
吹奏する家族
環境と家族の繋がり、地域との繋がりを操作する暮らし方
学部 2 年後期建築設計 AⅡ 「SRC house」

建築設計 AⅡ 建築新人戦 出展
学内優秀作品
この住宅のクライアントは音楽に関わる仕事を志す私の友人である。
管楽器にはトーンホールと呼ばれる穴がいくつも空けられている。
住宅における窓はまるで管楽器のトーンホールのようである。
奏者が管楽器を演奏するように、
家族は、内部に開けられた窓を自分たち自身で操作する。
奏者が音を自在に操るように、
家族は、音だけでなく風の通り道、熱、気配といった様々な「トーン」を 自在に操りながら暮らしていく。

1,クライアント設定
実際の友人 M さんに協力をいただき、 理想の家族像や自身の趣味・理想の家について ヒアリングを行いながら設計した。

①友人
M さん 現在 20 歳、15 年後のマイホーム完成が理想
年齢:35 歳(15 年後)


仕事:ラジオディレクター、音楽関係
趣味:サックス(管楽器)の演奏、 DTM
(デスクトップミュージック)作曲、ドライブ
②夫
年齢:35 歳


仕事:サラリーマン
趣味:楽器の演奏、音楽を聴く、ゲーム、ドライブ
③息子
年齢:6 歳(小学 1 年生) 趣味:ゲーム、ペットと遊ぶこと
④娘
年齢:4 歳(幼稚園低学年) 趣味:読書、ペットと遊ぶこと
2,敷地地域選定


岩手県滝沢市牧野林・・・友人と自分の共通の地元。
クライアントの将来的展望を考慮し、 慣れ親しんだ土地であることから選定した。
課題における敷地条件規定

3,コンセプトダイアグラム
A, 機能を Public Private の グラデーション状に配置する
B, トーンホール(窓)をもつ管楽器(壁)を グラデーションに沿って挿入する
tone hole
tone hole
tone hole
tone hole
tone hole
tone hole





夏の南北風の取り込み・誘導 + 壁…Private の確保、窓…分断の回避
C, レイヤー状に配置された機能に 呼応するように機能を持った庭を配置する SRC
Sustainable(持続可能性)















Resilient(弾力性) Comfort(快適性) を実現
エディブルガーデン
雨水の再利用
植栽による日射制御
3,トーンホールによる風の操作
風を通したい夏の風向は、おおよそ南北方向
(2020 年以前の 10 年間のデータも同様の傾向)
1F平面図(S=1/100)















南北に延びた壁+縦すべり出し窓のトーンホール 空調設備の使用を減らし、エネルギー消費量を削減 夏の快適な生活環境 をつくる
風をつかんで取り入れる































キッチンの庭
日陰でも生育可能なミツバ、パセリ、シソなどを育てる。キッチンから近い距離にあるエディブルガーデン。
玄関に入った際に目の前に広がる景観。キッチンへの西日を遮る役割もある。
リビングの庭

キッチンからも見える。落葉樹によって季節ごとの日射をコントロールする。アイストップの役割も担う。


5,レイヤー状の庭の効果-Sustainable, Resilient, Comfort 玄関の庭
Public⇔Private のグラデーションをつくり、 トーンホールをもった壁を挿入する。








室内は、挿入した壁の間にレイヤー状に 機能が割り当てられる空間構成となる。
外構もまたコンセプトを引き継ぎ、 室内のレイヤー状の機能に呼応した 植栽や役割を選定することで、 視覚的・環境的豊かさを生み出す。









スタジオの庭
仕事の休憩場。敷地南北のアプローチから地域住民や音楽仲間を引き込み、周囲との関係性を強める。

浴室の庭
浴室からの景観となる。庭からの目隠しとしても機能。
レインガーデン

災害時には、付近に配置したトイレなどの水回りで使用することができる。


開放的な吹き抜けが階同士をつなぎ、家族のつながりを生む。
トーンホールを持つレイヤー状の壁が、外部の庭へと視線を誘導する。






