福岡オフィスマーケットサマリー 2024年第2四半期

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日本リサーチ|

2024年第2四半期 2024年7月

福岡オフィス マーケットサマリー

賃料の上昇ペースが加速 需給逼迫する博多駅周辺が牽引

経済

6月の九州・沖縄短観によれば、大企業全

産業の業況判断は22ポイントとなり、前回 の3月調査から4ポイント改善した。製造業 は同9ポイントの改善となり大きく改善し

た一方で、非製造業は同3ポイント悪化し たものの比較的高い水準を維持した。

需要と供給

第2四半期の福岡Aグレードオフィス市場の ネットアブゾープションは1,400㎡となった。 情報通信業、金融業・保険業、電気・ガ ス・熱供給・水道業をはじめ幅広い業種で、 新規開設や拠点集約、ビルグレード向上と いった前向きな移転動機の需要が堅調で あった。現下、大量供給期の最中であるた め、上半期のネットアブゾープションは 15,000㎡とまとまった増加基調が継続して いる。

第2四半期に福岡Aグレードオフィス市場に 新規供給はみられなかった。

需給と空室率の推移

需要

新規供給 供給予定 空室率

2019年から2023年については、需要、供給、空室率は年末時点の数 値を参照する。2024年については、当期末時点の数値を参照する。供 給予定は2024年下半期の数値(推計値)を参照する。

出所: JLL, 2024年第2四半期

第 2 四半期の空室率は 5.6% となり 、 前期比 0 3 ポイントの低下 、 前年比 2 4 ポイントの 低下となった 。 前述の需要を受けて 、 新築 や築浅のオフィスビルを中心に空室率が低 下した。

投資家の投資意欲は高いものの 売り物件が少なく直接投資総額が伸び悩む

賃料と価格

第 2 四半期の賃料は月額坪当たり 20,180 円 となり 、 前期比 0 7%の上昇 、 前年比 1 8%の 上昇となった 。 上昇は 4 四半期連続となり 、 上昇ペースは前期から加速した 。 需給が逼 迫する博多駅エリアが上昇を牽引した。

第 2 四半期の価格は前期比 1.6% の上昇 、 前 年比 3 0% の上昇となった 。 上昇は 4 四半期 連続となった 。 投資利回りは横ばいで推移 したため 、 賃料上昇を反映して価格も上昇 ペースが加速した 。 当期はAグレードオ フィスの投資事例は確認されなかった。

投資市場

第 2 四半期の福岡県の直接投資総額は 63 億 円となった 。 前期比 81 2% の減少 、 前年比 77.8% の減少となった 。 上半期の投資総額 は 399 億円となり 、 前期比 183 1% の増加 、 前年比24.6の減少となった。

賃料と価格の推移

100 110 2019年 第4四半期 2020年 第4四半期 2021年 第4四半期 2022年 第4四半期 2023年 第4四半期 2024年 第4四半期

90

賃料指数 価格指数

点線部は2024年末までの短期見通しを示している。

指数は2019年=100

出所: JLL, 2024年第2四半期

⾒通し オックスフォード ・エコノミクスによれば、 福岡市の実質 GDP 成長率は 2024 年に 1 2% 増となる見通しである 。リスクには 、海外 の経済動向等が福岡市の経済に与える影響 が挙げられる。

賃貸市場では 、需要は引き続き堅調となる とみられる一方で 、大規模な供給が予定さ れていることから 、空室率は上昇し 、賃料 は下押し圧力が加えられる見通しである。

投資市場では 、多様な属性の 投資家による 関心の高さが反映し、 稀少な投資機会では 取得競争が熾烈になるとみられる。 投資利 回りは優良物件においては低下する可能性 が十分考えられるが、 全体としては横ばい で、価格は概ね賃料の動向を反映する程度 の変動にとどまる見通しである。一方で、 長期金利が上昇すれば 、投資利回りには上 押し圧力が加えられる可能性も考えられる。

プロパティクロック

賃料上昇の 減速 賃料下落の 加速

賃料上昇の 加速 賃料下落の 減速 福岡

大阪

東京

出所: JLL, 2024年第2四半期

主要指標

賃貸市場

空室率 前期比 前年比

投資市場

商業用不動産直接投資総額 前期比 前年比

福岡オフィス

出所: JLL, 2024年第2四半期 注1 :空室率と賃料は 、 JLL が設定したオフィスエリア内の A グレー ドオフィスマーケットを参照している。福岡Aグレードオフィスの定 義は下表の通り。

注2 : プロパティクロックは、 中心業務地区に所在する Aグレードオ フィスマーケットの賃料を参照している。

注3: 投資総額は、福岡県のオフィスセクターの不動産直接投資総額 を参照している。

福岡グレードAオフィスの定義

所在 福岡市2区(中央区、博多区)においてJLLが 指定するオフィスエリア

延床面積 15,000㎡(4,538坪)以上

基準階床面積 600㎡(181坪)以上

竣工年 1990年以降

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JLL ( ニューヨーク証券取引所: JLL ) は 、 不動産に関わるすべての サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。 オ フィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど 様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提 供しています。フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ 国で展開 、従業員約 108,000名を擁し 、 2023年の売上高は 208億米ド ルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、 お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くこと がJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレ イテッドの企業呼称及び登録商標です。jll com

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JLLリサーチは、世界のあらゆる市場 、あらゆるセクターにおける最 新の不動産動向並びに将来予測を提供します。全世界 550 名超のリ サーチエキスパートが 、 60 ヵ国を超える国々の経済及び不動産のト レンドを日々調査 分析し 、 世界のリアルタイム情報と革新的考察 を発信しています。 グローバル 、 リージョン 、 そしてローカルの不 動産市場におけるプロフェッショナルが集結する精鋭リサーチチー ムは 、 今日の課題、 さらに将来の好機をも特定し、 不動産に関する 最適な意思決定へとお客様を導きます。

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