東京リテールマーケットサマリー 2024年第1四半期

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日本リサーチ|

2024年5月

東京リテール マーケットサマリー

2024年第1四半期

路面賃料は過去最高賃料を連続更新 経済

1月の消費者態度指数の基調判断は、各消 費者意識指標の継続的な回復を背景に、 「改善している」に上方修正された。また、 東京地区の百貨店における美術・宝飾・貴 金属売上高は、引き続き好調となった

(2024年2月は前年比32%の増加、2019年 2月比46%の増加)。回復を続ける訪日外 国人客(2019年2月比7%の増加)による消 費も一部寄与したとみられる。

需要と供給

第1四半期の東京プライムリテール市場で は、引き続き主要ブランドグループ等によ る旺盛な出店需要がみられた。当期の新規 開業には、 表参道と明治通りの交差点の一 角に出店したスニーカーブランドのホカが 挙げられる。

表参道では、第2四半期に「東急プラザ原 宿「ハラカド」」が開業予定となっている。

表参道と明治通りが交差する神宮前交差点 の一角に、地上9階建て、延床面積20,000 ㎡の規模の商業施設が供給される。開業と

小売業販売

前年比( % )

出所: 経済産業省, JLL, 2024年第1四半期

同時に、交差点を挟んで営業中の「東急 プラザ表参道原宿」は「東急プラザ表参 道「オモカド」」に改称し、2館を連携 する。また、「SC神宮前5丁目商業プロ ジェクト」が着工する。地上 6 階建て、 延床面積 3,500 ㎡の規模の店舗ビルが、 2026年第3四半期に表参道沿いにて竣工 予定である。

表参道と隣接する渋谷において、第1四 半期に「道玄坂二丁目南地区第一種市街 地再開発事業」が着工した。オフィスと ホテルの複合開発であり、2棟の総延床 面積87,100㎡の規模である。オフィスタ ワーの低層階は商業用途に供される。

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-40.0 -30.0 -20.0 -10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 2019年 第4四半期 2020年 第4四半期 2021年 第4四半期 2022年 第4四半期 2023年 第4四半期

プライムリテール投資活動に回復の兆し

賃料と価格

第1四半期の東京プライムリテール市場の 賃料(1棟平均)は月額坪当たり91,545円、 前期比4.0%の上昇、前年比14.5%の上昇と なった。路面賃料の上昇を反映して、上昇 が加速した。銀座は月額坪当たり315,000 円、表参道は同285,000円となり、いずれ も前期に引き続き過去最高賃料を更新した。

第1四半期の東京プライムリテール市場の 価格は引き続き上昇し、前期比4.6%の上昇、 前年比15.2%の上昇となった。キャップ レートに変化はなかったため、価格上昇の 要因は賃料上昇であった。

投資市場

第1四半期の東京特別区のリテールの商業 用不動産直接投資総額は1398億円となり、 前期比408.3%の増加、前年比222.5%の増加 となった。当期の取引事例には、国内企業 による「A-Flag骨董通り」の取得(50億円、 NOIキャップレート3.4%)が挙げられる。

賃料と価格の推移

出所:

見通し

2024年4月のオックスフォード・エコノミ クスの経済成長見通しによれば、2024年の 個人消費は0.6%の増加となっている。前期 の予測から修正はなかった。実質所得が 徐々に改善するにつれて消費は緩やかに回 復すると予想される。一方で、コロナ禍に よるペントアップ需要の寄与は一層低減す るであろう。

今後12か月にかけて、賃貸市場では、高級 品等販売額の好調を背景にブランドグルー プによる旺盛な出店需要は継続するとみら れ、これと国際的なリテーラーにとっては 魅力的な為替相場とが相まって、賃料は上 昇が継続する見通しである。投資市場では、 プライムリテール市場における投資活動の 回復の兆しが見られていることから、 キャップレートに下押し圧力が加えられる 可能性がある。

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75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 2020年 第1四半期 2021年 第1四半期 2022年 第1四半期 2023年 第1四半期 2024年 第1四半期 2020 年第 1 四半期= 100 賃料指数 価格指数
プロパティクロック
2024年第1四半期 出所: JLL, 2024年第1四半期
JLL,

主要指標

賃貸市場

賃料 月額坪当たり(1棟) 前期比 前年比

賃料 月額坪当たり(1階) 前期比 前年比

投資市場

商業用不動産直接投資総額 前期比 前年比

東京リテール

第4四半期 1398億円 +408.3% +222.5%

出所: JLL, 2024年第1四半期

注1: 賃料は、東京のプライムリテールマーケット(銀座、表参道) を参照している。

注2: プロパティクロックは、プライムリテールマーケットの賃料を 参照している。

注3: 投資総額は、東京特別区のリテールセクターの不動産直接投資 総額を参照している。

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プライムリテール 91,545円 +4.0% +14.5%
銀座 315,000
285,000
円 +5.0% +16.7% 表参道
円 +5.6% +21.3%

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