岩﨑航ポートフォリオ(学部)

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2020 B3前期 Design Studio|スタジオ最優秀賞

制作時期:B3前期設計課題 制作期間:2020.5-20207 建築用途:小学校・幼稚園 対象敷地:江東区辰巳一丁目

避難施設を伴った教育施設

東雲地区の大型マンションの建設に伴い子供が増えている。辰巳団地は建替えが始まり、子供の増加が予想される。辰巳地区には辰巳小学校と第二辰巳小学校が近い ところにあるが、辰巳団地に隣接する辰巳小学校を敷地とする。周辺街区の変化に伴い収容人数を吸収する空間、また災害時に帰宅難民の受け入れを想定した新たな 街区の拠点となる教育施設のあり方を考え、建築に対する仮説のもとに独創的な計画・設計することが求められた。

Requirement

敷地    : 辰巳小学校 東京都江東区辰巳1-11-1 プログラム : 小学校、幼稚園、災害時避難施設 諸室    : 小学校学生数540名、教員30名 延床約3,850㎡           一般教室 6学年3クラス         特別教室 音楽室、美術室、理科室         その他  体育館、更衣室、収納庫、図書館、食堂         事務関連 教員室、学校長室、事務室、会議室         ※玄関ホール、トイレ、昇降口、廊下・階段等適時判断(25%~30%)

※校庭5,700㎡程度

幼稚園児童数150名、教員10名 延床約700㎡

保育室  3学年2クラス、遊戯室

事務関連 教員室

※玄関ホール、トイレ、昇降口、廊下・階段等適時判断(25%~30%) ※屋外遊戯場

Professer

赤堀忍

敷地は地下鉄有楽町線辰巳駅目の前の「江東区 立辰巳小学校」である。辰巳小学校は辰巳団地 専用の小学校として団地の計画と同時に建てら れ、1948年に開校した。2020年現在147人の 児童が通い、保育園も同じ敷地内に併設されて いる。現在は団地のみならず、東雲地区の大型

地は新な入居者を受け入れずに、辰巳団地の建 て替えが始まっている。近くに辰巳第2小学校 があるが、今後も辰巳地区一体の児童数は増加 すると見込まれる。しかし近い将来少子化も懸 念される。そういった臨海地区の周囲の街区の 変化に応じた収容人数を吸収する設計も求めら

辰巳排水機場

辰巳水門

辰巳の緑道公園

|提案

校舎全体を螺旋状のスロープで構成した。実際日本の学校教育を経験した筆 者にとって、他学年同士の交流が少ないように思える。また個々の生徒に合 わせた飛び級制度もない。以上の問題は制度的な問題であるが、空間的解決 方法として、従来のフロアごとに学年をゾーニングするのではなく、他学年 ごとの緩やかな境界を実現できないかと考えた。断面的に学年同士を千鳥配 置で設計することで、1学年あたり上下2学年の空間的のつながりが実現でき ないかと考えた。他学年同士の間のスペースにはその学年で習う図書が置い ており、気軽に他学年の学習図書を閲覧することができる。また教室は廊下 に対して斜めに配置されており、完全な廊下と教室による空間ではなく、教 室と廊下の間のふところのある共用空間を設けた。これにより他教室との交 流を促す。また全面スロープにより避難時の高齢者やハンディキャップのひ とが避難しやすい校舎とした。

CR(3年生)

CR(3年生)

年生)

年生)

CR(4年生)

CR(3年生)

年生)

年生)

CR(3年生)

年生)

年生)

年生

CR(3年生)

CR(4年生)

年生)

CR(4年生)

CR(5年生)

年生)

CR(5年生)

CR(6年生)

CR(5年生) CR(6年生

CR(5年生)

CR(6年生)

CR(5年生) CR(6年生

CR(6年生)

CR(5年生

CR(6年生)

体育館内観

体育館を中心に東西で校舎が半階ずれており、 キャットウォークもスロープになっている。

周回スペース平面図(1/150)

7577 5877 7667 7667 7667 5877 7577

体育館の周りを取り巻くスロープ螺旋

校舎全体の螺旋状によるスロープが幼稚園生と小学生の身体的な違いに よる空間・入口を緩やかに分けている。スロープの表裏を使うことで、 幼稚園/小学校をゾーニングしている。昇降口は3箇所に設け、幼稚園、 低学年、高学年が建物内の動線を分けている。体育館は中央に配置する ことで校舎全体のボイドとして廊下にも自然光を取り入れる。

また中央の体育館は園児の利用も可能にしている。小学生の低学年 は東側の昇降口より建物に入り、エントランス左側のスロープにて 上階の教室へ向かう。高学年は西側の昇降口より階段で上階にアク セスする。東西で半階づつずらすことで、1階のスロープ配置を容 易にしている。

延床面積:10,737㎡

2,521㎡

◯小学校(延9,751㎡)

一般教室 6学年4クラス 各30名

体育館:710㎡

校庭:3,542㎡

ふところのある廊下 L字の壁で構成された教室は体育館に対して13°振れ ており、他教室との間のスペースは教室内外のアク ティビティがあふれ出す。教室間には大きな屋外テ ラスを有しており、教室・廊下・テラスがフラット に連続する。大きく迫り出したテラスのスラブは下 階教室のひさしとして機能する。体育館側にはヴォ イドが設けられ、天井からのトップライトが廊下側 にも降り注ぎ、フロア全体を明るくする。中央体育 館のキャットウォークへのアクセスも容易で、体育 館の観戦やランニング等に使用できる。

CR(1年生

集会スペース

半階ずつずれた学年のフロアの間にあ る集会スペース。学年集会等の集会ス ペースとして利用できるが、休み時間 は上下階の2学年の生徒が集まって利 用することで、他学年同士の交流を促 す。

◯幼稚園(延9,86㎡)

一般教室 3学年3クラス 各30名

園庭:1,370㎡

学年同士のブァッファー空間(集会スペース)

従来の学級制度ではフロアごとに学年が分かれ、日 本の学校は同じ学年同士の付き合いが固定化してし まっている。学年のフロアを明瞭に分けるのではな くスロープで半階ずらすことで、上下学年同士の曖 昧な境界を生み出す。集会スペースには学年間の本 棚を設け、学年にとらわれない学習を促す。

2020 B3 Design Studio|学内佳作

辰巳小学校

制作時期:B3前期設計課題 制作期間:2020.5-20207 建築用途:小学校・幼稚園 対象敷地:江東区辰巳一丁目

理想的な住戸タイプを平面的かつ断面的に考え、それを集積化・重層化しながら敷地に相応しい全体ボリュームを構築していくことが求められた。

都営辰巳一丁目団地は、東京メトロ有楽町線辰巳駅に近接して立地する総住戸3,326戸の大規模団地である。本団地は1967年~1969年に建設され、築後40年余りを経て建物及び設備の老朽化が進行している。そのため、 15年間(2012年度~2027年度)をかけて、既存の都営住宅(60棟、2087戸)を撤去した敷地に、新に都営住宅(12棟、2950戸)を建て替え、合わせて付帯世帯の整備を行う計画が進行している。  東京都の平均世帯構成人数は1.9となあっており、住まいの在りようは建設当時から変化している。都営辰巳一丁目団地は3K(47sqm)を基本とし、夫婦+子供2人で構成される世帯像を想定して計画されたが、本設計では 時代の変化を考慮し、外国人世帯やカップル世帯、単身世帯など多様な世帯像を想定した集合住宅をデザインする。

E5(66㎡)

B棟(50㎡)、C棟(66㎡) 3人用シェアアパート(3LDK) :3戸 4人用シェアアパート(4LDK) :1戸 5人用シェアアパート(5LDK) :2戸 家族用住戸(3LDK)      :12戸

A3(106㎡)/B3(90㎡)/B10(70㎡)

A6(107㎡)

B4(133㎡)、B6(125㎡)

C3/C7/D4/D8/E7(121㎡)、C4/C8/E2/E8(102㎡)、 D3/D7(121㎡)、E1(131㎡) 71㎡ 51㎡

A・B棟は単身~5人用のシェアアパートメント、C ~E棟は家族用住戸+カップル専用住戸となっており 、棟に応じて住戸形態を分けた。各住戸2面に、 1.2m幅のキャンチスラブのバルコニーを有しており 、それが集合住宅全体のファサードを成している。B

C棟の1階には集会場が設けられ、単身世帯から家族 世帯までが利用可能なつながりの場を提供する。また A棟2階にはシェアキッチンが設けられ、シェアルー ムをする他世帯同士の交流が期待できる。

家族用住戸玄関

家族用住戸玄関

家族用住戸吹抜け

家族用住戸リビング

06 豊洲公園図書館

2020 B2前後期 Design Studio|学内佳作

制作時期:B2後期設計課題 制作期間:2020.5-20207 建築用途:小学校・幼稚園 対象敷地:江東区辰巳一丁目

30m×30m×10mのボリュームをもつ図書館

図書館、内部空間に光を取り入れて建築を成り立たせるとともに、道路と公園に係る配置計画と外構設計が求められた。敷地は江東区豊洲2丁目にある「豊洲公園」。かつて造船所として栄えていた豊洲2丁目エリアは、ショッ ピングモールやオフィス、タワーマンション、区役所、豊洲駅へと再開発がなされ、中でも豊洲公園は目の前の東京湾と親水性のある憩いの場となっている。周辺は都営アパートや小学校など港湾時代の面影が残る一方、急激 なタワーマンションやオフィス、教育機関の開発が進み、さまざまなひとが豊洲を出入りするようになった。そんなさまざまなひとが行き交う豊洲にふさわしい、ランドスケープでオープンな図書館を設計しようと考えた。

Requirement

Professer

日埜 直彦 敷地 : 江東区豊洲「ガスの科学館」に隣接するポンプ場用地、敷地面積3,625㎡

規模 : 平面30m×30m、高さ10m

構造 : 鉄筋コンクリート造

諸室 : 一般閲覧室400㎡、開架書庫400㎡、児童閲覧コーナー100㎡、事務室100㎡、玄関ホール50㎡、      倉庫50㎡、機械室50㎡、その他(階段、トイレ、エレベーター、搬出入・管理用通用口)

外構 : 来館者用駐輪場20台、駐車場一般車4台、車椅子対応1台

30m×30mの限られた平面の中で、オープンで公園と一体と なるような図書館を目指して、図書館全体をスロープで構成し た。公園から全面的にスロープが始まり、一続きの地面が図書 館内へ延長されることで、公園と図書館の空間的な接続を実現 する。坂道の道中には本棚や個室・閲覧席が設けられ、公園 のような図書館として身体的な活動を許容する。スロープを 上った先には海を一望できる屋上広場が広がっており、豊洲 のランドスケープのような建物を目指す。

俯瞰模型写真 公園のような図書館として身体的なアクティビティを許容する

Diagram

①2階からM2階にかけてのスロープ内観

スロープの道中には勾配に合わせたキャレルが設け られ、2箇所に海を眺められるテラスが設置される

③3階の屋上階扉手前より2階を見下ろす

吹き抜けは2階と3階を視覚的につなげ、2階にハイ サイドライトをもたらす

②M2階から3階にかけてのスロープ内観

トップライトから光が充満する、スロープの道中に 本棚が置かれ、枝分かれのように目的に辿り着くこ とができる

④屋上階

目の前の運河を一望できる

07 飯田橋駅東口改良計画

2021 B3後期 Design Studio|スタジオ内最優秀

制作時期:B3後期設計課題 制作期間:2021.09-2021.12 建築用途:駅前ロータリー・駅コンコース・改札 対象敷地:千代田区飯田橋 ひとの移動空間のデザイン

JR飯田橋駅西口駅舎の建て替えに伴い、東口とその周辺を対象としたひとの移動・滞在空間である駅を提案する。

駅の安全性、バリアフリー等を確保しつつ、場所のもつ地理的・歴史コンテクストを読み解き、景観のなかに挿入する建築設計が求められた。 Requirement 敷地 : JR飯田橋駅東口と周辺  ※敷地範囲、規模、構造、諸室等は各自設定

赤堀忍 Professer

飯田橋駅

敷地はJR飯田橋駅東口とその周辺である。飯田橋駅は東京都千代田 区・新宿区・文京区にあるJR東日本、東京地下鉄東西線・南北線・ 有楽町線、都営地下鉄大江戸線の駅で、JR利用者数は1日55,488人 東京メトロ119,584人、都営22,323人(2020年)である。駅は外濠 の脇にあり、神楽坂、靖国神社、多くの大学、高校等の利用者があ る。サクラテラスが2014年に完成し、駅西口が2020年7月に建て 替えられたのに伴い、JRホームは西口方に約200m移設された。現 在、使われなくなった東口方のホームは閉鎖され取り壊されずに現 存している。東口周辺の現状課題を平面・断面的にリサーチしたう

えで、ただひとが移動するたの乗り換え駅としてだけでなく、魅力 的な滞在空間の提案を行った。

平面的問題

飯田橋東口周辺は、外堀通り・目白通り・大久 保通りが交差する「飯田橋交差点」やJR中央線 擁壁、外堀により飯田橋を南北に大きく分断し てしまっている。特にJR東口前の歩道は十分な 幅員がなく、待ち合わせに滞在できるような魅 力的なスペースも必要である。

断面的問題Ⅰ

飯田橋駅の地下鉄は同社の乗り換えでも、東西線改札と南北線・有楽 町線改札がそれぞれ別れており改札外乗り換えが必要となる。

業務、商業、住宅など

規模未定(2026年予定)

地上24階・地下2階建て、最高高さ約130m 延べ床面積約4万5700㎡(2026年予定)

さらに東口周辺では複数の街区にわたって再開発が予定されており 本設計では再開発を見据えた提案を行った。

その両改札を結ぶ180mほどある連絡通路は、断面的に外濠を避ける ため階段・エスカレーターの上り下りが生じ、特に東西線から地上・ JRへのバリアフリー動線は、2回のエレベーターの上り下りを要す。

断面的問題Ⅱ

主な南北線・有楽町線とJR乗り換え出口であるB2aとB2aは狭い通路でありながらも乗り換 え客が集中しており、特にラッシュ時間帯は混雑が目立つ。さらに地上と地下は、地下が迷 路のように地上と分離しており、それらを繋ぐのはバラバラに配置された狭い通路である。 このように地上と地下の視覚的なわかりずらさや貧弱な上下のネトワークが飯田橋駅の課題 である。

改修前俯瞰写真 既存駅舎と暗渠となった外堀に より人が滞在できる広場がなか った

改修後俯瞰写真

新に設けられた歩道橋とアーバンコアを結ぶペデストリア ンデッキは、飯田橋駅東口のファサードともなっている。

新に高架下に駅に必要な諸室や店舗を移転させることで、 ただ通り過ぎるだけだった東口に新な滞在空間が生まれた 。外堀の暗渠を復活させ親水空間を生み出した。

擁壁を取り壊し坂によるレベル差を階段で解消すること で通り抜けが可能になり、新たに東口駅舎のファサード が創出された。これにより駅前の歩道混雑を解消する。

駅南側擁壁取り壊しと歩道混雑解消

再開発予定街区

南北線・ 有楽町線改札

B1出口 高低差4mあった南北線・有楽町線と 東西線改札レベルを緩やかなスロ プで結ぶ 乗り換えの際の階段・エレベーターの上り下 りによる心理的なハ ドルを和らげる

EV(南北線-東西線JR/地上-歩道橋飯田橋)

EV(南北線-地上/飯田橋交差点)

将来的に再開発予定の 商業ビルとつながる

再開発予定街区

地下階平面図 地上階平面図(1/1000)

断面図(1/1200)

新に設けた地下コンコース アーバンコアが地下に自然光をもたらし視覚的に地上とつながる。

A4出口

移設により使われなくなったホームを撤去することで線路を見上げることができる

飯田橋交差点より東口を望む 暗渠だった外濠を再生し新に地上にブリッジと空中に歩道橋 とつながる歩行デッキをかけることで、親水性のある駅前広 場を創出する。

2020年3月、鹿児島県肝属郡錦江町の肥料販売店だったとある空き家をバー&カフェ・ゲストハウスに改修する、土間(飲食スペース)を設 計するコンペティションに参加した。

空き家改修プロジェクトはは、公設民営型で運営されたが、宮城県気仙沼市でゲストハウスを運営するCloud Japan 代表の田中惇敏氏と錦 江町地域おこし協力隊が代表となり、クラウドファンディングを通じて民間側も建設に係る予算を募った。住民のワークショップでの意見 を通じて、最終的に実空間が実現するまでのリノベーションをお手伝いした。

商店」の大家、浜園家は大根占町(現肝属郡)でいちばんの地主だった 。 現在客室や大広間となっている部分は、はまぞの商店従業員が寝泊 まりをする場所であった。多い時で 15人程度が一度に寝泊まりをし ていた。

10年前に最後の店長が店を閉めて以来、いままで空き家だったが、 2018 年に錦江町空き家リノベーション事業がはじまり、その第一号 物件としてゲストハウスとして改修プロジェクトがスタートした。

住民のワークショップを通じて、「みんなが気軽に集まれるような空 間」「サイクリストが寝泊まりできる場所」として、ゲストハウスと レストラン・カフェだけでなく、個人利用から時間制で大広間やレス トランを貸切利用でき、勉強会からママさんのお茶会、宴会などのイ ベントやワークショップなどにも利用されている。

現在は日本最南端のゲストハウスとして主に大隅半 島のサイクリストの宿泊所として利用されたり、住 民のレンタルスペースとしても利用される。平日は ランチとバー営業の飲食経営が行われる。

改修後ファサード
大広間

砥用町林業センターの模型展示

2023年11月17日 ~19日にかけてか開催された「TOKYO DESIGN WEEK」にてにて「建築やクリエイターを目指す若者 へのメッセージ」というテーマで、12名の建築家の建築模型 とその提案書を展示した。西沢研究室 西沢大良氏が本展に出 展し、展覧会にて展示を行う同氏設計の「砥用町林業センタ ー」の模型制作を研究室活動として行った。制作した模型は 表参道のスパイラルガーデンにて2日間の展示を行った。

砥用町林業センターの木

模型化の作業は、砥用町林業センターの青焼図面をCADへト レースするところから始まった。模型に必要な箇所をトレー スの後、Rhinocerasへの立ち上げを行った。砥用町林業セン ターは上弦材のスチールのグリッドに対して下弦材の木が

45°振れている。近代建築の梁の梁せいはスパンによって決 まっていたが、これはひとつの梁部材が独立して上下弦材が それぞれ圧縮・引張応力を負担していたからである。本建築 は上下弦材がひとつの梁として独立することなく45°振るこ とにより、建物全体で上下弦材が一体となり屋根を支えてい る。今まで均一の梁せいしか表現できなかった「トラス」に 対して、変化に富んだ梁せいが実現可能であるという提案で ある。実際に束(梁せい)が小さく構造的に脆い箇所を、梁せ いが大きな場所が負担するという形で、構造的に弱い箇所を 強い箇所が支えるようにして、全体的に天井を支えている。

これにより二面バレーコート部分は梁せいは小さく、ペリメ ーター部は大きくすることで、平面的な諸室要求に応じたト ラスによる天井高さを生み出している。それによって木によ るトラスの部材同士の接合の角度は200通りにも及び、現地 の熊本の唯一の職人のみが、その200通りの角度のけがきが 可能であった。現場で接合の角度を計算しながら立体的に木 材をけがいたという。

模型を実現する上でその木材同士のけがきを再現しなければ ならなかった。Rhinoceras上で実際の木材の接合角度を呪ミ ュレーションし、それを図面化することで、模型上でその職 人の手作業を再現した。

現代住宅研究

2004年に発行された塚本由晴氏と西沢大良氏に よる『現代住宅研究』を研究室活動として行っ た。実際に「住宅特集」の編集長の西牧厚子氏 をお招きし、1980年代・2000年代・2010年代の 「新建築」「住宅特集」の中から、明日を切り

開く可能性のある住宅作品をそれぞれが選出し、 プレゼンを行った。西牧氏からは編集者の目線か ら、その時代の作風やトレンド、建築家自身の建 築雑誌における建築写真のトリミングや見せ方な どの雑誌の読み方をレクチャーいただいた。

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