PSEvol.15

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PSE お役立ち情報 Vol.15

電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について ~適合性検査、基準適合確認に採用可能な規格、基準とその注意点について~

◆ご注意ください。一度、PSE 対応しただけでは不十分かもしれません⁈◆

PSE お役立ち情報 Vol.3 でも触れましたが、電気用品安全法の対象となる全ての電気 用品に対応する技術基準は、技術基準省令において「性能規定」として平成 26 年 1 月 1 日から適用されており、つまり、この意味は省令に定める技術的要件を満たすべき技術 的内容が、従来の電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈に基づくものでなくても、 十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があり、省令に適合するものと判断す るものであればよい事になっております。 しかしながら、実態としては電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について(技 術基準省令解釈)を用いることが、依然として一般的であると言えます。 今回あらためて、この技術基準省令解釈(適合性検査、基準適合確認に採用可能な 規格、基準について)ならびにその注意点について触れてみたいと思います。 ■■電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の体系は? 全ての電気用品について、大きく二つの方法が挙げられます。 1. 我が国固有の基準:別表第一~別表第十一(旧省令第 1 項基準) 2. 主に IEC 等の国際規格をベースとした基準:別表第十二(旧省令第 2 項基準) ※我が国の配電事情等を踏まえ、デビエーション(修正)が付加した基準で規定しています。 この別表第十二については、IEC 基準とは差があることから、必ずしも IEC 基準に適合す るからといって、別表第十二に適合するとは限らないことに十分注意する必要があります。 なお、技術基準省令解釈の別表第一~別表第十一と別表第十二は、独立した基準 体系によるもののため、基準の中で明示的に引用されない限り、両基準を混用すること (いわゆる“良いとこ取り”)はできないことに注意が必要です。 PSE インフォメーションセンター・東洋テック株式会社 製品安全グループ info@pse-info.com


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技術基準省令解釈の分類 別表第一

電線及び電気温床線

別表第二

電線管、フロアダクト及び線樋並びにこれらの附属品

別表第三

ヒューズ

別表第四

配線器具

別表第五

電流制限器

別表第六

小形単相変圧器及び放電灯用安定器

別表第七

電気用品安全法施行令(昭和三十七年政令第三百二十四号) 別表第二第六号に掲げる小形交流電動機

別表第八

電気用品安全法施行令(昭和三十七年政令第三百二十四号) 別表第一第六号から第九号まで及び別表第二第七号から第十一号ま でに掲げる交流用電気機械器具並びに携帯発電機

別表第九

リチウムイオン蓄電池

別表第十

雑音の強さ

別表第十一

電気用品に使用される絶縁物の使用温度の上限値

別表第十二

国際規格等に準拠した基準 ※各電気用品の構造、用途などにより、別表第一~別表第十一と同等 の規格要求がある。

■■「直流電源装置」による事例(電気安全に関する基準) 直流電源装置は、ノートパソコン、電池の充電等、様々な用途があります。 適合性検査、基準適合確認の際、この技術基準省令解釈の分類にて、2つの確認方 法があります。 ① 別表第八(電気安全に関する基準)+別表第十(雑音の強さに関する基準) 別表第八の場合、電池充電用、おもちゃ用、自動車スターター用ならびにその他のものま で、あらゆる構造、用途においてもこの基準で対応が可能です。 PSE インフォメーションセンター・東洋テック株式会社 製品安全グループ info@pse-info.com


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② 別表第十二 例:J60950-1(電気安全に関する基準)+J55022(雑音の強さに関する基準) 別表第十二の場合、その構造や用途に応じ規格が異なります。雑音の強さに関する基 準も、以下の電気安全規格と同様、適用できる規格が異なります。事例は以下の通り。 (電気安全に関する基準) ― J60065:オーディオ,ビデオ及び類似の電子機器用のもの ― J60335-2-29:バッテリチャージャ用のもの ― J60950-1:情報技術機器用のもの ― J61347-2-13:ランプ制御装置(LED モジュール用制御装置) ― J61558-2-16:スイッチモード電源装置及びスイッチモード電源装置用変圧器 ― J62368-1:オーディオ・ビデオ,情報及び通信技術機器 など。

+ (雑音の強さに関する基準) ―J55013:音声及びテレビジョン放送受信機並びに関連機器の無線 ―J55014-1:家庭用電気機器、電動工具及び類似機器

例えば

―J55015:電気照明及び類似機器 ―J55022:情報技術装置 ―J55032:マルチメディア機器 一般的な基準の組み合わせは以下の通りとなります。 基準適合確認の際の適用規格一覧:別表第十二の場合 規格名

電気安全に

雑音の強さに

関する基準

関する基準

オーディオ,ビデオ及び類似の電子機器

J60065(H29)

情報技術機器

J60950-1(H29)

オーディオ・ビデオ,情報及び通信技術機器

J62368-1(H30)

J55013(H22) または J55032(H29) J55022(H22) または J55032(H29) J55032(H29)

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■■J60950-1 を例とした電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について ~適合性検査、基準適合確認に採用可能な規格、基準とその注意点について~ 2020 年 1 月現在、別表第十二 国際規格等に準拠した基準(表1.電気安全に関 する基準)として、採用可能な基準は以下の通りです。 これに対し、以下の適合証明書にある適用規格、版などを見てみると、 情報技術機器

J60950-1(H29)

-安全性-第1部 :一般要求事項

J60950-1(H27)

IEC60950-1(2005),

JIS C 6950-1:2016

Amd.No1(2009), Amd.No.2(2013)に対応

情報技術機器

JIS C

IEC 60950-1(2005),

-安全性-第1部

6950-1:2012+

Amd.No1(2009) に対応

:一般要求事項

追補 1 (2014)

令和 2 年 6 月 30 日まで有効

適合証明書に記載された版(H26)は、現在採用可能な版(H27 又は H29) より古いため、別途、採用可能な版による基準適合確認が必要。

技術上の基準を定める省令の解釈 別表第十二:J60950-1(H26) となっており、上記で示す、現在採 用可能な版(H29 又は H27)以前の古 い版で試験を行い発行された証明書 であることが分かる。

一方で適合同等証明書自体の有効期 間は 2020 年 4 月 26 日迄有効となっ ており、つまり、この適合同等証明 書自体は有効であるため、現時点で の適合性検査の再受検は不要なもの の、別途、事業者の義務である「基 準適合確認」として、現在採用可能 な新しい 版による確認が必要にな る。 ※適合性検査の更新申請は6か月前から 可能です。 PSE インフォメーションセンター・東洋テック株式会社 製品安全グループ info@pse-info.com


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◆「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈」、つまり、技術基準は不定期に改 正が行われるため、その動向を確認する必要がある。 ◆「基準適合確認」や「適合性検査」は、その際、適用した規格、基準に改正があれば、 その都度、改正後の基準、規格(版)による「基準適合確認」が必要。 ◆特定電気用品の場合、取得した適合証明書については、その有効期間内の効力があ るため、有効期間内に新たな「適合性検査」は不要なものの、改正された基準、版によ る「基準適合確認」は必要となる。 ※基準適合確認と適合性検査(適合証明書の有効期限)は直接関係しない。

製造事業者も輸入事業者も、事業の届出、基準適合確認、適合性検査等を一度済 ませば終わりではありません。製品を継続して製造、輸入、販売する上では、常に「電気 用品の技術上の基準を定める省令」の動向を確認し、都度、対応する事が重要です。 弊社では既に一度 PSE 対応を行われた事業者様に対しても、現在採用可能な「電気 用品の技術上の基準を定める省令」の確認をはじめ、事業の届出、自主検査、表示等 に至るまで、今一度、事業者としての義務をきちんと順守できているか?の確認等を行う サービスもご用意しておりますので、是非この機会にご検討ください。 ※この資料は、2020 年1月現在の情報を基に作成したものであり、資料の中で挙げた製品名及び 規格番号等は一つの事例として挙げたものとなります。その内容を保証する事は致しかねます。 弊社では設計段階から製造、輸入、試験、届出及び、計測器の販売並びに校正にいたるまで、PSE(電安法)に 関するサービスをワンストップでご利用頂けますので、お困りの方はご相談ください。

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