日本リサーチ|
2024年8月
日本リサーチ|
2024年8月
2024年第
金利は上昇するも、市場の活況は続く
世界の投資額
2024 年上半期の世界の不動産投資額は米ド ル建てで前年同期比 4 % 減少の 2,870 億ドル となった 。 アメリカ大陸の取引は同 10% 減 少 、 EMEA ( 欧州 、 アフリカ 、 中東 ) は 1% 増加 、 アジア太平洋は 7%増加となった 。 円 安とインバウンド観光客の増加を背景にホ テルへの注目が高い日本はアジア太平洋地 域で最も活発な市場であった。
日本の投資額
2024 年第 2 四半期の日本の不動産投資額は 前期比 47% 減 、 前年同期比 8% 減の 9,059 億 円 ( 米ドル建てで前年同期比 18% 減の 58.1 億ドル ) 、 上半期では前年同期比 21 % 増の 2兆6,105億円となった。
世界の投資総額推移
(10億ドル)
出所:JLL
アジア太平洋 EMEA アメリカ大陸
日本の投資総額推移
(10億円)
出所:JLL
見通し
世界の不動産投資市場は金利上昇による価格低下を織り込み、投資額回復の動きが見られつ つある。日本では金利の上昇が見られるが、今後の急激な金利上昇による資金調達環境の悪 化はないと考えられており、投資市場の活況は続くと予想する。特に収益性改善が著しいホ テルや、賃料上昇が続く賃貸マンションの人気は高い。2024年年内の豊富なパイプラインを 鑑みると通年の不動産投資額は4.5兆円程度になると予想する。
海外投資家の投資額
(10億円) 世界の都市別投資額ランキング 世界の都市別ランキングでは 、 東京は 2024 年上半期の不動産投資額が 110 2 億ドルで 1 位となり 、 2024 年第1四半期から首位を維 持している 。 大阪は 2024 年上半期の取引額 が 36 3 億ドルで 18 位となり 、 2024 年第1四 半期の 16 位からやや後退したものの 、 20 位 圏内を維持している。
海外投資家による不動産の購入額を表すイ ンバウンド投資額は 、 2024 年上半期に 2,978 億円となり 、 前年同期の 5,130 億円と 比べて42%減少した。
2024 年上半期の国内不動産投資額に占める インバウンド投資額の割合は 11% となり 、 前年同期の 24% および 2023 年通年の 17% か ら縮小している。
セクター別投資額割合 セクター別投資額割合では 、 2024 年上半期 のオフィスは 44% となり 、 2023 年通年の 33% から拡大した 。 一方 、 物流施設は 15% となり 、 2023 年通年の 26% から大幅に縮小 した 。 ホテルは 16% 、 賃貸住宅は 15% とや や拡大し 、 リテールは 8 % とやや縮小した 。
都市別投資額
出所:JLL
海外投資家投資額推移
出所:JLL
セクター別投資額割合
出所:JLL
地域別投資額割合 地域別投資額割合では 、 2024 年上半期の東 京都心 5 区は 34 % となり 、 2023 年通年の 28% から拡大した 。 一方 、 千葉 ・ 埼玉 ・ 神 奈川 ( 東京都を除く東京圏 ) は 8%と 2023 年通 年の 17% から大幅に縮小した 。 大阪圏は 21% となり 、 観測を開始した 2008 年以降で 最大となった。
地域別投資額割合
出所:JLL
注記および用語説明
四半期・半期 1-3 月期を第1 四半期( 1Q )、4-6 月期を第2 四半期( 2Q )、7-9 月期を第3 四半期( 3Q )、10-12 月期 を第4四半期(4Q)とし、1-6月期を上半期(1H)、7-12月期を下半期(2H)とする
不動産の直接投資 個別の不動産あるいは資産ポートフォリオ(あるいは資産を保有する特別目的会社の株式) の取得を いう
不動産直接投資に 含まれるもの
500 万米ドルを超えるすべての取引 ・ カバーしているセクターは 、 オフィス 、 リテール 、 ホテル ( カジノを含む ) 、 インダストリアル (物流施設)、レジデンシャル(賃貸住宅)、複合用途、その他(介護施設、学生寮を含む) データには REIT 組成を含む 、 右記 の条件を満たした 不動産会社の M&A が含まれる
実質的に不動産取引である
・不動産以外の主要資産(労働力、知的所有権、のれん代など)が譲渡されない ・収入の70% 以上を直接的な賃料収入から得ている ・取引により、所有権の大幅(30% 以上) な変更が生じる ・取引は「市場価格」で行われる
・IPO 価格で新たな投資家に売却した比率のみが含まれる 不動産直接投資に 含まれないもの 開発案件への投資、土地の売買 エリア区分
東京都心5区 : 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 東京圏:東京、千葉、埼玉、神奈川 名古屋圏 : 愛知、岐阜、三重
大阪圏 : 大阪、兵庫、京都、奈良 福岡圏:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 為替レート 取引額を米ドル建てに換算する上では、取引が行われた四半期の平均為替レートを用いている
jll.com
東京本社 〒102-0094
東京都千代田区紀尾井町1-3
東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー 03 4361 1800
福岡支社 〒812-0011
福岡県福岡市博多区 博多駅前2-20-1
大博多ビル 092 233 6801
お問い合せ先
赤城 威志 リサーチ事業部 事業部長 takeshi.akagi@jll.com
剣持 智美 リサーチ事業部 マネージャー tomomi.kemmochi@jll.com
関西支社 〒541-0041
大阪府大阪市中央区 北浜3-5-29
日本生命淀屋橋ビル 06 7662 8400
名古屋オフィス 〒450-6321
愛知県名古屋市中村区 名駅1-1-1
JPタワー名古屋21階 052 856 3357
谷口 学 リサーチ事業部 シニアディレクター manabu.taniguchi@jll.com
JLLについて
JLL ( ニューヨーク証券取引所: JLL ) は 、 不動産に関わるすべての サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。 オ フィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど 様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提 供しています。フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ 国で展開 、従業員約 110,000名を擁し 、 2023年の売上高は 208億米ド ルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、 お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くこと がJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレ イテッドの企業呼称及び登録商標です。jll com
JLLリサーチについて
JLLリサーチは、世界のあらゆる市場 、あらゆるセクターにおける最 新の不動産動向並びに将来予測を提供します。全世界 550 名超のリ サーチエキスパートが 、 60 ヵ国を超える国々の経済及び不動産のト レンドを日々調査 分析し 、 世界のリアルタイム情報と革新的考察 を発信しています。 グローバル 、 リージョン 、 そしてローカルの不 動産市場におけるプロフェッショナルが集結する精鋭リサーチチー ムは 、 今日の課題、 さらに将来の好機をも特定し、 不動産に関する 最適な意思決定へとお客様を導きます。
JLLリサーチは、適正な市場メカニズムが機能する公正・透明な不動 産市場の形成に寄与することを使命とし 、より良い社会の実現に貢 献していきます。