





難民の受け入れ国の負担の軽減は、世界が一体となって難民保護を促進していくための国際的な取り決め 「難民に関するグローバル・コンパクト( Global Compact on Refugees )*」のエッセンスの一つであり、 UNHCR の難民援助活動において欠かせない視点です。今号では、UNHCR の援助活動資金がもっとも不足し ている受け入れ国を中心に、苦境に立たされながら難民を受け入れてきた国々、その国の人々と難民がいま直面 している状況、緊急に必要な支援や縮小または削減を余儀なくされている援助活動についてお伝えいたします。
*難民が急増し世界各地で発生している危機への対応が急がれるなか、難民を取り巻く状況の改善、公正かつ公平な社会の実現を目指して、2018年12月の国連総会で採択 76%
数字で見る難民の受け入れ国情勢
難民とその他の国際的な保護を 必要とする人々の76%を受け入れて いるのは、低・中所得国です。
*難民とその他の国際的な保護を必要としている人々を含みます
難民またはその他の国際的な保護を必要としている人々です。
上記は、難民とその他の国際的な保護を必要としている人々を少なくとも1 万人受け入れている国に限定。UNRWA のマンデート下(任務下)にあるパレスチナ難民は除く
トルコでは世界最多 360 万人以上の難民を受け入れて おり、その大多数は隣国シリアから逃れている人々です。 トルコは国の制度下で難民に医療や教育、社会サービスを 提供し、労働市場へのアクセスを認めるなど、概して進歩 的な庇護政策でも知られています。こうして難民を支え続 けてきた国がいま、苦境に立たされています。
新型コロナによる経済的影響と物価の高騰は全土に 影響を及ぼし、難民世帯だけでなく多くの家庭が苦しい
生活になるなか、反難民感情も表面化しています。生計の 手段を失う人が増加し、職をめぐる競争も激化。UNHCR が各方面と連携し実施してきた社会的結束の強化や衝突 の緩和に関連した支援が、ますます重要になっています。
この状況に追い打ちをかけるかのように起きたのが、 今年2月の大地震でした。
UNHCRは地震発生直後から援助物資を輸送し、トルコ南 部の被災した地域でニーズ調査や保護活動にあたるなど、 緊急対応を実施。テント設営地で難民の状況や各種サー ビスへのアクセスをモニタリングし、特定のニーズを持つ 人々をシェルターや食料のセクターにつなぐ支援も行っ
てきました。政府やパートナー団体と連携し、現在も難 民と受け入れコミュニティの人々の命と生活を守るた めに活動を続けています。震災前から困窮した生活 を送っていた被災者の多くは、いまも支援が必要な 厳しい状況です。難民と長年彼らを受け入れてきた
トルコの人々への支援が、いまほど必要とされてい る時はありません。
シリア難民のためにつくられた滞在施設に身を寄せている一家。
現在同施設は、トルコ人と難民の被災者を受け入れている
地震で亡くなった兄と甥っ子の写真を見せるトルコ人の エルカンさん。息子を失ったお母さん(右)は涙を流していた 国際社会からの一刻も早い支援が必要です
いまこそ世界最多の難民受け入れ国を支えるとき
幾重もの苦難に直面する市民と難民
いま暮らしている国の7人に1人が難民だったら。そう想像 してみると、人口あたり世界でもっとも多くの難民を受け 入れている国、レバノンのおかれた状況がよりリアルに感 じられるかもしれません。同国はシリアから約79万人の難 民を受け入れていますが、過去数十年で最悪の社会・経済 危機のなかコロナ禍やベイルート港の爆発の影響も追い
打ちとなって、国民の半数が貧困ライン以下の暮らしを強 いられており、難民家庭の大半が貧困に直面しています。
重要なサプライチェーンの寸断、食料や医療、教育、その 他の基本的なサービスへのアクセスが限られている状 況があるなかで、大幅なインフレなどにより難民家庭は 借金を重ねています。急増する出費により、食事を抜く、 緊急性のある治療を受けない、子どもを仕事に送り出す など、生きるために苦渋の選択を日々迫られています。
2022年のコレラの流行は、水や下水などの主要なインフラ やサービスの状態を如実に示しており、緊急支援と長期的 な解決策なしでは公共サービスが崩壊しかねない状況にあ ります。受け入れコミュニティと難民の間では緊張が高まっ ており、いまレバノンでは、受け入れコミュニティの人々を 含めた“もっとも弱い立場にある人々への支援の強化”が援 助活動の柱のひとつになっています。受け入れコミュニティ との関係性の醸成は、避難直後や生活再建など、どのフェー ズにおいても、難民を守るうえで不可欠なものです。
資金不足で援助活動の縮小や削減を余儀なくされています
削減または縮小され、緊急に支援が必要な分野の一例
医療 難民の 41%がすでに 医療を受ける余裕がないなか、 資金不足により医療分野の 負担が増大。
非公式の難民居住地の改善作業 が縮小され、冬や洪水に関連した 脅威にさらされるリスクも。写真は 昨冬の越冬支援の様子
5 か国の食料価格の上昇率
エジプト イラク ヨルダン レバノン トルコ 51 % 45 % 4 % 1319 % 108 % シリア周辺
2020 年 8 月のベイルート港の爆発事故後 シェルター のための現金給付でレバノン人世帯を支援。レバノン赤 十字社が調整した多部門のニーズ調査を経て、爆発の影 響を受けたもっとも脆弱な 1 万 1700 世帯以上が対象に。
新型コロナ関連 病床の増設や ICU の設備の拡充 (人工呼吸器やその他の最新機器を含む)で病院を支援。 専用病院の施設拡張などにも尽力。
越冬支援 もっとも弱い立場にあるレバノン人家庭にも 冬季の現金給付や援助物資の支援を実施。4 万 4500 世 帯以上に越冬支援を届けました。
もっとも貧しい地域、チョコ県。女性の夜間の安全な外出や子どもたちの学 習のためにソーラーランプを届けた。先住民や農村、アフリカ系コロンビア 人のコミュニティは、紛争や暴力の深刻な影響をとりわけ受けている
60 年にわたって武力紛争が続くコロンビアの太平洋岸 に位置するチョコ県。同県を縦横に流れる川のほとりに 点在する集落のひとつで、カルロスさんは8 歳まで暮らし ていました。しかし、戦闘が集落の近くで起き、夜中に ジャングルに身を隠して家族とともに都市へ逃れました。 先祖代々住んだ村にとどまれば暴力の恐怖とともに生き なければならず、都市へ逃れれば伝統的な生活を捨て、 苦しい生活が続く可能性があることを意味していました。
現在カルロスさんは、UNHCR が支援するコミュニティ・ アクション・グループで自身と同じように暴力によって避 難を強いられた人々が新たな生活に適応できるよう手助 けし、若者のためのプロジェクトや課外活動に携わってい ます。「彼らの故郷には必要なものがすべて揃っていまし
た。基本的なニーズは満たされ、魚をとることも農作物の 栽培もできました。街にはもはや、そうした機会はなく、 人々は数々の困難に直面しています」。
現政権は国内和平への道筋を示し、またベネズエラとの関係 を正常化する決意を固めていますが、依然として国内避難民・ 難民に伴う多くの問題を抱えています。2016 年の FARC (コロンビア革命軍)との和平合意以降も国内で104万人以上 が避難を強いられ、国内避難民は680 万人以上にのぼります。 虐殺や子どもの徴用、ジェンダーに基づく暴力、地雷など、 数々の難題に直面する一方で、べネズエラから逃れてきた人々 を受け入れ、160 万人に一時保護許可証を発行しています* 。 避難や監禁をモニタリングし迅速に対応する協調的な取り 組みを強化するうえで、各地におけるUNHCRの存在は不可 欠です。しかし活動資金は不足しており、政府と協力し長期的
な解決策を模索して国内避難民や受け入れ コミュニティをサポートしていくために、
国際社会からの支援が一層必要と されています。
ベネズエラからの難民と移民
和平合意以降に国内避難民となった人々
104 万人
289万人 出典:data.unhcr.org/en/country/col
深刻な記憶障がいを抱 えながら一人で暮らす マリアさんのもとを訪 れたコミュニティ・アク ション・グループ
資金不足で援助活動の縮小や削減を余儀なくされています
必要額
1億 2210 万ドル 不足 62% 充足 38%
削減または縮小され、緊急に支援が必要な分野の一例 保護 オンブズパーソ
ン機能の強化に関連し た活動が大幅に縮小。
また紛争の影響を緩和
するプロジェクト(特に 武装勢力による徴用の 予防)も制限されました。
課外活動の 1コマ。「すべてを置き去り にしてきたときの無力感、絶望、悲しみ の渦。私が経験してきたことから、子ど もたちは自由になれているようです」と、 カルロスさん
現金の給付支援 現金の給付支給プログラムの縮小を 余儀なくされ、本来対象となる世帯の 12%しか支援でき ない状況に。
スーダン難民のラワビさんは、携帯の動画を見せながら突如戦渦に巻き込 まれた故郷のことを話してくれた
今年 4 月に勃発したスーダンの紛争は日本でも大々的に 報道されましたが、今も続く混乱によりスーダンから多く の人が逃れてきている国の一つがエジプトであることは 広く知られていないかもしれません。4 月中旬以降、同国 にはスーダンから31 万人以上の難民が逃れてきていま すが、エジプトはスーダンの紛争以前から29 万人以上の 難民・庇護希望者を受け入れており、現場のニーズは急 増しています。
エジプト南部に到着したスーダンの人々は、何日も過酷 な旅を続け、ほとんど何も持たずに到着しトラウマの兆 候も多くみられます。スーダンの紛争が長引いているこ とを踏まえ、厳しい経済状況が続くエジプトで逃れてき た人々の基本的なニーズを満たし、保護リスクを特定し て対応していくために、難民だけでなく受け入れコミュニ ティも含めた支援を実施していくことが重要です。
国際社会からの一刻も早い支援が必要です
1億 5140 万ドル 不足 72%
28%
「目を覚ました時、何が起きている のかわかりませんでした。ただ の夢ならいいのに、そう願 いました」と、ラワビさん
危機的な状況にあり、緊急に支援が必要な分野の一例
現金の給付支援 脆弱な家庭約 1 万 6000 世帯への多目 的の現金給付と、スーダンから到着したばかりの 11 万 5000 人への緊急の現金給付のために支援が必要です。 このままでは資金不足により、約16万人を対象にした冬季 の現金給付が実施できなくなり、多くの人が冬に不安定 な住環境にさらされホームレスになるリスクもあります。
緊急の現金給付を開始し、 申し込みに集まったスー ダンから逃れてきた人々。 現金給付は、受給者が必要 なものを市場で購入するこ とで、地域経済を支えるこ とにもつながる
教育 約 2 万 2000 世帯に教育手当の支援ができなく なり、避難先で教育を受けられない子どもが増加する 恐れがあります。
置き去りにされやすい地域 の教育の質がインターネット によって向上する、インスタ ント・ネットワーク・スクール。 左からシリア難民のファヤ ドさん、イエメン難民の エランさん、エジプト人の ラーマさん。難民と地域の ニーズに応じたさまざまな 教育支援を実施
医療 支援の基準を厳格化せざるをえず、医療支援の 対象者を削減。このままでは、慢性疾患に苦しむ難民の 患者約 8000 人に対して毎月の投薬治療の支援ができな くなり、命が危険にさらされるリスクも。スーダン難民の 増加に伴い、医療のニーズは増大しています。
登録 追加支援なしでは、新たに到着した人々の登録が できず、命を守る保護や支援の提供が遅延、またはでき なくなります。
2022年12月、コンゴ民主共和国からウガンダへ逃れてきた母子。ウガンダ に逃れている難民の 86 万人以上が子ども。うち7 万 1000 人以上は同伴者 がいない、または家族と離ればなれになった子どもといわれている
その歴史で長期にわたる内戦を経験し、多くの国民が他国 に避難していた時期があるウガンダは、現在アフリカ最多 の難民の受け入れ国であり、先進的な難民政策で知られ ています。同国では難民の就労や起業、移動の自由が認め られており、難民も国民と同じように教育や医療など基本 的なサービスにアクセスすることができます。しかし、難民
の 9 割が暮らすのはもっとも発展の遅れている地方で、 逃れてきた人々は経済的にも環境的にも苦しい状況にある ウガンダの人々とともに暮らし、地域の公衆衛生や教育面 に大きな負荷がかかっています。増え続ける難民に資源は 逼迫し、活動資金不足により支援は追いついていません。
たとえばナキバレ難民居住地では、10 年前の約 3 倍にあ たる16万人以上が暮らしています。難民と受け入れコミュ ニティに供給する水は推奨量( 1 人 1 日 20L )を満たせず、 1 人 1 日平均 13L です。今年コンゴ民主共和国から逃れて きたジャニーンさんは、家の貯水にも課題を抱えています。 「もっと水を貯めたいですが、水汲み容器が足りません。
食事の用意に1 つでは足りません」。
ウガンダでは食料支援が削減され貧血も深刻化しており、 難民の 90% が食料や現金の給付支援を必要としていま す。資金不足は栄養や保健・医療分野の支援など、これま で国や援助機関をはじめ多方面が協力し積み重ねてき たものを脅かしています。人々の基本的なニーズを満た し自立と生計を支え、難民の受け入れが環境に与える影 響を緩和していくために、アフリカ最多の難民受け入れ 国はいま、緊急に支援を必要としています。
「この蛇口は私たちを一つにしました。
水を汲むこの場所で人々は顔を 合わせるからです。ここで話し、 笑い、友達になるのです」と、
水管理委員会の長を務め る難民のレイチェルさん。
水の支援は、地域の調 和にもつながっている
資金不足で援助活動の縮小や削減を余儀なくされています
3億 4340 万ドル 不足 68%
32%
削減または縮小され、緊急に支援が必要な分野の一例
保健・医療 医薬品の継続的な確保が予断を許さない 状況に。また、すでに衛生キットの配布停止を余儀なくさ れており、女性の保護や健康に影響を及ぼしています。
患者に対応するビ レッジ・ヘルス・チー ム。約 2800 人から なる医療サービスと 住民をつなぐビレッ ジ・ヘルス・チーム の維持のためにも 緊急に支援が必要
輸送とロジスティクス 援助活動に必要な燃料の供給が 大幅に制限。新たに到着した人々の輸送などに使う燃料に 加え、援助物資の供給と輸送に不可欠な車両のメンテナン スも必要です。
到着した人々の 移動をサポートする 職員。依然として周 辺国から多くの人 が逃れてきている
2 月の地震で甚大な被害が発 生したトルコ・ハタイ県では、い たるところで建物が倒壊。難民 とトルコの人々の多くが、依然 として支援を必要としています。
ウガンダの難民受け入れ状況
ウガンダは 150 万人以上の 難民を受け入れています。北 部では北の国境を接する南 スーダンからの難民を多数 受け入れており、南西部には コンゴ民主共和国、ルワンダ、 ブルンジから多くの人が逃 れています。また、首都カン パラにも数十万人の難民が 居住しています。
ガンダのチャカ事務所に赴任して 2 年目の今年 3月、私は隣国ケニア にいました。UNHCR は、世界のど こかで緊急事態が発生した際に、各地から スタッフを集めて対応する体制を整えてお り、私も緊急対応の要 請に応じて普段援助活 動に従事しているウガ ンダのチャカ難民居住 地からケニアのカクマ 難民キャンプへ向かい ました。その時にわかっ ていたのは、ケニアに 数千人規模で難民が逃 れてきているというこ とだけで、どのような 理由で、どこから人々 が逃れてきているのか はまだわかっていませ んでした。現地に赴き 逃れてきた人たちのお 話を伺ってみると、実 は大多数の人が、私が 赴任しているウガンダ 南西部で登録されてい
ケニアからウガンダへ戻ることになったコンゴ 民主共和国出身の難民の女の子とともに
るコンゴ民主共和国や ブルンジ出身の難民だということがわかり ました。その背景には、ウガンダでの度重な る食料支援の削減がありました。
「第18回難民映画祭2023」
11月開催決定 難民となった人たちにも、 愛する家族や友人、大切な それぞれの人生があります。 映画は、困難を生き抜く
彼らの意志とその力強さ、 信念と希望を伝えてくれます。 世界各地から集めた珠玉の 作品を、リアルイベントと オンライン配信のハイブ リッドでお届けいたします。
開催期間
11月6日(月)~30日(木) 詳細はこちら▶info.japan forunhcr.org/rff18-wy50
国連UNHCR協会ニュースレター
[ウィズ・ユー]
第50号|2023年10月
発行 特定非営利活動法人国連UNHCR協会
[国連難民高等弁務官事務所・日本委員会]
〒107-0062
東京都港区南青山6-10-11
ウェスレーセンター3F
Tel.0120-540-732
Fax.03-3499-2273 www.japanforunhcr.org
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ウガンダ全土ではいま、多くの人が受け 取 る食料支援が 2020 年の約 30%まで減って います。その額は、1人あたり1か月 3ドル * ほどのわずかな金額です。こうした背景が あり、ケニアに行ったら今よりも支援を受け られるという噂を聞いて、多くの人がケニ アに移動したと考えられます。しかしケニ アの法律では、すでに別の国で難民登録を している人はケニアでもう一度登録するこ とはできず、支援を受けることはできませ ん。つまり今回逃れてきた人々の大多数は、 ウガンダに戻るほかないのです。二国間で は、こうした人々にいかにしてケニアから ウガンダへ戻ってもらうかという議論が 続いています。ウガンダの資金不足は支援 の削減に直結し、難民の方がより苦しい状 況に追い込まれ、隣国のケニアにも影響を 及ぼしています。
私の赴任しているウガンダ南西部は、同国 の西に位置するコンゴ民主共和国からの難 民を多く受け入れており、食料支援の削減 でもっとも影響を受けている地域です。
WFP(国連世界食糧計画)の食料支援はこ こ 2 年くらいで徐々に削減され、UNHCRと WFP はどの段階でどれだけの金額を、どの ような方を対象にして減らしていくかとい うことを協力して決めていますが、毎回苦
渋の選択を迫られています。また支援の削 減は食料だけでなくUNHCR の衛生用品の 配布でも起きており、難民の方の窮状と密 接に関わっています。もともとUNHCRは難 民の方に毎月石けんを配り、また10 歳~50 歳の女性には生理用の ナプキンや下着も配っ ていたのですが、それ も昨年ウガンダ全土で 削減を余儀なくされ配 布できなくなりました。 先日も難民の方々と ミーティングをしたと きに、物資の話が多く でました。「石けんやナ プキンをもらえなくな り、衛生的な生活が難 しくなっている」と仰っ ており、食料支援のわ ずかなお金で衛生用品 を買う人もいるそうで す。ウガンダでは学校 に無料で通うことがで きますが、給食などそ のほかに必要な諸々の お金はカバーされてい ないので、そうしたお金がなく学校に通う ことができない子どもも多くいます。ウガ ンダの難民に寛容な政策のもとでも、国際 社会からの支援なしでは、アフリカ最多の 150万人以上の難民を支え続けていくこと はできません。UNHCR としても難民の方 の窮状は十分理解しているのですが、予算 が足りずどうしても彼らに必要な支援を行 きわたらせることができないことは大変も どかしく、困難な状況に直面しています。こ うした事態はメディアからの注目度が低く 日本で広く報道されることもないかと思い ます。ウガンダでも多くの難民の方々が困 難に直面しながら生活しているということ に、一人でも多くの方に関心を持っていただ けたら、そう願ってやみません。
*1ドル147円(9月14日時点) 対象世帯の大多数が1人あたり1か月3ドル。ごく 一部のもっとも脆弱な世帯のみ2020 年の食料 支援の 60%の金額(約 5ドル)に留まり、今年7月 からはある程度収入のある家庭は完全に支援か ら除外されるなどより厳しい状況に。
プロフィール 2021年 6月よりUNHCRウガンダ チャカ事務所でフィールド担当官として勤務。 難民・庇護希望者の受け入れ、難民へのサービス 提供、ニーズ調査、物資配布およびプロジェクト のモニタリング、ウガンダ政府やパートナー団体 との連携を担当。過去には、UNHCR コンゴ民主 共和国および スーダン事務所(プログラム担当) や、UNDP(国連開発計画)、JICA(国際協力機構 青年海外協力隊)、NGOなどに勤務。