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福岡オフィス マーケットサマリー

大量供給期も需要が堅調で空室率低下
経済
3月の九州・沖縄短観によると、大企業製
造業の業況判断は7ポイントとなり、前年 12月時点から10ポイント悪化した。大企業 非製造業は32ポイントとなり、同4ポイン ト悪化した。
需要と供給
第1四半期のネットアブゾープションはプ ラス23,000㎡となった。拡張移転や館内増 床、ビルグレードの向上を伴う拠点集約な ど、業容拡大を目的とする企業の積極的な 動きが相次いでみられた。
第1四半期の新規供給は、コネクトスクエ ア博多(博多区)の1棟であった。12階建 て、延床面積21,000㎡のビルのうち、2-3 階は福岡県博多県税事務所、4-12階に一般 オフィステナントが入居を決めている。
需給と空室率の推移


需要 新規供給 供給予定 空室率
2019年から2023年については、需要、供給、空室率は年末時点の数 値を参照する。2024年については、当期末時点の数値を参照する。供 給予定は2024年第4四半期末までの数値(推計値)を参照する。
出所: JLL
第1四半期末時点の空室率は5.9%となり、 前期比では0 6ポイントの低下、前年同期比 では0.9ポイントの低下となった。新築ビル が高稼働で竣工したことに加えて、既存物 件でもまとまった空室消化が進展したため に、空室率は大きく低下した。

投資家の投資意欲は旺盛な状況が継続
賃料と価格
第1四半期末時点での賃料は月額坪あたり 20,049円となり、前期比0 4%の上昇、前年 同期比で1.0%の上昇となった。新築ビルの 賃料が平均賃料よりも高い水準であったこ とに加えて、空室消化の進んだビルを中心 に、賃料を上方修正する動きがみられたこ とが要因である。
第1四半期末時点の価格は前期比1.1%の上 昇、前年比0 7%の上昇となった。賃料の上 昇を反映して、価格も上昇した。投資利回 りは横ばいであった。
投資市場
第1四半期の福岡県内のオフィス投資総額 は335億円となり、前年同期比37.5%の増加 となった。当四半期にAグレードオフィス の取引はみられなかった。
⾒通し
Oxford Economicsの3月予測によると、福 岡市の実質経済成長率は2024年に1 0%、 2025年は0.6%と見込まれる。リスク要因 としては、原材料価格の動向や人手不足な どが内需に与える影響が挙げられる。
賃貸市場では、企業の業容拡大を背景とし たビルの立地改善やグレードアップの需要 は旺盛であるが、今年末に予定される新規 供給物件は市内のオフィス賃料のほぼ上限 になる高い賃料水準であるため、空室を残 して竣工することは避けられない。した がって、需給緩和が進むことで、高額賃料 帯の物件では賃料調整が続くとみられる。
投資市場では、国内投資家を中心として競 争力のある物件への投資意欲は高いものの、 売却物件が少なく投資機会は限られる。
賃料と価格の推移

点線部は2024年末までの短期見通しを示している。
指数は2019年=100
出所: JLL

主要指標

空室率
賃貸市場

投資市場
商業用不動産直接投資総額 前期比 前年比
福岡オフィス
出所: JLL, 2024年第1四半期
注1:空室率と賃料は、 JLLが設定したオフィスエリア内のAグレー ドオフィスマーケットを参照している。福岡Aグレードオフィスの定 義は下表の通り。
注2: プロパティクロックは、中心業務地区に所在するAグレードオ フィスマーケットの賃料を参照している。 注3: 投資総額は、福岡県のオフィスセクターの不動産直接投資総額 を参照している。
福岡グレードAオフィスの定義
所在 福岡市2区(中央区、博多区)においてJLLが 指定するオフィスエリア
延床面積 15,000㎡(4,538坪)以上
基準階床面積 600㎡(181坪)以上
竣工年 1990年以降

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