどるドライブルー ト。 道中には13世紀に建てられた聖アサフ大聖堂やアングルシー島の先史時代の石造りの一枚 岩の石像遺跡を訪れることができる。また、コンウィ城やビューマリス城などのウェールズで最も 有名ないくつかの城に立ち寄れば、数千年にわたるウェールズの歴史に触れることができる。
The Cambrian Way - A470
カンブリアン・ウェイは、ウェールズの背骨に沿ってスランディドノからカーディフまで南北に縦断 するルートである。その全長は300km(185マイル) とウェールズ・ウェイの3つのルートの中で最 長を誇る。スノードニア国立公園とバンナイ・ブラヘイニョグ国立公園(旧ブレコン・ビーコンズ) の2つの国立公園を繋ぎ、カンブリア山脈のダイナミックな風景を満喫できる。
The Coastal Way - A487
コースタル・ウェイは、カーディガン湾に沿って290km(180マイル )続く海岸線を南北に駆け抜 けるドライブルート。イギリス諸島屈指の美しいビーチ、港町や漁村、イルカやアザラシが生息す る入江など、見どころが豊富なルートである。さらに古代の巡礼地であるセント・デイヴィッズ(St Davids)やアバーダロン(Aberdaron)を訪れれば、この地の歴史も体感することができる。
Road Story:
The North Wales Way ウェールズの魅力が凝縮される 北ウェールズを横断するルート
ウェールズ北部を横断する「ノース・ウェールズ・ウェイ(The North Wales Way)」は、古代の交易 路として栄えた歴史的な道。現在では、世界遺産の城、壮大な海岸線、神秘的な巡礼地など、北ウェー ルズの多彩な魅力を凝縮したロードトリップルートとして人気を集めている。
ロードトリップは世界遺産にも登録されるポントカサステ水路橋(Pontcysyllte Aqueduct)からス タート。19世紀に建設された高さ38mのこの水道橋は、現在もボートが通行するユニークな構造を持 つ。橋の上を歩けば、眼下に広がる緑の谷を一望することができる。そこから北上し、静寂と神聖な雰 囲気に包まれるセント・ワインフリードの泉(St Winefride's Well)に立ち寄りながら、ウェールズ北部 最大のリゾート地、スランディドノ(Llandudno)を目指そう。スランディドノは19世紀ビクトリア朝時代 の趣が残る美しい町並みが広がるエリア。隣接するコンウィとあわせ北ウェールズでのドライブ拠点と してもおすすめだ。また、クルマで数分の距離にある海へと突き出た巨大な石灰岩の岬グレート・オー ムはアイリッシュ海の絶景が望めるドライブルートなのでぜひ訪れたい。
北海岸の絶景を眺めながらさらに西へ向かうと、メナイ海峡に架かるブリタニア橋が見えてくる。世 界初の鉄製チューブ橋として建設され、現在では鉄道と車道が併設される重要な交通ルートとなって いる。橋を渡ると、中世の要塞ビューマリス城が姿を現す。この城は、完璧な対称性を持つ要塞として 設計されながらも、完成することなく歴史に残った「未完の名作」として知られている。そして旅の締め くくりには、アングルシー島の小さな駅スランヴァイルプール駅(Llanfairpwll Station)にもぜひを訪 れたい。ここは、世界で最も長い駅名を持つことで有名な場所。駅名看板の前で記念写真を撮るのは、 北ウェールズを訪れた旅人たちのお決まりの楽しみ方である。
世界遺産の城を巡り、歴史的建造物を訪れ、壮大な景色の中を走り抜けるノース・ウェールズ・ウェ イの旅は、北ウェールズの魅力を余すことなく体感できる。
Great Orme
53°19'57.3"N 3°51'13.5"W
スランディドノの町の先にそびえる石灰岩の岬がグレート・ オーム(Great Orme)である。標高約207mの頂上からは、 アイリッシュ海やスノードニア山脈を一望する絶景が広が る。グレート・オームには、険しい崖に沿って走る約7km の周回ルート「マリン・ドライブ」があり、アイリッシュ海 を望む大パノラマを楽しみながら走れる絶景ロードとして人 気が高い。途中、野生のカシミア山羊や海鳥の姿も見られる。 歴史あるグレート・オーム・トラムウェイやグレート・オー ム・ケーブルカーでゆっくり登るのもおすすめだ。
Great Orme Llandudno LL30 2XF https://greatorme.org.uk/
ROAD
TRIP: Wales
The North Wales Way Pontcysyllte Aqueduct
52°58'08.7"N 3°05'06.3"W
ユネスコ世界遺産に登録されるポントカ サステ水路橋(Pontcysyllte Aqueduct)は、 1805年に建設された英国最長かつ最も 高い水路橋である。ディー川を跨ぐ高さ 38mの巨大な構造は、産業革命時代の 土木技術の粋を集めたもの。水路は現在 もボートで通航できるほか、歩道が設け られ、空中を歩くようなスリリングな散 策が楽しめる。周囲にはウェールズの美 しい田園風景が広がり眺望が抜群だ。レ ンタルボートで水路を巡る体験もでき、 ウェールズならではの歴史と自然を体感 できるスポットになっている。
Pontcysyllte Aqueduct
Station Rd, Trevor, Llangollen LL20 7TY https://www.pontcysyllte-aqueduct.co.uk/
From Liverpool: 42 Miles
From Conwy: 62 Miles
St Winefride's Well 53°16'37.6"N 3°13'25.2"W
セント・ワインフリードの泉(St Winefride's Well)は、ウェールズで最も重要なカト リックの巡礼地のひとつ。「ウェールズ のルルド」とも称され、1400年以上湧き 続ける泉は、奇跡をもたらす聖水として 知られている。伝説によればセント・ワ インフリードが7世紀にこの地で殉教し た直後に泉が湧き出たという。そのため 現在も多くの巡礼者が訪れ、泉の水に触 れたり祈りを捧げる姿が見られる。周囲 にはゴシック様式の礼拝堂もあり、厳か な空気に包まれながら信仰の歴史に触れ ることができる。
St Winefride's Well
Plessington House, Greenfield St, Holywell CH8 7PN http://stwinefridesshrine.org/
From Liverpool: 31 Miles
From Conwy: 29 Miles
スランディドノのシンボルであるグレート・オーム(Great Orme)の丘を登る手段として 人気なのが、「グレート・オーム・トラムウェイ」と「グレート・オーム・ケーブルカー」 である。1902年に開業した歴史あるトラムウェイは、英国唯一のケーブル駆動式路面鉄道 だ。レトロな車両に揺られながら、町並みや海を眼下に望みながら、ゆっくり頂上を目指す。 一方、ケーブルカーは1969年に開業、空中散歩を楽しむように緩やかに上昇していく。標 高207mの頂上に到着したら、展望台やカフェで、アイリッシュ海やスノードニア山脈を 一望する絶景を楽しみながらゆっくりくつろぐことができる。
Llandudno 53°19'25.9"N 3°49'28.0"W
スランディドノ(Llandudno)は、ビク トリア朝の面影を色濃く残すウェールズ 最大のリゾート地。全長700mを超える 桟橋や19世紀に建てられた壮麗な海岸 沿いの建築が、美しい景観を作り上げて いる。海岸沿いにはレトロなアーケード やカフェが並び、ゆったりとした時間が 流れている。また、ルイス・キャロルが『不 思議の国のアリス』を語った地とも伝え られ、文学的なエピソードも町に彩りを 添えている。町の背後にあるグレート・ オームに登れば、アイリッシュ海を望む 絶景を楽しむこともできる。
Llandudno
Gloddaeth Cres, Llandudno LL30 1AN http://www.llandudno.com/
From Liverpool: 59 Miles
From Conwy: 4 Miles
Britannia Bridge 53°13'00.3"N 4°11'11.0"W
メナイ海峡に架かるブリタニア橋(Britannia Bridge)は、1846年にロバート・スティー ブンソンによって設計された英国初の鉄 製チューブ橋である。火災による損傷を 経て、1970年代に車道付きのアーチ橋と して再建され、現在は、鉄道と車両の両 方が通行できるウェールズの重要な交通 インフラとなっている。橋のたもとには、 バッキンガム宮殿やウェストミンスター 宮殿の彫刻も手掛けた彫刻家であり建築 家でもあったジョン・トーマスが制作し た神話の英雄ブリタニアを象徴するライ オンの彫像が静かに佇んでいる。
Britannia Bridge A55, Llanfairpwllgwyngyll LL61 5YH https://menaibridges.co.uk/
From Liverpool: 75 Miles
From Conwy: 18 Miles
The North Wales Way Beaumaris Castle 53°15'53.4"N 4°05'23.0"W
アングルシー島にあるビューマリス城 (Beaumaris Castle)は、13世紀末にイン グランド王エドワード1世によって築か れた。完全な対称性を持つ設計でありな がら、財政難のため建設が中断され、未 完のまま残されたことから「未完の傑作」 といわれている。城の四方を囲む堀や二 重の城壁が今も残り、中世の要塞建築の 最高峰と評される。海沿いに位置するた め、美しい景観も魅力だ。城内を歩くと、 未完成ながらも壮大な計画の一端を感じ ることができる。ユネスコ世界遺産に登 録される名城のひとつでもある。
Beaumaris Castle
Castle St, Beaumaris LL58 8AP https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/ beaumaris-castle
From Liverpool: 79 Miles
From Conwy: 23 Miles
Llanfairpwll Station 53°13'15.6"N 4°12'33.5"W
世界で最も長い駅名を持つことで知られ るスランヴァイルプール駅(Llanfairpwll Station)。正式な名称は「スランヴァイ ルプールグウィングィルゴゲルウィル ンドロブウスランティシリオゴゴゴッホ (Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch)」という圧巻の長さ を誇る。駅にはこのフルネームの看板が 掲げられ、観光客の記念撮影スポットと して人気を集めている。周辺にはお土産 ショップがあり、駅名をデザインしたス テッカーやキーホルダーなど、ユニーク な記念グッズも販売されている。
Llanfairpwll Station
Holyhead Rd, Llanfairpwllgwyngyll LL61 5UJ https://tfwrail.wales/stations/llanfairpwll
From Liverpool: 75 Miles
From Conwy: 19 Miles
カーナーヴォン城(Caernarfon Castle)は、13世紀末にイングランド王エドワード1世が 築いた要塞であり、メナイ海峡沿いに立つビューマリス城(Beaumaris Castle)と並ぶ名城 である。ウェールズ統治の拠点として設計され、八角形の塔や城壁が特徴。イングランド 王室とも関係が深く、現在もプリンス・オブ・ウェールズの戴冠式が行われる場所として 知られている。城内は博物館として公開され、ウェールズの歴史に触れられる展示が充実。 城壁を歩けば、カーナーヴォンの町並みとメナイ海峡の景観が広がる。「グウィネズのエド ワード1世の城郭と市壁」としてユネスコ世界遺産に登録される名城である。
ROAD
TRIP: Wales
北ウェールズを代表する歴史的都市 美しい自然と独自の文化、世界遺産に触れる
ウェールズ北部の海岸沿いに位置するコンウィは、中世の雰囲 気が色濃く残る町である。ユネスコ世界遺産にも登録されているこ の町は、13世紀後半にエドワード1世によって建設されたコンウィ城 (Conwy Castle)をはじめ、700年前と変わらぬ姿を大切に保存する 城壁、この町の長い歴史を語りつぐ石畳の道や歴史的建造物が立 ち並び、中世の雰囲気を存分に味わうことができる。
コンウィの最も象徴的な建造物が、コンウィ川を見下ろすコンウィ 城である。中世の軍事建築の傑作といわれ、8つの巨大な塔と完璧に 残された城壁が訪れる人々を感嘆させる。またコンウィの町を取り囲 むコンウィ城壁は、ヨーロッパで最も保存状態の良い中世の防衛施 設。その城壁は無料で公開(現在修復工事のため一部区間のみ開 放)されており、城壁の上からは、コンウィの美しい町並みや周囲の 山々、コンウィ川の雄大な流れを一望することができる。
そのほか、町にはプラス・マウル(Plas Mawr)という16世紀の生活 を再現した家具が並ぶエリザベス様式の邸宅もあり、チューダー時 代の富裕商人の暮らしを垣間見ることもできる。
中世の雰囲気を保ちながらも、コンウィには高級ホテルやレストラ ンも充実し、ゆったり滞在できるのも魅力になっている。グルメ派は、 ぜひ地元の名店に足を運んでみよう。朝食はローカルに人気のカフェ 「L's コーヒー & ブックショップ」へ、ランチはコンウィマリーナを望 むテラスで英国料理を楽しめる「ザ・マルベリー」に出かけるのも良い だろう。そしてディナーはモダン英国料理を提供するチャペルストリ ートにある「ワトソンズ ビストロ」に足を運んでみるのもおすすめだ。 地元の食材を生かした料理が楽しめるこれらのレストランやカフェ で、コンウィの美食を存分に楽しむことができるはずだ。 多彩な魅力に溢れるコンウィは、北ウェールズの観光の拠点とし ても最適な場所だ。クルマがあればわずか数分で海辺のリゾート地 スランディドノに行くことができ、グレート・オーム(Great Orme)で の絶景ドライブも可能。またスノードニア国立公園の壮大な山々や 美しい湖へのドライブも容易である。さらにはアングルシー島へも簡 単にアクセスでき、砂浜や歴史的名所を巡り、サウス・スタック灯台 (South Stack Lighthouse)からの絶景を楽しむこともできる。
コンウィは多くの魅力を持つ町であり、中世の歴史が好きな人も、 贅沢な滞在を求める人も、またウェールズの大自然を探索したい人 にもぴったりといえるだろう。ウェールズならではのロードトリップを したい人は、ぜひ注目してほしい町である。
コンウィ城は、コンウィ川のほとりにそ びえる13世紀築城の中世要塞で、イン グランド王エドワード1世によるウェー ルズ征服政策の拠点として建てられた。 8つの巨大な塔と堅牢な城壁が特徴で、 「最も強固な城」と称される。城内には 大広間や礼拝堂が残り見学が可能。ま た、城に隣接するコンウィ吊り橋(Conwy Suspension Bridge)は、1826年に名工 トーマス・テルフォードが架けた美し い吊り橋で、城の威容と調和した景観 が訪れる人々を魅了している。
Conwy Castle Rose Hill St, Conwy LL32 8AY https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/conwy-castle
コンウィ城とともに建設された城壁、 コンウィ・タウン・ウォール(Conwy Town Wall)は、13世紀の防衛施設とし て現在もほぼ完全な形で残る貴重な遺 構。全長約1.3kmに及ぶ城壁には21の 塔があり、無料で公開されているため、 散策を楽しむことができる。城壁の上 を歩けば、中世の雰囲気が色濃く残る コンウィの石畳の町並みや、コンウィ 川の風景を一望できる。歴史好きには もちろん、フォトスポットとしても人 気の高い場所だ。
Conwy Town Walls 18 Lower Gate St, Conwy LL32 8BE https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/conwy-town-walls
コンウィの町にあるエリザベス朝様式 の邸宅プラス・マウル(Plas Mawr)は、 16世紀の裕福な商人ロバート・ウィン によって建てられた。当時の美しい装 飾や調度品が見事に保存されており、 細部にまでこだわった装飾天井や壁面 の彫刻が目を惹く。邸宅の各部屋には、 当時の暮らしを再現した家具が配置さ れ、16世紀のウェールズの上流階級の 生活を垣間見ることができる。保存状 態の良さから「英国で最も美しいエリ ザベス朝のタウンハウス」と称される。
Smallest house in Britain 10 Lower Gate St, Conwy LL32 8BE http://thesmallesthouse.co.uk/
https://cadw.gov.wales/daysout/plasmawr/
コンウィにある「英国最小の家」は、 その名の通り、わずか幅1.8mx高さ3m しかない極小住宅である。かつて漁師 が住んでいたとされるが、1900年に小 さすぎることを理由に住居としての使 用が禁止されており、現在は観光名所 として一般公開され、内部見学も可能。 赤い外観が特徴的で、内部には小さな 暖炉やベッドがあり、驚くほどコンパ クトな造りになっている。フォトスポッ トとしても人気があり、コンウィのユ ニークな名所のひとつになっている。
ROAD
TRIP: Wales
Plas Mawr High St, Conwy LL32 8DE
Twin Castle: Castell Conwy & Himeji Castle The links between Wales and Japan 世界遺産に登録される2つの城が姉妹提携 ウェールズと日本の文化/観光交流の架け橋に
2019年10月29日、兵庫県の姫路城と北ウェールズのコンウィ 城が姉妹城提携を結び、調印式が行われた。
姫路城は、江戸時代以前に建設された天守が現存する12の城 のひとつであり、城内8棟が国宝、74棟が重要文化財に指定され ている。日本を代表する名城とされ、「日本100名城」にも選出さ れていることに加え、1967年公開の映画『007は二度死ぬ』のロ ケ地としても知られており、国内外から多くの観光客が訪れてい る。1993年には奈良の法隆寺とともに、日本で初めてのユネスコ 世界遺産に登録されている。
一方、コンウィ城は、1287年にイングランド王エドワード1世に よって築かれた城である。この城は、ウェールズ征服の拠点とし て建設され、8つの円塔を備えた堅牢な城壁と城下町の景観が、 当時の戦略的要塞の姿を今に伝えている。1986年には、「グウィ ネズのエドワード1世の城郭と市壁」の一部としてユネスコ世界
遺産に登録されている。
両城の姉妹城提携は、ともに世界遺産であることがきっかけと なった。世界遺産同士の姉妹城提携は世界的にも珍しく、調印 式にはコンウィ城が所在するコンウィ郡の代表者と姫路市の関 係者が出席し、歴史を超えた友好関係の発展を誓い合った。 提携以降、両城は文化交流や観光促進の分野での連携を深 め、記念式典の開催や、相互訪問を通じた歴史文化の紹介に加 え、観光促進を目的としたイベントの実施など、さまざまな取り組 みが進められている。このような交流を通じて、両城の魅力を発 信し、その価値をより多くの人々に広めることを目指している。今 後も、両城は城郭を通じた友好関係を深め、その関係を維持・発 展させていくことが期待されている。
Castell Conwy
https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/castell-conwy
Himeji Castle
https://www.city.himeji.lg.jp/castle/
Bodysgallen Hall Llandudno, Wales
Bodysgallen Hall
53°17'49.4"N 3°48'10.4"W
美しき庭園と歴史的名建築に泊まる 北ウェールズ随一のマナーハウスホテル
ボディスガレン・ホール(Bodysgallen Hall)は、ウェール ズ北部のスランディドノ近郊に位置する、歴史あるマナーハ ウス・ホテルである。17世紀に建てられたこの館は、200エー カーを超える広大な森林のなかにあり、敷地内からはスノー ドニア山脈やコンウィ城の壮大な景色を望むことができる。 この歴史あるマナーハウスは1980年代初頭に大規模な修 復を行い、ホテルとしてオープンした。
宿泊施設は、格式高 いメインハウスの客室やスイートのほか、敷地内に趣あるコ テージなども用意されている。各部屋にはアンティーク家具 や美術品が配置され、伝統的なカントリーハウスの気品と落 ち着きを感じさせる空間が広がっている。
また美しい庭園もこの館の魅力になっており、17世紀に設 計されたパーテール(幾何学模様の花壇)、壁に囲まれたバ ラ園、そしてリリー・ポンド(睡蓮の池)などがあり、 四季折々 に異なる表情を見せる庭園は訪れる人々を魅了している。
2008年以降、ナショナル・トラストが所有・保護しているこ の歴史的建造物は、ウェールズの豊かな自然と歴史を感じ ながら優雅な滞在を提供する特別な場所として、多くの旅 人に愛されている。
Bodysgallen Hall
The Royal Welsh Way, Bodysgallen Ln, Llandudno LL30 1RS https://www.bodysgallen.com/
Auto Museum:
Llangollen Motor Museum Llangollen, Wales
Llangollen Motor Museum
52°59'01.7"N 3°11'01.3"W
田舎町にひっそりと佇むミュージアムは クルマへの愛に満ち溢れる特別な空間
北ウェールズにある世界遺産「ポントカサステ水路橋」か らクルマで約10分、ディー川に平行して走るA542沿いに、ひ っそりと佇む小さな自動車ミュージアムがある。
スランゴスレン・モーター・ミュージアム(Llangollen
Motor Museum)と名付けられたこの博物館は2016年に他 界したグウィリム・オーウェン氏が生涯をかけ収集したクルマ やバイクが展示されるプライベートコレクションである。
整備工場を改装した館内には1912年から1975年までの 自動車やモーターサイクル約60台が並び、ボクソール14/40 やジャガーEタイプ、トライアンフTR4などイギリスの自動車 史を彩った名車も見つけることができる。
展示車の多くには、グウィリム・オーウェン氏による手書き の解説が添えられており、1台1台に込めた想いが伝わってく る。またクルマだけでなく、驚くほど多くのスペアパーツや整 備マニュアル、懐かしい自動車誌や看板、ペダルカーのコレ クションなども豊富に揃い、旧車を愛する人ならば時間を忘 れて過ごすことができるだろう。
館内は分解整備中のエンジンやツール、手つかずのままの パーツなどグウィリム・オーウェン氏が亡くなったその日のま ま維持されており、彼のクルマやバイクへの尽きることのな い情熱と愛情が、今も息づいている。
現在この貴重なコレクションはご家族が受け継ぎ、毎月1 日から7日のみ一般公開している。
Llangollen Motor Museum
Pentrefelin Mill, Pentrefelin, Llangollen LL20 8EE
https://llangollenmotormuseum.co.uk
Hours: 1st to the 7th of every month 9.30am to 4.00pm
Road Story: The Cambrian Way 美しい2つの国立公園を結びながら
ウェールズを縦断する風光明媚なルート
ウェールズの背骨ともいえるカンブリア山脈に沿って走る「カンブリアン・ウェイ(The Cambrian Way)」は、 A470を北のスランディドノから南のカーディフまでウェールズを縦断する約300km(185マイル)のルートだ。こ の道は、ウェールズの大自然を象徴するスノードニア国立公園とバンナイ・ブラヘイニョグ国立公園(旧ブレコ ン・ビーコンズ)の2つの国立公園を結びながら、城や渓谷、湖、歴史ある町々を巡るという、この地の魅力を存 分に堪能できるドライブルートになっている。
スランディドノを出発し、18世紀に造られた美しい庭園であるボドナント・ガーデン(Bodnant Garden)に立ち 寄りながらA470を南に進むと、スノードニア国立公園の玄関口ベトウス・ア・コーエド(Betws-y-Coed)に到着す る。森と川に囲まれたこの小さな町は、ハイキングなどが楽しめるアウトドアレジャーの中心地で、川沿いのカフェ やギャラリーに立ち寄り、一息つくのにも最適な場所だ。さらにクルマを走らせると、かつてスレート産業が栄えた クモルシン・スレート鉱山(Cwmorthin Slate Quarry)へと辿り着く。産業革命時代の遺構が残るこの鉱山跡はス ノードニア地域のスレート景観として世界遺産にも登録されている場所なので、ぜひ立ち寄りたいスポットだ。
スノードニア地域を過ぎると風景は一変し、美しい湖とダムが点在するエラン・バレー(Elan Valley)を経て、丘
陵地帯が広がるバンナイ・ブラヘイニョグ国立公園(旧ブレコン・ビーコンズ)へと入っていく。ここではぜひウェー ルズ最高峰のひとつペン・イ・ファン(Pen y Fan)へのハイキングに挑戦したい。山頂からは360度に広がる壮大な ウェールズの眺望が堪能でき、このロードトリップのハイライトになるはずだ。
カンブリアン・ウェイの終盤には、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのようなカステル・コッホ(Castell Coch)が姿を現す。赤い塔と円形の城壁が特徴的なこの城は、森に囲まれたロマンティックな雰囲気を持ち、" ウェールズで最も美しい城"と称され、世界中の旅人を魅了している。この城から20分ほどで、カンブリアン・ウ ェイの終着地となるウェールズの首都カーディフへと到着する。
2つの国立公園を抜け、湖、城、鍾乳洞、歴史的な町々を巡るカンブリアン・ウェイは、刻々と変化する風景と ともに、ウェールズの自然や歴史の奥深さを存分に堪能できる壮大なドライブルート。 北から南へと続くこの 道は、ウェールズの魅力をあますことなく体験でき、まさに唯一無二のドライブが楽しめる。
標高886mのペン・イ・ファンは、バンナイ・ブラヘ イニョグ国立公園(旧ブレコン・ビーコンズ)内に そびえるウェールズ最高峰のひとつ。頂上までのト レイルは比較的歩きやすく、初心者から上級者まで 楽しめるハイキングルートが整備されている。頂上 はウェールズの雄大な絶景が360度に広がる。夜に は星空観察スポットとしても人気がある。A470沿い にはナショナル・トラストが管理・運営する駐車場(利 用時間は10am-5pm)も用意されている。
Pen y Fan
Near Storey Arms, Libanus, Powys, LD3 8NL(Parking) https://www.nationaltrust.org.uk/visit/wales/bannaubrycheiniog-brecon-beacons
Pen y Fan
51°53'02.5"N 3°26'12.3"W
ROAD
TRIP: Wales
Bodnant Garden
53°14'04.2"N 3°47'42.1"W
英国屈指の美しい庭園として名高いボド ナント・ガーデン(Bodnant Garden)は、 スランディドノのビーチから車で15分 ほどにある広大な植物園。この植物園は 19世紀後半に造られ、四季折々の花々が 咲き誇ることで有名。特に春のラバーナ ム・アーチ(キバナフジのトンネル)は 必見の美しさで多くの人が訪れる。池や 滝、森林エリアなど変化に富んだ景観を 楽しむことができ、英国庭園の魅力を存 分に堪能できる庭園だ。園内にはティー ルームも併設され、ゆったりとした時間 を過ごせる癒しのスポットでもある。
Bodnant Garden
Bodnant Rd, Tal-y-cafn, Colwyn Bay LL28 5RE https://www.nationaltrust.org.uk/visit/wales/ bodnant-garden
From Conwy: 6 Miles
From Cardiff: 173 Miles
The Cambrian Way Betws-y-Coed 53°05'35.2"N 3°48'06.4"W
スノードニア国立公園の玄関口として知 られるベトウス・ア・コーエド(Betwsy-Coed)は、ウェールズ有数の美しい村 として知られている。川沿いに広がる木 造の家々や石橋がまるで絵本のような風 景を作り出している。この町はアウトド アの拠点として人気が高く、ハイキン グやマウンテンバイクなどのアクティビ ティを楽しめる。町の中心にはカフェや ギャラリーが並び、ウェールズの特産品 を扱うショップも充実している。ロード トリップの途中、自然のなかで穏やかな 時間を過ごすのに最適な場所だ。
Betws-y-Coed Royal Oak Stables, Betws-y-Coed LL24 0AH https://www.visitbetwsycoed.co.uk/
From Conwy: 18 Miles
From Cardiff: 162 Miles
Castell Dolwyddelan 53°03'11.9"N 3°54'29.4"W
ドルウィデラン城(Castell Dolwyddelan) は、スノードニア国立公園内に佇む12 世紀末にウェールズの英雄リュウェリン 大王によって築かれた城である。小規模 ながらも戦略的に建てられた山城で、現 在も石造りの塔が残っている。この城は 1930年に国営となっており、現在はウェー ルズ政府の歴史環境サービスであるCadw によって管理され、一般公開されている。 城跡から眺めるスノードニアの山並みは 美しく、ウェールズの独立戦争と深く関 わる歴史的な遺構とともに、自然と歴史 が融合した魅力的なスポットだ。
Castell Dolwyddelan
A470, Dolwyddelan LL25 0JD https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/ dolwyddelan-castle
From Conwy: 23 Miles
From Cardiff: 155 Miles
ウェールズの食文化を堪能できる「ボドナント・ウェルシュ・フード(Bodnant Welsh Food)」は、地元産のチーズやラム、焼き菓子などを扱うグルメスポット。併設のレスト ランでは、新鮮な食材を使った伝統的なウェールズ料理を味わえる。特にウェルシュラム のローストやケルティックパイ、レアビット(チーズトースト)は人気のメニュー。また、 地元職人が作るハンドメイドチーズ、自家製ジャム、ウェルシュケーキも評判だ。ボドナ ント・ガーデン(Bodnant Garden)からクルマで約5分と近く、庭園散策後に立ち寄るの もおすすめ。食を通してウェールズの魅力を感じられる注目のスポットである。
The Cambrian Way Cwmorthin Slate Mine
52°59'41.9"N 3°58'10.7"W
スノードニア国立公園内にあるクモル シン・スレート鉱山(Cwmorthin Slate Mine)は、19世紀に栄えたウェールズ のスレート産業の遺構であり、「スレー ト景観 – 北西ウェールズ」の一部として ユネスコ世界遺産に登録されている。廃 墟となった作業場や採掘跡が広がり、か つての産業遺産の面影を色濃く残す。幻 想的な雰囲気が漂い、写真撮影のスポッ トとして、また湖と山々に囲まれたロ ケーションは、トレッキングにも最適。 かつての鉱山労働者の暮らしやウェール ズの歴史に触れることができる。
Cwmorthin Slate Mine
Cwmorthin Rd, Blaenau Ffestiniog LL48 6SS http://cwmorthin.com/
From Conwy: 30 Miles
From Cardiff: 150 Miles
Elan Valley 52°16'52.7"N 3°35'35.5"W
エラン・バレー(Elan Valley)は、広大 なダム湖と起伏に富んだ丘陵が織りなす 美しい景観で知られるウェールズ中部の 渓谷地帯。ヴィクトリア時代末期に、バー ミンガムの安全な水供給を目的として一 帯にダムと貯水池が建設された。このダ ム群は現在も現役で、壮大なアーチ型の 建造物が湖面に映る姿は圧巻だ。周辺に はハイキングやサイクリングルートが整 備され、アウトドア愛好者に人気がある。 春は花々が咲き誇り、夏は緑が輝き、秋 には紅葉が湖面を染めるなど、四季折々 に異なる魅力が楽しめる。
Elan Valley
The, Elan Valley, Rhayader LD6 5HS https://elanvalley.org.uk/
From Conwy: 108 Miles
From Cardiff: 83 Miles
1836年に開業し、ウェールズ最古の狭軌鉄道として知られるフェスティニオグ鉄道 (Ffestiniog Railway)。ポルスマドッグ(Porthmadog)からブレイナウ・フェスティニオグ (Blaenau Ffestiniog)まで約21kmを走る山岳ルートでは、スノードニアの雄大な自然に加え、 世界遺産にも登録されたスレート鉱山跡の景観を車窓から望むことができる。この鉄道で 活躍する蒸気機関車は、英国で最も古い稼働機関車プリンス(1863年)やダブルフェアリー 機関車のメルディン・エムリス(1879年)など、鉄道ファンにとっても見逃せない存在だ。 19世紀の産業革命時代にタイムスリップしたかのような鉄道の旅を楽しむことができる。
Lady Milford's Bridge 52°03'57.9"N 3°17'46.8"W
エルウッド近郊のワイ川(River Wye) に架かるレディ・ミルフォーズ・ブリッ ジ(Lady Milford’s Bridge)は、1922年 に建設された歴史ある吊り橋だ。全長約 50mの鉄製構造をもつこの橋は、当時の 技術を駆使して設計されたもの。周囲の 自然環境と調和した優美なデザインを持 つことから、ロードトリップで訪れる人 たちの間で人気の撮影スポットになって る。レディ・ミルフォーズ・ブリッジの 周辺にはウォーキングコースが整備され ており、川のせせらぎを聴きながら美し い渓谷美を楽しむことができる。
Lady Milford's Bridge
Lady Milford’s Bridge, Llanstephan, LD3 3TQ
From Conwy: 123 Miles
From Cardiff: 55 Miles
The Cambrian Way 国立公園指定66周年記念として、長年親しまれてき たブレコン・ビーコンズ国立公園からウェールズ語 名のバンナイ・ブラヘイニョグ国立公園へと改名。 広大な丘陵地帯と豊かな生態系が特徴で、ウェール ズ最高峰のひとつ、ペン・イ・ファンをはじめとす る名峰がそびえ、ハイキングやサイクリングに最適 な環境が整っている。さらに、ダークスカイ保護区 にも指定されており、夜には満天の星空を楽しめる スポットとしても人気を集めている。
Bannau Brycheiniog National Park Pont ar Daf car park, Storey Arms, Libanus, Brecon LD3 8NL https://bannau.wales/
51°51'52.8"N 3°25'41.9"W
Bannau Brycheiniog National Park
The Cambrian Way バンナイ・ブラヘイニョグ国立公園を南北に縦断するA470に対して、東西に走るA40は、 山並みと牧草地を眺めながら市場町を巡る横断ルートであり、このルートを使ったロー ドトリップも面白い。東側から、市場町でグルメの町としても知られるアバガヴェニー (Abergavenny)、そしてバンナイ・ブラヘイニョグ国立公園の拠点となるブレコン(Brecon)、 さらに羊飼いの町ランドヴェリー(Llandovery)、そしてウェールズ最古の町といわれマー リン伝説ゆかりの地でもあるカーマーゼン(Carmarthen)へ。町々を繋ぎながら、ウェー ルズの穏やかな日常風景に出会えるルートになっている。
ROAD TRIP: Wales
National Showcaves Centre of Wales 51°49'53.1"N 3°41'13.0"W
ナショナル・ショーケーブス・センター・ オブ・ウェールズ(National Showcaves Centre of Wales)は、ウェールズ最大級 の鍾乳洞観光スポット。3つの巨大洞窟 を探検でき、それぞれに異なる魅力があ る。ダヌ・ホールは、天井高く広がる圧 巻の空間美を誇り、神秘的な雰囲気が漂 う。カテドラル・ケーヴは、名の通り大 聖堂を思わせる壮大な空間で、ライト アップによる幻想的な演出も見どころ。 ボーンズ・ケーヴでは、古代の遺物や動 物の骨が発掘され、ウェールズの地質や 歴史にも触れられる貴重なスポットだ。
National Showcaves Centre of Wales Dan-yr-Ogof, Abercrave, Swansea SA9 1GJ https://www.showcaves.co.uk/
From Conwy: 120 Miles
From Cardiff: 45 Miles
The Cambrian Way Castell Coch
“ウェールズで最も美しい城”と称され るカステル・コッホ(Castell Coch)は、 赤い屋根と円塔が特徴的なロマンティッ クな城である。もともとは13世紀に建 てられたが、19世紀にゴシック様式で 再建されている。周囲の森に溶け込むよ うに佇む姿は、まるで童話の世界に迷い 込んだかのよう。内部には豪華な装飾が 施された大広間や寝室があり、中世ヨー ロッパの貴族の暮らしを体感できる。 カーディフ近郊に位置し、アクセスも良 いため、フォトジェニックな名所として 多くの観光客が訪れている。
Castell Coch
Castle Hill, Cardiff CF15 7JS https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/ castell-coch
From Conwy: 187 Miles
From Cardiff: 7 Miles
Hensol Castle Distillery
51°30'07.5"N 3°22'24.9"W
ヘンソル・キャッスル・ディスティリー (Hensol Castle Distillery)は、ウェール ズの伝統と革新が融合した蒸留所。18世 紀に建てられた歴史あるヘンソル城の一 角にあり、ウェールズ産クラフトジンの 製造で知られている。この蒸留所では見 学ツアーを行っており、ジンの蒸留工程 を学び、運転者以外はテイスティングが 楽しめるほか、自分好みのジンをブレン ドする体験も人気だ。併設のバーでは、 城の雰囲気に浸りながら、地元産スピ リッツを堪能できる。歴史と美酒を味わ う、大人の観光スポットである。
Hensol Castle Distillery
Castle Cellars, Hensol, Pontyclun CF72 8JX https://www.hensolcastledistillery.com/
From Conwy: 251 Miles
From Cardiff: 15 Miles
近年、ウェールズはジンだけでなく、ウイスキーでも注目を集めている。2004年創業のペ ンデリン蒸留所(Penderyn Distillery)は、約100年ぶりにウェールズで復活したシングル モルトウイスキーを作る蒸留所だ。バンナイ・ブラヘイニョグ国立公園の南端に位置し、 清らかな湧き水と伝統製法で生み出されるその味わいは格別とファンも多い。蒸留所には ギフトショップも併設され、限定ボトルやミニボトルのセットなど、旅の記念になる商品 も豊富に揃うため、ロードトリップの途中で立ち寄って気になるウイスキーを購入し、ホ テルで旅の余韻に浸りながらグラスを傾けるのもおすすめだ。
Red Kite Earth Conker Pows, Wales Red Kite Earth Conker 52°12'45.3"N 3°30'10.2"W
ベントレーの元技術者が設計した球体に宿泊 大自然の中で未来志向のグランピング体験
レッド・カイト・アース・コンカー(Red Kite Earth Conker) は、ウェールズの豊かな自然と最先端のデザインが融合した 特別な宿泊体験を提供するグランピング施設である。
最大の特徴は元ベントレーのエンジニアであるJag Virdie 氏が設計・開発した銅板で覆われたユニークな球体キャビ ンに泊まれることだ。エアロダイナミックなデザインと高度な 断熱性を備えたこのキャビンの内部にはキングサイズのダブ ルベッドやミニキッチンが完備され、外部には専用のシャワ ーキャビン、スウェーデン式のコンポストトイレ、ピザオーブ ン付きのファイアピットエリア、さらには温水の屋外バスタブ が設けられ、大自然の中で快適な滞在が楽しめる。
この施設は、カンブリアン山脈の国際ダークスカイ保護区 内に位置しており、夜には満天の星空を鑑賞できる。なお町 あかりの少ない山間部だが2023年からはオプションでスタ ーリンクの高速衛星ブロードバンドも利用可能になっている ので通信環境についても心配はない。
レッド・カイト・アース・コンカーは、ロードトリップを通じ て、デジタルデトックスや創造性の刺激を求める人にとって 最高の滞在を約束してくれる場所である。
Red Kite Earth Conker
Red Kite Estate, Llanafan Fawr, Newbridge On Wye, Powys, LD2 3SG http://www.chillderness.co.uk
ウェールズの政治、経済、文化の中心地 歴史と現代が調和する活気溢れる首都
カーディフは、ウェールズの首都であり、約140㎢の面積を持 つ同国最大の都市である。この町の歴史的は、1世紀にローマ人 が砦を築いたことに始まり、11世紀にはウィリアム1世がカーディ フ城(Cardiff Castle)を建設したことで大きな発展を遂げた。そ の後、産業革命以降、ブリストル海峡に面した立地を活かし港湾 都市として発展し、石炭の輸出拠点となった。そして1955年にウ ェールズの首都に指定され、現在ではウェールズの政治、経済、 文化の中心地として栄えている。
カーディフには多彩な見どころがあり、ロードトリップの立ち寄 り地として、また滞在拠点としておすすめできる。町の中心部に位 置するカーディフ城は、ローマ時代の砦の上に築かれた歴史的 な城で、内部の豪華な装飾や広大な敷地が訪れる人々を魅了し ている。またカーディフにはスポーツファンを惹きつける2つのス タジアムがある。2009年に完成したカーディフ・シティ・スタジア ムはサッカークラブ「カーディフ・シティFC」の本拠地であり、プリ ンシパリティ・スタジアム(旧ミレニアムスタジアム)はラグビーワ
ールドカップやFAカップ決勝などのビッグイベントが開催された ウェールズ最大級のスタジアムである。
町の南に位置するカーディフ・ベイに足を運べば、ひと際目を 惹く文化施設ウェールズ・ミレニアム・センターがある。オペラや 演劇、コンサートなど多彩な公演が行われているこの施設は、ウ ェールズの自然と産業の景観を反映したデザインを採用してお り、南ウェールズの海岸の崖や製鉄業、北ウェールズのスレート 鉱山からインスピレーションを得ているという。また、ウェールズ 国立オペラやBBCウェールズ交響楽団をはじめ、8つの芸術団体 がここに拠点を構えている。
カーディフでショッピングや食事を楽しむならキャッスル・ク ォーター・アーケードも見逃せない。ここはヴィクトリア朝および エドワード朝時代に建設された歴史的なショッピングアーケー ドで、ハイ・ストリート・アーケード(1885年に開業)、デューク・ ストリート・アーケード(1902年に開業)、キャッスル・アーケード (1887年に開業)の3つのアーケードで構成されており、60以上 の独立系ショップ、カフェ、レストラン、専門店が軒を連ね、連日 多くの人で賑わう人気スポットになっている。
カーディフは、歴史的建造物と現代的な施設が調和した都市 であり、訪れる人々に多彩な体験を提供している町である。
カーディフ城(Cardiff Castle)は、カー ディフ市街の中心にそびえるウェール ズ屈指の歴史的要塞。1世紀にローマ人 が砦を築いたことに始まり、11世紀に はノルマン人によってモット・アンド・ ベイリー形式の城が建設された。その 後も増改築が重ねられ、19世紀にはヴィ クトリア様式の華麗な居城へと姿を変 えた。豪華な装飾が施された大広間や 図書室、アラビアンルームなど見どこ ろが豊富で、塔に登ればカーディフ市 街やブリストル海峡まで一望できる。
https://www.wmc.org.uk/
2009年にオープンしたウェールズ屈指 のスポーツ施設がカーディフ・シティ・ スタジアム(Cardiff City Stadium)だ。 サッカークラブ「カーディフ・シティ FC」の本拠地であり、ウェールズ代表 の試合も開催される。収容人数は33000 人を超え、試合日は熱狂的なファンで 埋め尽くされる。スタジアムツアーも 行っており、ロッカールームやピッチ サイドを巡り、クラブの歴史を学べる。 サッカー愛好者なら一度は訪れたい ウェールズのスポーツの聖地だ。
Quarter Arcade
Cardiff Castle Castle St, Cardiff CF10 3RB https://www.cardiffcastle.com
カーディフ・ベイにそびえるウェールズ の文化の中心地といえる施設が、ウェー ルズ・ミレニアム・センター(Wales Millennium Centre)である。印象的な ファサードにはウェールズ語と英語の 詩が刻まれており、その建築美も魅力 となり、カーディフの人気フォトスポッ トになっている。オペラ、演劇、ミュー ジカル、コンサートなど幅広い公演が 行われており、ウェールズ国立オペラ やBBCウェールズ交響楽団の本拠地と しても知られている。
https://cardiffcitystadium.co.uk/
キャッスル・クォーター・アーケー ド(Castle Quarter Arcade)は、カー ディフの歴史あるアーケード。1885年 開業のハイ・ストリート・アーケード、 1887年開業のキャッスル・アーケード、 1902年開業のデューク・ストリート・ アーケードの3つで構成。ヴィクトリ ア朝の美しいアーチとステンドグラス が印象的な空間には、個性的なショッ プやカフェが軒を連ねる。お気に入り のウェールズ産の工芸品や雑貨を探し ながら、ショッピングが楽しめる。
Wales Millennium Centre Bute Place, Cardiff, CF10 5AL
Cardiff City Stadium Leckwith Rd, Cardiff CF11 8AZ
ROAD TRIP: Wales
St. Fagans National Museum of History St Fagans, Wales St Fagans National Museum of History
51°29'14.8"N 3°16'18.7"W
ウェールズの生活様式、文化、建築を 多角的に体験できる唯一無二の博物館
セント・ファガンズ国立歴史博物館(St Fagans National Museum of History)は、ウェールズの首都カーディフ近郊 に位置する、ヨーロッパ有数の野外博物館である。
1948年に一般公開されたこの博物館は、16世紀後半に建
てられたエリザベス朝様式のマナーハウスであるセント・フ ァガンズ城とその庭園内に設立されたもの。開館以来、ウェ ールズ各地から40以上の歴史的建造物が移築・復元され、 100エーカーもの広大な敷地で公開されている。これらの建 物には、農家、学校、礼拝堂、労働者の組合会館など、多彩 な構造物が含まれ、ウェールズの生活様式、文化、建築を多 角的に体験できるようになっている。
また、敷地内では、ウェールズの伝統的な工芸品の展示 や制作実演が行われており、鍛冶屋、陶芸家、織工、粉ひき 職人、木靴職人などの作業風景を見学できる。また稼働中 の水車小屋や農場では、ウェールズの伝統的な農業や工業 の技術も間近で見ることができる。
2018年には6年間にわたる3000万ポンド(約45億円)の改 修が完了し、新しいギャラリーやレストランなどを新設。この リニューアルにより、2019年に英国のアート・ファンドが選ぶ 「ミュージアム・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。
セント・ファガンズ国立歴史博物館はウェールズの歴史と 文化を深く学ぶことができる唯一無二の博物館として、多く の人々に親しまれている。
ROAD
TRIP: Wales
Food Travel :
Discover Delicious Wales Welsh Flavors on the Road
「美味しいウェールズ」をテーマにドライブへ 美しい風景のなかで地元の味が楽しめる
ウェールズは、美しい自然や歴史的な町並みだけでなく、食を 目的に訪れても楽しめる国である。地元で育まれたラムやチー ズ、伝統的なスイーツ、そして海の恵みを活かした食文化は、訪 れる人々に特別な食体験を提供している。
ウェールズは「人に出会う回数よりも羊に出会う回数のほうが 多い」といわれるほど、羊の飼育が盛んな土地として知られてい る。この地で育つウェルシュラムは、広大な山々で放牧され、自然 豊かな環境の中で育つことで、繊細な風味とやわらかな肉質が 特徴となっている。ローストラムやシェパーズパイなど、伝統的な ウェールズ料理には欠かせない食材だ。
また、ウェールズには小規模なチーズ生産者も多く、ユニーク なチーズが揃っていることでも有名。ブルーチーズ好きにはたま らないパールラス(Perl Las)や、クリーミーでまろやかな味わい が特徴の白カビタイプのケアフィリチーズ(Caerphilly Cheese)
は、ウェールズを代表するチーズだ。これらのウェールズチーズ をたっぷり使ったチーズトースト「ウェルシュ・レアビット(Welsh Rarebit)」も、ぜひ試したい一品である。
海沿いのレストランでは、新鮮なシーフードに加えて、ウェール ズの伝統的な海藻料理「ラバーブレッド(Laverbread)」を味わう ことができる。ウェールズ西海岸で採れた岩海苔をじっくり煮込 んで作られ、トーストに塗るなど、さまざまな楽しみ方ができる。 そしてスイーツ好きにはウェルシュケーキ(Welsh Cakes)がお すすめ。小麦粉、バター、砂糖、スパイスを練り込んだ生地を鉄板 で焼き上げる、素朴な焼き菓子だ。ティータイムのお供として親し まれ、マーケットなどで焼き立てを楽しむのもおすすめだ。
ウェールズでは、これらの食材や料理を現地ならではの風景の 中で楽しめるのも魅力。ロードトリップに美食体験を加えて、新た な魅力を発見してみてはいかがだろう。
Wales Food and Drink(Visit Wales) https://www.visitwales.com/things-do/food-and-drink/
Automobile Industry: Aston Martin Lagonda Production & Technology Centre St Athan, Wales ラグジュアリーSUV「DBX」の製造を担う アストンマーティン最先端の製造・開発拠点
アストンマーティン・ラゴンダ生産・技術センター(Aston Martin Lagonda Production & Technology Centre)は、ウェ ールズ南部のセント・アサン(St Athan)に位置する、同社の最新 鋭の製造施設である。
この施設は、元々イギリス国防省(Ministry of Defence/ MOD)の所有地であった90エーカーの敷地を活用して作られた もので、2016年にアストンマーティンが新たな製造拠点として選 定、2019年に正式に稼働を開始した。
セント・アサン工場は、同社初のラグジュアリーSUVである 「DBX」専用の生産拠点となっており、DBXシリーズの組み立 てや塗装、品質管理までを一貫して行う最新の設備を導入。
DB11、VANTAGE、DBSなどのスポーツカーをメインに生産する イギリス中部のウォリックシャー州にあるゲイドン工場と同様、高 度な製造技術を駆使した工場となっており、特に塗装工場は3フ
ロアにわたる完全自動化に加え、カスタマイズカラーにも対応し、 ハンドペイントが必要な特別仕上げもライン上で施工可能、塗装 精度を向上させる調整機能も搭載するなど、こだわりを凝縮し、 アストンマーティンならではの美しいボディカラーを高精度かつ 効率的に提供できるようになっている。
さらに、セント・アサン工場はアストンマーティンの電動化戦 略の中心地として位置づけられており、将来的には電気自動車 (EV)の生産拠点となる可能性もある。現在も電動化の検討が 進められており、今後の動向次第では、セント・アサン工場がラグ ジュアリーEV生産のハブとなることも期待されている。
このように、セント・アサンの生産・技術センターは、アストンマ ーティンの現在、そして未来を担う重要な施設として注目されて おり、南ウェールズの経済にも大きな貢献を果たしている。
Aston Martin Lagonda
Production & Technology Centre
https://www.astonmartin.com/en/corporate/about-us/locations/st-athan
The Coastal Way カーディガン湾を望む海岸線を駆け抜けながら ウェールズの海辺の風景や町並みを堪能
ウェールズ西部を走る「コースタル・ウェイ(The Coastal Way)」は、カーディガン湾の海岸線に沿って約 290km(180マイル)を駆け抜ける絶景ドライブルート。旅は古くから巡礼地として知られ、歴史的な趣を感じ させるアバーダロン(Aberdaron)から始まる。最初に立ち寄りたいのは、イタリアのリゾート地をイメージして 作られたポートメリオン(Portmeirion)だ。ここはカラフルな建物が並ぶ異国情緒あふれる景観が楽しめると 人気だ。ここからA496を経由しハーレック・ビーチ(Harlech Beach)を目指して進むと、堂々とそびえ立つハ ーレック城(Harlech Castle)が姿を現す。世界遺産にも登録されているこの城は、イングランド王エドワード1 世によって築かれた要塞であり、丘の上から見下ろすカーディガン湾の絶景は圧巻だ。
その後、美しい自然に囲まれた道を進み、コルリス(Corris)やマハンレス(Machynlleth)といった雰囲気の良い 町を通過すると、再び海が見えてくる。そして辿り着くのは海辺の町アベリストウィス(Aberystwyth)だ。ウェー ルズの歴史と文化が色濃く残るこの町は、海外ドラマ「ヒンターランド」の舞台にもなったことでも知られている。
この地を訪れたら、1896年開業の歴史あるケーブルカーを利用し、コンスティテューション・ヒル(Constitution Hill)からの美しい眺望を楽しむのもおすすめだ。そして次に訪れたいのがアベラエロン(Aberaeron)である。この 町は、一軒一軒が鮮やかな色に塗り分けられた美しい港町で、「どこを切り取っても絵になる」と評判だ。
A487でのロードトリップはさらに続き、ウェールズの守護聖人"セント・デイヴィッド"が眠るとされる大聖 堂があるセント・デイヴィッズ(St Davids)へと向かう。このエリアはペンブルックシャー海岸国立公園に指 定されており、美しい砂浜、切り立った断崖、隠れた洞窟、そして古代の史跡が点在する。海岸沿いには全長 299kmにも及ぶウェールズ・コースト・パスも続き、息を呑む絶景を歩いて楽しむこともできる。
コースタル・ウェイはセント・デイヴィッズで終点を迎えるが、さらに南へ進めば、ブリストル海峡を望む海 岸線沿いにテンビー(Tenby)やスウォンジー(Swansea)といった魅力的な町々もあるので、カーディフまでの 延長ルートを計画し、ウェールズの海岸線をさらに深く堪能するのも良いだろう。
コースタル・ウェイは、見どころにあふれ、ウェールズの海岸線の魅力を存分に楽しめるルートだ。旅の途中 で出会う景色や町々は、生涯記憶に残る素晴らしい思い出を作ってくれるだろう。
Aberystwth
52°25'08.5"N 4°04'59.5"W ウェールズ西海岸のアベリストウィス(Aberystwth) は、美しいビーチと歴史的建造物が魅力の町。19世 紀に造られた海岸沿いの遊歩道であるプロムナード や、頂上からの絶景が楽しめるコンスティテューショ ン・ヒルが人気。町の中心には、ウェールズ最古の 国立図書館(Llyfrgell Genedlaethol Cymru)やアベリ ストウィス城(Aberystwyth Castle)もあり、ウェー ルズ文化や歴史に触れることができる。ゆっくりと した時間の流れる落ち着いた海辺の町である。
Aberystwyth
Neuadd Gwenfrewi, Queen’s Road, Aberystwyth, SY23 2HS https://aberystwyth.gov.uk/
Portmeiriom
52°54'48.6"N 4°05'56.2"W
ポートメリオン(Portmeirion)は、イタ リアのリゾート地をイメージしたユニー クな村である。建築家クロー・ウィリア ムズ=エリスによって1925年から実に 50年以上かけて作られた。敷地内に入る とカラフルな建物や美しい庭園次々に現 れ、まるで異国にいるような雰囲気を楽 しめる。ポートメリオン内には高級ホテ ルやレストラン、ギフトショップなどが あり、ゆったりと散策するのにも最適だ。 このスポットは1960年代後半に放映さ れたイギリスの名作ドラマ「プリズナー No.6」のロケ地としても知られている。
Portmeirion
Portmeirion Penrhyndeudraeth, LL48 6ET http://www.portmeirion-village.com/
From Conwy: 44 Miles
From Machynlleth: 38 Miles
The Coastal Way Harlech Castle
52°51'36.0"N 4°06'32.1"W
13世紀末にエドワード1世によって建 設された要塞で、ユネスコ世界遺産に 登録されているハーレック城(Harlech Castle)。丘の上にそびえ立ち、カーディ ガン湾を見下ろす立地にあり、城からは 絶景が望める。城壁や塔がほぼ完全な状 態で残っている城であり、中世の戦略的 な城の造りを現代に伝えている。かつて イギリス内戦の舞台にもなった歴史を持 ち、今もその重厚かつ力強い城としての 雰囲気を感じさせる。クルマで訪れるな ら近くのハーレック・ビーチも併せて立 ち寄りたいスポットだ。
Harlech Castle Harlech, LL46 2YH https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/ harlech-castle
From Conwy: 48 Miles
From Machynlleth: 27 Miles
Corris Craft Centre 52°39'16.2"N 3°51'00.5"W
スノードニア国立公園の南端に位置する アート&クラフトの拠点がコルリス・ク ラフト・センター(Corris Craft Centre) だ。ウェールズの職人たちが手がける陶 芸、木工、ガラス細工、チョコレートなど、 さまざまな工芸品が並ぶ。実際にクラフ ト体験ができるワークショップも開催さ れており、訪れる人々にウェールズの伝 統工芸を身近に感じさせている。また地 元のクラフトジンが購入できたり、併設 されているカフェではウェールズの食材 を活かした軽食を楽しめるなど、ロード トリップ中の立ち寄り地としておすすめ。
Corris Craft Centre Corris, Machynlleth SY20 9RF http://www.corriscraftcentre.co.uk/
From Conwy: 61 Miles
From Machynlleth: 6 Miles
戦闘機の低空飛行訓練を間近で見られるスポットは、世界でもごくわずか。ウェールズの マッハ・ループ(Mach Loop)と、アメリカ・カリフォルニア州デスバレー近郊にあるファー ザー・クローリー・オーバールック(Father Crowley Overlook)の2カ所といわれている。マッ ハ・ループは、渓谷の斜面から機体をほぼ真横、時には見下ろすように撮影できる貴重な スポットということもあり、航空ファンにとってはまさに聖地。A487を走っているだけで は気づかないが、山道を登るとカメラを構えた航空ファンが大勢集まり、シャッターチャ ンスを待っている。彼らと飛行機談義に花を咲かせながら、戦闘機の飛来を待つのも楽しい。
The Coastal Way マハンレス(Machynlleth)とドルゲラウ(Dolgellau)の間に 位置するマッハ・ループ(Mach Loop)は、軍用機の低空飛 行訓練で知られる迫力満点のビュースポット。イギリス空軍 (RAF)のジェット戦闘機や輸送機が、谷間を縫うように高度 わずか数十mで飛行する光景は圧巻。航空ファンが世界中か ら集まり、その瞬間を待ち構えている。特にF-35やC-130輸 送機などが目の前を駆け抜ける姿は、まさに非日常体験。ス ポットまでは山道を徒歩で登らなければならないが、山頂付 近からの眺望はとても素晴らしいのでその価値はある。
Mach Loop
Cad East Viewpoint: Dolgellau LL40 2HX https://machloop.co.uk/
Mach Loop
52°42'31.5"N 3°50'43.6"W
Aberaeron 52°14'34.8"N 4°15'27.5"W
アベラエロン(Aberaeron)はウェール ズ西海岸に位置する美しい港町で、カラ フルなジョージアン様式の建物が立ち並 ぶ景観が特徴。特に夏には、青い海と色 鮮やかな家々が織りなす風景が映え、写 真映えするスポットとして人気が高い。
また新鮮なシーフードが楽しめるレスト ランやウェールズ名物「ハニーアイスク リーム」が味わえる老舗店もある。夕暮 れ時には町全体が柔らかな光に包まれ、 絶好の撮影タイムが訪れるのでその時間 を狙って訪れるのもおすすめ。のんびり 散策と食を楽しむのに最適な町である。
Aberaeron
1 Alban Square, Aberaeron SA46 0BT https://www.discoverceredigion.wales/
From Machynlleth: 50 Miles
From Cardiff: 75 Miles
The Coastal Way Traeth Mwnt トレース・ムント(Traeth Mwnt)はカー ディガン湾沿いにある隠れた名所で、透 き通る海と白い砂浜が広がる美しいビー チとして知られている。小高い丘の上に は小さな白い教会が建っており、春先に は教会の周り一面をスイセンの黄色い花 が咲き誇る。眺望も素晴らしく、イルカ やアザラシなど野生動物の観察スポット としても人気がある。夏場でも比較的静 かで、海岸を吹き抜ける潮風が心地よく、 ゆったりと自然を楽しむのに最適な場 所。ピクニックや海辺の散歩を満喫しな がら、ウェールズの大自然を堪能できる。
Traeth Mwnt
Mwnt, Cardigan SA43 1QH https://www.nationaltrust.org.uk/visit/wales/mwnt
From Machynlleth: 60 Miles
From Cardiff: 95 Miles
Pembrokeshire Coast National Park
52°01'46.4"N 5°04'24.9"W
ウェールズ南西部に広がるペンブロー クシャー海岸国立公園(Pembrokeshire Coast National Park)は、イギリスで唯 一の海岸を中心とした国立公園である。 300km以上続く海岸線には、白い砂浜や 切り立った崖、洞窟が点在し、息を呑む ような美しい景色が広がる。沿岸部には セント・デイヴィッズ大聖堂やテンビー の港町など、歴史ある見どころも多い。 ハイキングやシーカヤックなどアクティ ビティも充実。特にペンブルック城やブ ルーストーン半島周辺では、雄大な自然 と古城のコントラストも楽しめる。
Pembrokeshire Coast National Park
Goodwick SA64 0JL(Strumble Head Lighthouse) https://www.pembrokeshirecoast.wales/
From Machynlleth: 90 Miles
From Cardiff: 100 Miles
ペンブロークシャー海岸国立公園を巡るロードトリップの途中にぜひ立ち寄りたいのが、 「カフェ・モール(Cafe Môr)」だ。かつてフレッシュウォーター・ウェストのビーチにキッ チンカーを出していた人気店で、現在はアングル・ビレッジ(Angle Village)に移転し営業 している。古い船を改装したユニークな店舗スタイルで、地元産シーフードを使った「ロ ブスターロール」や、海藻バターが香る「シーサイドバーガー」など、地元で採れた海の 恵みを生かしたメニューが自慢。潮風を感じながら味わう絶品ランチは、ウェールズドラ イブの特別な思い出になるはずだ。食後に店先でのんびり海を眺める時間も格別だ。
Accommodation: Ynyshir Machynlleth, Wales Ynyshir
52°32'40.4"N 3°56'41.9"W
ミシュラン二つ星レストランでの宿泊体験 ウェールズの森で非日常の時間を堪能
エグルイス・バハ(Eglwys Fach)に位置するイニシール (Ynyshir)はウェールズで初めてミシュラン二つ星を獲得し たレストランと宿泊施設を兼ね備えた特別な場所である。
シェフ兼オーナーのガレス・ウォード氏が率いるこのレス トランでは、約30品からなる独創的なテイスティングメニュ ーを提供し、日本料理から影響を受けた刺身やA5和牛をは じめ世界各国からの最高級の食材を用いた料理が味わえ る。ディナーは早い時間から始まり、約5時間をかけてゲスト を世界各地の料理の旅へと誘う。
また併設される宿泊施設には、スタイリッシュで快適な客 室が用意されており、ハウスルーム、スタディオ、ガーデンル ームともに洗練されたデザインとモダンな設備を備える。朝 食は自家製の食材を詰めたハンパー(蓋付きのバスケット) を客室に届けてくれるのも嬉しい。
イニシールは、自然保護区に囲まれた美しい景観の中に 位置しており、訪れる人々に非日常的な体験を提供しなが ら、ガストロノミーと快適な宿泊を融合させ、ウェールズなら ではの滞在を約束してくれる。なおレストランと宿泊の予約 は公式サイト経由で2カ月前から可能になっている。
Ynyshir
Ynyshir, Eglwys Fach, Machynlleth SY20 8TA https://www.ynyshir.co.uk/
Road Trip Tips for Travelers 英国を快適にドライブするための基礎知識 海外でレンタカーを借り、運転を楽しむ場合、 日本国内で利用する場合とはいくつか異なる 点がある。英国でのロードトリップを前に知っ ておきたいポイントを紹介しておこう。
レンタカー利用条件
まずはレンタカー利用国の最低利用年齢制限 を満たしていること。ヨーロッパでは基本的に 25歳以上が条件になる。※1また運転免許取得 後一定期間が経過し、レンタカー利用時点で 有効な日本の免許証および国際免許証を所 持していること。さらにレンタカーの運転者名 義の国際クレジットカード(利用限度額に到達 していないもの)を所持していることが条件。
※1 国、地域、車種クラス、運転免許証の保有年数、法人 契約の有無等により21歳以上の方から利用できる場合 もあるが、規定の年齢追加料金がかかることもある。また 国、地域、車種クラスにより30歳以上の方に利用が限られ る場合もあるので事前に確認しておきたい。
国際免許証
国際免許証とは、日本が加盟しているジュネ ーブ条約に基づき、各都道府県の公安委員会 が発行する免許証で、条約加盟国がそれぞれ の国で発行された免許証を認め合うというも のである。海外で運転をする際は、日本の運転 免許証を携行したうえで、国際免許証もしくは 運転免許証の翻訳が必要になる。なお国際免 許証の有効期限は、発行された日から1年間と なっている。
国際免許証の申請
国際免許証は各都道府県の警察署の運転 免許課、運転免許センターおよび運転免許試 験場にて以下のものを揃えて申請する。警察 署で申請する場合は、約1~2週間必要となる が、運転免許センターや運転免許試験場であ れば即日発行が可能※3。
(1) 国内で有効な運転免許証 (2) 写真一枚(5×4cm) (3) パスポート
(4) 手数料
※3 発行から1年を経過している場合、渡航中に有効期限 を迎える場合などにより、新しい国際免許を発行する場合 は、古い国外運転免許証の返納が必要。免許停止処分を 受ける方や停止中の方は、手続できない。
レンタカー予約
海外レンタカーは旅行代理店からも手配・予 約可能だが、大手レンタカー会社では日本語 で予約ができるサイトを開設している。
Hertz(ハーツ) https://www.hertz-japan.com Thrifty Car Rental(スリフティ・カー・レンタル) https://www.thrifty.jp/ SiXT(シクスト) https://www.sixt.jp/ Alamo (アラモ) https://www.alamo.jp Europcar(ヨーロッパカー) https://www.europcar.com/ja-jp
保険の契約
レンタカーを借りる場合は、契約時に保険 の内容をしっかりと確認しておくことが大切 だ。英国では、自動車損害賠償保険(対人・ 対物保険)であるLP(Liability Protection)、 レンタルした車両に損害が生じた場合に免 責額以上の損害を補償する車両損害補償 制度CDW(Collision Damage Waiver)、車両 の盗難による損害が生じた場合に免責額以 上の損害を補償する車両盗難保険TP(Theft Protection)があり、車両損害補償制度および 車両盗難保険の免責額を免除するスーパー カバー/免責免除制度SC(Super Cover)が用 意されている。このほか契約者および同乗者 が負傷した場合に規定の金額が支払われる 搭乗者保険PI(Personal Insurance)もある。 利用条件により補償内容・条件が異なる場合 があるのでレンタカー契約時に確認しておき たい。このほかにもさまざまな保険や制度が各 レンタカー会社で用意されているが、どれを選 べばよいのかわからない、手続きが不安である といった場合は、パッケージプランにも注目し たい。これは手厚い補償/充実の特約に加入
しながら個別に契約するよりも割安の料金と なるプランである。
海外ロードトリップにカーナビゲーションは 必要不可欠だ。最新のレンタカーではApple CarPlay等に対応している車両が増えてきてお り、スマートフォンの地図アプリ(Google Map など)をモニターに表示させることができる。本 書記載のQRコードを使いGoogle Mapにピン を保存しておけば現地での行き先設定がとて も簡単だ。もちろんスマートフォンが日本語の 設定ならば日本語での音声案内をしてくれる ので言語の不安も解消するはずだ。
英国は 特殊なトンネルや橋梁など一部を除 き、フリーウェイを含めて通行料は無料だが、 ロンドン市内では 慢性的な渋滞に苦慮する 市内の交通量を減らすために2003年2月17日 よりロンドン市内渋滞税(Traffic Congestion Charging)が徴収されている。対象となるの は平日の7:00~18:00、土日・祝日の12:00~ 18:00(但し12/25~1/1の間は除外)となり、 走行する運転者は事前に£15の渋滞税を支払 わなければならない。対象エリア内では、通行 中の車両をカメラでチェックしており、手続き をしていない場合は、罰金が課せられる。この 罰金は1日の違反に対して発生するため、数日 にわたって違反した場合は罰金が追徴される という仕組み。ロンドン市内にクルマを乗り入 れる場合は、予め走行日と車両ナンバーを控 えたうえで専用納税サイトから渋滞税の支払 いを済ませておきたい。
Congestion Charge https://tfl.gov.uk/modes/driving/congestion-charge