With You 45

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第45号|2021年06月

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難民のために、難民とともに

WithYou

が滞り、難民や国内避難民はさらに深刻なリ は高校生の頃から各国へ単身で赴 き、支援活動を行ってきました。やり スクにさらされています。UNHCRは北東部 がいを感じる一方、個人での活動の におけるIDPキャンプおよび南部の難民居住 限界を感じる時もありました。国連職員を目 地での保護活動、支援物資の提供、最も脆 指して大学進学し、大学院在籍中にUNHCR 弱な人々の生計支援などを行っています。 駐日事務所で働き始め 別々の国に離れ離れに ました。日本の難民や難 なった難民の家族の再 民申請者のコミュニティ 会支援も UNHCR の仕 を強化する仕事を担当 事です。長期間の複雑 し、その後 UNHCRボス な法的手続きや交渉を ニア・ヘルツェゴビナ事 経て、再会の瞬間に立 難民支援の現場から 務所に赴任し、90 年代 ち会える時が一番幸せ 「歩いて戦闘から逃げてきました」 のボスニア戦争の被害 23 を 感じます 。一 番 嬉し 2020年11月、南スーダンから 者である国 内 避 難 民 かったのは、難民の夫婦 コンゴ民主共和国に逃れたベ 進藤ブラーテン美生 しんどう・ブラーテン・みお (IDP )支援、欧州難民危 の元に産まれパスポー ティさん。UNHCRの支援で農 機 の 際はシリア等から 業を始め、生後7か月の娘を背 トを持たなかった、難病 の難民保護にあたりまし に畑を耕しながら、笑顔を向け を患う子どものケース てくれました。 た。現在はナイジェリア です。父 親が難 民と認 でボコ・ハラム等武装集 定された国と交渉して 団から逃れる約 290 万 子どもに特別旅券を発 人のIDP支援や隣国カメ 行してもらい、母親と子 ルーン等から逃れてくる 東京マラソン2021チャリティ どもを父親の元に送り 6万5千人以上の難民保 ナイジェリアの国内避難民キャンプにて 2021年10月17日(日)開催予定 出すことができました。 護に携わっています。 (コロナ禍の発生以前に撮影) 東京マラソン2021チャリティへ 「これで適 切 な 医 療を ご 寄 付くだ さった 皆 様 に は 、 受けることができる」 と安 しました。 最もやりがいを感じるのは、難民が生活を立 心より感謝申し上げます。 て直すお手伝いができることです。緊急支援 UNHCRの目的は難民や庇護を求める人々の 皆様からのご寄付は、紛争で故 だけでなく、失った身分証明書の再発行や家 郷を追われた難民の子ども・若 権利を保護することです。政府による国際法 族との再会支援など、やりがいがある部分に 者の生きる意志につながるス の順守を監視し、難民の権利を主張し、緊急 ポーツや教育の支援に役立た は難しさもつきものです。資金は限られてお 援助や物的援助を提供します。 この目的に向 せていただきます。 り、苦境にある多くの人々の中でより脆弱な かって、職員が一丸となり達成を目指します。 ※寄付金受付は、2021 年 3 月 人々を助ける決定をしなければなりません。 私が生まれたとき、父は「美しいといえる生 31日(水)に終了いたしました。 私たちの仕事は声なき人の声を拾い、難民が 詳しくは以下ウェブサイトをご き方があるとすれば、 それは自分を鮮明にし より良い生活を見出すサポートをし、皆様か 確認ください。 た生き方である」 という、 むのたけじさんの らいただいた資金を最大限活用することです。 ◎東京マラソン2021チャリティ 一言から私を美生(みお) と名づけてくれま  公式ウェブサイト 個人的には、子育てと仕事の両立も大変だ した。愛情たっぷりに育ててくれた両親、祖  https://www.marathon. と感じます。2016 年に長男を出産しボスニ 父母に感謝し、名前負けしないような人生に  tokyo/charity/ ア・ヘルツェゴビナでは子連れ単身赴任でし したいと思っています。 国連 UNHCR 協会は東京マラ た。昼休みに授乳に帰ったり、息子を抱いた ソン2021・2022チャリティ事 皆様のご寄付は、難民 / IDPキャンプでのテ まま難民の相談を受けたり、出張に同伴さ 業の寄付先団体です。 ント、 食料やカウンセリングとなり、難民に せたこともありました。ナイジェリア勤務を とっての希望です。 UNHCRナイジェリア事 機に息子は夫に任せて単身赴任に。2020年 務所スタッフ一同、 支援者の皆様に深く感謝 に長女を授かり、私と共にナイジェリアで暮 ご寄付が無駄にならないよう最 らしています。日本では必要ない予防接種、 しています。 善を尽くして参ります。 今後ともよろしくお 腸チフスやマラリアの予防、仕事の合間の 願い申し上げます。 搾乳など大変なことも多々あります。

©UNHCR / Hugh Kinsella Cunningham

今号の表紙

WithYou 国連UNHCR協会ニュースレター [ウィズ・ユー]

2021年6月|第45号

発行 特定非営利活動法人 国連UNHCR協会 [国連難民高等弁務官事務所・日本委員会] 〒107-0062 東京都港区南青山6-10-11 ウェスレーセンター3F

Tel.0120-540-732 Fax.03-3499-2273 www.japanforunhcr.org

編集 国連UNHCR協会 デザイン NDCグラフィックス 印刷 凸版印刷株式会社

©Japan for UNHCR

本誌掲載記事の無断転載を禁じます。

ナイジェリアで最も深刻なのは、北東部での 絶え間ない襲撃と政府軍の応戦による不安 定な状況です。 また、 カメルーン難民を受け 入れる南部では資源の共有も限界です。新 型コロナウイルスの影響で物資輸送や支援

プロフィール……UNHCR ナイジェリア准保護官。 製菓専門学校卒業後、社会人経験を経て、早稲田 大学国際教養学部卒。東京大学大学院修士課程 修了後、博士課程在学中。2013年よりUNHCR勤 務。駐日事務所、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ事務 所(JPO派遣制度) を経て2019年より現職。

6月20日は「世界難民の日」 !

2000年に国連によって制定された「世界難民の日」。

紛争や迫害で家を追われた難民や国内避難民に思いを寄せ、連帯を 表す日です。今年も「#難民とともに」をキーワードに、音楽とスポー ツで 「生き抜くチカラ」 を応援するイベントを開催します。 詳細はこちらから!https://unhcr.will2live.jp/music2021/

©UNHCR / Claire Thomas

WithYou

国連UNHCR協会ニュースレター [ウィズ・ユー] 第45号|2021年6月

特集

| レジリエンス・立ち直る力

逆境を力に変えて

©UNHCR / Hugh Kinsella Cunningham

©UNHCR

From the Field

www.japanforunhcr.org


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