Faculty of


法学は、人と向き合う学問としては、医学や神学などと並んで もっとも古い専門分野と言える学問です。
龍谷大学の法学部は、特に広く社会的な課題に取り組むことを ひとつの特徴としています。
そのための教養や実践力を身につけるために座学だけでなく フィールドワークなどをとおして市民視点からの学びに注力しています。
法科 大学院
司法書士
国際機関 裁判所 事務官 検察 事務官 パラ リーガル
弁護士
裁判官
ー ス 学部共通 コ ー ス
学部共通 コース
正義・自由・平等 コース
検察官
司法特修 コース
行政公務特修 コース
志望にあわせて コース選択
犯罪・刑罰と法・政策 コース グローバル法政 コース
ー ス 学 び の重点コ ー ス
国税
専門官
公共空間のガバナンス コース
消費者と企業の法 コース
ライフデザインと法 コース
警察 ・ 消防
金融機関 多様な 民間企業 NPO
企業の 法務部
地方 公務員 国家 公務員 法務教官 ・ 保護監察官
法学部の取り組み
2026年度から法学部内コースがリニューアルします。2年生後期から学部内コース(8コース)お よび学部共通コース(4コース)の全12コースの中から自らの学びに合わせた一つのコースに所属 します。自身の関心・進路に合わせて学ぶ内容を選択して、より専門的な学修をすすめていきます。
(法曹や公務員志望者のためのコースです)
難関試験に合格し、法曹(裁判官・検察官・弁護士)や公務員 として活躍するための能力を鍛えます。
司法 特 修 コース
法科大学院入試や司法試験の合格に必要な法知識を実践的に学びます。 法曹として活躍するために必要な基礎的能力やリーガルマインドが身に つきます。
行 政 公 務 特 修コ ース
国家公務員(総合職・一般職・専門職)や地方公務員(上級職)などの難 関公務員志望者のためのコースです。公務員試験への対応だけでなく、 公務員としての資質が身につきます。
2
(修了認定証が受けられるコースです)
現代社会の重要問題について深い学びを行い、コースで学ん だ成果に対して大学から修了認定証が交付されます。
犯 罪・刑 罰と法・政 策コ ース
犯罪・非行・刑罰等に関する諸問題を主に刑事法学の観点から学びます。 犯罪や非行を予防するための政策や適正な刑罰のあり方などについて、 多様な視点で深く学びます。
消費 者と企 業 の法コ ース
消費者保護や企業活動に関する諸問題を消費者法と企業法の観点か ら多面的に学びます。環境・デジタル・国際化などの現代的課題も視 野に入れた深い学びを行います。
3
学びの重点コース
(興味・関心に応じて選べるコースです)
法学・政治学に関する多様な学びの中から、自分なりの重点を決めて学修をすすめます。 龍谷大学法学部ならではの特色ある多様なコースがそろっています。
ラ イフデザ インと法 コ ース
個人がさまざまな場面(家族・友人・地域・職場など)で出会う諸問題 について、法による解決のあり方を学び、法による公正な社会の実現 をめざします。
グ ロ ーバル 法 政コ ース
環境・平和・移民といった地球規模の課題をグローバルな視野で学びま す。国際政治学や国際法の学びを通じて、国内外の諸問題を多面的に分 析する力を身につけます。
公 共空 間の ガバ ナンスコ ース
国や地方自治体における政策決定・適正なガバナンスについて、公法・ 政治学・行政学などの観点から学びます。民主主義社会の発展に参画 するための能力を養います。
正 義・自由・平 等 コ ース
法学・政治学の理念である正義・自由・平等について、憲法学・法哲学・ 政治哲学・歴史学などを通じて多面的に学び、現代社会の諸問題の解 決について考えます。
少人数ゼミ
学部サイト
法律や政治を基礎から発展まで段階的に学修することで、無理なく知識を積み上げる
POINT 2025年度から演習(ゼミ)の学びがさらに充実。各自の関心や進路にあわせた学びを展開します。
1 年次
2 年次
3 年次 4 年次 1セメスター 2セメスター 3セメスター 4セメスター 5セメスター 6セメスター 7セメスター 8セメスター
4 年間の 大学での学び方を 修得する
段階的に学修を深めて 関心があるコースを選択
専門性の高い科目を学び リーガルマインドを育てる
教養教育科目(仏教の思想・外国語科目・教養科目) 専攻基礎科目 専攻科目
基礎演習 「大学入門科目」と して、大学での学 び方を修得します。
法政入門演習 法学・政治学の学 修に必要な基礎 力を養成します。
多彩な専門入門演習 専門的な学びに向けた「橋渡し」とし て、多様なゼミを開講します。各自が 興味や関心のあるゼミを選択します。
法政アクティブリサーチ
クラスサポーターによる サポート
進路にあわせてコースを選択
学びの全体像
コースの学び
キャリアセミナー・ 講演会
法学部メンターシッププログラム
演習Ⅰ
専門教育ゼミナールとして、各自が 希望するゼミを選択します。さまざ まな専門分野のゼミを開講します。
地域や業界・団体等が抱える社会課題についてフィールドワークを取り 入れて実践的に学ぶことにより、社会に対する知識と経験の育成を図る アクティブ・ラーニング科目です。
研究テーマを追究し、 卒業研究にまとめあげる
演習Ⅱ・卒業研究 「演習Ⅰ」での学修をさらに深める専門 教育ゼミナールが「演習Ⅱ」です。その 集大成として卒業研究を作成します。
司法特修コース
行政公務特修コース ライフデザインと法コース
犯罪・刑罰と法・政策コース 公共空間のガバナンスコース
消費者と企業の法コース グローバル法政コース
正義・自由・平等コース
国際関係コース、英語コミュニケーションコース
学部共通コース
スポーツサイエンスコース、環境サイエンスコース
キャリアデザイン/司法実務特別講義/ワークショップ司法実務 弁護士、地方公務員、警察官、民間企業(金融機関など)の方が講義を行い、職業意識を醸成します。
法律事務実務/法律実務論
弁護士事務所や司法書士事務所において法律実務に直接触れることにより、活きた法律を学びます。
本学法学部卒業生を中心とした社会人がメンター(相談相手、助言者)となり、進路選択やキャリア形成に関する助言を行います。
法職課程
公務員、法律関係職、法科大学院進学をめざす学生のために、特別研修講座を提供します。また法職カウンセラーが、各種試験の最新情報の提供や学修方法のアドバイスを行います。
[取得可能な免許・資格]
● 中学校教諭一種免許状(社会)
[めざす職業・進路]
● 公務員(国家・地方)
● 高等学校教諭一種免許状(地理歴史、公民)
● 本願寺派教師資格(受験資格)
● 司法書士、行政書士、刑務官、警察官、法務教官、保護観察官
● 裁判所事務官、検察事務官、家裁調査官
● 教員(中学校、高等学校)
● 法科大学院(弁護士・検察官・裁判官)
● 企業(法務関係など)
▼ 解決をめざす「社会課題」
学生法律相談
小松原 知明 さん
2年生
(兵庫県 雲雀丘学園高等学校 出身)
小林 峻明 さん
3年生
(新潟県 新潟産業大学附属高等学校 出身)
橋本 符紗子 さん
1年生
(大阪府立泉陽高等学校 出身)
瀧口 菜友さん
1年生
(大阪府立池田高等学校 出身)
誰もが法律の専門家に相談できる社会へ 学生の視点から、法的支援の未来を考える
法的支援へのアクセス格差という 現代社会の課題に取り組む
キャンパスでの定期相談から
地域巡回相談まで、実践の場を広げる この活動は、月2回のキャンパス内での無料法律相談が基本です。最近の 相談事例としては「オンラインショッピングで商品が届かないのに返金に 応じてもらえない」「アルバイト先でシフトを一方的に変更された」「SNS で誹謗中傷を受けている」「親の介護と相続について家族間で意見が対立し ている」といった案件があります。これらの相談対応を重ねるなかで、法 的支援を必要とする人々が身近な地域にも多くいることを実感しました。 そこで私たちは活動の範囲を広げ、関西圏外での相談会も実施しています。 地方都市では法律事務所が少なく、相談できる機会が限られているからで す。2024年度は「龍谷大学法学部同窓会50周年事業」として、鹿児島県で 相談会を行いました。弁護士をはじめ、司法書士・税理士・社会保険労務士 など、さまざまなフィールドで活躍されている卒業生の方々にもご協力い ただき、先輩方の努力が今に結びついていることを実感しました。 学生法律相談部では、法的な知識の有無によって生じる情報格差という 社会課題と向き合っています。例えば、アルバイト先でのパワハラや不 当な勤務シフトの変更、SNSでの誹謗中傷被害、突然の契約解除など、 日常生活で直面する法的課題は誰にでも起こり得ます。しかし、「弁護士 に相談するほどでもない」「相談料が高そう」といった理由で、適切な法 的支援を受けられない人が多く、特に近年は、コロナ禍での解雇や賃金 未払い、オンラインでの契約トラブル、リモートワークに関連する労働 問題など、社会変化に伴う新たな法的課題が増えてきました。そこで私 たちは、教員の指導のもと、より親しみやすい学生の立場から完全無料 で法律相談に応じています。「使用者の安全配慮義務」という専門用語を 「働く人の安全や健康を守る会社の責任」と言い換えるなど、法の専門用 語を噛み砕いて説明し、相談者に寄り添った対応に努めています。
法的知識と傾聴力を発揮して 相談者に寄り添う問題解決をめざす
私たちは単なる法律相談ではなく、相談者の心情に寄り添うことを重視 しています。例えば、職場でのパワハラ相談では「具体的にどのような言 動があったか」といった事実確認にとどまらず「そのような対応を受け て、どう感じたか」と相談者の心情も丁寧に聴き取ります。また、週1回 以上の部内勉強会では「相続問題で感情的になった相談者への対応」「消 費者トラブルで不安を抱える高齢者への説明方法」といった実際の相談 事例をもとに、より良い対応方法を議論しています。さらに、現役の弁 護士の方にご協力いただき、実務家の方々から相談技術やコミュニケー ションスキルを学ぶ研修も定期的に実施しています。特に力を入れてい るのが、ジェンダーや多様性に配慮した対応です。LGBT+の方からの差 別相談やDV被害者からの悲痛な悩みなど、デリケートな案件にも適切に 対応できるよう、専門家を招いた勉強会でも学びを深めています。
理論と実践の融合で 未来の法曹界を担う人材へと成長する この活動に参加するようになり、法律の実務的な理解が深まりました。 労働問題の相談では、労働基準法について「なぜこの規定が必要なのか」 「どのように労働者を保護しているのか」といったことをより具体的に 理解できます。最近では「学生さんに相談して良かった。私の気持ちもわ かってくれて、法律的な解決方法も教えてもらえた」「若い人の意見も聞 けて新しい視点が得られた」といった感想をいただくことも増えてきま した。相談活動を通じて得た経験は、就職活動や法科大学院への進学に も活かされています。実際に昨年度の卒業生のなかには、この活動での 経験を活かして法科大学院に進学した先輩や、企業の法務部門へ就職し た方もいます。相談者との対話、主体的に考え行動した経験によって培 われた問題解決能力とコミュニケーション力は、法曹界に限らず、どの ような進路を選んでも必ず役立つ財産となるに違いありません。
▼ 解決をめざす「社会課題」
多文化共生
鈴木 奈那美さん
2年生
(静岡県 浜松日体高等学校 出身)
西川 彩葉さん
3年生
(京都府立鴨沂高等学校 出身)
実社会とつながり課題解決に挑む 学生主体の調査研究成果は社会に還元
社会課題と向き合い 主体的な行動力を養う
法政アクティブリサーチは、学生が主体となって社会課題の解決に挑む、 実践型の授業です。担当の先生やアシスタントの力を借りず、事前学修 から成果報告書の完成に至るまで、すべて自分たちの手でやり遂げます。
設定されている5つのテーマ「多文化共生」「社会的支援」「災害とラジオ」 「医療の可能性」「平和」にもとづいてクラスごとに調査テーマを設定し、 専門的な文献の読解やディスカッション、資料収集をすすめていきます。
もっとも特徴的なのは「外部とのつながり」があることでしょう。政府機 関や地方自治体、NPO、民間企業などへのヒアリング調査が必須となっ ていて、調査結果をまとめた成果報告書は、社会にも発信・還元されます。
実社会と直接つながる調査研究をとおして、法制度や政策に対する批判 的・創造的な考察力、法学・政治学の専門的な知見、対話を通じたコミュ ニケーション力など、社会人に求められる資質が備わっていきます。
「多文化共生」の問題を 自分ごととして考える
グローバル化が進み、日本でも「多文化共生」は重要な社会課題となって います。そうした背景をふまえ、私たちは「多文化共生への取り組み」を テーマに選びました。外国人急増による日本人との摩擦や人種差別など、 当事者から話を聞くことが調査の肝になるでしょう。どのように活動をす すめていくのか、現地調査スタートに向けて準備しているところです。今 までは、ニュースや新聞で報道される社会問題を、どこか他人事のように 思っていました。誰の身にも起こりうる出来事でも、自ら調べて行動を起 こす機会がなかったからです。法政アクティブリサーチがはじまり、私た ちの意識にプラスの変化が生まれています。表面的な知識としてとらえて いた社会問題がリアルに起こっている事象であると理解できるようにな り、自分がどのように行動すればよいか日常的に考えるようになりまし た。今後の活動で、さらに実践力を鍛えていきます。
刑事法から見えてきた 人権を守ることの難しさ
刑事法ゼミ討論会では、提示された事例問題・テーマを各ゼミで検討し、 導き出した結論を他のゼミに発表します。今回は「自殺は適法であるか否 か」という問題と向き合い、人の生命や自己決定権について、法律の観点 からどこまで保護や制限が可能かを探究しました。現行法や慣習、国民の 権利など、ゼミごとに異なる視点から「生命」の解釈に関するさまざまな 見解が出され、かなり白熱した議論が交わされました。法律は国民の権利 を守るために存在し、現代社会に必要不可欠です。しかし、私たちが取り 上げる刑事法は、国民の人権を守る一方で、時として人権を侵害する可能 性が高い分野です。相反する性質をもつ法律について、感情に惑わされる ことなく理論的に考察し、人権に対する意識の適否や社会のあり方を考 えなければなりません。生命の尊重という価値観と個人の自己決定権と の関係性など、重要な問題に対して、法的な観点から検討を重ねました。
ゼミ討論会で養われた 多角的な視野が法の未来を拓く
私たちが検討したテーマはセンシティブな社会問題であり、一見すると 具体的な解決策がないように思えます。しかし、一人でも多くの人が問 題意識をもち、向き合うことで何かが変わるかもしれません。法律は私 たちの社会生活と密接に結びついています。だからこそ、個々の問題意 識が社会を変える原動力となり得るのです。今回の意見交換では、これ まで以上に大きな学びがありました。特に印象的だったのは、同じ事例 問題でも各ゼミによって重点の置き方や論理の組み立て方が異なること でした。文献を批判的に読み解き、ゼミの仲間と議論を重ねていくなか で、一つの問題に対して多角的な視野をもつことの重要性を強く意識す るようになりました。さらに、仲間と共に法律を探究する楽しさ、共同研 究の難しさも改めて実感しています。自分にはない考え方、新たな視座 や知見を得られる、非常に有意義な学びの場でした。
Projects #3
刑事法ゼミ討論会
解決をめざす「社会課題」▼ 人権の遵守
永田 絢子さん
3年生
(高等学校卒業程度認定試験)
異なる視座から 「生命」の意味と 「人権」のあり方を 法的に考察する
嶋田 佳広 ゼミ
健康的な暮らしの根幹となる 社会保障制度の問題点を探る 社会保障制度
私が嶋田ゼミを選んだのは、先行研究の少ない「社会保障法」を学べ る点に魅力を感じたからでした。ゼミでは、私たちの生活に深くかか わる医療保険や労災保険など制度の仕組みについて担当者が報告し、 先生やメンバーと意見を交わしながら実社会の問題点を洗い出しま す。嶋田先生が学生一人ひとりの考えを丁寧に引き出してくださるの で、未知の分野でも理解が深まります。社会保障は、私たちの健康的 な暮らしを守る重要な制度である一方、例えば、公的扶助として存在 している生活保護の場合、受給者に対する世間の厳しい目があります。
自分たちで問題点を検討するうちに、身近な社会課題にも目が向くよ うになりました。社会保障における社会権は憲法や人権などにも関係 する重要な問題です。制度と人権、その両方からアプローチすること で、解決のヒントが見つかるかもしれません。持論と他者の意見を比 較検証しながら視野を広げ、人間的にも成長していきたいと思います。
吉田 一期 さん 3年生 (奈良県立桜井高等学校 出身)
[ゼミで取り扱う学びのテーマ(例)]
[法律系]
● 障がい児・年少者の逸失利益算定に関する検討
● 不実の登記をめぐる真正権利者の保護と取引の安全 ―最判平成 18 年 2 月23日民集60巻2号546頁の分析を通して― ● 日本の鉄道法制と地域鉄道 ● 憲法から見た刑事手続きと冤罪
自らの経験と照らし合わせ 現代社会の労働問題を追究する 労働者の権利
行政とのかかわりから社会保障法を学べる点に魅力を感じ、嶋田ゼミ を選びました。ゼミでは、労働問題を中心に、私たちの暮らしと密接に 関連する社会保障制度について学びを深めています。学生にとって身 近なアルバイトという実体験と結びつけながら、労働者の権利や保護 に関する問題点を見つけ出し、メンバーと活発に議論を重ねています。 自らの経験と照らし合わせて考えることで、当初は馴染みの薄かった 社会保障法も、より能動的に考察を深められるようになりました。特 に印象に残っているのは、他大学と合同で行ったゼミの研究発表です。 異なる視点から導き出されるさまざまな意見を通じて、新たな気づきを 得られただけでなく、自分の考えを論理的に伝える力も養われました。 社会保障法は、行政や憲法、労働法などさまざまな法分野と関連して います。今後も幅広い視野をもちながら、現代社会の課題解決に向け た研究をすすめていきたいと考えています。
太田 佑音さん
3年生 (奈良県立畝傍高等学校 出身)
● 再審請求手続における検察官抗告の可否について ● どうすれば日本において安楽死を認めることができるのか ● 旧優生保護法と除斥期間
● 会社法22条 1 項の制度趣旨と同条項の適用における 債権者の認識の要否に関する検討
橋本 祐子 ゼミ
思い込みによる社会通念の正否
既存の思想に疑問をもち 物事の本質を追究する
法哲学とは単なる法律の解釈にとどまらず、法律の倫理や正義といっ た法律の根幹となる哲学を深く考察する学問分野です。法哲学は、既 存の思想の根底を疑うことからはじまります。教科書や授業による学 びは、既存の思想を正しいと信じ込み、そのまま受け入れてしまいがち です。しかし、その内容に疑問をもつことで、新たな見解が見えてきま した。また、少人数のディベートを通じて他者の意見に触れ、多角的な 視点から物事をとらえられるようにもなりました。現在は「AIによる監 視社会」をテーマに卒業研究をすすめています。iPhoneに搭載されて いるSiriは呼びかけるとすぐに反応してくれる便利なツールです。その 一方、疑うという観点から考えると、便利なだけでは済まされない「AI による監視」という社会問題が浮き彫りになります。まずは疑ってみる という意識が、物事の本質につながっていくのではないでしょうか。ゼ ミで得られた思考力は、将来も必ず役立つスキルになるはずです。
日髙 大輔 さん 3年生 (京都府 龍谷大学付属平安高等学校 出身)
● 旧皇族の皇籍復帰は可能であるのか ―歴史的前例と憲法的要件から考える― ● 少年非行 ~非行少年の実態と更生に向けた処遇のあり方~
教員・ スタッフ紹介
法と正義を問い直し 現代社会のあり方を探究する 法と正義の本質
法哲学は、法律や法制度、社会の仕組みを根本的に問い直し、誰のた めに、どの立場から見た正義実現のために存在しているかを考える学 問です。ゼミでは「法と正義について考える」をテーマに各々が興味を もった文献を選んで講読し、提示される議題に沿って議論を重ねまし た。社会課題は複数の要因が絡み合って形成されています。そのため 議論は毎回白熱し、次回に持ち越されることもあるほどです。こうした 議論によって、自分の主張の弱点に気づき、譲れない軸を見出すことが できました。現在は「ロバート・オーウェンのユートピア社会主義」に着 目し卒業論文をすすめています。貧困や恐怖のない協同組合主義社会 の実現をめざしたオーウェンの思想は、現代にも通じる新しい視点を 与えてくれました。民主主義や資本主義に代表される既存の法律や法 制度に正義は存在するのか。社会通念に流されず疑う姿勢は、答えの ない社会課題と向き合う力になると確信しています。
飯原 彩音さん
3年生
(京都府立乙訓高等学校 出身)
[政治系] ● 移民大国フランスの転換 サルコジによる「選択的移民」政策 ● 持続可能な年金制度への改革を考える―旧民主党案の検討を通じて― ● 労働の歴史と目的性について ● リベラルなヨーロッパの社会とその「敵」? ―「リベラル故の排外主義」の実証的検証―
大阪大学大学院
高等司法研究科 在籍
大学3年次に公務員を志望し、法律科目以外に も公務員試験に必要な経済学を中心に履修し ました。友人と一緒に学内の図書館に通いつめ、 過去問演習を重ねました。その結果、複数の省 庁から内定をいただき、もっとも興味のあった 京都地方検察庁を選びました。在学中の学び、 特に刑法の知識は検察庁での実務に直結して おり、理論と実践の両面から法律への理解を深 められたと感じています。仕事で法律の専門家 と働く機会が増えるにつれて法律家への憧れが 募り、退職して法科大学院へ進学すると決断し ました。司法試験に合格できたのは、大学時代 から積み重ねてきた法律の専門知識が土台と なっているのは間違いありません。今後は司法 修習生として新たなスタートを切ります。弁護士 という夢に向かって努力を重ね、必ず実現した いと思います。
福留 崇弘さん
2016年卒業 (大阪府立枚方高等学校 出身)
弁護士として自分の事務所を構える未来に向かって、今 はまだ夢半ばですが、現状に満足せず、日々精進を重 ねていきたいと思います。
My Background
大学1年生
受験勉強を終え晴れて大学生になっ たうれしさから、遊び中心の毎日に。 大学やアルバイト先の友人たちと楽 しい時間を過ごしました。
大学2年生
大学生活に慣れるにつれて、行動範 囲が大きく広がりました。近場の台 湾をはじめ、積極的に海外を旅して まわったものです。
大学3年生
友人の誘いで公務員になると決意。
学内の図書館が閉まるとファストフー ド店へ移って勉強しました。店員さ んに顔を覚えられるほどでした。
大学4年生
念願の公務員試験に合格し、同じ道 をめざして一緒に勉強してきた仲間 たちとパーティを開催。がんばってよ かったと喜び合いました。
Background
大学1年生
高知県警察
高知警察署 会計庶務課 勤務
警察署の遺失拾得係として窓口業務を担当し、 落とし物を届けてくださる方や、失くし物でお困 りの方への対応をしています。無事に持ち主に お返しできたときにいただく「ありがとう」のこ とばが、大きなやりがいとなっています。大学で は、昔から関心をもっていた犯罪学を専攻し、 犯罪白書に基づいた研究や矯正保護施設の見 学など、実践的な学びを重ねました。六法で根 拠を調べる習慣は、規定に基づいて職務を遂行 する現在の業務にも活きています。また、法政 アクティブリサーチの授業で身についた対外的 なコミュニケーション能力は、窓口での市民対 応でも欠かせません。今後は、周囲から頼られ る存在となることをめざすとともに、学生時代 から勉強している手話も活かし、より多くの市 民の方々のお役に立てる職員になりたいと考え ています。
横谷 美咲 さん
2022年卒業 (高知県 高知学芸高等学校 出身)
窓口に立つ際は、市民の方々に寄り添った対応を心が けています。どなたにも安心していただけるよう、手話 通訳の資格を取得しました。
大学2年生
大学3年生 入学後すぐ、小学生の頃から興味の あった手話のサークルへ入部。アル バイトも始めました。学業と両立し、 楽しく充実した日々を送りました。
法政アクティブリサーチで広島県を 研究しました。自らアポイントを取り、 最終的に報告書をつくり上げる作業 は、大変ながら貴重な経験でした。
ゼミ活動の一環で、京都府警察主催の 「ポリス&カレッジ」に参加。実用性の ある案を練るのは大変でしたが、力を 合わせた結果、優秀賞に輝きました。
大学4年生
2、3年次に取り組んだ法政アクティ ブリサーチに、スタッフとして参加。 緊張しながらも、後輩の研究を見守 り、サポートに徹しました。
資格・ 就職情報
法学部生の進路というと、司法関係の仕事がイメージされがちですが、法学部の卒業生は、さまざまな分野に就職し活 躍しています。それは、法学・政治学の授業をとおして養われるリーガルマインドが、公務員はもちろん金融業や不動 産業、サービス業や卸売・小売業など、多様な業種で幅広く求められることの結果です。とりわけ、本学法学部生は、毎 年5人に1人以上という高い割合で、公務員になっています。
「法学部=法曹」ではない 「リーガルマインド」は 身近な課題の解決に役立つ
公務員をはじめ、さまざまな分野で活躍 法学というと、弁護士や裁判官、検事など、一般市 民とは別の世界のように思うかもしれません。し かし法学に関係することは、私たちのすぐ身近に あり、日常生活に起きるあらゆることが法学に関 係しています。法学部で培われる、現代社会の諸問 題を鋭敏な人権感覚をもって批判的・論理的に分 析する能力(リーガルマインド)は、社会に出てか ら直面するさまざまな課題の解決に役立ちます。
英会話教室 の契約
公務員
20.2%
(2023年度卒業生実績)
少年犯罪 クレジット カード
就職状況(2024年3月卒業生)
エネルギー 0.6%
福祉 1.1%
公務員 20.2%
自動車事故
冤罪 法 律
自衛隊の 海外派遣 米軍基地 問題 アルバイト代 不払い
[主な就職先] 公務員をはじめ金融業や不動産業、 サービス業や流通業など幅広い職種で活躍。
● 厚生労働省
● 厚生労働省(労働基準監督官)
● 国税庁(国税専門官)
● 財務省
● 法務省
● 京都府庁
● 京都市役所
● 京都府警察本部
● 株式会社 きんでん
● 住友林業株式会社
● セキスイハイム近畿株式会社
● 積水ハウス株式会社
● 大和ハウス工業株式会社
● 株式会社 イシダ
● 伊藤ハム株式会社
● 株式会社 GSユアサ
● 株式会社 明電舎
● 関西電力株式会社
● 近畿日本鉄道株式会社
● 佐川急便株式会社
● 西濃運輸株式会社
● 株式会社大塚商会
● 株式会社ファンケル
● リコージャパン株式会社
● イオンリテール株式会社
● 日本マクドナルド株式会社
● あいおいニッセイ同和損害保険 株式会社
● 岡三証券株式会社
● 株式会社関西みらい銀行
● 株式会社かんぽ生命保険
● 株式会社京都銀行
● 株式会社ジャックス
● 東京海上日動火災保険株式会社
● 日本生命保険相互会社
● 株式会社ゆうちょ銀行
● 株式会社りそな銀行
● 富士ソフト株式会社
● トランスコスモス株式会社
● 日本郵便株式会社
● 日本年金機構 など
京都府庁 内定
ゼミ活動を通じて見えた、自分の進むべき道
公務員を志望したのは、大学で経験したボランティア活動がきっかけです。
性的マイノリティの人権に焦点を当て、同性婚やトランスジェンダーに関す る議論を重ねるなかで、人を支える仕事に興味を覚えました。ゼミ活動で身 についた論理的かつ当事者目線の思考力を活かし、京都府の職員として誰も が生きやすい街づくりに貢献していきたいと思います。
山縣 祐希 さん
4年生
(山口県立岩国高等学校 出身)
日本電気株式会社(NEC)内定
判例研究で養った多角的な視点が強みに 労働法のゼミで行った判例研究を通じて、物事を多角的に考察する力が養わ れました。また、キャリアセンターでは面接対策やエントリーシートの添削 を何度も受け、自分の強みを的確に表現する力を身につけました。これらの 経験は企業研究や業界分析にも役立ち、希望の進路を実現することができま した。ビジネスの場面でも多角的な視点を活かしていきます。
湯川 すみれ さん
4年生
労働基準監督官(滋賀労働局)内定
法の実践を通じて、公正な社会の実現へ
法律学の学びを通じて労働法に興味をもち、法政アクティブリサーチでは「発 達障害者の就労支援」を研究しました。労働環境や社会制度の実態を追究す るなかで、実際に法律を扱う職業に就きたいと思うようになり、専門知識や 経験を活かせる労働基準監督官を志すと決めました。多角的な視点と公平な 判断力で異なる立場の人々をつなぎ、誰もが働きやすい社会をめざします。
後藤 優香 さん
4年生
(滋賀県立膳所高等学校 出身)
ロジカルな思考力を営業に活かす
法学特有の問題に対する条文解釈や学説適用による三段論法など、問題の解 決につなげるロジカルシンキングは、面接やESの作成に役立ちました。多 様な業界のインターンシップに参加するなかで興味をもったのが、事業を通 じて人生をサポートする内定先でした。ロジカルな思考を巡らせながら商品 の魅力を周知し、一人でも多くの人を笑顔にしたいと思います。
髙槻 颯馬 さん
4年生
(大阪府立高槻北高等学校 出身)
京都市伏見区深草塚本町67 Tel 075-645-7896 hogaku@ad.ryukoku.ac.jp
大阪、奈良、兵庫から好アクセス
JR「大阪」駅 → 約42分
京阪「京橋」駅 → 約41分
近鉄「奈良」駅 → 約43分
JR「三ノ宮」駅 → 約63分
世界は驚くべきスピードでその姿を変え、 将来の予測が難しい時代となっています。
いま必要なことは、「学び」を深めること。
「つながり」に目覚めること。
龍谷大学は「まごころある市民」を育んでいきます。
自らを見つめ直し、他者への思いやりを発動する。
自分だけでなく他の誰かの安らぎのために行動する。
それが、私たちが大切にしている 「自省利他」であり、「まごころ」です。
その心があれば、激しい変化の中でも本質を見極め、 変革への一歩を踏み出すことができるはず。
探究心が沸き上がる喜びを原動力に、 より良い社会を構築するために。
新しい価値を創造するために。
私たちは、大学を「心」と「知」と「行動」の拠点として、 地球規模で広がる課題に立ち向かいます。
1639年の創立以来、貫いてきた進取の精神、 そして日々積み上げる学びをもとに、様々な人と手を携えながら、 誠実に地域や社会の発展に力を尽くしていきます。
豊かな多様性の中で、心と心がつながる。人と人が支え合う。 その先に、社会の新しい可能性が生まれていく。 龍谷大学が動く。未来が輝く。
You, Unlimited
あらゆる「壁」や「違い」を乗り越えるために、「まごころ」を持ち、 「人間・社会・自然」について深く考える人を育む。 それが、龍谷大学の教育のあり方です。
自分自身を省み、人の痛みに感応して、 他者を受け容れ理解する力を持つ。
人類が直面するリアルな課題と真摯に向き合う。
そして様々な学びを通じて本質を見極める目を養い、 自らの可能性を広げていきます。
https://www.law.ryukoku.ac.jp ※掲載の学年、所属は取材時のものです。 2025年4月発行