多発性骨髄腫の用語と定義

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多発性骨髄腫 | 骨髄のがん

理解しよう

骨髄腫の言葉

2023年9月版

国際骨髄腫財団発行


1990年に設立されたInternational Myeloma Foundation(IMF、 国際骨髄腫 財団)は、 骨髄腫に特化した最初で最大の組織です。 国際骨髄腫財団(IMF) は140か国から52万5千人を超える会員を擁しています。国際骨髄腫財団 (IMF)は骨髄腫の患者さんの生活の質を向上させることに専念し、研究、 教育、支援、権利擁護の4つの基本的原則を通じて予防と治療に向けて取 り組んでいます。

研究 国際骨髄腫財団(IMF)は骨髄腫の治療法を見つけることに専念しており、 これを実現するためにさまざまな取り組みを行っています。International Myeloma Working Group(国際骨髄腫ワーキンググループ)は、1995年に設立された国際骨髄 腫財団(IMF)の科学諮問委員会から誕生した最も権威ある組織で、300名近くの骨髄 腫研究者が所属し、世界中で遵守される批判的に評価されたコンセンサスガイドライ ンを提供しながら、患者さんの転帰を改善するための共同研究を行っています。 Black Swan Research Initiative®(ブラックスワンリサーチイニシアチブR)は、長期的な寛解か ら治癒までの橋渡しをしています。毎年恒例のBrian D. Novis(ブライアンD.ノビス)研 究助成プログラムは、若手およびシニア研究員による最も有望なプロジェクトを支援 しています。主要な骨髄腫治療センターの看護師で構成される 看護師会執行部は、 骨髄腫の患者さんの看護ケアに関する推奨事項を作成しています。 教育 国際骨髄腫財団(IMF)のウェビナー、セミナー、そしてワークショップでは、一流 の骨髄腫専門家や臨床医が発表する最新情報が、患者さんとそのご家族に直接提供 されます。 患者さん、介護者の方、医療専門職向けの100冊を超える出版物のライブラ リがあります。国際骨髄腫財団(IMF)の出版物は常に無料で、英語で利用でき、他の 言語も選択できます。

支援 国際骨髄腫財団(IMF)InfoLine(インフォライン)は骨髄腫関連の質問や懸念に 電話とメールで対応し、最も正確な情報を思いやりのある方法で提供します。 また、骨 髄腫支援グループのネットワークを維持しており、地域社会でこれらのグループを率 いる何百人もの献身的な患者さん、介護者の方、ボランティア看護師のトレーニング を行っています。 権利擁護 骨髄腫コミュニティにとって重要な問題について毎年ポジティブな影響 を与える何千人もの個人に力を与えています。米国では、連邦レベルと州レベルの両 方で骨髄腫コミュニティの利益を代表する連合を主導しています。米国外では、国際 骨髄腫財団(IMF)のグローバル骨髄腫活動ネットワークが、患者さんが治療を受けら れるよう支援しています。

国際骨髄腫財団(IMF)が予防と治療に向けて取り組みながら、骨髄腫患者 さんの生活の質の向上を支援している方法についての詳細をご覧ください。 1-818-487-7455またはまでお電話いただく、 myeloma.orgをご覧ください。


用語と定義

骨髄腫は、診断時にほとんどの患者さんが知らないがんです。 ご自身の医 療に積極的に関わり、医師とともに治療について適切な決定を行うため に、 この病気についてできる限り多くのことを学ぶことは重要であり、役に 立ちます。

この骨髄腫関連の用語と定義から成る用語集は、医師への相談の際や国 際骨髄腫財団(IMF)や他の情報源からの患者教育資料を読む際に役に立 ちます。 この用語集は印刷版とオンライン (glossary.myeloma.org)で 定期的に更新されています。 急性:病気に関して、突然発症したり、短期間での進行が見られたりして、 直ちに治療が必要な状態のことです。 急性尿細管壊死(ATN) :尿細管(腎臓を通る血液のろ過を助ける小さな 管)を形成する上皮細胞の損傷や破壊のことです。ATNは急性腎不全につ ながることがあります。 すべての尿細管細胞が影響が見られるわけでなけ れば、腎機能を回復させることが可能な場合もあります。

投与関連反応(ARR) :静脈内(IV)注入や皮下(SQ)注射として投与される 治療への反応のことです。 「インフュージョンリアクション(IRR)」および 「サ イトカイン」を参照してください。

副腎:腎臓の上部にある腺で、主に性ホルモンとコルチゾール(人間のスト レスへの反応を助けるホルモン)を放出する役割があります。 有害事象(AE) : 「副作用」を参照してください。

アイオロス:イカロスファミリー蛋白の一つです。 「イカロス」を参照してく ださい。

アルブミン(ALB) :血清(血液)中に見られる水溶性蛋白です。 骨髄腫の進 行が速いと、 アルブミンの産生はインターロイキン6によって阻害されます。 「インターロイキン」を参照してください。 アルブミン尿:血清アルブミンが尿中に過剰に存在している状態のこと です。 アルキル化剤: 骨髄腫細胞のDNAを結びつけて細胞分裂を阻害する化学 療法剤です。 アルキル化剤は骨髄腫治療に使用された最も初期の有効な myeloma.org

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薬物でした。 メルファランとシクロホスファミドは、現在、骨髄腫治療に使 用されているアルキル化剤の一例です。

アレルゲン:アレルギー反応を引き起こす物質です。

アレルギー誘発物質:アレルギー疾患の診断や治療、 またはアレルギー疾 患の原因の特定に使用される許諾製品や規制製品のことです。 アロジェニック移植(同種移植) : 「移植」を参照してください。

アミロイド軽鎖(AL)アミロイドーシス:ALアミロイドーシスは、軽鎖蛋白 が腎臓から排泄されない形質細胞疾患ですが、互いに結合し、 これらのア ミロイド線維が組織や臓器に沈着します。 「アミロイドーシス」を参照して ください。

アミロイドーシス:さまざまな臓器や組織におけるアミロイド蛋白の沈着 を特徴とする全身性疾患群です。 ALアミロイドーシスは骨髄腫に関連する アミロイドーシスの一種です。 「アミロイド軽鎖(AL)アミロイドーシス」を 参照してください。 鎮痛剤:痛みを和らげる薬物です。 アスピリンとアセトアミノフェンは弱い 鎮痛剤です。

アナログ:構造が似ていますが、組成がわずかに異なる化合物です。

貧血:赤血球には体組織や臓器に酸素を運ぶ蛋白であるヘモグロビンが 含まれています。貧血は通常、ヘモグロビンが10g/dL未満に減少、または 個人の正常値から2g/dL以上減少した状態と定義されます。 13~14g/dLを 超えると正常値とみなされます。体内の酸素レベルが低下すると、息切れ や疲労感を引き起こすことがあります。新たに骨髄腫と診断された患者さ んの多くは貧血を患っています。

感覚消失:感覚や知覚が消失した状態のことです。局所麻酔により、身体 の一部の感覚消失が起こります。全身麻酔により、全身の感覚が失われ、 意識を失うことがあります。 血管新生:血管形成のことで、骨髄腫などの悪性組織の増殖を伴います。

血管新生阻害剤:がん細胞の増殖に伴う新しい血管の形成を抑える化合 物です。 強直性脊椎炎:脊椎および仙腸関節の慢性炎症の一種です。 4

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抗嘔吐薬:吐き気や嘔吐を予防または制御する薬物です。

抗炎症薬:炎症や腫れを軽減する物質または治療法です。 抗生物質:細菌感染症の治療に使用される薬物です。

抗体:体内に侵入した抗原に反応し、形質細胞によって産生される蛋白の ことです。 「免疫グロブリン(Ig)」を参照してください。 抗体薬物複合体(ADC) :がん細胞に対するモノクローナル抗体を癌細胞 に対して毒性のある薬剤と結び付ける抗がん治療のことです。 抗真菌薬:真菌感染症治療に使用される薬物です。

抗原:免疫系に自然抗体の産生を引き起こすあらゆる異物のことです。抗 原の例として、細菌、 ウイルス、寄生生物、真菌、毒素があります。

抗ヒスタミン剤:特定のアレルゲンと接触した後に体内に放出される強力 かつ刺激性の高い物質であるヒスタミンに対して作用する薬物です。

抗腫瘍薬:がん細胞の増殖や広がりを抑え、死滅させ、または阻害する薬 物です。

がん抑制遺伝子:がん抑制遺伝子と呼ばれる蛋白を作る遺伝子で、がん になる過程で細胞を保護します。 「がん遺伝子」および「がん抑制遺伝子」 を参照してください。

アフェレーシスある特定の成分を採取し、 さらに、他の成分を患者さんや ドナーの血流中に直ちに再注入できるよう、機械を使用して全血を分離す る方法です。

付属肢骨格:骨格のうち軸骨格に付属する部分で、腕と脚の骨のことです。

アポトーシス:細胞死に至る正常な細胞過程です。

不整脈:不整脈とは、心拍の速度やリズムに問題があることです。 これは、 心臓の鼓動が速すぎたり、遅すぎたり、不規則なパターンであることを意味 します。 不整脈は心臓の電気伝導系の問題によって引き起こされます。 吸引:骨髄などの特定の部位から体液または組織、あるいはその両方を 除去するプロセスのことです。

無力症:身体全体またはそのいずれかの部分で力がない、 または失われて いる状態です。 myeloma.org

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無症候性:兆候や症状を生じない、 またはそれらを示さないことです。

無症候性骨髄腫: 「くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)」を参照してください。

アテローム性動脈硬化:動脈壁内に脂肪、 コレステロール、 その他の物質 が沈着した状態のことです。

自己抗体:1つ以上の自己蛋白に反応して、自己免疫系が産生する抗体の ことです。 自己抗体は、自己組織や臓器を標的とすることがあり、紅斑性狼 瘡、関節リウマチ、1型糖尿病などの自己免疫疾患を引き起こすことがあり ます。 「抗体」を参照してください。

オートクリン:骨髄腫細胞などの細胞によって増殖因子が産生されると、 増殖因子がその細胞の増殖も刺激して、正のフィードバックループを形成 するプロセスのことです。 「パラクリン」も参照してください。 自己免疫疾患:免疫系が身体の正常な部分に対して抗体を異常産生する ときに生じる状態です。一般的な自己免疫疾患には、1型糖尿病、セリアッ ク病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチなどがあります。 自家移植: 「移植」を参照してください。

自律神経系:意識的に制御できない臓器の機能を調節する神経系部分で す。自律神経は脊髄と血管、胃、腸、肺、肝臓、腎臓、膀胱、心臓などの内臓 をつないでいます。 軸骨格:脊椎、骨盤、肋骨、頭蓋骨からなります。軸骨格は、腕や脚の長骨 の上端とともに、骨髄腫の影響を最もよく受けます。

B細胞成熟抗原(BCMA) :骨髄腫細胞の増殖や生存に関与する蛋白です。 BCMAは骨髄腫のすべての患者さんの細胞表面に見られます。 「腫瘍壊死 因子受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)」 とも呼ばれます。

B細胞(Bリンパ球) :自然免疫系の一部である白血球です。一部のB細胞 は、骨髄で形質細胞に発達し抗体を生み出します。

細菌:独立した(自由生活)生物として、 または(一生別の生物に依存する) 寄生生物として存在できる単細胞微生物です。 細菌の複数形です。

ベースライン:収集されて、後のデータとの比較に使用される最初の既知 のデータのことです。 6

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好塩基球:白血球の一種です。 好塩基球は、血液が凝固するのを防ぎ、 アレ ルギー反応の際にヒスタミンを放出します。 好中球、好塩基球、好酸球はす べて、顆粒球として知られる白血球の一種です。 ベンス・ジョーンズ骨髄腫:遊離κ軽鎖または遊離λ軽鎖から成る尿中の異 常蛋白であるベンス・ジョーンズ蛋白の存在を特徴とする骨髄腫です。 「ベ ンス・ジョーンズ蛋白」参照。

ベンス・ジョーンズ蛋白:骨髄腫の単クローン性蛋白です。 この蛋白は、遊 離κ軽鎖または遊離λ軽鎖のいずれかで構成されます。ベンス・ジョーンズ 軽鎖はサイズが小さいため、腎臓でろ過され尿中に排泄されることがあり ます。尿中のベンス・ジョーンズ蛋白量は、24時間あたりのグラム数で表さ れます。通常、尿中には非常に少量の蛋白(<0.1g/24時間)が存在するこ とがありますが、 これはベンス・ジョーンズ蛋白ではなくアルブミンです。 尿 中にベンス・ジョーンズ蛋白が存在すれば異常であるといえます。骨髄腫 蛋白の重鎖はサイズが大きすぎるため、腎臓でろ過できません。 「ベンス・ ジョーンズ骨髄腫」を参照してください。 良性:がんでない状態であり、周辺組織に浸潤しない、 つまり、身体の他の 部分に広がらない状態をいいます。

:血中に見 ベータ2ミクログロブリン(β2-ミクログロブリン、β2M、β2M) られる低分子量蛋白です。活動性骨髄腫の患者さんで高値を示します。早 期骨髄腫や非活動性骨髄腫の患者さんでは、 その値は低いか正常です。 約 10%の患者さんはβ2Mが正常値の骨髄腫を患っています。再発時に、骨髄 腫蛋白の値が変化する前に、β2Mが増えることがあります。 ウイルス感染 などの要因により、血清β2M値が上昇することがあります。

バイオ医薬品:生物から構成される製品や生物の成分を含む製品のこと です。 生物由来製品には、 ワクチン、血液および血液成分、細胞、遺伝子、組 織、アレルギー誘発物質、および組換え治療用蛋白があります。 バイオ医 薬品は非常に多くの病気や状態の治療に使用されています。 「バイオシミ ラー」も参照してください。

バイオマーカー:プロセス、状態、 または病気に関する情報を提供できる体 液中や組織中に見られる測定可能な分子のことです。 骨髄腫では、最適な 治療法を選択するだけでなく、治療に対する反応性を評価するためにも、 バイオマーカーが使用されています。 腫瘍マーカーとも呼ばれます。 生検:診断に役立つよう顕微鏡検査のために組織を採取することです。 myeloma.org

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バイオシミラー:元の製品と類似しているものの、完全に一致するわけで はない分子構造をもつ製品のことです。 バイオシミラーには、安全性プロ ファイル、純度、力価の点で、元の製品と臨床的に意味のある差はありませ ん。 「バイオ医薬品」も参照してください。 二重特異性抗体:2つの( 「bi」 )標的細胞に結合する人工抗体です。

ビスホスホネート:破骨細胞の活動(骨の破壊)を抑制し、吸収または破壊 されている骨の表面に結合する薬物の一種です。 血球:骨髄の構成要素で、通常、赤血球、白血球、血小板を含みます。 血球数:血液サンプル中の赤血球、白血球、血小板の数です。

血中ブドウ糖:体内で食事に含まれる食物から作られる血糖の一種です。 ブドウ糖は血流に乗って全身の細胞に運ばれます。 これは主要なエネル ギー源です。 ある種の薬剤は、血中ブドウ糖濃度に影響を与えることがあ ります。 血中ブドウ糖を測定して観察する検査があります。 血液幹細胞:すべての血球を作る役割を担う骨髄の幹細胞です。 医学用語 は「造血」幹細胞です。

血中尿素窒素(BUN) :血中の尿素濃度の測定値です。尿素は腎臓から排 泄されます。BUNは腎機能を評価するための臨床血液検査です。腎機能を 損なう可能性のある骨髄腫などの疾患により、血流中のBUN濃度が上昇 することがよくあります。 骨髄:骨の中心にある柔らかい海綿状の組織のことで、白血球、赤血球、血 小板を産生します。 骨髄腫が増殖すると、骨髄腫が骨髄中に蓄積します。

骨髄穿刺:顕微鏡検査を行うために、骨髄から体液と細胞のサンプルを針 で採取することです。

骨髄生検:中空針を使用して骨から組織サンプルを切除することです。組 織細胞ががん化しているかどうかを検査します。 がん化した形質細胞が見 つかった場合、病理医は骨髄のどの程度が影響を受けているかを推定し ます。 骨髄生検は通常、骨髄穿刺と同時に行われます。 骨髄不全:骨髄が十分な健康な血球を産生できない状態のことです。 骨髄 不全は後天性または遺伝性の可能性があります。治療せずにいると死に 至ることがあります。 骨髄移植: 「移植」を参照してください。

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骨修飾薬(BMA) :骨破壊の予防や治療に使用される薬物の一種です。骨 髄腫ではランマーク (デノスマブ)、 ゾメタ (ゾレドロン酸)がBMAに含まれま す。 骨再構築:骨の形成と破壊のバランスの取れた状態を維持するための、破 骨細胞(骨を吸収または破壊するもの)と骨芽細胞(新しい骨基質を形成 するもの)の間の正常な調整(カップリング)のことです。

C反応性蛋白(CRP) :肝臓で作られる蛋白で、全身に炎症があると増加し ます。

カルシウム:主に骨基質の硬い部分に含まれるミネラルです。過剰に産生 または放出されると、血流中に蓄積することがあります。 「高カルシウム血 症」を参照してください。 海綿骨:骨梁とも呼ばれ、軽くて多孔質の骨は、 スポンジのように見える多 数の大きな空間を囲んでいます。 骨梁には骨髄と血管があります。

がん:悪性細胞が無制御に分裂する病気を表す用語です。 がん細胞は周辺 の組織に浸潤し、血流およびリンパ系に乗って身体の他の部分へ広がるこ とがあります。

発がん性物質:がんの増殖をもたらす、 または刺激する物質や薬剤のこと です。

カテーテル:薬物や栄養素の経路を確保するために血管内に留置される 管です。中心静脈カテーテル(CVC)は、心臓近くの大静脈に手術で挿入さ れ、胸部または腹部から出る特殊な管です。 カテーテルにより、薬や輸液、 血液製剤を投与したり、血液サンプルを採取したりすることができます。

CD34:造血幹細胞の表面にあるCD34は、幹細胞の選択と定量に用いられ ます。 移植を安全に行うには、決められた最小数のCD34+幹細胞が必要で す。 細胞:生物の基本単位です。何百万という顕微鏡サイズの細胞が、体内の 各臓器や組織を構成しています。

細胞分化:若く未熟な(特殊化されていない)細胞が個々の特性を発達さ せ、成熟した(特殊化された)形態と機能を獲得するプロセスのことです。 myeloma.org

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細胞増殖:細胞の成長と細胞分裂の結果として細胞数が増えることです。

中枢神経系(CNS) :脳と脊髄からなる神経系の一部です。CNSは、脳と身 体の他の部分との間でメッセージを伝達する神経細胞と神経群で構成さ れています。

免疫チェックポイント阻害薬:免疫反応を抑制するために、免疫系に組み 込まれた安全機構です。 「プログラム細胞死蛋白質1」 (PD-1)を阻害する免 疫チェックポイント阻害薬は、T細胞の不活性化を抑え、T細胞ががん細胞 を死滅させる能力を引き出します。

ケモカイン:サイトカインファミリーの分泌蛋白の一種で、 その機能は細胞 遊走を誘導することです。 「サイトカイン」を参照してください。

化学療法:がん細胞を死滅させるために使用する薬物です。 「併用化学療 法」 では、1つのがん治療レジメンで複数の薬物を使用します。

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法:骨髄腫におけるこの免疫療法では、 患者さんのT細胞を集め、患者さん自身のがん細胞を攻撃するよう操作し ます。 染色分体:細胞分裂の前に染色体が分割される2本の同一の染色体の鎖 のうちの1本です。

染色体:細胞核の中にあるDNA鎖と蛋白のことです。 染色体には遺伝子が 含まれており、遺伝子情報を伝達する機能があります。 通常、 ヒトの細胞に は46本の染色体(23対)が含まれています。 • 染色体欠失 – DNA複製中に染色体の一部または全体が失われる遺 伝子変異です。 骨髄腫で起こる染色体欠失には、13番染色体長腕欠 失(13q-と表記)または17番染色体短腕欠失(17p-と表記)が含まれ ます。

• 染色体転座 – 異なる染色体の一部が再配置される遺伝子変異で す。 小文字の「t」の後に、転座した遺伝物質を含む染色体の番号が続 きます。骨髄腫で起こる転座には、t(4;14)、t(11;14)、t(14;16)、t(14;20) があります。

慢性:長期にわたって持続することです。

臨床:患者さんを直接観察したり検査を行ったりすることです。

臨床試験:新しい治療法や新しい併用療法に対する科学的アプローチを テストするボランティアの人々による医学研究試験。 各臨床試験は、がんを 10

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予防、検出、診断、治療するためのより良い方法を見つけ、科学的な疑問に 答えることを目的としています。

または臨 • 治験登録数 – 臨床試験に患者さんを登録する過程のこと、 床試験にすでに登録したか、あるいは登録を予定している患者さん の数のことです。 • 治療群 – 2つ以上の治療群がある無作為化試験における治療群 です。

• コホート – 同じ試験で同じ治療またはプラセボ(無治療)を受ける 患者群です。

• 対照群 – 標準治療またはプラセボを受ける無作為化臨床試験の群 です。

• 二重盲検試験 – 患者さんも治験責任医師も、患者さんが無作為化 された試験のどの群にいるかを知らない場合の試験です。 その目的 は、結果報告における偏りを排除することです。 • エンドポイント – 試験の目標です。臨床試験のエンドポイントは、毒 性、奏効率、生存を目的とすることがあります。 • 実験群 – 新しい治療法を受ける無作為化試験の群です。

• 無作為化臨床試験 – 患者さんが特定の治療を受けるよう無作為に 割り当てられる試験です。

• 第Ⅰ相臨床試験 – 新しい薬物や薬物の新たな組み合わせの最大耐 量(MTD)と安全性プロファイルを決定する試験です。 これは、人体に おける新しい治療法の初の試験となることがあります。併用療法で は、個々の薬剤が人体ですでに十分に試験されている場合があるこ とに注意してください。 • 第Ⅱ相臨床試験 – 第Ⅰ相試験で試験された新しい治療法の有効性 と安全性を判断することを目的とする試験です。被験者の要件は通 常、 いかなる標準治療にも抵抗性を示す測定可能な疾患を患ってい ることとされます。第Ⅱ相試験の結果が標準治療よりも明らかに優 れている場合、 その治療法は第Ⅲ相試験で試験されずに承認される ことがあります。第Ⅱ相試験の結果が有望な場合、 その治療法は第 Ⅲ相試験で試験されることがあります。

• 第Ⅲ相臨床試験 – 2つ以上の治療法を比較する試験です。 第Ⅲ相試 験のエンドポイントは、生存期間または無増悪生存期間(PFS)とさ myeloma.org

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れることがあります。第Ⅲ相試験は、通常、無作為化されるため、被 験者はどの治療法を受けるか選ぶことができません。 第Ⅲ相試験の 中には、第Ⅱ相試験で良好な結果が得られた新しい治療法を標準 治療と比較するものもあり、他の第Ⅲ相試験では、 すでに一般的に 使用されている治療法を比較します。

• 第Ⅳ相臨床試験 – 薬物が特定の適応症での使用についてU.S. Food and Drug Administration((FDA) (米国食品医薬品局)によって承認さ れた後でも、追加の試験が必要になることがあります。 たとえば、安 全性サーベイランスは、第Ⅰ相~第Ⅲ相臨床試験で可能であったよ りも多くの患者集団と長期間にわたり、 まれな副作用や長期にわた る副作用を検出することを目的としています。

コロニー刺激因子(CSF) :血球の発達と増殖を刺激する蛋白です。G-CSF は、 アフェレーシスに先立ち、骨髄から血流中に幹細胞を動員するために 使用されるコロニー刺激因子です。 これらは、移植後に血球数の回復を早 めたり、治療による白血球数の低下を治療するために使用されることもあ ります。

補体蛋白:感染性微生物の排除を助けるために協調して作用する30を 超える蛋白の複雑なシステムです。 補体系は、外来細胞や感染細胞の溶解 (破裂)、外来異物や細胞残屑の貪食(摂取)、周囲組織の炎症を引き起こ します。

全血球算定(CBC) :MGUS、SMM、骨髄腫の多くの症例は、血液の固形部分 を構成するすべての細胞を定量化するこの定期的な血液検査の結果とし て特定されます。CBCは通常、年次健康診断の一部として実行され、骨髄 腫の患者さんの診断と観察に必要な検査の1つでもあります。 完全奏効: 「奏効または寛解」を参照してください。

コンピュータ断層撮影検査(CATまたはCT) :体内構造の三次元画像を作 成します。 骨髄腫では、X線が陰性の場合、 または特定の領域のより詳細な 検査に使用されます。骨損傷や神経圧迫の小さな領域の検出や詳細な評 価に特に有用です。

移植前処置:幹細胞移植に先立ち、がん細胞を破壊するために患者さん に施される治療です。骨髄腫の患者さんが受ける最も一般的な移植前処 置は、体表面積1平方メートルあたり200mgのメルファランです。

うっ血性心不全:心臓のポンプ機能が弱まり、体内に水分や塩分が貯留す 12

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る一連の現象が起こる状態です。腕、脚、足、足首、肺、その他の臓器に水 分が溜まると、身体がうっ血します。

地固め療法:自家幹細胞移植(ASCT)後の患者さんの反応を深めるため に行われる治療法です。

CRAB(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)基準:血中のCalcium (カルシウム濃度)の上昇、Renal damage(腎障害)、Anemia(貧血)また は赤血球数の低下、およびBone damage(骨病変)は、 「骨髄腫定義事象 (MDE)」 とともに骨髄腫の診断に使用される基準です。 クレアチニン:通常、腎臓から尿中に排泄される化合物です。腎臓が損傷 すると、血清クレアチニン値が上昇します。血清クレアチニン検査は、腎機 能を測定するために使用されます。 CT検査: 「コンピュータ断層撮影検査(CATまたはCT)」を参照してくだ さい。

嚢胞:嚢内に液体または半固体の物質が蓄積した状態のことです。 嚢胞は あらゆる臓器や組織で発生する可能性があります。

細胞遺伝学的検査:欠失した染色体、再配列された染色体、 または余分な 染色体を調べる臨床検査です。 「染色体」を参照してください。

サイトカイン:通常、感染に反応して血流中を循環する蛋白です。サイト カインは、他の細胞の増殖や活性を刺激したり阻害したりすることがあ ります。 サイトカイン放出症候群(CRS) :致命的となり得る制御不能な免疫反応 で、サイトカインが大幅に上昇し、過剰な免疫系反応を引き起こします。 サ イトカインの「嵐」は、体組織や臓器に深刻な損傷を与える可能性がありま す。 「サイトカイン」を参照してください。

血球減少症:赤血球(貧血)、白血球(白血球減少)、血小板(血小板減少) の数が通常より少ない状態です。 汎血球減少症とは、血球値がすべて低下 している状態です。 細胞質:細胞の核を除いたヒト細胞膜の内側にあるゼリー状の物質です。 深部静脈血栓症(DVT) :体内の1つ以上の深部静脈(通常は脚)に血栓が myeloma.org

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形成されることで起こる状態です。DVTの血栓が剥がれて(塞栓を起こし て)、心臓か肺に移動することがあります。 塞栓は生命を脅かすおそれがあ ります。 DVTは無症状で起こることもあれば、脚の痛みや腫れを引き起こす こともあります。 脱水:身体から水分が過剰に失われることです。症状や兆候には、喉の渇 き、口渇、脱力感または立ちくらみ(特に立ち上がると悪化する場合)、濃 尿、排尿量の減少などがあります。 熱への暴露、長時間の激しい運動、腎臓 病、嘔吐や下痢、 および特定の薬剤は脱水につながることがあります。

樹状細胞:樹状細胞は、ヘルパーT細胞を活性化し、サイトカインを放出 するよう刺激することで免疫反応を高めます。樹状細胞は抗原提示細胞 (APC)の一種であり、表面上の抗原を他の免疫系細胞が認識して破壊す るよう示し、長期的な疾患制御と治療結果に影響を与えます。 デオキシリボ核酸(DNA) :遺伝物質であり、細胞が身体のすべての構成要 素をコピーして生成するために必要な遺伝情報を運ぶ大きな分子です。 診断:兆候、症状、検査結果によって病気を特定するプロセスです。

透析:腎臓が機能しなくなった場合に、血液から水分、過剰な塩分、毒素を 除去するプロセスです。 透析には、機械を使用する血液透析と、腹部の内膜 (腹膜)を使用して血液をろ過する腹膜透析の2種類があります。 無病生存期間:治療後、がんが検出されずに患者さんが生存する期間で す。 これは「無増悪生存期間(PFS)」 とも呼ばれます。 疾患の進行: 「進行性疾患」を参照してください。

疾患の安定:がんが増殖を止めて安定している状態のことです。

用量制限毒性(DLT) :治療の副作用が、 これ以上同じ治療を行えないほど 重篤な場合の毒性のことです。 ダウンレギュレーション:細胞が外部変数に応じて、RNAや蛋白などの細 胞成分の量を減少させるプロセスです。 薬物クラス:類似の化学構造または類似の作用機序(MoA)を持つ医薬 品群。

薬物耐性:薬物の効果が低下し、患者さんのがん細胞が治療に対する抵 抗力を持つことです。 14

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二重エネルギーX線吸収測定検査(DXA、以前はDEXA)検査:骨量の減少 を測定するために使用されるX線技術の改良版です。

呼吸困難:息切れを表す医学用語で、胸の激しい締め付け、空気飢餓感、 呼吸困難、または息切れとして説明されることが多いです。呼吸困難は、 貧血、肺炎、肺塞栓症など多くの医学的問題によって引き起こされること があります。 米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)ステータス: 「一般状態」を参 照してください。

浮腫:身体の一部に水分が異常に溜まった状態です。浮腫は、皮下組織の 空間、 つまり 「間質」に過剰な水分が溜まった結果です。 末梢浮腫は、足首、 足、脚に腫れを引き起こす水分が蓄積したものです。 有効性:有益な効果を生み出す治療の能力のことです。

電解質:血液やその他の体液に含まれるミネラルで、電荷を帯びており、生 命にとって不可欠です。 電解質には、 ナトリウム、 カリウム、 カルシウム、 マグ ネシウム、塩化物、 リン酸塩、重炭酸塩などがあります。 これらは、体内の水 分量、血液の酸性度(pH)、神経および筋肉の機能(心臓を含む)、 およびそ の他の重要なプロセスに影響を与えます。

電気泳動:骨髄腫の診断とモニタリングの両方に使用される臨床検査で、 患 者さんの血清(血液) または尿蛋白がそのサイズと電荷に応じて分離される ことがあります。 血清または尿の電気泳動(SPEPまたはUPEP)により、 患者さ んごとの骨髄腫蛋白の定量とMスパイクの種類の特定の両方が可能になり ます。 胚・胎児毒性:胚または胎児が有毒物質に曝露されることによって生じる 有害事象です。 脳症:脳の機能や構造を変化させる脳疾患です。 原因としては、感染症、腫 瘍、脳卒中などが考えられます。症状には、推論能力や集中力の低下、記 憶喪失、人格変化、けいれん、発作などがあります。

生着:移植された骨髄または末梢血中の幹細胞が患者さんの骨髄に移動 し、増殖して新しい白血球、赤血球、血小板を産生し始めるプロセスです。 酵素:細胞によって作られる蛋白分子です。酵素は、体内の特定の生化学 myeloma.org

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反応の速度を上昇させる触媒として機能します。

赤血球:赤血球(RBC)のことです。 RBCは酸素を体細胞に運び、二酸化炭素

を体細胞から運び出します。

赤血球産生:新しい赤血球を形成することです。

エリスロポエチン:腎臓が産生するホルモンで、赤血球の産生を刺激しま

す。 腎臓損傷を有する骨髄腫の患者さんは十分なエリスロポエチンを産生 せず、貧血になることがあります。

食道炎:食道(食物を口から胃まで運ぶ管)の炎症です。

髄外疾患:骨髄腫の患者さんの骨髄の外に形質細胞がある状態です。

髄外性形質細胞腫:骨髄の外側の骨から離れた軟部組織に見られる単ク

ローン性形質細胞の腫瘍です。

血管外漏出: (静脈内化学療法などの)薬物または(椎体形成術または椎骨

形成術中の)骨セメントが周囲組織を通過したり漏出したりすることです。 椎間板:脊椎の骨の間をつなぐものです。

ファンコーニ症候群:腎尿細管の選択的損傷の一種で、腎臓が特定の必

須物質を再吸収する方法に影響があります。 アミノ酸とリン酸塩が尿中に 漏れ、尿として体外に出ると、代謝性骨疾患を引き起こすことがあります。

倦怠感:がんやがん治療によって引き起こされる倦怠感は、苦痛で持続的 主観的な疲労感または消耗であり、最近の活動に比例せず、通常の機能

を妨げます。

発熱性好中球減少:多くの場合、 感染症の兆候を伴う発熱で、 好中球減少の 患者さんに見られます。 発熱性好中球減少は、感染源が特定できない場合

でも、 通常は抗生物質で治療されます。 「好中球減少」 を参照してください。

:骨髄腫の専門家が染色体上 蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)

の特定のDNA配列の位置を突き止められるようにする手順のことです。

フローサイトメトリー:細胞を液体の流れに懸濁させ、 レーザーを通過させ 16

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ることで、 細胞数、 細胞選別、 バイオマーカー検出に使用する技術です。

遊離軽鎖(FLC) :免疫グロブリン軽鎖は、抗体を構成する2つの単位のうち 小さい方です。 κ軽鎖とλ軽鎖の2種類があります。 軽鎖は重鎖に結合してい ることもあれば、結合していない(遊離している) こともあります。 遊離軽鎖 は、血中を循環し、腎臓に排泄できるほど小さく、 ろ過されて尿中に排泄さ れ、大量の場合は尿弛緩を閉塞することがあります。

フロントライン治療:新たに骨髄腫と診断された患者さんの奏効を得るた めの治療活動に使用される初期治療の総称です。 「導入療法」および「奏 効」を参照してください。 胃腸(GI)の副作用: 吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腫脹、 その他消化管に影響 を与える副作用のことです。 遺伝子:特定の蛋白をコードするDNAの特定の配列のことです。

遺伝子治療:遺伝子の活性を変化させる治療法です。 これは通常、遺伝子 を追加したり削除したりすることを意味します。

一般名:ブランド名は、米国食品医薬品局(FDA)などの政府規制機関から 承認を受けた企業の所有物である医薬品を識別するものです。医薬品が 「特許切れ」になった後、他の企業が、医薬品の化学組成を表す一般名で その医薬品のジェネリック版を製造することがあります。 遺伝的:すべての生物の遺伝子または遺伝に関することを意味します。遺 伝子内のDNAを通じて特性が親から子に受け継がれる生物学的プロセス です。 緑内障:眼圧の蓄積に関連する疾患で、治療しないと、視力低下や失明に つながるおそれがあります。

グロブリン:免疫系によって肝臓で作られる蛋白です。肝機能、血液凝固、 感染症との闘いに重要な役割を果たすグロブリンには、 「アルファ」、 「ベー タ」、 「ガンマ」があります。骨髄腫細胞によって分泌されるM蛋白はガンマ グロブリンです。 糖蛋白:細胞の外表面にある蛋白で、糖(糖質)が結合しています。 これら は他の分子が細胞に結合する受容体部位として機能します。

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グレード:米国でNational Cancer Institute(NCI) (米国国立がん研究所)が がんの臨床試験に採用した毒性基準には、次のものがあります。 • グレード0 – 症状なし

• グレード1 – 軽度の症状

• グレード2 – 中等度の症状

• グレード3 – 治療を要する症状

• グレード4 – 緊急介入を要する症状 • グレード5 – 死に至る症状

移植片対宿主病(GVHD) :レシピエント自身の組織に対する、提供された 組織の免疫関連反応です。 顆粒球:白血球の一種で、細菌を死滅させます。 好中球、好酸球、好塩基球 はすべて顆粒球の一種です。

増殖因子:血液幹細胞を刺激して増殖させ、血流中に放出させる薬物 です。

ギラン・バレー症候群(GBS) :脳と脊髄の外側にある患者さん自身の神経 ネットワークの一部を免疫系が誤って攻撃してしまう、まれな神経障害で す。GBSの症例には、軽度(一時的な脱力感)なものもあれば、重度(麻痺) のものもあります。ほとんどの患者さんは最終的には回復しますが、ある 程度の脱力感が続く患者さんもいます。 重鎖:形質細胞によって産生される免疫グロブリン蛋白は、2つの重鎖と2 つの軽鎖からなり、重鎖は2つのユニットのうち大きい方です。 5種類の重鎖 (G、A、D、E、またはM)は、骨髄腫細胞によって産生される免疫グロブリン のクラス (アイソタイプ)に基づいています。 「免疫グロブリン(Ig)」を参照し てください。 重鎖沈着症(HCDD) :臓器における単クローン性重鎖の沈着を特徴とする まれな種類の単クローン性免疫グロブリン沈着症(MIDD)です。 HCDDは通 常、 腎臓に影響を与えますが、 他の臓器にも影響を与えることがあります。 ヘマトクリット値(Hct) :血液中に含まれる赤血球の割合をパーセント表 示したものです。 ヘマトクリット測定値が低いと貧血を示します。

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血液学的:血液に関係する、血液に由来する、血流を通じて広まる、 という 意味です。 血液悪性腫瘍:骨髄または血球のがんです。

血液専門医:血液および骨髄の問題を専門とする医師です。

ヘモグロビン:酸素を運ぶ赤血球の中にある蛋白です。

単純ヘルペス:口の周りによく見られ、痛みを引き起こするウイルスで、一 般的に 「ヘルペス」 と呼ばれます。

帯状疱疹:帯状疱疹は、水痘( 「水疱瘡」 とも呼ばれる)を引き起こすのと同 じウイルスである水痘帯状疱疹ウイルス (VZV)の再活性化によって引き起 こされます。帯状疱疹感染が再活性化すると、神経に影響を与えることが よくあります。

高リスク骨髄腫:細胞遺伝学的(染色体)異常t(4;14)、t(14;16)、t(14;20)、 17p欠失、 および1qの増幅、改訂国際病期分類(R-ISS)のステージIII疾患や 高リスク遺伝子発現プロファイル(GEP)シグネチャで定義される、治療後 速やかに再発する可能性が高いか、 または治療抵抗性を示す骨髄腫です。 ホルモン:体内の特定の細胞や臓器の作用を調節するさまざまな内分泌 腺によって産生される化学物質です。

ヒト白血球抗原(HLA)検査:血液、骨髄、 または臓器のドナーと、輸血また は移植を受けるレシピエントを適合させるために使用される血液検査です。 ハイドロキシアパタイト:骨の形成を助け、 剛性と強度を与える化合物です。

高カルシウム血症:血中のカルシウム濃度が正常値を超えていることで す。 骨髄腫の患者さんでは、通常、骨の破壊によってカルシウムが骨から血 流中に放出されます。 この状態は、食欲低下、吐き気、 のどの乾き、倦怠感、 筋力低下、不安、錯乱などを含むさまざまな症状を引き起こすことがあり ます。 「カルシウム」を参照してください。 過敏性反応:正常な免疫系によって生じる望ましくない反応で、薬剤に反 応することもあります。 アレルギーや自己免疫などがあります。 これらの反 応は不快だったり、有害だったり、致命的だったりすることがあります。

高血圧症:動脈の血圧が上昇する慢性的な疾患です。高血圧とも呼ばれ ます。 myeloma.org

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過粘稠度症候群(HVS) :血液が濃くなり過ぎて、細い血管の血流が悪くな ると合併症を引き起こし、生命を脅かすことがあります。治療と管理には、 静脈内輸液や血漿交換法があります。

低ガンマグロブリン血症:免疫系が血液中に十分な免疫グロブリンG (IgG)を産生していない場合に臨床診断が行われます。

低ナトリウム血症:血液中のナトリウム濃度が低い状態です。吐き気、頭 痛、錯乱、倦怠感などの症状があります。低ナトリウム血症は、嘔吐や下 痢による体液喪失のほか、心臓、肝臓、腎臓の病気によるたい体液過剰に よっても起こることがあります。

低分泌型:分泌量が少ない、または分泌がない病気です。 オリゴ分泌型と しても知られています。

低酸素症:身体組織内の酸素濃度が低い状態です。 低酸素症の症状には、 錯乱、不安、呼吸困難、心拍数の上昇、皮膚の蒼白化などがあります。

イカロス:骨髄腫やその他のB細胞がんで高発現の蛋白ファミリーで、がん 細胞の増殖と生存に必要とされます。 イカロス蛋白は、免疫調節薬の作用 機序においても重要です。 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS) :免疫療法、特に免 疫エフェクター細胞(IEC)とT細胞療法の投与後、数日または数週間で発 生することのある症候群です。

免疫系:細胞、組織、臓器、およびそれらが作る物質の複雑なネットワーク です。免疫系は、健康な細胞を保護しながら、感染した細胞や病気の細胞 を破壊し、細胞の破片を除去することで、身体が自分自身を守るのを助け ます。 イムノアッセイ:血中蛋白を検出する検査であり、抗原の特定の三次元構 造にのみ結合する抗体の能力に依存しています。骨髄腫では、 この検査は 特定の抗体を検出するために一般的に使用されます。 免疫不全: 感染症や病気と闘う身体能力が低下した状態です。

免疫固定法(IFE) :蛋白を特定するために使用される血清または尿の免疫 学的検査です。 骨髄腫の患者さんの場合、医師はM蛋白の種類(IgG、IgA、κ またはλ)を特定できます。最も感度が高い日常的な免疫染色法であり、M 蛋白の重鎖および軽鎖の種類を正確に特定します。 20

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免疫蛍光法:試験サンプル中の標的分子の分布を示すために、細胞内の 特定の標的に蛍光色素分子(蛍光色素)を向ける試験です。骨髄腫では、 免疫蛍光法は通常、骨髄腫細胞上の抗原または抗体の位置を確認するた めに行われます。

免疫グロブリン(Ig) :形質細胞から産生される蛋白で、身体の免疫系に 必須です。免疫グロブリンは外来物質(抗原)に付着し、 それを破壊するの を助けます。免疫グロブリンのクラス (アイソタイプ)は、IgG、IgA、IgD、IgE、 IgMです。各種の免疫グロブリンには体内での異なる機能があります。 「抗 体」 および 「抗原」を参照してください。 GとAは、骨髄腫細胞か • IgG、IgA – 最も一般的な種類の骨髄腫です。 ら産生される免疫グロブリン重鎖を指します。 • IgD、IgE – これらの種類の骨髄腫は発生頻度が低いです。

IgM型骨髄腫はワルデンストレー • IgM – 骨髄腫の種類ではまれです。 ムマクログロブリン血症と同じではありません。

免疫組織化学(IHC) :免疫組織化学とは、抗原に特異的に結合する抗体 の原理を利用して、組織切片の細胞内の抗原を検出するプロセスのことで す。 免疫組織化学的染色は、がん性腫瘍に見られるような異常細胞の診断 に広く使用されています。 免疫調節薬:免疫系の機能を変更、強化、または抑制できる薬物です。免 疫調節薬は「免疫調節薬(IMiD®)」 と呼ばれることがあります。

免疫抑制:免疫系が弱体化することで、感染症や病気と闘う能力が低下す ることです。 免疫抑制は、免疫系に対する骨髄腫の影響と骨髄腫の治療の 両方によって発生することがあります。

免疫療法:がんと闘うための身体の自然な防御力を強化する治療法です。 罹患数:毎年新たに診断される病気の症例数です。

導入療法:自家幹細胞移植(ASCT)の準備として患者さんに行われる初期 治療です。 「フロントライン治療」 および 「治療ライン」を参照してください。 炎症:怪我や病気に対する身体の防御反応です。

炎症性:炎症に関する、怪我や病気に対する身体の防御反応です。

インフォームドコンセント:患者さんが同意するかどうかについて十分な 説明を受けた上で決断できるように、医師が患者さんに手順、戦略、また は臨床試験に関する十分な情報(リスク、利益、代替案、潜在的な費用など myeloma.org

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の問題を含む)を与えることを義務付けるプロセスです。

注入:輸液や薬剤を一定期間にわたって血流に送り込むことです。

輸液ポンプ:測定された量の輸液や薬剤を一定期間にわたって血流に送 り込む装置です。

インフュージョンリアクション(IRR) :静脈内(IV)注入中または注入直後 に発症する過敏性反応の一種です。IRRはサイトカインによって引き起こさ れ、多くのIVがん治療で発生することがあります。 よく見られる反応はイン フルエンザのようなもので、鼻づまり、発熱、悪寒、咳、喉の炎症、息切れ、 低血圧、吐き気、発疹などがあります。 「投与関連反応(ARR)」および 「サイ トカイン」を参照してください。 阻害する:何かを止めたり抑えたりすることです。

注射:注射器と注射針を使って体内に薬を注入することです。

インターフェロン:感染症や病気に反応して体内で自然に放出されるホル モン (サイトカイン)で、免疫系で病気と闘う特定の血球の増殖を刺激しま す。 インターフェロンは、遺伝子組み換え技術によって人工的に産生でき、 免疫療法の一種として使用されます。

インターロイキン:体内で自然に産生される化学物質、 または生物学的療 法に使用される物質です。 インターロイキンは、特定の種類の白血球の増 殖と活動を刺激します。 インターロイキン-2(IL-2)は生物学的反応修飾物 質の一種で、ある種のがんと闘う免疫系の特定の血球の増殖を刺激しま す。 インターロイキン-6(IL-6)はサイトカインの一種で、破骨細胞と形質細 胞の増殖を強力に刺激します。

画像下治療:放射線医学の一分野であり、放射線画像の指導の下、皮膚を 通して行われるさまざまな処置によって病気の診断と治療を行います。 静脈内(IV)注入:静脈に投与することです。

虚血イベント:血流の遮断などにより、臓器や組織への血液の供給不足に よって引き起こされる現象です。 心筋虚血は、心臓への血液供給が減少し、 十分な酸素が供給されなくなることで起こります。 これにより心筋が損傷 することがあります。 角膜症:眼の保護外層である角膜の非炎症性疾患です。 22

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椎骨形成術:バルーン技術を使用して、骨折または潰れた椎骨に液体セメ ントを注入する低侵襲外科手術です。 これにより、痛みが軽減され、脊椎が 安定します。 「脊椎圧迫骨折(VCF)」を参照してください。 後彎症:脊椎の正常なカーブが誇張された状態です。

乳酸脱水素酵素(LDH) :体内のほぼすべての組織に存在するエネルギー を生成する酵素です。血流中のLDH濃度は、細胞の損傷に反応して上昇し ます。 LDHは骨髄腫の活動性を観察するために使用されることがあります。 病変部:異常な組織の領域で、がんなどの損傷や病気によって生じること のあるしこりや膿瘍のことです。骨髄腫において、 「病変部」は形質細胞腫 または骨の抜けた部分(穴)のことを指します。 • びまん性病変 – 骨領域に骨髄腫病変が広がっている状態です。

• 局所性病変 – MRIやPET-CT検査で骨髄に見られる異常な範囲のこと です。 「骨髄腫診断事象」 と見なされるには、5mm以上の局所性病変 が2か所以上にあることが必要です。

• 溶骨性病変 – 各領域の健康な骨の最低30%が侵食された場合に、X 線写真上で暗い点として現れる骨の損傷領域です。 溶骨性病変は骨 に開いた穴のように見え、骨が弱くなっている証拠です。 「溶骨性(溶 解)」を参照してください。

白血球除去輸血: 「アフェレーシス」を参照してください。

白血球:身体が感染症やその他の病気と闘うのを助ける細胞です。 白血球 (WBC)とも呼ばれます。 白血球減少:白血球の数が少ない状態です。

軽鎖:免疫グロブリン軽鎖は、抗体からなる2つの単位のうち小さい方で す。軽鎖は化学結合によって重鎖の末端に結合していますが、血流に入る 余分な軽鎖が作られます。 これらは「遊離軽鎖」と呼ばれます。軽鎖には カッパとラムダの2種類があります。

軽鎖沈着症(LCDD) :臓器における完全または部分的な単クローン性軽 鎖の沈着を特徴とするまれな種類の単クローン性免疫グロブリン沈着症 (MIDD) です。 LCDDは通常、腎臓に影響を与えますが、他の臓器にも影響を 与えることがあります。 LCDDの治療目標は、 臓器の損傷を遅らせることです。 myeloma.org

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軽鎖エスケープ:再発時に遊離軽鎖が増加するのに対し、無傷の単クロー ン性免疫グロブリンは増加しない現象です。

治療ライン:患者さんが受けた治療の回数を計算するために使用される 用語です。治療ラインとは、単剤、合剤、またはさまざまなレジメンで予定 された連続療法からなるレジメンの1つ以上の完全なサイクルです。 「導入 療法」も参照してください。 腰椎:5つの腰椎骨は胸郭と骨盤の間にある腰の脊椎です。

紅斑性狼瘡: 「全身性エリテマトーデス(SLE)」を参照してください。

リンパ系: 「リンパ組織系」とも呼ばれ、 リンパ節とリンパ節をつなぐチャネ ルを含む循環系のサブシステムです。 その主な機能の1つは、免疫細胞(リ ンパ球、単球、形質細胞など)の産生と血液循環です。 リンパ系器官には骨 髄と胸腺が含まれます。

リンパ球:B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)、 ナチュラルキラー(NK)細 胞を合わせると、白血球(WBC)の30%を占めます。

リンパ球減少:これはB細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)、 ナチュラルキ ラー(NK)細胞の濃度が低い状態です。 溶骨性(溶解) :細胞や組織の溶解や破壊です。

Mスパイク:単クローン性スパイク(蛋白電気泳動検査で生じる鋭いパ ターン)は、骨髄腫細胞の活性マーカーです。 「単クローン性」および「単ク ローン性蛋白」を参照してください。

マクロファージ:免疫系細胞で、表面に健康な体細胞であることを示す蛋 白を持たないあらゆる細胞(がん細胞を含む)を飲み込んで貪食すること が任務です。 磁気共鳴画像法(MRI) :磁場と電波を使用して、体内の構造の詳細な2D または3D画像を生成する画像診断です。MRIでは、X線検査で損傷が示さ れない場合、骨髄における骨髄腫の存在と分布を明らかにすることができ ます。 MRIでは、骨の外側の骨髄腫も明らかにすることができます。 MRIは軟 部組織、特に脊髄浸潤を精細に描出します。 維持療法:寛解を延長するために患者さんに投与される薬物のことです。

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悪性:がんの状態で、 周辺組織に浸潤し、 身体の他の部分にも広がりません。 最大耐量(MTD) :許容できない副作用を引き起こすことがない薬物また は治療の最大用量です。

中央値:一連の数値のうち、中央となる2つの数値の平均(真ん中の)値で す。 たとえば、 「無増悪生存期間中央値(mPFS)」は、患者さんの半数の寛 解期間がmPFSより短く、半数の寛解期間がmPFSよりも長かったことを意 味します。 黒色腫(メラノーマ) :皮膚や眼の網膜の色素形成細胞のがんです。 名前は 似ていますが、骨髄腫(ミエローマ)とは関連がありません。

メタアナリシス:複数の科学的研究から得られたデータを統合または蓄積 する分析手法です。

代謝:ある化合物が別の化合物に変換されることで、生物の生命を維持す る化学プロセスで起こります。 「代謝産物」を参照してください。 代謝産物:代謝中に産生される物質、または代謝に必要な物質です。 「代 謝」を参照してください。

代謝する:身体または体内の臓器が、代謝プロセスによって、 ある化合物を 別の化合物に変換することです。 「代謝」を参照してください。

転移:がん細胞が体内のある部位から別の部位へ広がることです。 この用 語は通常、固形がんを指し、血液関連がんである骨髄腫には用いられま せん。

微小残存病変(MRD) :治療が完了し、完全奏効(CR)に達した後に存在す る残存腫瘍細胞です。厳格なCR(sCR)を達成した患者さんでも、MRDがあ る場合があります。感度の高い検査方法により、血液または骨髄から採取 された百万個の細胞の中から1個の骨髄腫細胞を検出することができます。 「微小残存病変(MRD)陰性」を参照してください。 動員剤:血流への骨髄幹細胞の放出を誘発するために患者さんやドナー に注射される薬剤です。

分子:物質のすべての特性を保持する最小の粒子です。分子は、化学結合 によって結合された2つ以上の原子からなる電気的に中性な集合です。

単クローン性:単クローンは、単細胞に由来するコピーです。骨髄腫細胞 は単クローン性で、骨髄内の単一の悪性形質細胞に由来します。 産生され myeloma.org

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る骨髄腫蛋白の種類も単クローン性であり、多くの形態(ポリクローン性) ではなく単一の形態です。 単クローン性蛋白の重要な実利的側面は、蛋白 電気泳動検査で鋭いスパイクとして現れることです。 「Mスパイク」を参照 してください。 モノクローナル抗体:人体内で産生される抗体ではなく、研究室で製造さ れる抗体です。 モノクローナル抗体は、診断または治療目的でがん細胞や 免疫系細胞を見つけて結合するよう特別に設計されています。 モノクロー ナル抗体は、単独で使用することも、薬物、毒素、 または放射性物質を腫瘍 細胞に直接送り込むために使用することもできます。

意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS) :血液中や尿中 の単クローン性蛋白濃度が比較的低いことを特徴とする形質細胞疾患で す。骨髄形質細胞濃度は10%未満です。SLiM-CRAB(高カルシウム血症、腎 障害、貧血、骨病変)基準の特徴は見られません。 「SLiM-CRAB(高カルシ ウム血症、腎障害、貧血、骨病変)基準」を参照してください。 単クローン性免疫グロブリン沈着症(MIDD) :重鎖、軽鎖、 またはその両方 の沈着によって引き起こされます。 「軽鎖沈着症(LCDD)」および 「重鎖沈着 症(HCDD)」を参照してください。

単クローン性蛋白(骨髄腫蛋白、M蛋白) :骨髄腫細胞によって産生される 異常な蛋白で、骨や骨髄に蓄積して損傷します。 骨髄腫の患者さんの血液 中や尿中には異常に大量に検出されます。 「単クローン性」および 「Mスパ イク」を参照してください。

単球:循環血液中に見られる白血球の一種です。 組織内にある場合はマク ロファージとも呼ばれます。

単剤療法:病気や状態を治療するために単一の薬物を使用する治療法で す。 この用語は、手術単独や放射線療法単独など、使用される単一種類の 治療法も表します。

MRD陰性:微小残存病変陰性のことです。検査にもよりますが、十万個ま たは百万個の骨髄形質細胞のサンプルから骨髄腫細胞が1個も見つかり ません。 「微小残存病変(MRD)」を参照してください。 多剤耐性(MDR) :骨髄腫細胞の外側の細胞膜にP糖蛋白が蓄積すること によって引き起こされる治療抵抗性のことです。

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多発性骨髄腫:骨髄形質細胞(抗体を作る白血球)のがんです。 がん化した 形質細胞は骨髄腫細胞と呼ばれます。 髄鞘:神経線維の周囲に形成される保護膜で、神経細胞に沿った電気的 刺激の伝達を効率的に促進します。

骨髄除去:重度の骨髄抑制で、大量化学療法または放射線療法の結果、 血球を産生する骨髄の能力が完全に、またはほぼ完全に破壊されます。 「骨髄抑制」を参照してください。 骨髄異形成症候群(MDS) :骨髄が正常に機能せず、十分な血球を産生し ない状態です。 この状態は、場合によっては進行して急性白血病になるこ とがあります。

ミエロイド系:白血球の一種である骨髄球を指します。骨髄系とも呼ばれ ます。 骨髄腫はリンパ系がんであり、骨髄系がんではありません。

骨髄腫診断事象(MDE) :骨髄腫の診断には、CRAB基準、骨髄中のクロー ン形質細胞が60%以上、局所性病変が関与した/関与しない血清遊離軽 鎖(FLC)比が100以上、MRIで局所性病変が1つより多いなど、1つ以上の MDEの証拠が必要です。 「CRAB(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病 変)基準」も参照してください。 骨髄抑制:赤血球、血小板、 および一部の白血球の産生が減少している状 態をいいます。

ナチュラルキラー(NK)細胞:大型顆粒リンパ球としても知られるNK細胞 は、白血球の一種です。 腫瘍の監視を担当しており、腫瘍によって形質転換 した細胞を認識し、 サイトカインの放出を通じて腫瘍に対する強力な反応 を誘導することができます。細胞傷害性T細胞とは異なり、NK細胞は腫瘍 上の「トリガー」抗原を必要とせずに、 これを行うことができます。 これによ り、 より迅速な防御反応ができるようになります。 活動性骨髄腫の患者さん では、NK細胞の数と機能の両方が低下しています。 壊死:生体組織の死を意味します。

新生物:異常に増殖した新たな細胞、がんのことです。

新生物:異常に増殖した新たな組織、 または悪性腫瘍を生み出している細 胞のことです。 myeloma.org

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ネフローゼ症候群:尿中への大量の蛋白(主にアルブミン)の排泄を特徴 とする一連の病気です。 ネフローゼ症候群では、頻繫に浮腫を生じます。 腎毒性:腎細胞に対して毒性または破壊性を持つ性質のことです。

ニューロパチー:神経損傷によって引き起こされる、 しびれ、 うずき、灼熱 感、 および/または痛みの感覚がある状態です。 「末梢神経障害」を参照して ください。 神経外科医:背中や脊髄を含む神経系のあらゆる部位の手術を行う医師 です。

神経毒性:神経毒性とは、有毒物質への曝露が、神経系の正常な活動を 変化させることです。

好中球減少:細菌感染と戦うために必要な白血球の一種である好中球の 濃度が低下している状態です。 好中球が少なすぎると感染症を引き起こす ことがあります。発熱は好中球減少の最も一般的な兆候です。発熱がある 場合は、直ちに医師の治療を受ける必要があります。

好中球:細菌感染と戦うために必要な白血球の一種です。 「好中球減少」 を参照してください。

非分泌性骨髄腫:骨髄腫の患者さんの約1%は、血液(血清)中や尿中に検 出できるM蛋白を持っていません。 これらの患者さんの一部は、無血清軽 鎖アッセイを使用して正常に観察することができますが、他の患者さんは、 骨髄生検やPET-CT検査で観察することがあります。非分泌性骨髄腫の患 者さんは、M蛋白を産生する患者さんと同じ方法で治療を受けます。 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID) :発熱、腫れ、痛みを和らげるために使 用する薬物です。

核:進化した生物では、細胞核が細胞の制御中枢です。細胞のすべての遺 伝物質(DNA)を保管し、増殖と再生(細胞分裂)などの細胞の活動を調整 します。 オリゴ分泌型骨髄腫:低分泌疾患です。 「低分泌型」を参照してください。

がん遺伝子:通常は細胞の増殖を指示する遺伝子またはDNA配列です が、発がん性物質への環境曝露によって損傷(突然変異) した場合、 または

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遺伝的欠陥によりがん遺伝子が損傷または欠失した場合、制御不能なが んの増殖を促進したり可能にしたりすることもあります。 がん遺伝子は、正 常な細胞をがん化させる可能性があります。 腫瘍専門医:がん治療を専門とする医師です。一部の腫瘍専門医は、特定 の種類のがんを専門としています。

希少疾病用医薬品:米国食品医薬品局(FDA)が付与する希少疾病用医薬 品指定により、税額控除、ユーザーフィー免除、市場優先権など、希少疾病 用医薬品の開発を支援し奨励するための優遇措置が得られます。

整形外科医:整形外科医は、外科的手段と非外科的手段の両方を使用し て、筋骨格系外傷、 スポーツ傷害、変性疾患、感染症、腫瘍、先天性異常を 治療します。 起立性低血圧:横たわった状態や座った状態から突然立ち上がった後に 血圧が低下すると、めまいやふらつきを感じます。 失神につながるおそれが あります。

骨芽細胞:骨組織の生成に関わる骨細胞です。 骨芽細胞は類骨を産生し、 カルシウムで石灰化され、新しい硬い骨を形成します。

破骨細胞:骨髄と骨の間の接合部に見られる細胞です。 古い骨組織の破壊 または再形成の役割を担っています。 骨髄腫では、破骨細胞が過剰に刺激 される一方で、骨芽細胞の活性が阻害されます。 骨吸収の促進と新骨形成 の阻害の組み合わせにより、溶骨性病変が生じます。

類骨:骨芽細胞によって産生される蛋白で、カルシウムで石灰化されて硬 い骨を形成します。 顎骨壊死(ONJ) :

• ビスホスホネートを服用している患者さんのごく一部に見られる顎の 問題 – この状態は、顎の歯槽の周囲に痛み、腫れ、骨損傷を引き起こ すことがあります。 骨壊死、 つまり骨の死が起こり、歯のぐらつき、露出 した骨の鋭い先端部、 骨棘、 小さな骨棘や死んだ骨の剥がれが生じる ことがあります。 治癒せずに骨の露出が3か月以上続くものと定義され ています。 最初は症状がはっきりしないこともあり、 痛み、 腫れ、 しびれ、 「顎が重い」 感じ、 歯がぐらつくなどの症状が見られることもあります。 • 骨修飾薬(BMA)を服用している患者さんのごく一部に見られる顎 の問題 – ONJは、顎の歯槽の周囲に痛み、腫れ、顎のしびれや「重

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さ」、骨損傷を引き起こすことがあります。骨壊死は、歯のぐらつき、露 出した骨の鋭い先端部、骨棘、小さな骨棘の剥がれが生じることが あります。ONJは、治癒せずに骨の露出が3か月以上続くものと定義 されています。

骨減少症:骨ミネラル濃度が正常より低いものの、骨粗しょう症として分類 されるほど低くはない状態です。 骨粗しょう症:骨量と骨密度の減少を特徴とする進行性の骨疾患で、骨折 のリスクが高まっている状態です。骨髄腫による骨のびまん性病変は、X線 検査や骨密度測定で骨粗しょう症のように見えます。 市販(OTC)薬:OTC医薬品は処方箋なしで購入できます。

全奏効率(ORR) :骨髄腫の臨床試験で、治療に反応して単クローン性蛋白 が50%以上減少した患者さんの割合です。

全生存(OS) :特定の期間後に生存しているグループ内の人数の中央値で す。 全生存は、臨床試験における治療効果の指標としてよく使用されます。 骨髄腫の臨床試験における全生存期間が延びているため、 このエンドポ イントを使用するのが困難になっており、新しいエンドポイントとして微小 残存病変(MRD)の状態を検証する取り組みが行われています。 緩和医療:痛みや病気の症状を軽減することで生活の質を改善することを 目的とした治療法ですが、病気の経過を変えることを目的としたものでは ありません。

パラクリン:パラクリンループでは、骨髄腫細胞を取り囲む微小環境から 産生される因子が骨髄腫細胞を刺激し、 それが微小環境細胞を刺激しま す。 「自己分泌(オートクリン)」も参照してください。 部分奏効: 「奏効または寛解」を参照してください。

病原体:宿主に病気を引き起こすウイルス、細菌、 プリオン、真菌、 ウイロイ ド、寄生生物などの感染性因子です。 病的骨折:通常、がんまたは何らかの疾患によって引き起こされる骨の骨 折です。 骨髄腫で弱った骨に発生し、通常の体重やストレスに耐えることが できません。

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病理医:病理学を専門とする医師で、組織や体液を顕微鏡で観察し、病気 を研究します。

一般状態:ECOGステータスとも呼ばれます。 患者さんが活動可能なレベル の尺度であり、暗に、病気の重症度の尺度でもあります。 ECOGスケールは、 0(完全に活動的で、病気になる前のすべての活動を制限なく行うことがで きる)から5(死亡)までとなっています。多くの臨床試験では、ECOGステー タスが0または1であることが必要であり、 ステータスが3または4の患者さ んを登録する試験はまれです。 末梢血幹細胞(PBSC) :循環血液から採取された幹細胞です。 これらの細 胞は、骨髄にある幹細胞に似ています。 「末梢」という用語は、細胞が骨髄 の外側の血液に由来することを意味します。 末梢血幹細胞移植: 「移植」を参照してください。

末梢神経障害(PN) :末梢神経障害は、手、足、下肢、腕の神経に影響を及 ぼす重篤な状態です。患者さんは、骨髄腫自体の影響や骨髄腫の治療に よって末梢神経障害をきたすことがあります。症状には、 しびれ、 うずき、灼 熱感、痛みなどがあります。 PET検査: 「陽電子放射断層撮影法」を参照してください。

薬理学(PD) :生物に対する薬物の生化学的、生理学的、分子的影響の研 究です。

薬理ゲノミクス(PG) :遺伝子が薬物や治療に対する反応にどのような影 響を与えるかについての研究です。 「薬理遺伝学」 とも呼ばれます。

薬物動態学(PK) :薬物が体内に吸収、分布、代謝、排泄されるプロセスの 研究です。 静脈炎:静脈の炎症です。

羞明:光に対する極度の過敏症が別の問題の症状である場合をいいます。

プラセボ:臨床試験において、治験薬との比較のために、 よく用いられる不 活性物質です。 米国のがんの患者さんを対象とした臨床試験では、治療が 必要な患者さんにプラセボのみを投与するよう無作為に割り当てること は、倫理的にも法的にもできません。がん治療試験のプラセボ群では、患 者さんは承認された治療法に加えてプラセボによる治療を受けます。 血漿:血液から赤血球、白血球、血小板を除いた液体部分です。

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形質細胞:抗体を産生する白血球です。骨髄腫細胞はがん性形質細胞で あり、臓器や組織の損傷(貧血、腎臓損傷、骨の病気、神経損傷)を引き起 こすことがある単クローン性蛋白(M蛋白)を産生します。

形質細胞疾患(PCD) :形質細胞が悪性化し、骨髄に浸潤する血液がんの 一種です。 PCDは臨床的に不活性の場合もあれば悪性の場合もあります。 PCDには多発性骨髄腫が含まれます。 形質細胞腫: 「髄外性形質細胞腫」および 「孤立性骨形質細胞腫(SPB)」を 参照してください。

血漿交換法:血液から特定の蛋白を除去するプロセスです。血漿交換法 は、骨髄腫の患者さんの血液から高濃度のM蛋白を除去するために使用 できます。

血小板:3大血球の1つで、他には赤血球と白血球があります。血小板は血 管壁の破綻部分をふさぎ、血栓の形成を刺激する物質を放出します。血小 板は出血に対する主要な防御機能です。 血小板とも呼ばれます。

ポート(埋め込み) :胸部または腹部の皮膚直下に外科的に留置される椎 間板に接続されたカテーテルのことで、輸液、薬物、または血液製剤を注 入したり、椎間板に挿入された針を通して血液を抜き取ったりすることが できます。

陽電子放出断層撮影法(PET) :カメラとコンピュータを使用して身体の画 像を生成する高度な診断検査です。PET検査では、活性化がん細胞による 放射性標識された糖の取り込みに基づいて、健康な組織と異常に機能し ている組織の違いが示されます。 前がん状態:がんになるか、ならないか、わからない状態を表すために使 用される用語です。 「意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症」を参 照してください。 予後:病気の予期される結果や経過、回復の可能性、平均余命。

無増悪生存期間(PFS) :骨髄腫の治療中および治療後に、患者さんが病気 を抱えながらも骨髄腫が悪化しない期間のことです。PFSは、臨床試験に おいて治療効果がどの程度あるかを測定する1つの方法です。 「進行性疾 患」を参照してください。

進行性疾患:検査によって確認された悪化または再発している骨髄腫で す。 骨髄腫蛋白濃度や疾患の新たな証拠における確認済みの奏効の最低 値から25%以上の増加として定義されます。 32

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プロテアソーム:正常細胞とがん細胞の両方で損傷した蛋白または不要 な蛋白をより小さな成分に分解する酵素( 「プロテアーゼ」 )の結合グルー プ( 「複合体」 )です。 また、 プロテアソームは細胞内損傷のない蛋白の制御 された分解も行っており、 これは多くの重要な細胞機能の制御に必要なプ ロセスです。 これらの小さな蛋白成分は、細胞に必要な新しい蛋白を産生 するために使用されます。 これは細胞内のバランスを維持し、細胞の増殖 を制御するために重要です。

プロテアソーム阻害剤:プロテアソームの正常な機能を阻害する薬物です。 「プロテアソーム」を参照してください。 タンパク質:アミノ酸で構成される物質です。 タンパク質は、特に筋肉、毛 髪、 コラーゲンなどの体組織の構造成分として、 また酵素や抗体として、 す べての生物にとって不可欠な要素です。 治験実施計画書:使用する薬物の用量やスケジュールが含まれる詳細な 治療計画のことです。

肺塞栓症(PE) :生命を脅かす可能性のある状態で、静脈内の血栓(深部静 脈血栓症、DVT)が剥がれて血流を移動し、肺の動脈に詰まり、血流が遮断 されることで発生します。 放射線療法:X線、ガンマ線、 または電子を使用して悪性細胞を損傷または 死滅させる治療法です。放射線を体外から照射する方法や腫瘍の中に直 接放射性物質を埋め込んで照射する方法があります。

放射線科医:X線、音波、磁場、 その他の種類のエネルギーによって生成さ れた画像の解釈を専門とする医師です。 再発:一定期間の寛解後に病気が再び現れることです。

赤血球(RBC) :赤血球とも呼ばれ、血中のこれらの細胞にはヘモグロビン が含まれており、身体のあらゆる部分に酸素を届け、二酸化炭素を取り除 きます。赤血球の産生は、腎臓によって産生されるホルモン (エリスロポエ チン)の刺激によって生じます。腎臓損傷を有する骨髄腫の患者さんは十 分なエリスロポエチンを産生せず、貧血になることがあります。骨髄腫の 患者さんは、骨髄が新しい赤血球を作る能力に骨髄腫細胞の影響がある ため、貧血になることもあります。 myeloma.org

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難治性:標準治療に反応しなくなった病気のことです。 骨髄腫は、治療中ま たは治療後60日以内に進行性疾患を患った患者さんにおいて難治性で す。進行性疾患に対する臨床試験のほとんどは、再発性や難治性骨髄腫 の患者さんを対象としています。

治験:製品の承認と販売の要件として政府規制機関が要求する安全性と 有効性の実質的証拠を提供することを目的とした、十分に管理された臨 床試験を指します。 米国食品医薬品局(FDA)は、米国で販売される医薬品 の規制当局です。 European Medicines Agency (EMA) (欧州医薬品庁)は、欧 州連合で販売される医薬品の規制機関です。 退縮:がんや腫瘍の大きさが縮小することです。

再発:改善から一定期間後に骨髄腫の兆候や症状が再び現れることです。 再発した患者さんは、治療を受けた後、治療終了から少なくとも60日で骨 髄腫の兆候や症状が発現しました。 進行性骨髄腫の臨床試験の多くは、再 発性難治性疾患を持つ患者さんを対象としています。 調査研究: 「臨床試験」を参照してください。

奏効または寛解:がんの兆候や症状が完全または部分的に消失すること を表す入れ替え可能な用語。 • 厳格な完全奏効(sCR)– sCRはCR(以下に定義)に正常なFLC比を加 えたもので、免疫組織化学または免疫蛍光法で骨髄中のクローン細 胞がない状態です。

• 完全奏効(CR)– 骨髄腫の場合、CRは血清(血液)および尿に対する 免疫固定が陰性であり、軟部組織、形質細胞腫、骨髄中の5%以下の 血漿細胞が消失しています。 CRは治療法と同じではありません。 VGPRは、免疫固 • 最良部分奏効(VGPR)– VGPRは完全奏効未満です。 定により検出できるが電気泳動では検出できない血清M蛋白および 尿M蛋白、または血清M蛋白の90%以上の減少、および24時間あた り100mg未満の尿中M蛋白です。

• 部分奏効(PR)– 部分奏効は、M蛋白が最低50%減少し、尿中M蛋白 が少なくとも24時間で90%減少(または24時間あたり200mg未満ま で)減少するレベルの奏効です。

リボ核酸(RNA) :細胞の化学的活性の制御に関連するさまざまな核酸の いずれかのことです。RNAはすべての細胞に見られる2つの核酸のうちの1 34

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つで、もう1つはDNA(デオキシリボ核酸)です。RNAは、遺伝情報をDNAか ら細胞が産生する蛋白に伝達します。

リスク評価・リスク緩和戦略(REMS) :特定の薬物または治療法に重大な 安全上の懸念がある場合、米国食品医薬品局(FDA)によりREMSプログラ ムが義務付けられています。REMSプログラムは、 そのような薬物や治療法 の使用を支援し、潜在的な利益がリスクを上回るようにします。 仙骨:腰椎の下、かつ尾骨(尾てい骨)の上にある三角形の骨です。仙骨部 は、寛骨の間にくさびを形成する5つの融合した椎骨(S1~S5)で構成され ています。

安全性解析対象集団:受けた治療に応じて分析のためにグループ化され た臨床試験に参加する患者群のことです。分析には、安全性と有害事象、 毒性、検査室での評価が含まれます。

サルベージ療法:患者さんの病状が望ましい治療法に無反応であったか、 または、患者さんが他の利用できる治療法に耐えられなかった場合に行 われる治療レジメンです。 強皮症:腕、顔、手の皮膚の引きつり、手足のむくみ、関節のこわばりを特 徴とする結合組織疾患です。 その影響は、身体全体に及ぶこともあれば、 一部のみに及ぶこともあります。

二次がん(SPM) :既存のがん診断とは無関係の新たながんです。 最初のが んに対する治療の結果である二次がんは、最初の治療から数か月後また は数年後に発生することがあります。

敗血症:感染に対する生命を脅かすような身体の潜在的反応です。 敗血症 は、細菌、 ウイルス、真菌、 その他の感染性微生物、 または血流中の感染性 微生物によって生成される毒素が体全体に広がるときに発生します。 敗血 症により、組織の損傷、臓器不全、死に至ることがあります。敗血症は敗血 症性ショックに進行することがあり、敗血症よりも死亡する可能性が高くな ります。 選択的核外輸送阻害薬(SINE) :細胞をがんから守るのに役立つ腫瘍抑制 蛋白を細胞が排出しないようにする化合物です。 腫瘍抑制因子が骨髄腫細 胞に蓄積すると、がん細胞の増殖と分裂を可能にする経路に対抗して、骨 髄腫細胞死に至ることがあります。 XPO1阻害剤としても知られています。 myeloma.org

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血清:血球が浮遊している血液の無色の液体部分のことです。

血清オステオカルシン:骨芽細胞が類骨を作るときに産生、分泌される蛋 白です。 低い濃度は活動性骨髄腫を示しています。 正常より高い濃度は、 よ り安定した骨髄腫を示しています。 血清病:異種血清の投与によって引き起こされる過敏性反応で、発熱、腫 れ、皮膚の発疹、 リンパ節腫脹を引き起こします。

副作用:薬物によって引き起こされる望ましくない、 または予期せぬ影響の ことです。 有害反応または有害事象(AE)とも呼ばれます。 骨関連事象(SRE) :骨損傷または骨折を指します。

骨検索(転移検査) :溶骨性病変や骨粗しょう症を探すために、頭蓋骨、脊 椎、肋骨、骨盤、長骨の一連の単純X線撮影を行うことです。

SLiM-CRAB(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)基準:この頭字語 は、患者さんの形質細胞が10%以上であることに加え、次のいずれかの特 徴を有する骨髄腫診断事象(MDE)を説明しています。 • S – 60%の形質細胞

• Li – 関与しない軽鎖に対する関与した軽鎖の比が100以上 • M – MRI診断で骨髄内に2つ以上の局所性病変が存在

• C – 骨髄腫によるカルシウムの上昇

• R – 骨髄腫による腎機能不全

• A – 骨髄腫による貧血(赤血球数の減少) • B – 骨髄腫に起因する骨疾患

くすぶり型多発性骨髄腫(SMM) :SMMは、意義不明の単クローンガンマグ ロブリン血症(MGUS)よりも発症率の高い疾患です。SMMの患者さんは、 骨髄内に10%以上のクローン形質細胞を有していますが、SLiM-CRAB基 準の特徴を有していません。SMMの患者さんは、定期的に血液専門医や 腫瘍専門医、 できれば骨髄腫専門医の診察を受けるべきです。標準リスク SMMは治療を必要としませんが、高リスクSMMの患者さんは治療が有益 かどうか医師によく相談する必要があります。 「SLiM-CRAB(高カルシウム 血症、腎障害、貧血、骨病変)基準」を参照してください。 固形腫瘍がん:嚢胞や液体領域を含まない悪性組織の塊です。骨髄腫は 血液(血液関連)がんであり、固形腫瘍がんではありません。

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孤立性骨形質細胞腫(SPB) :骨中の個々の単クローン性形質細胞の単一 の塊のことです。 SPBの診断には、孤立性骨病変、 すなわち形質細胞の浸潤 が生検で確認されること、他の骨病変の画像診断結果は陰性を示すこと、 骨髄の無作為サンプルにクローン形質細胞が認められないこと、全身性 骨髄腫を示唆する貧血、高カルシウム血症、または腎臓への浸潤の証拠 が認められないことが必要です。 脊髄:脳から伸びる神経組織と支持細胞の細長い管状の束です。 脳と脊髄 はともに中枢神経系を構成しています。脊髄は後頭骨から始まり、第1腰 椎と第2腰椎の間の空間まで伸びています。

脊椎:脊椎は首と背中を構成する骨の集まりで、主に次の4つの部位に分 かれています。頸椎(首の部分)は7つの椎骨(C1からC7、上から下まで)で 構成されています。 胸椎(胸部)は12個の椎骨(T1からT12)で構成されてい ます。 腰椎(腰部)は5つの椎骨(L1からL5)で構成されています。 仙骨は、腰 椎の下、 かつ尾骨(尾てい骨)の上にある三角形の骨です。 安定:治療に対する反応が、CR、VGPR、PR、または進行性疾患の基準を満 たさない状態を指します。 骨髄腫は長年にわたり安定の状態を保つことが あります。 「奏効」 および 「進行性疾患」を参照してください。 病期:体内の骨髄腫の程度を示します。

病期診断:診察や検査を用いて、 体内の骨髄腫の程度を把握することです。

幹細胞(造血幹細胞) :すべての血球を生み出す未熟細胞です。正常な幹 細胞は、赤血球、白血球、血小板などの正常な血液成分を生み出します。 幹細胞は通常、骨髄に存在し、移植のために採取することができます。 幹細胞の選択:幹細胞を多く含む医薬品を得るために、 また、 それによって 移植中のがん細胞を減らすために使用される細胞処理技術。骨髄腫の患 者さんへの使用はうまくいっていません。

ステロイド:ホルモンの一種です。 ステロイドホルモンは体内で作られま す。一部のステロイドの合成類似化合物(同等物)は検査室で製造できま す。 デキサメタゾン、 プレドニゾン、およびメチルプレドニゾロンは、複数の 効果を持つ合成ステロイドであり、骨髄腫などの多くの疾患に使用され ます。 皮下(SQ)注射:皮膚と筋肉の間の組織層に薬物を注入する短い針で、皮 下に薬物を投与する方法です。

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基質:酵素が作用する分子のことです。

支持療法:合併症や副作用を予防、制御、軽減し、患者さんの快適さと生 活の質を向上させるために行われる治療です。

相乗作用:2つ以上の要素を組み合わせると、それぞれの効果の和よりも 大きな効果を発揮することをいいます。 同系移植: 「移植」を参照してください。

全身性エリテマトーデス(SLE) :紅斑性狼瘡の最も一般的な種類で、免疫 系が自身の組織や臓器を攻撃して損傷する炎症性自己免疫疾患です。紅 斑性狼瘡は、関節、皮膚、腎臓、脳、心臓、肺、血球に影響を及ぼすことがあ ります。 SLEに治療法はありませんが、医療と生活習慣の改善で対処するこ とができます。 全身療法:血流に乗って全身の細胞に到達し、影響を及ぼす物質を用いる 治療法です。

T細胞(Tリンパ球) :白血球の一種で、免疫系の中心的役割を果たします。 T細胞は、細胞表面にT細胞受容体(TCR)が存在することで、B細胞やナチュ ラルキラー(NK)細胞などの他のリンパ球と区別されます。T細胞は胸腺 (thymus)で成熟するためT細胞と呼ばれますが、一部は扁桃腺でも成熟 します。 頻脈:心拍数が1分間に100拍を超えることです。頻脈は、運動中やストレ スに対する反応などのように、 まったく症状が生じないことがあり、心配の ないこともあります。 ただし、一部の形態の頻脈は、治療せずに放置する と、心不全、脳卒中、心臓突然死などの深刻な問題を引き起こすことがあ ります。 血小板: 「血小板」を参照してください。

血小板減少症:血液中の血小板の数が少ない状態です。 血小板は、血液の 凝固を助けます。血小板が少ないと、あざができやすくなり、出血し、治癒 が遅くなることがあります。血小板の「正常」値は検査室によって異なりま す。 たとえば、 メイヨークリニックの血小板の「正常」値は、循環血液1マイ クロリットルあたり15万個以上です。 血小板数が5万個未満の場合、出血の 問題が生じることがあります。大出血は通常、血小板が1万個未満に減少 38

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することと関連しています。

無増悪期間(TTP) :治療開始日から再発するまでの期間です。

毒素:植物、動物、 または微生物の起源(細菌、真菌、藻類)によって生成さ れる、 またはそれらに由来する毒物です。 骨梁:海綿骨とも呼ばれ、軽くて多孔質の骨は、 スポンジのように見える多 数の大きな空間を囲んでいます。 骨梁には骨髄と血管があります。 輸血:血液または血液製剤の送達のことです。

移植(移植手術) :移植手術にはいくつかの種類があります。

• 自家幹細胞移植(ASCT)– これは骨髄腫で最も頻繁に用いられる 移植の種類です。ASCTは、医師が患者さんの循環血液から健康な 末梢血幹細胞(PBSC)を除去する手術です。採取された幹細胞は凍 結され、数日、数週間、 または数年以内に使用できるよう保存されま す。患者さんがASCTを進める準備ができると、骨髄破壊的高用量療 法(HDT)を行い、骨髄中の骨髄腫細胞を破壊しますが、健康な血球 も破壊されてしまいます。 その後、患者さんの凍結幹細胞が解凍され て患者さんに戻されます。 そうすることで、 これらの細胞はHDTによっ て破壊された細胞と置き換わる新しい血球を生成することができま す。 ASCTは長く深い寛解を提供できます。 • アロジェニック (アログラフト)移植 – この種の移植では、 ヒト白血 球抗原(HLA)照合により、患者さん(レシピエント)と適合すると判断 された個人1人(ドナー)から採取された幹細胞または骨髄が使用さ れます。 ドナーの細胞は、骨髄破壊的HDT後に患者さんに注入され ます。 ドナーの免疫系細胞はレシピエントの骨髄腫細胞を異物とし て認識し、攻撃します。残念ながら、 ドナー細胞は、 レシピエントの体 内の他の組織も攻撃し、移植片対宿主病(GVHD)を引き起こし、合 併症を引き起こしたり、場合によっては死に至ることもあります。

• 強度軽減前処置(RIC)同種移植 – 同種移植の一種で、略して「ミニ アロ」 と呼ばれることもあります。 RIC移植は骨髄腫にとって新しい技 術であり、骨髄破壊を起こさないため、 「完全な」アロジェニック (ア ログラフト)移植よりも安全な技術です。RIC移植は通常、標準的な ASCT後180日以内に行われます。 • 骨髄移植 – 患者さんの循環末梢血からではなく、患者さんの骨髄か ら幹細胞を採取する自家移植の一種です。 現在、骨髄腫ではASCT手

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術が好まれているため、骨髄移植が用いられることはまれです。 ただ し、末梢血から幹細胞を採取できない場合は、骨髄移植が検討され ることがあります。

タン • タンデム移植 – 2回連続して行われる自家移植を指す用語です。 デム移植は通常、移植の間隔を3か月から6か月置いて計画します。 効果的な新規治療法の時代となり、米国ではタンデム移植があまり 一般的ではなくなりました。 • 同系移植 – アロジェニック移植の一種で、一卵性双生児の兄弟(ド ナー)の骨髄または幹細胞を、もう一方の一卵性双生児(レシピエン ト)に注入します。

• 適合非血縁ドナー(MUD)移植 – アロジェニック移植の一種で、幹細 胞は遺伝的に患者と一致しますが、家族の一員であるドナーからの ものではありません。骨髄腫では、 この種の移植をするとGVHDの発 生率が高いため、用いられることは非常にまれです。

• 臍帯血幹細胞移植 – アロジェニック移植の一種で、成人の移植に 十分な幹細胞を得るために新生児の複数の臍帯から幹細胞を採取 します。骨髄腫では、 この種の移植をするとGVHDの発生率が高いた め、用いられることは非常にまれです。

治療中に発生した有害事象(TEAE) :治療前にはなかったが治療中に出現 する事象、 または治療前の状態と比較して悪化する事象です。

腫瘍:過剰な細胞分裂によってできた組織の異常な塊です。骨髄腫では、 腫瘍は形質細胞腫と呼ばれます。

腫瘍崩壊症候群(TLS) :死にかけのがん細胞の分解産物によって引き起 こされる疾患で、腎臓に負担をかけ、腎不全を引き起こすことがあります。 TLSは、患者さんが治療に非常に早く深く反応した場合に起こります。TLS は通常、痛風の治療薬であるアロプリノールで治療します。 腫瘍マーカー:がんの尺度として機能する、血液またはその他の体液中の 物質です。 骨髄腫の腫瘍マーカーは、血液や尿中に見られる単クローン性 蛋白です。

腫瘍壊死因子(TNF) :全身性炎症および骨吸収に関与する細胞シグナル 伝達蛋白(サイトカイン)です。 TNFアルファ (TNF-α)は骨髄腫の患者さんで 上昇します。

がん抑制遺伝子:細胞が、がんへの一歩を進まないように保護する遺伝子 です。 この遺伝子が突然変異してその機能の喪失や低下を引き起こすと、 40

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通常、細胞が他の遺伝子変化と組み合わされて、がんに進行することがあ ります。 「がん抑制遺伝子」を参照してください。 ワクチン:死滅した微生物、弱毒性または強毒性の病原体の調製物で、特 定の疾患に対する免疫を産生したり、人工的に高めたりするために投与さ れます。

血管内皮細胞増殖因子(VEGF) :新しい血管の成長(血管新生)を促進す る増殖因子です。

静脈血栓塞栓症(VTE) :深部静脈血栓症(DVT)と肺塞栓症(PE)の両方 を有する状態をいいます。危険因子には、感染症、75歳を超える年齢、が ん、VTEの既往などがあります。 「深部静脈血栓症(DVT)」 および 「肺塞栓症 (PE)」を参照してください。 椎骨:脊柱の33個の骨質部分のうちのいずれかをいいます。 椎体:椎骨の丸い骨の部分です。

脊椎圧迫骨折(VCF) :骨が弱すぎて、転倒、 ひねり、衝突、咳、 くしゃみ、 また は骨格に作用する重力の力による圧力に耐えられないために、脊柱の椎 骨が骨折または潰れた場合、骨髄腫の患者さんに発生することがある合 併症です。

椎体形成術:脊椎圧迫骨折(VCF)後の痛みを軽減し、 脊椎を安定させるため に、 骨折または潰れた椎骨に液体セメントを注入する低侵襲外科手術です。

ウイルス:細胞に感染し、細胞の機能を変化させることができる小さな生 きた粒子です。 ウイルス感染に起因する病気と症状は、ウイルスの種類と 感染した細胞の種類によって異なります。 ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM) :形質細胞に影響を及ぼ すまれな種類の非ホジキンリンパ腫(NHL)です。IgM蛋白が過剰に産生さ れます。 WMは骨髄腫の一種ではありません。 白血球(WBC) :侵入した細菌、感染症、 アレルギー原因物質と戦う役割を 担うさまざまな白血球の総称です。 これらの細胞は骨髄でつくられ、その

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後、身体の他の部分に移行します。 特定の白血球には、好中球、好塩基球、 好酸球、 リンパ球、単球があります。 X線:人体を透過できる電磁放射線の一種です。低線量で使用されるX線 は、体内の構造や組織の画像を生成し、病気や損傷の兆候を明らかにする ことができます。骨髄腫では、骨髄腫、骨髄腫の骨破壊、溶骨性病変、また は骨折や骨の崩壊に起因する骨損失(骨粗しょう症)または骨の薄化(骨 減少症)を示すには、一連のX線を用いた完全な骨格調査が必要です。X 線検査では、大部分の患者さんで特徴的な骨髄腫の骨疾患が示されます が、活動性骨髄腫の患者さんの約25%でX線検査が陰性となります。

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米国食品医薬品局 ( F D A )が 承 認し た骨髄腫の治療 法について学ぶ

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