フィリピン P046 ▲
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メキシコ P096
イクスピア生誕 450 年」に取り掛かるとしよう。 これには国立劇団が『コリオレイナス』 をとり あげ、 それも三部作と銘打った。 シェイクスピアに加えて、 ブレヒトものとギュンター・グラスの 『 平民が反乱の稽古をする』 ( 1966 年作)。 この作品に現れるローマはブレヒトにあって はマフィアとなって現れる (グラスの場合はローマは現れないが)。 この三作の翻訳を手掛 けたオット ・ ミネーラによれば、 「 権力構造とは何か、 権力を掌中に収めている者と民衆とは どう対峙しあうのか」 という問いかけを全作に発見できるという。 中でもブレヒトの 『コリオレイナス』 がローマ=マフィアの換骨奪胎で、最も観客を集中さ 364
せた。 現在メキシコでは最大のジャーナリスティックなテーマの一つであろうと考えられるか らだ。 シェイクスピアの作品は日本でも上演されているのであえて粗筋を紹介しないが、 こ れが古代ローマの物語であることはお分かりいただけると思う。 そのローマをあつかった 『コ リオレイナス』 が、 「自らの傲慢さゆえに、 自滅していく構図を2014 年の今、描くことの意味 は明らかだ」 と吉川氏は書いている。 次はアルメニアに行ってみるとしよう。 というのは2009 ~2010 年は、 アルメニアにおい てシェイクスピア劇の新時代が始まり、2014 年にはルーマニアのクラヨーヴァで開催さ れた国際シェイクスピア・フェスティバルにも優秀作品を送ったという報告をレヴォン・ムタ フャン氏が寄せてくれているからである。氏はそればかりか無数といえるほどフェスティバル や劇場の数を知らせてくれている。 そもそもアルメニアは古来豊かな演劇王国で、古代ギ リシャ演劇を上演していると報告に書き、 いわゆる演劇の盛んな諸国を、無知から救い 出している。 これを機会に我々はアルメニアの演劇的水準を見直さなければならない。 近年優れたシェイクスピア劇としてはハコブ・カザンチャンの『リア王 』があった。 これは
2014年 4月に、欧州シェイクスピア・フェスティバル・ネットワークの代表が参加するエレバ