ポー ランド 料 理 の 歴 史
ザ リ ガ ニ 入 り ス ー プ
· 18 世紀末にイギリス文化がポーランドにやって来ました。その中でも料理 に関して言えば、イギリス風の朝食、午後の紅茶に頂く焼き菓子、そしてポン チという紅茶、ワイン、果物、そして砂糖から作られたアルコールを飲む習慣 などがそうです。 · 18 世紀末とは、ポーランドの歴史において厳しい時代の始まりでもあり ます。1772 年から1795 年までの間ポーランドは三度も分割され、その領土は ロシア、プロイセン、オーストリアの領土に加えられました。独立を回復した 1918 年11月11日までの123 年間という長い年月の間、ポーランドは地図から 消えていたのです。 · それにもかかわらず、団結の魂は消え揺らぐことなく、多くの困難を越え、 ポーランド文化そして料理を忘却から救うことができました。 · 領主の邸宅の側には、野菜畑、果樹園、養蜂場などがあり、秋に収穫され た作物から、冬のために保存食が作られていました。冬に備える地下室には 酢漬けの野菜、肉製品、甘い香りの果物のジュース、芳しい香りのジャム、 果実酒やリキュールが欠かせないものでした。 · 一番できのよい作物は特別な機会や祝日のための物となりました。高級な 品物や輸入食品、たとえば柑橘類は都会で買われていました。 · 政治や経済情勢が困難な中でも、シュラフタは料理人を雇っていました。 しかし経済的な理由から、主婦が自分で料理に関する計画や管理そして調 理にも参加するようになりました。それにより、家計管理や低コストでの食事 作りのアドバイスが記載されたハンドブックが益々人気となりました。 · ルチナ・チフィエルチャキエヴィチョヴァ Lucyna Ćwierczakiewiczowa (1829–1901)は最もよく知られた料理本の著者で、女性雑誌の出版社と仕事 をし、また婦人解放運動で活躍していました。彼女の本の中で最も有名でよく 売れたのは、 「5ズウォティで出来る365の昼食」という本でした。彼女が書い た本は存命中に幾度も再版を重ね、その出版数は10万冊以上という、当時に しては膨大な数となりました。 · 現在でも彼女のレシピは多くの人々に使われていることや、新版化された 本を簡単に手に入れられることも、彼女の人気を証明しています。 · 20 世紀になっても、家庭管理や美味しい食事を工夫し計画する能力はと ても大切でした。経験の浅い若い主婦は、料理の知識を得るために、人気 の料理本だけでなく雑誌も読んでいました。第一次、第二次世界大戦の間 (1918–1939)、肉の価格は高めでしたが、料理は主に肉料理が作られてい ました。当時、人気があったのは牛肉と羊肉でしたが、モツや鶏肉もよく利 用されていました。魚料理は断食期間だけに限られることなく作られ、特に 美味しいとされたのはザリガニでした。ザリガニの旬は春に始まりますが、
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