Annual report 2022

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国連UNHCR協会

活動報告 202 2

ANNUAL REPORT 2022

難民を守る 。難民を支える。

わたしたちは、国連UNHCR協会です。

国連UNHCR協会の使命

● UNHCR公式支援団体として、日本社会と難民や最前線で援助活動に 従事する人々をつなぎます。

● 難民および難民支援の国連および関係機関に向ける日本社会からの 物心両面の貢献を格段に高めます。

資金調達活動

難民援助活動の資金確保に取り組み、世界の人道支援に最大限貢献する。

コミュニケーション活動

日本社会における難民問題の認知と理解を拡大し、共感と連帯の輪を広げる。

ユーエヌエイチシーアール

UNHCR と は UNHCR は国連難民高等弁務官事務所( The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees )の略称で、1950 年に設立された国連の難民支援機関です。紛争や迫害により 故郷を追われた難民・避難民を国際的に保護・支援し、難民問題の解決に対して働きかけています。1954 年と 1981年の2 度にわたり、ノーベル平和賞を受賞。緒方貞子さんが、第 8代国連難民高等弁務官として活動を率いました。

私たちの行動原則

▶ 民族、宗教、思想、性別、国籍 等の違いにかかわらず、人間 の命と尊厳を大切にします。

©UNHCR / Valerio Muscella
▶ 常に新しい支援の形や参加 機会を創出し、成長と挑戦を 続けます。
▶ 寄せられたすべてのご支援に 対して責任を持ち、誠実に説 明責任を果たします。
▶ 様々な意見に耳を傾け、一人 ひとりの思いを尊重します。
上記の使命を果たすために以 下の活動を行っています。
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クライナにおける軍事行動は、近年の歴史において最速で最大の強制移動のひとつを引き

起こしました。さらに、食料や燃料価格の高騰による壊滅的な連鎖反応をもたらし、世界で もっとも弱い立場におかれた人々をさらなる窮地へと追い込んでいます。また、ウクライナ危機に 世界の注目が集まる一方で、幾多の危機が人知れず起こっています。そして、より多くの事態が世界

の視線からこぼれ落ち、絶望的な状況におかれている何百万人もの人々に影響を及ぼしています。

UNHCRを支えてくださる方々は、報道されている危機が世界の支援のニーズの断片に過ぎない

ことをご存じかと思います。2022年、戦争や暴力、迫害、差別によって避難を強いられている人の数は 1億人に達しました。難民や国内避難民の数が増え続 け 緊急の人道的ニーズが増大するなか、

UNHCRの課題もまた、その規模と複雑さの両面において増え続けています。しかし私たちは、 個人、企業・団体などのプライベートセクターをはじめとする社会全体からのサポートに支えられ、 利他主義と寛大さ、連帯の大きな力に励まされながら、決意をもって援助活動を遂行していきます。

型コロナウイルス感染症との闘いに完全な終わりが見えないなか、2月には突然の軍事行動

の開始からウクライナ危機が始まり、2022年は世界情勢が大きく揺らいだ年でした。こうし た事態に際し、日本では大変多くの企業・団体、個人の皆様が、苦しい立場に追い込まれた人々の 境遇を思い、かつてないほど多大なご支援を迅速にお寄せくださいました。UNHCRの援助活動を 力強く支え続けてくださったことに、あらためて御礼申し上げます。

この「国連UNHCR協会 活動報告2022」で、皆様のご寄付をはじめ世界からのご支援で可能に

なったUNHCRの2022年の援助活動の成果をご覧いただけましたらうれしく存じます。

「避難を強いられた人々の命を守るために、今できることがある」。2023年も私たちは、そう信じて 日々の活動に邁進してまいります。また皆様からお預かりしたご寄付を支援の現場に届けることで、 それが着実に難民や国内避難民となった人々を守り支える力になっていることを、皆様のご支援の 力を、さまざまな情報を通してお届けしていきたいと考えております。どうぞ今後とも、紛争や迫害に よって避難を強いられた人々の命を守り支えるために、UNHCRの援助活動にご無理のない範囲 でご協力をいただけますようお願い申し上げます。

第11代国連難民高等弁務官 フィリッポ・グランディ

特定非営利活動法人 国連UNHCR協会

理事長 宮内孝久

表紙写真について

ウクライナ国境にほど近いポーランド南東部の村メディカは、ウクライナから逃れてきた多くの人々が通過する場所です。 笑顔を見せてくれたアナスタシアちゃん( 8 歳)は、家族と一緒にここから移動するためにバスを待っていました。

こうした主要な通過地点では、多くの人が他の都市や国外に逃れるために一度休息する場所を必要としています。

UNHCR(
©UNHCR / MACIEJ MOSKWA ©UNHCR / Nour Tarabay
国連難民高等弁務官事務所 )の活動を支えてくださっている日本の皆様に感謝申し上げます
ウ 新
ANNUAL REPORT 20 2 2 03
ユーエヌエイチシーアール

2022年皆様からのご寄付 により、UNHCRは世界 各地で避難を強いられた 人々へ、多くの援助物資を 届けることができました。

毛布

3,337,718 枚 バケツ

676,317 個 給水容器

UNHCRと相談し、家の修理を進めたオルガさん。 「UNHCRが私を見つけてくれたのです」

末の息子をイランにいる兄の養子にした苦渋の 決断をファティマさんは今も悔いている

シリア東部の故郷デリゾールのお店の前で子ども たちとともに バスコさんは、US African Development Foundation などを通して支援を受けソーラーミニグリッドを設置

985,106 個 調理器具セット

From シリア From ウクライナ From アフガニスタン From ケニア

オルガさん

ファティマさん *保護上の理由で仮名で掲載しています

1年前にシリアのデリゾールの自宅に 戻ってきたシュクランさん。多くの帰還 民と同じように紛争で家を失い、当時は

3人の子どもに必要なものを用意できず、 家賃を払うことも難しい状況でしたが、

UNHCRのトレーニングと事業支援を 受け生計を立てられるようになりました。 「商売が軌道に乗りはじめました」と、子ど もたちと一緒に笑顔を見せてくれました。

戦争がやってきた瞬間をオルガさんは 覚えています。「突然爆風が吹き抜け、 台所の窓が粉々になりました」。避難の

後に故郷に戻った時、家は壊され弾痕 が残っていました。途方に暮れるオル

ガさんを訪ねたのは、住宅修理の支援 を始めていたUNHCRとパートナー団 体です。「あなた方がいなければ、窓や 屋根の修理はできなかったでしょう」。

2年前に紛争が激化し避難した彼女が 故郷に戻った時、頼る人もなくバーミヤン の仏像があった場所近くの山腹の洞窟 で暮らすしかありませんでした。UNHCR は一家の過酷な生活を知り、緊急の現金 給付を実施。「ここにあるものはすべて、 給付されたお金で買ったものです」と ファティマさん。現在一家は、シェルター 支援などのアセスメントも受けています。

シリアでの援助活動 ウクライナでの援助活動 アフガニスタンでの援助活動 環境負荷を抑えながらエネルギーのニーズを満たす支援

12年以上にわたる紛争で避難を強いられている人、 避難先から帰還する人、家族の健康上の理由など で土地を離れることができなかった人など、コミュニ ティには多種多様な人々がいます。こうした紛争の 影響を受けた人々のニーズを明確にし、コミュニティ 全体をサポートしていくことは重要な支援であり、 職業訓練をはじめとする生計支援はその一例です。

これまでUNHCRは、同国での住宅の修理で1万 8000人以上を支援。また戦争の開始以降1年間 で、国内避難民や戦争の影響を受けた人々470万 人以上に現金給付や緊急シェルター、法的支援、 生活用品の提供、心理社会的ケアなどの緊急人 道支援を実施。こうした活動は、世界中から迅速 に寄せられたご支援によって実現しています。

2022年、アフガニスタンの人々を守るため2310 万ドル以上のご支援が民間(企業・団体、個人な ど)から寄せられました。UNHCRとパートナー 団体は同国のすべての州で活動し610万人を 支援。女性の高等教育の停止など新たな課題に 直面しながらも、人々の生活と将来の可能性を 改善できるよう尽力していきます。

「この分野に進んだのは、明かりを得る のに苦労したからです」。12年前にコン ゴ民主共和国から逃れてきたバスコさ んは、カクマ難民キャンプのエネルギー の課題を解決するために起業し、クリー ンエネルギーを供給。UNHCRも地域の 2つの医療施設にソーラーシステムを 配備するなど、難民と一丸となってクリー ンエネルギーの提供を模索しています。

バスコさん 難民の受け入れ国の中には、エネルギーの不足 や環境への大きな負荷に直面している国も多く、 持続可能なエネルギー源へのアクセスを改善 することは優先事項です。バスコさんのような 難民主導の事業は、課題の解決につながる有効 な方法のひとつであり、こうしたプロジェクトの ためにさらなる支援が必要とされています。

843,244 家族分 蚊帳

1,591,680 張 ビニールシート

1,654,819

※日本を含む全世界からのご寄付 による支援の成果の一部です (新たな難民危機と継続している 危機への対応を含みます) 出典:2022 Donor Impact Report

2022年、UNHCRの支援を受けた人々の声をお届けいたします。
就寝用マット 1,221,415
ソーラーランプ 723,827 個 家族用テント 50,133
「やっと子どもたちのために 食卓に食べ物を用意できます」
シュクランさん
「世界中の思いやりのある人々に ありがとうと伝えたいです」
「もしこの支援がなかったら 状況は最悪だったでしょう」
「毎朝起きると、地域に積極的に貢献 しなければならないと思うのです」
©UNHCR / Vivian Toumeh ©UNHCR / Diana Zeyneb Alhindawi © UNHCR / Caroline Gluck © UNHCR / Samuel Otieno
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UNHCRの日本人職員の声をお届けします

From ウクライナ

青山 愛

UNHCRウクライナ事務所 レポーティング担当官

ウクライナにおける軍事行動が始まって 1年以上。攻撃は全土で続き、未だ戦争 に終わりの兆しが見えない中、人々は破 壊されたままの住居や避難所で生活を 送っています。また、発電所への攻撃によ り電気、ガス、水道を含む主要なインフラ が遮断されたままの地域も多くあります。

私は2022年4月からウクライナ国内で 緊急支援に従事してきました。主な仕事 は、日々刻々と変化する現場の状況や

ニーズをまとめ、支援国やステークホル ダーに伝えることです。大切なものを 犠牲にして避難を強いられている人々や、

戦争によって生活が壊されてしまった 人たちの声を届け、支援に繋げたい。

その一心で業務に取り組んでいます。

2022年世界からのご支援を 受けてウクライナ国内外で 実施した援助活動の成果を お伝えいたします

ウクライナ国内 で 432 万人 を支援

保護サービス 123万 9401人

日本は、世界でも最も迅速にウクライナ 危機に対する支援を表明した国のひとつ です。日本からの支援を受けて、UNHCR はパートナー団体と連携しながら故郷を 追われた人々への物資の提供、家屋の修 復、こころのケアなど、現場のニーズに応 じた支援を実施することができています。

ウクライナでタイムリーかつ効率的に支 援を実施するために、そして、人々の生活 を立て直し、復興へと繋げていくために、 国際社会からの継続的な支援も必要

不可欠です。

引き続き日本

からウクライ

ナの人々を支 えていただけ

ますよう、どう

ぞよろしくお願

いいたします。

避難所や破損した住宅の修理の支援 16 万 412 9人

現金の給付支援 98万 7308人

援助物資の支援 177万 8452人

避難所などで使う発電機の支援 81台

到達困難な地域への関係機関合同輸送団 2 7 回

UNHCR 主催の輸送団 626 回

ウクライナ周辺国 で の支援

現金の給付支援 47 万 6000 人

防寒物資の支援 31万 5000 人

支援拠点ブルードット*の開設 3 9 か所

空襲警報が鳴り、地下の駐車場兼シェルターに 避難して作業を続けることも

紛争下で生活する人々の声を基に 支援のニーズをまとめている

2022年11月、紛争の影響により弱い立場におかれているドネツ ク州スロビャンスクの住民に防寒着や毛布を配布

2022年11月、へルソン奪還から72時間以内に関係機関合同の 人道支援輸送で同地に向かい緊急支援を実施

ルーマニア行きのバスに乗る人々をサポートするUNHCRの職員

*UNHCRとユニセフが共同で運営し、ウクライナから逃れてきた難民、女性や子どもなどとりわけもっとも弱い立場にある人々に対して重要な情報と  実質的なサポートを提供する支援拠点

出典 : 2022年のウクライナ国内の支援: UKRAINE EMERGENCY UNHCR Delivery Updates 18 January 2023 2022年のウクライナ周辺国での支援:UKRAINE SITUATION FLASH UPDATE #38

© Humanitarian Mission Proliska / UNHCR / Artur Ulianytskyi © OCHA / Saviano Abreu © UNHCR / Mihai von Eremia
©UNHCR ©UNHCR ©UNHCR めぐみ あお やま
UNHCR
ANNUAL REPORT 20 2 2 05

写真で振り返る 2022 年ウクライナ危機  紛争の影響を受けるウクライナの人々とUNHCR の援助活動

■ 1 ウクライナ国内、電力供給の壊滅的なプヤティハートキ村。自宅で暖を 取るために灯油ランプのそばに座るガリーナさん(72歳)

■ 2 複数機関合同の人道支援輸送で、最も被害が大きく支援が届きにくい 場所のひとつ、ウクライナ北東部スームィへ。何週間もアクセスが遮断さ れていた同地に救援物資や食料、医療品を届けた

■ 3 パートナー団体を通して、戦闘の深刻な影響を受けるウクライナ・ドネツク 州の遠隔地の住民に食料支援を実施

■ 4 ウクライナ東部・リビウのバス停で戦闘のために住み慣れた土地を後に する家族と見送る父親

■ 5 娘や孫と一緒にポーランドへ逃れ、現在クラクフの集合施設で生活 しているバレンティーナさんの話を聞くロキアン職員。「街は常に攻撃を 受けていました」と、バレンティーナさん。彼女の2023 年の願いは、家族 全員でウクライナに戻り孫が戦争から生きて帰ってくること

■ 6 UNHCR とパートナー団体は、奪還されたばかりの地域で人々のニーズに 沿って必要な支援を提供。写真はへルソン州のとある村。紛争前700人以上 が暮らしていたこの村に、2022 年10 月に残っていたのは 8 人だけだった

■ 7 ウクライナから逃れ、モルドバを経由してルーマニアに到着した人々。両政府は、 UNHCRと国際移住機関( IOM )の支援を受け、モルドバ南部から人々の 移送を実施

■ 8 ウクライナ国内、ポーランドとの国境に位置するクラコベツでモニタリング を行うUNHCRの職員

■ 9 ポーランド・ワルシャワで現金の給付支援の登録を待つ人々。異国での 避難生活による疲れの色がうかがえる。UNHCRとパートナー団体は当局 と緊密に連携し、基本的なニーズを満たす現金給付を迅速に開始。同国 各地をはじめ、周辺国各地で現金の給付支援を実施 ■ 10 ウクライナから列車で逃れ、ハンガリー国内ザホニー駅に到着した人々。 自治体や人道支援団体、地域の人々が幅広い支援を提供

© UNHCR / Diana Zeyneb Alhindawi © UNHCR / Giorgi Sanikidze © UNHCR / Valerio Muscella © UNHCR / Valerio Muscella © Proliska Humanitarian Mission © UNHCR / Maciej Moskwa © UNHCR / Mihai von Eremia © Humanitarian Mission Proliska/UNHCR/Artur Ulianytskyi © UNHCR / Zsolt Balla © UNHCR / Anna Liminowicz
1 9 10 6 7 5 4 3 2 8 06

UNHCR の 2022 年を振り返る

1月

皆様からのご支援により、2022年も世界各地で難民・国内避難民の援助活動を進めることができました。

「現金の給付支援を受けたら、おいしいものを買ってあげたいです」

ウクライナからポーランドに逃れたユリアさん。避難生活で息子の食欲がなくなっていることを心配している

避難生活を送るシリアやイラクの 人々にタイムリーな越冬支援を

年始も中東は厳しい冬に見舞われました。UNHCR

の推定ではエジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、

シリアで 340 万人の難民と国内避難民が越冬支

援を必要としており、多くの人にとっては避難生 活の中で迎える11 回目の冬でした。UNHCRと パートナー団体は1 年でもっとも寒いこの時期に、 冬季の現金給付や援助物資の支援、シェルターの サポートなどで185万人以上の人々を支援しました。

2月 突然の軍事行動の開始

1年で人口の3分の1以上が避難

2 月 24 日にウクライナで軍事行動が開始され、 UNHCRとパートナー団体は緊急対応を開始。

緊急の保護や心理社会的支援、シェルターなど 幅広い援助活動を通じて、1 年間でウクライナ国

内の475万人を支援し、ウクライナから欧州全域 に避難している多くの人々に手を差し伸べました。 この危機の影響により、ウクライナの人口の 3 分

の1以上が避難を強いられています。

3月

情勢不安が続く中、自然災害で さらに多くの人が避難を強いられる

熱帯性低気圧「ゴンベ」がモザンビークに上陸。多く の人が避難を強いられ、ナンプラ州だけでも38 万人 以上が被災しました。2021年同国は、北部カーボ・デ ルガード州パルマ地区の大規模な襲撃で避難する人

が続出し、2022年の年始以降は同州で続く暴力によ り2 万 4000 人以上が避難。追い打ちをかけるように 起こったこの自然災害に際し、UNHCRは人々のニーズ に沿った必要不可欠な支援を迅速に実施しました。

4月 安全を求めて 危険なジャングルを越える人々

ベネズエラの人々をはじめ、安全を求めて危険な ダリエン地峡のジャングルを横断する人が増えてい ます。2022年末時点、世界で避難を強いられている 人々の 5 分の 1がアメリカ大陸におり、ベネズエラか らの難民や移民の 4 分の 3が基本的なサービスへの アクセスに困難を抱えています。UNHCRは人々の 権利を擁護し重要なニーズに応えるため、受け入れ 国や地域のパートナー団体と連携し活動しています。

夫を国に残し、ウクライナから逃れてきた女性。生後 3 か月と 3 歳の 子どもを抱いて国境の向こうハンガリーへ

家屋は破壊され農地は浸水。ナンプラ州の難民居住地の破壊された 自宅前で立ち尽くすブルンジ難民のジュリエンヌさん

ダリエン地峡を越えた川沿いにある先住民族の村では、コミュニティが 中米やアメリカを目指して北上する人々に食料や一時避難場所を提供

© UNHCR / Houssam Hariri
冬は厳しい寒さに見舞われるレバノン・ベッカー高原で暮らす ハディールさん
© UNHCR / Zsolt Balla
© UNHCR / Juliana Ghazi
© UNHCR / Nicolo Filippo
Rosso
1~4 月 ANNUAL REPORT 20 2 2 07
中東 ウクライナ モザンビーク 中南米

パキスタンでアフガン難民が暮らす村の近くに住むサリームさん。午前3時、洪水で水が家に押し寄せてきた時のことを振り返って

コンゴ民主共和国 アフガニスタン パキスタン バングラデシュ

6月

アフガニスタン南東部で

過去20年間で最悪の地震が発生

コンゴ民主共和国 では激しい戦闘が続き、 直近の相次ぐ暴力により数万人が避難。多くの 人々がシェルターや基本的な生活用品、食料、

清潔な水を手に入れることが難しい状況に。

国内避難民の数はアフリカ最多の 580 万人に のぼり、UNHCR は同国での人道的取り組みの 中で、とりわけ女性と子ども、高齢者のニーズに 焦点を当てながらシェルターや保護、キャンプ・

コーディネーションの活動を主導しています。

アフガニスタンでは40年にわたる紛争と情勢不

安により、何百万人もの人々が飢餓の危機に瀕 しているなか、6 月に南東部で過去 20 年間で最

悪の地震が発生。各地の壊滅的な被害状況を受 け、UNHCRとパートナー団体は直ちに現地へ 緊急援助物資を届け、シェルターの修理を実施

しました。また、もっとも被害の大きかった被災 地の住民のために地震に強い家屋を建設して います。

7月 降り止まない激しい雨と洪水で 脆弱な人道的状況がさらに悪化

豪雨と洪水により、パキスタン国内の 171 の 地域のうち80 地域が水没。1700 人以上が命を 落とし、少なくとも 790 万人が避難を強いられ

ました。難民や受け入れコミュニティの住まいや 生活圏にも深刻な被害が発生。UNHCRは即座 に広範な支援を開始し、9 月には陸路からの支 援と空輸により1万トン超の援助物資を届け、長 期的な復旧と復興に向けて政府や地元のパート ナー団体と活動を続けています。

8月

ロヒンギャ難民を支える

活動資金不足が深刻化

多くのロヒンギャの人々が安全を求めてミャン マーからバングラデシュへ逃れてから5年。同国 での避難生活は長期化し、コックスバザール地 域の広大な難民キャンプでは95万2000人以上 が生活しています。UNHCR は、同地で保健医 療、水と衛生、教育などの幅広いサービスや物 資の提供に尽力していますが、世界各地の難民 危機の陰でロヒンギャの人々を支える援助活動 資金不足は深刻化の一途をたどっています。

キャンプにコミュニティセンターを設置し、手工芸品の制作や販売を

地震で壊滅的な被害を受けたパクティカ州バルマル地区の建築現場。 UNHCRは同州とホースト州で、地震に強い住宅1300 軒を提供

多くの家畜が洪水で命を落とした。家畜で生計を立ててきたアフガン 難民のバハドゥールさんも家族の生活と子どもの将来を心配している

地域保健ボランティアが出産後のハミダさんを訪問し、母乳育児や食事、 産後ケアのアドバイスを提供。この地の難民の52%を子どもが占める

© UNHCR / Guerchom Ndebo
「本当に怖かった。こんなに恐ろしい夜を経験したことはありません」
アフリカ最多の国内避難民を抱える
© UNHCR / Oxygen Film Studio (AFG)
通して国内避難民の経済的自立を支援
5月
コンゴ民主共和国で戦闘が継続
© UNHCR / Usman Ghani
© UNHCR / Kamrul Hasan
5~8 月 08

3人の子どもを連れてソマリアからケニアへ逃れてきたハリマさん

ウガンダでエボラ出血熱の流行が宣言。同国には 南スーダンとコンゴ民主共和国からも継続的に 難民が逃れてきており、人道的対応は限界に。ウガ

ンダはUNHCRの活動地域の中でもっとも資金が 不足しているオペレーションのひとつです。医師は

1日に最大 80 人の患者を診察し、難民や受け入れ

コミュニティの 4000 人の生徒が通う小学校では、 教師が二交代制で担うべき授業を交代なしで行わ

ざるを得ないなど逼迫した状況に直面しています。

10月

人道危機が続くイエメン

停戦協定が期限を迎える

イエメンでは、4 月~ 10 月の停戦協定によって 新たな国内避難民の数は大幅に減少したものの、 脆弱な政治と治安情勢が何百万人もの人々の生

命を脅かしています。同国では450 万人が国内避 難民となり、人口の 3 分の 2にあたる2160 万人が 人道支援と保護を必要としています。UNHCR は 命をつなぐ現金の給付支援や法的・心理社会的支 援を提供していますが、深刻な資金不足によって

実施できる援助活動は著しく制限されています。

11月

深刻な干ばつに見舞われるアフリカ東部 難民・国内避難民が急増

過去40年で最悪の干ばつが続くなか十分な雨の降 らない雨季が5 期続き、この地域の多くの人が不足 する水資源や飢餓、紛争の影響に苛まれています。

干ばつによるエチオピアとソマリアの新たな国内避 難民は170 万人以上にのぼり、ソマリアと南スーダ

ンから18 万人以上がエチオピアとケニアの干ばつ に苦しむ地域に逃れてくるなど、事態は切迫してい ます。UNHCR はシェルターや水・衛生サービスの ほか、食料支援や医療の拡充にも尽力しています。

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世界で避難を強いられた人の数は2022 年、1 億 300 万人と史上最多になり、難民や国内避難民、 無国籍者への支援がかつてないほど必要とされ ています。民間からの支援は初めて 10 億ドルを 超え、数多くの人道危機に対応できる柔軟な資 金となり援助活動を力強く支えました。UNHCR は2023年、1億1720万人の避難を余儀なくされ た人々に支援が必要になる可能性があると推定。 民間の支援がこれまで以上に重要になっています。

UNHCR が実質的に運営するルウェクボ・ヘルスセンター IV の産後 病棟で、母親たちと話す職員

イエメン・アデン県で避難生活を送るアブドゥルカリームちゃん(3 歳) の家族は、シェルターのメンテナンスのため現金給付を受けた

て10月初旬に子どもを連れてケニアへ逃れてきた

パキスタン・バルチスタン州の難民の村にある女子小学校で、UNHCR の職員に学校の話をするアフガン難民の少女

© UNHCR / Esther Ruth Mbabazi
「ソマリアにいたら、飢えて子どもたちを失ってしまうかもしれないと心配していました」
© UNHCR / Ahmed Al-Mayadeen
9
エボラ出血熱が流行 周辺国からも難民が押し寄せる
© UNHCR / Charity Nzomo
母国ソマリアで 8月に夫を失ったハリマさん( 28 歳)は、干ばつによっ
© UNHCR / Mercury Transformations
ウガンダ イエメン
世界 9~12 月 ANNUAL REPORT 20 2 2 09
世界で避難を強いられた人の数が 史上最多の1億300万人に
アフリカ東部

2022 年はウクライナ危機への対応に加えてアジア・アフリカ地域における気候変動と関連した緊急事態への対応も必要となるなか、 企業・団体・自治体の皆様から大きなご支援をいただきました。UNHCRの難民保護・援助活動への変わらぬご支援に心より御礼申し上げます。

2022 年、ウクライナ国内外で避難を強いられた人々を保護・

支援するUNHCRの活動にお寄せいただいた企業・団体・自治体

などからのご寄付は、1080 件、総額 86 億 9000万円に上りました。

財団・団体

公益財団法人稲盛財団|国際ソロプチミストアメリカ日本北リジョン

国際ソロプチミストアメリカ日本中央リジョン|国際ソロプチミストアメリカ日本東リジョン

J.S. Foundation|一般社団法人Think The DAY|新日本婦人の会

公益財団法人日本スポーツ協会|公益財団法人日本オリンピック委員会|公益財団法人日本パラスポーツ協会 ほか

自治体 岡山県瀬戸内市

札幌市 ほか

政党

労働組合 NTT 労働組合 全トヨタ労働組合連合会

日本労働組合総連合会 ほか

大阪維新の会堺市議会議員団

日本維新の会

日本共産党

立憲民主党 ほか

株式会社ファーストリテイリング

バングラデシュで自立支援プロジェクトを開始

2011年に始まったUNHCRとのグロー

バルパートナーシップは、2022 年で11 年目を迎えました。国内では「届けよう、 服のチカラ」プロジェクト、ユニクロ・

ジーユー26 店舗での毎月の難民支援 募金実施協力、ジーユーマイルを通じ た寄付( 1800 万円)など多岐にわたる

豊田通商株式会社

企業

いすゞ自動車株式会社|MS&AD インシュアランス グループ ホールディングス株式会社

オリックス株式会社|株式会社カプコン|キオクシア株式会社|キヤノン株式会社|KDDI 株式会社

株式会社 SUBARU|住友商事株式会社|中外製薬株式会社|東京エレクトロン株式会社

凸版印刷株式会社|株式会社日本取引所グループ|任天堂株式会社|富士通株式会社

株式会社ブリヂストン|マツダ株式会社|三菱ケミカルグループ株式会社

三菱電機株式会社|両備ホールディングス株式会社|ルネサスエレクトロニクス株式会社 ほか

*P10 右記掲載法人、P11掲載法人を除く

支援にご尽力いただいています。 さらに、2022 年までに 62 か国に約 4800万着のリサイクル衣料を寄贈いた だいたほか、ウクライナおよび周辺地域 での緊急人道支援に1000 万ドルの寄 付と毛布、ヒートテックなどの衣料を寄 贈いただきました。6月「世界難民の日」 には、平和を願うチャリティT シャツ プロジェクト「 PEACE FOR ALL 」を スタートし、収益金と店頭での募金 活動で集められた寄付金の一部から約 1億 3600万円をご寄付いただきました。 9 月には、バングラデシュのロヒンギャ 難民女性を対象にした自立支援プロ ジェクトをスタートし、現地で縫製スキ ルのトレーニングを実施しています。

ウガンダにおける難民の職業訓練を開始

アフリカにおける自立支援の促進を目指 して、2022 年 4月からUNHCRウガンダと 連携し、ウガンダで自動車修理の職業訓 練を開始しました。TICAD8 ではUNHCR のサイドイベントのスピーカーとして登壇 し、今後 5 年間でこの取り組みをアフリカ 諸国に広げていくことの MOU(覚書)を UNHCR と締結。また、ウクライナ支援に 10万ユーロをご寄付いただきました。

企業・団体からのご支援  日本の幅広いセクターから ウクライナの人々へ
©UNHCR © Fast Retailing / Saikat Mojumder
宗教団体 浄土宗 浄土真宗本願寺派 生長の家 創価学会 立正佼成会 ほか
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ウクライナおよび同国周辺国における

UNHCR

の難民援助活動を支えるため、500 台のソニー 製スマートフォンを

寄贈。また150万ドル

の寄付と従業員によ

る約 3000 万円の マッチング寄付をい

ただきました。

社員募金・一般募金の呼びかけ

法人様による社員・一般募金の取り組みが 大きく広がりました

株式会社エポスカード|花王株式会社|株式会社

資生堂|株式会社すかいらーくホールディングス

株式会社セブン & アイ・ホールディングス

大和ハウス工業株式会社|日販グループホール

ディングス株式会社|パルシステム生活協同

組合連合会 ほか

株式会社富士メガネは、1983 年に社員が「視援 隊」として難民援助活動の現場を訪問し、視力 検査やメガネを贈る活動を開始。2022 年でその

活動は 40 周年を迎えました。同年からは新たに 10 年間で100万ドルの寄付を表明いただいてい

ます。またウクライナ支援のために店頭募金の ほか、ウクライナの国旗をデザインしたメガネを 販売し、その売上をご寄付いただきました。

2022 年はアジア・アフリカ地域の緊急支援やシェルター・教育支援など、

UNHCRの難民保護の根幹をなす多様な分野に企業・団体の皆様から温かいご支援をお寄せいただきました。

UNHCR がもっとも必要性が高いと考える援助活動に幅広く活用できる、寄付先を指定しないご支援への理解も広がっています。

緊急支援(災害・気候変動)

6月のアフガニスタンにおける地震、7月のパキスタンでの洪水、

アフリカ各地での干ばつなど、2022 年は災害や気候変動によ

る緊急事態が多発した年でした。UNHCRはこうした事態の発

生直後に現地で援助活動を開始。被災した難民コミュニティ

や受け入れコミュニティの人々をはじめ、苦しい立場におかれ

ている人々を守る援助活動に、多くの企業・法人の皆様から迅 速にご支援をお寄せいただきました。

支援いただいた法人

株式会社オフィス・

カラーサイエンス

株式会社 CAMPFIRE

COBLIN 株式会社

J.S. Foundation

スタンレー電気株式会社

創価学会

ヤフー株式会社 ほか

幅広い柔軟な支援

難民が必要とする支援は状況に応じて刻々と変わります。 UNHCRは皆様の支援で、緊急事態に備えることができるだけ でなく、長期の資金計画が必要な、水・食料の安定供給や教育 支援、自立支援などを進めることができます。皆様の支援で、 資金が不足している地域や最も必要とされる用途に柔軟に対 応することも可能になります。

大日本印刷株式会社には、2022 年から5 年間、毎年1000万円、 計 5000万円のご寄付を表明いただき、また社員食堂での「応 援メニュー」の提供など、長期的な難民支援活動の推進にご尽 力いただいています。

支援いただいた法人

株式会社アドアセット|株式会社アドバンテスト 株式会社ジーユー|ジェイビーシー株式会社 ステラケミファ株式会社|大和ハウス工業株式会社 株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング 毎日新聞大阪社会事業団|毎日新聞東京社会事業団 株式会社マエダ ほか

さまざまな形の支援

シェルターは、避難時や危機的状況において生存に欠かせ ないものであり、個人の安全や尊厳の回復の になります。 UNHCR は人道危機が起こった際に避難を強いられた人々に シェルターを確保。また、子どもたちが日常を取り戻し未来への 礎を築くための教育支援や、避難によって弱い立場に追い込ま れやすい女性や子どもに焦点を当てた支援にも力を入れてい ます。そのほか、現金給付や自立支援、保健、衛生分野の支援な ど、紛争や迫害により故郷を追われた難民・国内避難民を守る 幅広い援助活動を展開しています。

支援いただいた法人

シェルター支援:真如苑

教育支援:公益財団法人公益推進協会

株式会社サンリオ|浄土宗

全国電力関連産業労働組合総連合

日興アセットマネジメント株式会社

女性・女児支援:国際ソロプチミスト

アメリカ日本全国 5リジョン ほか

©UNHCR / Qaiser Khan Afridi ©UNHCR / IHC_UAE ©UNHCR / Samuel Otieno
Optical Co., Ltd.
@Fuji
株式会社富士メガネ 海外難民視力支援ミッションが40周年を迎える
ソニーグループ株式会社
©UNHCR /
ANNUAL REPORT 20 2 2 11
Rafal Kostrzynski

日本国内での広報・募金活動

)ムーブメント 2022

逆境を乗り越え、生き抜く意志を持つ難民の姿を伝えることで、難民への共感の輪を広げ、大きなムーブメントを日本で生み 出すこと。このビジョンのもと、UNHCR WILL2LIVEムーブメントは多方面と協力し、さまざまな取り組みを行いました。

世界難民の日

特別配信 UNHCR WILL 2LIVE Music 2022

2022 年 2 月24日にウクライナで軍事行動が開始され、これまでに824万人を超えるウクライナ の人々が周辺国をはじめとする欧州に逃れました。こうした困難な時だからこそ、難民一人ひと りの「生き抜く意志」の力強さを知ってもらいたい。その思いから、故郷を追われた人々へのさら なる連帯の重要性を訴えるオンラインイベントを世界難民の日に先立って開催しました。

第17回難民映画祭

2022 年は、ウクライナ危機をきっかけに日本でもかつてないほど難民問題に関心が寄せられた年

でした。こうした機運の高まりを難民へのより深い理解と共感につなげていくために、第17 回難民 映画祭では、世界各地から集めた珠玉の作品10 本をオンラインとリアル上映のハイブリッドでお届 けしました。また、広島国際映画祭との初のコラボレーションも実現しました。

■賛同企業・団体

キヤノン株式会社 | Gucci Changemakers | 株式会社セブン&アイ・ホールディングス | ソニーグループ株式会社

中外製薬株式会社 | トヨタ自動車株式会社 | 株式会社ファーストリテイリング/ 株式会社ユニクロ | 株式会社ブリヂストン

マツダ株式会社 | 株式会社オカムラ | 株式会社 ONODERA GROUP | 株式会社商船三井 | 日本映像翻訳アカデミー

株式会社 | バカラ パシフィック株式会社 | 株式会社富士メガネ | ブラザー工業株式会社 | Yahoo!ネット募金

■ UNHCR WILL 2LIVE Partners / 難民映画祭パートナーズ参加団体

愛知大学 | MDP サミット実行委員会 | 関西学院大学 | 国際教養大学 | 札幌市 | 順天堂大学国際教養学部

成蹊学園サステナビリティ教育研究センター | 創価大学 | 東北大学大学院国際文化研究科

名古屋経済大学市邨高等学校 SDGs有志活動 | 広島市立大学 | 北海道札幌国際情報高校吹奏楽部 | 明治学院大学

明星大学 | 山口大学 | 山梨学院大学 | 立正佼成会

リスト:彼らが手にしていたもの

6月20日「世界難民の日」に日本初公開

詩の朗読フィルム「リスト:彼らが手にしていたもの

(原題:What They Took With Them: a List)」

長年の支援企業である Q-pot.(株式会社グラム)の難民支援への思いに

賛同し集結した豪華な制作陣、俳優陣の協力のもと、難民の人々がわずか

10 分たらずの避難の瞬間に「持ち出したリスト」からインスピレーションを 受けた詩の朗読フィルムを制作しま

した。難民の数ではなく一人ひとり

のストーリーを描き、言葉の奥に秘

められた難民の思いを伝えます。

国連難民支援キャンペーン

2009 年から開始した本キャンペーンでは、札幌、東京、名古屋、大 阪、福岡の全 5 都市を拠点に、多くの企業・自治体の皆様に無償で 会場をご提供いただき、毎月の継続的な寄付プログラムへのご参 加を呼びかけています。キャンペーンにご賛同いただいたサポー ターの数は 2022 年末時点で 13 万人を突破いたしました。また、 キャンペーンの輪は世界にも広がっており、スペインや韓国、オー ストラリアをはじめ計21か国で活動を展開しています。

WOMEN+BEYONDプロジェクト

国連難民サポーターの皆様からお寄せいただいた声

直接難民援助活動はできませんが 別の形で支援できる機会があって 良かったです。さまざまな国と地 域で大変な思い、環境で過ごして いる子どもたち、大切な命を守って いきたいと思います。(50代)

困っている人たちを助けたい。 きちんとした生活で将来の夢を かなえて欲しい。できる限りでい いので、少しずつこの活動が全 世界に伝わって、良い暮らしが続 くように祈っています。(20代)

以前より時々こうした支援キャンペーンの 場を見ておりました。なかなか勇気が出ず、 通り過ぎるだけでしたが、とても他人事と は思えず、お話を聞かせていただきました。 小さな力かもしれませんが、やがて大きな 力のひとつとなれば幸いです。(60代)

日の国際ガールズデーを皮切 りに、日本から難民女性のエンパワーメントを 考えるプロジェクト「 WOMEN+BEYOND 私たちから、世界を変えよう。」を展開してい

2021年10 月11

ます。イベントやウェビナーなども随時開催し ております。

\職員の声/

国連難民支援キャンペーン 関西チームリーダー 溜池 尚子

ウクライナの緊急事態に際し、大変多くのご支援を賜りました。困難な現状にある方々を助け たい、その皆様のご意志に、人間としての力強さを感じるとともに、感謝の気持ちでいっぱい になります。また最近では小学生をはじめ、若い層の方々が、活動ブースのSDGsの文字に 足を止め、関心を寄せていただくことも増えており、難民問題への意識の高まりを感じます。 引き続き新型コロナウイルス対策を万全にし、より多くの方々へ、より良質なご案内ができる よう、日々留意し活動に取り組んでおります。

UNHCR WILL2LIVE(ウィル・トゥー・リブ
© 国連 UNHCR 協会 © 国連 UNHCR 協会
活動詳細や メルマガ登録は こちら ©2022 世界難民の日 パートナーズ
2022年も多くの皆様からご支援をいただき、ありがとうございました。
©国連
協会 12
全国1161か所 で 国連難民支援キャンペーンを実施
UNHCR

遺贈・相続財産からのご支援

UNHCR 難民高等教育プログラムは、社会経済的な理由で 日本の大学に通うことが困難な人のための奨学金制度で、 UNHCR 駐日事務所との協同事業です。

2007 年より駐日事務所と関西学院大学により開始され、

国連 UNHCR 協会は 2016 年から参画。2022 年までにこの プログラムを実施しているパートナー大学・大学院は14 大 学で、その門戸は広がっています。

これまでに 88 名が当プロ グラムを通じて大学・大学 院に進学、うち 42 名が卒業 してそれぞれの進路に進み 社会に貢献しています。

WILL2LIVE Music 2022の対談で 経験や夢について語る学生

パートナー大学 : 関西学院大学・明治大学・津田塾大学・ 創価大学・上智大学・明治学院大学・聖心女子大学・

関西大学・広島市立大学・早稲田大学・帝京大学・

天理大学・山梨学院大学・神奈川大学

*各大学による奨学金には、授業料などの学費が含まれます。

また、RHEP 奨学生は学業の 傍ら、難民問題をより多くの

方々に知っていただくため、イベントにおける登壇や動画 などさまざまなメディアへの登場、そのほか講演活動など に奮闘しています。

\RHEP 学生の声/ 聖心女子大学 現代教養学部 コウンジャさん

国際交流学科・異文化コミュニケーションコースに所属し、主に言語の視点から異文化について 学んでいます。また、難民支援団体 SHRETというサークルの入管セクションで活動を行っています。

将来は難民支援に携わる仕事に就くことを希望しています。

次世代を担う若い世代に向け、UNHCRの活動や難民問題 について学ぶことのできる教育事業を展開しています。

2022 年は100 以上の小・中・高・大学および団体・企業での 出張講演と学習訪問を、3 つのワークショップを活用しな がら行いました。

ウクライナ危機をはじめ世界の緊急事態に際し、日本各地の学校に おいて若者主導の募金活動が数多く行われました

また、春に実施したオンラインセミナーには、多くの教職 員や学生の方にご参加いただきました。

難民支援に関わる日本中の学生団体や個人の有志によっ

て運営されている「Youth UNHCR 」は、当協会と連携し

2022 年は、皆様の想いと大切な財産を未来につなぐ、遺贈・相続財産からのご寄付に関する多くのご相談をいただき、 2400 名を超える皆様から資料のご要望・お問い合わせを賜りました。ご関心をお寄せいただいた方々に、心より御礼申し 上げます。

■ 相続財産からのご寄付は、相続税と所得税などの税制優遇が受けられます

● 遺贈:当協会への遺贈(ご遺言によるご寄付)には相続税はかかりません。

● 相続財産寄付:ご遺族が現預金など金銭で相続された財産から、相続税の申告期限内に現金で

当協会にご寄付いただいた場合、その財産には相続税がかかりません。

さらに、確定申告をされることで、所得税などの寄附金控除も受けられます。

■ 相続・終活・遺言セミナーを開催しました(動画をご覧いただけます)

専門家の先生方を招いて、相続の基本・任意後見や死後事務委任の検討などお元気なうちに準備 する終活・遺言書の作成方法などについて解説するオンラインセミナーを開催し、とても分かりや すいとご好評をいただきました。

セミナー視聴は、こちらのリンクまたは右の二次元コードから ▶ youtu.be/a-MR3NmUOC4

遺贈(ご自身の遺産の寄付をお考えの方へ)→P2

遺贈とは 遺言によってご自身の財産の 部またはすべてを譲り渡すことを言います 相続は相続人のみ

が対象ですが 遺贈は相続人以外の特定の人や団体にも財産を譲ることができます 遺贈は「遺言書」を 残すことによって可能となります 国連UN 協会に遺贈いただいた財産には 相続税がかかりません

相続寄付の流れや非課税制度、遺言書 の作成等の手続きに関するパンフレッ トを作成しました。

また、ご好評をいただいている、国連 UNHCR 協会特製「未来のためのエン

ディングノート」もご希望の方に差し上 げています。

相続人が故人から受け継がれた財産から寄付をすることです 現預金などの金銭で相続されたご資産か ら 相続税の申告期限内に国連UN C 協会へ寄付を行うと その分は相続税の対象とならず

Youth UNHCR が、難民をはじめ多様な背景を持つ人々との共生社 会を育んでいくために、身近なところでできるアクションを募集した アイデアコンペには多くの応募があり、12 月に岡山県瀬戸内市で表 彰イベントが行われました

■ 人生の最後の意思を実現する遺言書の新しい保管制度

遺贈寄付(遺言によるご自身の遺産からの寄付

遺言によりできること 遺言書を作成することで ご自身の財産をどう遺すかをご自身の意思で決めること 民法が定める法定相続の規定よりも優先されます 法的に有効な遺言書を作成さ グノ トや遺書とは異なり 確実にご意思を実現できます また 遺言書は何度で も可能です 法定相続人がいない場合 遺産は国庫に入ります 「遺言書」は人生の最後の意思を実現するためのもの 円満で円滑な相続のため す方法は自分で決めたい 遠方に住む家族に負担にならないよう専門家に執行を 特別な人だけが書くものではなくなりつつあります 法定相続分によらずに 自分の意志で財産を配分したい 相続人全員での遺産分割協議や手続きに障害が起きるのを避けたい 孫や嫁 内縁のパ トナ 生前にお世話になった人や公益団体等の相続人以 夫婦間に子どもがおらず 配偶者に全財産を遺したい(自身に兄弟姉妹がい 相続人がおらず 財産が国庫に帰属するよりは財産を社会のために役立てた

自筆の遺言書を法務局で預かる保管制度が 2020 年から始まり、すでに4万6000 件以上の保管申請があった*とのこと。

この制度を利用すると、遺言書1通につき3900 円の手数料*で法務局が安全に保管します。

「遺言書」は、人生の最後の意思を実現するためのもの。特別な人だけが書くものではなくなりつつあります。

*2022 年12 月現在

さまざまな方々のご協力を得て、活動の幅を広げ挑戦を 重ねております。

*詳しくは『難民についての授業の広場』をご覧ください。

www.japanforunhcr.org/news/2017/forteachers

■「遺贈・相続財産寄付に関する お手続きのご案内」の パンフレットを作成しました
UNHCR難民高等教育プログラム(RHEP)
教育事業・ユースとの連携
© 国連 UNHCR 協会
©Youth UNHCR © 名古屋経済大学市邨高等学校
2 遺産の寄 を 考え み さ 贈・相続財産 らの寄 に す お 続き ご案内
お問い合わせ・資料のご要望は、お電話(0120 -540 -732) またはウェブサイトからご連絡ください。
さらに相 続人は所得税等の寄附金控除が受けられます ※この資料 2022 10 時点の情報を と 制作 れて ます 法改正等 よ この資料とは異な 施行状況に いる 合 があ ま ので ご留意 だ い 相続財産からの寄付 (故人より相続された財産の寄付をお考えの方へ)→P13 ©国連 協会/M ©国連UN 協会/ hid 協会/ hid ANNUAL REPORT 20 2 2 13

UNHCR へのご寄付の収支をご報告いたします

2022

2022 年、世界各地の紛争や迫害によって避 難を強いられた人の数は 1 億人を超えました。 UNHCR が世界各地の援助活動のために 必要としていた資金 107 億 1400 万米ドル に対し、調達額は 61 億 3060 万米ドルと 約 57% に留まり、依然として大幅な資金 不足が続いています。

皆様からお預かりしたご寄付は総額198億853万円に達し、寄付金の99.9%を

占めるUNHCR 寄付金のうち、約 93%にあたる184 億 4952 万円をUNHCR 本部に送金させていただきました。なお支援者の内訳は上記の通りです。*

* 国連UNHCR協会では、UNHCR本部との取り決めに従い、お寄せいただいた寄付金の 上限25%までを、協会の活動および運営のための資金に充当させていただいております。

国連UNHCR協会の総収入・総支出、費用詳細につきましては、次ページに掲載の 「2022年度 会計報告」をご覧ください。

皆様からのご寄付は、UNHCRのプログラムに 上記の通り配分されています。

* グローバル・プログラム:UNHCRが全地域で進めている

分野別重点テーマを推進するプログラム。

出典:Update on budgets and funding(2022 and 2023) EC/74/SC/CRP.8

UNHCRは、 右の12のSDGs目標達成に 特に力を入れています。

Update on budgets and funding(2022 and 2023)

皆様からお預かりした
国連UNHCR協会 寄付金収入 国連UNHCR協会 寄付金の使途
20 22 年も温かいご支援をお寄せいただき、ありがとうございます
年UNHCR
調達額 61億3060万 米ドル 57% 個人 50.9% 企業 44.1% 学校・団体 5% 必要額 107億1400万 米ドル アフリカ 28% 中東北アフリカ 21% アジア・太平洋 12% ヨーロッパ 20% グローバル・ プログラム* 9% 米州 6% 本部 4% 合計 198億853万円 UNHCR本部送金 93.1% 広報・募金活動費 6% 一般管理費他 0.9% 合計 198億853万円
プログラム 活動費分配額割合
不足額 45億8340万 米ドル 43%
出典:
EC/74/SC/CRP.8
地域別
大幅な資金不足が 依然として続いています
14

国連UNHCR協会 2022年度 会計報告および役員一覧

正味財産増減計算書

貸借対照表

流動資産 流動資産 合計 固定資産

水道光熱費(管)

消耗品費(管)

減価償却費(管)

租税公課(管)

諸会費(管)

諸謝金(管)

賃借料(管)

通信運搬費(管)

為替差損(管)

監査体制について:国連UNHCR協会では、監事による監査とともに、外部の監査法人(EY新日本有限責任監査法人)に依頼して会計監査を受けています。 ここに記載した正味財産増減計算書・貸借対照表は、公益法人会計の基準による2022年度国連UNHCR協会正味財産増減計算書・貸借対照表をまと めたものです。全文は、国連UNHCR協会ウェブサイトからダウンロードいただけます。

理事 青井 千由紀

渥美 直紀

市川 正司

大滝 麻未

加藤 英輔

川合 雅幸

清水 喜彦

鍋嶋 麻奈

星野 守

東京大学公共政策大学院 教授

鹿島建設株式会社 相談役

弁護士(新千代田総合法律事務所)

プロ・サッカー選手(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)

カトーレック株式会社 代表取締役社長

当協会事務局長

株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー 会長

デジタルグリッド株式会社 バイスチェアマン、株式会社ニチレイ 取締役

当協会前事務局長

【受取会費】 【受取補助金等】 【受取寄付金】 【その他収益】 経常収益 計 700,000 1,562,820,000 8,454,622,704 11,344,601,447 7,635,038 1,639,198 40,516 3,787,820 21,375,846,723 正会員受取会費 受取助成金* UNHCR寄付金 寄付金振替額 協会支援ファンド 受取助成金振替額 現物供与 雑収益 経常増減の部 経常収益 経常費用 自2022年1月1日 至2022年12月31日 (単位:円) 【事業費】 765,093,350 18,449,518,672 2,075,791 383,938 24,170 3,958,065 169,008,868 2,385,624 423,389,873 176,372,704 13,401,007 845,994,080 1,824,260 5,490,943 47,529,636 1,599,600 315,760 30,000 1,386,639 34,613,086 10,684,270 237,151,791 183,500 人件費(事) UNHCR支援金 会場費(事) 会議費(事) 保険料(事) 修繕維持費(事) 制作費(事) 印刷費(事) 広告費(事) 支払手数料(事) 旅費交通費(事) 業務委託費(事) 水道光熱費(事) 消耗品費(事) 減価償却費(事) 研修費(事) 租税公課(事) 諸会費(事) 諸謝金(事) 賃借料(事) 資料費(事) 通信運搬費(事) 雑費(事) 【管理費】 経常費用 計 当期経常増減額 113,055,404 215,956 660,080 1,071,588 66,000 135,541 15,399 1,485,356 27,013,209 417,230 145,662 3,729,659 1,457,780 131,600 7,223,903 8,722,776 5,133,207 1,392,335 21,364,488,312 11,358,411 人件費(管) 会議費(管) 保険料(管) 修繕維持費(管) 制作費(管) 印刷費(管) 支払手数料(管) 旅費交通費(管) 業務委託費(管)
合計 資産合計 現金預金 未収金 前渡金 立替金 ソフトウェア開発特定資産 退職給付引当預金 教育支援活動特定預金 特定資産 合計 建物 什器備品 ソフトウェア ソフトウェア仮勘定 敷金 長期性預金 その他 固定資産 合計 流動負債 流動負債 合計 固定負債 固定負債 合計 負債合計 1,273,859,284 36,904,171 11,428,484 38,568,855 1,360,760,794 4,080,000 66,982,400 71,062,400 1,431,823,194 資産の部 負債の部 指定正味財産 指定正味財産 計 一般正味財産 正味財産 合計 負債及び正味財産合計 受取助成金 (うち特定資産への充当額) (うち特定資産への充当額) 正味財産の部
特定資産 その他固定資産 固定資産
2022年12月31日 現在 (単位:円) 未払金 前受金 預り金 賞与引当金 資産除去債務 退職給付引当金 1,772,399,798 3,058,595 14,585,859 42,636 1,790,086,888 86,000,000 66,982,400 93,586 153,075,986 15,000,445 899,902 112,710,769 16,517,792 19,797,869 310,000,000 474,926,777 628,002,763 2,418,089,651 93,586 93,586 (93,586) 986,172,871 (86,000,000) 986,266,457 2,418,089,651 * 受取助成金:UNHCR本部からの助成金 ** 受取助成金:教育関係団体助成金 一般正味財産増減の部 1,774,447 1,774,447 1,774,447 13,132,858 973,040,013 986,172,871 経常外増減の部  経常外収益 助成金収入  経常外収益計 当期経常外増減額 当期一般正味財産増減額 一般正味財産期首残高 一般正味財産期末残高 役員一覧 2023年3月1日現在 代表理事 宮内 孝久 神田外語大学 学長 監事 菅原 邦彦
公認会計士(公認会計士菅原邦彦事務所代表)
指定正味財産増減の部 使途指定寄付金受入額 受取助成金** 一般正味財産への振替額 当期指定正味財産増減額 指定正味財産期首残高 指定正味財産期末残高 正味財産期末残高 11,344,601,447 1,500,000 △ 11,346,240,645 △ 139,198 232,784 93,586 986,266,457 ANNUAL REPORT 20 2 2 15

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