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貧困

極度の貧困の撲滅

2030

繁栄の共有の促進

繁栄

年次報告2013


目次 2 世界銀行グループ総裁兼理事会議長からの メッセージ

4 理事会からのメッセージ 7 貧困のない世界:

極度の貧困の撲滅と繁栄の共有の促進

23 地域別概要 48 世界銀行:IBRDとIDAの役割 52 2008–13年度 業務概要 54 2008–13年度 世界銀行によるテーマ別、 セクター別の融資

本年次報告は、2012年7月1日から2013年6月30日までの活動を対象に、国 (世界銀行と総称される)の理 際復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA) 事が、それぞれの機関の規定に従って作成したものです。IBRDとIDAの総裁 及び理事会議長を兼務するジム・ヨン・キム博士は、本年次報告、運営予算、 及び監査済み財務諸表を総務会に提出しました。 、及び投資紛争解決国 国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA) 際センター(ICSID)の年次報告は別途刊行されます。 本年次報告中のドル表記は全て、特に断りがない限り、米ドルの現在価額を 示しています。また、四捨五入の結果、表中の数字の合計値が総計と異なる 場合や、図中のパーセンテージの合計値が100にならない場合があります。 なお、本書中の「世界銀行」及び「世銀」はIBRDとIDAを指しています。また、 「世界銀行グループ」はIBRD、IDA、IFC、MIGA、及びICSIDを指しています。


極度の貧困の撲滅

「 2030年までに目標を達成するには、貧困をまず半減し、 さらに半減し、さらにもう1度ほぼ半減する― これを一世代のうちに達成しなければなりません」

目標:1日1.25ドル未満で生活する人口の割合を 2030年までに3%以下に削減

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懸念すべきは、常に平均成長率を下回っている 所得が下位40%の成長です。 深刻な格差を解消せずに中所得国あるいはそれ以上に 成長した国は、未だかつて存在しません。

繁栄の共有の促進 目標:各途上国の所得下位40%の福祉と所得拡大を促進

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生活する貧困層の割合 (総人口に占める割合、%)

貧困

1日1.25ドル未満(購買力平価ベース)で

̶ ジム・ヨン・キム

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繁栄

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極度の貧困の撲滅 繁栄の共有の促進 世界の貧困は過去30年間で急速に減少しました。2013年に極度の貧困状態に ある人口の割合は、1990年と比べて2分の1以下になっています。この傾向を たどれば、一世代のうちに極度の貧困が実質的になくなった世界を想像するこ とができます。しかし、世界で10億人以上が今なお貧窮しており、格差と社会 的疎外の拡大が見られる国もある中、近年の貧困削減の勢いを維持していくた めには克服しなければならない緊急かつ複雑な課題が山積しています。 そのような状況下で世銀グループは、こうした古くからある課題に対応する ための拠り所となる意欲的かつ達成可能な目標を定めました。具体的には、

2030年までに世界レベルで極度の貧困をなくし、途上国における繁栄の共有を 促進することです。そのためには、人口の所得下位40%の収入増の促進が必要 であり、繁栄の創出と経済成長の持続のために不可欠な、万人に機会を与える ための投資と格差の削減が図られます。また、開発成果が現在及び将来の世代 の幸福を害することのないよう、環境的、社会的、経済的に持続可能な形で目標 を追求していきます。

本年次報告では、世界銀行と総称される国際復興開発銀行(IBRD)と国際開発 協会(IDA)の取組みに焦点を当てており、世銀の取組み、すなわち世銀が業 務を行う6つの地域における支援とその成果、ならびに途上国で貧困を克服し 人々の機会を創出する活動の結果を掲載しています。またCD-ROMでは、包括 的な融資データ、組織に関する情報、詳細な財務諸表の他、最新の世銀コーポ レート・スコアカードを掲載した「2013年の成果」をご覧いただけます。 本文からも詳しい情報へのリンクが数多く張られている他、年次報告2013、 コーポレート・スコアカード、成果に関する以下のウェブサイトをご覧いただ ければ、極度の貧困を終わらせ、繁栄の共有を促進し、変革的な影響を与える持 続的な成果を達成することを目指した世銀パートナーと加盟国と世銀の共同 の取組みについて、さらに理解を深めていただけるでしょう。

worldbank.org/annualreport2013 worldbank.org/corporatescorecard worldbank.org/results


世界銀行グループ 総裁兼理事会議長からの メッセージ 我々は今、歴史上またとない好機に恵まれていま す。途上国が、過去数十年にわたる開発の成果と、 明るい経済的見通しという2つの要素により、一世 代で極度の貧困をなくすチャンスを得ているので す。この機会を逸してはなりません。 今年、世界銀行グループは、我々自身と開発 コミュニティのパートナーに対して、2つの具体 的かつ測定可能な目標を課しました。一つ目は、

1日1.25ドル未満で生活する人口の割合を2030年 までに3%まで削減することで極度の貧困を事実 上なくすこと、二つ目は、各途上国で所得の下位

40%の人々の所得を引き上げることによって繁 栄の共有を促進することです。 このような野心的な目標は、そう簡単に達成 されるものではありません。2008年に始まった世界金融危機から5年近くが経ちましたが、 世界経済の回復は依然として脆弱です。先進国は高い失業率と低成長に苦しみ、途上国で は成長率が危機前の水準を下回っています。さらに、目標を達成しようとすればする程、貧 困との闘いはますます困難になっていくでしょう。貧困状態に取り残された人々に到達す ることは、非常に難しいからです。 また、別の新たな問題が貧困削減への道のりを脅かすこともあるでしょう。紛争や政治 不安は貧困を増大させ、開発に対する長期的な妨げとなるなど、大きなリスクをはらんで います。さらに、地球温暖化によって干ばつが広がり、影響を受ける地域が拡大し、極端な 気象現象の発生頻度が高まり、人命や経済資源が予測不能な規模で奪われる可能性もあり ます。 それでも、目標達成は手の届くところにあると、私は今も楽観視しています。目標を達 成するには、世界銀行が、188の加盟国やその他のパートナーと体系的かつ徹底的に協力 する必要があります。 この先、開発課題に対処していくためには、世銀グループ全体としての相乗効果を見 出し、それを活用し、重点分野に我々の努力を集中させていく必要があります。2013年度、 世銀グループは加盟国の政府や民間企業に対して、総計526億ドルの融資、グラント、直接 投資、保証をコミットしました。このうち国際復興開発銀行(IBRD)のコミットメントは、

2012年の206億ドルに対して152億ドルでした。世銀グループの最貧困層向け基金である 国際開発協会(IDA)のコミットメントは、2012年の148億ドルに対して163億ドルでした。 本年次報告では、世銀融資が支援するプログラムやプロジェクトを数多く紹介し、世界 各国で極度の貧困の撲滅と繁栄の共有の促進にどのように取り組んでいるかを具体的に説 明しています。 エネルギー、環境、インフラ、保健、教育、そして各国のビジネス環境の改善は、いずれ も困難で複雑な課題です。雇用を例にとると、 「 世界開発報告2013」も指摘しているとお り、雇用は、男性、女性、そして若者が貧困から抜け出す転機を提供することができます。 また雇用は、個人の収入にとどまらず、生活水準、生産性、社会的結束への幅広い影響を通

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世界銀行 年次報告 2013


じて、社会に大きな価値をもたらします。途上国で創出される雇用の約9割を民間セクター が占めていることから、世銀は、官民両セクターならびにシビルソサエティのパートナー と協力して、貧困の削減と繁栄の共有に必要な民間セクター主導の雇用創出を促進してい きます。 しかし、開発目標を達成するだけでは十分ではありません。真の変革を恒久的にもたら すために、世銀は、環境・社会・経済的に持続可能な形での目標達成を目指していきます。 (全2巻)は、気候変動が開発成 例えば、2013年度に世銀が発表した報告書「温度を下げろ」 果に与える深刻なリスクを分析しています。世界で気温が2°C上昇すると、食糧不足が蔓延 し、かつてないほどの熱波に襲われ、サイクロンなどの極端な気象事象が激しさを増しま す。もし我々が直ちに協調した行動を起こさなければ、さらに深刻な状況を招く恐れがあ ります。今世紀末までに温暖化が4°C以上になるかもしれないからです。 このような脅威から、世銀は気候変動の問題を主要な開発課題の1つに位置づけていま す。世銀は、気候変動への適応と緩和の両方に関するプロジェクトへの融資を通じて、現在、

130か国と協力して気候変動に取り組んでいます。世銀は、クライアント国が、実例に基づ いた独自の解決策を用いて開発課題に取り組めるよう支援していきます。ボトムアップ型 の解決策を見出すためには、途上国や支援を享受する人々の声に耳を傾け、学び、連携して いかなければなりません。近年、目覚しい成果が上がっています。本年次報告ならびに添 (英語)でご紹介する実績の数々をぜひご一読ください。 付CD-ROMの「2013年の成果」 我々は今、絶好の機会の中にいます。極度の貧困をなくし、繁栄の共有を促進するため には、あらゆる人々の持続的な強い意思が必要です。世銀グループの幹部及び有能な職員 たちは、かつてないこの機会を最大限に活用すべく、誰もが望む世界、すなわち貧困がなく 全ての人が繁栄を享受できる世界を実現するために、力を注いでいく所存です。

ジム・ヨン・キム博士 世界銀行グループ総裁 兼理事会議長

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理事会からのメッセージ 世銀加盟国188か国を代表する理事会の理事25名は、世銀業務全般に責任を負い、総務会か ら委任された権限に従って職務を遂行しています。世銀協定に基づき、5名の理事は5大出 資国からそれぞれ1名が任命され、20名はその他の加盟国により2年ごとに選任されます。 総裁は理事会が選任し、理事会議長を兼任します。現在の理事会は2012年11月1日に選任・ 任命されました。 理事会は、世銀の業務全般及び戦略的方向性の指針となる政策の決定で重要な役割を 果たし、世銀の役割についての加盟国の見解を代弁します。また、総裁が提出する国際復 興開発銀行(IBRD)及び国際開発協会(IDA)の貸出・融資・保証、新規政策、運営予算につ いて検討し、決定を下します。さらに、世銀グループの各国の開発プログラムに対する支援 の支柱となる国別パートナーシップ戦略についても、世銀幹部や理事会が協議します。ま た、財務諸表、運営予算、更に会計年度ごとの世銀の実績についてまとめた年次報告を総務 会に提出する任も負っています。 理事会には監査委員会、予算委員会、開発効果委員会、ガバナンス・運営委員会、人事 委員会という常任委員会があり、各理事は1つまたは複数の委員会に属しています。これら の委員会は、政策や実務についての綿密な検討を通じ、理事会の監督責任の履行を補佐し ています。理事会運営委員会は、理事会の作業計画の策定で重要な役割を果たしています。 理事達は定期的に加盟国を訪問して、各国の経済的・社会的課題を直に感じると共に、 世銀グループが支援するプロジェクトの視察や、世銀グループとの協調について政府関係 者と意見交換を行います。理事達がその他に意見交換を行うステークホルダーは、政府関 係者、受益者、非政府組織の代表者、開発パートナー(経済界を含む)、現地の世銀職員など

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世界銀行 年次報告 2013


理事の氏名は次ページを参照。

です。2013年はアフリカ南東部と東アジアの国々を訪問しました。 理事会は、委員会を通じて、理事会直属の独立した組織である査閲パネル、独立評価グ ループならびに内部監査局や外部監査人に定期的に協力を仰ぎながら、世銀グループの活 動の有効性に注意を払っています。

2013年度の理事会の実績 開発課題が根強く存在し、世界経済が依然として脆弱な中、世銀は、環境的にも社会的にも 経済的にも持続可能な形で極度の貧困を撲滅し、繁栄の共有を促進するという、理事会と 総務会が目指す目標に向けた努力を続けています。理事会はまた、世銀幹部と協力して、こ うした目標の指針となる「世界銀行グループ戦略」の策定にも取り組んでいます。これに関 連して、理事会は、2013年春の世銀・IMF合同開発委員会で検討された「世銀グループの 共通ビジョン」についても協議しました。 世銀の目標達成に関する理事会の議論で中心的なテーマとなったのは、雇用、災害リス ク、ジェンダーです。雇用については、世銀の主要報告書「世界開発報告2013:仕事」及び それに続く政策指針の中で集中的に取り上げられています。災害リスクに関しては、 「仙台 レポート:災害に強い将来のための防災」を基に議論が行われました。他にも、災害リスク 関連で、食糧安全保障の問題、ハイチやサモアなどでの特定の災害に対する戦略と支援、国 連持続可能な開発会議(リオ+20)及びドーハ国連気候変動会議で提起された問題なども 議論のテーマとなりました。 「世界銀行グループのジェンダー平等アジェンダ実施状況(仮 題)」は、ジェンダーの課題について報告しています。理事会では、主要報告書「グローバル・ モニタリング・レポート2013:農村と都市の力学とミレニアム開発目標(仮題)」について も話し合われました。戦略と業務に関する議論では、紛争の影響下にある脆弱国が重要な (仮題)」も、今年 議題でした。 「世界開���報告2014:リスクと機会−開発に伴うリスク管理)

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10月にワシントンDCで開催される年次総会までに発表される予定です。 世銀グループの業務の有効性を確保するため、理事会は、融資に際してパフォーマンス と成果に重点を置くことを目的として、投融資政策の変更を議論し承認しました。また、調 達ガイドラインの改定と理事会議事録の公開拡大についても検討しました。さらに、理事 会で議論すべきIBRD・IDAプロジェクトの選定基準を設け、世銀の優先課題との整合性を 確保することによってコーポレート・ガバナンスの有効性を高める一連の施策を承認しま した。また理事会は、世銀がミャンマーに対して25年ぶりに、スリナムに対して30年ぶり に、それぞれ支援を再開したことを歓迎しました。 理事会は2013年度に315億ドルの世銀による支援を承認しました。このうち152億ド ルがIBRD貸出、163億ドルがIDAによる支援でした。理事会は22件の国別パートナーシッ プ戦略の検討も行いました。このうち21件は国際金融公社(IFC)と共同で準備されたもの です。また、世銀の2014年度運営予算19億ドルを承認しました(http://worldbank.org/

boards参照)。

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1: Merza Hasan; 2: Agapito Mendes Dias; 3: Satu Santala; 4: Roberto B. Tan; 5: John Whitehead; 6: Marie-Lucie Morin; 7: Shaolin Yang; 8: Gwen Hines; 9: Vadim Grishin; 10: Mukesh N. Prasad; 11: Mansur Muhtar; 12: Piero Cipollone; 13: Omar Bougara; 14: Ibrahim H. Alturki (alternate); 15: Gino Alzetta; 16: 鈴木英明; 17: Ingrid-Gabriela Hoven; 18: Denny H. Kalyalya; 19: César Guido Forcieri; 20: Juan José Bravo; 21: Sara Aviel (alternate); 22: Hervé de Villeroché; 23: Frank Heemskerk; 24: Jörg Frieden; 25: Sundaran Annamalai

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世界銀行 年次報告 2013


貧 困

繁 栄

持続可能性

貧困のない世界 極度の貧困の撲滅と 繁栄の共有の促進

世銀グループは、新たな段階へと進みました。2030年までに世界中で極度の 貧困をなくし、繁栄の共有を促進し、環境的・社会的・経済的に持続可能な 形でこれを遂行するという測定可能な目標を設定したのです。しかしこれ らの目標を達成するためには、経済成長だけでは持続的かつ弱者に配慮した 幸福な社会は築けないこと、世界各地の社会不安の高まりは経済的不平等や 包括的な機会の欠如が一因となっていることを、認識する必要があります。 また、国際機関及びその加盟国を含めた開発パートナーとの協力の強化も求 められます。こうした協力は、世界的な経済不安が継続している時代にあっ ては不可欠です。

貧困のない世界

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回復しつつも引き続き脆弱な世界経済下での業務 世界的な経済金融危機の始まりから5年以上が経ちました。途上国は概ね回復し、先進国を 上回るペースの成長を続けています。しかし、回復にはばらつきがあるため、世界全体で見 ると、多くの地域で引き続き成長が伸び悩んでいます。途上国における国内総生産(GDP) の平均成長率は2012年に5.0%まで低下しました。その大きな要因となったのがいくつか の中所得の大国で、特に第1 ∼ 2四半期に起きた経済の減速です。一方、高所得国でもリス トラや財政再建による逆風が続いていますが、次第に緩和され、今後数年間は緩やかな成 長加速が見込まれます。 途上国全体で見ると、堅調ながら控えめな経済成長となっていますが、2013年にはそ の潜在力がより反映されると予測されます。2012年下半期以降、途上国への資金流入が増 加し、一部の高所得国、特に米国で成長率がやや改善されたことが、このような世界的状況 の改善に寄与しています。 途上国の展望は地域によって大きく異なります。東アジア・大洋州地域では、中国の成 長鈍化の影響を受け、GDP成長率が2013年に7.3%に低下し、その後2年間はやや上昇する と予測されます。南アジア地域では、インド及びその他の国々の成長率が2013年にやや改 善されて5.2%となり、その後2年間はさらに改善すると予測されています。サブサハラ・ アフリカでも大半の国では堅調な成長が続いており、近い将来に4.9%まで上昇すると予 測されます。ラテンアメリカ・カリブ海地域では、成長率が3.3%に上昇したものの、一部 の国では生産能力の制約が潜在的な成長の妨げとなっています。中東・北アフリカ地域で は、アラブの春から続いている混乱の結果として成長が2.5%に減速しました。ヨーロッパ・ 中央アジア地域における成長は、引き続き域内でばらつきがあります。地域全体で見ると

2013年に約2.8%の成長が予測されていますが、ユーロ圏は2013年にマイナス成長が予測 され、中央ヨーロッパ及び南東ヨーロッパでは短期的に沈滞する見通しです。 世銀は、途上国に対し、物的、社会的、規制上のインフラ格差など供給面での障壁を緩 和するために、改革も含め、国内政策ニーズに重点を置くよう助言を続けています。また、 各国に(例えば、公的債務を比較的低水準に維持するなどにより)通貨面や財政面でのバッ ファーを徐々に回復させるよう助言しています。そうしたバッファーは、金融危機の際に多 くの途上国で危機への対応をある程度可能にしました。社会的セーフティネット、保健、教 育を手当てする財政的余力のあった国では、最も貧しい人々が今回、過去の景気後退時ほど の打撃を受けずに済みました。現在、多くの国で財政面及び通貨面のバッファーがほとんど 失われていますが、経済成長が達成されれば、痛みを伴う公共支出削減を行うことなくバッ ファーを次第に回復させることができます。実現するかどうかは、生産性の向上、そしてイ 。 ンフラ、 人的資本、 ガバナンス向上への投資にかかっています(worldbank.org/gep参照) 国家の経済的繁栄のためには、公的債務の管理強化が極めて重要です。2009年以降、世 銀は59か国に対して債務管理に関する技術協力を提供してきました。最貧国に対しては、 重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ及び多国間債務救済イニシアティブ(MDRI)を通じ た債務削減を提供しています。2012年には、コモロ、コートジボワール、ギニアの3か国が、 両イニシアティブにより全額債務救済を受けました。プログラムを開始したものの完了し ていない国はチャドのみで、一方、こうした債務救済イニシアティブがまだ完全に実施さ れていない、もしくは恩恵を享受していない潜在的な適格国は、エリトリア、ソマリア、スー ダンの3か国のみです。

成果

470万世帯 2013年現在、パキスタンのベナジール所得支援プログラムで 支給を受けている世帯数。

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世界銀行 年次報告 2013


アゼルバイジャン:Allison Kwesell/世界銀行

共通目標に向け、世銀グループ一丸となって 世銀グループはこれまで、貧困削減を中心的使命として取り組んできました。しかし、劇的 な変化を遂げている昨今の世界でこの目標を達成するためには、世銀グループが1つの機 関へと進化していくことが求められます。 キム総裁は就任後まもなく、理事会、ステークホルダー、職員、そしてより幅広い国際社 会との間で、貧困撲滅の障壁とソリューションについて、世界的な対話を行いました。世界 中から寄せられた情報に基づき、キム総裁は、世銀グループの使命達成に向けて、2つの意 欲的かつ達成可能な目標を提案しました。それは、極度の貧困の根絶と繁栄の共有の促進で す。この提案は2013年春季会合で世銀グループの開発委員会によって承認されました。 極度の貧困状態にある人々は約12億人に上り、これは途上国全体の人口の約21%に相 当します。2030年までに極度の貧困を撲滅するという目標が達成されれば、1日1.25ドル 未満で暮らしている人々の割合が全世界で3%未満まで減ることになります。 繁栄の共有の促進には、個々の途上国で最も貧しい40 %の人々と貧困に陥りやすい 人々の所得拡大を促進する必要があります。この目標を達成するには、裕福でない人々の 生活水準の限りない改善を促すと共に、市民全員に機会を創出するための投資が必要です。 上記のいずれの目標も達成は可能です。こうして目標に的を絞ることにより、保健、教 育、衛生、インフラをはじめ、貧しい人々の生活が向上し貧困から抜け出す道筋を提供する サービスの国ごとの進捗状況が明確になります。新たに設けられたこの2つの目標を達成 するための、最初の実践的な取り組みが既に始まっています。2013年4月、世銀はインドの 新国別パートナーシップ5か年戦略を承認しました。この戦略は、貧困削減及び最貧困層に 繁栄をもたらすための具体的な目標を定めている他、4億人に上るインドの貧困層の多く が暮らす低所得州へと世銀支援の焦点の転換を図っています。 持続性のある開発成果を支えるため、世銀グループは、環境・社会・経済的に持続可 能な形で目標に取り組んでいます。開発と貧困削減に向けた持続可能な道筋とは、地球の 資源を将来の世代のために管理することです。貧困を削減し繁栄の共有を促進するため に必要となる急速な経済開発を、行き届いた環境管理と両立させる唯一の方法がグリーン 成長です。開発と貧困削減に向けた持続可能な道筋では、経済的恩恵のみならず、全ての 人々の発言権とエンパワメントの点でも、万人を糾合した社会の構築が含まれます。万人 にとってのより良い平等な機会を促進する社会であれば、持続可能な開発に必要となる幅 広い支援が達成される可能性が高まります。そして最後に、開発成果が短期的なものにな らず、また将来の繁栄を犠牲にして達成されることのないよう、長期にわたり経済的に責 任ある政策であるべきです。最も適切な政策とは、貧困を永久に追放し、将来の負担を抑 貧困のない世界

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えられるものです。 世銀グループは、その豊かな専門性と資源を活かし、加盟国やパートナーと共に開発問 題に対する創造的かつ革新的なソリューションを見出していくことができます。しかし、 新たなプログラムやサービスも、それを必要としている人々に効果的に提供できなければ 意味がありません。世銀グループは、何が開発を促進するかについて豊かな経験を備えた 「ソリューション・バンク」としての役割を担っており、パートナーやクライアントと共に、 デリバリーの問題を解決することやプロジェクトの恩恵を享受する市民からのフィード バックをリアルタイムで得ることのできる知識、ツール、世界的な支援ネットワークの構 築を図っています。そうした要素が集まってできたのが、プログラムやサービスを提供し て質の高い成果を達成するための状況に応じたソリューション「デリバリーの科学」です。 このアプローチは、国別の開発戦略や開発目標に有効な資源や支援の確実な提供を目指し ています。 長く続く世界的課題に直面しながらも意欲的な目標を達成するため、世銀グループは 組織・制度の改革に着手しました。2013年度初め、世銀グループという機関がどのような 状態にあり、対外的にも組織内でも将来どのような方向に進むべきであるかを理解するた めに、世銀幹部が職員からの意見を集めました。こうして得られた評価は、世銀の強み、弱 点、改善すべき分野を明確にしました。職員と幹部により、改善すべき分野として、 「戦略上 の重点分野」、 「知識とソリューション」、 「クライアントへの影響と成果、説明責任、リスク」、 「リーダーシップ、人材、適性」、 「グローバル・フットプリント」という5つの領域が定めら れ、各分野を担当する作業部会が2013年6月末までに提言を協議して提出することが決ま りました。世銀幹部は、そうした提言に基づいた世銀グループの戦略文書を、2013年の年 次総会で開発委員会に提出することを約束しました。 世銀グループとして総合的なサービスを提供するため、注目すべき変革が既に着手され のそれぞれの対外 ています。グループ内のIBRD、IDA、IFC、多数国間投資保証機関(MIGA) 関係、情報技術、人事の各機能を統合し、世銀グループ統合サービスとしました。投資紛争 解決国際センター(ICSID)も加わり、グループの相乗効果向上による有効性の向上が期待 されます。 世銀グループ内での協調が大きな価値をもたらし得る分野や機会を特定する取り組み も始まっています。この共同アプローチは、地域・国レベルでの様々な戦略的重点分野に 変化をもたらします。コートジボワールで最近行われた電力プロジェクトは、グループ機 関が力を結集させた良い例です。IDAは、コートジボワールの電力部門における財政の持 続可能性の問題に対する助言や取り組みを進めてきましたが、その多年度にわたる包括的 な活動を足がかりに、IFCとMIGAがアジト独立発電所の拡張を支援する民間資金を動員し ました。紛争後の国においてIFCとMIGAが民間セクターの資金を動員する上で、IDAの関 与と支援が極めて重要な助けとなりました。IFCは3億5000万ドルの融資パッケージを手配 し、MIGAは同プロジェクトへの主要投資機関の1つが株式投資を行うにあたり政治リス ク保証を提供しました。今後、こうした相乗効果を開発課題に適用していくことにより、世 銀グループが支援するプロジェクトのインパクトを増幅できると期待されています。 こうした世銀グループの全行的な改革に加え、世銀は、シビルソサエティや民間セク ターなどの非公的な組織の関係者、あるいは議員などとのパートナーシップを深化してい ます。2012年の年次総会及び2013年の春季会合では、互いの関心事項をテーマにした様々 な政策対話やイベントが開催され、多くのシビルソサエティ組織が参加しました。

成果

3,500件 2012年にコソボで公共事業プログラム���通じて創出された 臨時雇用。

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世界銀行 年次報告 2013


コンゴ民主共和国:Dominic Chavez/世界銀行

世銀は、その最大の使命である貧困削減に世界中のステークホルダーが積極的に関わ れるよう、様々なソーシャル・メディア・ツールを活用しています。8月、キム総裁は、世 界中の人々に「貧困をなくすのに必要なことは」と問いかけ、意見を募りました。これに対 して90か国以上から1万2000件を超える回答が寄せられ、さらに約22万人がフェイスブッ クを通じて対話に参加しました。 プロジェクト開発の高い水準を維持するため、世銀は、調達ガイドライン及びプロジェ クトの環境・社会面のセーフガード・ポリシーの改訂に着手し、こうしたポリシーがさら なる効果を上げるよう世界各地で協議の場を設けました。さらに、革新的な融資ソリュー ションも順調に実施されており、新たな融資手段であるPforR(成果連動型プログラム融資 制度)はその導入から1年半の間に、7件の新規プロジェクト(エチオピア、モロッコ、ネパー ル、タンザニア、ウガンダ、ウルグアイ、ベトナム)が着手されており、融資承認額の合計は

11億ドルに上りました。現在、それ以外に12件のPforRプロジェクトが準備中であり、融資 承認額は合計20億ドル近くになる見込みです。

MDGs達成に向けたパートナーシップ 世界のリーダーは2000年に、最も貧しい人々の生活を向上させるために意欲的な行動計画 「ミレニアム開発目標(MDGs)」を定めました。その達成期限まであと2年足らずとなって います。8つのMDGsに含まれる21の具体的な目標のうち、これまでに全世界で達成された ものは4つしかありません。しかし、その中に、最貧困人口の半減という最も大きな目標が 含まれています。この目標の達成には、中国の近年の経済成長によって約6億人が極度の貧 困状態から抜け出したことが大きく貢献しています。 それ以外のMDGsについては進捗が遅れており、特に教育と保健に関係した目標での遅 れが顕著です。初等教育修了の目標は、2011年には達成圏内に入るはずでしたが、目標の 半分しか前進していません。5歳未満の乳幼児及び妊産婦の死亡率、そして深刻度合いは高 くないものの基本的な衛生設備へのアクセスについての進捗は、世界的な目標達成に向け た軌道から大きく外れています。これらの目標を2015年までに達成するためには、歩みを 大幅に加速させる必要があります(worldbank.org/gmr2013参照)。 資源が限られ、経済的重圧がある中、途上国がMDGsや開発目標全般を達成できるよう、 国際機関間の協力をより効果的に進めていくことがこれまで以上に重要となっています。 世銀は国連をはじめとするパートナー機関との協調を強化していますが、このことは2013 年春季会合への潘基文国連事務総長の参加や、5月のキム総裁と潘事務総長によるアフリ カ大湖地域への訪問からも明らかです。 貧困のない世界

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成果

180万人 タンザニアで2012年に改善された水源を使用できるように なった人の数。2005年の35万人と比べて400%以上増加。

気候変動問題への取り組み 世銀は、経済開発や貧困との闘いに脅威となって立ちはだかる気候変動への途上国の取り 組みを支援するため、新たな戦略を進めています。国際社会がただちに大胆な行動を起こ さなければ、地球温暖化によって過去数十年間にわたる開発の歩みが後退し、数百万人に とって繁栄が手の届かないものとなってしまいます。 世銀が2012年11月に発表した報告「「温度を下げろ、世界の気温4°C上昇を避けなけれ ばならないのはなぜか(仮題)」は、気候変動がもたらす、特に途上国にとっての悪影響を分 析し、そうした影響の緩和と途上国の適応への支援のために国際社会が協調行動をとるこ とを訴えています。 「極端な気候現象と地域的影響、強靭な社会構築の必要性)」という副題 が付けられた続編では、2°C上昇と4°C上昇の2パターンを想定し、3つの途上地域につい て、農業生産、水資源、沿岸生態系、都市に及び得る影響を指摘しています。また、世界の気 温上昇によって最脆弱層の健康や暮らしへの脅威がいかに高まり、各地域が抱える問題が どれほど悪化するかが示されています。現在、世銀は130か国と協力して気候変動への取 り組みを進めています。具体的には、都市によるグリーン成長戦略の採用や気候変動への 対応力の構築支援、気候変動対応型農業手法の構築、エネルギー効率と再生可能エネルギー のパフォーマンスの両方を高める革新的方法の見極め、化石燃料補助金の削減と最終的に 排出権価格の安定化につながる政策実施での政府支援があります。

2013年度、世銀は気候変動の緩和に41億ドル、適応に29億ドルの融資を行いました。 途上国の気候変動対策に必要な資金を、気候変動ファイナンスを通じて民間から調達する グリーンボンド市場では、世銀のグリーンボンドがその拡大を主導しています。世銀は、

130か国との協力の下、気候関連の具体的な取り組みを進めています。例えば、効率の悪い 白熱電灯4500万個の交換(メキシコ)、140万世帯への太陽エネルギーの提供(バングラデ シュ)、干ばつ被害に遭った780万人を支援する社会的セーフティネット(エチオピア)など があります。また、リスク評価やリスク管理でも各国と協力しており、その一例として、海 面上昇や気候関連の災害に対して脆弱国の1つであるベトナムで洪水リスクのパイロット 調査を実施しています。 世銀グループが支援する再生可能エネルギー及びエネルギー効率の関連投資は、規模、 多様性共に高まりつつあります。これからの電力アクセス拡大プロジェクトには、実行可 能あるいは適切である限りクリーン・エネルギーの側面を採り入れていきます。例えば、 ケニア及びガーナでオフ・グリッドの太陽光照明市場を構築した「アフリカに光を」プロ ジェクトは、アフリカ大陸全域、さらにはインドまで拡大されており、対象人口を2030年 までに2億5000万人に増やすことを目標としています。 世銀はまた、農業、気候、そして食糧安全保障という三重の効果をもたらす気候変動対 応型農業を支援しています。気候変動対応型の農業技術は、農業生産性と収入を高め、気候 変動に対する農業の対応力を強化すると同時に、気候変動の緩和にも貢献します。気候変 動対応型農業には、天気予報の精度向上、干ばつや洪水に強い作物、リスク保険といった革 新的な方法も含まれます(worldbank.org/climatechange参照)。

紛争影響下や脆弱な状況に置かれている人々への支援 極度の貧困を終わらせるためには、世界の総人口の約4分の1が暮らす紛争影響下の脆弱な状 によると、こ 況に特に注力する必要があります。 「グローバル・モニタリング・レポート2013」 うした国々のうち20か国がMDGsの21目標のうち少なくとも1つを最近になって達成してお

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世界銀行 年次報告 2013


り、うち8か国は最貧困人口の半減という目標を達成し、さらに6か国が2015年までに個別の 目標達成に向けた軌道に乗っています。しかし、苦労の末に得られたこうした成功も、紛争や 危機が再燃すればせっかくの進歩が覆される可能性があり、確実なものとは言えません。こ うした国々が対応を持続させるためには、国際社会が支援を継続していくことが不可欠です。 現在、又は最近まで紛争の影響下にあった国では、治安維持と法整備が重要な課題とな ります。社会の安定と開発に向けた努力に安全は不可欠であることから、世銀は、武装・動 員解除、社会復帰支援といったこれまでの支援範囲をさらに広げています。様々な手段を 用いて政府の犯罪・暴力対策を支援すると共に、法整備についても新たな領域を切り開い ています。また、現在進められている世銀の内部改革が組織の有効性を高めつつあります。 こうした改革には、紛争や脆弱性の増幅要因に対処する国別戦略、特に対象を絞った業務 政策の確立、ベストプラクティスの共有、当該国における進捗状況の徹底したモニタリン グ、紛争影響下の脆弱な状況での資金調達の安定回復などが含まれています。世銀はまた、 紛争影響下の脆弱な状況で働くチームへの支援も強化しており、ナイロビに設置した世界 銀行紛争・安全保障・開発センターを拠点に支援体制を拡大しています。

2000年以降、IDAは紛争影響下の脆弱国に220億ドル以上を提供してきました。困難 な環境にも関わらず、IDAプロジェクトによってこれまでに1000万人の子どもが予防 接種を受け、150万人の妊婦が産前ケアを受け、40億ドルの債務削減が実施されました (worldbank.org/fcs参照)。

教育と保健への投資 良質な教育や医療を誰もが享受できるようにすることは、経済開発で欠くことのできない 要素です。世銀は途上国における教育支援の主要機関であり、支援額は72か国に対し合計

93億ドル以上に上ります。2013年度の教育プログラムへの投資は約29億ドルでした。この うち13億ドル近くが基礎教育のためのIDA融資承認額です。 世銀は、2011年に開始した教育戦略「万人のための学習」に基づき、国ごとに異なる状 況の中で、何が有効かを確かな実証で裏付けた教育改革を促進しています。また、100か国 近くで、教育成果向上のためのシステム・アプローチ(SABER)で開発された分析ツールを 活用しています。SABERとは、途上国が自国の教育政策の評価を行い、教育システムの成功 のための実施可能な重点課題を特定するために役立つ世界的な知識プラットフォームで、 幼児教育、学習到達度評価、教員研修、資金調達、労働力開発などの政策分野が対象です。 教育改革の重要な要素の1つが、サービスの改善です。例えばインドネシアでは、学校 へのグラントが学校改善計画の達成に役立っています。ナイジェリアでは、中等学校に支 給される業績ベース・グラントは、テストの成績と教員の出勤率に基づいています。ガー ナ、カザフスタン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国では、職業訓練により、新興の経済 セクターでの技術構築プログラムの質や関連性が向上しつつあります(worldbank.org/

education参照)。 保健システムを強化し、途上国で万人のための医療へのアクセス確保を支援すること は、世銀業務の中心的要素です。2013年度、世銀は、保健・栄養・人口プログラムに24億 ドルを上回る投資を行い、65か国におけるポートフォリオは総額87億ドルに上りました。

2013年5月の世界保健総会においてキム総裁は、2030年までに極度の貧困を終わらせ繁 栄の共有を促進するために、良質で手の届く保健サービスを誰もが享受できるよう各国に 訴えました。また、世銀グループとして、各国がユニバーサル・ヘルス・カバレッジを追求

成果

100万人以上 紛争影響下のスリランカで2004年以降、コミュニティ主導の 支援プロジェクトにより暮らしが改善された人々。

貧困のない世界

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アフガニスタン:Graham Crouch/世界銀行

する中で、2つの分野で取り組みを支援することも明言しました。一つは、医療費の負担に より貧困に陥る世帯が生まれないようにする、そしてもう一つは、あらゆる国で所得下位

40%の人々の保健サービスへのアクセス及び公衆衛生保護の格差解消です。 2013年度世銀は、途上国が、良質で安価な医療への公平かつ普遍的アクセスを財政的 に持続可能な方法で確保し、国民が病気のために貧困に陥ったり貧困が深刻化したりする ことのないよう、融資、最新の研究、政策助言を提供しました。成果主義に基づくアプロー チにより、世銀による資金援助を具体的な成果と結びつけることが可能になっており、特 に最貧国における母子医療サービスの質向上や提供範囲の拡大においてこれが顕著です。 世銀の保健戦略で重点が置かれているのは、性と生殖に関する保健医療へのアクセス拡大、 幼児期の栄養に関する支援の拡大、HIV /エイズやその他の伝染病の予防の3分野です。 本年度、世銀は開発パートナーや加盟国と共に、国際保健パートナーシップ(IHP+)へ の参加を更新しました。IHP+は、政府、開発機関、シビルソサエティなどと、国主導による 単一の国家保健戦略を十分な調整を行った上で支援するものです。IHP+のパートナーは、

2015年のMDG期限までの残された期間内に保健に関するMDGsを達成できるよう途上国 を支援しています(worldbank.org/health参照)。

女性の機会の促進 ジェンダーの平等は競争力と公平さを長期的に高める要素です。女性を開発プロセスの中 心に置くことは、正しいだけでなく、経済合理的と言えます。女性への投資不足は貧困削減 への足かせとなり、経済的・社会的開発を制限してしまいます。このため世銀は、ジェンダー 問題を、あらゆる世銀プログラムの主流に据えるよう努めています。 本年度、世銀プロジェクトの97%がジェンダーの視点を取り入れました。これは融資 総額の98%、金額にして約310億ドルに相当します。例えば、パキスタンのパンジャブ州で は、世銀の支援を受けた政府プログラムにより、40万人以上の少女に出席率に基づいて給 付金が支給されました。 ジェンダーはIDA16(2012 ∼ 14年度を対象とするIDA第16次増資)の特別テーマにも

成果

44% コートジボワールで2012年に抗レトロウィルス治療を受けた HIV感染妊婦の割合(2007年は0%)。

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世界銀行 年次報告 2013


成果

270万人 アフガニスタンにおける2012年の就学女児数 (2002年は19万1000人)。

なっており、IDAは世界の最貧困国におけるジェンダーの取り組みに資金を提供するのみ ならず監視も行っています。世銀は、コーポレート・スコアカード及びIDA16成果測定枠 組みに基づい���、ジェンダー問題への取り組みをモニターしています。

2012年7月、世銀は、世界開発指標(世銀が世界各国の主要な開発指標をまとめた刊行 物)や各国の統計機関、国連データベースなど、様々な情報源からのデータを提供するイン タラクティブなプラットフォーム「ジェンダー・データ・ポータル」を立ち上げました。 「 平等な未来の ジェンダーと開発の問題は、2013年春季会合でも関心を集めました。 ためのパートナーシップ(Equal Futures Partnership)」会合では、女性の経済的機会と 政治的発言権の拡大に見られる進歩と課題が明らかにされました。世銀本部で開かれた 女性の教育とエンパワメントのための「行動集会」には、千人以上の参加者が集いました (worldbank.org/gender参照)。

雇用創出、貿易増進、社会的保護の支援に向けた努力 雇用は、貧困からの脱却に重要な貢献をします。現金給付も有益ではありますが、実証的分 析の結果、貧困削減のために最も重要なのは労働収入であることが示されています。 「世界 開発報告2013:仕事」でも指摘されているとおり、世界中のどこでも雇用は生活水準を決 定づける重要な要因であり、経済全体での生産性や社会的結束の向上にも寄与します。 現在の雇用の状況には、非常に大きなばらつきがあります。ほとんどの高所得国や途上国 が労働市場の停滞に直面しているにもかかわらず、途上国の中には穏やかな雇用増加傾向に ある国もあります。全世界では、2億人以上の男性、女性、若者が仕事につけず、10億人以上 が低収入あるいは非正規の仕事でかろうじて雇用されており、潜在的な能力を下回る収入し か得られない状態が続いています。一部の地域では若年層の失業が特に懸念され、成人の失 。 業率の実に3倍から5倍に上っているところもあります(worldbank.org/wdr2013参照) 雇用創出の主要な原動力となるのは、途上国における雇用全体の90%を占める民間セ クターです。しかし政府も、民間セクター主導による力強い成長の実現を可能にし、民間セ クターが開発に結びつく良い仕事を創出できる環境を整えるという重要な役割を担ってい ます。失業への対策として世銀は、研究を政策に結びつけるべく、学術機関、シビルソサエ ティ組織、民間セクターなどのパートナーと引き続き協力しています。 貿易は貧困との闘いにおいて不可欠な要素です。世銀は「貿易のための援助」プログラ ムを通じて、開発の増進、競争力確保、政策改革を促す多角的システムを促進しています。 世銀は同プログラムに対する最大の多国間ドナーであり、本年度の貿易関係の融資総額は

124億ドルに上りました(2003年は28億ドル)。貿易は分野横断的テーマとして重要性が高 まりつつあることから、世銀新規承認額全体の中で「貿易のための援助」が占める割合が増 大傾向にあり、2003年の3.0%から2013年には8.6%に上昇しています。貿易関連の新規融 資も2012年の新規投資額19億ドルから、2013年は27億ドルに増加しました。 社会的保護プログラムは、失業などの所得急減の影響を和らげるために役立ちます。収 入の機会を改善するためには、雇用サービス、訓練、自営や起業への支援、融資へのアクセ スなどを効果的に組み合わせることが必要です。世銀は加盟国と共に、これら全ての領域 で革新的な実施方法について知識共有を図るなどしています。雇用関連プログラムへの世 銀の融資・贈与は、1998 ∼ 2008年の年間平均4億7700万ドルから2009 ∼ 11年は年間平 均6億3400万ドルに急増しています。 世銀の社会的保護・労働10か年戦略は、2年目に入りました。同戦略は、途上国が、断片 貧困のない世界

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チュニジア:Arne Hoel/世界銀行

成果

53万6000世帯 ドミニカ共和国で貧困層の保護とコスト削減の両方を 目指した電話料金補助プログラム「Bonoluz」により 2012年までに恩恵を享受した貧困世帯。

的で効率の悪いプログラムから、対象を絞った社会的保護システムに移行できるよう強い社 会を築き、人的資本への投資や、雇用・機会へのアクセス拡大を通じた生産性向上を目指し ています。2013年度、世銀は社会的保護・労働プログラムに30億ドル超を投資し、58か国に おいて77件のプロジェクトを対象に総額119億ドルを管理しています。ルワンダにおける世 銀プログラムでは、公共工事プログラムと現金給付を組み合わせたコミュニティ主導のアプ ローチにより2013年までに50万世帯が、またホンジュラスのプログラムでは2013年度、農村 部に住む貧困層の約半数に当たる35万世帯が、それぞれ恩恵を享受しました。IDAが支援す る社会的セーフティネット・プログラムでは、現金給付、労働集約的な公共工事、学校給食プ ログラムなどが実施されました。現金給付は、特に紛争後や脆弱な社会におけるセーフティ 。 ネットの手段として重要性が高まっています(worldbank.org/sp参照)

金融サービスへのアクセスを通じた経済的参加の促進 世界では、推定25億人が、金融サービスから取りこぼされています。貯蓄もしておらず、 融資をはじめとする金融サービスへのアクセスもありません。そうした人々の約80%が、

1日2ドル未満で暮らしています。貯蓄と決済は貧困削減と強く結びついており、融資、保 険、貯蓄、決済へのアクセスを確保すれば、所得下位40%の人々にとって、持続可能な形で の収入増加のための経済的機会が開かれます。特に男性以上に正式な金融サービスへの アクセスがない女性には、金融包摂による恩恵がもたらされます。 過去2年間に金融アクセスに関する目標やターゲットを掲げた国は40か国以上に上り ます。多くの国の政府が、弱者に配慮した金融アクセスの拡大を促進し、革新的な決済シス テムを採用するための資金、知識、援助を世銀グループに求めています。世銀は、金融サー ビスへのアクセス拡大を支援する融資や技術協力を地域ごとに提供しています。現在実行 中の融資・贈与は、62か国を対象に総額34億ドルに上ります。 世銀はデータ、政策助言、モデル、技術協力、融資、リスク分担などを提供し、IFCは補

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世界銀行 年次報告 2013


足的な投融資、保証、助言サービスを提供しています。また、マルチドナーの世界的パート ナーシップである貧困層支援協議グループ(CGAP)は、ビジネスモデルの刷新に関する最 先端の知識や活動を提供しています。この3機関で、2012年の世界中小企業金融ファシリ ティや2013年の金融包摂支援枠組みなど、金融サービスへのアクセスを推進するための 数々のイニシアティブを実施しています(worldbank.org/financialinclusion参照)。

食糧安全保障のための農業投資 増え続ける世界人口の需要を満たすには、農業への投資が不可欠です。2050年には世界の 人口が90億人になると予測され、現在よりも約50%増の食糧生産が必要となります。途上 国の現在及び将来の食糧ニーズを満たすための支援として、世銀グループは農業支援の大 幅な拡大を想定しており、支援額は2010 ∼ 12年の年間平均70億ドルから2013 ∼ 15年に は年間80 ∼ 100億ドルに増加すると予測されます。 食糧価格の変動も引き続き深刻です。当初は一過性の問題と思われていましたが、長 引くとの見方が強まりつつあり、現在の予測では少なくても2019年まで続くとされていま す。最近は下降傾向にあるものの、世界の食糧価格は過去の水準と比べると依然として高 く、変動も大きくなっています。干ばつやその他の気候現象の頻度や強さの増大がその一 因になっており、その結果、数百万人に上る人々が飢餓や栄養不良の危険にさらされてい ます。

2012年7月以降、世銀の緊急対応は、想定外の経済危機や自然災害が発生したときに追 加財源を提供する融資メカニズム、IDA危機対応融資制度を通じて行われています。ポー トフォリオの柔軟性を高めることを目的として設けられた即時対応メカニズムは、今後、 緊急援助の基盤となっていくでしょう。さらに、世銀は世界食糧危機対応プログラムを通 じて16億ドルを緊急資金に充てました。世銀の原資12億ドル(うち96%が実行済み)に加 え、外部から資金調達される3つの信託基金を通じてグラント資金3億4500万ドルが利用可 能になっています。 世銀は、国家主導の農業食糧安全保障計画を支援し、特に小自作農への投資を促進する 世界的パートナーシップ「世界農業食糧安全保障プログラム」を管理しています。これまで に8つの国とビル&メリンダ・ゲイツ財団が3年間で約13億ドルの出資を約束しており、9 億6000万ドルが受領済みです。このプログラムは、開始以降、18か国に総額[6億5800万] ドルのグラントを提供しています。また、世銀は世界食糧計画と協力して約60か国で2200 万人の子供達に食糧を提供する支援を行うほか、 「世界食糧安全保障危機に関するハイレベ ル・タスクフォース」を通じて国連機関、さらにはシビルソサエティ組織とも連携してい ます(worldbank.org/ard参照)。

インフラを通じた生活の向上 成長促進、貧困削減、雇用創出には、インフラの構築が極めて重要です。運輸、水、エネル ギー、情報通信技術などのインフラ支援は途上国に対する2013年度の融資全体の37%を占 め、世銀最大の事業分野です。

2012年に採択された3年間にわたる戦略「インフラを通じた変革」が、世銀のインフラ 部門における活動の指針となっています。この新戦略により、空間的、低炭素型、弱者に配 慮した成長、相乗便益を最適化する「変革をもたらす」投資への取り組みが促進されていま す。同戦略の初年度には、バングラデシュでの農村電化や再生エネルギーの開発からカメ

成果

1,200社以上 世界金融危機への対応として世銀の資金援助による 信用供与を得たトルコの中小企業。

貧困のない世界

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成果

3,050品種 農業生物多様性保全のため、イエメンで収集され2008 ∼ 2010年の 間遺伝子バンクに保存された在来型種子。

ルーンでの水力発電開発に至る、いくつかのプロジェクトが承認されました。 同戦略では、官民パートナーシップの取り決めや金融保証手段などの利用拡大を通じ た民間資本の動員にも重点が置かれています。途上国が今後10年間に自国のインフラ・ ニーズを満たしていくためには、官民両セクターからの資金提供の大幅な増加が不可欠だ からです。公共セクターは、民間投資家を惹きつけるような投資環境を構築する必要があ ります。また、公的資金を用いて準備されたインフラ・プロジェクトは、投資対象となりや すく、リスクも軽減されます。 「 安全で、環境にやさし 運輸は世銀のインフラ向け貸出全体の46 %を占めています。 く安価」な運輸戦略の下、環境に配慮し、貧しい人々にも手が届く価格で安全な運輸サー ビスの開発が重点的に進められています。インフラ・サービスへのアクセスは依然とし て多くの国の課題であり、農村部で舗装道路へのアクセスを持たない人は10億人近くに 上ります。2002年度以降、世銀は全長26万7101キロの道路の建設・整備を支援しました (worldbank.org/transport参照)。 全世界で水の需要が増加している一方、水質は悪化傾向にあり、水に関する不安は、世 界が現在直面する最大のリスクの1つとなっています。約7億8000万人が今なお安全な水 へのアクセスを持たず、25億人(世界人口の3分の1以上)が基本的な衛生設備のない暮ら しをしています。今後数十年間で世界の人口が90億人に達すると、農業生産高は60%、既 に逼迫している取水量は15%の増加がそれぞれ必要になり、水資源の需要が高まります。 さらに、気候変動が水の確保の新たな不安定要因となり、状況はさらに悪化すると予測さ れます。 世銀は途上国の水関連プロジェクトに対する世界最大の融資機関として、2013年度に は融資と贈与で合計30億ドルを提供しましたが、その半分は給水と衛生でした。世銀は途 上国による水資源管理の向上を優先しています。世銀の新ビジョンでは、途上国が気候変 動に強い社会を構築できるよう水が支援の中心に位置づけられ、エネルギー、農業、環境、 災害リスク管理などの分野に組み入れると共に、給水と衛生分野の取り組みを拡充してい ます。革新的な知識の共有と総合的アプローチの促進により、多くの国がより合理的な投 資を行えるようになっています。例えば、中国の海河流域プロジェクトは、水利用の改善を 促すと共に汚染を抑制する総合的なアプローチを通じて2000万人以上に恩恵をもたらし ています(worldbank.org/water参照)。

2012年7月、世銀は情報通信技術(ICT)セクターの新戦略を発表しました。ICTの活用に より途上国が基本的サービスの提供を刷新し、イノベーションや生産性向上が推進され、 競争力を高めることを目的としています。途上国のテクノロジーを通じた機会創出のため に、世銀、IFC、MIGAは共同で支援を行っています。世銀は政策、司法、規制などの面で枠 組み構築の支援やICTの基幹インフラへの触媒的投資を行い、IFCがモバイル通信事業者へ の投融資やアドバイザリー・サービスを提供、そしてMIGAは通信ネットワークやサービ スの本格展開を支援するための保証を提供しています(worldbank.org/ict参照)。 途上国や新興市場国でのエネルギー関連分野への資金提供は引き続き世銀グループの 最優先分野の1つであり、年間約80億ドルが投じられ、世銀グループの全セクターへの融資 承認総額の15%を占めています。電力アクセスの拡大は貧困をなくすために不可欠です。 例えばルワンダでは、政府やその他のパートナーが100万人近くに電力を提供するための 全長1,400 支援を行いました。この活動により送電網に接続されている世帯が3倍に増���し、

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バヌアツ:Tom Perry/世界銀行

キロの送電網が新たに敷設され、学校や医療センターの電力アクセスが70%増加しました。

2013年春季会合で、キム総裁と潘基文国連事務総長が「全ての人に持続可能エネルギー 」諮問委員会の設立会合にて共同議長を務めました。このイニシアティブの目 を(SE4ALL) 標は、2030年までに全ての人に電気及び安全な家庭用燃料へのアクセスを保証し、エネル ギー効率を2倍に改善し、全世界のエネルギー構成比における再生可能エネルギーの比率を 倍増することです。多くの国々が水力発電など低炭素型エネルギーのソリューションを追 求することを決定し、世銀も途上国による持続可能エネルギーの追求を後押しする方針を 採っており、その表れとして融資や政策助言のプログラムの多様化が進んでいます。

2013年3月、世銀は、これまで十分に活用されて来なかった地熱エネルギーを利用する ことで途上国での再生可能エネルギー発電を拡大する大規模な国際的取り組み「世界地熱 開発計画」を発表しました。同計画は、現在は副次的な再生可能エネルギーである地熱発電 を主流化して数百万人に電力を提供できるよう、管理を強化し試掘リスクを軽減すべく、 ドナー、国際金融機関、政府、民間セクターに参加を呼びかけています。 国際通貨基金(IMF)の試算によると、燃料の補助金は全世界で1.9兆ドルに上りますが、 世銀はこれを段階的に廃止するよう途上国に強く促しています。燃料補助金は、多くの国で 一般的に行われていますが、時代に逆行するもので財政的負担が大きく、経済的に非効率的 。 である上、クリーン・エネルギーの開発を妨げています(worldbank.org/energy参照)

災害とそのリスクを管理するための連携 世銀は、金融危機から自然災害に至る様々な脅威に対して途上国が自ら対処できるように すべく、金融デリバティブ並びに資本市場に、途上国が直接アクセスして国家信用リスク を軽減できるよう支援しています。具体的には、金融市場を利用してリスク管理や資金調 達を行うことで、市場の激しい値動きによる損失や自然災害に対処しつつ、財政の破綻の 回避も目指します。2013年度に世銀が加盟国のために実行した為替と金利取引は48億ド ルに達しました。この中には加盟国の債務の通貨リスクを軽減する初の取引もありました。 (世界銀行財務局ホームページtreasury.worldbank.org参照)。 災害リスク管理は、世銀にとって最も重要な業務の一つになっています。例えば、災害 発生時には被災国のために災害後のニーズ評価や、復旧・復興計画の策定を速やかに実行 できる体制を整えています。今年度、世銀と防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)は各 国政府からの12件の災害後援助要請に対応しました。さらに、世銀の国別パートナーシッ プ戦略の3分の2以上に既に災害リスク管理が組み入れられており、これを100%にするこ とを目標としています。 貧困のない世界

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成果

110万人 ブラジルで2007 ∼ 2011年に新たな上水道整備による恩恵を受けた 人々。新たに整備された下水道は46万8000人が利用可能に。

今年度、世銀は太平洋島嶼国5か国(マーシャル諸島、サモア、ソロモン諸島、トンガ、 バヌアツ)のために、災害保険を活用して被災時のリスクを軽減するための取引を実行し ました。津波による損失に対処する、史上初の資本市場取引と災害保険を組み合わせたも のとなりました。これは、アジア開発銀行、日本政府、GFDRR、太平洋共同体事務局が共 同で推進する「太平洋自然災害リスク保険パイロット・プログラム」の一環として実行さ れました。 世銀は引き続きパートナーと、災害リスク管理の経験やベストプラクティスを共有し ています。2012年世銀総会の際に日本政府と世銀グループが主催した仙台会合には、各国 政府、国際機関、シビルソサエティ組織が集い、開発計画へのリスク管理組み入れの促進 を図るべく、知識共有を行いました。この会合の開催地となった仙台は、2011年の東日本 大震災の直撃を受けた太平洋沿岸にある東北地方最大の都市です。日本政府と世界銀行研 究所による共同プロジェクト「大規模災害から学ぶ」は、防災及び災害後の復興に関する 日本の知識を、災害に脆弱な国々と共有する取り組みを進めています(wbi.worldbank.

org/wbi/megadisasters参照)。より広範な人々に対する発信のため、世銀はGFDRR及 び日本の財務省と共に自然災害をテーマとした初めてのTEDxイベントを開催しました (worldbank.org/disasterriskmanagement参照)。

IDA第17次増資を控えて IDA第16次増資(IDA16)のプログラムは、ほぼ全額がコミットされています。IDA16では、 ジェンダー、気候変動、紛争影響下の脆弱性、危機への対応、の各分野における具体的成果 に重点が置かれました。IDAによる支援は、紛争影響下の脆弱国20か国がそれぞれの抱え る経済的・政治的課題を乗り越えて、1つまたは複数のMDGsの目標達成に寄与しました。

IDA第17次増資プロセスは、今後1年間の世銀の最重要課題の1つです。ジェンダー、気候 変動、脆弱性というテーマの前進を図ると共に、貧困層を取りこぼさない成長というテーマ を加え、全世銀グループの資源を結集して開発インパクトを最大化することがIDA17の最重 。 要テーマとなるでしょう(worldbank.org/ida/ida-17-replenishment.html参照)

透明性、説明責任、社会的責任への取り組み 世銀は、業務の透明性を高め、知識やデータを公開し、外部の意見に耳を傾け学習するため に、テクノロジーを駆使して新たな方法を模索しています。その一環として、世銀及び地域 開発銀行の総裁ならびに国連事務総長は、開発目標に関する統計の質と有用性の向上に向 けた協力及びその手法を定めた覚書を取り交わしました。また世銀は、世界開発指標オンラ インの改良版である「オープン・ガバメント・データ」ツールキットや拡大マクロデータ・ ライブラリの導入により、 「オープン・データ」 イニシアティブを前進させています。オンラ イン・データやプロジェクト・マップなどの可視化のアプリケーションも、より使いやす 。 くデザイン的にも優れています(data.worldbank.org及びmaps.worldbank.org参照)

成果

幼児死亡率が低下 ジブチでは、5歳未満児の死亡率が2002年の千人中124人から 2012年の千人中68人に低下。

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世界銀行 年次報告 2013


ハイチ:Dominic Chavez/世界銀行

世銀は、2013年度、情報公開政策の実施にあたり画期的な一歩を踏み出しました。そ の結果、公開文書の数が2012年度から12.4%増の13万4000件に増加し、文書のダウンロー ド件数は120万件を超えました。こうした数字は、外部への情報公開を最大限に行うという 政策の証しとなっています。 本年度、世銀グループのポータル「オープン・ファイナンス」が拡大され、IFC及び調達 のデータも加えられました。現在は多言語で掲載され、アンドロイドを含む新たなモバイ ル・プラットフォームにも対応しています。開発に関する知識や専門性を生み出す世界有 数の機関として世銀は、世銀の研究や知識を1か所で入手できる「オープン・ナレッジ・リ ポジトリ」の拡充を続けています。このレポジトリには、開始後1年間で1万件以上の文書が 掲載され、途上国からのダウンロード58万7000件を含む100万件以上のダウンロードを記 録しました(openknowledge.worldbank.org参照)。 プロジェクトの公正性の促進と保護に尽力する世銀にとって、不正対策は引き続き最 重要課題の1つです。2013年度、世銀は47の企業・個人との取引を停止し、取引資格停止協 定を締結している他の国際金融機関と共同で、295の企業・個人の取引資格を停止しまし た。取引資格停止協定に基づき世銀プロジェクトで入札資格がないと宣告された企業は、 同協定に参加する他の国際開発金融機関のプロジェクトにも入札資格も失います。この措 置による抑止効果がコンプライアンス水準の向上に大きく寄与しており、開発に関心を持 つ企業に公平な競争の場が与えられています。 貧困削減と開発の有効性のためには、良いガバナンスと組織の説明責任が極めて重要 です。世銀は、途上国政府が、透明性を高め、市民に対する説明責任を強化し、不正を防止 し、サービスを改善できるよう積極的に支援しています。2013年度、世銀融資及び贈与の

11.7%に当たる約39億ドルが、途上国の公共セクターの主要機関のパフォーマンスや説明 責任を高めるための支援に充てられました。2010 ∼ 12年度に実施された世銀プロジェク トにより、57か国が財政管理システムを向上、28か国が行政事務・行政システムを強化、 27か国が税務政策や税務行政を改善、11か国が調達システムを強化しました。世銀は、詳 細な政府歳出データをデータベース化することによって扱いやすくし、厳正な支出分析を 容易にして財務の透明性を実現するBOOSTというツールを通じて、公共支出政策の説明責 任の強化を支援しています。 世銀は、より良い開発成果の達成を目指し、政策、プログラム、プロジェクトについて の独立した評価を徹底しています。こうした評価を遂行するのは、理事会直属の独立評価 貧困のない世界

21


グループ(IEG)です。2013年度、IEGは気候変動に関する3度目の評価を、特に適応に重点 を置いて実施し、気候リスク管理をプロジェクトやプログラムの設計、評価、実施のそれぞ れの段階に組み入れる上で参考となる指針を提言しました。また、IEGは、世界食糧危機へ の世銀グループの対応、IFCの貿易金融プログラム、ならびに技術革新と起業、森林資源管 理、持続可能な運輸インフラに関する世銀プログラムについてのセクター別・テーマ別評 価も実施しました。国レベルでは、知識ベースの国家プログラム及びアフガニスタン支援 についての評価を完了しました(ieg.worldbank.org参照)。 組織として環境や社会への影響を管理する取り組みの一環として、世銀は、全世界にあ る世銀施設、主要な会議、飛行機による移動に伴って発生する温室効果ガスの測定、削減、 オフセット、報告を行っています。2013年度、世銀は、自らの温室効果ガス排出量を2017 年までに2010年レベルから10%削減するという目標を定めました。 主要な会議及び飛行機による移動を含めた全世界にある世銀の施設からの2012年度 の総排出量は、二酸化炭素換算で約17万4000トンでした(入手可能な最新データ)。カー ボン・ニュートラル維持のため、世銀は、削減できない排出量のオフセットとして、施設 や移動については認証排出削減量クレジット、電力消費についてはグリーン電力証書を購 入しています。2013年度、世銀は、チリの自流式水力発電プロジェクト、インドのグジャ ラート州のバンドル風力発電プロジェクト、コンゴ民主共和国のREDD+プロジェクトか らの認証カーボンクレジットを購入し、カーボン・ニュートラルを維持しました(crinfo.

worldbank.org参照)。

成果

16万5000人 サモアの農村部における2002 ∼ 2011年の携帯電話新規加入者。

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世界銀行 年次報告 2013


貧 困

繁 栄

持続可能性

地域別概要 世界銀行は現在、120か国以上にある現地事務所を通じて業務を展開して います。現地事務所を増やすことにより、クライアントに対する理解を深 め、協力や連携を密にし、これまで以上に迅速にパートナーにサービスを提 供することができます。現在、国別担当局長・マネージャーの92%、職員の

39%が現地事務所で活躍しています。6つの地域における世銀の活動は、各 地域の加盟国の多様性を反映し多岐にわたっています。このセクションで は、2013年度に達成された主な目標、実施されたプロジェクト、見直しが行 われた戦略、作成された刊行物についてご紹介します。また、成果の具体例 や、各地域の概要を示すデータも掲載しています。詳細はworldbank.org/

countriesをご覧ください。

アフリカ地域 東アジア・大洋州地域 ヨーロッパ・中央アジア地域 ラテンアメリカ・カリブ海地域 中東・北アフリカ地域 南アジア地域 地域別概要

23


スーダン:Sarah Farhat/世界銀行

アフリカ地域 サブサハラ・アフリカでは、2012年も力強い成長が続きました。GDP成長率は推定4.7%で、

2013 ∼ 15年は年間5%を上回る成長が予測されています。1日1.25ドル未満で生活する人 口の割合が1996年の58%から2010年には約48%まで低下するなど、貧困は減少していま す。しかし、こうした改善が見られる一方、依然として膨大な開発課題が存在します。

世銀の支援 本年度、世銀は95件のプロジェクトに対する82億ドルの支援を承認しました。その内訳は、

IBRDが4200万ドル、IDAが82億ドルでした。支援額の大きかったセクターは、運輸(18億 ドル)、行政・法律・司法(18億ドル)、エネルギー・鉱業(12億ドル)でした。2011年に採 択されたアフリカ戦略に基づき、エネルギー、運輸、教育、保健、農業、社会的保護、水、都市 開発に重点が置かれました。

地域的解決策の模索 アフリカ地域では、インフラの不足が足かせとして地域全体に大きくのしかかり、成長率 を最大で年間2%ポイント低下させています。世銀は、地域的解決策の必要性を重視し、1 か国にとどまらず域内全体に変革をもたらすプロジェクトを支援しています。その一例が カンダジ・プログラムで、地域、国、地方の各レベルでの取り組みを統合し、ニジェール川 流域における農業、環境、エネルギー、水の各セクター間で相乗効果を促進するものです。

2012年10月、世銀は、ニジェール川流域水資源開発・持続可能な生態系管理プログラムの フェーズ2Aに対し、2億300万ドルの資金援助を承認しました。同プログラムは、サヘル(サ ハラ砂漠南縁の乾燥地帯)で繰り返し発生している干ばつと慢性的な食糧・電力不足を長 期的に解決する取り組みの一部です。この援助はIDAからの無利子融資の形で行われ、世界 で最も貧しい国に挙げられるいくつかの国が恩恵を受けることになります。10のドナーが 資金を提供する本プログラムは、ニジェール川流域における食糧生産と発電量の拡大、雇用 創出、コミュニティの経済的機会の構築を支援します。同プログラムは、各国の電力系統を 統合して地域系統を構成することにより、国境を越えた電力の流れを促進する西部アフリ カ電力プールの一部となります。カンダジのようなプログラムは、アフリカのインフラ整備 のために極めて重要であり、開発には無くてはならないものです。

サヘル地域における対応力の構築 干ばつ、食糧不足、環境の悪化、強制移住、紛争などの結果、2013年にはサヘル地域で約

1000万人が食糧不安に苦しむと予測されています。こうした事態に対処するため、理事会 は2013年4月、サヘルにおける開発と安定性を支援する新たな地域戦略「サヘル−地域的ア (2)経済的機会と統 プローチに向けて」を発表しました。この戦略は、 (1)脆弱性と対応力、 合、の2つを柱とする総合的な投資プログラムです。

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世界銀行 年次報告 2013


世銀融資適格国* アンゴラ ベナン ボツワナ ブルキナファソ ブルンジ カメルーン カーボヴェルデ 中央アフリカ共和国 チャド

コモロ コンゴ民主共和国 コンゴ共和国 コートジボワール 赤道ギニア エリトリア エチオピア ガボン ガンビア

ガーナ ギニア ギニアビサウ ケニア レソト リベリア マダガスカル マラウィ マリ

モーリタリア モーリシャス モザンビーク ナミビア ニジェール ナイジェリア ルワンダ サントメ・プリンシペ セネガル

セーシェル シエラレオネ 南アフリカ 南スーダン スワジランド タンザニア トーゴ ウガンダ ザンビア

*2013年6月30日現在

能力、教育、保健の向上 アフリカ地域では、様々な領域で能力開発が進んでいます。世銀は、IDAを通じて、また「教 育のためのグローバル・パートナーシップ」 と連携して、基礎教育の強化を図っています。 世銀は、アフリカの高等教育機関に対する最大の資金提供機関です。アフリカCOE (Centers of Excellence) プロジェクトは、ケニア、ルワンダ、タンザニア、ウガンダの質の高 い公衆衛生研究所から成る国境を越えたネットワークで、科学技術におけるキャパシティ・ ビルディングを大きく前進させる可能性があります。 「アフリカの保健のための調和」と共同で「アフ 2013年春季会合で世銀と米国国務省は、 リカ保健フォーラム2013:財政と成果達成能力」を開催しました。アフリカ30か国の財務 相及び保健相が一堂に会しアフリカ諸国のニーズに関して議論した他、経済成長に先駆け た保健、栄養、人口の改善が開発のために不可欠であることなど、重要なメッセージが共有 されました。 世銀は、保健分野でも成果重視の先頭に立っており、アフリカ地域15か国で実施されて いる成果ベースのパイロット・プロジェクトは順調に進んでいます。2013年に承認された エチオピアの成果連動型プログラムは、保健関連のミレニアム開発目標の達成を目指すも が、アフリカの保健分 ので、世銀が新たに導入した成果連動型プログラム融資制度(PforR) 野で初めて活用されました。

知識の増大 アフリカ地域に関する知識成果物には、アフリカ開発の概念をくつがえすようなアイデア が盛り込まれています。2012年に発表された「アフリカにおける食糧自給自足の可能性(仮 題) 」は、アフリカが域内の食糧貿易で潜在性を実現するために撤廃すべき貿易・競争面の 規制障壁を示しています。また、現在まだ実施されていない主食の域内貿易を有効に活用す れば、食糧安全保障と成長を向上させる可能性があると指摘しています。

2013年に発表された「成長するアフリカ:アグリビジネスの潜在力を解き放つ」は、ア フリカの農業やアグリビジネスが2030年までに1兆ドル規模の食糧市場を生み出す潜在力 を示しています。戦略的で経験を兼ね備えた投資家を呼び込み、セーフガードや土地管理シ ステムを強化し、持続可能な成長のために投資対象を選別するよう提言しています。

表1 アフリカ地域

2011年度、2012年度、2013年度のアフリカ地域への融資承認額と融資実行額 融資承認額(単位:100万ドル)

IBRD IDA

FY11 $56 $7,004

FY12 $147 $7,379

FY13 $42 $8,203

融資実行額(単位:100万ドル)

FY11 $665 $4,925

FY12 $488 $5,746

FY13 $429 $5,799

2013年6月30日現在、実行中のプロジェクトのポートフォリオ:425億ドル

地域別概要

25


アフリカ地域での主な成果 • 中央アフリカ共和国:世銀が支援するマルチセクター緊急プログラムにより、2012年 現在、11万8862人にHIV検査、1,719人に抗レトロウィルス治療を実施。さらに、妊婦及 び5歳未満児のマラリア予防のため、防虫剤処理した約10万張の蚊帳を配布。 • ケニア:世銀の水と衛生プログラムの下、利用者と水サービス提供者の間を取り持つコ ミュニティの代表で構成される地元委員会を設立。プログラム開始後2年間で400件以 上の苦情を受け付け、うち97%を解決(中には3年以上続いていた苦情を含む)。 • ジンバブエ:成果ベースの保健セクター信託基金プロジェクトにより、地方の病院や診 療所にグラントが提供され、母子保健サービスが無償化。2012年現在、プロジェクトに 参加している保健施設で21万2600人以上の子どもが予防接種を受け、13万5921人の妊 婦が保健施設で産前ケアを享受。 詳細な成果については、worldbank.org/resultsをご覧ください。

図1 アフリカ地域

IBRDとIDAのセクター別融資 2013年度 総額82億ドルに占める割合 水と衛生・治水

5%

農業・漁業・林業

12%

教育

8% 運輸

22%

行政・法律・司法

22%

15%

エネルギー・鉱業

< 1% 12%

情報・通信

1%

金融 保健・その他の社会サービス

3%

産業・貿易

6%

環境・天然資源管理

図2 アフリカ地域

IBRDとIDAのテーマ別融資 2013年度 総額82億ドルに占める割合

< 1%

経済管理

14%

都市開発

貿易・地域統合

13%

16%

社会開発・ジェンダー・ 貧困層の参加支援

人間開発

8% 11%

社会的保護・リスク管理

金融・民間セクター開発

11%

公共セクター・ガバナンス 法規

1% 3%

農村開発

16%

地域別概要

26


表2 アフリカ地域

地域概要

2000年

2005年

現状a

総人口(百万人)

664

756

910

人口増加率(年率、%)

2.7

2.6

2.7

1人当たり国民総所得(GNI) (アトラス方式、現在の米ドル)

493

765

1,345

1人当たり国内総生産(GDP) 成長率(年率、%)

0.9

3.0

1.5

376b

395

414

平均寿命、女性(歳)

51

53

56

平均寿命、男性(歳)

49

51

54

青年層の識字率、女性(15-24歳、%)

62

̶

67

青年層の識字率、男性(15-24歳、%)

76

̶

76

労働参加率、女性 (15歳以上人口に占める比率、%)

61

63

63

労働参加率、男性 (15歳以上人口に占める比率、%)

77

76

76

国会議員の女性比率 (全体に占める比率、%)

12

16

22

二酸化炭素排出量(100万トン)

552

629

724

1人当たり二酸化炭素排出量(トン)

0.8

0.8

0.9

1990年時点

現状a

2015年時点

51.3

41.5

25.6

MDG 2.a 普遍的な初等教育の達成 (修了者が当該年齢層に占める割合、%)

52

70

100

MDG 3.a 初等・中等教育における 男女格差の解消(男子を100とした場合の 女子の割合、%)

81

90

100

MDG 4.a 乳幼児死亡率 (出生千人当たり)の削減

107

69

36

MDG 4.a 5歳未満児死亡率 (出生千人当たり)の削減

178

109

59

850

500

213

48

61

74

26

31

63

指標

1日1.25ドル未満で生活している 人口(100万人)

傾向

MDGs達成に向けた歩み MDG MDG 1.a 極度の貧困 (1日1.25ドル未満で生活する人口の 割合、2005年購買力平価、%)の半減

MDG 5.a 妊産婦死亡率(モデルに 基づく推定、出生10万人当たり)の削減 MDG 7.c 安全な飲料水を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

MDG 7.c 基本的な衛生施設を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

の水準

の目標値

2015年に向けた 傾向

注:MDG 目標値はグローバル MDG 目標値を基にした地域値を示す。PPP= 購買力平価、データは、a = 2008 年から 2012 年までの最新データ、 最新データは data.worldbank.org を参照のこと、b = 1999 年現在、● =2015 年 MDG 目標

地域別概要

27


ベトナム:Ngan Hong Nguyen/世界銀行

東アジア・大洋州地域 東アジア・大洋州地域は、2012年も引き続き、最も急成長を遂げた地域となりました。世 界的混乱の時期には成長の原動力となり、2012年には全世界の生産高の伸びの約40%を占 めました。中国の成長率は、2011年の9.3%から2012年には7.8%に低下しましたが、域内の 他の途上国の成長率は、2011年の4.5%から6.2%に上昇しました。 東アジア・大洋州地域の貧困層は着実に減少しており、現在、この地域で1日1.25ドル未 満で生活している人口の割合は10%足らずとなっています。しかし、1日わずか2ドルで生 活している人が今なお5億人近くおり、繁栄の共有を確立させるためには、多くの課題が残 されています。

世銀の支援 2013年度、世銀は東アジア・大洋州地域の47件のプロジェクトに対し、62億ドルを承認し ました。その内訳は、IBRDの貸出が37億ドル、IDA承認額が26億ドルでした。支援額の大き 、運輸(11億ドル) 、水と衛生・治水(11億 かったセクターは、行政・法律・司法(14億ドル) ドル) でした。 この地域における世銀の支援戦略は、貧困と格差の削減、気候変動と災害リスク管理、 都市化とインフラ、ガバナンスと組織・制度、民間セクター主導の成長と雇用創出という5 つの開発課題に重点が置かれています。成長と雇用創出は貧困の削減と繁栄の共有促進の ために不可欠であり、労働市場で若年層の失業率や非正規雇用の比率が高まっている状況 ではなおさらです。

ミャンマーへの支援再開 2013年度の主要な重点課題の1つが、ミャンマーへの25年ぶりの支援再開でした。2012年8 月、世銀とIFCがヤンゴンに事務所を開設し、首都ネピドーにも2つめの事務所が計画されて います。2012年11月に理事会承認を受けた新たな暫定支援戦略が、2014年3月までの世銀 の活動の指針となります。また、世銀は改革への支援とミャンマーの延滞債務解消のために

4億4000万ドルの融資を提供し、本格的な支援再開に道を拓きました。8000万ドルのグラン トを受けた全国的なコミュニティ主導の開発プロジェクトにより、農村部での学校、病院、 道路、給水の整備が可能となっています。

農村部の電化 ラオス人民民主共和国では、世銀とIFCが、3500万ドルの農村電化プロジェクトの第2段階 に対する支援を続けました。このプロジェクトは、農村世帯への電力網拡大とオフグリッド の再生可能エネルギーの全国的な普及を目指すもので、その一環である「貧しい人々に電力 を」 プログラムでは、貧困世帯、特に母子家庭に対し、電力網に接続するための無利子融資が 提供されています。こうした努力もあって、電力普及率は1995年の全世帯中わずか15%か ら現在は80%以上に上昇しています。

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世界銀行 年次報告 2013


世銀融資適格国* カンボジア

大韓民国

ミクロネシア連邦

フィリピン

トンガ

中国

ラオス人民民主 共和国

モンゴル

サモア

ツバル

マレーシア

ミャンマー

ソロモン諸島

バヌアツ

パラオ

タイ

ベトナム

パプアニューギニア

東ティモール

フィジー インドネシア キリバス

マーシャル諸島

*2013年6月30日現在

貧困と格差の削減 インドネシアでは、住民エンパワメント国家プログラム(PNPM) を支える、マルチドナー融 資制度を世銀が運営しています。同プログラムを通じて雇用が創出され、1億人以上の貧困 層(及び貧困層に近い人々)の収入が大幅に増加し、貧困層のためのインフラが構築されて います。PNPMのプラットフォームを利用して保健・教育分野での成果向上を図るパイロッ ト・プログラム「PNPM Generasi」は、パイロット地域で子供の栄養不良を9.5%減少させ、 初等・中等教育就学率を22 ∼ 35%引き上げました。

大洋州島嶼国における市場と機会の開放 キリバス、サモア、トンガ、ツバルにおいて世銀は、こうした小島嶼国の航空分野を支援する ことで、市場と機会の開放に取り組んでいます。飛行機で安全かつ効率的に移動できること は、これらの小島嶼国が相互に、または大規模な市場とつながるために、さらには観光業を 支えるためにも極めて重要です。大洋州島嶼国航空投資プログラムの下、空港インフラと安 全性が向上し、国際基準を満たした空港建設が進んでいます。世銀は、大洋州全体で通信市 場の開放にも取り組んでおり、フィジー、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、東ティ モール、バヌアツで、競争の導入により携帯電話普及率の劇的な上昇を達成しています。フィ ジー、サモア、トンガ、バヌアツでは、わずか10年足らずで普及率が70%以上に達しました。

共同事業戦略の追求 2013年度、世銀、IFC、MIGAは共同で、この地域の事業戦略を策定しました。プロジェクト としては、インドネシアにおける金融セクターの改善、モンゴルにおける農業による生計改 善、ミャンマーにおける電力普及、大洋州島嶼国における女性へのエンパワメント、フィリ ピン南部の元紛争地帯における農業関連産業の強化、ベトナムにおける農業の効率化と付 加価値拡大、などがありました。また、3機関はシンガポールに置かれたハブでも協力して おり、インフラ金融に焦点を当てている他、シンガポールを含む域内諸国の開発経験を基盤 に取り組みを進めています。

ソリューション提供のための知識面でのパートナーシップ構築 世銀が進めるパートナーシップに知識の果たす役割が、ますます重要になりつつあります。 本年度、世銀と中国は、開発に関する実務的な経験を中国の内外に広めることを目的とした 知識ハブ共有イニシアティブを開始し、当面の重点を都市部交通に置くこととしました。世 表2 東アジア・大洋州地域

2011年度、2012年度、2013年度の東アジア・大洋州地域への融資承認額と融資実行額 融資承認額(単位:100万ドル)

IBRD IDA

FY11 $6,370 $1,627

FY12 $5,431 $1,197

FY13 $3,661 $2,586

融資実行額(単位:100万ドル)

FY11 $3,964 $1,238

FY12 $3,970 $1,484

FY13 $3,621 $1,764

2013年6月30日現在、実行中のプロジェクトのポートフォリオ:304億ドル 地域別概要

29


東アジア・大洋州地域での主な成果 • フィリピン:2012年末までに推定330万人の住民が衛生サービスの向上及び処理施設 の改善を図る第3次マニラ下水プロジェクトによる恩恵を享受。2005年から2012年まで の間に、7万7000戸以上で下水処理設備の利用が可能に。 • インドネシア:世銀の早期幼児教育・開発プロジェクトにより、2007年以降、全国で3 千の貧困村落のためにサービス・アクセスを拡大。これまでに50地区で約6千の教育セ ンターが設立され、0歳から6歳の幼児50万人以上が参加。 • モンゴル:鳥・ヒトインフルエンザの抑制・準備・対応プロジェクトにより、救急機関、 病院、獣医が感染症の大流行の予兆を察知できるよう対応能力を強化。検体検査結果の 処理の規模やスピードが大幅に向上し、人間と動物の両方に対して迅速かつ効果的な治 療が可能に。 詳細な成果については、worldbank.org/resultsをご覧ください。

銀グループはまた、金融セクター及び民間セクターの開発に関する知識など、韓国の開発経 験を地域内外の国々のために活用することを目的として、韓国に事務所を開設する計画を 発表しました。さらに世銀は、最大限の開発インパクトを目指し、アジア太平洋経済協力会 、アジア開発銀行(ADB) 、東南アジア諸国連合(ASEAN) 、オーストラリア国際開 議(APEC) 、国際協力機構(JICA) 、太平洋諸島フォーラムなどと、多数のパートナーシッ 発庁(AusAID) プの構築を続けています。 図3 東アジア・大洋州地域

IBRDとIDAのセクター別融資 2013年度 総額62億ドルに占める割合 水と衛生・治水

17%

農業・漁業・林業

3%

教育

9% 12% 運輸

18%

エネルギー・鉱業

5% 9% 4%

行政・法律・司法

23%

金融 保健・その他の社会サービス 産業・貿易 情報・通信

1%

図4 東アジア・大洋州地域

IBRDとIDAのテーマ別融資 2013年度 総額62億ドルに占める割合

1%

経済管理

14%

都市開発

4%

貿易・地域統合

社会的保護・リスク管理

8%

社会開発・ジェンダー・ 貧困層の参加支援

7%

農村開発

21%

環境・天然資源管理

11% 11%

金融・民間セクター開発

11%

人間開発

11%

公共セクター・ガバナンス

< 1%

法規

地域別概要

30


表4 東アジア・大洋州地域

地域概要

2000年

2005年

現状a

1,812

1,893

1,992

1.0

0.8

0.7

1人当たり国民総所得(GNI) (アトラス方式、現在の米ドル)

899

1,612

4,885

1人当たり国内総生産(GDP) 成長率(年率、%)

6.4

8.8

6.7

656b

332

251

平均寿命、女性(歳)

72

73

74

平均寿命、男性(歳)

68

69

71

青年層の識字率、女性(15-24歳、%)

98

̶

99

青年層の識字率、男性(15-24歳、%)

98

̶

99

労働参加率、女性 (15歳以上人口に占める比率、%)

68

66

65

労働参加率、男性 (15歳以上人口に占める比率、%)

83

82

81

国会議員の女性比率 (全体に占める比率、%)

17

17

18

4,219

6,883

8,934

2.3

3.6

4.6

1990年時点

現状a

2015年時点

MDG 1.a 極度の貧困 (1日1.25ドル未満で生活する人口の 割合、2005年購買力平価、%)の半減

54.9

12.9

27.4

MDG 2.a 普遍的な初等教育の達成 (修了者が当該年齢層に占める割合、%)

100

97

100

MDG 3.a 初等・中等教育における 男女格差の解消(男子を100とした場合の 女子の割合、%)

88

102

100

MDG 4.a 乳幼児死亡率 (出生千人当たり)の削減

42

17

14

MDG 4.a 5歳未満児死亡率 (出生千人当たり)の削減

56

21

19

220

83

55

68

90

84

30

66

65

指標 総人口(百万人) 人口増加率(年率、%)

1日1.25ドル未満で生活している 人口(100万人)

二酸化炭素排出量(100万トン)

1人当たり二酸化炭素排出量(トン)

傾向

MDGs達成に向けた歩み MDG

MDG 5.a 妊産婦死亡率(モデルに 基づく推定、出生10万人当たり)の削減 MDG 7.c 安全な飲料水を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

MDG 7.c 基本的な衛生施設を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

の水準

の目標値

2015年に向けた 傾向

既に達成

注:MDG 目標値はグローバル MDG 目標値を基にした地域値を示す。PPP= 購買力平価、データは、a = 2008 年から 2012 年までの最新データ、 最新データは data.worldbank.org を参照のこと、b = 1999 年現在、● =2015 年 MDG 目標

地域別概要

31


アゼルバイジャン:Allison Kwesell/世界銀行

ヨーロッパ・中央アジア地域 ヨーロッパ・中央アジア地域の2012年GDP成長率には、ばらつきが見られました。中央ヨー ロッパ及び南東ヨーロッパでは、生産高が減少し、2013年の成長は鈍化すると予測されて 各国では、主に商品価格の上昇により回復が速かったものの、 います。独立国家共同体(CIS) 成長率は依然として危機前の水準を下回っています。CIS諸国及びトルコの2013年の成長率 は約4%と予測されています。

世銀の支援 2013年度、世銀はヨーロッパ・中央アジア地域の42件のプロジェクトに対し、53億ドルを 承認しました。その内訳は、IBRDの貸出が46億ドル、IDA承認額が7億2900万ドルでした。 、金融(12億ドル) 、運輸(9 支援額の大きかったセクターは、行政・法律・司法(13億ドル) 億1600万ドル) でした。融資の指針となったのは、経済競争力、社会参加の促進、気候対策を 3つの柱とする戦略です。本年度、世銀は融資及び技術協力に加えて、この地域に関する重 要な研究も実施しました。 を 中所得国では、世銀資金だけでは全額を調達できない場合に有償助言サービス(RAS) 多用するようになっています。世銀は、RASの合意の下で、クライアントの開発目標達成に 役立つ分析・助言サービスを提供します。2013年度、世銀は域内の8か国と、35件のRAS合 意及び2件の地域RAS合意を結びました。重点分野となったのは、技術革新、競争力、不動産 分野の近代化、農業管理、ガバナンスなどの問題です。

経済競争力の強化 競争力を強化するためには、ガバナンス及び投資環境の改善、安定的かつ効果的な金融仲 介の提供、労働力のスキル向上、エネルギー・運輸インフラの構築と維持、公共支出の効率 化が求められます。こうした目標を達成するため、世銀は、税務行政の近代化(アルメニア、 ルーマニア)、道路の整備(アルメニア、セルビア)、事業環境改善と、技術革新につながる 政策の改善(クロアチア、グルジア、ロシア連邦)、中小企業の金融アクセス拡大(トルコ)、 財政の安定化と金融セクター規制の強化(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国)を支援し ました。 地域報告書「ユーラシアの都市:シルクロードの新たな現実(仮題) 」 の研究結果による と、ユーラシアの都市が市場経済で競争力をつけるためには再調整の必要があることが示 されています。政策担当者は、都市計画の改善、交通や通信速度の改良、公共サービスの統 合、資金調達の効率化などの対策を講じることにより変革を進めることができ、特に進歩的 ないくつかの都市では既にそうした対策が実施されています。

32

世界銀行 年次報告 2013


世銀融資適格国* アルバニア

ブルガリア

コソボ

モンテネグロ

タジキスタン

アルメニア

クロアチア

ラトビア

ポーランド

トルコ

アゼルバイジャン

グルジア

マケドニア旧ユーゴ

ルーマニア

トルクメニスタン

ベラルーシ

カザフスタン

スラビア共和国

ロシア連邦

ウクライナ

ボスニア・ ヘルツェゴビナ

キルギス共和国

モルドバ

セルビア

ウズベキスタン

*2013年6月30日現在

社会参加の促進 世銀は、域内各国と協力し、社会的セーフティネットの効率化に取り組んでいます。社会プ ログラムの調整を図ることにより、人々がより積極的に労働に参加する意欲を提供し、より 質の高い保健や教育へのアクセス拡大を目指しています。アルメニア及びウズベキスタン では、保健サービスの改善を支援し、キルギス共和国及びモルドバでは、政府と共同で学校 の質と説明責任の向上を図っています。 本年度、世銀は、この地域における2つの長期的課題である雇用と年金に焦点をあてまし た。また、保健に関する地域報告書「さらなる成果を目指して:ヨーロッパ・中央アジア地 域における保健システムの向上(仮題) 」 を発表し、保健セクターが直面する課題を探ると共 に、より効果の高い保健システム構築と世界の優れた保健システムとの融合のための主な 政策を明らかにしました。

気候変動への対策とその課題 域内の土地、水、エネルギーは気候変動の負荷を受けており、加えてこれまで何十年も適切 な環境管理が行われてこなかったこともあいまって、地球温暖化がわずかに進むだけでも 大きな影響を受ける状況になっています。こうしたリスクに対処するため、世銀は様々な分 野で対策を講じています。モルドバでは災害リスクや気候変動の緩和のための融資を行い、 トルコではエネルギー利用の効率化を促す改革を支援し、ウズベキスタンでは持続可能な 森林管理と環境への対応力強化に投資しています。 「グリーン成長:気候対 2013年度、世銀は気候変動に関する4件の研究を発表しました。 策の経済的便益(仮題) 」 は、エネルギー効率化への投資を優先し、クリーン・エネルギーの 利用の拡大と天然資源管理の改善により、グリーン成長の軌道に乗るための実際的な政策 オプションを提示しています。 「エネルギー効率:成功事例からの教訓(仮題) 」 では、これま 「均衡政 でにエネルギー効率を最も高めている欧州連合加盟各国の政策を分析しています。 策:エネルギー補助金の削減と安価確保の両立(仮題) 」 では、エネルギー価格上昇による社 会的影響に取り組むことによって、いかに気候変動対策が社会参加の促進を支援できるか を示しています。 「地平線の彼方へ:気候変動の影響と適応対策は東ヨーロッパ・中央アジ アの農業をどのように変えるか(仮題) 」 は、気候変動に適応するための重点施策が農業生産 性を高め、開発目標に寄与し得ることを示しています。

表5 ヨーロッパ・中央アジア

2011年度、2012年度、2013年度のヨーロッパ・中央アジア地域への融資承認額と 融資実行額

融資承認額(単位:100万ドル)

IBRD IDA

FY11 $5,470 $655

FY12 $6,233 $362

FY13 $4,591 $729

融資実行額(単位:100万ドル)

FY11 $6,873 $585

FY12 $5,654 $482

FY13 $3,583 $468

2013年6月30日現在、実行中のプロジェクトのポートフォリオ:246億ドル

地域別概要

33


ヨーロッパ・中央アジア地域での主な成果 • アルメニア:2009年、世銀の支援を受けて中小企業金融アクセス・プロジェクトが開始。 これにより、中小企業は通常の銀行よりも有利な金利・返済条件で融資を受けられるよ うに。2009年から2012年の間に、中小企業7,500社以上が事業継続のための融資を獲得。

• タジキスタン:2010年11月から2011年12月まで、世銀が運営する欧州連合食糧価格危 機対応信託基金からの資金援助により、1万600人に延べ日数40万2000日分以上の雇用 を創出し、食糧不安の最も大きい農村部で30万2000人以上が恩恵を享受。 • トルコ:アナトリアの天然資源管理のための参加型アプローチにより、農村部の生計が 向上。2005年から2012年の間に、土壌の改良によって世帯収入が53%増加、植物生息域 が77%増加、傾斜地の土壌肥沃度が20%以上向上。 詳細な成果については、worldbank.org/resultsをご覧ください。

図5 ヨーロッパ・中央アジア地域

IBRDとIDAのセクター別融資 2013年度 総額53億ドルに占める割合 水と衛生・治水

運輸

行政・法律・司法

3%

農業・漁業・林業

4% 1%

17%

教育

6% 23%

25%

12% 情報・通信

エネルギー・鉱業

9%

< 1%

金融

保健・その他の社会サービス 産業・貿易

図6 ヨーロッパ・中央アジア地域

IBRDとIDAのテーマ別融資 2013年度 総額53億ドルに占める割合

4%

経済管理

5%

都市開発 貿易・地域統合

社会的保護・リスク管理 社会開発・ジェンダー・ 貧困層の参加支援 農村開発

環境・天然資源管理

7%

14% 15% < 1%

23%

金融・民間セクター開発

6%

人間開発

11% 6%

公共セクター・ガバナンス

9%

法規

地域別概要

34


表6 ヨーロッパ・中央アジア地域

地域概要

2000年

2005年

現状a

総人口(百万人)

257

260

272

人口増加率(年率、%)

0.3

0.4

0.7

1人当たり国民総所得(GNI) (アトラス方式、現在の米ドル)

1,907

3,493

6,655

1人当たり国内総生産(GDP) 成長率(年率、%)

5.5

6.6

1.5

1日1.25ドル未満で生活している 人口(100万人)

18b

6

3

平均寿命、女性(歳)

73

74

75

平均寿命、男性(歳)

65

66

68

青年層の識字率、女性(15-24歳、%)

98

̶

99

青年層の識字率、男性(15-24歳、%)

99

̶

99

労働参加率、女性 (15歳以上人口に占める比率、%)

46

44

46

労働参加率、男性 (15歳以上人口に占める比率、%)

69

68

69

国会議員の女性比率 (全体に占める比率、%)

7

11

17

1,191

1,313

1,345

4.6

5.0

5.1

1990年時点

現状a

2015年時点

MDG 1.a 極度の貧困 (1日1.25ドル未満で生活する人口の 割合、2005年購買力平価、%)の半減

1.4

0.6

0.7

MDG 2.a 普遍的���初等教育の達成 (修了者が当該年齢層に占める割合、%)

95

98

100

MDG 3.a 初等・中等教育における 男女格差の解消(男子を100とした場合の 女子の割合、%)

97

97

100

MDG 4.a 乳幼児死亡率 (出生千人当たり)の削減

40

18

13

MDG 4.a 5歳未満児死亡率 (出生千人当たり)の削減

48

21

16

70

32

18

90

96

95

80

84

90

指標

二酸化炭素排出量(100万トン)

1人当たり二酸化炭素排出量(トン)

傾向

MDGs達成に向けた歩み MDG

MDG 5.a 妊産婦死亡率(モデルに 基づく推定、出生10万人当たり)の削減 MDG 7.c 安全な飲料水を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

MDG 7.c 基本的な衛生施設を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

の水準

の目標値

2015年に向けた 傾向

注:MDG 目標値はグローバル MDG 目標値を基にした地域値を示す。PPP= 購買力平価、データは、a = 2008 年から 2012 年までの最新データ、 最新データは data.worldbank.org を参照のこと、b = 1999 年現在、● =2015 年 MDG 目標

地域別概要

35


ニカラグア:Maria Victoria Ojea/世界銀行

ラテンアメリカ・カリブ海地域 ラテンアメリカ・カリブ海地域の2012年のGDP成長率は3%でしたが、強力な国内需要が世 界経済の低迷を補い、引き続き3.5%の堅調な成長が予測されています。 安定した成長と健全な経済政策によって過去10年間で域内の多くの人々の生活が向上 し、2003年から2011年の間に7000万人以上が貧困から脱却した他、5000万人が中産階級 に加わりました。中産階級の人口が貧困層の人口を初めて上回り、この地域が中所得レベル に向かっていることを示しています。

世銀の支援 本年度、世銀は41件のプロジェクトに対して52億ドルの支援を承認しました。その内訳はIDA が4億3500万ドル、IBRD貸出承認額が48億ドルでした。支援額の大きかったセクターは、行政・ 、保健・その他の社会サービス(8億9100万ドル) 、運輸(6億9400万ドル) 法律・司法(21億ドル) でした。世銀は、所得の下位40%の人々のための機会創出に重点を置き、教育や保健など基本的 サービスへのアクセス向上を図る一方、地域の環境の持続可能性もおろそかにはしていません。 また、貧困を削減し繁栄の共有を促進するという戦略に基づき、ラテンアメリカ・カリ ブ海地域において次の5つの優先分野への取り組みを続けていきます。

繁栄の共有の促進 ラテンアメリカ・カリブ海地域は、過去10年間に目覚しい成長を遂げましたが、域内では依然 格差が存在し、約8200万人が1日2.50ドル未満で生活しています。脆弱な人々のための機会を創 出することが、この地域における世銀の最優先課題となっています。もう1つの優先課題は、女 性の経済的役割を拡大させることです。過去10年間で7000万人以上の女性が労働市場に加わり ましたが、所得格差及び仕事と家庭生活とのバランスが依然として大きな問題となっています。

成長と生産性の促進 ラテンアメリカ・カリブ海地域は他地域とは対照的に、近年際立った成長を遂げ、世界的 な景気後退も切り抜けることができました。しかし、さらなる前進のためには生産性の向 上が必要です。また、教育システムも世界的水準を満たしておらず、インフラは旧式で、物 流コストは割高です。中央アメリカ全体で貿易統合とロジスティクスの拡大が優先課題と なっています。例えば、コスタリカからニカラグアにトマトを輸送しようとすると、カリ フォルニアに輸送する場合と比べ10倍のコストがかかります。運輸、通関手続、農村道路 の各分野に横たわる障害を取り除くことが不可欠です。

より効率的な国家の構築 質の高い公共サービスへのアクセスが、依然として課題となっています。国民の高い期待に もかかわらず、多くの国では政府がそうした要求に応える能力を備えていません。人口の約

7%は安全な水へのアクセスがなく、20%は今なお衛生設備へのアクセスがありません。市 36

世界銀行 年次報告 2013


世銀融資適格国* アンティグア・ バーブーダ

コスタリカ

ガイアナ

パラグアイ

スリナム

アルゼンチン

ドミニカ国

ハイチ

ペルー

ドミニカ共和国

ホンジュラス

トリニダード・ トバゴ

エクアドル

ジャマイカ

セントクリスト ファー・ネーヴィス

エルサルバドル

メキシコ

グレナダ

ニカラグア

グアテマラ

パナマ

ベリーズ ボリビア多民族国 ブラジル チリ コロンビア

ウルグアイ ベネズエラ・ ボリバル共和国

セントルシア セントビンセント および グレナディーン諸島

*2013年6月30日現在

民の安全も、多くの国、特に小さい国々で開発課題となっています。法の執行、治安、医療費 がGDPに占める割合は、中央アメリカ諸国で約8%、ブラジルで5%、ジャマイカで3.7%に上っ ており、各国政府は犯罪や暴力の増加に対する総合的な対策の策定を懸命に進めています。 こうした努力を支援するため、世銀は融資だけでなく、高度な知識の交流を図っています。暴 力への新たなアプローチを模索する「ハッカソン」 が、世銀の支援を受けて全域で行われまし た。中央アメリカの一部では女性人口の約半数が暴力に苦しんでおり、ハッカソンではこう した暴力をなくすためのモバイル・アプリケーションがいくつか作成されました。

弱者に配慮した持続可能な成長 ラテンアメリカ・カリブ海地域では、天然資源を維持していくための極めて革新的な方法 がいくつか実践されており、世界から注目されています。この地域は電力部門からの温室 効果ガス排出量が世界全体のわずか6%であり、温室効果ガスを排出するエネルギーが全て のエネルギーに占める割合は、途上地域の中で最も低くなっています。また、生態系の価値 を国民経済計算に組み込んで自然環境を効果的に管理する仕組みも採用しています。しか し、近年の経済的な大躍進に伴って都市化が猛烈な勢いで進んでおり、今や域内の全人口の

80%以上が都市部に住んでいます。この地域の開発にとっても、将来の世代のための天然 資源保全にとっても、弱者に配慮した持続可能な成長が何より重要です。

自然災害への備え ラテンアメリカ・カリブ海地域には、世界で自然災害の危険が最も高い上位20か国のうち

9か国が含まれており、自然災害関連の政府支出は年間約20億ドルに上っています。こうし た国々では災害に関する知識や経験が蓄積されていますが、防災に向けた大きな方向転換 が必要です。世銀は、大災害リスク保険のような最先端の手段を含め、災害に強い社会を作 るためのツールやメカニズムを提供しています。例えば、2010年のハイチ地震以降、世銀 は6万人以上を対象とする住宅資金グラントを提供し、野営地から安全な住居への移動を 進めました。また、居住地域の道路を広げ、照明を整備し、峡谷の工事を行い、住宅の修理・ 再建を進めています。世銀はハイチ以外でも、コロンビア、ホンジュラス、メキシコなどで 総合的な災害リスク管理戦略を支援しています。

加盟国との協力 世銀は、豊富な資金、知識を提供し、また、域内の多様なニーズに応じたサービスを働きか けることで、幅広い課題への取り組みを支援しています。開発プロジェクト融資、気候投資 表7 ラテンアメリカ・カリブ海地域

2011年度、2012年度、2013年度のラテンアメリカ・カリブ海地域への融資承認額と融資実行額 融資承認額(単位:100万ドル)

IBRD IDA

FY11 $9,169 $460

FY12 $6,181 $448

FY13 $4,769 $435

融資実行額(単位:100万ドル)

FY11 $8,376 $322

FY12 $6,726 $342

FY13 $5,308 $273

2013年6月30日現在、実行中のプロジェクトのポートフォリオ:308億ドル 地域別概要

37


ラテンアメリカ・カリブ海地域での主な成果 • メキシコ:2009年12月に開始された調達改革プロジェクトにより、旧い規制600件近くが廃止 され、透明性が向上。このプロジェクトは3年間で10億ドルの節減効果を生み、電子的処理件数 が3万件から7万件以上に増加。また、中小企業の参加も年間契約件数の36%に増大。 • ハイチ:農村の水と衛生プロジェクトで過去4年間に3万3000人以上に清潔な水へのアクセ スを提供することに成功。また、このプロジェクトで6つのコミュニティで学校にトイレが 建設され、3,700人の生徒・教員の衛生状態を改善。 • アルゼンチン:交通事故死者数を減少させるパイロット・プロジェクトの下、スペイン・ポル トガルを旧宗主国とするイベロ・アメリカ諸国で道路安全観測所というバーチャル・プラット フォームが設置され、22か国が経験の交流や効果的な政策ソリューションのための統計情報 を収集。アルゼンチンでは飲酒運転が3年間で50%、交通事故死者数が2年間で10%減少。 詳細な成果については、worldbank.org/resultsをご覧ください。

基金のような革新的メカニズム、2012年の主要報告書「所得階層間移動とラテンアメリカ 中産階級の台頭(仮題)」のような詳細な開発研究などを通じて、差し迫ったニーズへの対 応を支援しました。 加盟国の状況が変化していく中、世銀は、加盟国との連携を続け、開発重点分野への取 り組みに注力していきます。例えば、グアテマラ及びニカラグアの新たな国別パートナー シップ戦略では、競争力と持続可能な成長を強化し、より公平な社会に移行していくため の政府の取り組みを支援しています。またハイチの暫定支援戦略では、長期的開発、キャパ シティ・ビルディング、全国民への社会的サービスの提供に重点が置かれています。 図7 ラテンアメリカ・カリブ海地域

IBRDとIDAのセクター別融資 2013年度 総額52億ドルに占める割合 水と衛生・治水

2%

運輸

農業・漁業・林業

6%

13%

3%

金融

17%

保健・その他の社会サービス 産業・貿易

< 1%

40%

エネルギー・鉱業

3%

3% 行政・法律・司法

教育

12%

情報・通信

図8 ラテンアメリカ・カリブ海地域

IBRDとIDAのテーマ別融資 2013年度 総額52億ドルに占める割合

3%

経済管理 都市開発 貿易・地域統合

4%

社会的保護・リスク管理

16%

社会開発・ジェンダー・ 貧困層の参加支援

6%

農村開発

環境・天然資源管理

8%

7% 4%

金融・民間セクター開発 人間開発

19%

21% 12%

公共セクター・ガバナンス

法規

< 1% 地域別概要

38


表8 ラテンアメリカ・カリブ海地域

地域概要

2000年

2005年

現状a

総人口(百万人)

500

536

581

人口増加率(年率、%)

1.5

1.3

1.2

1人当たり国民総所得(GNI) (アトラス方式、現在の米ドル)

3,731

4,326

9,025

1人当たり国内総生産(GDP) 成長率(年率、%)

3.0

3.2

1.8

1日1.25ドル未満で生活している 人口(100万人)

60b

48

32

平均寿命、女性(歳)

75

76

77

平均寿命、男性(歳)

68

70

71

青年層の識字率、女性(15-24歳、%)

97

̶

97

青年層の識字率、男性(15-24歳、%)

96

̶

97

労働参加率、女性 (15歳以上人口に占める比率、%)

48

52

54

労働参加率、男性 (15歳以上人口に占める比率、%)

81

81

80

国会議員の女性比率 (全体に占める比率、%)

16

21

25

1,225

1,371

1,459

2.4

2.6

2.6

1990年時点

現状b

2015年時点

11.5

5.3

5.7

MDG 2.a 普遍的な初等教育の達成 (修了者が当該年齢層に占める割合、%)

83

102

100

MDG 3.a 初等・中等教育における 男女格差の解消(男子を100とした場合の 女子の割合、%)

101

102

100

MDG 4.a 乳幼児死亡率 (出生千人当たり)の削減

428

16

14

MDG 4.a 5歳未満児死亡率 (出生千人当たり)の削減

53

19

18

140

81

35

86

94

93

68

79

84

指標

二酸化炭素排出量(100万トン)

1人当たり二酸化炭素排出量(トン)

傾向

MDGs達成に向けた歩み MDG MDG 1.a 極度の貧困 (1日1.25ドル未満で生活する人口の 割合、2005年購買力平価、%)の半減

MDG 5.a 妊産婦死亡率(モデルに 基づく推定、出生10万人当たり)の削減 MDG 7.c 安全な飲料水を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

MDG 7.c 基本的な衛生施設を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

の水準

の目標値

2015年に向けた 傾向

既に達成

注:MDG 目標値はグローバル MDG 目標値を基にした地域値を示す。PPP= 購買力平価、データは、a = 2008 年から 2012 年までの最新データ、 最新データは data.worldbank.org を参照のこと、b = 1999 年現在、● =2015 年 MDG 目標

地域別概要

39


ヨルダン川西岸・ガザ地区:Arne Hoel/世界銀行

中東・北アフリカ地域 歴史的とも言える政治・経済の変化によって中東・北アフリカ地域の変革は引き続き進ん でいますが、そのペースや性質は国によって大きく異なります。こうした政治的変化が有 意義なものになるかどうかは、具体的な社会的・経済的改革――特に何百万人もの失業者、 中でも若年層のための雇用の創出――にどこまでつながるかにかかっています。このよう に、この地域では雇用創出を伴う経済成長が重要です。 中東・北アフリカ地域の2012年GDP成長率は6.4%で、政治の混乱によって経済成長が 鈍った2011年の3.1%と比べて上昇しました。2013年には成長率が3.8%に失速すると予測 されていますが、その主な要因は、一部の石油輸出国で2012年に前年の落ち込みを補うよ うに成長率が急速に伸びたためで、2013年は再び持続可能な成長に落ち着く見通しです。 この地域で極度の貧困状態(1日1.25ドル未満で生活している)にある人口は全体のわずか

2%ですが、1日2ドル未満で生活している人口は、14%近い400万人に上ります。

世銀の支援 2013年度の世銀支援は16件のプロジェクトに対し21億ドルに達しました。内訳はIBRDが 18億ドル、IDAが2億4900万ドルでした。また、ヨルダン川西岸・ガザ地区に対する特別融 資に5640万ドルを承認しました。 世銀は、融資以外にも、経済・セクター調査や、融資を伴わない技術協力など、合���74 件の支援をこの地域で提供しました。有償助言サービス(RAS)の枠組みでは、世銀が政府 とだけ協力するのではなく、地方自治体、国有企業、非政府組織、国際機関などに対しても 分析サービスや助言サービスを提供することができます。近年、世銀はRAS合意を通じて 湾岸協力会議の加盟国に提供するサービスを拡大しています。こうした合意では、雇用、水 の安全保障、教育、都市開発、エネルギー安全保障などに重点が置かれています。 この地域で起きている大きな政治的変革を受け、世銀は新たな関与の枠組みを構築しま した。新政府による具体的な開発目標に向けた支援プログラム構築に耳を傾けるだけでなく、 かつての体制下では声が届きにくかった市民社会の幅広いステークホルダーにも協議の幅を 広げました。アラブの春、及び現在も進められている改革努力を踏まえ、新枠組みは、ガバナ ンス、万人の糾合、雇用、持続可能な成長という4つの柱と、地域と世界の統合、ジェンダー、 民間セクター開発という分野横断的なテーマに基づいたものとなっています。また、世銀は、

G8諸国及び湾岸諸国が主導するドーヴィル・パートナーシップからの要請を受け、2億5000 万ドルの追加資本にて中東・北アフリカ地域移行基金を設置しました。11の国際機関とのパー トナーシップにより経済移行中の6か国(エジプト・アラブ共和国、ヨルダン、リビア、モロッ コ、チュニジア、イエメン共和国)で実施されるMENA移行基金は、前記の柱の下で政策面や組 織・制度面の改革の実施に技術協力を提供していきます。

ガバナンスの強化 自らの行動に対する説明責任を担う対応力ある国家づくりには、透明性と説明責任が不可

40

世界銀行 年次報告 2013


世銀融資適格国* アルジェリア ジブチ エジプト・ アラブ共和国

イラン・イスラム 共和国

レバノン

チュニジア

イラク

リビア

イエメン共和国

モロッコ

ヨルダン

この項ではヨルダン川西岸・ガザ地区についても報告

*2013年6月30日現在

欠です。世銀は、この両方を向上させるために様々な方法で取り組んでいます。チュニジ アに対して新たに提供した5億ドルの開発政策融資は、公共ガバナンスの透明性の向上と 社会的サービス提供の拡充を促進しました。イエメン共和国では、知識による援助で国内 の議論を促進したほか、政府・シビルソサエティ組織パートナーシップを新たに設け、公 共セクターの能力強化のために500万ドルの財政管理融資を承認しました。

弱者に配慮した社会・経済の向上 本年度、世銀は「包摂と対応力:中東・北アフリカ地域における社会的セーフティネット の今後(仮題)」を発表しました。この報告は、人的資本を築き、貧困を防ぎ、目的の曖昧な 非効率的な補助金をより意義のあるものと置き換えるために、域内でセーフティネットを どう強化するかを示しています。 世銀は、域内の女性や少数民族のボイスと参画を進めるための経済的施策やその他の 取り組みを支援しています。2013年度、世銀はレバノンで社会から取り残されている人々 を対象とする社会的促進プロジェクトに3000万ドルを提供しました。モロッコ及びイエメ ン共和国では、さらに大規模なプロジェクトを通じて、十分なサービスを受けていない人々 を中心に、教育に関する成果の向上を目指しています。イエメン社会基金の追加資金によ り、貧困層へのサービス提供能力が高まる見込みです。

雇用の創出 民間セクターにおける持続可能な雇用(特に若年層と女性の雇用)は、経済開発と域内の政 治的安定のために極めて重要です。各国がそうした雇用を創出できるよう支援するため、 世銀は、高失業率と低成長の罠から抜け出すためのステップを示した「繁栄の共有のため の雇用:中東・北アフリカ地域で今こそ行動を(仮題)」を発表しました。世銀はまた、ヨ ルダンにおいて、貧困層を取りこぼさない成長のための中小零細企業開発プロジェクトに

7000万ドルの融資を行いました。さらに、レバノンでは、新規事業への融資を行うプロジェ クトに3000万ドルを提供し、モロッコでは、ビジネス環境の改善に向けて1億6000万ドル の融資を行いました。

3月、世銀は「門戸の開放:中東・北アフリカ地域におけるジェンダー平等と開発(仮題)」 を発表しました。この報告によると、域内の多くの国で若年層女性の失業率が40%もの高 さにあり、女性に対しても男性に対しても、大規模かつ多様な雇用機会を創出する必要が あることを明確に裏付けています。 表9 中東・北アフリカ地域

2011年度、2012年度、2013年度の中東・北アフリカ地域への融資承認額と融資実行額 融資承認額(単位:100万ドル)

IBRD IDA

FY11 $1,942 $123

FY12 $1,433 $80

FY13 $1,809 $249

融資実行額(単位:100万ドル)

FY11 $768 $185

FY12 $1,901 $102

FY13 $1,786 $200

2013年6月30日現在、実行中のプロジェクトのポートフォリオ:90億ドル 地域別概要

41


中東・北アフリカ地域での主な成果 • ジブチ:2006年∼ 2011年、教室増築プロジェクトにより初等学校の就学児童数が7千 人超に増加(うち約3,300人が女児)。同期間に、3,700人以上の学校職員(教員、校長、 教育学アドバイザーなど)に研修を実施。

• レバノン:第1次地方自治体インフラ・プロジェクトへの追加融資により、178の地方自 治体で道路175km、雨水排水溝10km以上、土留めの壁48km以上など、公共インフラを再 建。これにより基本的サービスや経済開発の機会が復活し、 推定37万5427人が恩恵を享受。 • モロッコ:世銀プログラムが、固形廃棄物部門のガバナンスを向上し、収集サービスを 職業化。収集サービスは都市人口の66%に相当する1200万人に恩恵をもたらし、収集後 に埋立処分場に回される廃棄物の割合が2008年の10%から2011年は32%まで上昇。 詳細な成果については、worldbank.org/resultsをご覧ください。

持続可能な成長の加速化 自然資源への悪影響を抑制するためには、気候に配慮した成長が必要です。そのため世銀 は、中東・北アフリカ地域で様々なプロジェクトを支援しています。モロッコのワルザザー トでは、世銀、IFC、クリーン・テクノロジー基金をはじめ多数のパートナーが参加する官 民パートナーシップによる世界最大の太陽光発電プロジェクトの融資協定が、2013年5月 に締結されました。ジブチでは、600万ドルの地熱発電プロジェクトが、グリーン・テクノ ロジーを通じて経済成長を促進します。また、モロッコに対する1億3000万ドルの融資に より、都市部で固形廃棄物の収集・処理サービスのアクセスが改善され、廃棄物リサイク ルで最大7万人の雇用が創出される予定です。イエメン共和国では、4000万ドルの道路資 産管理プロジェクトが道路輸送の渋滞緩和に役立てられます。 図9 中東・北アフリカ地域

IBRDとIDAのセクター別融資 2013年度 総額21億ドルに占める割合 水と衛生・治水

5%

運輸

10%

農業・漁業・林業

2%

行政・法律・司法 情報・通信

3%

産業・貿易

4%

29%

エネルギー・鉱業

10%

12%

保健・その他の社会サービス

教育

10%

16%

金融

図10 中東・北アフリカ地域

IBRDとIDAのテーマ別融資 2013年度 総額21億ドルに占める割合

< 1%

経済管理 都市開発 貿易・地域統合 社会的保護・リスク管理

2% 7%

社会開発・ジェンダー・ 貧困層の参加支援

3%

農村開発

12%

法規

< 1%

公共セクター・ガバナンス 人間開発

環境・天然資源管理

4%

3%

3%

8% 15%

48%

金融・民間セクター開発

地域別概要

42


表10 中東・北アフリカ地域

地域概要

2000年

2005年

現状a

総人口(百万人)

277

301

340

人口増加率(年率、%)

1.8

1.7

1.7

1人当たり国民総所得(GNI) (アトラス方式、現在の米ドル)

1,483

1,992

4,210

1人当たり国内総生産(GDP) 成長率(年率、%)

1.2

2.8

–2.0

1日1.25ドル未満で生活している 人口(100万人)

14b

10

8

平均寿命、女性(歳)

71

73

74

平均寿命、男性(歳)

68

69

70

青年層の識字率、女性(15-24歳、%)

80

̶

88

青年層の識字率、男性(15-24歳、%)

90

̶

94

労働参加率、女性 (15歳以上人口に占める比率、%)

18

20

20

労働参加率、男性 (15歳以上人口に占める比率、%)

74

74

72

国会議員の女性比率 (全体に占める比率、%)

4

6

14

二酸化炭素排出量(100万トン)

873

1,113

1,321

1人当たり二酸化炭素排出量(トン)

3.2

3.7

4.1

1990年時点

現状a

2015年時点

MDG 1.a 極度の貧困 (1日1.25ドル未満で生活する人口の 割合、2005年購買力平価、%)の半減

5.3

2.2

2.7

MDG 2.a 普遍的な初等教育の達成 (修了者が当該年齢層に占める割合、%)

76

90

100

MDG 3.a 初等・中等教育における 男女格差の解消(男子を100とした場合の 女子の割合、%)

80

93

100

MDG 4.a 乳幼児死亡率 (出生千人当たり)の削減

54

26

18

MDG 4.a 5歳未満児死亡率 (出生千人当たり)の削減

70

32

23

220

81

55

86

89

93

73

88

86

指標

傾向

MDGs達成に向けた歩み MDG

MDG 5.a 妊産婦死亡率(モデルに 基づく推定、出生10万人当たり)の削減 MDG 7.c 安全な飲料水を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

MDG 7.c 基本的な衛生施設を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

の水準

の目標値

2015年に向けた 傾向

注:MDG 目標値はグローバル MDG 目標値を基にした地域値を示す。PPP= 購買力平価、データは、a = 2008 年から 2012 年までの最新データ、 最新データは data.worldbank.org を参照のこと、b = 1999 年現在、● =2015 年 MDG 目標

地域別概要

43


バングラデシュ:Arne Hoel/世界銀行

南アジア地域 2012年、南アジア地域のGDP成長率は、主にインド経済の減速によって2011年の7.4%から 5.4%に低下しましたが、2013年は、輸出需要の増大、インドの政策改革、投資活動の活発 化、農業生産の安定により、5.7%と予測されています。

世銀の支援 世銀は2013年度に35件のプロジェクトを承認しており、南アジア地域における重要な開発 パートナーです。本年度、世銀はIBRD貸出3億7800万ドル、IDA融資41億ドルを提供しまし た。支援額が大きかったセクターは、保健・その他の社会サービス(11億ドル)、行政・法律・ 司法(10億ドル)、教育(6億900万ドル)でした。 この地域における活動は、貧困の削減と繁栄の共有の促進という世銀の最重要課題を 支えるものです。戦略は、雇用の増大と成長の加速化、人間開発と社会福祉の向上、ガバナ ンスと説明責任の強化、気象・災害・食糧をめぐる脆弱性の削減、地域的な統合と協力の 強化、という5つの柱から成り立っています。

雇用の増大と成長の加速化 南アジア地域には若者の人口が多く、また女性の労働参加率が世界で最も低くなっていま す。増加を続ける労働力を吸収していくためには、今後20年間にわたって毎月100万人か ら120万人分の雇用創出が求められます。貧困層を取りこぼさない成長へとつながる政策 を強化するため、世銀は、所得と消費における格差に関する研究を、雇用や仕事での成功へ のアクセスや機会の格差と併せて考察する新報告書を作成中です。 世銀の新たなインド国別パートナーシップ戦略(2013 ∼ 17年)では、より迅速かつよ り多くの人を糾合した成長という長期的ビジョンを達成するための支援を目指していま す。これは、貧困の削減と最も貧しい人々への繁栄の共有について具体的な目標を定めた 初の国別戦略であり、インドの貧困層や恵まれない人々の多くが暮らす低所得州や指定州 へと支援の焦点が大きく移行しています。

人間開発と社会福祉の向上 世銀は、南アジア地域における人間開発の向上に様々な面から取り組んでいます。その 大部分は成果重視型であり、資金援助は各項目のサービスの向上状況と直接結びついて います。教育プロジェクトでは、就学率の引き上げ及び研修の質と平等性の向上に重点 が置かれています。保健プロジェクトでは、熟練した助産師の立会いを増やすこと、なら びに妊婦、若い女性、 5歳未満児が基本的な栄養サービスを受けられることを目指してい ます。 幼児及び小児の栄養不良が憂慮すべきレベルにあるため、世銀は、この分野における政 策対話、診断調査、新規事業融資の支援に力を入れています。ネパール農業食糧安全保障プ ロジェクトでは、作物・畜産農業を通じて食糧の安定供給を目指すと共に、食事の多様化

44

世界銀行 年次報告 2013


世銀融資適格国* アフガニスタン バングラデシュ

ブータン インド

モルディブ ネパール

パキスタン スリランカ

*2013年6月30日現在

や食育及び乳幼児(特に生後千日間)の栄養改善など、対象となるコミュニティの各家庭の 食糧・栄養の確保を図っています。

ガバナンスと説明責任の強化 世銀は、立法機関及び最高会計検査機関が予算管理で果たす役割について機能強化を進め ています。また、電子調達システムの導入、公共サービス提供の改善、情報公開規則の策定 などの支援も行っています。例えば、地域規模でセクターの枠を超えたチームを編成し、パ キスタンの財政管理システムに関する客観的かつ簡潔で、標準化された指標に基づく評価 を提供しました。その目的は、財政管理システム全般の信託環境についての理解を促し、ど のような改革が必要かを見極めることにありました。

気象・災害・食糧をめぐる脆弱性の削減 南アジア地域は、前回の食糧・燃料危機の際、他のどの地域よりも大きな影響を受けまし た。将来の食糧危機を乗り切るための支援として、世銀は各国政府と協力し、灌漑・排水事 業の拡大、伐採後の再植林、極端な気候現象、自然災害、気候変動への対応力の強化に取り 組んでいます。

2012年9月、世銀は1億ドルの開発政策���資を承認しました。ヒマラヤ山脈に位置する インドのヒマーチャル・プラデシュ州の政府が、持続可能な水力発電の開発の指針となる 政策及び実践を通じて、気候変動による影響への適応と緩和を図るための支援です。これ により、地元コミュニティの流水域保全のための能力が向上し、よりクリーンな工業生産 方法や持続可能な観光業が促進され、地理的情報システムが組み入れられます。

域内協力の強化 南アジア地域では、域内貿易が限られ、航空、道路、鉄道の接続が悪く、エネルギー貿易も 乏しいことが成長の妨げになっているため、域内協力と統合が主要な戦略重点分野となっ ています。世銀は、域内のエネルギー貿易と接続性、貿易と運輸の促進に注力すると共に、 地域経済協力に対する公的支援を構築しています。例えば、2013年6月、ネパールとイン ドの二国間貿易のコスト削減のため、ネパールでロジスティクスを整備する9900万ドルの プロジェクトを承認しました。また、インドとの貿易・投資面での協力強化を望むパキス タンにおいても、知識創出・普及プログラムを通じて支援を提供しています。

表11 南アジア地域

2011年度、2012年度、2013年度の南アジア地域への融資承認額と融資実行額 融資承認額(単位:100万ドル)

IBRD IDA

FY11 $3,730 $6,400

FY12 $1,158 $5,288

FY13 $378 $4,096

融資実行額(単位:100万ドル)

FY11 $1,233 $3,027

FY12 $1,037 $2,904

FY13 $1,103 $2,724

2013年6月30日現在、実行中のプロジェクトのポートフォリオ:382ドル 地域別概要

45


南アジア地域での主な成果 • モルディブ:2009年以降、銀行決済システムの近代化とインターネット・バンキング の導入、包括的で多層型の年金制度の構築、コミュニティ参加型の環境管理プログラム の開始に集中的に支援が充てられた。また、研修を受けた教員数が3,400人から6千人に 増加。

• インド:2007年以降、貧困層の女性85万人が、6万7000の自助グループ及び4,500の村 落組織に参加し、貧困世帯の社会的、金銭的、経済的参加を促進。こうしたグループは、 融資へのアクセス、安定した食糧供給の強化、貯金の励行を支援。

• スリランカ:2002年以降、農村再生可能エネルギー・プロジェクトが147メガワット以 上の再生可能エネルギー発電を支援し、大気の質改善と炭素排出量の削減に貢献。農村 部の遠隔地に暮らす11万6000世帯以上(約50万人)に、オフグリッドの電力を提供。 詳細な成果については、worldbank.org/resultsをご覧ください。

知識と開発ソリューションの提供 アフガニスタンでは、2014年までにほとんどの国際部隊が撤退し、全体として援助額も減 少することから、政治や経済の展望に深い影響を及ぼすと懸念されています。この2014年 に向けた計画の策定を行う当局や国際社会に、世銀の分析研究が役立てられています。ま たスリランカでは、コロンボ首都圏におけるインフラ課題に関する世銀の分析研究が、同 セクターの改革、そして初のIBRD投資(2億1300万ドルの貸出)に道を拓きました。これに より、同国は中所得国向け支援対象という新たな段階に入りました。 図11 南アジア地域

IBRDとIDAのセクター別融資 2013年度 総額45億ドルに占める割合 水と衛生・治水

運輸

5%

9%

農業・漁業・林業

6% 3% 行政・法律・司法

教育

14%

12%

エネルギー・鉱業 金融

23% 24%

情報・通信

1%

保健・その他の社会サービス

産業・貿易

4%

図12 南アジア地域

IBRDとIDAのテーマ別融資 2013年度 総額45億ドルに占める割合

< 1%

経済管理 都市開発 貿易・地域統合

2%

社会的保護・リスク管理

18%

社会開発・ジェンダー・ 貧困層の参加支援 農村開発 法規

環境・天然資源管理

10%

4% 5%

金融・民間セクター開発

人間開発

31%

5% 17% 1%

7%

公共セクター・ガバナンス

地域別概要

46


表12 南アジア地域

地域概要

2000年

2005年

現状a

1,382

1,499

1,649

1.8

1.5

1.3

1人当たり国民総所得(GNI) (アトラス方式、現在の米ドル)

447

700

1,422

1人当たり国内総生産(GDP) 成長率(年率、%)

2.4

7.1

2.3

619b

598

507

平均寿命、女性(歳)

63

65

67

平均寿命、男性(歳)

61

63

64

青年層の識字率、女性(15-24歳、%)

64

̶

73

青年層の識字率、男性(15-24歳、%)

80

̶

86

労働参加率、女性 (15歳以上人口に占める比率、%)

35

37

32

労働参加率、男性 (15歳以上人口に占める比率、%)

83

83

81

国会議員の女性比率 (全体に占める比率、%)

8

13

20

1,336

1,602

2,216

1.0

1.1

1.4

1990年時点

現状a

2015年時点

47.9

35.5

23.9

MDG 2.a 普遍的な初等教育の達成 (修了者が当該年齢層に占める割合、%)

62

88

100

MDG 3.a 初等・中等教育における 男女格差の解消(男子を100とした場合の 女子の割合、%)

68

95

100

MDG 4.a 乳幼児死亡率 (出生千人当たり)の削減

85

48

28

MDG 4.a 5歳未満児死亡率 (出生千人当たり)の削減

119

62

40

620

220

155

71

90

86

22

38

61

指標 総人口(百万人) 人口増加率(年率、%)

1日1.25ドル未満で生活している 人口(100万人)

二酸化炭素排出量(100万トン)

1人当たり二酸化炭素排出量(トン)

傾向

MDGs達成に向けた歩み MDG MDG 1.a 極度の貧困 (1日1.25ドル未満で生活する人口の 割合、2005年購買力平価、%)の半減

MDG 5.a 妊産婦死亡率(モデルに 基づく推定、出生10万人当たり)の削減 MDG 7.c 安全な飲料水を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

MDG 7.c 基本的な衛生施設を利用

できない人々の割合を削減 (利用できる人の割合、%)

の水準

の目標値

2015年に向けた 傾向

注:MDG 目標値はグローバル MDG 目標値を基にした地域値を示す。PPP= 購買力平価、データは、a = 2008 年から 2012 年までの最新データ、 最新データは data.worldbank.org を参照のこと、b = 1999 年現在、● =2015 年 MDG 目標

地域別概要

47


世界銀行

IBRDとIDAの役割

世界銀行グループは、国際復興開発銀行(IBRD)及び国際開発協会(IDA) (この2機関を総称 して「世界銀行」という)、ならびに国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA)、投 資紛争解決国際センター(ICSID)で構成されています。各機関は、貧困削減と生活の向上 という共通の目標の達成を目指して協力し、相互の活動を補完し合っています。世銀と民 間セクターとの連携が緊密化する中、世銀グループ機関による協調も拡大しつつあります。 各機関はそれぞれに年次報告を発表し、財務情報を開示しています。

IBRDの役割 加盟188か国が共同出資する世界規模の開発機関であるIBRDは、途上国の国内経済の公平 かつ持続可能な成長の達成、経済発展ならびに環境の持続可能性など、様々な重要分野で 差し迫った地域的・世界的問題の解決に向け、加盟国と協力して取組んでいます。貧困削 減と生活水準の向上を最優先の目標とし、主に貸出、リスク管理手段、開発関連分野の専門 知識の提供や、地域や地球規模の課題への対応の調整を行っています(www.worldbank.

org/ibrd参照)。

IBRDの貸出承認額とサービス 2013年度のIBRDの新規貸出承認額は、92件のプロジェクトに対する152億ドルと、世界危 機以前の過去の平均(2005 ∼ 08年度の平均は135億ドル)を上回りましたが、2012年度の 206億ドルは下回りました。新規貸出承認額が最も大きかったのは、ラテンアメリカ・カ リブ海地域(48億ドル)及びヨーロッパ・中央アジア地域(46億ドル)で、次いで東アジア・ 大洋州地域が37億ドルでした。以下、中東・北アフリカ地域(18億ドル)、南アジア地域(3 億7800万ドル)、アフリカ地域(4200万ドル)の順でした。貸出承認額が最も大きかったセ クターは行政・法律・司法(44億ドル)で、次いで運輸(26億ドル)、保健・その他の社会サー ビス(18億ドル)、金融(16億ドル)でした。テーマ別に見ると、貸出承認額が最も大きかっ たのは金融・民間セクター開発(18%)で、次いで公共セクター・ガバナンス(14%)、社会 的保護・リスク管理(13%)でした。 IBRDは、途上国に対する貸出に加え、開発のための資金を途上国自身が効率的に調達す ることや、通貨・金利・商品価格の変動並びに自然災害に伴う様々なリスクの回避を、金融 取引によって実現するサービスも提供しています。2013年度、世銀財務局は加盟国のため に48億ドル相当の金融取引を実行しました。このうち37億ドル相当が金利リスクの回避、

8,200万ドル相当が通貨リスク(現地通貨対ドル)の回避、10億ドル相当がIBRDの貸出以外 の通貨リスクの回避を目的とする金融取引でした。また、太平洋島嶼国5か国とカリブ海地 「予防接種の 域16か国に災害リスク保険を提供するための金融スワップ取引を実行した他、 ための国際金融ファシリティ」 (通称:IFFIm)のために8億7800万ドル相当のワクチン債の 起債をアレンジしました。さらに世銀財務局は、メキシコ政府が、地震やハリケーンの被害 に対処するための資金を補うために発行した第2回マルチ・キャット・ボンド(複数の「大 の発行をアレンジしました。 災害債券」 の同時発行、期間:3年、金額:3億1500万ドル)

IBRDの原資 IBRDは、国際資本市場で債券(世銀債)を発行して、中所得国への長期貸出を提供していま す。2013年度は、21の通貨建の世銀債を発行し、221億ドル相当を調達しました。IBRDは、 資本市場における確固たる世銀債発行実績と強固な財務基盤を背景に、市場が乱高下する 中にあっても、このように多額の資金を有利な条件で調達することができています。IBRD は、堅固な資本基盤と出資国からの支援に加え、資金調達力の基礎となる健全な財務方針

48

世界銀行 年次報告 2013


FIGURE 1

図13

IBRD RATIO OF EQUITY TO LOANS

IBRD AND貸出・長期投資資産に対する資本の比率 LONG-TERM INVESTMENT ASSETS AS OF年 JUNE 30,日現在 2012 2013 6月30 単位:% 40 34.3 29.4

30

28.6

26.9

26.8

12年度

13年度

20

10

0 09年度

10年度

11年度

と運用によって、これまでトリプルAの信用格付を維持してきました。IBRDの資本は主に 払込資本と準備金で構成されています。2011年3月16日に総務会が承認した一般増資及び 選択増資の決議の条件に基づき、授権資本は862億ドルの増加になると予測され、その内、

51億ドルが5年間で払い込まれる予定です。2013年6月30日現在、授権資本の累積増加分と こうした増資に関連した払い込み額はそれぞれ、合計322億ドルと19億ドルでした。 IBRDはその加盟国に対してサービスを提供する組合的な組織であり、営利を目的とは していませんが、健全な財務体質を確保し、開発活動を継続するために十分な利益は追求 しています。理事会は、2012年度の分配可能純利益のうち1億4700万ドルを一般準備金に 追加することを承認し、IDAへの6億2100万ドルの移転と剰余金への2億ドルの振替を総務 会に提言しました。 開発金融機関であるIBRDにとって主要なリスクは、貸出や保証を提供するクライアント の信用リスクです。世銀の原則的なリスク指標である資本貸出比率は、世銀の財務・リスク 見通しに基づいて厳密に管理されています。2013年6月30日現在のこの比率は26.8%でした。

IDAの役割 国際開発協会(IDA)は、世界の最貧国に譲許的融資を提供する世界最大の国際機関です。

IDAの資金は、クライアント自身が行う経済成長の促進、貧困の削減、貧困層の生活の改善 を支援しています。2013年度のIDA融資適格国は合計82か国でした(www.worldbank. org/ida参照)。

IDA融資承認額 2013年度のIDA承認額は163億ドルでした。その内訳は融資が138億ドル、贈与が25億ドル、 6000万ドルが保証でした。承認額が最も大きかったのはアフリカ地域でした(82億ドル)。 南アジア地域(41億ドル)及び東アジア・大洋州地域(26億ドル)も大きな割合を占めてお り、ヨーロッパ・中央アジア地域(7億2900万ドル)、ラテンアメリカ・カリブ海地域(4億 3500万ドル)、中東・北アフリカ地域(2億4900万ドル)がそれに続いています。国別では、 ベトナム(20億ドル)及びバングラデシュ(16億ドル)に対する融資が最大でした。 セクター別では、エネルギー・鉱業、運輸、水と衛生・治水、情報・通信を含むインフ ラに対する承認額が61億ドルでした。教育及び保健・その他の社会サービス(合計42億ド ル)、行政・法律・司法(36億ドル)、農業(13億ドル)に対しても、多額の支援が提供され ました。テーマ別に見ると、融資承認額が特に大きかったのは、農村開発(29億ドル)、人間 でした。 開発(28億ドル)、社会的保護・リスク管理(19億ドル) 世界銀行:IBRDとIDAの役割

49


図14

IDA増資 a

単位:10億ドル 26.4

25.1 18.0 14.6

12.7 6.3 1.6

3.9

6.3 3.0

5.3

n.a.

IDA14 2006 ∼ 08 年度 IDA 自己資金 b IBRD と IFC からの移転資金

IDA15 2009 ∼ 11 年度

IDA16 2012 ∼ 14 年度

MDRI 債務免除に対するドナーからの補填 ドナーからの拠出 C

注:n.a. =該当なし。 a. このデータは、最終増資報告、ならびに増資交渉で使用された為替レートを反映。 b. IDA の自己資金は、元本返済金、手数料、投資収益など。 c. 構造的な資金ギャップを控除後。

IDAの原資 IDAの活動資金は、主にパートナー国からの拠出金で支えられています。その他、IBRD純 利益からの移転、IFCからのグラント、過去のIDA融資に対する借入国からの返済金などに よっても賄われています。パートナー国と借入国の代表は、3年毎に集まり、3年間の対象 期間におけるIDAの戦略的方向性、優先分野、融資について決定します。 2012年度から2014年度までを対象とするIDA第16次増資(IDA16)では、資金調達総額 は339億SDR(509億ドル相当)に達 (IDAの為替ヘッジ及び増資協議後の更新に従って修正) しました。このうち新規拠出パートナー 7か国を含むパートナー 51か国からの拠出が176 億SDR(264億ドル相当)、債務免除に対するパートナーからの補填が35億SDR(53億ドル相 当)、IDAブレンド国及びギャップ国の契約上のあるいは自発的な期限前返済及び融資条 件の引上げにより確保された資金を含むIDA返済資金が89億SDR(134億ドル相当)、投資 収益を含む世銀グループ内からの所得移転が19億SDR(28億ドル相当)で、残りの20億SDR (29億ドル相当)は過去の増資からの繰越しです。2013年6月30日現在、IDA16の総額のう ち199億SDR(299億ドル相当)の融資、贈与、保証が承認されています。IDAのキャッシュフ ローはIDA融資承認の表示通貨であるSDRでヘッジされており、ドル換算額はIDA16の基準 為替レートを参考として示しています。

IDA16の全体に共通する重点項目は、開発成果の達成です。特別テーマとしては、危機 対応、ジェンダー、気候変動、紛争の影響下にある脆弱国が挙げられています。IDA16には、 低所得国が自然災害の影響や深刻な経済ショックに対処するための支援を目的とした専用 の危機対応融資制度への資金提供も含まれています。 現在、2015 ∼ 2017年までを対象とするIDA17の増資協議が進められており、2013年

12月に最終決定されます。

50

世界銀行 年次報告 2013


図15

IBRDとIDAの地域別融資額|2013年度 総額315億ドルに占める割合 南アジア

中東・北アフリカ

ラテンアメリカ・カリブ海

アフリカ

26%

14%

7%

16%

20%

東アジア・大洋州

ヨーロッパ・中央アジア

17%

図16

IBRDとIDAのセクター別融資額|2013年度 総額315億ドルに占める割合 水と衛生・治水

農業・漁業・林業

8%

8%

教育

10% 運輸

15% 13%

行政・法律・司法

22%

金融

3%

保健・その他の社会サービス

16% 情報・通信

エネルギー・鉱業

1%

産業・貿易

4%

図17

IBRDとIDAのテーマ別融資額|2013年度 総額315億ドルに占める割合 都市開発

貿易・地域統合

10%

経済管理

1% 7%

環境・天然資源管理

10% 10%

社会的保護・リスク管理

12%

社会開発・ジェンダー・ 貧困層の参加支援

3%

農村開発 法規

17%

金融・民間セクター開発 人間開発

18% 1%

11%

公共セクター・ガバナンス

世界銀行:IBRDとIDAの役割

51


表13

業務概要|2008–13年度 単位:100万ドル

IBRD

2008年度

2009年度

承認額

13,468

32,911

3,967

15,532

10,490

18,565

うち開発政策融資

3,485

9,138

元本返済額(前納分を含む)

12,610

10,217

実行純額

(2,120)

8,347

貸出残高

99,050

105,698

未実行額

38,176

51,125

業務利益a

2,271

572

36,888

36,328

38%

34%

うち開発政策融資 実行総額

利用可能資本及び準備金 資本貸出比率

a. IBRDの財務諸表では「非商品勘定ポートフォリオについて公正価値調整を行う前の純利益で、 総務会承認済の移転前のもの」として報告されている。

IDA

2008年度

承認額

2009年度

11,235

14,041a

2,672

2,820

9,160

9,219

うち開発政策融資

2,813

1,872

元本返済額(前納分を含む)

2,182

2,209

実行純額

6,978

7,010

融資残高

113,542

112,894

未実行額(融資)

27,539

29,903

未実行額(贈与)

5,522

5,652

開発贈与

3,151

2,575

うち開発政策融資 実行総額

a. コートジボワールに対する4550万ドルのHIPC贈与を含む。

52

世界銀行 年次報告 2013


2010年度

2011年度

2012年度

2013年度

44,197

26,737

20,582

15,249

20,588

9,524

10,333

7,080

28,855

21,879

19,777

15,830

17,425

10,582

9,052

5,972

11,624

13,885

11,970

9,470

17,231

7,994

7,806

6,361

120,103

132,459

136,325

143,776

63,574

64,435

62,916

61,306

800

1,023

783

876

36,106

38,689

37,636

39,711

29%

29%

27%

27%

2010年度

2011年度

2012年度

2013年度

14,550

16,269

14,753

16,298

2,370

2,032

1,827

1,954

11,460

10,282

11,061

11,228

3,228

1,944

2,092

1,662

2,349

2,501

4,023

3,845

9,111

7,781

7,037

7,371

113,474

125,287

123,576

125,135

30,696

38,059

37,144

39,765

5,837

6,830

6,161

6,436

2,583

2,793

2,062

2,380

業務概要

53


表14

世界銀行によるテーマ別、セクター別の融資|2008–13年度 単位:100万ドル

テーマ

2008年度

2009年度

経済管理

397

2,305

環境・天然資源管理

2,662

5,085

金融・民間セクター開発

6,156

9,695

人間開発

2,281

6,379

公共セクター・ガバナンス

4,347

6,108

304

16

農村開発

2,277

4,299

社会開発・ジェンダー・貧困層の参加支援

1,003

813

882

5,296

貿易・地域統合

1,393

3,444

都市開発

3,001

3,467

テーマ総額

24,702

46,906

セクター

2008年度

2009年度

農業・漁業・林業

1,361

3,400

教育

1,927

3,445

エネルギー・鉱業

4,180

6,267

金融

1,541

4,236

保健・その他の社会サービス

1,608

6,305

産業・貿易

1,544

2,806

情報・通信

57

329

行政・法律・司法

5,296

9,492

運輸

4,830

6,261

水と衛生・治水

2,360

4,365

セクター総額

24,702

46,906

うち、IBRD

13,468

32,911

うち、IDA

11,235

13,995

法規

社会的保護・リスク管理

注:四捨五入の結果、合計値が総計と異なる場合がある。 2009年度のIDA融資は総額4550万ドルのHIPC贈与を除く。

54

世界銀行 年次報告 2013


2010年度

2011年度

2012年度

2013年度

3,950

655

1,293

484

4,337

6,102

3,997

2,470

17,726

7,981

4,743

4,380

8,421

4,228

4,961

4,348

5,750

4,518

4,035

3,790

207

169

126

590

5,004

5,636

5,443

4,651

952

908

1,247

1,310

5,006

5,691

3,502

3,956

1,818

2,604

1,872

2,707

5,575

4,514

4,118

2,861

58,747

43,006

35,335

31,547

2010年度

2011年度

2012年度

2013年度

2,618

2,128

3,134

2,112

4,945

1,733

2,959

2,731

9,925

5,807

5,000

3,280

9,137

897

1,764

2,055

6,792

6,707

4,190

4,363

1,251

2,167

1,352

1,432

146

640

158

228

10,828

9,673

8,728

7,991

9,002

8,638

4,445

5,135

4,103

4,617

3,605

2,220

58,747

43,006

35,335

31,547

44,197

26,737

20,582

15,249

14,550

16,269

14,753

16,298

世界銀行によるテーマ別、セクター別融資

55


貧 困

繁 栄

持続可能性

世界銀行:

成果を重視 クライアント国の開発課題への取り組みを総合的な解決策を用いて支援するために は、成果の重視が不可欠です。過去10年間にわたり、世銀はクライアント国における 開発成果に大きく貢献してきました。近年では、食糧・燃料・金融危機に対応するた めにプロジェクトの規模が拡大しており、紛争影響下の脆弱な状況に対し特別な注意 が払われています。世銀の支援は様々な分野で大きな成果をもたらしていますが、そ うした例の一部を以下でご紹介します。地図には各加盟国の融資適格性を示していま す。詳細は、worldbank.org/resultsをご覧ください。

1 アフガニスタン: 2002年以降、全長1万

1000kmの道路建設が地元住民の手で行 われ、雇用を創出すると共に、農村住民に とって市場、学校、保健施設へのアクセス

が向上。

2 アルメニア:正規の医師から診察を受け

られる人口の割合が2004年の17 %から

2010年には85%に上昇。 3 バングラデシュ:女子の中等教育就学者

数が、1991年のわずか110万人から、現 在は6倍の600万人以上に増加。

4 ベナン:2005 ∼ 2012年、75万人がコミュ

56

5 ブータン:学校を修了した子供の割合が、

2006年の76%から2009年は90%に増加。

6 ボスニア・ヘルツェゴビナ:20の自治体

で給水サービスに24時間アクセスできる 住 民 が、2004年 の75%か ら2011年 に は

100%に増加。 7 ブルキナファソ:2002年以降、全ての子

供に無料で予防接種を実施。2003年、無 料で産前ケアを受けられる女性も100 % に。

8 コ ロ ン ビ ア:2012年 末 現 在、全 国 に 広 がる 5路線のバス高速輸送システムのう

ニティ主導のプロジェクトによる恩恵を

ち 1路線で 1日当たり 170 万人近い乗客が

享受。

移動。

世界銀行 年次報告 2013


IBRD融資適格国

ロシア連邦

ロシア連邦

ベラルーシ ポーランド 15 ウクライナ

6

17

チュニジア

モロッコ

14

ヨルダン川西岸・ガザ地区 アルジェリア

メキシコ

カーポ マリ ヴェルデ モーリタニア 7

ジャマイカ ベリーズ ハイチ グアテマラ ホンジュラス エルサルバドル ニカラグア

8

コスタリカ パナマ

エジプト・ アラブ 共和国

リビア

10

ベネズエラ・ ガイアナ スリナム ボリバル共和国

コロンビア エクアドル

ブラジル

民主共和国

アンゴラ

ボリビア

ナミビア

ウルグアイ アルゼンチン

アンティグア・ バーブーダ

タイ

ベトナム

カンボジア スリランカ

フィリピン

マレーシア

マーシャル諸島

ミクロネシア連邦 パラオ

12

モルディブ

18

21

インドネシア

タンザニア

ジンバブエ ボツワナ

南アフリカ

マダガスカル

パプア ニューギニア

キリバス ソロモン 諸島

キリバス ツバル

東ティモール

サモア バヌアツ

モーリシャス

モザンビーク スワジランド

ポーランド

レソト

6

クロアチア

セントルシア

9 コンゴ共和国:初等教育修了率が2004年

24

コモロ

ドミニカ国

ベネズエラ・ボリバル共和国

ラオス 人民民主共和国

3

20

セントクリストファー・ ネーヴィス

セントビンセントおよび グレナディーン諸島

世界銀行の融資を 受けていない国

ブータン

グレナダ トリニダード・ トバゴ

14 メキシコ:2010年以降、2300万個近い

ボスニア・ セルビア ヘルツェゴビナ モンテネグロ コソボ アルバニア マケドニア旧ユーゴ スラビア共和国

フィジー

ウクライナ ルーマニア ブルガリア

ドミニカ 共和国

大韓民国 中国

バングラデシュ ミャンマー インド

25

現在、融資が行われていない IDA融資適格国

ザンビア マラウイ

19

パラグアイ

チリ

11

IDA融資適格国

モンゴル

5 イラク イラン・イスラム パキスタン ヨルダン 共和国 ネパール

イエメン エリ ニジェール スーダン セネガル 4 トリア 共和国 チャド ガンビア ブルキナ ジブチ ギニアビサウ ギニア ファソ ナイジェリア 南スーダン コート 中央 シエラレオネ ジボワール 23 エチオピア アフリカ ソマリア 13 カメルーン リベリア 共和国 ガーナ 9 ウガンダ トーゴ ケニア ベナン ガボン ルワンダ 赤道ギニア セーシェル コンゴ ブルンジ サントメ・プリンシペ コンゴ共和国

ペルー

16 カザフスタン

モルドバ ルーマニア 2 ウズベキスタン ブルガリア キルギス共和国 グルジア アゼルバイジャン1 アルメニア タジキスタン トルコ シリア・ トルクメニスタン レバノン アラブ共和国 アフガニスタン

22

IBRDとIDA融資の適格国 (ブレンド国)

トンガ

18 ソ ロ モ ン 諸 島:2010 ~ 2012年、28万

23 ウガンダ:2003 ~ 2012年、ウガンダ北 部で300万人以上(ウガンダ北部人口の

の わ ず か50 % か ら2012年 末 現 在 に は

省エネ型電球を550万世帯に無償配布。

7000日分の労働を創出。4,500人以上(う

85%まで上昇。

その節電効果は2010 ~ 12年で1,400ギガ

ち女性57%、若年層50%)が研修を受け雇

47%に相当)が、安全な飲料水、より整備

ワット時。

用を確保。

された衛生施設など、より良いサービス

10 ハイチ:130万人を代表する76の市民保 護委員会の災害への備えと対応能力を 強化。

11 インド:作物保険のパイロット・プログ

15 モルドバ:1998 ~ 2011年、93万2000人

ミュニティとの管理契約を通じて、地

24 ベトナム:銀行間送金の取扱件数が2002

を通じたエンパワメントを実施。

元の管理下に置かれる土地が2004年の

年の1日300 ~ 500件から2010年には1日

1,054,033ヘ ク タ ー ル か ら2010年 に は

10万件に増加するなど、全国的に銀行へ

1,953,246ヘクタールに増加。

のアクセスが向上。

16 モ ン ゴ ル:2006 ~ 2012年、6万7000台

し、最初の収穫期に、天候不順に起因する

の家庭用太陽光発電システムが遊牧民に

リスクの軽減を支援。

販売され、モンゴルの遊牧民の60 ~ 70% を電化。

が改善された水源へのアクセスを、550

17 モロッコ:2006 ~ 2010年、地方委員会

万人が改善された衛生設備へのアクセス

の67 %にシビルソサエティ代表者が参

を、それぞれ確保。

13 ケニア:2011年時点で、極度の貧困状態 で暮らす孤児及び脆弱な子供のうち24万

にアクセスを確保。

に、開発ニーズ管理のため社会投資基金

ラムにより、50地区の農民40万人に対

12 インドネシア:2006 ~ 2013年に480万人

19 南 ア フ リ カ: 民 間 の 土 地 所 有 者 や コ

加。役人の選出や地方開発計画にコミュ ニティのニーズを優先。

20 タンザニア:公共事業により創出された

25 イエメン共和国:2008 ~ 2010年、外来

労働が、2005年の540万日から2012年は

種の排除及び農業の生物多様性保全のた

2000万日へと300%増加。

め、3,050の従来品種を収集し遺伝子バ

21 東ティモール:初等教育修了率が、2009 年の73%から2012年には83%に増加。

22 チュニジア:博物館職員270人に持続可 能な文化観光の研修を実施し、観光業の

5000人以上(約40%)をセーフティネッ

多様化を目標に3つの世界的な博物館を

ト・プログラムにより支援。

建設・増築。

ンクに保管。


世界銀行年次報告2013チーム 出版局

印刷製作コーディネータ

編集コーディネータ

ウェブ製作コーディネータ

Carlos Rossel

Denise Bergeron

Daniel Nikolits

Stacey Leonard Frank, Tom Breineder, Paschal Ssemaganda

デザイン・編集製作コーディネータ

デザイン、活字組み Hank Isaac(River Rock Creative),

Susan Graham 編集チーム

BMWW, Professional Graphics Printing Co.

Nancy Lammers, John Felton, Barbara Karni, Janet Sasser

年次報告2013 CD-ROM目次 世界銀行年次報告2013、

7か国語 2013年の成果

世界銀行コーポレート・スコアカード

財務諸表 地域別所得 融資データ 新規承認プロジェクト 組織に関する情報

© 2013 International Bank for Reconstruction and Development / The World Bank 1818 H Street NW, Washington, DC 20433 Telephone: 202-473-1000; Internet: www.worldbank.org 一部不許複製

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World Bank Annual Report 2013. Washington, DC: World Bank. DOI: 10.1596/978-0-8213-9937-8. License: Creative Commons Attribution CC BY 3.0.

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2002年以降、世銀は以下の活動を 支援に充てられました。

約270万人の保健従事者の研修資金を提供 約4億9700万人の子どもに予防接種を実施

1億8800万人以上の妊婦の産前ケアを支援 全長18万9000キロ以上の道路の建設・修復費用を提供 初等教育教員400万人以上の採用及び研修を援助

1億4500万人に改善された水源へのアクセスを提供 1000万人近くに改善された衛生設備へのアクセスを提供

WORLDBANK.ORG / 世界銀行年次報告 2013

上記は、世銀の支援を得て、2002年から2012年の間にパートナー国が達成 した成果の一部です。世銀は、貧困のない世界を達成し、持続可能な方法で 繁栄の共有を促進するための取り組みを進めています。伝染病との闘い、気 候変動の影響への取り組み、食糧安全保障の確保など、世界的な開発課題に 対処するイニシアティブの策定・管理においても世界をリードしています。 世銀は今後も、従来からの、そして新たな開発パートナーと協力して、こう した課題への取り組みを続ける共に、途上国の未来を大きく変えるべく支 援を続けていきます。

世界銀行東京事務所 〒100-0011

東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10F

電話:03-3597-6650(代) ファックス:03-3597-6695

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The World Bank Annual Report 2013