Annual report 2023

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ANNUAL REPORT 2023

UNHCR
国連
協会 活動報告 2023

難民を守る 。難民を支える。

わたしたちは、国連UNHCR協会です。

国連UNHCR協会の使命

● UNHCR公式支援団体として、日本社会と難民や 最前線で援助活動に従事する人々をつなぎます。

● 難民および難民支援の国連および関係機関に向ける

日本社会からの 物心両面の貢献を格段に高めます。

上記の使命を果たすために 以 下の活動を行っています。

資金調達活動

難民援助活動の資金確保に取り組み、世界の人道支援 に最大限貢献する。

コミュニケーション活動

日本社会における難民問題の認知と理解を拡大し、

共感と連帯の輪を広げる。

私たちの行動原則

▶ 民族、宗教、思想、性別、国籍等の違いにかかわらず、 人間の命と尊厳を大切にします。

▶ 常に新しい支援の形や参加 機会を創出し、成長と 挑戦を続けます。

▶ 寄せられたすべてのご支援に対して責任を持ち、誠実 に説明責任を果たします。

▶ 様々な意見に耳を傾け、一人ひとりの思いを尊重します。

UNHCR と は UNHCR は国連難民高等弁務官事務所( The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees )の略称で、1950 年に設立された国連の難民支援機関です。紛争や迫害により 故郷を追われた難民・避難民を国際的に保護・支援し、難民問題の解決に対して働きかけています。1954 年と 1981年の2 度にわたり、ノーベル平和賞を受賞。緒方貞子さんが、第 8代国連難民高等弁務官として活動を率いました。

©UNHCR / Charity Nzomo
ユーエヌエイチシーアール
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国連難民高等弁務官事務所

字は真実のストーリーを教えてはくれません。しかし1億1400万というひとつの数字があり、

これは省みることを始めるために重要な数字です。この数字は、迫害や人権侵害、暴力、 武力紛争、深刻な公序の混乱により故郷を追われた難民や国内避難民の数であり、1億1400万人

の打ち砕かれた夢、破壊された生活、さえぎられた希望を表しています。それは人間の危機を 実際には数多くの危機を映し出しています。一方でこの数字は、避難を強いられた人々に心を開き、 彼らを受け入れる人々の寛容さとホスピタリティも表しています。こうした人々は往々にして、すべてを 置き去りにせざるを得なかった人たちと同じく、資源というものをほとんど持っていません。

私たちの世界はまた、深刻な不平等、貧困の蔓延、気候変動に脅かされています。安全保障は物理的かつ 実質的な問題であり、そして新型コロナは、私たちが健康上のリスクにいかにさらされているかを明らかに しました。こうしたなかで時として忘れられがちなのが、多くの人が避難を余儀なくされているという

現実もまた、私たちすべてに関わる未解決の課題であるということです。押し寄せる人の姿を目にした時や、 難民が私たちの身近なところにやってきた時に限って関わりのある話ではないのです。ほかの世界規模 の課題と同様に、この問題は国際的なコミュニティの深まる分断でさらに困難なものになっています。

この非常に厳しい状況のなかで、2023年を通して皆様の寛大なご支援があったからこそ、UNHCRは 29か国で43の緊急事態宣言を発令したものを含む、過去最多の危機に対応することができました。

皆様のご支援に感謝申し上げます。ともに力を合わせていくことで、避難を強いられた人々の明るい 未来を築くことができるはずです。

第11代国連難民高等弁務官 フィリッポ・グランディ

表紙写真について

クライナ危機が予断を許さない状況が続くなか、2023年はスーダンやミャンマーでも紛争

や暴力が深刻化し、中東では悲惨な人道状況が新たに発生しました。さらに、大地震、 気候変動による干ばつや洪水など、世界各地で頻発する自然災害によって、多くの人々の命が危険に さらされています。シリア、アフガニスタン、南スーダンなどの状況も厳しく、世界全体で1億1400万人 が故郷を追われるという現実に直面しています。

世界で74人に1人が難民や国内避難民となっているこの状況には、社会全体での取り組みが必要と されています。それに応えて、日本でも多くの企業・団体、個人の皆様が、UNHCRの援助活動を 支え続けてくださっています。皆様の温かいご協力に、重ねて御礼申し上げます。

世界中の多くの皆様のご支援によって実施することができた援助活動の成果を、この「国連 UNHCR協会 活動報告2023」を通じてご報告させていただければと存じます。当協会が昨年日本 国内で実施した広報・啓発活動についても併せてご紹介いたします。

今後も紛争や迫害によって避難を強いられた人々を守り支えるために、UNHCRの援助活動に ご協力くださいますよう心よりお願い申し上げます。

特定非営利活動法人 国連UNHCR協会

青井 千由紀 2023 年、ケニアで約 7000 人のペンバ族の人々が国民として認められました。「どう表現すればいいのかわからないほど幸せです。家族と私が直面したすべての試練が、一日で なくなりました」と、一家のお母さんのビカメさん。無国籍の人々の多くが人権や基本的なサービスへのアクセスを奪われ、政治的、経済的に取り残され、差別や搾取などの リスクに さらされています。政府と協力して無国籍の発生を防ぎ、発生してしまったケースについては解決し、無国籍者の権利を守ることは、UNHCRの重要な任務のひとつです。

UNHCR(
)の活動を支えてくださっている日本の皆様に感謝申し上げます ©UNHCR / Charity Nzomo ©UNHCR / Iryna Tymchyshyn
理事長
数 ウ ユーエヌエイチシーアール ANNUAL REPORT 20 2 3 03

2023年、UNHCRの支援を受けた人々の声をお届けいたします

「ゼロからのスタートでした。

「私たちは皆、ケニア人です」

アーシャさん

2023年、無国籍だった約7000人のペン

バ族の人々がケニアで国民として認めら れました。娘の出生証明書を手にアーシャ さんは言います。「私たちはこの国の人々

と育ち、いまでは子どもたちも一緒に成長 しています。私たちは皆、ケニア人です」。

同国でUNHCRは、受け入れコミュニティ

および無国籍者の出生遅延登録をはじめ、

出生登録への包括的なアクセスを促進 するために引き続き政府に働きかけ、市民 登録サービスを通じて支援していきます。

そしていま、プロジェクトは 成功しています」

「デジタルツールを、 いま女子学生が使える ことをうれしく思います」

アーメドさん

紛争の激化によりデリゾールから避難 したアーメドさんと家族が故郷に戻っ たとき、肥沃だった土地は干上がって いました。そこで知ったのがUNHCR の農家への支援です。種の提供を受け て始めたジャガイモプロジェクトは実 を結び、アーメドさんは収入を得て農 場に再投資。作る野菜の種類を増やし ています。「いま、プロジェクトは成功し ています。その恩恵を受け、得たお金 で来シーズンの種を購入できました」。

「何が起きようと、未来に 対して前向きな気持ちです」

アヤクさん

生徒がタブレット端末を手にしているの は、カクマ難民キャンプの中学校。その 笑顔から、新たな学びへの興味がうか がえます。同キャンプで育ちインセンティブ 教員になったアヤクさん(左)は、この環境 を喜ばしく思っています。「私が学生 だった頃は、たった一冊の教科書を20人 で使わなければなりませんでした。既存の 枠組みにとらわれずに考える助けになる デジタルツールを、いま女子学生が使える ことをうれしく思います」。

ナタリアさん

自分の趣味で美しく飾った愛着のある家 を戦争で壊されてしまったナタリアさん。

「窓は粉々になり、屋根は一撃で空に 向かってせり出し、落ちてきました」。

戦闘の間地下室で10日間過ごした後、 一家はハルキウ州から逃れましたが、 現在は家に戻っています。UNHCRの 支援を受けて屋根と窓を修理し、暖かく 快適な環境で暮らせているそうです。 「より安全だと感じています。ともあれ、 私はいま、自分の家にいるのです」。

無国籍の解決に向けた支援 生活を再建する農業支援 誰もがデジタル社会に参加できるようにする支援 戦争によって破壊された家を修理する支援

多民族国家のケニアでは、部族によっては公的な書 類の入手が難しく無国籍となっている人々がいます。

こうした人たちへの支援は、UNHCRの重要な任務です。

10年間で無国籍ゼロの達成を目指して実施している 「#IBelongキャンペーン」は2023年で9年を迎え、無国 籍の解決に向けて世界各地で前進が見られています。

長期にわたるシリアの紛争で多くの人々が生計を 立てる手段を失うなか、深刻な影響を受けている のが、同国の経済の要である農業です。UNHCRは、 農業や畜産の再開を希望する国内避難民、帰還民 を支援。農具や種の配布をはじめ、灌漑システムの 支援など多岐にわたるサポートを実施しています。

多くの難民がデジタルテクノロジーを使うことのできない環 境にいます。UNHCRのデジタル・インクルージョン・プログ ラムはこうした課題に取り組んでおり、誰もがデジタルテク ノロジーを使って意思表示し、デジタル社会に参加できる ようになることを目指しています。カクマ難民キャンプのe ラーニングも同プログラムの一環で実施されています。

UNHCRは当初キーウ州で開始した家屋の修復プロ グラムを、ハルキウ州の治安状況が改善すると同地で も展開。同プログラムでは、壊れた家を再び住めるよう にするために耐久性を考慮した方法で直し、屋根や窓、 ドアの交換や修理をします。2023年10月、ウクライナ 全土で修理した家とアパートの数は2万軒に達しました。

2023年皆様からのご寄付 により、UNHCRは世界 各地で避難を強いられた 人々へ、多くの援助物資を 届けることができました。

*日本を含む世界各地からのご寄 付による支援の成果の一部です (新たな難民危機と継続している 危機への対応を含みます) 出典:2023 Donor Impact Report 毛布 2,500,000 枚 バケツ 218,000 個 給水容器 460,000 個 調理器具セット 506,000 世帯分 蚊帳 638,000 張 ビニールシート 1,200,000 枚 就寝用マット 1,300,000 枚 ソーラーランプ 525,000 個 家族用テント 57,000 張
From ケニア From シリア From ケニア
©UNHCR / Charity Nzomo ©UNHCR / Vivian Tou'meh ©UNHCR / Pauline Omagwa ©UNHCR / Oleksii Barkov
From ウクライナ
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UNHCRの日本人職員の声をお届けします 2023年、13年目に突入。シリア危機

三浦 貴顕

UNHCRシリア ダマスカス事務所

現金給付支援プログラム担当官

2011年より続くシリアの内戦により、近隣 国で庇護を受けている難民は500万人以上 にのぼり、同国はそれよりも多い720万人 の国内避難民を抱えています。さらに国内 の経済状況が急速に悪化した結果、国民 の約3分の2にあたる1670万人が人道支援

を必要としています。

加えて2023年2月にはトルコ・シリア地震が 発生し、シリアでは880万人が被災しました。

当時着任直後だった私もアレッポやラタキア といった被災地で支援活動を行い、行政

の資金や能力が不足するなか、UNHCR などによる人道支援が人々の命を守っていく

1 万 125 0 世帯 をシェルタープログラムで支援し 都市部と農村部で住居の修復をしました From シリア

様を目にしました。

私はシリア各地で、物資を届ける代わりに 受益者自身の手で必要な物・サービスを

ダマスカスで紛争後の家屋修復プロジェクト予定地を訪問

購入してもらう、現金の給付支援を担当 しています。この支援は、受益者のニーズ に応える効率的な手法であるほか、近隣 コミュニティへの経済波及効果があり、重要 な支援であると感じています。

日本は、長くシリアへの緊急援助を支えてきた

主要な援助国です。国際社会全体で援助

資金が急激に減りつつあるなか、引き続き

日本からシリアの人々をご支援いただけます よう、どうぞよろしくお願いいたします。

10年以上にわたってシリア難民を受け入れてきた国々も苦難の時が続き、難民の帰還に対する圧力の高ま りとともに、人々の保護環境はますます厳しいものになっています。シリア国内では、著しい人道的ニーズが 2024年を通して続くことが予想されます。

シリア全土で避難による影響を受けている人々

国内避難民 72 0 万人

国内の避難先から帰還した人々 15 万 5325 人

国外から帰還した人々 6240人

シリアに逃れている難民・庇護希望者 1万 7333人

出典:OPERATIONAL UPDATE ‒ SYRIA February-March 2024

シリア国内で 2023 年に実施した UNHCR の支援

地震で被災した 1 万 3718 世帯 に、速やかに 政府の承認を得て多目的の現金の給付支援を実施しました

620 0 人 の農村集落に住む国内避難民と帰還民が 農業資材やサービスの支援を受けました

地震や紛争で被害を受けた 14の学校 を修復しました

434 3 基 のソーラー式の街灯を設置し、

安全面や生活環境の改善につなげる支援を実施しました

出典:Annual Results Report 2023 Syrian Arab Republic

*2023年に実施した支援の一例です © UNHCR / Emad Kabbas © UNHCR / Vivian Tou'meh © UNHCR Syria
©UNHCR ©UNHCR
スワイダでの生計支援プロジェクト ©UNHCR ノウルーズのキャンプを訪問 東グータ地区では、帰還民の家の小規模修理を支援 ダマスカス郊外県で農具キットを150以上の農家に配布 イドリブで帰還民世帯に援助物資を配布 シリア危機の影響により、今も1200万人以上のシリアの人々が国内と周辺地域で避難を強いられています。
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過去数十年で最多。

2023 年、UNHCRは 29 か国で43の緊急事態宣言を発令

新たな紛争や自然災害の影響を受ける人々の命を守る迅速な支援は、皆様をはじめ、世界中から寄せられたご寄付があったからこそ実現しました。

UNHCRは危機への準備と対応を強化するため、29か国で43の緊急事態宣言を発令。緊急対応を拡大するため、339人の緊急要員を配備しました。

ロシアの軍事行動の開始から約 1 年、 再び冬が訪れたウクライナで気温が 急降下し、状況はさらに深刻化

トルコ南東部のシリア国境付近で地震が発生

イエメンの人道危機は 8 年、 シリアの紛争は12 年に

スーダンの首都ハルツームで武力衝突 が発生し、戦闘は同国全土に拡大

サイクロン「モカ」がミャンマー西部と

バングラデシュ南部を直撃

コンゴ民主共和国東部の

人道状況が壊滅的なレベルに

ブルキナファソで暴力が拡大し、

難民が引き続き近隣の沿岸国へ逃れる

ソマリアで紛争、干ばつ、洪水といった 要因が重なり、1月から8月までに国内で 140万人以上が避難を強いられる

アゼルバイジャンとアルメニアの係争 地カラバフで戦闘が激化

アフガニスタン・ヘラート州で地震が発生 アフリカの角が豪雨と大洪水に見舞 われ、ソマリア、エチオピア、ケニアが 特に甚大な被害を受ける

北米を目指してダリエン地峡を越えた

難民や移民の数が、2023 年は50万人 に達し、前年の倍以上に

UNHCR は、深刻な洪水への対応で 援助活動を拡大。被災 者 7 万 7800 人に必要不可欠な物資を届け、心の

洪水により避難した人々に援助物資を 配布する職員

2380 万人 が地震により被災 トルコ、シリア

両国で UNHCR は、被災者に援助物資を提供 したほか、トルコでは 3万9100人に現金の給付

支援を、難民 1万7400 人にカウンセリングを 実施しました。シリアでは保護支援を 31 万 1000人に提供。また、同国北西部の 5万3000 人にテントを用意しました。

UNHCR のパートナー団体はトルコ・ ハタイ県で救助活動にあたった

アルメニア

10 万人 が係争地カラバフで

開始された軍事行動により流入

UNHCR は、アルメニアに到着した 人々の登録支援や保護モニタリング を実施。折り畳み式ベッドや調理器具 セットを含む緊急援助物 資7万9400 個を1万 7130人に配布しました。

長い道のりを経て、一週間足らずで 10 万人以上がアルメニアへ避難

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2023年の主な出来事
ケアを提供しました。 ©UNHCR / Ziyad Alhamadi
90 万人 が洪水で被災 リビア
©UNHCR
©SGDD-ASAM / Turan Berker Akdevelio lu
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50 万人 が危険なジャングル、

ダリエン地峡を越える

UNHCR は国境での活動を強化し、法的支 援やシェルター、現金給付、移住支援など で過去 4 年間に70万人のベネズエラからの 難民や移民をサポート。

カヌーを待つ人々。ジャングルの横断は 健康な大人でも5日かかったという

ソマリアの新たな紛争により流入 エチオピア

9 万 8000人 が

緊急に派遣した17人の職員がサポートに入り、 5万人近いソマリア難民をより安全な地域 に移して、水やシェルター、生体認証登録など の必要不可欠な支援を実施。

ソマリアからエチオピアへ逃れ、登録を 受ける人々

740 万人 が紛争により 国内外に避難

スーダンで45万5000人以上の国内避難民 と72 万1000人の難民を支援。近隣国では、

新たに到着した人々を受け入れるため11の サイトを設置し、10 のサイトを改良。

チャドの雨季を前に国境付近からキャ ンプへ移るスーダン難民の母子

700 万人 が東部の紛争の影響を受ける コンゴ民主共和国

UNHCR は 4 万人に暫定的なシェルターを 設置し、避難を強いられ脆弱な状況にある 人々1万4000人を安全な地域に移しました。

アフガニスタン

11万 4000人 が地震で被災

47万 8000人 がパキスタンから緊急帰還

UNHCRは緊急対応の一環で、地震 に見舞われたヘラート州の2000 世 帯に援助物資を配布。また、パキス タン政府の不法滞在外国人の送還 計画の発表に伴い同国から帰還した

6 万1600 人のアフガニスタン人を 支援しました。

地震の発生以来、初めて外部の支援を 受ける家族

200 万人 が洪水で避難 アフリカの角

UNHCR とパートナー団体は、被災したコ ミュニティに緊急援助物資や土嚢を直ちに 配布し、シェルターを修復するための現金給 付を実施。ソマリア南部のドーロゥ地区では、 暫定的なシェルターを1200人に提供しました。

1020 万人 が サイクロン「モカ」により被災 ミャンマー、バングラデシュ

ミャンマーでは被災した人々を支援 するため、シェルター関連の物資を ラカイン州へ輸送。バングラデシュ では、シェルターにダメージを受け たロヒンギャ難民など4500 世帯以 上を支援しました。

バングラデシュでは、食料や水など、必需 品の事前配備が人命救助につながった

©UNHCR / Ilaria Rapido Ragozzino
ラテンアメリカ
©UNHCR / Oxygen Empire Media Production
©UNHCR / Mohamed Aden Maalim
©UNHCR / Aristophane Ngargoune
スーダン
©UNHCR
©UNHCR / Diana Diaz
ケニアのダダーブ難民キャンプでは、シェル ターやトイレが被害を受け、人々は高台へ避難
©UNHCR / Blaise Sanyila
150 キロ以上移動し、避難場所にたどり 着いた家族 各国情報出典:Emergency Preparedness and Response in 2023 *地図上の境界線や記号はあくまでも参考であり、国連の見解や許諾を示すものではありません *日本を含む世界各地からのご寄付に支えられた緊急対応の一部を取り上げて掲載しています ANNUAL REPORT 20 2 3 07

トルコ・シリア地震 緊急支援

背景情報

シリア・アレッポ/妹を抱き、避難所になっている学校の外を 歩く少女 皆様をはじめ、世界中からお寄せいただいたご支援により、

UNHCR は現地で援助活動を迅速に開始することができました

2023年 2月6日、トルコ南東部のシリア国境付近でマグニチュード7を超える地震が発生。その後も断続的に大規模な 余震が続きました。過去 20 年にこの地域で起きた最大級の地震により、両国で約2380万人が被災し、5万6000人 以上が命を落としました。

UNHCRは地震の発生直後から援助活動を開始し、被災した人々を支援しました。

トルコ南東部の地震でもっとも大き

な被害を受けた同国の 11 県は、多く の難民が暮らしていた地域でもあり、

地震により破壊された地域は175万人 以上の難民を受け入れていました。

同じく激しい揺れに見舞われたシリア 北西部では、紛争により地震前から人口 の3 分の2 がすでに避難生活を送ってお り、過酷な生活を強いられていました。

強い揺れに見舞われた地域

*地図上の境界線や記号はあくまでも参考であり、  国連の見解や許諾を示すものではありません

地震の発生当初からUNHCR は現地入りして おり、トルコ政府主導の対応を支援しました。

UNHCR は被災したコミュニティを特定して、

援助物資や法的カウンセリング、心理社会的 支援の提供、現金の給付支援を実施。また、

空輸のほか地域にある物資の備蓄を活用する

ことで、政府と協力して難民や受け入れコミュ ニティに迅速に支援を届けました。

地震で甚大な被害を受けたハタイ県 トルコでの支援

トルコ・シリアで実施。厳しい寒さから被災した人々を守る支援 トルコで実施した支援の一例

保護支援 50 万人

援助物資 300 万個以上

(衛生用品、調理器具セットなど)

UNHCR は物資の備蓄を集め、6万 8000人以 上に必要な援助物資を届けるため対応を開始。 アレッポ、ラタキア、ハマ、タルトゥースでは、被災 者に現金の給付を行い、1万3700 世帯以上を 支援しました。また、長い間苦しんできた人々 は地震により精神的に深刻な影響を受けてい たため、愛する人や住まいを失った人々に心理 社会的支援を提供しました。 保護支援

被災した多くの人が、この地震による影響を依然として受け続けています。

UNHCR は、引き続きトルコとシリアで人々の生活の再建を支援していきます。

©UNHCR / Hameed Maarouf
©UNHCR / Emrah Gürel
31万 1000人以上
援助物資のキット 5万 8200 個 ©UNHCR / Hameed Maarouf
©UNHCR / Priscilla Gracinda Gomes ©Watan 避難先のシリア北西部で地震に遭い、UNHCR から シェルターの支援を受けた親子
グ・ユニット」を被災した人々のために手配 シリアでの支援 シリアで実施した支援の一例
(心理社会的支援や心理的応急処置を含む)
避難所となっていたアレッポのモスクに到着した援助物資
耐久性に優れたシェルター「レフュジー・ハウジン
トルコ シリア ガジアンテップ アレッポ イドリブ ダマスカス アンカラ
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スーダン危機

2023 年 4 月15日、スーダンの首都ハルツームで武力衝突が発生し、市民は激しい銃撃と砲撃の音で目を覚ましました。

UNHCR はスーダンと周辺国で保護・支援活動を継続。現在も命を守る活動を続けています。

スーダン危機により南スーダンへ帰還し、同国各地への貨物機に 乗り込む人々

スーダンにおける

戦闘下で身動きのとれない人々を守る支援

ハルツームでは初日から重要なインフラが被害を 受け、戦闘に巻きこまれた市民が街中で身動きの

とれない状況に。助けを必要とする人々を支援する ため、UNHCRはウェブサイト「ヘルプ・スーダン」

を開設。ホット

ラインや家族の

追跡支援など、

救援サービスに

関する最新情報 を提供しました。

スーダン難民のラワビさんが見せて くれた、戦闘開始後のスーダンの様子

一年を通して衝突がエスカレート 国内では衝突がエスカレートし、民族間の緊張

が再燃。同国で避難を強いられている人々に 想像を絶する恐怖をもたらしました。全土で

背景情報

2023 年 4 月15 日、ハルツームで スーダン軍と準軍事組織「即応支 援部隊」の武力衝突が発生。最初 の数か月で何百万人もの人々が

避難を強いられ、戦闘は急速に他 の都市へと広がっていきました。

近隣国へ逃れた人々 182 万人以上*

国内で新たに避難を 強いられた人々 672 万人以上

*難民のほか、庇護希望者、帰還民を含む

出典:SUDAN SITUATION Regional Displacement Update as of 29 Apr 2024

多くの人々が スーダンと国境を 接する5か国に 逃れており、 その中には世界で もっとも貧しい 国々もあります

南スーダン

UNHCR は複数の場所から保護サービスと命

を守る支援を提供できるよう、アクセス可能な 現場にチームを配備。各方面と協力し、45 万

5000人以上の国内避難民を支援しました。

周辺国からの越境支援を実施

ダルフール地方では、紛争によりコミュニティ間 の緊張が高まっており、2003 年以来、最近ようや

く鎮静化していた民族を標的にするなどの残虐 行為が再び起こっています。とりわけ多くの国内 避難民を抱える同地方に支援を届けるルートは、 戦闘や気候変動の影響により、ほとんど残って いません。UNHCRは関係機関と協力して行う越 境支援をサポートし、同地方に物資を届けるため、 隣国チャドのファルチャナに事務所を設置。越境 支援でライフラインとなる支援を届けています。

出典:SUDAN SITUATION Regional Displacement Update as of 29 Apr 2024 *地図上の境界線や記号はあくまでも参考であり、 国連の見解や許諾を示すものではありません

チャド

UNHCRの緊急対応チームは、到着した人々に 保護支援や水・毛布などを提供し、国境から 離れたキャンプへの移動をサポートしたほか、 シェルターを設置しました。

UNHCRは当局やパートナー団体と緊密に連携 し、到着した人々に食料や水、宿泊場所を提供す るトランジット・センターを国境付近に設置。 また、難民の安全な場所への移動や、帰還民の 故郷への帰還、家族との再会を支援しました。

エジプト

UNHCR は国境地点で安全な飲料水と衛生 キットなどを提供。難民が医療や教育などの サービス、現金の給付支援などを受けられる よう、15万4000人の登録を完了。

エチオピア

国境の主要な到着地点に緊急シェルターが 建設され、スーダンから逃れてきた人々に温か い食事が提供されました。

UNHCR は、地元 コミュニティに難民を統合できるよう地域の サービスを拡大する計画とともに、新たな難民 居住地を設置。

中央アフリカ

UNHCRはパートナー団体と協力し、1万614人 以上( 3632 世帯)を登録。到着した人々を新た に設置した避難場所に移し、シェルター用品 や衛生キット、蚊帳を提供しました。

周辺国における 2023 年の支援 スーダンと周辺国で命を守る活動を維持・拡大していくために、引き続き避難を強い られた人々にお心をお寄せいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

スーダン 中央アフリカ 2.9万人 エチオピア 5.4 万人 チャド 57.9 万人 エジプト 50 万人 南スーダン 66万人
©UNHCR / Andrew McConnell
©UNHCR
年の支援
2023
ANNUAL REPORT 20 2 3 09

企業・団体からのご支援 2023 年は侵攻から2 年目を迎えたウクライナでの支援活動、トルコ・シリア地震やリビアの洪水など緊急事態への対応も必要となるなか、 企業・団体・自治体の皆様から大きなご支援をいただきました。

株式会社ファーストリテイリング

4 年間にわたるUNHCRとのグローバルパートナーシップを強化

2023 年も UNHCR パートナーシップを通じたご寄付、 ジーユーマイルを通じたご寄付に加え、難民への衣 料支援、チャリティT シャツプロジェクト「 PEACE

FOR ALL 」や“届けよう、服のチカラ”プロジェクト、 難民映画祭への協賛など、多岐にわたる活動で継続 的にご支援いただきました。2 月のトルコ・シリア地 震へのご支援では100万ユーロのご寄付と、計4万点 の衣料をご寄贈いただいています。12 月のグローバ ル難民フォーラムでは、支援強化を宣言されました。

ソニーグループ株式会社

UNHCRとユニクロの共催『ユース難民アートコンテス ト2023』の最終優秀作品5点のTシャツ「HOPE AWAY FROM HOME」コレクションを2024 年から発売

バングラデシュとアフリカ南部地域で健康と衛生への支援開始

NTTグループ

タブレットによるウクライナでの教育支援

NTTグループ各社は、さまざまな形で難民 支援を実施されています。ウクライナ国内で 避難などの事情により教育を受けられない子 どもたちに、オンラインによる教育環境を提供 するため、50 万ドルをご寄付いただきました。

同支援により、

UNHCR はタブ

レット約 1500 台をウクライナ の子どもたち に届けました。

APAMAN株式会社

ウクライナ国内の住宅を修復

全国賃貸管理ビジネス協会と APAMAN 株 式会社は、ウクライナの紛争が始まった直後 から、日本に避難したウクライナの人々に無 償で住宅を提供されました。また、ウクライナ 国内の破壊された住居や設備の整っていな い共同シェル ターの内外装、

備品提供のた

めに 50 万ドル をご寄付いた

だきました。

2001年以来、難民への支援や難民映画祭協賛、難民問題に対する社員への意識啓発活動を 実施され、2023 年 2 月にはトルコ・シリア地震の被災地支援として社員募金を含む計1615万 円をご寄付いただきました。9 月には、今後 3 年間にわたり「新型 コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」から計 600万ドルの ご支援を表明いただきました。ご支援は、バングラデシュおよび アフリカ南部地域における健康や清潔で安全な水へのアクセス を改善するUNHCRの活動に活用されます。このパートナーシップ は、12 月にグローバル難民フォーラムで宣言されました。

株式会社富士メガネ

UNHCRとの協力関係が 40 年を迎える

1983 年に難民キャンプを訪問し、視力検査やメガネを送る活動を開始 され、現在では年間 30万ドルのご寄付や店頭募金も実施されています。

12 月にはグローバル難民フォーラムでパートナーシップ40 周年を記念 し、グランディ高等弁務官から金井会長に記念品が贈呈されました。

株式会社セブン&アイ・ ホールディングス

全国の店舗でトルコ・シリア地震緊急支援募金

セブン&アイグループ各社の全国 2 万2460 店 舗で、2023 年 2 月~ 3 月( 33 日間)に募金を 実施され、約 1億 216 万円をご寄付いただき ました。また別途 2850万円をトルコ・シリア 地震緊急支援にご寄付いただきました。5月 からはセブンマイルプログラムによる難民支 援を開始され、

マイルが寄付 として活用で きるようにな りました。

2023年12月開催 第2回グローバル難民フォーラム

日本も共同議長国を務めた第 2 回グローバ ル難民フォーラムでは、世界の幅広いセク ターから代表者が集い、難民支援への取り 組みを宣言しました。同フォーラムで全日本 仏教会は、日本の伝統仏教界の力を結集し、 難民支援の推進や連帯を目指して世界平和 に向け共に行動していくことを宣言しました。

© UNHCR / Amos Halder © UNHCR / Alessia Pignatti © UNHCR © UNHCR / Olga Borymchuk © UNHCR / Will Swanson © UNHCR / Will Swanson © UNIQLO
グローバル 難民フォーラム
10

2023 年、世界各地における緊急支援や教育支援など、多様な分野に企業・団体の皆様から温かいご支援をお寄せいただきました。

UNHCRの難民保護・援助活動への変わらぬご支援に心より御礼申し上げます。

幅広い柔軟な支援

難民が必要とする支援は、地域や状況によって異なります。UNHCR は、特定の使途指定のない

ご支援を通じて、緊急事態に備えるだけでなく、長期的な資金計画が必要な水や食料の安定供給、 教育支援、自立支援など、幅広い活動を実施することができます。2023 年も皆様のご支援

により、資金が不足する地域やもっとも必要な援助活動に柔軟に資金を充てることができました。

大日本印刷株式会社には、2022 年から5 年間、毎年1000万円、計 5000万円のご寄付を使途を 指定しない支援としてご表明いただいています。

ご支援いただいた法人 株式会社アドバンテスト|イーグル工業 株式会社|株式会社オフィス・カラーサイエンス|株式会社ジーユー

新菱冷熱工業株式会社|ステラケミファ株式会社|ソニー生命保 険株式会社|大日本印刷株式会社|株式会社ピープルフォーカス・ コンサルティング|株式会社富士メガネ|毎日新聞大阪社会事業団

毎日新聞東京社会事業団|株式会社MIYOSHI ほか

トルコ・シリア地震

緊急支援

2023 年 2 月6日、トルコ南東部とシリア北部で大地震が発生し、UNHCRは直ち に支援活動を開始。その際多くの企業・法人の皆様から迅速にご支援をお寄せ いただきました。

ご支援いただいた法人 大阪維新の会 堺市議会議員団|株式会社栗本鐵工所

J.S.Foundation|株式会社すかいらーくホールディングス|株式会社 SCREENホールディングス|株式会社 SUBARU|宗教法人生長の家|株式会社 ソウ・ツー|株式会社 ZOZO|ダイキン工業株式会社|東京エレクトロン株式会社 ナブテスコ株式会社|株式会社日清製粉グループ 本社|日本労働組合総連合会|パルシステム生活 協同組合連合会|ブラザー工業株式会社|株式 会社平和堂|株式会社メディパルホールディングス 立正佼成会|ルネサスエレクトロニクス株式会社 ユニ・チャーム株式会社 ほか

さまざまな形の支援

UNHCRの活動は、緊急支援、シェルター、教育、保健医療、自立生計支援など多岐にわたります。

豊田通商株式会社 は、アフリカにおける自立支援の促進を目指して、ウガンダで自動車修理の 職業訓練を実施。2023 年にはカメルーンでも訓練をスタートさせました。

三菱地所株式会社を

中心にSDGs 達成に向けた活動を推進する「大丸有 SDGs ACT5」では、「ACT5ポイント寄付」や 「大丸有 SDGs 映画祭」を通じて難民への理解・支援のアクションを促進しています。

ご支援いただいた法人 アクセンチュア株式会社|株式会 社 ギンビス|株式会社グラム/Q-pot.|国際ソロプチミスト アメリカ日本全国 5リジョン|株式会社サンギ|株式会社 サンリオ|全国電力関連産業労働組合総連合|大和ハウス 工業株式会社|株式会社 BINGO|株式会社ファースト リテイリング|株式会社フォスター・プラス|ホテルモントレ

株式会社|株式会社メルカリ|Yahoo!ネット募金 ほか

ウクライナ支援

2023 年、ウクライナ危機は 2 年目に突入。同国内外で 避難を強いられた人々を引き続き保護・支援する UNHCR の活動に、多くの企業・法人の皆様からご支 援をお寄せいただきました。

ご支援いただいた法人

株式会社アミューズ|公益財団 法人稲盛財団|株式会社オフテクスホールディングス 株式会社カプコン|株式会社ソウ・ツー|株式会社 銚子丸|株式会社半導

体エネルギー研究所

ブラザー工業株式会社 理研計器株式会社

ほか

アフガニスタンにおける地震やリビアでの大規模な 洪水など、2023 年も災害や気候変動による緊急事態 が多発。被災した難民や受け入れコミュニティの人々 を守るUNHCR の活動に、企業・法人の皆様から迅速 にご支援をお寄せいただきました。

ご支援いただいた法人

株式会社キャステック|ジオ パック株式会社|宗教法人生長の家|創価学会|東宝 株式会社|有限会社ネイ バーフッド|株式会社三 井住友フィナンシャルグ ループ|三菱電機トレー ディング株式会社 ほか

©UNHCR / Can Bildik ©UNHCR / Esther Ruth Mbabazi ©UNHCR / Diana Diaz ©UNHCR / Iryna Tymchyshyn ©UNHCR / Colin Delfosse
緊急支援
災害・気候変動 )
ANNUAL REPORT 20 2 3 11

日本国内での広報・募金活動

第18回難民映画祭

日本社会で難民への共感と支援の輪を広げていくことを目的に、困難を 生き抜く難民の力強さに光をあてたドキュメンタリー 6 本を、オンライン 鑑賞と劇場鑑賞のハイブリッドで上映。のべ約 4000人が参加しました。

『ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦』※

『心の涙をことばにして

~今日を生きる子どもたち~』※

『私は歌う ~アフガン女性たちの闘い~』※

『南スーダンで生きる ~ある家族の物語~』※

『マインド・ゲーム ~自分の道を信じて~』※

『シャドー・ゲーム~生死をかけた挑戦~』

※ 日本初公開

【協力】国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所

【パートナー】独立行政法人 国際協力機構(JICA)

【後援】カナダ大使館、一般財団法人 自治体国際化協会

【特別協賛】キヤノン株式会社、株式会社ユニクロ

【協賛】ソニーグループ株式会社、東宝株式会社、

TOHOシネマズ株式会社、

TOHOマーケティング株式会社、

日本映像翻訳アカデミー株式会社、

株式会社富士メガネ、株式会社MIYOSHI

(五十音順)

WOMEN+BEYONDプロジェクト

同じアジアの人道危機であるバングラデシュのロヒ ンギャ難民と、終わりの見えない戦禍の中で生きる ウクライナの女性・女子の支援をテーマにしたウェビ ナー、メールマガジン配信、チャリティ・ガラオーク

ションや世界難民の 日をゴールにしたチャ

リティラン& ウォーク を実施しました。

全国に広がる

「難民映画祭パートナーズ」

難民映画祭の趣旨に賛同する学校、 自治体、企業、団体などが主体と なって映画の上映会を開催する取り 組みです。2023 年度

は 23パートナーズが上 映会を開催しました。

東京マラソン

国連 UNHCR 協会は東京マラソン 2023 チャリティの寄付先団体です。

毎年、東京マラソンチャリティを通じた ご寄付は、紛争で故郷を追われた難民 の子ども・若者の生きる意志をはぐく むスポーツ・教育支援に活用されます。

国連難民支援キャンペーン

全国 5 都市(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)を拠点 に、街頭や施設などで毎月の寄付への参加を呼び かける「国連難民支援キャンペーン」。2023 年は 1220 か所で開催し、多くの皆様にご協力いただき ました。難民支援の輪は、日本では 2009 年に同キャ ンペーンを開始以降広がり続けており、スペインや 韓国、ドイツ、インドネシアなど計20 か国でもその 輪は広がっています。

国連難民サポーターのお申込みをスタッフがご案内

国連難民サポーターの皆様からお寄せいただいた声

サポーターの皆様から活動に対する お声を頂戴している様子 \職員の声/

戦争や災害によって被害が増えていることを感じる場面が多 くなり、直接現場に足を運べなくても遠くから支援することで、 少しでも誰かの役に立つことができれば幸いです。(20代)

難民のニュースなどを見て、何かしたいとは思っていましたが、 どこが信用できる団体なのかと考えてしまい、行動できずに いました。今回の申込みは良いきっかけになりました。(40代)

同じ地球上で、たまたま生まれた場所により難民になっ た人々。他人事とは思えません。(50代)

国連難民支援キャンペーン

いつも温かいご支援をお寄せいただき心よりお礼申し上げます。「難民 となってしまった人々に心を寄せて、支援してくださる皆様のお気持ち を現地に支援として届ける」という思いで私たちは日々活動しています。

時には辛いこともありますが、「気持ちはあったがなかなか行動できな かった。きっかけをありがとう」といったご支援者様からの声はとても励 みになります。一人でも多くの方に気持ちを行動に移して本キャンペーン にご参加いただけるよう、今後も活動を続けてまいります。

北海道オフィス 三国チームリーダー
2023(開催期間:2023年11月6日~11
30日)
© 国連 UNHCR 協会
©国連UNHCR協会
© 国連 UNHCR 協会
上映作品 12

UNHCR 難民高等教育プログラムは、社会経済

的な理由で、日本の大学に通うことが困難な人 のための奨学金制度で、2023 年までにこのプ ログラムを実施しているパートナー大学・大学 院は15大学となり、その門戸は広がっています。

RHEP 奨学生は、未来を切り拓くために学業に 励むことはもちろん、難民問題をより多くの 方々に知っていただくため、イベントやメディア

への協力、講演活動などにも取り組んでいます。

これまでに 100 名が当プログラムを通じて大

学・大学院に進学し、うち 53 名が卒業してそれ ぞれの進路に進み、社会に貢献しています。

パートナー大学 : 関西学院大学・明治大学・津田塾大学・創価大学・上智大学・明治学院大学・ 聖心女子大学・関西大学・広島市立大学・早稲田大学・帝京大学・天理大学・山梨学院大学・

神奈川大学・京都光華女子大学 / 短期大学部 *各大学による奨学金には、授業料などの学費が含まれます

遺贈・相続財産からのご支援

2023 年は、皆様の想いと大切な財産を未来につなぐ、遺贈・相続財産からのご寄付に関する 多くのご相談をいただき、2000 名を超える皆様から資料のご要望・お問い合わせを賜りました。 ご関心をお寄せいただいた方々に、心より御礼申し上げます。

■ 相続財産からのご寄付は、相続税と所得税などの税制優遇が受けられます

● 遺贈:当協会への遺贈(ご遺言によるご寄付)には相続税はかかりません。

● 相続財産寄付:ご遺族が現預金など金銭で相続された財産から、相続税の申告期限内に 現金で当協会にご寄付いただいた場合、その財産には相続税がかかりません。

さらに、確定申告をされることで、所得税などの寄附金控除も受けられます。

■「 遺贈・相続財産寄付に関するお手続き

日本に来てもうすぐ7 年になりますが、たくさんの目標を達成することがで きました。国際ビジネスと経済学を学んでおり、現在は社会人になる準備を しています。将来の夢は、かつて自分が必要としていて、その時にはなかった

支援を日本で難民に限らず提供できるようになることです。

教育事業・ユースとの連携

UNHCRの活動や難民問題について、自分ごと として学ぶことのできる教育事業を全国で展開 しています。2023 年も100 以上の小・中・高・大 学および団体・企業で、ワークショップを活用し た出張講演と学習訪問を行いました。春に実施 したオンラインセミナーでは、多くの教職員や 学生の方にご参加いただきました。

神田外語学院の 学生が、港 区 立 御田小学校で実 施した、英語で 難民について学 ぶ体験的な授業 \RHEP 奨学生の声/ 上智大学国際教養学部 4 年 ハニーンさん

また、難民支援に関わる日本中のユース世代有 志が運営する「ユースなんみんプラットフォー ム」は、当協会と連携しさまざまな方々のご協 力を得て、共感と連帯の輪を 広げるために活動しています。

Youth UNHCR(現ユースなんみん プラットフォーム)が主導して、世界 難民の日を機に開催した「なんみん フェス 2023 in 渋谷」には、多くの 方が参加し、メディアの注目も集め ました

*詳しくは『難民についての授業の広場』をご覧ください www.japanforunhcr.org/news/2017/forteachers

のご案内」パンフレットを差し上げます ご希望いただいた皆様へ「遺贈・相続財産 寄付に関するお手続きのご案内」パンフレッ ト、およびご好評をいただいている、国連 UNHCR 協会特製「未来のためのエンディ ングノート」を差し上げています。

(故人より相続された財産の寄付をお考えの方へ)→P13

■ 人生の最後の意思を実現する遺言書の保管制度

2020 年、自筆の遺言書を法務局で預かる保管制度が始まり、2023(令和 5 )年12 月末時点で、 保管申請件数は累計 6 万 5000 件以上となりました。この制度を利用すると、遺言書 1通につ き3900 円の手数料で、法務局にて安全に保管することができます。「遺言書」は、人生の最後 の意思を実現するためのものであり、特別な人だけが書くものではありません。多くの方々が 「遺言書」について検討していることが、保管申請件数からもうかがえます。当協会への遺贈・ 相続財産からのご寄付は、難民の「未来」のために役立てられます。

遺贈・相続財産寄付に関するお問い合わせ・ご相談・資料のご要望は、 お電話(0120-972-189)にて、またはウェブサイトからご連絡ください。

遺産の寄付 お考 の なさ へ 贈・相続財産か の寄付に す お 続き ご案 国連UNHCR協会 遺贈(ご自身の遺産の寄付をお考えの方へ)→P2 遺贈とは 遺言によってご自身の財産の 部またはすべてを譲り渡すことを言います 相続は相続人のみ が対象ですが 遺贈は相続人以外の特定の人や団体にも財産を譲ることができます 遺贈は「遺言書」を 残すことによって可能となります 国連 NH R協会に遺贈いただいた財産には 相続税がかかりません 遺贈寄付(遺言によるご自身の遺産からの寄付) 遺言によりできること 遺言書を作成することで ご自身の財産をどう遺すかをご自身の意思で決めることができます 遺言書は 民法が定める法定相続の規定よりも優先されます 法的に有効な遺言書を作成されることで エンディン グノ トや遺書とは異なり 確実にご意思を実現できます また 遺言書は何度でも書き換えができ 撤回 も可能です 法定相続人がいない場合 遺産は国庫に入ります 「遺言書」は人生の最後の意思を実現するためのもの 円満で円滑な相続のため 自分の大切な財産を遺 す方法は自分で決めたい 遠方に住む家族に負担にならないよう専門家に執行を依頼しておきたい など 特別な人だけが書くものではなくなりつつあります 法定相続分によらずに 自分の意志で財産を配分したい 相続人全員での遺産分割協議や手続きに障害が起きるのを避けたい 孫や嫁 内縁のパ トナ 生前にお世話になった人や公益団体等の相続人以外に財産を配分したい 夫婦間に子どもがおらず 配偶者に全財産を遺したい(自身に兄弟姉妹がいる場合) 相続人がおらず 財産が国庫に帰属するよりは財産を社会のために役立てたい 相続人が故人から受け継がれた財産から寄付をすることです 現預金などの金銭で相続されたご資産か ら 相続税の申告期限内に国連 UN C 協会へ寄付を行うと その分は相続税の対象とならず さらに相 続人は所得税等の寄附金控除が受けられます ※この資料は202 年 月時点の情報を と 制作さ ていま 法改正 によ この資 とは なる施行状況に っ いる場 があ ます で ご留 く さい 相続財産からの寄付
UNHCR 難民高等教育プログラム( RHEP )
© 国連 UNHCR 協会
© 神田外語学院
ANNUAL REPORT 20 2 3 13

20 23 年も温かいご支援をお寄せいただき、ありがとうございます 皆様からお預かりした

国連UNHCR協会

寄付金収入

皆様からお預かりしたご寄付は総額 115 億 8893 万円に達し、寄付金の99.9%

を占めるUNHCR 寄付金のうち約 89%にあたる103 億 2418 万円をUNHCR

本部に送金させていただきました。なお、支援者の内訳は上記の通りです。*

* 国連UNHCR協会では、UNHCR本部との取り決めに従い、お寄せいただいた寄付金の 上限25%までを、協会の活動および運営のための資金に充当させていただいております。

国連UNHCR協会の総収入・総支出、費用詳細につきましては、次ページに掲載の 「2023年度 会計報告」をご覧ください。

大幅な資金不足が 依然として続いています UNHCRは、

右の12のSDGs目標達成に 特に力を入れています。

2023 年、世界各地の紛争や迫害によって避難 を強いられた人の数は 1 億 1400 万人に達し ました。UNHCRが世界各地の援助活動のため に必要としていた資金 109 億 2870 万米ドル に対し、調達額は55億120万米ドルと約50.3% に留まり、依然として大幅な資金不足が続い ています。

皆様からのご寄付は、UNHCRのプログラムに 上記の通り配分されています。

* グローバル・プログラム:UNHCRが全地域で進めている  分野別重点テーマを推進するプログラム。

出典:Update on budgets and funding(2023 and 2024) EC/75/SC/CRP.8 不足額

億2750万 米ドル

出典:Update on budgets and funding(2023 and 2024) EC/75/SC/CRP.8

UNHCR へのご寄付の収支をご報告いたします
国連UNHCR協会 寄付金の使途 2023年UNHCRプログラム 活動費分配額割合 調達額 55億120万 米ドル 50.3% 個人 78.2% 企業 16.0% 学校・団体 5.8% 必要額 109億2870万 米ドル アフリカ 28% 中東北アフリカ 20% アジア・太平洋 11% ヨーロッパ 21% グローバル・ プログラム* 7% 米州 7% 本部 4% 各国運営 テクニカルサポート 2% 合計 115億8893万円 UNHCR本部送金 89.1% 広報・募金活動費 9.3% 一般管理費他 1.6% 合計 115億8893万円
49.7
地域別
54
%
14

正味財産増減計算書

経常増減の部

経常収益

【受取会費】

【受取補助金等】

【受取寄付金】

正会員受取会費

受取助成金*

UNHCR寄付金

寄付金振替額

協会支援ファンド

受取助成金振替額

現物供与

【その他収益】

雑収益

経常収益 計

経常費用

人件費(事) UNHCR支援金

会場費(事)

会議費(事)

保険料(事)

修繕維持費(事)

制作費(事)

印刷費(事)

広告費(事)

支払手数料(事)

旅費交通費(事)

業務委託費(事)

水道光熱費(事)

消耗品費(事)

減価償却費(事)

研修費(事)

租税公課(事)

諸会費(事)

諸謝金(事)

賃借料(事)

資料費(事)

通信運搬費(事)

雑費(事)

680,000

1,265,126,380

8,962,129,052

2,612,158,071

14,535,373 93,586 17,862

1,562,630 12,856,302,954

【管理費】

人件費(管)

会議費(管)

保険料(管)

修繕維持費(管)

印刷費(管)

支払手数料(管)

旅費交通費(管)

業務委託費(管)

水道光熱費(管)

消耗品費(管)

減価償却費(管)

租税公課(管)

694,972,437 10,324,182,441

2,818,511 682,782 19,180

諸会費(管)

諸謝金(管)

賃借料(管)

通信運搬費(管)

為替差損(管)

経常費用 計

当期経常増減額

貸借対照表

流動資産

流動資産 合計

固定資産

特定資産

その他固定資産

現金預金

未収金

前渡金

1,767,255,590

ソフトウェア開発特定資産

退職給付引当預金

特定資産 合計

建物 什器備品 ソフトウェア ソフトウェア仮勘定

敷金

長期性預金

その他 固定資産 合計

固定資産 合計 資産 合計

1,187,002,990 50,778,095 12,656,187 44,375,532 1,294,812,804 4,080,000 104,668,900 108,748,900 1,403,561,704

1,004,775,324 2,408,337,028

監査体制について:国連UNHCR協会では、監事による監査とともに、外部の監査法人(EY新日本有限責任監査法人)に依頼して会計 監査を受けています。ここに記載した正味財産増減計算書・貸借対照表は、公益法人会計の基準による2023年度国連UNHCR協会 正味財産増減計算書・貸借対照表をまとめたものです。全文は、国連UNHCR協会ウェブサイトからダウンロードしていただけます。 www.japanforunhcr.org/about-us/annual-report

助成金収入

当期経常外増減額

当期一般正味財産増減額 一般正味財産期首残高

代表理事 青井 千由紀 東京大学公共政策大学院 教授

理事 市川 正司

嘉治 美佐子

川合 雅幸

近藤 眞智子

清水 喜彦

長野 智子

二村 まどか

古市 健 弁護士(新千代田総合法律事務所) 前駐クロアチア日本大使

当協会事務局長 元国際公務員(UNHCR北欧・バルト三国地域事務所代表)、アジア婦人友好会 理事 株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー 会長 キャスター・ジャーナリスト

法政大学 教授 日本生命保険相互会社 顧問

監事 菅原 邦彦 公認会計士(公認会計士菅原邦彦事務所代表)

国連UNHCR
協会 2023年度 会計報告および役員一覧
自2023年1月1日 至2023年12月31日 (単位:円)
【事業費】
164,782,712 14,840,709 604,494,583 2,012,639 5,755,954 41,950,582 194,477 103,365 135,000 1,053,521 34,328,924 2,206,142 251,866,939 114,340
5,138,964 207,185,146 2,794,504 303,900,884
108,678,133 276,892 761,440 769,824 146,330 19,830 2,205,474 25,314,969 432,996 125,477 3,399,559 1,878,550 90,600 10,541,192 8,722,776 8,640,946 382,552 12,837,922,276 18,380,678
流動負債 流動負債 合計 固定負債 固定負債 合計 負債 合計
資産の部 負債の部 指定正味財産 指定正味財産 計 一般正味財産 正味財産 合計 負債及び正味財産 合計 (うち特定資産への充当額) 正味財産の部
2023年12月31日 現在 (単位:円) 未払金 前受金 預り金 賞与引当金 資産除去債務 退職給付引当金
310,000,000 440,320,476 630,989,376
-
(86,000,000)
* 受取助成金:UNHCR本部からの助成金 一般正味財産増減の部 221,775 221,775 221,775 18,602,453 986,172,871 1,004,775,324
3,477,033 6,615,029 1,777,347,652 86,000,000 104,668,900 190,668,900 13,374,525 547,542 94,858,665 3,340,875 18,198,869
2,408,337,028
1,004,775,324
経常外増減の部  経常外収益
経常外収益
一般正味財産期末残高 役員一覧 2024年4月1日現在
指定正味財産増減の部 使途指定寄付金受入額 一般正味財産への振替額 当期指定正味財産増減額 指定正味財産期首残高 指定正味財産期末残高 正味財産期末残高 2,612,158,071 △ 2,612,251,657 △ 93,586 93,5861,004,775,324 ANNUAL REPORT 20 2 3 15

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