東京オフィスマーケットサマリー 2024年第2四半期

Page 1


日本リサーチ| 2024年7月

東京オフィス マーケットサマリー

2024年第2四半期

予測を上回る空室改善、賃料上昇も依然強い

経済

6 月の日銀短観によると 、 大企業製造業の業況 判断は 13ポイントと素材関連の業種の改善やAI 向けの需要が寄与して 、 2 四半期連続の回復と なった。 大企業非製造業の業況判断は 、33ポイ ントと 消費の弱含みや人手不足など の影響で停 滞した。

需要と供給

第2四半期における東京 Aグレードオフィス市場 のネットアブゾープションは 119,000㎡ となっ た 。 今期における A グレードオフィス の竣工は Shibuya AXSH (貸床面積: 24,960 ㎡) と赤坂グ リーンクロス(貸床面積: 35,320 ㎡)となった。

業種別にみると 、情報通信業 、エネルギー 、金 融業、保険業が牽引した。

需給と空室率の推移

新規供給 供給予定 空室率

2019年から2023年については、需要、供給、空室率は年末時点 の数値を参照する。2024年については、需要、供給、空室率は第 2四半期末時点の数値、供給予定は第3四半期から第4四半期の数 値を参照する。

出所: JLL, 2024年第2四半期

第2四半期末時点の東京 Aグレードオフィス市場 の空室率は 3 6 % となり 、 前期比 0 6 ポイントの 低下 、前年同期比 1 2%の低下となった。しかし、 サブマーケット別では 、 丸の内 ・大手町で は僅 かに 、 赤坂 ・ 六本木は新規供給によって 上昇 し た。

さらなる賃料上昇が⾒込まれる

賃料と価格

第2四半期の東京Aグレードオフィス市場におけ る賃料は前期比 1 1 % の上昇 、 前年比 0 9 % の上 昇と月額坪当たり 34,224 円となり 、 2 四半期 連 続 の上昇となった 。サブマーケット別にみると 、

大手町 ・丸の内 は上昇に転じ 、赤坂 ・ 六本木 は 2 四半期連続の 上昇と 、 都心部全体の 賃料回復 がみられる。

第 2四半期の価格は 2四半期連続 で上昇し 、前期 比 1 8 % 、 前年比では 1 9 % 上昇となった 。 賃料 上昇 と安定期な キャップレートによって価格は 堅調に推移している。

投資市場

第 2 四半期の東京オフィスの投資総額は前期比 71% 減 、 前年比 50% 増の 2,034 億円となった 。

今期における主要 な グレード A オフィス取引 に は、 FPGによる六本木ヒルズ森タワーの区分所 有権( 総貸床面積 8,700㎡ )を 280億円 での取得 が挙げられる。

賃料と価格の推移

出所: JLL, 2024年第2四半期

⾒通し

2024年 6月時点のオックスフォード・ エコノ ミクスの経済成長予測によれば 、 実質 GDP 成長率の 2024 年予測は 0.4% 、 CPI の予測は 2 2% となった 。 今後のリスクとしては 、 イ ンフレの継続、金融市場のボラティリティ、 日銀の利上げによる投資利回りの上昇圧力な どが挙げられる。

2024 年の賃貸市場の活動は昨年に比べると 新規供給が少ないものの、堅調に推移してい る。既存と新規ビルのテナント需要が顕著で あり、来年にかけて賃料回復は継続するとみ ている。

投資市場の価格は 、 2024 年後半に 日銀によ る利上げが懸念されるものの、賃料上昇と安 定的な利回りの推移を前提に、緩やかに上昇 する見通しである。

プロパティクロック

出所: JLL, 2024年第2四半期

主要指標

賃貸市場

空室率 前期比 前年比

投資市場

商業用不動産直接投資総額 前期比 前半期比 前年比

オフィス

出所: JLL, 2024年第2四半期

注1: 空室率と賃料は、東京Aグレードオフィスマーケットを参照している。 下の表を参照。

注2: プロパティクロックは、中心業務地区に所在するAグレードオフィス マーケットの賃料を参照している。

注3 : 投資総額は 、東京都のオフィスセクターの不動産直接投資総額を参 照している。

東京Aグレードオフィスの定義

所在

東京都心5区 (千代田区、中央区、港区、 新宿区、渋谷区)

延床面積 30,000 ㎡ (9,075坪)以上

基準階床面積 1,000 ㎡ 以上

竣工 1990年以降

jll.com

ジョーンズ ラング ラサール株式会社

東京本社

〒102-0094

東京都千代田区紀尾井町1-3

東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー 03 4361 1800

福岡支社 〒812-0011

福岡県福岡市博多区 博多駅前2-20-1

大博多ビル 092 233 6801

関西支社 〒541-0041

大阪府大阪市中央区 北浜3-5-29

日本生命淀屋橋ビル 06 7662 8400

名古屋オフィス 〒450-6321

愛知県名古屋市中村区 名駅1-1-1

JPタワー名古屋21階 052 856 3357

お問い合せ先

⾚城 威志 リサーチ事業部長 takeshi.akagi@jll.com

中丸 友世

リサーチ事業部 アシスタントマネージャー tomoyo.nakamaru@jll.com

大東 雄人 リサーチ事業部 シニアディレクター yuto.ohigashi@jll.com

JLLについて

JLL ( ニューヨーク証券取引所: JLL ) は 、 不動産に関わるすべての サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。 オ フィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど 様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提 供しています。フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ 国で展開 、従業員約 108,000名を擁し 、 2023年の売上高は 208億米ド ルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、 お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くこと がJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレ イテッドの企業呼称及び登録商標です。jll com

JLLリサーチについて

JLLリサーチは、世界のあらゆる市場 、あらゆるセクターにおける最 新の不動産動向並びに将来予測を提供します。全世界 550 名超のリ サーチエキスパートが 、 60 ヵ国を超える国々の経済及び不動産のト レンドを日々調査 分析し 、 世界のリアルタイム情報と革新的考察 を発信しています。 グローバル 、 リージョン 、 そしてローカルの不 動産市場におけるプロフェッショナルが集結する精鋭リサーチチー ムは 、 今日の課題、 さらに将来の好機をも特定し、 不動産に関する 最適な意思決定へとお客様を導きます。

JLLリサーチは、適正な市場メカニズムが機能する公正・透明な不動 産市場の形成に寄与することを使命とし 、より良い社会の実現に貢 献していきます。

Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.