東京オフィスマーケットサマリー 2024年第1四半期

Page 1

日本リサーチ| 2024年5月

東京オフィス マーケットサマリー

空室率は引き続き改善、賃料は4年ぶりに上昇

経済

3月の日銀短観によると、大企業製造業の業況 判断は11ポイントと、生産が遅れた自動車セク ターの下落で4四半期ぶりに停滞した。大企業 非製造業の業況判断は、34ポイントと8四半期 連続の改善で33年ぶりの記録的な高水準となっ た。インバウンド需要の回復等が寄与した。

需要と供給

第1四半期における東京Aグレードオフィス市場 のネットアブゾープション(ネットのオフィス 需要)は49,700㎡となった。今期における再開 発の竣工は見られなかったものの、既存ビルに おける空室の解消で、オフィス需要は堅調に推 移している。

業種別にみると、情報通信業、エネルギー、金 融業、保険業、製造業が牽引した。

需給と空室率の推移

空室率(%)

2020年 2021年 2022年 2022年 2023年 2024年予

需要 新規供給 供給予定 空室率

2019年から2023年については、需要、供給、空室率は年末時点 の数値を参照する。供給予定は2024年の数値を参照する。

出所: JLL, 2024年第1四半期

第1四半期末時点の東京Aグレードオフィス市場 の空室率は4 2%となり、前期比0 4ポイントの 低下、前年同期比で横ばいとなった。空室率は 3四半期連続の低下となった。サブマーケット 別でみると、丸の内・大手町の空室率は改善し、 赤坂・六本木の空室率は変わらなかった。

©2024 JonesLangLaSalleIP,Inc.Allrightsreserved. 1 | 東京オフィスマーケットサマリー
2024
-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 -100 0 100 200 300 400 500 600 700 800
年第1四半期
需給(千㎡)

賃料と価格はともに上昇に転じる

賃料と価格

第1四半期の東京Aグレードオフィス市場にお ける賃料は前期比0 9%の上昇、前年比1 3%の 下落となり月額坪当たり33,860円と、16四半期 ぶりの上昇となった。サブマーケット別にみる と、大手町・丸の内は若干の下落となったが、 赤坂・六本木は上昇に転じた。

第1四半期の価格は4四半期ぶりにプラスに転じ て、前期比2 1%となったが、前年比では1 4% の減少となった。日銀がマイナス金利を解除し たものの、投資利回りは安定的に推移しており、 賃料上昇によって価格はプラスに転じた。

投資市場

第1四半期の東京オフィスの投資総額は前期比 1,079%増、前年比50%増の7,006億円となった。

今期における主要取引には、ユナイテッド・ アーバン投資法人における虎ノ門ヒルズビジネ スタワーの区分所有を84億円で取得しNOI利回 りは3 3%であった。

⾒通し

2024年3月時点のオックスフォード・エコノ ミクスの経済成長予測によれば、実質GDP 成長率の2024年予測は0.5%に引き下げられ、 CPIの予測は1 9%となった。今後のリスクと しては、日銀のさらなる利上げ、海外経済の 下振れ、物価上昇、金融市場のボラティリ ティが挙げられる。

2024年の賃貸市場の活動は昨年に比べると 新規供給が少ないことから減速するとみてい る。しかし、2025年に集中している大型再 開発によって、2024年下半期に向けて回復 するとみている。また空室率の低下を背景に 今後も緩やかな賃料回復が続くとみている。

投資市場の価格は、賃料上昇は継続し、利回 りは横ばいに推移することを前提に、緩やか に上昇する見通しである。

©2024 JonesLangLaSalleIP,Inc.Allrightsreserved. 2 | 東京オフィスマーケットサマリー
JLL, 2024年第1四半期
出所:
プロパティクロック 賃料と価格の推移
80.00 90.00 100.00 110.00 4Q19
2019 年第 4 四半期 = 100 賃料指数 価格指数
出所: JLL, 2024年第1四半期
4Q20 4Q21 4Q22 4Q23 4Q24F

主要指標

賃貸市場

空室率 前期比 前年比

投資市場

商業用不動産直接投資総額 前期比 前年比

東京オフィス

出所: JLL, 2024年第1四半期

注1: 空室率と賃料は、東京Aグレードオフィスマーケットを参照している。 下の表を参照。

注2: プロパティクロックは、中心業務地区に所在するAグレードオフィス マーケットの賃料を参照している。

注3: 投資総額は、東京都のオフィスセクターの不動産直接投資総額を参 照している。

東京Aグレードオフィスの定義

所在 東京都心5区 (千代田区、中央区、港区、 新宿区、渋谷区)

延床面積 30,000 ㎡ (9,075坪)以上

基準階床面積 1,000 ㎡ 以上

竣工 1990年以降

©2024 JonesLangLaSalleIP,Inc.Allrightsreserved. 3 | 東京オフィスマーケットサマリー
Aグレード オフィス 4.2% -0.4㌽ 0㌽
前期比 前年比 Aグレード オフィス 33,860円 +0.9% -1.3%
賃料 月額坪当たり
1四半期 7,006億円 +1,079% +50%

jll.com

ジョーンズ ラング ラサール株式会社

東京本社 〒102-0094

東京都千代田区紀尾井町1-3

東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー 03 4361 1800

福岡支社 〒812-0011

福岡県福岡市博多区 博多駅前2-20-1

大博多ビル 092 233 6801

関西支社 〒541-0041

大阪府大阪市中央区 北浜3-5-29

日本生命淀屋橋ビル 06 7662 8400

名古屋オフィス 〒450-6321

愛知県名古屋市中村区 名駅1-1-1

JPタワー名古屋21階 052 856 3357

お問い合せ先

⾚城 威志

リサーチ事業部長 takeshi.akagi@jll.com

中丸 友世

リサーチ事業部 アシスタントマネージャー tomoyo.nakamaru@jll.com

大東 雄人 リサーチ事業部 シニアディレクター yuto.ohigashi@jll.com

JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所:JLL)は、不動産に関わるすべての サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。オ フィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど 様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提 供しています。フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ 国で展開、従業員約108,000名を擁し、2023年の売上高は208億米ド ルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のも と、お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導く ことがJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコー ポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com

JLLリサーチについて

JLLリサーチは、世界のあらゆる市場、あらゆるセクターにおける最 新の不動産動向並びに将来予測を提供します。全世界 550 名超のリ サーチエキスパートが、60ヵ国を超える国々の経済及び不動産のト レンドを日々調査・分析し、世界のリアルタイム情報と革新的考察 を発信しています。グローバル、リージョン、そしてローカルの不 動産市場におけるプロフェッショナルが集結する精鋭リサーチチー ムは、今日の課題、さらに将来の好機をも特定し、不動産に関する 最適な意思決定へとお客様を導きます。

JLLリサーチは、適正な市場メカニズムが機能する公正・透明な不動 産市場の形成に寄与することを使命とし、より良い社会の実現に貢 献していきます。

Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.