Design by People 2017|よし介工芸館、工房まるでの協働事例

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需要の横のつながり】は「同業者との連携を行っている」ということ【作品・商品の権利保護】は「利 用者さんが作成した作品の権利の管理や作品のアーカイブに関する事」で【営業戦略】は「人的ネッ トワークによって仕事が生み出されている」こと、 「作品を可視化して広く公表する事で作品が生まれ やすいような環境を作り出している」ということなどが主にあげられる。 【広報戦略】は「利用者さん を作家としての売り出している」事、 「福祉業界の既存の企画と比較した時の新規性」がある事。 【販 売戦略】では、「作品の持つストーリー性に重点を置いている」事、 「福祉を言い訳にしない商品ク オリティが求められる」という事を受け入れていることなどが言える。 【商品化戦略】においては「作 家のモチベーションの維持の必要性」や、 「商品にしやすい作品とそうでない作品がある事」が読み 取れた。[fig.30] 工房まるの現状とは(よし介工芸館との比較を通して) 以上の現状分析から明らかになった事柄を 2017 年夏に予定されていた工房まるの視察に向けて 整理するために、過去に調査を行なっていたよし介工芸館についても同様に整理を行い、一つの表 の形にまとめた。比較項目として、資源、環境、広報 / 販促という大きく3 つの項目の下に小項目 として、スタッフや材料や道具、制作環境や作品保存、販売物、広報・販売物や認知チャネル、販 売チャネル、収益、広報コンセプト、施設戦略を設けた。まとめは以下の図である。 [fig.31] 工房まるのよし介工芸館との主な違いとしては、福祉業界出身の職員率の低さ、制作している作品 のカテゴリの違い、職員が主導するのではなく出来るだけ利用者主体で作品制作全般を行うという 制作スタイル、また SNS の活用についても工房まるの方が積極的に利用している事などが挙げられ る。 また、距離的に東京から遠くにある施設でも、福祉×ファブを実現する仕組みの整理として、作品 制作から商品化し販売するという一連の流れに関して「利用者・スタッフのパワーバランス」 、 「デジ タルとアナログのバランス」、「クリエイティブに行なわれているか業務的に行なわれているか」 、 「戦 略と戦術のどちらを重視しているのか」の 4 つに関するダイアグラムを作成した。制作プロセスの一 連の流れを時系列順に 1)何をができるのか探る、 2)何で作るのか決める、 3)何の道具や素材を使っ て作るのか決める、4)作る、5)売れるものを考える、6)売れるものを作る、7)伝え方を考える、8) 売る、の 8 つの段階に分け二軸どちらのウエイトがあるかを可視化したダイアグラムをよし介工芸館 と工房まるの両方について作成した。

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