農六レポート Vol04

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インキュベーションプログラム

被 災 地 のふるさと 起 業 家 レポート

ふ る さと 起 業 家 @ 福島県 喜多方 市小 田 付道 下

齋 藤 百 合 子 さん 起業プラン

女性のための喜多方グリーン・ツーリズム 「かったんこっとん」事業

会津起原の綿と喜多方の農資源をモチーフに、農商工官学が連携した 6 次産業を創出する。ま ず農家での年間の綿づくり体験と農泊をセットにし、女性を対象としたグリーン・ツーリズム 事業を行う。その滞在中に、これまでクローズアップされなかった喜多方の自然、工芸、技、 食を体験メニューに組み入れ、新たな喜多方の魅力を知ってもらい継続的な誘客につなげる。 ○ ウェブサイト:http://homepage3.nifty.com/azumaryokan/verino/kattan/kattan.htm

震災がもたらした 大きな課題

で用意しています。震災以降、観光や修学

いか、と思い、この経験は今後に生かした

旅行、合宿のほとんどがキャンセルになっ

いと思います。

2 月のビジネスプラン・コンペティショ

ており、人に来てもらってはじめて成立

ンで起業家認定を受けてから、開業そして

する私たちの事業にとっては、非常に厳

商品販売に向けて、プランの見直しや、農

しい状況となりました。

家など関係各所との打ち合わせ、そして販

被災者と地域との交流から 移住者が生まれた

促チラシの制作などを粛々と進めていまし た。事業の大きな柱である綿の栽培につい

ては、農家の方と一緒に講習を受けている

夫が経営する旅館では、震災後多くの被

ところでしたが、そんな最中に大震災が起

災者を受け入れましたが、喜多方には仮設

きました。

住宅が建つことはなく、せっかくの人口が

「千年に一度の大震災がなぜ東北でこの

増える機会を失ってしまいました。地域の

時期に…」という思いが今もって強くあり

人々の小さなコミュニティや思いやりが少

ます。喜多方を含む会津地方を支える基幹

なからず被災者の方々の支えになっていた

産業は、観光と農業であり、今後この震災

と思いますが、地域全体での素早い対応

がもたらす影響は計り知れません。

や創造力がもっと必要だったと思っていま

特 に 喜 多 方 は 市 を あ げ て の グ リ ー ン・

す。旅館にいらっしゃる被災者の方々に、

ツーリズムがやっと軌道に乗った矢先で、

日々の生活が安定してきた頃、私たちの事

「 女 性 の た め の グ リ ー ン ツ ー リ ズ ム

外国人の受け入れも多くなってきたとこ

業のネットワークを通じて、農作業のボラ

かったんこっとん」を事業化しようとした

ろでした。私たちの事業は、今まで子ども

ンティアをお願いしました。被災者として

一番の理由は、どんな時でも女性の明るさ、

や団体中心だったグリーン・ツーリズム

の暮らしから、日常に近い畑仕事をするう

逞しさ、柔軟性があれば、世の中なんとか

を、女性の個人客をターゲットに農泊農

ちに、このまま喜多方に住みたいと思い、

なるという思いからでした。いま日本全体

家で農作業や手仕事をしながら、年間を

喜多方移住を決めた方もいらっしゃいまし

が沈みがちではありますが、震災前と変わ

通じて<宿泊+体験>を楽しんでもらう

た。このことから、住みたい人と地域のマッ

らぬ笑顔で、私たち女性の笑い声を世間に

企画です。また、街なかの商工とも連携し、

チングがもっとスムーズにできていれば、

ふりまいて、前向きに活動していこうと思

蔵のまちにふさわしい体験をオプション

さらにたくさんの移住者が現れたのではな

います。

“ 女性のためのグリーン・ツーリズム ” をコンセプトにし た「かったんこっとん」は 2 月に行われたモニターツアー が好評を博し、震災後も再開の問い合せがくるほどに。

女性の明るさ・逞しさで 震災前と変わらぬ笑顔で前向きに

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.4[震災特別号]

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