T SU DOU
VOL. 23 WINTER 2023-2024
意外に知らない オリーブオイルのこと みなさんは、オリーブオイルを普 段から使っていますか? 体に良いといわれ、今では知名度の 高いオリーブオイルですが、 購入の際、店 頭でも迷ってしまうほど、いろいろな種類があります。 今回は、身近な油の代表的な存在「オリーブオイル」について、今 さら聞けない「種 類と違い」や「正しい使 い方」などを特集します。
人類が最初に手にした油 「オリーブオイル」
脂肪酸の中でも 体に良いとされている オレイン酸を主成分と 紀元前1万年頃には、オリーブの野生種が地中海 しているオリーブオイル に面した地域で発見されており、その後紀元前4千 オレイン酸は酸化しづらく 年 頃から人類がオリーブの栽培を始めたと考えら 熱に強いため れています。果実を搾るだけで作れるオリーブオイ 揚げ物や炒め物にも ルは、人類が、最初に手にした油として人々に愛され 向いています!
オリーブオイルは 天ぷらなど揚げ物には適さない?
てました。現在のように地中海全域でオリーブが栽培され るようになったきっかけは、 ローマ時代の都で、食用としてだけでな
通常フライを揚げる温度は、約180℃といわれていますが、サラダ油
く燃 料や 化粧品としてなど、生活の様々な場面でオリーブオイルが
などの清製油の発 煙点 (油を火にかけてから煙が出始める温度)は
登場し、有力貴族たちが広大なオリーブ農園を経営して、オイルを
230〜245℃で、オリーブオイルは176〜210℃。 発煙点に達するとオ
ローマに運んだからでした。 この頃からオリーブオイルは、農家の収
イルは酸化し劣化します。サラダ油よりもオリーブオイルは低い温
入源の一つになり、地中海沿岸で立派な産業へと成長を遂げてい
度帯のため、 オリーブオイルでの揚げ物は低温でじっくり揚げるのが
きました。その後、大航海時代にはオリーブは海を超え、 アメリカ大
良いでしょう。カラッと軽く仕上がる点が特長です。抗酸化効果が高
陸や南アフリカ、オーストラリアでも栽培されるようになったのです。
いため、酸化しにくく繰り返し使うこともできるという利点もあります。
オリーブオイルの種類
調理法で種類を使い分け
オリーブオイルには大きく分け2 つの種類があり、 オリーブの実をす
日本で見かけるのは『エクストラ・バージンオリーブオイル』 と 『ピュア
を精製した『ピュアオリーブオイル』があります。 『バージンオリーブ
か、意外と知らない方も多いようです。 「エクストラ・バージンオリーブ
り潰して搾っただけの『バージンオリーブオイル』 とオリーブのオイル
オリーブオイル』がほとんどですが、 この2 つをどう使い分けたら良い
には、以下の4つのランクがあり酸度の違いによって分けら オイル』
オイルは、味や香りもよく栄養価も高い高級品」 「 、ピュアオリーブオ
れています。この内「エクストラ・バージンオリーブオイル」は、最も
イルは、 それより品質が落ちる低価格オイル」 と思っている方も多い
厳しい品質規格に合格した『バージンオリーブオイル』の称号です。
と思います。確かに、品質や価格などの違いはありますが、 これらを選
バージンオリーブオイルのランク分け
ぶ時に最も重要なことは、料理や使い方で選ぶということ。
バージンオリーブオイル の 種類
酸 度 の違い
エクストラ・バージンオリーブオイル
酸度 0.80% 以下
ファイン・バージンオイル
酸度 2.0% 以下
オーディナリー・バージンオイル
酸度 3.3% 以下
ランパンテ・バージンオイル
酸度 3.3% 超
『ピュアオリーブオイル』は、220℃くらいの高温でも劣化が少なく、 熱に強いので、炒め物など熱を加える料理におすすめです。 どちら かといえば、サラダやマリネ、 ドレッシングなどそのまま使って風味
などを楽しみたい時には、 『エクストラ・バージンオリーブオイル』 を。 ただ栄養価や値段 が高いから良いだ
3.3%以下でも味・香りに欠点があるものは、精製工程用や工業用
ろうということでは
で食用には不適切です。
なく、それぞれのオ
さらに最もランクが低いランパンテ・バージンオイルを精製し酸度を
イルの 特徴を知っ
0.3%まで下げたものを精製オリーブオイルと呼びます。 このオイル
て賢く使い 分けす
は、精製によってオリーブオイル 独 特の味や香りがなくなってしまっ
ることが 一番良い
ているので『バージンオリーブオイル』 を混ぜることによって美味し
いオリーブオイルになります。それが『ピュアオリーブオイル』です。
取り入れ方となり ます。