東京リテールマーケットダイナミクス 2025年第1四半期

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2025年第1四半期

主要指標

賃料 月額坪当たり

• 主要ブランドグループの新規出店プロジェクトが一巡し、需要はやや減速

• 2027-2028年竣工予定の商業ビルが着工 銀座3丁目中央通り沿いのNK-G3ビルなど

• 賃料と価格はともに上昇ペースが減速 今後は、価格の上昇は賃料の動きを反映する見通し

第1四半期に入り、実質総雇用者所得は緩やかに持ち直し、消 費者マインドはおおむね横ばいとなっている。訪日外客数は単 月として過去最高を記録している。このような状況下、1月の 小売業販売額は12.7兆円となり、前年同月比4.4%の増加となっ た。主要ブランドグループによるラグジュアリーブランドの新 規出店は一巡しようとしているため、需要はやや減速した。銀 座の中央通り沿いでは、2月にブリオーニが旗艦店を出店、ま た、7月にティファニーが新たな旗艦店を出店予定である。

第1四半期に新規供給は見られなかった。3月にNK-G3ビル建替 新築工事(仮称)が着工した。銀座3丁目中央通りに面する旧 日本香堂ビルの建て替え事業で、地上10階建て、延床面積2100 ㎡の規模の店舗、事務所ビルが2027年6月に竣工予定である。4 月にヒューリック青山ビル建替計画(仮称)が着工予定である。

表参道と青山通りの表参道交差点の角地に所在する。地上9階 建て、延床面積9700㎡の規模で、2028年4月に竣工予定である。

第1四半期の賃料は月額坪当たり99,660 円となり、前四半期比 1.0%の上昇、前年同期比8.9%の上昇となった。上昇は12四半期 連続となった。上昇ペースは4四半期連続で減速した。価格は 前年同期比1.4%の上昇、前年比10.8%の上昇となった。当期の 取引事例には、香港のガウ・キャピタル・パートナーズとシン ガポールのペイシャンスキャピタルグループによる東急プラザ 銀座の取得が挙げられる。ガウがビルの91%を、ペイシャンス が9%を所有する。

見通し

3月のオックスフォード・エコノミクスの予測によれば、個人 消費の成長率は2025年に0.9%に下方修正された。リスク要因に は、消費者マインドの動向が挙げられる。賃貸市場では、需要 は堅調であるもののやや減速していることから、賃料は上昇が 続くものの、そのペースは減速するとみられる。投資市場では、 投資利回りは横ばい推移するとみられるため、価格は賃料の上 昇を反映して上昇するであろう。

注釈:賃料は東京のプライムリテールの1棟の平均を参照。面積は貸床面積を 参照する。小売業販売額は東京都既存店を参照する。

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