Isa MITAKE

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三嶽伊紗(高知県出身・滋賀在住)の作品はすべて大ガラスと二つのショー ケースの中に展示されている。そこには、白い机、小さな白い箱、水槽に閉じ 込められた夕顔の花びら、香灰、鋳造されたセミの抜け殻が、静かに配置さ れている。三嶽は透明感と静謐さをもち、無駄なものを省いたインスタレー ションで、心地よい緊張感を作り上げる、コンセプチュアルな作品を発表し ている作家である。ガラスに覆われているため近づく事すら拒否され、ただ 見る事によってのみのみその感覚を味わう事ができる。配置されているもの たちはほとんど色をもたないため、周りに溶け込みあいながら、ガラスの向 こう側とこちら側をゆらゆらと動いている。その感覚は、曇りの日や湿気等 あいまいなものに興味があるという三嶽らしい、“あいまいな心地よさ”とで もいえるだろうか。


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