サステナ第47号

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適です。といいますか、この本はルーヴル美術館の 展示意図にじつによく呼応していて、ルーヴル美術 館の最高の解説書といってもよいものです。その意 味で、28章の「終わりなき物語」は不要でした。 しかし、 この本片手に、 ルーヴル美術館を訪れると、 西洋(西欧)の本音や本質が見てとれます。

3「 スピードボール」 系美術館

ピードボール」かは別にして、クスリで脳内で何が 起きるかは理解することが出来るでしょうか。 「スピードボール」絵画・造形は、本人や美術館 や美術評論家が思っている程には芸術性は無いと思 います。それで、せめて、説明パネルに、どの配合 の「スピードボール」をもちいて制作されたものな のか記載すべきです。そうすると、欧米における、 古代ギリシャ・ローマからルネッサンスを経て、現 代にいたる、 芸術と哲学と文学について、ダウナー」 系から「スピードボール」系への文化や精神の進化 が解明できるはずです。 これは、 学術的に重要です。 (1)アメリカ

メトロポリタン美術館( Metropolitan Museum ) は、質は高いですが、金で買い集められた、まさに 金融資本主義の美術・博物館の殿堂です。でも西欧 三派国の美術博物には比べようもありません。メト ロポリタン美術館をみていると、西欧三派国の略奪 がいかに大規模で、根こそぎ獲ってくる、文明・文 化の破壊度のすさまじさをあらためて実感させられ ます。西欧三派国の美術博物館に比べるとメトロポ リタン美術館は商人の美術館といったところですか。

先の佐藤哲彦らによると、「二十世紀の欧米は、 「コカインないしは覚せい剤とヘロインとを一緒に 摂取する通称「スピードボール」の時代です。さら に、「LSDが加わる」といいます。LSDも加え た「スピードボール」とはまったくどういうものか 分かりませんが、「スピードボール」文化は、現代 美術館にいけば、見ることができます。もっとも、 「スピードボール」の魔薬の配合が展示画の解説に ありませんので、具体的な「スピードボール」症状 は分かりませんが。中には、例の西欧芸術の精神か らして、単にパクッただけの絵画・造形も紛れてい るかも知れません。どの絵画・造形がどの配合の「ス

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