インキュベーションプログラム
被 災 地 のふるさと 起 業 家 レポート
ふ る さと 起 業 家 @ 福島県 喜多方 市小 田 付道 下
齋 藤 百 合 子 さん 起業プラン
女性のための喜多方グリーン・ツーリズム 「かったんこっとん」事業
会津起原の綿と喜多方の農資源をモチーフに、農商工官学が連携した 6 次産業を創出する。ま ず農家での年間の綿づくり体験と農泊をセットにし、女性を対象としたグリーン・ツーリズム 事業を行う。その滞在中に、これまでクローズアップされなかった喜多方の自然、工芸、技、 食を体験メニューに組み入れ、新たな喜多方の魅力を知ってもらい継続的な誘客につなげる。 ○ ウェブサイト:http://homepage3.nifty.com/azumaryokan/verino/kattan/kattan.htm
震災がもたらした 大きな課題
で用意しています。震災以降、観光や修学
いか、と思い、この経験は今後に生かした
旅行、合宿のほとんどがキャンセルになっ
いと思います。
2 月のビジネスプラン・コンペティショ
ており、人に来てもらってはじめて成立
ンで起業家認定を受けてから、開業そして
する私たちの事業にとっては、非常に厳
商品販売に向けて、プランの見直しや、農
しい状況となりました。
家など関係各所との打ち合わせ、そして販
被災者と地域との交流から 移住者が生まれた
促チラシの制作などを粛々と進めていまし た。事業の大きな柱である綿の栽培につい
ては、農家の方と一緒に講習を受けている
夫が経営する旅館では、震災後多くの被
ところでしたが、そんな最中に大震災が起
災者を受け入れましたが、喜多方には仮設
きました。
住宅が建つことはなく、せっかくの人口が
「千年に一度の大震災がなぜ東北でこの
増える機会を失ってしまいました。地域の
時期に…」という思いが今もって強くあり
人々の小さなコミュニティや思いやりが少
ます。喜多方を含む会津地方を支える基幹
なからず被災者の方々の支えになっていた
産業は、観光と農業であり、今後この震災
と思いますが、地域全体での素早い対応
がもたらす影響は計り知れません。
や創造力がもっと必要だったと思っていま
特 に 喜 多 方 は 市 を あ げ て の グ リ ー ン・
す。旅館にいらっしゃる被災者の方々に、
ツーリズムがやっと軌道に乗った矢先で、
日々の生活が安定してきた頃、私たちの事
「 女 性 の た め の グ リ ー ン ツ ー リ ズ ム
外国人の受け入れも多くなってきたとこ
業のネットワークを通じて、農作業のボラ
かったんこっとん」を事業化しようとした
ろでした。私たちの事業は、今まで子ども
ンティアをお願いしました。被災者として
一番の理由は、どんな時でも女性の明るさ、
や団体中心だったグリーン・ツーリズム
の暮らしから、日常に近い畑仕事をするう
逞しさ、柔軟性があれば、世の中なんとか
を、女性の個人客をターゲットに農泊農
ちに、このまま喜多方に住みたいと思い、
なるという思いからでした。いま日本全体
家で農作業や手仕事をしながら、年間を
喜多方移住を決めた方もいらっしゃいまし
が沈みがちではありますが、震災前と変わ
通じて<宿泊+体験>を楽しんでもらう
た。このことから、住みたい人と地域のマッ
らぬ笑顔で、私たち女性の笑い声を世間に
企画です。また、街なかの商工とも連携し、
チングがもっとスムーズにできていれば、
ふりまいて、前向きに活動していこうと思
蔵のまちにふさわしい体験をオプション
さらにたくさんの移住者が現れたのではな
います。
“ 女性のためのグリーン・ツーリズム ” をコンセプトにし た「かったんこっとん」は 2 月に行われたモニターツアー が好評を博し、震災後も再開の問い合せがくるほどに。
女性の明るさ・逞しさで 震災前と変わらぬ笑顔で前向きに
《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.4[震災特別号]
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