
jll.com
不動産の環境・健康性能を評価する制度は主として3つに分類 される。建築物等の総合的な環境性能を評価する制度にアメリカの LEED、イギリスのBREEAM、日本のCASBEEやDBJ Green Buildingなどがある。建築物等の健康・快適性を評価する制度に アメリカのWELLやFitwel、日本のCASBEEウェルネスオフィスなど がある。建築物等のエネルギー性能を評価する制度に、アメリカ のEnergy Star、欧州のEPC、日本のBELSなどがある。

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不動産の環境・健康性能を評価する制度は主として3つに分類 される。建築物等の総合的な環境性能を評価する制度にアメリカの LEED、イギリスのBREEAM、日本のCASBEEやDBJ Green Buildingなどがある。建築物等の健康・快適性を評価する制度に アメリカのWELLやFitwel、日本のCASBEEウェルネスオフィスなど がある。建築物等のエネルギー性能を評価する制度に、アメリカ のEnergy Star、欧州のEPC、日本のBELSなどがある。
LEED認証は世界150カ国・地域で10万件超、
日本は223件で世界第22位
LEED認証を取得している建築物等は2022年12月末現在、世界150カ国・地域で 100,281件である。そのうち日本の建築物等は223件(世界第22位)、直近5年間は 1年あたり平均24件取得している。LEEDはCASBEEやDBJ Green Buildingなどの 国内認証より取得が困難とされるが、気候変動をはじめとする環境危機が迫るな か、建築物等の環境性能の向上は不可欠であり、日本においても世界で最も普及 しているLEED認証の取得が今後ますます進むものと期待される。
環境
BREEAM認証は世界41カ国で8千件超、
日本は5件で世界第33位
BREEAM認証を取得している建築物等は2022年12月末日現在、世界41カ国 で8,540件である。フランスが最多の1,299件で、上位12位までを欧州勢が占める。 世界に広く普及しているLEEDと比べると、BREEAMは欧州に集中している。日本 は物流施設 5件のみである。
WELL認証は世界36カ国・地域で800件超、
日本は27件で世界第9位
WELL認証を取得している建築物等は2022年12月末現在、世界36カ国・地域で 858件である。そのうち日本の建築物等は27件(世界第9位)で、取得年別の認証件 数を見ると年々増加傾向にある。また、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて 2020年に始まった建物や施設の健康安全性能を評価するWHSR(WELL HealthSafety Rating)が世界104カ国・地域で24,712件に急拡大しており、日本の建築物 等も88件(世界第12位)となっている。
CASBEE-不動産認証は全国で909件、 うちオフィスが最多の481件 環境
CASBEE-不動産認証が有効な建築物は2022年12月末時点で全国で909 件、そのうちオフィスが481件、リテールが123件、物流施設が212件、レジデ ンシャルが93件となっている。従来のCASBEE-建築認証(2022年12月末時 点で有効な建築物は全国で209件)よりも簡易で不動産評価に活用しやすい ことから認証取得が進んでいる。
DBJ Green Building認証は全国で1,140件、
うちレジデンシャルが最多の468件 環境
DBJ Green Building認証が有効な建築物は2022年9月末時点で全国で1,140 件、そのうちオフィスが404件、リテールが142件、物流施設が126件、レジデン シャルが468件となっている。レジデンシャルはCASBEE-不動産よりもDBJ Green Buildingのほうが圧倒的に多いが、その他のセクターについては国内の二 大環境認証制度は拮抗している。
CASBEE-ウェルネスオフィス認証は全国で75件 健康
CASBEE-ウェルネスオフィスが有効な建築物は2022年12月末時点で全国で75 件である。不動産の健康性能を評価する唯一の国内認証制度であるが、評価対 象がオフィスのみであることから、その他のセクターについては国際認証である WELL認証やFitwel認証に頼らざるを得ない。一方で、ヒトに配慮したオフィス環 境を整えることは従業員の健康とエンゲージメントのレベルを高め生産性向上 に寄与することが分かってきており、コロナ禍を機にウェルビーイングへの注目度 はこれまで以上に高まっている。
不動産の性能を評価する主な国際認証制度
認証 LEED (アメリカ→世界各国)
評価対象 環境
統合プロセス
立地・交通
敷地 水 エネルギー・大気
評価項目
材料・資源 室内環境
革新性 地域性
汚染
土地利用・生態系
材料 こころ コミュニティー
認証
安全・安心性 運営管理 プログラム エネルギー・資源 アメニティ レジリエンス コミュニティ・多様性 パートナーシップ エネルギー 不動産の性能を評価する主な国内認証制度
CASBEE-建築 (新築・既存・改修)
評価対象 環境
室内環境 サービス性能
室外環境 エネルギー
資源・マテリアル
評価項目
CASBEE-不動産
CASBEEウェルネス オフィス
DBJ Green Building BELS (ZEB)
敷地外環境 エネルギー・GHG 水
健康性・快適性 利便性
資源利用・安全 生物多様性・敷地 屋内環境
※CASBEE-建築 (既存)と比べて
評価項目が簡易
サステナビリティとESG
2022年も我々の生存を脅かすさまざまな出来事に見舞われた。
気候変動に伴う異常気象、地震、火山噴火、新型コロナウイルス 感染症、ウクライナ紛争に伴う安全保障や資源確保…。不確実 性が高まる世界で存続し成長するために、サステナビリティに向 けた取り組みがますます重要になっている。
サステナビリティの概念は、2015年の国連総会で採択された「持 続可能な開発のための2030アジェンダ」においてSDGs(持続 可能で多様性と包摂性のある社会の実現のための17目標、169 ターゲット、231指標)として具体化されたのを機に、各国政府 や一部の企業で実現に向けた取り組みが本格化した。そして、 SDGsを達成するための重要な財源として期待されるESG投資、 すなわち非財務情報である環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)要 素を考慮した投資も、世界最大規模の年金基金であるGPIF(年 金積立金管理運用独立行政法人)が2015年にPRI(責任投資原 則)に署名し、2017年にESG指数を活用した資産運用を始めた ことで、日本国内に広く普及した。
2021年には国際会計基準(IFRS)の策定を担う民間非営利 組織IFRS財団の傘下にISSB(International Sustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)が 設置され、企業がESG等の非財務情報開示を行う際の国 際統一基準の策定を進めている。
不動産分野においてもサステナビリティ思考は浸透しつつある。 環境(E)のうち省エネルギー性能の向上や廃棄物の削減は比較 的早くから取り組まれてきたが、近年は再生可能エネルギーの 活用や水使用の削減等への関心も高まっている。また、地震や 台風等の自然災害が多い日本では、社会(S)のうち災害への対 応(耐震性の確保、BCPの策定等)には比較的重点を置いてきた が、最近は超少子高齢化への対応(ヘルスケア不動産への投資 等)、健康性・快適性の向上(快適なオフィス空間、商業施設等)、 地域社会・経済への寄与(雇用・イノベーションの創出、建物周 辺環境等)等にも目が向きつつある。これら環境(E)や社会(S) の改善に取り組み、ひいては経済に好循環をもたらすための基 盤となるのが、情報開示、透明性・内部統制の確保、ダイバーシ ティーの実現といったガバナンス(G)である。ガバナンスは企業 経営に係る課題であることから投資家からの関心も高く、GPIF が2017年にESG考慮を含むスチュワードシップ活動の対象に 不動産を加え、2018年にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォー ス)への賛同を表明し、2020年にGRESB(Global Real Estate Sustainability Benchmark)の不動産投資家メンバーに加盟し たことも後押しとなり、不動産分野においてもESG投資を意識 した取り組みが広がりつつある。
投資家
責任投資原則
会社 TCFD
ESG 投資 ESG 情報開示
事業会社
不動産
気候関連財務情報開示 タスクフォース
SBTi
科学的根拠に基づく目標 イニシアティブ RE100
再生可能エネルギー���% イニシアティブ
GRESB
企業や組織等の取り組み姿勢を評価する制度 サステナビリティのなかでも喫緊の課題である気候変動に関し ては、企業や組織等の取り組み姿勢を判断する制度として、気 候変動がもたらすリスクや機会の財務的影響を把握し開示する TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures )、 GHG排出量の削減目標を設定するSBTi(Science Based Targets initiative)、事業活動で使用するエネルギーの100% 再エネ化をめざすRE100(Renewable Energy 100%)などが ある。また、生物多様性への取り組み姿勢を判断する制度とし て、生態系サービスにおけるリスクや機会の財務的影響を把 握し開示するTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、2023年公表予定)、気候変動・森林・水問題へ の取り組みを評価するものとして、CDP(Carbon Disclosure Project)の企業スコアなどもある。
さらに、不動産会社・ファンド等を対象とした環境・社会等への配 慮の姿勢を測るベンチマークとしてGRESBリアルエステイト(既 存物件の運用を主とするリアルエステイト評価、新規開発を主と するデベロッパー評価)、インフラファンド等を対象としたGRESB インフラストラクチャーがある。GRESBでは建物の総合環境性能 認証を得ることが加点要因となっており、近年の環境不動産認 証の取得増加の一因となっているとみられる。
LEED BREEAM WELL
CASBEE
DBJ-GB BELS
不動産管理運用会社
出所: JLL
不動産の性能を評価する制度
不動産の環境・健康性能を評価する制度としてはビル認証等が ある。評価の対象により主に3つに分類される。(1)建築物等の 総合的な環境性能の評価として、アメリカのLEED、イギリスの BREEAM、日本のCASBEE(CASBEE-建築、CASBEE-不動産)や DBJ Green Buildingなどがある。(2)建築物等の健康・快適性 に主眼を置いた評価として、アメリカのWELLやFitwel、日本の CASBEE-ウェルネスオフィスなどがある。(3)建築物等のエネ ルギー性能に特化した評価として、アメリカのEnergy Star、欧 州のEPC、日本のBELS(BELSの中で削減率が50%以上のもの を評価するZEB)などがある。
また、近年、個別の不動産や不動産ポートフォリオの気候変 動リスクを分析するツールとしてCRREM(Carbon Risk Real Estate Monitor)への注目が高まっている。パリ協定の1.5℃目 標に整合するGHG排出量の2050年までのPathwayが国・セク ター毎に公開されており、Pathwayを上回る場合に支払う経済 的負担や座礁資産化させないために必要な改修工事等の時期 や程度を確認することができる。
本レポートでは、不動産のサステナビリティを実現する上で有用な ツールである、ビル認証制度(上述の(1)および(2))について 概観する。
アメリカ発祥の建築物等の環境性能評価 アメリカの非営利団体である米国グリーンビルディング協会 USGBC(U.S. Green Building Council)が開発・運用し、GBCI (Green Business Certification Inc.)が認証の審査を行ってい る、Built Environment(建築や都市の環境)の環境性能評価 システム。認証システムの種類はBD+C(建物設計と建設)、ID+C (インテリア設計と建設)、O+M(既存建物の運用-保守)、ND(近 隣開発)、HOMES(ホーム)など。
評価内容は次の9カテゴリーである。
① 統合プロセス
② 立地と交通手段
③ 持続可能な敷地
④ 水の効率的利用
⑤ エネルギーと大気
⑥ 材料と資源
⑦ 室内環境品質
⑧ 革新性
⑨ 地域における重要項目
各カテゴリーにおいて必須条件を満たした上で、選択項目によっ てポイントを加算して評価する。
取得したポイントの合計により以下のランクとなる。
80ポイント以上でプラチナ
60-79ポイントでゴールド
50-59ポイントでシルバー
40-49ポイントで標準認証(Certified)
BD+C(建物設計と建設)においては、認証取得後5年間は実績 データの提出が必要。
なお、LEED認証を取得した後に実績ベースでカーボンやエネル ギーをネットゼロとすることが確認されると、LEED Zero 認証 (LEED Zero Carbon / LEED Zero Energy / LEED Zero Water / LEED Zero Waste)が得られる。
世界150カ国・地域で10万件超、延床面積975㎢ 2022年12月末日現在、LEED認証を取得している建築物等は 世界150カ国・地域で100,281件、延床面積975㎢(面積が公表 されている建築物等の合計)である。制度発祥地であるアメリカ (80,374件、600㎢)が件数・延床面積ともに圧倒的で、次いで件 数の多い順に中国(4,790件、123㎢)、カナダ(1,746件、24㎢)、イ ンド(1,430件、32㎢)、サウジアラビア(1,114件、4㎢)と続く。
日本の建築物等は223件(世界第22位)、延床面積4㎢(同第21 位)となっている。2013-2017年の5年間に取得した認証は平均 15件/年であったが、直近5年間は25件(2018年)、11件(2019年)、 25件(2020年)、32件(2021年)、25件(2022年)と平均24件/年に 増えている。気候変動をはじめとする環境危機が迫るなか、建築 物等の環境性能の向上は不可欠であり、世界で最も普及してい るLEED認証の取得が今後ますます進むものと期待される。
LEED 取得件数上位国
(件)
アメリカ(�位)
中国(�位)
カナダ(�位)
インド(�位)
サウジアラビア(�位)
ブラジル(�位)
スペイン(�位)
メキシコ(�位)
トルコ(�位)
イタリア(��位)
ドイツ(��位)
日本(��位)
ゴールドが6割、BDCとIDC、オフィスとリテールが多い
2022年12月末現在、LEED認証を取得している日本の建築物等 223件のうち、最高位のプラチナを取得しているのは30件(全体 の14%)である。次位のゴールドが最多の134件(同60%)で、シル バーが32件(同14%)、標準認証が27件(同12%)と続く。
レーティングシステム別ではBD+C(建物設計と建設)が86件(う ちプラチナ16件、ゴールド51件、シルバー11件)、ID+C(インテ リア設計と建設)が最多の87件(うちプラチナ6件、ゴールド49 件、シルバー17件)、O+M(既存建物の運用-保守)が34件(うちプ
ラチナ5件、ゴールド27件、シルバー2件)、ND(近隣開発)が16件 (うちプラチナ3件、ゴールド7件、シルバー2件)である。
セクター別の件数ではオフィスが最多の87件(うちプラチナ15件、 ゴールド57件、シルバー9件)、次いでリテールが62件(うちプラチ ナ2件、ゴールド38件、シルバー10件)、物流施設が23件(うちプ ラチナ3件、ゴールド16件、シルバー2件)と続く。一方、セクター 別の延床面積では物流施設が最大の224万㎡で、オフィスが110 万㎡、リテールが29万㎡と続く。
LEED レーティングシステム別認証件数(日本) 出所:JLL、USGBC
LEED セクター別認証件数(日本)
日本のLEED認証取得物件
材料と資源、室内環境品質などに改善の余地 レーティングバージョン別の認証取得状況を見ると、BD+C(建物 設計と建設)はv2009が61件、v4が21件、その他4件、ID+C(イン テリア設計と建設)はv2009が47件、v4が27件、その他13件、O+M (既存建物の運用-保守)はv4.1が21件、v2009が10件、その他3 件、ND(近隣開発)はv2009が10件、v4が6件である。
このうちスコアが公表されているBD+C: New Construction v4 を取得した物件について、LEED取得件数上位15カ国と日本 の平均スコアを比較すると、日本は②立地と交通手段、⑤エ ネルギーと大気のスコアが高く、⑥材料と資源、⑦室内環境 品質のスコアが低い。⑥のうち建物のライフサイクル環境負 荷低減や建材の情報開示と最適化、⑦のうち音響性能や室内 空気質などで改善が期待される。
同様に、ID+C: Commercial Interiors v4を取得した物件につい て比較すると、日本は④水の効率的利用、⑤エネルギーと大気、 ⑥材料と資源のスコアが低い。⑤のうちエネルギー性能の最適 化、⑥のうち建材の情報開示と最適化などで改善が期待される。
また、O+M: Interiors v4.1を取得した物件について比較すると、 日本は⑤エネルギーと大気、⑥材料と資源、⑦室内環境品質 のスコアが低い。⑤のうちエネルギー性能、⑥のうち廃棄物管理、 ⑦のうち低環境負荷の清掃などで改善が期待される。
LEED v4 BD+C: NCのカテゴリー別平均スコア
• 立地と交通手段
• エネルギーと大気 スコア高い
• 材料と資源
• 室内環境品質 スコア低い
統合プロセス立地と交通手段持続可能な敷地水の効率的利用エネルギーと大気材料と資源室内環境品質
認証取得件数上位��カ国の平均スコア 日本のスコア
LEED v4 ID+C: CIのカテゴリー別平均スコア
• 水の効率的利用
• エネルギーと大気
• 材料と資源 スコア低い
立地と交通手段水の効率的利用エネルギーと大気
認証取得件数上位��カ国の平均スコア 日本のスコア
LEED v4.1 O+M: Interiorsのカテゴリー別平均スコア
• エネルギーと大気
• 材料と資源
• 室内環境品質 スコア低い
認証取得件数上位��カ国の平均スコア 日本のスコア
出所:JLL、USGBC
イギリス発祥の建築物等の環境・ウェルネス性能評価 英国建築研究所BRE(Building Research Establishment)と、 エネルギー・環境コンサルタントのECD(Energy and Environment) によって1990年に開発された、世界で最初の環境価値評価指標。 評価内容は次の9カテゴリーである。
① エネルギー
② 廃棄物
③ 水
④ 材料
⑤ 健康と快適性
⑥ 交通
⑦ 汚染
⑧ 土地利用と生態系
⑨ 管理
カテゴリーごとにポイントを算出し、重み係数を掛けた加重 集計を行い、以下の5段階のラベリングが与えられる。
Outstanding(とても素晴らしい)
Excellent(素晴らしい)
Very Good(とても良い)
Good(良い)
Pass(合格)
有効期限はin-useで3年間、New Constructionでは特に定められて いない。
世界41カ国で8千件超、日本は物流施設5件のみ 2022年12月末日現在、認証が有効な建築物等は世界41カ国 で8,540件(Outstanding 132件、Excellent 1,161件、Very Good 3,832件、Good 2,465件、Pass 950件)である。フランスが最多 の1,299件(同11件、132件、451件、533件、172件)で、スウェー デンが1,017件(同2件、53件、598件、343件、21件)、オランダ が740件(同17件、63件、179件、283件、198件)、フィンランドが 673件(同1件、52件、468件、149件、3件)、スペインが636件(同 35件、105件、238件、207件、51件)と続く。世界に広く普及して いるLEEDと比べると、BREEAMは欧州に集中している。日本は CBRE Investment Managementの物流施設 5件のみで、いず れもVery Goodである。
BREEAM 取得件数上位国
フランス(�位)
スウェーデン(�位)
オランダ(�位)
フィンランド(�位)
スペイン(�位)
ポーランド(�位)
イギリス(�位)
ドイツ(�位)
チェコ(�位)
イタリア(��位)
アメリカ(��位)
日本(��位)
WELLの制度概要と認証取得状況
アメリカ発祥の建築物等のウェルネス性能評価
アメリカの国際ウェルビルディング研究所IWBI(International WELL Building Institute)が策定し、GBCI(Green Business Certification Inc.)が認証の審査を行っている、人々の健康と ウェルネスに焦点を合わせたBuilt Environment(建築や街 区の環境)の性能評価システム。 評価内容は次の10コンセプトである。
① 空気
② 水
③ 食物
④ 光
⑤ 運動
⑥ 温熱快適性
⑦ 音
⑧ 材料
⑨ こころ ⑩ コミュニティー
各コンセプトにおいて必須条件を満たした上で、選択項目によって ポイントを加算して評価する。
取得したポイントの合計により以下のランクとなる。
80ポイント以上でプラチナ
60-79ポイントでゴールド
50-59ポイントでシルバー
40-49ポイントでブロンズ
認証の有効期間は3年間で、継続には再認証が必要。
世界36カ国・地域で858件
2022年12月末現在、WELL認証を取得している建築物等
世界36カ国・地域
プラチナ
858件
246件(29%) ゴールド
446件(52%) シルバー
155件(18%) ブロンズ
2件 その他
9件
国別では中国が最多の241件(うちプラチナ75件、ゴールド148 件、シルバー18件)で、アメリカが210件(同50件、86件、64件)、 フランスが56件(同2件、32件、22件)、オーストラリアが49件(同 24件、19件、6件)、オランダが41件(同14件、22件、5件)と続く。
WELL 取得件数上位国
中国(�位)
アメリカ(�位)
フランス(�位)
オーストラリア(�位)
オランダ(�位)
スペイン(�位)
香港(�位)
カナダ(�位)
日本(�位)
イギリス(�位)
新型コロナ禍の応急的な健康安全性評価
新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、建物や施設の「健康・ 安全性」を評価するWELL Health-Safety Rating(健康安全性 評価)が2020年6月に開始。
評価内容は次の5コンセプトとイノベーションである。
① 洗浄および消毒の方法 ② 緊急事態準備プログラム
③ 保健サービスのリソース
④ 大気および水質管理
⑤ 利害関係者の関与とコミュニケーション
全25ポイントのうち15ポイント以上で建物に貼ることのできる 評価シールを付与。ただし、通常のWELL認証とは異なり、現地 検証がなく提出書類のみで審査。
WHSR 取得件数上位国
アメリカ(�位)
カナダ(�位)
メキシコ(�位)
UAE(�位)
インド(�位)
中国(�位)
オーストラリア(�位)
ポーランド(�位)
香港(�位)
韓国(�位)
イギリス(�位)
日本(��位)
世界104カ国・地域で24,712件
2022年12月末現在、WHSRを取得している建築物等
世界104カ国・地域 24,712件 (うち通常のWELL認証も取得しているのは100件)
認証を取得した国・地域がWELLの約3倍に広がっており、新型 コロナウイルス感染症拡大に伴う健康安全面への懸念および 感染症対策への関心がいかに大きかったかが読み取れる。
国別で見ると、アメリカが最多の18,959件(全体の8割弱) で、カナダが1,709件、メキシコが1,221件、UAEが751件、 インドが272件と続く。
WELLは27件ながら2022年に取得件数増加 2022年12月末現在、WELL認証を取得している日本の建築物等 他国と比べてプラチナの割合が高く、プラチナとゴールドで9割 以上を占める。セクター別ではオフィスが23件(うちプラチナ10 件、ゴールド12件、シルバー1件)と大半を占め、業種別では建設 業が最多の9件(うちプラチナ4件、ゴールド5件)、次いで建築業4 件(同3件、1件)、製造業4件(同2件、2件)と続く。また、取得年別 の認証件数を見ると年々増加傾向にあり、ウェルネスへの意識 が高まりつつあることがうかがえる。
WELL 取得年別認証件数(日本)
世界第12位 88件/24,712件 オフィス 51件 リテール 10件 物流施設 7件
WHSRは88件ながら2022年は取得件数減少 2022年12月末現在、WHSRを取得している日本の建築物等 認証取得年別では2020年が12件、2021年が45件、2022年が 31件であり、2022年に取得件数が伸びたWELLとは対照的 に、2022年のWHSRの取得件数は2021年の3分の2に減って いる。新型コロナ禍で応急的にWHSRを取得する時期は過 ぎ、新型コロナ禍を機に、より包括的なウェルネスへの関心 が高まっているとも考えられる。
WHSR 取得年別認証件数(日本)
Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency
CASBEE-建築の制度概要
新築・既存・改修建築物が対象
国土交通省住宅局の支援のもと産官学共同プロジェクトとして 開発され、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs) が運用する建築環境総合性能評価システム。延床面積が300㎡ 以上の建築物について、CASBEE-建築(新築)、CASBEE-建築 (既存)、CASBEE-建築(改修)の評価ツールのいずれかで評 価。建築物の環境性能水準や設計目標の設定、地方公共団体 への届出書類の作成といった目的と、環境設計の実施内容の 詳細評価や第三者認証の取得といった目的の両方に使用す ることが可能である。戸建住宅を除く全ての用途に適用可能 で、用途分類は省エネルギー基準で用いられる8用途(工場含 む)および集合住宅となっている。
認証の有効期間は、CASBEE-建築(新築)が竣工日(竣工前の場 合には竣工予定日)から3年、CASBEE-建築(既存)が認証書交 付日から5年、CASBEE-建築(改修)が工事完了日(工事完了前 の場合には工事完了予定日)から3年 。
建築物の環境効率(環境品質/環境負荷)で評価 評価項目は「建築物の環境品質」に関する次の3項目、
① 室内環境:
音環境、温熱環境、光・視環境、空気室環境 ② サービス性能:機能性、耐用性・信頼性、対応性・ 更新性
③ 敷地内の室外環境:生物環境の保全と創出、まちなみ・ 景観への配慮、地域性・アメニティへの配慮
および「建築物の環境負荷低減性」に関する次の3項目、
④ エネルギー:建築外皮の熱負荷抑制、自然エネルギー 利用、設備システムの高効率化、効率的運用
⑤
資源・マテリアル:水資源保護、非再生性資源の使用量 削減、汚染物質含有材料の使用回避 ⑥ 敷地外環境:地球温暖化への配慮、地域環境への 配慮、周辺環境への配慮 計6項目である。
建築物の環境効率BEE(Built Environment Efficiency) =建築物の環境品質(Q)÷建築物の環境負荷(L)を求 め、BEE≧3.0かつQ≧50でS(素晴らしい)、BEE≧1.5でA(大 変良い)、BEE≧1.0でB+(良い)、BEE≧0.5でB-(やや劣る)、 BEE<0.5でC(劣る)となる。
CASBEE-建築の認証取得状況
全国で209件、B+以上のオフィスは70件
2022年12月末時点で認証が有効な建築物
全国 209件
S(素晴らしい) 48件
A(大変良い) 124件
B+(良い) 25件
用途別の内訳
オフィス 74件
S 35件
A 30件
B+ 5件
B- 2件
非公開 2件
CASBEE-建築 セクター別認証件数 (2022年12月末時点で有効な認証)
B-(やや劣る) 6件
C(劣る) 1件
非公開 5件
リテール 4件
物流施設 1件 ホテル 7件
レジデンシャル 40件
工場その他 83件
オフィスについてB+以上の認証取得年別の推移を見ると、2020 年は12件、2021年は22件、2023年は31件と増加傾向にある。一 方、2020年に5件だったSは、2021年に15件と3倍になった後、 2022年に11件に減少し、代わりに2020年に7件、2021年に5件 だったAが、2022年に17件に増加していることから、環境性能の 向上よりも認証の取得が目的となっている感が否めない。
CASBEE-建築 取得年別認証件数(オフィス) (2022年12月末時点)
S(期限切れ) A A(期限切れ) S B+ B+(期限切れ) B− B−(期限切れ) C C(期限切れ)
非公開 非公開(期限切れ)
出所:JLL、IBECs
出所:JLL、IBECs
竣工後1年以上のオフィス・店舗・物流施設が対象 一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)が運用する 建築環境総合性能評価システム。竣工後1年以上経過した建物 で、CASBEE-不動産で評価されたもの。CASBEEにおける建物の 環境評価の結果を不動産評価に活用することを目的として2016 年に創設された。不動産の開発や取引に携わる主体がCASBEE を活用しやすいよう、不動産評価に関連が強い項目に絞って 評価基準が策定されている。建物用途はオフィス、店舗、物流 施設(それらの複合用途を含む)に限定されていたが、2021年 版から集合住宅も対象となった。
認証の有効期間は認証書交付日から5年 。
CASBEE-建築より簡易で国際標準に近い評価項目 CASBEE-建築も既存建築物に対応しているが、CASBEE-不動 産は従来のCASBEE-建築よりも評価項目が少なく簡易な一方、 LEEDやBREEAMなど世界で普及している建物環境性能評価シ ステムに採用されている指標と評価項目が類似しており、不動 産評価に活用しやすいことから認証取得が進んでいる。
従来の CASBEE -建築
LEED, BREEAMなど 世界の建物環境性能 評価システム M
世界共通指標 CASBEE -不動産
CASBEE -不動産の評価項目 ・シンプルで比較可能な互換性のあるシステム ・世界共通の指標をカバー ・不動産評価に連結
出所:JLL、JBSC/IBEC「CASBEE-不動産評価マニュアル(2016年版)」
エネルギー、資源利用、生物多様性などで評価 評価項目は次の5項目である。
① エネルギー/温暖化ガス
② 水
③ 資源利用/安全
④ 生物多様性/敷地
⑤ 屋内環境
各評価項目において必須条件を満たした上で、選択項目によっ てポイントを加算して評価する。必須項目は①省エネ基準のクリ ア、エネルギー消費量の目標設定、モニタリングの実施、運用管 理体制の構築、②水使用量の目標設定、モニタリングの実施、③ 新耐震基準に適合していること、構造体新指標Is値が0.6以上で あること、倒壊危険度指標If値が1.0以下であること、④外来生 物法の特定外来生物、外来生物法の未判定外来生物、生態系被 害防止外来種、⑤建築物環境衛生管理基準の準拠、質問票によ る評価。加点項目は①エネルギー使用・排出原単位計算値、同 実績値、自然エネルギー、②水使用量計算値、同実績値、③高耐 震・免震等、再生材利用、躯体材料の耐用年数、主要設備機器の 更新必要間隔/設備の自給率向上/維持管理、④生物多様性 の向上、土壌環境品質・ブラウンフィールド再生、公共交通機関 の接近性、自然災害リスク対策、⑤昼光利用、自然換気性能、眺 望。取得したポイントの合計が78ポイント以上でS(5つ星)、66 ポイント以上でA(4つ星)、60ポイント以上でB+(3つ星)、50ポイ ント以上でB(2つ星)となる。
全国で909件、B+以上のオフィスは481件 2022年12月末時点で認証が有効な建築物 全国
S(素晴らしい)
A(大変良い)
B+(良い)
用途別の内訳
オフィス
件
件
件
件
件
S 209件
A 259件
B+ 13件
リテール
物流施設
レジデンシャル
件
件
件
オフィスについて認証取得年別の推移を見ると、2019年(Aが28 件)から2020年(Aが54件)はAランクが2倍に、2020年(Sが23件) から2021年(Sが64件)はSランクが3倍弱になり、環境性能に配 慮する傾向が強まっているとみられる。
CASBEE-不動産 セクター別認証件数 (2022年12月末時点)
再認証の取得は53%
東京や大阪のAグレードオフィスは世界の他の大都市と比べて 環境不動産認証の取得率が低いが、日本においてLEEDより普 及しているCASBEEに有効期限があることや、自治体独自の制 度(CASBEE自治体版を含む)が普及していることが影響してい る可能性がある。そこで、IBECsの「CASBEE不動産評価認証物 件一覧」に掲載されている、2022年12月末時点で認証の有効 期限が過ぎている建築物等131件について再認証を取得したか 否かを調べたところ、69件(53%)が取得しており、62件(47%) が取得していなかった。再認証を取得したビルのうち、従前の ランクを維持しているものが54件(うちS→Sが36件、A→Aが 18件)、ランクを上げたものが13件(いずれもA→S)、ランクを 下げたものが2件(いずれもS→A)だった。再認証を取得しな かったビルのうち、従前のランクがSだったものは30件、Aだっ たものは32件であった。用途別で見るとオフィスで取得しない 割合が比較的高く、認証の有効期限が過ぎているオフィス101 件のうち、再認証を取得したのは49件、しなかったのは52件で あった。なお、再認証を取得しない理由として、建物スペックも 運用面も認証取得時の水準を維持しており再取得の必要性 を感じない、竣工時にCASBEEを取得した後はテナントの要望 や会社の方針にあわせてLEEDやDBJ Green Buildingを取得 しているといった声が聞かれた。
CASBEE-不動産 取得年別認証件数(オフィス) (2022年12月末時点)
CASBEEウェルネスオフィスの制度概要
オフィスビルが対象
一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)が運用する 建築環境総合性能評価システム。CASBEE-ウェルネスオフィスで 評価されたもの。建物利用者の健康性や快適性の維持・増進を 支援する建物の仕様、性能、取組みを評価するツール。オフィス をその主たる評価対象建物用途としており、複合用途ビルの場 合は、主にオフィス用途の部分を対象として評価を行う。
認証の有効期間は認証書交付日から5年 。
健康性・快適性、利便性、安全・安心性などで評価 評価項目は次の5項目である。
① 健康性・快適性のための取組み : 空間・内装、音環境、 光・視環境、熱・空気環境、リフレッシュ、運動
② 利便性向上:移動空間・コミュニケーション、情報通信 ③ 安全・安心性:災害対応、有害物質対策、水質安全性、 セキュリティ
④ 運営管理:維持管理計画、満足度調査、災害時対応 ⑤ プログラム : メンタルヘルス対策・医療サービス、情報 共有インフラ、健康維持・増進プロクラム
5つの各評価項目(基本性能①~③、運営管理、プログラム)において 取得したポイントの合計が75ポイント以上でS(5つ星)、65ポイント以 上でA(4つ星)、50ポイント以上でB+(3つ星)、40ポイント以上でB-(2 つ星)、40ポイント未満でC(1つ星)となる。
全国でB+以上のオフィスは75件 2022年12月末時点で認証が有効なオフィスビル
全国
S(素晴らしい)
A(大変良い)
B+(良い)
CASBEE-WO 取得年別認証件数 (2022年12月末時点)
CASBEE-WO 項目別平均点
出所:JLL、IBECs
認証取得年別の推移を見ると、2019年(Sが5件)、2020年(S が10件)、2021年(Sが19件)とSランクが毎年2倍になる一方、 2021年はB+ランクが0件となり、ウェルネス性能に配慮す る傾向が強まったとみられる。ただし、2022年は認証件数 こそ前年より増えているものの、Sが減少しAが増加してい ることから、申請者の裾野がこれまでのトップランナーから 広がりつつあるとも考えられる。
また、エリア、延床面積、竣工年が東京Aグレード、東京Bグレード、 大阪Aグレードに相当するオフィスはそれぞれ9件、10件、4件あり、 項目別平均点を比較すると、いずれも③安全・安心性は比較的 高く、⑤プログラムと④運営管理は東京Aグレード相当とその他 とで比較的大きな差が見られた。
コロナ禍で心身の総合的な健康状態を意識 コロナ禍を機に、ヒトに配慮したオフィス環境を整えることで、従 業員の健康とエンゲージメントのレベルを高め、結果として生 産性向上に寄与することも分かってきた。事業成長や企業の ブランド価値向上にも寄与するウェルビーイングへの注目度 はこれまで以上に高まっている。
東京Aグレード相当(都心�区、延床面積��,���㎡以上、����年以降竣工) 東京Bグレード相当(都心�区、延床面積�,���㎡以上、����年以降竣工) 大阪Aグレード相当 (大阪市中心�区、延床面積��,���㎡以上)
出所:JLL、IBECs
DBJ Green Buildingの 制度概要と認証取得状況
不動産所有者に付与される認証 「環境・社会への配慮」がなされた不動産とその不動産を所有・ 運営する事業者を支援する取り組みとして2011年に創設された
認証制度。オフィス、リテール、物流施設、レジデンシャルが対象。
認証業務は一般財団法人日本不動産研究所が実施している。
認証の有効期間は3年。
不動産のサステナビリティをESGの視点で評価
評価項目は次の5つである。
① エネルギーと資源:省エネルギー、省資源、ラベリング
② アメニティ:建築性能、利便性・快適性 ③ レジリエンス:環境リスク、防災、防犯
④ コミュニティと多様性 : 利用者多様性への配慮、周辺 環境への配慮、生物多様性
⑤ パートナーシップ:パートナーシップ、情報開示
5つの評価軸による総合的な評価を行い、5つ星(国内トップクラ スの卓越した配慮)、4つ星(極めて優れた配慮)、3つ星(非常に 優れた配慮)、2つ星(優れた配慮)、1つ星(十分な配慮)を付与。
全国で1,140件、オフィスは404件
2022年9月末時点で認証が有効な建築物
全国 1,140件
オフィス
5つ星
4つ星
3つ星
2つ星
1つ星
404件
40件(10%)
86件(21%)
200件(50%)
47件(12%)
31件( 8%) リテール
142件 物流施設
126件 レジデンシャル
468件
オフィスのうち延床面積、竣工年が東京Aグレード、東京Bグレー ド、大阪Aグレードに相当するオフィスはそれぞれ79件(5つ星が30 件、4つ星が34件で計81%)、97件(5つ星が0件、4つ星が25件で計 26%)、19件(5つ星が2件、4つ星が3件で計26%)であった。東京A グレード相当では5つ星や4つ星の割合が高く、環境・社会への配 慮が比較的優れていると言える。
DBJ-GB セクター別認証件数 (2022年9月末時点で有効な認証)
DBJ-GB エリア・グレード別認証件数(オフィス) (2022年9月末時点で有効な認証)
東京Aグレード相当
東京Bグレード相当
大阪Aグレード相当
出所:JLL、DBJ
おわりに
ビル認証取得の次を見据えて
グリーンプレミアムからブラウンディスカウントへ
環境不動産認証やウェルネス認証の取得は、ビルオーナーの環 境や健康への関心を示し、不動産の賃貸や売買で有利に働くと みられてきた。実際、BREEAMやLEED等の環境不動産認証を取 得した商業用不動産に5.4%の賃料プレミアム、11.5%の価格プ レミアムをもたらすという研究や、FitwelやWELL等のウェルネス 認証を取得したビルに1平方フィートあたり4.4%-7.7%の賃料プ レミアムをもたらすという研究がある。しかし、グリーンプレミア ムを得られるのは先行者のみであり、今後はむしろブラウンディ スカウント(環境や健康面の評価が低い不動産の賃料や価格が 下がること)や座礁資産化が課題となってくる。また、認証を取得 するだけではもはや不十分で、目標達成状況を測定するための 定量可能な結果が求められており、認証制度もパフォーマンスを 重視するものに進化しつつある。
※詳細はJLL「サステナビリティがもたらす新たな不動産価値」
既存建物のネットゼロ化が課題
不動産は世界のCO2排出量の約40%(都市部では60-70%) を占めるとされ、GHG排出量削減において重要な役割を果た す。より多くの企業が自社の不動産戦略を気候変動目標に合 致させようとすることで、ネットゼロカーボンビルの需要が高 まると見込まれる。一方、建物のグリーン化の初期段階では新 築建物に焦点が当てられたが、北米と欧州では2050年時点 で稼働中と予想される建物の80%はすでに竣工済みであると 推計され、先進国の都市では既存建物の改修によるネットゼ ロ化が大きな課題となっている。2050年のネットゼロ目標達 成に必要とされる改修率は年3%超であり、現在の進捗ペー スを加速させなければならない。
※詳細はJLL「都市と不動産の脱炭素化」
サステナビリティ透明度に改善余地
JLLとラサール インベストメント マネージメントが隔年で実施し ている不動産透明度調査によると、日本は2022年調査で世界 94カ国中12位(2020年調査の16位から上昇)となり、初めて透 明度「高」市場のグループに入った。日本の透明度向上に大きく 寄与したのがサステナビリティである。ネットゼロカーボンの目 標達成に向けて建物基準の厳格化と気候変動リスク関連の報 告について透明度が向上し、コーポレートガバナンス・コードで 上場企業にTCFDに沿った開示を義務化したことで、サステナビ リティ透明度が向上した。一方、サステナビリティ透明度上位国 では、建物のエンボディード・カーボンに関する規制の導入、グリーン リース条項を義務づける法令の制定、エネルギー効率が一定 の基準を満たさない物件の売却や賃貸の制限などが進んでい る。日本でもエンボディード・カーボン削減に向けた取り組みに 関する議論やグリーンリースの普及促進事業が行われている が、さらなる改善の余地がある。
※詳細はJLL「2022年版 グローバル不動産透明度インデックス」
2022年版Future of Work (働き方の未来) グローバル調査 その他の関連レポート
従業員の視点から考える 不動産・オフィスのサステナビリティ
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