ビデオ映像による行動調査のためのリアルタイム予測に関する研究

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早稲田大学 理工学術院創造理工学研究科 建築学専攻分野 修士論文

ビデオ映像による行動調査のためのリアルタイム予測に関する研究 A Study of the Real-time Predictionfor the Human Behavioral Survey with a Video Image

富田 正裕 Masahiro TOMITA


0

はじめに

呼応する建築を目指して

0.1

目次

0.2


0

はじめに

| 0 . 1  呼 応 す る 建 築 を 目指して

建 築 物 と は 元 来 、 不 動 の も の と し て 扱 わ れ て き た。 そ れ は『 不 動 産 』 と い う 言 葉 に 象 徴 さ れ 、 固 定 さ れ た 資 産 と し て 評 価 さ れ て い る。 し か し、 私 の 持 つ 建 築 に 対 す る 感 覚 は 全 く 異 な る も の だ。 建 築 空 間 と い う も の は、 固 定 さ れ た 資 産 な ど の 単 純 な 評 価 手 法 で は 、 計 り 得 な い と 考 え て い る。 私 は 空 間 の 持 つ 価 値 と い う も の は 時 々 に 変 化 し 続 け る と 考 え 、 そ れは『場』の感覚・考え方に近い。

写 真 は 私 が 普 段 か ら 使 用 す る、 な ん の 変 哲 の な い 道 に 提 灯 が つ る さ れ た 時 の も の だ 。こ の 提 灯 と い う 環 境 の違いを用いることで、私は普段感じることのないこの「道」 と い う 空 間 に 対 し て 価 値 を 感 じ た。 こ れ は、 生 き ら れ た 経 験 か ら の 切 り 離 し の 結 果 得 ら れ た 心 的 空 間 で あ り、 現 実 的 空 間 と は 別 物 な の か も し れ な い。 し か し な が ら、 こ の 空 間 の 価 値 の 差 異 を 感じたことは明確な事実であり、確かな評価である。   日 本 は そ の 四 季 折 々 な 環 境 の 違 い か ら 従 来 よ り、 建 築 空 間 に お い て も 環 境 の 変 化 を 楽 し む 文 化 が あ る。 障 子 や 畳、 襖 と い っ た 建 築 部 材 が そ の 象 徴 と い え る だ ろ う。 し か し な が ら 空 間 の 近 代 化 に 伴 い、 そ れ は 均 一 化 さ れ て い く 傾 向 に あ る。 そ の よ う な 流 れ の 中 で 、 そ の 都 度 、 環 境 に 合 わ せ て 変 化 し、 価 値 が 左 右 す る 空 間 は あ る 種 の 魅力を感じる。

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0

はじめに

| 0 . 1  呼 応 す る 建 築 を 目指して

建 築 分 野 に お い て 空 間 を評価する際に、重要視される事柄として『コンテクスト』 がある。これは、社会的な歴史であったり、デザイン史における事柄、土地そのも の な ど 、 評 価 を 行 う 上 で そ れ 相 応 の 基 準 と い え る。 こ の コ ン テ ク ス ト の 中 で、 建 築 空 間 は 評 価 さ れ 続 け て き た。 そ し て、 建 築 の 分 野 に お け る 新 し い 試 み は 既 に 出 し 尽 く さ れ た と さ え 言 わ て い る。

写 真 は 銀 座 松 屋 に お け る、時間別の建物の変化を見たものである。この建築はファ サ ー ド 自 体 が デ ィ ス プ レ イ の よ う に 時 々 に そ の 表 層 を 変 え る 特 徴 を 持 つ。 こ れ は 先 ほ ど の 、環 境 に 合 わ せ て 変化する一つの事例といえ、外部や内部空間にあわせてファ サ ー ド の 表 現 が 可 能 で あ る。 こ の 建 築 の 外 部 に た く さ ん の 人 々 が 存 在 す る 金 曜 日 の 夜 の 広 告 効 果 と 、 閑 散 と した早朝における広告効果は明らかに異なるだろう。   こ の よ う に 外 部 や 内 部 の 状 況 を 感 知 し、 そ の 時 々 似 合 わ せ た 効 果 を 出 す 建 築 空 間 が 存 在 す る の で あ れ ば 、 そ れ は 新 し い 価 値 あ る 建 築 と い え る の で は な い だ ろ う か。 評 価 さ れ る コ ン テ ク ス ト 自 体 が 変 化 し 続 け る 建 築 空 間 の 研 究。 こ れ が、 私 が か ね て よ り 目 指 し て い た 研 究 テ ーマであり、渡辺仁史研究室において実現させる事柄だ。

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もくじ

第 1 部 本論

0 はじめに

2

0.1 呼応する建築を目指して

3

0.2 目次

5

1 研究背景

9

1.1 情報化社会

10

1.2 ユビキタス・アンビエント

13

1.3 センシング

16

1.4 シミュレーション

18

1.5 アンビエント空間の実現

21

2 研究概要

22

2.1 用語の定義

23

2.2 研究目的

25

2.3 研究の流れ

26

2.3 本研究の位置づけ

27

3 研究手法

28

3.1 リアルタイム利用予測システム

29

3.2 人物検出アルゴリズム

30

3.3 Release モデル

35

5


もくじ

4 実験調査

41

4.1 歩行実験

42

4.2 実測調査

52

5分析

57

5.1 人物検出アルゴリズムの分析

58

5.2 Release モデルの分析

75

5.3 分析まとめ

83

6ケーススタディ

84

6.1 実証検証

85

6.2 結果

89

7まとめ

92

7.1 考察

93

7.2 展望

94

8参考文献

97

6


もくじ

第 2 部 資料編

1 歩行実験のまとめ 1.1 実験計画表 & 実験詳細

2 プログラムコードのまとめ 3.1 人物検出アルゴリズム 3.2 Release モデル

3 ケーススタディのまとめ 3.1 アウトプットデータ

7


もくじ

第 3 部 付録編

1 リアルタイム予測システム 1.1 人物検出アルゴリズム & Release モデル

8


1

研究背景

情報化社会

1.1

アンビエント空間

1.2

センシング

1.3

シミュレーション

1.4

アンビエント空間の実現

1.5


1 研究背景

|1.研究背景 | 1.1 情報化社会 | 1 . 1 . 1   現 代 社 会 の 情 報化  『情報』とは本来、何らかの媒体を通じることで発信者と受信者間でやり取りされる実質 的な内容である。そしてその内容には一定の意味を持つものとされる。しかしながら今日、 世の中で使用されている『情報』という言葉はより広義な意味を持つ。その1つは本来的な 意味を持つ『information』である。information という名詞を構成する inform は「伝える」 という動詞だ。更にその form は「形づくる」ことを意味する。これらから物事を理解でき る形にする行為・事柄を指すものだ。2つ目は『intelligences』で、知識や知性の根源とな る事柄の総称である。これは収集されることではじめて情報として認識されるものだ。3つ 目は基礎的な事実や資料をさす言葉『data』と呼ばれるものだ。情報処理や考察によって付 加価値を与える前提で集められており、基本的に複数個の事象や数値の集合となっている。 そして、4 つ目は「情報化」という言葉になった時の『情報』である。情報化社会や情報イ ンフラ、情報通信などで表される「情報」である。これは、今日における IT そのものを指 す言葉であり、デジタルやコンピュータ処理、情報インフラまでもが含まれる。  このような『情報』の捉え方は 1990 年代半ば以降、インターネットや携帯電話の普及に 伴い、一般化していったが、その発祥は 1960 年代前半のマッハルプや梅棹忠夫らによって 提唱された 「 情報社会論 」 、そして、林雄二郎によって提唱された「情報化社会」などが挙 げられる。情報化社会はこれまでの農耕社会や産業社会といった社会を構成する要素の総称 として扱われる文 1)。これは、社会を構成する要因が「農業の時代」から「工業の時代」へ、 そして「情報・知識の時代」と移り変わったことを示す言葉と言える。

図 1. 1. 1) 全国ブロードバンド加入数推移

文 2)

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1 研究背景

| 1.1.2 情報の持つ価値  情報の持つ価値というものは、資本社会を構成する企業においてその価値を大きく見いだ している。それは資本社会における経営資産となる人・物・金につぐ、資産として 「 情報 」 の取引が成り立つことから伺える。また、ただ情報を経営資産の対象としてとらえるのでは なく、株式における企業評価としてその企業が持つ「情報」の価値から企業価値をはかる動 きが見られる。  Intellectual Capital は Leif Edvinsson と Michael S.Malone によって提唱された知的資本 への考え方である文 3)。その基本的な考え方はそれまで企業価値を計る上での資産である「流 動資産」、「固定資産」、「投資」そして「無形資産」の 4 つのうち、定義があいまいであるた めに評価されなかった「無形資産」に着目したものである。それまでのバランススコアカー ドといった企業価値評価法などは企業規模や社員数、株価などの見て取れる資本を基準とし てその価値を見出したものである。それに対し Intellectual Capital では目には見て取れない 従業員の能力や知識、顧客収集能力などを評価の対象として扱っている。  それは樹木にたとえられ幹や葉、枝といった我々から見ることのできる「樹木」というも のを成立させ、構成しているものは我々が見ることのできない根の部分である。これと同様 に、それまでの資本主義のもとで考えられている企業価値は人・物・金といった金融資本や 設備や不動産、ファシリティなどの有形資本である。これに対して、これまで評価されえな かった姿形はないが、確かな価値を持つ『情報』という無形資本を新たにとらえる試みであ る。つまり、目に見える葉や幹を企業規模や従業員数とし目には見えない根をみえる化する ことで正しい評価を行う。

Intellectual Capital

目に見える情報 ・これまで評価されてきたもの ・バランススコアカード ・有形資産

目に見えない情報 ・これまで評価されなかったもの ・Intellectual Capital ・無形資産

図 1. 1. 2) Intellectua l Ca pita l の概念

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1 研究背景

| 1.1.3 情報と個人

近年、情報技術の発達により、社会を取り巻く情報の流れというものは変化している。 それまでの都市や地域といった大きな範囲での情報のやり取りだけでなく、Twitter や Facebook といった SNS (Social Network Service) の登場で、個人レベルの小さな情報を 社会に向けいつでも発信できるようになった。このような SNS を用いた個人レベルの 情報公開が集うことが新たなビジネスモデルとして注目されている。Facebook のファ ンページ、食べログなどの口コミ効果、youtube をはじめとした動画サイトのコマーシャ ルなどそれにあたる。

図 1. 1. 3- 1) 主なる S NS サービス

文 4-7)

また、2011 年 1 月におこった【ジャスミン革命】では、チュニジア・ベンアリ独裁 政権に反発した市民が Twitter や Facebook を利用することで一致団結し、独裁政権を 崩壊させるまでに至った。この SNS がもたらした革命の波はソーシャル革命と呼ばれ、 国を越えてさらに【エジプト革命】へと発展した。その結果 2011 年 2 月、29 年間にわたっ て続いたムバーラク独裁政権が崩壊した。

図 1. 1. 3- 2) 2011 年 ソーシャル革命

文 8-9)

これらはそれまで、情報として価値を認められていた対象が企業をはじめとする大き な対象から、個人レベルで発信される『小さな情報』にも認められるようになった事例 と言える。今後、社会と個人との関係は相互に情報を発信し合うものとなり、その関係 はより密接に関わるものとなる。

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1 研究背景

| 1.2 ユビキタス・アンビエント | 1.2.1 ユビキタス社会・アンビエント社会  相互に情報を発信する社会と個人の関係を成り立たせるインフラづくりとして、国は戦略 としての「IT新改革戦略」および同政策パッケージの策定、ITを有効活用した地域活性 化を進めるための「ITによる地域活性化等緊急プログラム」などの取組みが進められてい る。また、それに伴い総務省ではユビキタスネットワーク社会の構築に向けた u-Japan 戦略 を定めている。ユビキタスネットワーク社会とは、それまでのインターネット社会の机の上 の情報端末を駆使することで、世界中の様々な情報を入手できる環境インフラから、通信デ バイスを使用することで、『いつでも』『だれでも』『どこからでも』情報を取得することが できる環境インフラを指すことである。u-Japan 戦略では、2010 年までに「世界を先導する ユビキタス社会」を実現することを目標としており、現在このユビキタス社会はほぼ実現し たと言える。

図 1. 2. 1) 総務省 u- Ja pa n 戦略

文 10)

ポストユビキタスとして注目される事柄としてアンビエント社会がある。これはユビキタ ス社会が『いつでも』『だれでも』『どこからでも』と個人が情報へアクセスする社会であっ たのに対して、アンビエント社会は『今だけ』『ココだけ』『あなただけ』というキーワード で個人の情報欲求に環境中のコンピュータ方からアクセスするものだ。情報インフラ環境が より個人の『小さな情報』へと対応することで大きな価値へと昇華させる、新しい社会の実 現を目指したものとなる。

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1 研究背景

| 1 . 2 . 2   建 築 に お け る アンビエント  建築分野における、アンビエントの着想は 1988 年、Smith Ralph Lee の Smart House: The Coming Revolution in Housing であろう。この著書にて紹介される Smart House の機能 を下記に抜粋する文 11)。これらの機能は、センシング機器を用いることで利用者の行動や好 みを把握した、アンビエントな空間と言える。

図 1. 2. 2) smart house

文 11)

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1 研究背景

| 1.2.3 リアルタイム  アンビエントな空間を考える上で、重要なファクターとして、その機能が如何にリアルタ イムで反応するかという点がある。それは、アンビエントのコンセプトである個人の情報欲 求に環境中のコンピュータが反応する際に、大きなタイムラグが発生することは、その時々 に変化する個人の情報欲求に対応できないことを意味する。  更に言えば、環境中のコンピュータが機能する上で、インターフェースに対して人間が意 識することなく、日々の日常生活を豊かにアレンジする ICT 環境インフラのことを正しいア ンビエント社会と呼ぶことができるだろう。

図 1. 2. 3- 1) ユビキタスとアンビエントの違い

上記の条件を満たすために、リアルタイムで如何に利用者に意識されずに、彼らを感じ取 るかが大きなポイントとなる。建築分野においてはもちろん、それ以外の分野においてもはっ きりと見えていない人間の行動を把握することはとても重要である。そのため、世の中には センサーと呼ばれる数多くのセンシング機器が存在する。センサーとは現象を電気信号など に置き換えることで断片的に取得することで、人間やその他の機器が扱いやすい情報へ置き 換える装置である。素早く扱いやすいデータが即時に取得される代わりに、置き換えられた 電気信号から起こる事象を正確に読み取ることは難しく、目的に即したセンサーを扱うこと が望まれる。  しかしながら、現在の情報技術の発達に伴い、市場でのコンピュータ性能は著しく向上し た。これは、それまで処理に膨大な時間をかけていた、映像や画像といった単一の情報だけ でない複合された情報によるセンシングを家庭でも気軽に行うことを可能とした。

図 1. 2. 3- 2) PC カメラを使った画像処理

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1 研究背景

| 1.3 センシング  個人レベルの情報をとらえる手段として、センシング機器を用いて、実際に空間内を移動 する人物の検出・追跡について数多くの研究がなされている。  そこでは、大きく画像処理を行うことで人物の検出を行う手法と、センサーと呼ばれる特 殊なセンシング機器を用いることで特定の情報を抽出する手法に分類できる。

【画像処理によるセンシング】  画像処理によるセンシング手法としては、画像上の RGB 値を駆使することで、人間の肌 色を検出し、顔領域を検出する手法文 12) がある。これは人間の顔認識を行うために人物の顔 の位置を特定させることが本来の目的であるが、これを応用することで人物の顔領域を空間 上で検出することができる。  また、画像をメッシュ上に分割することで隣接する画像中の矩形領域間の明度差を求め、 顔領域検出を行う Haarlike 特徴を用いた手法文 13) などがある。その他にも、楕円形頭部モデ ルを作成することで画像内で輪郭であるエッジを検出して人物の頭部を検出する手法文 14) も 存在する。  しかし、これらは人物の領域判定の際に高い解像度での映像、もしくは画像が必要となる。 また人物の顔が画面上に映し出されていない場合、あらかじめ定めておいた RGB 値が季節 による人物の服装の変化によって大きく外れる場合においても、正しく処理を実行すること ができない。そして 1 番の課題は人と人が重なりあうオクルージョン ( 重なり ) が発生した 場合、安定した検出は行うことができない点だ。これらに対して、Analysis by Synthesis を 利用することでオクルージョンの考慮を試みる手法文 15) も多数存在する。しかし、これらの 手法は処理に要する時間が膨大でありリアルタイムでの画像処理には適していないといえ る。

以上のことから、映像を用いた画像処理センシングにおける課題点は以下の 4 点になる。  (1)解像度が劣る映像に対して、その値に依存しない画像処理手法を如何に実現するか。  (2)人間の顔や足などの部分的な形状から検出を行う際、その部位を捉えらなくなったと    き如何に対処するか。  (3)人と人が重なりあうオクルージョンが発生した際、どのように対応するか。  (4)処理に要する時間とのせめぎ合いといえる。

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1 研究背景

【特殊機器によるセンシング】  これら映像処理に対して、センサーと呼ばれる特殊機器を用いることで特定の情報を取り だし、人の動きを把握するセンサリングの手法を紹介する。

・ステレオカメラ文 16)  角度の異なる 2 つの映像を同時に取得することのできる特殊カメラ用いることで 2 つの  映像の差異から対象までの奥行きを捉えることができる。そのため、人物同士の重なりで  ある、オクルージョンに対しても有効の手法と言える。しかし、その使用用途が限られる  ために建築空間へ広く普及はなされていない。

・床圧力センサ文 17-18)  床圧力センサは床に圧力を感知するセンサーを用いることで、床を人物が移動したログを  残すを用いた手法である。この手法を用いることで実時間での人物の検出・追跡をするこ  とができる。この床センサによって得られた距離計を利用して人物との距離画像を作成   する手法などがそれにあたる。

・レーザースキャナ文 19)  レーザスキャナは、内部の回転鏡により周辺範囲にレーザ光を放射させ、その伝播時間に  より測定を行うものである。これを、床面から平行にスキャンすることでレーザ光を遮る  物体の感知をする。このレーザスキャナを複数代用いることで、空間における人物の追跡  および可視化を行っている。

・RFID 文 20)  RFID とは電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報をやりとりするもの  である。これを用いることで、非接触でのセンシングが可能となるとともにその形状は小  さくスリッパ型 RFID や指輪型 RFID など日常生活にとけ込ませることで、センシングを  可能としている。しかし、これらの RFID は全て受信機がなければログを残すことができ  ない。そのため、この RFID が広く世の中に普及した状況が必要となる。

・GPS 文 21)  全地球測位システムと呼ばれ、地球を周回する 3 つ人工衛星との距離を算出することで、  3 次元測位を用いて地上での位置を測定する。この GPS を用いることで人がどのような場  所に集まるのかと行った研究がなされている。これらの研究は、そのセンシング手法の特  性から取得される空間の規模が地区や都市単位と大きいことが特徴である。

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1 研究背景

以上のことから、センサ機器を用いたにおける課題点は以下の 2 点になる。  (1)センサの特性を深く把握した上で、使用用途に即したセンサを選択する必要がある。    それは同時に汎用的にデータを取得するにことには向かないこと意味する。  (2)どのセンサにおいても、その使用に専用の機器や環境が必要となる。そしてその多く    が高額である。そのため、用途を絞った部分的な情報収集となる。

| 1 . 2 . 4   シ ミ ュ レ ー シ ョン  センサー機器はその時々の情報を取得する手法であるが、それに対し、あらかじめ空間内 での出来事を予測しておくシミュレーションという考え方がある。建築分野におけるそれま でのシミュレーションの役割としては建築というその制作に膨大な労働量と時間を費やすも のに対し、いかに完成する建築物を失敗として終わらせないかということの確認のために行 われてきた。それは建築という分野の中でも様々な用途に分かれる。  【構造シミュレーション】  構造の分野では建築における根本部であるその建築物を安全に利用することができるかと いう点から地震や風といった荷重に対する建築躯体の耐久性のシミュレーションを行う。こ れは建築物が人間を外部の環境から守るという建築が持つ根本的な役割を果たすとともに、 建築基準法にのっとった耐久性があるかなどを確認する。  【デザインシミュレーション】  設計の分野では建築の持つ可能性をある単純な式から複雑系の概念を駆使することで設計 者も予想をしない形態を生み出し、そこに住まうことで新しい建築のあり方を意識するもの や、構造に絡み建築を構成する部位の形態に応じて荷重を分散させ、柱 1 本が建築の形態全 体に作用することでその外観に意味を持たせるようなものなどがある。これらは総称されア ルゴリズム建築と呼ばれる。  【環境シミュレーション】  また計画の分野においては避難シミュレーションなどがある。避難シミュレーションは建 築における非日常である災害時に対して利用者が建物内から安全に避難が行えるかという安 全面にかかわる根本的な建物の持ちうるべき安全性を確保するものである。この避難シミュ レーションの考え方を応用することで、空間内における人間の行動予測を行うシミュレー ションが存在する。

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1 研究背景

下記にシミュレーション手法の事例を挙げる。  ・ポテンシャルモデル文 22)  ポテンシャルモデルは自然界における磁気の現象からシミュレーションをするものであ   る。群衆シミュレーションにおいて先駆的なモデルとして出発されたこのシミューション  はシミュレーション内に磁極に正と負の 2 種類を用意し、歩行者であるエージェントにこ  のうちの 1 極をもたせることで異なる磁極同士は引き合い、同磁極のものは反発しあうと  いう自然界の磁力を応用したもの。それで、各歩行者と壁や柱や手摺に正の磁極を与える。  それに対して歩行者の目的地には負の磁極を設けることで歩行者が目的地へ磁力の力にし  たがい向かっていくモデルができる。移動経路上に他の歩行者、壁、柱や手摺に近づくと  反発の力で衝突を避けるというもの。運動方程式に基づくことで歩行者の速度や目的地へ  の距離から加速度などを決定する。

・流動モデル文 23)  流動モデルでは人間の動きが集まった群衆の流れを流体のように考え、物理的な連続方程  式や運動方程式に基づいて解析を行うモデルである。ここでは群衆の大まかな流れが流体  と同じ動きをするという仮定の上で成り立つものであり、大局的・定性的な把握を行うた  めに用いられるシミュレーションモデルと言える。

・個別要素法文 24)  解析の対象を多角形や円形・球の様を集合体とし、要素間の接触・活動を考慮して、各時  刻における要素の運動を追跡して解析する手法。この手法においてもあくまでは群衆の大  まかな流れが各物理式と大局的に見て同じ動きをするという仮定の上で成り立つものであ  り、ミクロなシミュレーションよりもマクロなシミュレーションに対して有用なシミュレ  ーションモデルと言える。

・マルチエージェントモデル文 25)  エージェントの本来の意味は代行人であり、環境の状態を近くし、行動を行うことによっ  て、環境に対して影響を与えることできる自律的主体である。マルチエージェントシステ  ムでは、そのエージェントと呼ばれる個々が自立した多数の主体が相互に依存しあうこと  で構成されるシステムである。比較的単純な動作定義を設定することで他のエージェント  を含む周囲の環境をエージェント自身が判断することで刻々と偏移をする、そしてその偏  移は他のエージェントへと影響し周辺の環境へとつながり、また 自らへと影響をする相  互作用によって表される。そのような相互作用を行うエージェントの定義をエージェント  毎に用意することでミクロな働きが合わさり、複雑でマクロな現象をシミュレートする。  マルチエージェントシミュレーションはミクロからマクロの現象を意識して個々の自立し  た定義で構成される。

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1 研究背景

・セルオートマトンモデル文 26)  オートマトンとはもともとの意味を自動人形として何らかの入力に対して状態が変化し  、何らかの出力を知るシステムのことである。このオートマトンを、将棋やチェス盤のよ  うなマスに配したものをセル、つまり生物の細胞に見立てたものに配置したものをいう。  セルオートマトンモデルではシミュレーションにおける空間をセルである格子状に分割、  表現するものでセル内の領域をシミュレーションにおける何らかの意味を持たせるもの。  周囲のセルの状態に応じて自らの領域内の状態を変化させるという単純なルールに従いセ  ル全体からシミュレーションの変動をみるものあり、多数のセルを用いることで複雑なパ  ターンを形成する。セルオートマトンモデルにおいて重要な点として各セルの取る状態の  偏移は時間的にも空間的のも局所的であり、隣り合う幾つかのセルからのみ直接影響を受  けるということである。これらの単純なルールに従うセルを複数並べ相互作用させること  で全体として興味深い現象が観測される。そのため、セルオートマトンでは空間における  現象を単純なルールとして定義することでそれをセルとして全体として評価することがで  きる。しかし、それは空間内における現象の要素をできる限り単純化させたものであり、  ミクロな視点からのシミュレーションではなくマクロな視点に特化したシミュレーション  手法と言える。

シミュレーションの事例よりわかる事柄として、その使用目的を「効率化」 「創造促進」 「予 測」の 3 分類できる。  (1)効率化は、構造解析などにみられた仮想上で建築物を実際に構築することで、現実     に建物を建てることなく様々な検証を行うなどである。  (2)創造促進は、デザインを行う上で思いもよらない物を取得するため使用される。  (3)そして、予測では実際に取得することが難しい情報を、取得され得るデータから予想    する際に、使われる。火災などの再現することができな状況で、どのように人間が避    難するかといった避難シミュレーションの事例がこれにあたる。そして、近年のコン    ピューター技術の向上とともに建築の持つ新たな可能性として建築のやそれを取り巻    く環境と連動したシミュレーションを用いる動きが見られた。 予測を目的とした際、シミュレーションにおける課題は下記の事柄と考えられる。  モデル実行のための初期値が必要となる。そしてこの初期値にシミュレーション結果が依 存する関係にある。あらかじめシミュレーションを行うことで空間上の出来事を予測したと しても、その初期値設定に誤差があった場合、予測結果と実際の結果ではその差に差異が生 まれる。そして、その差異は時間を重ねるごとにより大きなものとなり、結果として予測自 体の価値をなくしてしまう可能性がある。

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1 研究背景

| 1 . 3   ア ン ビ エ ン ト 空 間の実現

情報化社会におけるポストユビキタスとしてその実現が期待される、アンビエント社会の 到来に対して、建築空間が持つ課題は如何にリアルタイムにその人間の情報を読み取るかと いう点だ。これに対して、様々なセンシング手法を用いることで部分的な情報を即時に取得 することができる事例が存在した。また、取得が難しい空間全域や未来に関する人間の情報 は、今後ますますの発展を遂げるであろうシミュレーション技術を活用することで仮想上で の実験を可能としている。  しかしながら、建築空間が本当の意味でアンビエントなものとなるためには空間全体の人 間情報を即座に取得する必要がある。そして、これには個々のセンシング、シミュレーショ ンといった手法を用いることでは実現することは難しいと言える。そこで、建築空間のアン ビエント化に向けて、考えられる手法としてはリアルタイム性に優れるも、専用機器という 制約が存在するセンシング技術。取得することができな情報を予測できるが、その結果が初 期に依存するシミュレーション技術。これら2つの手法を統合したシステムを構築すること がアンビエント空間実現を行う上で今後必要ではないだろうか。

21


2

研究概要

用語の定義

2.1

研究目的

2.2

研究の流れ

2.3

本研究の位置づけ

2.4


2

研究概要

|2 研究概要 | 2.1 用語の定義

++ 背景 ++ * ユビキタス ユビキタス「神はあまねく存在する」という意味を有するラテン語。通信デバイスを使用す ることで、『いつでも』『だれでも』『どこからでも』情報を取得することができる環境イン フラを指す。そして、その環境インフラはそれが何であるかを人間に意識させず、恩恵を受 ける状態にある。これらが整った社会をユビキタス社会と呼ぶ。

* アンビエント 『今だけ』『ココだけ』『あなただけ』特定の人間の特定の潜在的な情報欲求に応えるもので ある。人間の状態を環境インフラ側が判断し、状態を変えることで人間側への何かしらの変 化を与えること。あたかも環境インフラ自体が意思を持ち、その時々の状態をコントロール する様。 *みえる化 物質がみえるということだけでなく、普段とらえることのできない情報が集まり表現なされ る様。隠れた意味や気づかなかった情報を誰もがわかるような図や数字、実物で示し、情報 自体に新しい価値、視点を持たせること。 *オクルージョン 映像上において、人間と人間とが見かけ上、重なり合うことを指す。行動モニタリングを目 的としたカメラ撮影において、このオクルージョンが発生することが、人物を検出すること を困難とする要因。 * RGB 値 画像を構成する色の表現法の一種で、赤 (Red)、緑 (Green)、青 (Blue) の三つの原色を混ぜ て幅広い色を再現する加法混色の一種である。

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2

研究概要

++ 研究概要 ++

*利用者 建築空間を利用する人間。空間の用途に限らず、空間上を自由に歩行、もしくは滞留するも のを指す。空間に存在することでその人物は、その空間の利用者となる。

++ 研究方法 ++ *フレーム画像 映像は静止画を連続させることで、さも動きがあるかのように錯覚させる技術である。その 映像を構成する 1 コマの静止画ことをフレーム画像と呼ぶ。 *人物形状 人間をカメラで撮影した際の画面上に映り込む、人の見かけの大きさとその形状を指す。 *アフィン変換 線形変換と平行移動をあわせたもので、映像上での見かけ上の人の分布を平面図上にプロッ トしなおす時に利用する演算手法。 *撮影範囲 空間内に設置された監視カメラが映し出す範囲。 *検証領域 空間全体において、モデルが取り込む部分的な範囲のことを指す。 *判定領域 監視カメラが映し出した範囲の中で、映し出された人間が撮影範囲外への移動を検出するた めの領域。撮影範囲における禄の部分にあたる。

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2

研究概要

| 2.1 研究目的  情報通信技術の発展に伴い、『いまだけ』『ココだけ』『あなただけ』という特定の人間の 特定な潜在意識を読み取るアンビエントのコンセプトを空間の実現が期待される。これにあ たり、更新頻度が数十年である建築空間において、今現在ある既存設備を用いることで如何 に空間上の人間行動を取得し、アンビエントな空間を表現するかが急務の課題となる。  本研究では、公共建築に設置される監視カメラの映像を用いて空間の部分的な映像を取得 することで、空間全体の利用実態を明らかにする。監視カメラのような、一般的に精度の劣 る映像から空間での人間行動を取得する手法の提案、また部分的に取得された人間行動から 空間全体の利用状況の予測モデルの提案と検証を行う。これらの処理をリアルタイムに行う ことで、監視カメラの映像を用いて空間全体を把握したアンビエント空間の実現に向けたシ ステムを提案することを目的とする。  下記にそのダイアグラムを記載する。

図 2. 1) 研究ダイアグラム

25


2

研究概要

| 2.3 研究の流れ 以下に、本研究の流れを示す。

システムの提案

センシング部分

シミュレーション部分

実験

調査

感度分析

精度分析

人物検出アルゴリズム

Rease モデル

リアルタイム利用予測システム

実証実験

図 2. 3) 研究フロー

26


2

研究概要

| 2.4 本研究の位置づけ

本研究が目指しているのは、空間内の監視カメラからリアルタイムに画像処理を行い、人 物の座標を検出し、空間全体の利用状態を把握するシステム開発である。そのために使用す るのはセンシング技術とシミュレーション技術とを組み合わせたものである。これらの「セ ンシング」および「シミュレーション」2 つの観点から本研究の意義を捉える。  【センシングの観点】  まず、センシングの観点から本研究を捉える。本研究で開発を行う、リアルタイム利用予 測システムのセンシング部分の役割としては、リアルタイムに映像上に映り込む人物をとら えることである。さらに 1 フレームごとにその人物が映り込んだ位置を、実空間へと反映さ せる。これらの処理は、監視カメラの映像を用いて行う。そのため、センシングに用いる情 報は単一カメラによって取得された、解像度の劣るデータと言える。研究背景における【セ ンシング】に記した通り、単一画像の解像度が劣るデータでの人物検出は現在の課題と言え る。また、単一画像における大きな課題であるオクルージョンを加味したものである必要が ある。  【シミュレーションの観点】  次に、シミュレーションの観点から本研究を見つめる。リアルタイム利用予測システムに おけるシミュレーション部分の役割は、空間の部分的な人物の位置座標から全体の行動を予 測することだ。そしてこれはリアルタイムに、更新されることで現在でしか取得することが できない情報を算出するものとなる。これは研究背景における【シミュレーション】に記し た、初期値に依存することなく、その時々のシミュレーション結果を算出するモデルとなる。

以上、「センシング」および「シミュレーション」の観点からの本研究をまとめる。本研 究はセンシングにおける長所である即時性とシミュレーションの予測を駆使するしたとな る。これは、センシングにおける専用機器に左右される限定的な情報取得、シミュレーショ ンにおける初期値に左右される断定的な未来予測、これらそれぞれの短所を補わせたシステ ムといえる。

27


3

研究手法

リアルタイム利用予測システム

3.1

人物検出アルゴリズム

3.2

Release モデル

3.3


3

研究手法

|3 研究方法 | 3 . 1   リ ア ル タ イ ム 利 用予測アルゴリズム

本システムは研究概要に記した通り、公共の建築空間に設置される監視カメラの映像を用 いることで、空間上における部分的な利用者分布を取得し、そこから空間全体の利用実態を 明らかにする。従って本システムの開発を行うことが、本研究の目的である。  システムの実現のため、システムはセンシング部分であるアルゴリズムのフェーズ 1 とシ ミュレーション部分であるモデルのフェーズ 2 の 2 つの段階を経ることで、システム開発 を行う。

| 3.1.1 システム概要  これらの条件を踏まえ、それぞれのフェーズにおけるインプットとアウトプットの関係を 示すシステムフローは図 3-1 となる。

フェーズ0

リアルタイム利用予測システム

実行

監視カメラ映像

input フェーズ 1

センシング部分

画像処理

output

部分的な利用者の座標

フェーズ 2

input シミュレーション部分

部分的から全体予測

output

空間全体に利用者分布

図 3- 1) システム概要

29


3

研究手法

| 3 . 2   人 物 検 出 ア ル ゴ リズム  システム開発におけるセンシング部分のアルゴリズムの構築を行う。アルゴリズムは監視 カメラによって得られた空間の部分的な情報から、人間行動を正確に、且つリアルタイムで とらえることを目的としている。インプットされる映像を 1 フレームごとに映像内に映り込 んだ位置を、実空間へと反映させる。  また、本アルゴリズムでは、監視カメラのような解像度の低い映像において、人物の挙動 や所作を考慮した上での検出・追跡が必要である。そして、これらの処理をリアルタイム上 に行うため、マシンの性能に頼ることのないアルゴリズムの構築を行う。

| 3 . 2 . 1   ア ル ゴ リ ズ ム 概要  これらの条件を踏まえ、奥行き方向へ行く程に画面においては上部へ移動する遠近法の原 理を応用することで、単純に画面上部より人物を探索するアルゴリズムを考案する。  アルゴリズムの手順はは如何に示す。その際の処理に関しては次ページ以降に記載する。

フェーズ 1

人物検出アルゴリズム

画像処理

フレーム画像取得

背景差分

画像の 2 値化

黒地走査

平面変換

図 3- 1. 1) 人物検出アルゴリズムが異様

30


3

研究手法

| 3 . 2 . 2   フレーム画像取得  映像は静止画を集合させることで構成される。静止画を高速に次々と提示すれば、人間の 脳は認識することができずに、錯覚にとなって動く映像となる。そこで、監視カメラより映 像を静止画の連続として読み込み、静止画を数フレーム間隔でに読み込むことで、全体の処 理を軽くし、リアルタイムにアルゴリズムを実行する。このとき取得される静止画のことを フレーム画像と呼び、1 秒間におけるフレーム画像を 10 枚になるようにする。  そして、取得された複数枚のフレーム画像を 5pixel のメッシュ上に分割し、1 メッシュに おける色分布、RGB 値を平均化することで、フレーム画像間において、値の変化が少ない RGB 値を取得する。取得された RGB 値は、映像における背景画像として扱う。  下記に連続する映像からフレーム画像を取得する方法と、複数のフレーム画像から背景画 像を作成する方法の概念図を記す。

連続する映像

複数のフレーム画像における RGB 値の平均化

フレーム画像の取得

背景画像作成

図 3- 2. 2) フレーム画像取得の方法

31


3

研究手法

| 3 . 2 . 3   背景差分   作成された背景画像のメッシュにおける RGB 値と取得される次フレーム画像との RGB 値を差分することで、映像内で RGB 値の変化が著しいメッシュを算出する。このときの変 化が著しいとされる基準をしきい値として、その設定は下記に記載する、一般的に用いられ る RGB 値を取得する式を利用する。 R = 3.5064X - 1.7400Y - 0.5441Z G = -1.0690X + 1.9777Y + 0.0352Z B = 0.0563X - 0.1970Y + 1.0511Z  これらの手順で、RGB 値が平均化された背景画像から著しい変化を見せたメッシュ、すな わち映像内で動きを伴うもののみを検出する。下記に取得画像と背景画像の RGB 値を用 い る こ と で 、 行 う 背 景 差 分の手法の概念図を示す。

取得フレーム画像

背景画像

背景差分された画像

図 3- 2. 3) 背景画像取得の方法

| 3 . 2 . 4  画像 2 値化  背景画像を白塗りにして、取得された動きを伴うメッシュを黒塗りに塗り分けることで、 2 値化処理を行う。この 2 値化されたフレーム画像は映像内で動きを伴うものを表したもの であり、おおむねが人間の体を表した部分であるが、光のちらつきや風などの人物の動きを 伴わない影などノイズが残っている場合もある。  下記に示した図が本アルゴリズムにおける画像 2 値化の概念である。なお、この概念図で はノイズと人物との区別を付け、2 値化のイメージを再現するためにメッシュによる分割を 行っていない。 ノイズ部分

取得フレーム画像

人間の体を示した部分

2 値化された画像 図 3- 2. 4) 画像 2 値化の方法

32


3

研究手法

| 3 . 2 . 5   黒値走査  画像上部ほど実空間では奥行きが深くなるという遠近法の特性を利用し、2 値化した映像 の左上より黒値を 5pixel 四方で探索する。黒値が見つかるとあらかじめ明らかにした人物 形状(台形)を当てはめ、その台形の中の黒値が 13%以上であればそこに人間がいると判 断し台形を白で塗りつぶす。引き続き黒値の探索を行い、前述の人物形状のあてはめを繰り 返し、映像の右下まで探索がたどり着いた時点で終了とする。下記にその概念を示す。

画像の左上より黒値走査

人物形状内の黒値が 13% 以上

図 3- 2. 5) 黒地走査の方法

このとき、黒値に対して当てはめる人物形状は人間の移動負荷を考慮し、その人物がもつ 荷物量によって分類する。それぞれ、手荷物なし、手さげカバン、肩掛けカバン、たすき掛 けカバン、キャリーバック、リュックに分類した人物形状を当てはめ、その中で台形内の 黒値が 13% 以上で且つ、最もその値が大きかった台形を用いて白塗りにする。これにより、 検出される人物の移動負荷を考慮した検出となる。

何も持たない

手提げカバン

肩掛けカバン

たすき掛けカバン

キャリーバック

リュック

33


3

研究手法

| 3 . 2 . 6   平面変換  黒値走査の検出の際に、人物形状(台形)を当てはめられた地点を平面上にアフィン変換 することで、人物の平面上での位置を表示させる。アフィン変換とは、図形を変形させない で平行移動や回転をさせることに加えて、正方形が一般的な平行四辺形になる変形ことを指 す。アフィン変換の公式は下記のものを使用し、変換に必要な係数を求める。

図 3- 2. 6- 1) アフィン変換式

これらの処理をフレーム画像ごとに行うことでリアルタイムに平面上に人物を検出・追跡 することが可能となる。

検出された位置

アフィン変換

実際の XY 座標

図 3- 2. 6- 2) 平面変換の方法

34


3

研究手法

| 3 . 3   Relea s e モ デ ル | 3.3.1 モデル概要  本モデルは空間の部分的な人間行動を利用することで、空間全体における人間行動を予測 することを目的とした行動モデルである。取得される部分的な人間行動はリアルタイムに更 新されることで、その都度異なる予測結果を算出される、リアルタイムなシミュレーション を目指す。  また、行動が多様化する建築空間において利用者が空間内を自由に動き回る広場的な空間 や、群集流動に傾向が見られない空間に対して有効なモデルとする。そのため、特殊な空間 条件ごとにあらかじめ特殊な行動モデルを割り当てることなく、利用者が移動するであろう 範囲である移動確率を求める。また、移動確率に指定された空間上で利用者が存在するであ ろう確率確率として、存在確率を算出する。算出された確率は部分的に取得された検証範囲 から時系列に従って放出されることでリアルタイムに更新され続けるシミュレーションとな る。  モデルは図 3-3.1 のような手順を用いることで、検出範囲外における利用者の存在の確率 を予測する。このとき、放出される利用者の移動負荷を分類することで、時系列における空 間の使われ方をみえる化する。 フェーズ 2

Releaseモデル

予測処理

同一人物の認識

判定領域設定

移動方向算出

移動確率の予測 θ

存在確率の予測

図 3- 3. 1) モデル概要

35


3

研究手法

| 3.3.2 同一人物の認識  本予測モデルでは、利用者の移動方向より撮影範囲外に出た利用者の移動確率・存在確率 を予測する。そのため、撮影範囲外へと移動する利用者の移動方向の算出のために、撮影範 囲において人物検出アルゴリズムをもちいることでフレーム毎に得られた旅客の位置座標が 書き出された CSV ファイル間での同一人物の識別を行なう。  同一人物の識別は基本としてフレーム間で座標同士の距離が最も短かった近似点を同一の 人物とする。その際に複数の座標が次のフレームにおける同一点を同一人物の座標として選 出するバッティングが発生し、同一人物の識別に失敗することがある。

全ての次フレームにおける 距離算出式

最小の距離のものを 同一人物と判定する

図 3- 3. 2) 同一人物の識別方法

以下に、バッティングによるエラーに対処するための処理を示す。  【同一の近似点を算出するケース】  同一人物を検出する処理を繰り返す時、次のフレームにおける同一人物の候補として選出 された座標が、その他の点からも同一人物の座標として算出される現象が起こる。これは、 検出された人数が前フレームと次フレーム間で異なることが大きな原因と考えられる。その ため、複数の点が単一の近似点を選出した場合、候補の中で最も近似点との距離が近い点を 同一点として扱う。候補からはじかれた点は、再び近似点を算出させることを繰り返す。  【近似点との距離が大幅に開くケース】  同一人物の識別の結果、近似点として算出された点との距離が大幅に開く現象が起こる。 これは、近い物から順番に近似点を取得していく方式上、同一人物として選出されずに残っ た点が、距離が離れた点を近似点とするためだ。そのため、近似点との距離にしきい値をも うけることで距離が大幅に開くケースに対応する。フレーム間隔は 0.1 秒とごく短いため、 しきい値は 3m としている。

36


3

研究手法

| 3.3.2 判定領域  同一人物の認識によって人物の追跡を行う際に、撮影範囲外へと移動する利用者の移動方 向の算出のために撮影範囲内と撮影範囲外とを隔てる判定領域をもうける。判定領域では撮 影範囲内から撮影範囲外に出た利用者と撮影範囲外から撮影範囲内に進入する利用者の区別 を行なう。下記に示す、赤い部分がのように判定領域となる。これは撮影範囲の縁に設定し、 その幅は人の一歩を確実に捕らえるために 1000 mmとした。

out

in t

1000 ㎜

in

out

t-1 撮影範囲 判定領域

out 図 3- 3. 2) 判定領域の説明

| 3.3.3 移動方向の算出  判定領域内で、撮影範囲外へと移動した利用者がその後どの方向へ向かうかを明らかにす るために移動方向を算出する。人物検出アルゴリズムにおいて、1 秒あたりのフレーム静止 画を 10 枚と設定した。そのため、本モデルにおける処理は 0.1 秒という短い範囲で処理を行っ ている。移動方向の算出では利用者が範囲外へと向かう大まかな方向をえるために、範囲外 へと向かう 1 秒前の座標から、範囲外へ向かう際に検出された座標までを結ぶベクトルを移 動方向として設定する。よって算出は、下記のように判定領域内に入った利用者の 10 フレー ム前の位置座標を利用している。

out

out

t t-1 t-10 検出範囲 判定領域 移動方向

out 図 3- 3. 3) 移動方向の算出

37


3

研究手法

| 3.3.4 移動確率の予測

撮影班以外へと移動した利用者に対して、歩行の際の蛇行や障害物回避などを考慮し、後 にその旅客が移動する可能性がある地点(移動範囲)を算出する。  ・移動範囲  人間の歩行時における蛇行や障害物回避などの可能性から、旅客が検出範囲外へと進むベ  クトルを中心とした θ=5 ∼ 30°間での扇型を、移動する範囲とした。

旅客が検出範囲外へと進むベクトルを 移動確率

θ

中心としたθ=5-30°の扇型を移動す る確率がある範囲とした。

図 3- 3. 4) 移動確率

| 3.3.5 移動確率の予測  算出された地点において旅客の移動速度を考慮して、旅客が存在する確率を明らかにする。  ・存在確率  旅客の移動速度は、人間の平均的な歩行速度から秒速 v =1500mm/s とする。旅客が検   出範囲外へ移動した際、その後は時間の経過に従って、移動範囲内を歩行すると想定する。  特定の時間における扇形と 1 秒前に描かれた扇形と差分部分が、旅客の存在確率を表す。  そして、その確率は面積に反比例するものとし、下記の式に従う。

Pt:確率 v:歩行速度 t:時間 θ:角度 図 3- 3. 5- 1) 存在確率の式

38


3

研究手法

リ ア ル タ イ ム で 刻 々 と 算 出 さ れ る 旅 客 の 存 在 確 率 を、 検 証 範 囲 外 へ 放 出 し、 足 し 合 わ せ る こ と で 、 空 間 全 体 の 人 口 密 度 の 定 常 状 態 を 予 測 す る こ と が 出 来 る。 下 記 は 放 出 さ れ て い く 存 在 確 率 の概念図を示している。

移動確率

θ

存在の確率

t

図 3- 3. 5- 2) Rels eas e モデルの方法

39


3

研究手法

| 3.4 検証分析方法 | 3.4.1 分析フロー    ここまで人物検出アルゴリズムおよび、Release モデルの研究手法と題して、その内容を 記した。これらの手法に対して本論文で行う分析の流れを示す。分析として必要なことはセ ンシング手法である人物検出アルゴリズムに関しては、如何にオクルージョンに対して正確 に人物をリアルタイムで検出するか、検出された人物を座標として正確にプロットできるか が分析対象となる。また、あらかじめ決定する人物形状を特定する。  Release モデルにおける分析は、そのモデルが如何に確からしさを持つか、そして精度を 上げるためにはどのようなパラメータ設定をすれば良いのか必要となる。そのため、多角的 な分析方法を行う。

人物検出アルゴリズム

分析 1

歩行実験

Rease モデル

実測調査

人物形状の分析

全体予測 分析 1 相関評価 分析 2-3

画像処理

分析 2 誤差の偏差

人数の感度分析

分析 3

分析 4-5

単位誤差率

人数の位置分析

リアルタイム利用予測システム 図 3- 4. 1) 分析の方法

40


4

実験調査

歩行実験

4.1

実測調査

4.2


4

実験調査

| 4.1 歩行実験 | 4.1.1 実験目的   カ メ ラ 設 置 角 度 お よ び 高 さ、 画 角 な ど が 異 な る 状 況 に お い て 画 像 処 理 に お け る 最 適 な 人 物 形 状 の 決 定 を 目 的 と す る。3D の 映 像 技 術 で は 考 慮 す る こ と が 難 し い 人 間 の 細 か な 動 作 、 ま た そ れ に 伴 う 影 の 動 き と い っ た 環 境 要 因 を 配 慮 す る た め、 模 擬 的 な空間で歩行を再現し、カメラの角度・高さ・画角 を変えることで、それぞれの映 像 に お け る 最 適 な 人 物 形 状 を 模 索 す る。 リ ア ル タ イ ム 人 物 検 出 シ ス テ ム を 実 現 す る た め に 、 そ の ア ル ゴ リ ズ ム上で必要となる人物形状を検討するため実験を行う。     ま た 、 同 時 に 交 錯 な ど に よ り 複 数 の 人 間 が 映 像 に 重 な っ て 写 っ て い る 場 合、 単 数 の 人 間 を 識 別 す る た め に 明 ら か に し た 人 物 形 状 を あ て は め、 ど れ だ け の 識 別 精 度 が あ る か を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と す る。 擬 似 的 に 群 集 行 動 を 再 現 す る こ と で 人 と 人 と の 重 な り を 考 慮 し た 画像処理を行うための映像を取得し、精度調査を行う。

42


4

実験調査

| 4.1.2 実験概要   本 実 験 は 監 視 カ メ ラ の よ う に 天 井 付 近 に 設 置 し た カ メ ラ か ら 歩 行 者 を 撮 影 し、 こ の 映 像 を も と に 人 数 や 流 動 解 析 な ど を 行 う こ と を 目 的 と し て い る。 実 際 に 歩 行 実 験 を 行 う こ と な く コ ン ピ ュ ー タ ー の 3D 上 で 疑 似 的 に 再 現 す る こ と も 考 え ら れ る が、 以 下 の 点 を 考 慮 し て 実 際 の歩行者による実験を行った。 1 、 人 間 の 歩 行 の 再 現 性 について   C G 上 で カ メ ラ や 人 物 モ デ ル を 配 置 し て 映 像 を 取 得 す る こ と は 可 能 で あ り、 実 際 に 実 験 を 行 う に あ た り 正 確 な 数 値 の 検 討 や、 被 験 者 に 対 す る 制 限 な ど が 存 在 せ ず 自 動 化 な ど を 行 え ば 非 常 に 多 く の バ リ エ ー シ ョ ン に つ い て 考 え る こ と が で き る。 し か し こ れ は あ く ま で 疑 似 的 な も の で あ り、 実 際 の 人 間 の 正 確 な 歩 行 を 再 現 で き て い る と は 言 い 難 い 状 況 が あ る 。 と り わ け 今 回 は 被 験 者 に か ば ん や リ ュ ッ ク、 カ ー ト な ど の 持 ち 物 を も た せ た 上 で の 考 察 も 行 う こ と を 目 的 と し て お り、 当 然 の こ と な が ら こ れ ら は 単 純 歩 行 以 上 に 3 D 上での再現は困難となっている。 2 、 床 の 反 射 や 映 像 の 画 質について  本研究では床に反射する歩行者自身の像や影などについても考慮する必要があ る 。 こ れ ら を 3D 上 で 再 現 す る に は 使 用 す る テ ク ス チ ャ や マ テ リ ア ル の 設 定 を、 実 際 に 駅 空 間 で 用 い ら れ て い る タ イ ル と 擦 り 合 わ せ る 必 要 が あ り、 あ ま り 現 実 的 で は ない。今回は駅環境を模した駅シミュレーターによる実験が可能であったのでこち ら を 採 用 し た 。 ま た 、 監 視 カ メ ラ な ど に 用 い ら れ て い る レ ン ズ に つ い て は、 歪 曲 収 差 や 色 収 差 ( 図 3. 2. 1. 2) や 周辺減光などのいわゆるノイズについて明らかになって い な い の で 、 こ れ に つ い ても3D 上では考慮できない。

元画像

元画像 歪曲収差のイメージ

色収差のイメージ

図 4- 1. 2) 収差について

43


4

実験調査

| 4.1.3 実験概要  実験概要である実 験 場 所 、日時および被験者情報は下記の通りである。      ■ 実 験 場 所 、 日 時 お よ び被験者     実 験 会 場 : 鉄 道 総 合 技術研究所 駅シミュレーター     実 験 日 時 : 2010 年 9 月 5 日 日曜日 10: 00-12: 00     被 験 者 数 : 40 人 ( 男性 23 人 女性 17 人)

図 4- 1. 3- 1) 実験施設概要

16830 4787.3

8850

4250

3250

1250

7450 7215

15030 17530

15030

14500

1850

事務室

ホーム階段B

ホーム階段A

1250

3000

9400

コンコース

3700

1200 8685

3600

7450 22515

16830

8850

図 4- 1. 3- 2) 駅シミュレータ平面

44


4

実験調査

■ 実 験 内 容 、 環 境 設 定 および被験者設定     実 験 内 容:歩 行 す る 被 験者を撮影。単独の歩行者を撮影する【人物形状の抽出実験】        と群衆の歩行を撮影する【群衆行動の再現実験】を行う。どちらもフ レ ー             ム レ ー ト 30 fp s にて撮影を行う。     環 境 設 定   : カ メ ラ 機種 × カメラ高さ(2500 ㎜、3250 ㎜、4000 ㎜)         Pa na s o ni c B B -HCM110 画角 53 度         Pa na s o ni c AVC566Z N / F 画角 92 度         S o ny H DR-S R8( 広角レンズ ) 画角 99 度     被 験 者 設 定 : 何 も 持 たない状態         手 持 ち カバン         肩 掛 け カバン         た す き 掛けカバン         キ ャ リ ーバック      リュック

事務室

4000㎜

Panasonic BB-HCM531

コンコース

×3

Panasonic AVC566zn/f

4000㎜

2500㎜ー4000㎜

4000㎜

×3

ホーム階段B

ホーム階段A

Sony HDR-SR8

モニタ位置

×6

図 4- 1. 3- 3) 実験施設カメラ位置

何も持たない

手提げカバン

肩掛けカバン

たすき掛けカバン

キャリーバック

リュック

図 4- 1. 3- 4) 被験者の人間 type

45


4

実験調査

そ れ ぞ れ の 実 験 風 景 写 真を下記に示す。

図 4- 1. 3- 5) 実験当日の全体 風景

図 4- 1. 3- 5) 人物形状の抽出実験 風景

図 4- 1. 3- 5) 群衆の再現実験 風景

図 4- 1. 3- 5) 自由歩行の再現実験 風景

46


4

実験調査

| 4.1.4 実験概要 | 4 . 1 . 4 . 1   実 験 1 【人物形状の抽出実験】  最適な人物形状の算出を行うために被験者単独での歩行映像を取得する。カメラの軸に対 して平行に歩行する映像を取得する。実際の監視カメラの映像を使用すると想定し、カメラ 設置高さや被験者からカメラまでの距離、カメラ画角などが異なる状況下において実験を行 う。多 く の 先 行 研 究 は 特 定 の 環 境( 交 錯 状 態 で の 駅 ホ ー ム や 改 札 付 近 等 ) を 疑 似 的 に 再 現 し 、 そ の 状 況 で 歩 行 者 の 行 動 特 性 を 分 析 す る た め の 実 験 を 行 っ て い る。 し か し 本 研 究 で は 特 定 の 環 境 下 で の 歩 行 者 の 行 動 特 性 を 観 察 す る こ と を 目 的 と せ ず、 駅 構 内 に 設 置 さ れ て い る カ メ ラ か ら 歩 行 者 を 検 知 す る こ と で、 群 衆 の 状 態 を 把 握 す る た め の 手 段 を 確 立 す る こ と を 目 的 と し た も の で あ る。 そ の た め、 一 般 的 な 歩 行 状 況 を 再 現 す る 実 験 と な っ て いる。   被 験 者 に は 下 記 に 示 す、 実 験 エ リ ア 区 分 の ← → 上 を、 向 か っ て 右 側 か ら 左 側 へ 、 そ し て 反 転 し て 出 発 地 点 ま で の 往 復 を 歩 行 し て も ら う。 カ メ ラ か ら の 距 離 は 図 4- 1. 4. 1 に あ る 通 り 、 5, 6, 7, 8, 9, 10m の 6 通りを設定した。   そ の 際 、 被 験 者 に は 「 何 持 た な い 歩 行 」「 手 持 ち カ バ ン を 持 っ て 歩 行 」「 肩 掛 け カ バ ン を 肩 に か け て 歩 行 」「 た す き 掛 け カ バ ン を か け て 歩 行 」「 キ ャ リ ー バ ッ ク を 引 い て歩行」 「 リ ュ ッ ク を 背 中 にしょって歩行」の計 6 種類の歩行タイプを設定した。様々 な体系の人の映像を得るために何も持たない歩行は 5 人、それ以外の歩行タイプは 1 人 に 歩 行 し て も ら い 、 合 計 10 名 で 実 験 を 行 う。 ま た 実 験 映 像 は 人 物 検 出 ア ル ゴ リ ズ ム に よ っ て 、 背 景 差 分 、 2 値 化 を 行 う こ と を 想 定 す る た め 、 RG B 値 の 安 定 を は か り 、被 験 者 に 白 ゼ ッ ケ ンと、黒ゼッケン着用した 2 グループ計 20 名で実験を行う。

実験施設概略図

エリア区分 5.9m

0.8m

1m

1m

1m

0.8m

4000 ㎜

1m

3250 ㎜

1m

15030 3250 ㎜ 2500-4000 ㎜

モニタ位置

4000 ㎜

3250 ㎜

5m

4000 ㎜

3250 ㎜

7450

16830

N

0 1000

5000

図 4- 1. 4. 1) 実験エリアの区分

47


4

実験調査

| 4 . 1 . 4 . 2   実 験 2 【 群衆行動の再現実験】  群衆状態での解析を行っていくことを目的として以下の複数人での映像も取得す る 。 交 錯 な ど に よ り 複 数 の 人 間 が 映 像 に 重 な っ て 写 っ て い る 場 合、 単 数 の 人 間 を 識 別 す る た め に 明 ら か に し た 人 物 形 状 を あ て は め、 ど れ だ け の 識 別 精 度 が あ る か を 明 ら か に す る た め 以 下 の 実 験を行う。   実 験 は 、駅 な ど の 公 共 空間の群集で起こる対向流、層流、一方向流、交差流、交錯流、 自 由 歩 行 の 6 種 類 の 群 集 流を再現し撮影した。   歩 行 す る 被 験 者 を 撮 影 す る カ メ ラ は、 人物形状の抽出実験と同じく 3 種 類 の「 カ メ ラ 高 さ 」( 2500 ㎜ 、3250 ㎜、4000 ㎜)で、カメラの画角は 99 度、フレームレー ト は 30fps で あ る 。  ・対向流再現   下 記 に 示 し た 図 4 - 1 . 4 . 2-1 に お け る 左 の 概 略 が 対 向 流 で あ る 。 左 右 端 に 被 験 者 を   配 置 し 、 実 験 開 始 の 合 図 と と も に 中 心 部 へ 向 か わ せ、 対 面 す る 場 所 へ 着 い た ら 今   度 は 逆 の 方 向 へ と 進 行 させた。左右に配置された被験者は、 中心部でぶつかるこ   と は な く 、 行 き と 帰 り の 2 回 す れ 違 う こ と に な る。 配 置 人 員 は、 左 に 2 人 と 右 に   3 人 、 左 右 に 5 人 ず つ 、10 人 ず つ、15 人 ず つ の 4 パ タ ー ン の 対 向 流 で、 そ れ ぞ   れ 行 き と 帰 り の 2 回 す れ違うため、合計 8 個の実験映像を得ることとなる。

・層流再現   下 記 に 示 し た 図 4- 1. 4. 2-1 に お け る 右 の 概 略 が 層 流 で あ る。 左 右 そ れ ぞ れ 3 地 点   に 人 員 を 配 置 し 、 実 験 開 始 と と も に 図 の 横 方 向 に 進 行 さ せ、 対 面 に た ど り 着 い た   ら も と い た 場 所 へ と 帰 ら せ た。 そ れ ぞ れ 左 右 の 配 置 を 互 い 違 い に す る こ と で、 両   者 が ぶ つ か る こ と の な い 層 流 を 再 現 す る。 左 右 の 三 地 点 そ れ ぞ れ 1 人、3 人、5   人 の 3 パ タ ー ン の 層 流 で、 行 き と 帰 り の 2 回  の す れ 違 い の 合 計 6 個 の 実 験 映 像  を得た。

図 4- 1. 4. 2- 1) 対向流および層流

48


4

実験調査

・一方向流再現   下 記 に 示 し た 図 4 - 1 . 4 . 2-2 に お け る 左 の 概 略 が 一 方 向 流 で あ る 。 右 端 に 配 置 し た   群 集 を 左 方 向 へ 歩 行 さ せ、 反 対 側 へ 着 い た ら 方 向 転 換 さ せ、 も と い た 場 所 ま で 歩   行 さ せ た。 群 集 の 人 数 は 5 人、10 人、20 人、30 人 の 4 パ タ ー ン と し た。 発 進   位 置 は 、 5 人 の 場 合 は カ メ ラ か ら の 距 離 が 中 程 度 、  1 0 人 の 場 合 は 、 カ メ ラ か ら   遠 い 、 中 程 度 、 近 い 位 置 の 3 通 り、20 人 の 場 合 は、 カ メ ラ か ら 遠 い、 近 い 位 置   の 2 通 り 、 3 0 人 の 場 合 は 発 進 位 置 全 体 に 配 置 し、 行 き 帰 り を 別 と し て 取 り 扱 い   計 14 個 の 実 験 映 像 を 得 た。

・交差流再現   下 記 に 示 し た 図 4- 1. 4. 2-2 における右の概略が交差流である。左右端に、5 人、   10 人 、 15 人 、 20 人 ず つ の 4 パ タ ー ン の 交 差 流 で、 実 験 開 始 の 合 図 で 中 心 部 へ   向 か わ せ 対 面 す る 場 所 へ 着 い た ら、 も と い た 場 所 ま で 戻 ら せ た。 対 向 流 で は ぶ つ   か ら な い よ う に 出 発 地 点 を ず ら し た が、 こ の 交 差 流 で は 正 面 か ら ぶ つ か る よ う に  した。4 パターンの群集の人数に、それぞれ行き帰りの映像が得られるため合計   8 種 類 の 実 験 映 像 を 得 た。

図 4- 1. 4. 2- 2) 対向流および層流

49


4

実験調査

・交錯流再現   下 記 に 示 し た 図 4- 1. 4. 2-3 に お け る 左 の 概 略 が 交 錯 流 で あ る。4 地 点 そ れ ぞ れ に、   2 人 、 4 人 、 6 人 、 8 人 、10 人 を 配 置 し た 5 パ タ ー ン で 実 験 を 行 っ た。 各 地 点 よ   り 実 験 開 始 の 合 図 と と もに発進し、中央部分で交錯するようにした。交錯の際は、   自 然 に 対 峙 す る 人 間 を 避 け る よ う に 指 示 を し た。 終 点 ま で た ど り 着 い た ら そ の ま   ま も と い た 場 所 へ 戻 ら せ、5 パターン ×2 の合計 10 個の実験映像を得た。

・自由歩行再現   下 記 に 示 し た 図 4 - 1 . 4 . 2-3 に お け る 右 の 概 略 が 自 由 歩 行 で あ る。4 地 点 そ れ ぞ れ   に 図 に 示 す 人 数 を 配 置 し、 矢 印 の 方 向 へ 進 行 さ せ、 到 着 地 点 に 着 い た ら も と い た   場 所 へ と 戻 ら せ る こ と で自由歩行を実現した。配置要因は資格に囲まれた人数、    A , B , C , D に そ れ ぞ れ 10 名を設置する。その後、矢印の方向へ進行させるが、矢印   そ れ ぞ れ の 先 に 描 か れ 丸 で 囲 ま れ た 人 数 が、 そ の 矢 印 を た ど る。 到 着 し た ら、 元   の 場 所 に 戻 る た め、A , B,C,D そ れ ぞ れ の 人 数 は 再 び 10 名 と な る。 こ れ を 3 回 繰   り 返 す こ と で 合 計 6 個 の実験映像を得た。

A 10

⑤⑤④

②④

B 10

④⑤⑤

④②

C 10 D 10 図 4- 1. 4. 2- 3) 対向流および層流

50


4

実験調査

| 4.1.3 実験結果 | 4 . 1 . 3 . 1   実 験 結 果 1 【人物形状の抽出実験】   実 験 に よ っ て カ メ ラ か ら の 距 離 5000 ㎜ ,6000 ㎜ ,7000 ㎜ ,8000 ㎜ ,9000 ㎜ , 1 0 0 0 0 ㎜ の 6 通 り 、 歩 行 t yp e は「 何 も 持 た な い 歩 行 」 が 5 人 分、 そ れ 以 外 の タ イ プ は 1 人 分 の 1 0 通 り で 計 60 通 り の 歩 行 種 類 に 対 し て、 カ メ ラ 高 さ 2500 ㎜ , 3250 ㎜ , 4000 ㎜ の 3 種 類、 異 な る 3 種 類 の カ メ ラ 種 類 の 計 9 種 類 の 映 像 種 類、 こ れ を 2 グ ル ー プ 行 っ た ため、60×9×2 の合計 1080 の映像を得た。

| 4 . 1 . 3 . 2   実 験 結 果 2 【群衆行動の再現実験】   群 衆 行 動 の 再 現 に よ っ て再現される群衆行動の実験映像を取得した。  ・対向流実験     群 衆 の 総 数 が 、5 人 、10 人、20 人、30 人の実験映像が、それぞれ 2 回ずつ合     計 8 個 の 8 個 の 実 験 映 像を得ることに成功した。  ・層流実験     群 衆 の 総 数 が 、 そ れ ぞ れ 1 人、3 人、5 人 の 3 パ タ ー ン の 層 流 で、 行 き と 帰 り     の 2 回 の す れ 違 い の 合計 6 個の実験映像を得たことに成功した。  ・一方向流実験     群 集 の 総 数 が 5 人 、 10 人、20 人、30 人 の 4 パ タ ー ン ご と の 合 計 14 個 の 実 験     映 像 を 得 る こ と に 成 功した。  ・交差流実験     群 衆 の 総 数 が 10 人 、20 人、30 人、40 人 ず つ の 4 パ タ ー ン の 合 計 8 種 類 の 実     験 映 像 を 得 る こ と に 成功した。  ・交錯流実験     群 衆 の 総 数 が 8 人 、 16 人、24 人、32 人、40 人 を 配 置 し た 5 パ タ ー ン で 合 計     10 個 の 実 験 映 像 を 得 ることに成功した。  ・自由歩行実験     合 計 6 個 の 自 由 な 空 間歩行の映像を得ることに成功した。

51


4

実験調査

| 4.2 実測調査 | 4.2.1 調査目的  利用者の移動確率及び、その存在確率を予測する Release モデルを作成を作成するにあた り、空間全体の俯瞰映像の取得を行う。本実測調査では、Releasse モデルを実際に使用する ための監視カメラによる空間の部分的な映像の取得。また、予測された利用者の存在確率が どの程度の確からしさを持つかの検証。以上の 2 点を目的としている。  そのため、空間内における監視カメラがとらえる部分的な映像と、空間全体を俯瞰するこ とで、利用者の位置情報を取得する。

52


4

実験調査

| 4.2.4 調査概要 実験概要である実 験 場 所 、 日時および被験者情報は下記の通りである。  ■調査場所、日時、方法、機材について   調査場所:東京急行電鉄田園都市線 たまプラーザ駅の駅ビル三階通路より。   調査日時:8 月 13 日(土曜日) 13:00 ∼ 15:00   調査方法:HDD カメラ3台によりコンコース全域を同時刻に撮影。駅構内広域を見渡        せる場所から定点カメラ 3 台により、構内における利用状況の撮影を行った。   必要機材:S o ny H D R- SR8( 広角レンズ ) 画角 99 度 ×3 台        カメラ固定用クリップ ■調査方法について   駅構内広域を見渡せる見渡せる駅ビル 3 階の通路より、定点カメラ 3 台をカメラ固定  用クリップ装着し、構内における利用状況の撮影を行った。  カメラ撮影はコンコースが広域であったため、3 台のカメラから撮影を行った。

図 4- 2. 4- 1) 調査地概要

図 4- 2. 4- 2) たまプラーザ平面図

53


4

実験調査

調査場所の選定について述べる。予測モデル検証のためには駅構内全体を撮影した映像取 得が必要である。しかし、コンコースが広域であることから、一台のビデオカメラでコンコー ス全体を捉えることが不可能であったため、本実施調査においては 3 台のカメラを同期させ、 コンコース全体を撮影した。撮影場所については駅ビル三階の肉眼からコンコース全体を見 渡せる通路より、手すりにカメラ固定用クリップ装着してカメラを設置した。それぞれの撮 影範囲の区分、カメラの位置については下記のように設定した。

カメラ1の撮影範囲

カメラ2の撮影範囲

カメラ3の撮影範囲

カメラ1の撮影範囲

カメラ2の撮影範囲

カメラ3の撮影範囲

カメラ1の撮影範囲

カメラ2の撮影範囲

カメラ3の撮影範囲

図 4- 2. 4- 3) カメラ設置位置と映像

| 4.2.5 座標データ取得  本実測調査では、空間内の正確な利用実態を把握するため、取得された実測値映像を 1 秒 間に 10 枚の静止画として取得し、画面上に映り込む利用者の頭部の位置をカウントする。 加えて利用者の頭部の位置から、実空間における XY 座標を算出するために、アフィン変換 を行う。アフィン変換を行うことで、3 つのカメラによって取得されたそれぞれの撮影範囲 内の利用状況を合成させる。  アフィン変換は実施調査の段階で基準点をもうけ、その基準点の座標をもとに映像のひず みを算出し、実空間における XY 座標に変換を行なった。下記、アフィン変換に使用した画 像データを下記に示す。

図 4- 2. 5) アフィン変換使用 画像

54


4

実験調査

| 4.2.6 検出領域  本実施調査を行うにあたり、実際の監視カメラの映像を入手することは叶わなかった。そ のため、監視カメラの映像を入手できたと仮定して、空間内を広域撮影した映像において実 際に監視カメラを撮影しているであろう部分を切り取り、その部分から構内全体の旅客の位 置を予測を行った。監視カメラを撮影しているであろう部分を検出領域として扱う。  一般的にに監視カメラの用途は 3 つに分類される。その1つは犯罪抑止や犯罪発生後の証 拠の収集を行うことだ。2 つ目は事故防止のために、空間内出の出来事を常に監視できる状 態にする。3 つ目に施設管理のために、その建物内の出入りを捉えることだ。  これらの事柄から、本実測調査にである駅コンコース空間における監視カメラ設置場所は 人物の出入りが激しく、防犯の意味を込めた改札口。同じく人物の出入り口であり、事故防 止を考慮する階段付近。これらの、2 つの箇所が駅空間における、監視カメラが撮影する範 囲とする。  本実測調査においては、それぞれ改札口が 2 箇所、同じく階段付近も 2 箇所、合計 4 箇 所の検出領域を設定する。設定された検出領域を下記に示す。また、Release モデルにおい て使用される、判定領域も共に記す。

図 4- 2. 6) 検出範囲の設定

55


4

実験調査

| 4.2.7 調査結果   下 記 に 実 測 調 査 に よ っ て得られた、コンコース内の利用者の位置座標を示す。緑 で 描 か れ た × 印 が 3 点 の カメラで取得された利用者の画面上に映る頭部の位置か ら 、 ア フ ィ ン 変 換 を す る ことで空間上の X Y 座標へとプロットされたものである。   今 回 は 取 得 さ れ た 映 像 のうち 13: 00 ∼ 13: 04 までの 4 分間のプロットデータを 1 分 間 隔 で 記 録 し た 画 像 を示す。時間を増すごとに全体へ両者の分布が増していく こ と が わ か る 。 こ れ は 、 コンコース内における利用者の位置座標を取得できたこと を意味する。

図 4 -2 .7 -1 ) 検出された利用者の座標変換後のプロット累積 左が 13: 01 右が 13: 02

図 4 -2 .7 -2 ) 検出された利用者の座標変換後のプロット累積 左が 13: 03 右が 13: 04

56


5 分析

人物検出アルゴリズムの分析

5.1

Release モデルの分析

5.2

分析まとめ

5.3


5

|5 分析 | 5 . 1   人 物 検 出 ア ル ゴ リズムの分析 | 5 . 1 . 1   分 析 1 【 人 物 形 状の分析】  人物検出アルゴリズムを作成する上で、必要となる人物形状の特定を行う。 特定は実験 1【人物形状の抽出実験】にて得られた映像のうち、白ゼッケングループ、カメ ラ Sony H D R- SR 8 に よ っ て 撮 影 さ れ た 映 像 を 用 い る 。 各 映 像 か ら 、 図 の 右 か ら 左 に 歩 行 す る 途 中、 ほ ぼ 中 央 部 分 を 通 過 す る 3 歩 分 の 映 像 を 分 析 対 象 と し た 。 こ れ は 、 足の開き、閉じを 3 回含むことでばらつきのない平均的な歩行状態を取得できるこ と 、 ま た 座 標 化 に 膨 大 な 時間を有するという理由である。

図 5- 1. 1) 被験者設定ごとの人物形状

| 5 . 1 . 1 , 1   分 析 方 法 【 人物形状の分析】  各映像の 3 歩分から、10 枚程度の画像が取得され、それぞれの画像と PC のモニ タ 上 に 表 示 し 、 歩 行 者 を 取 り 囲 む 台 形 を 目 視 で 判 断 し、 各 頂 点 を マ ウ ス ク リ ッ ク す る こ と で 座 業 を 数 値 化 し た。  なお各頂点をクリックする場合、例えば横方向上部の 2 交点をむすぶちょくせん が 、 必 ず し も 映 像 の 直 行 座 標 系 と は 合 致 し な い 場 合 が あ る。 そ の 場 合 は、 映 像 の 直 交座標系の数値を距離とした。また、高さ方向は左右 2 つの数値が算出されるが、 こ の 両 方 の 値 を 分 析 対 象 と し た。 下 記 示 す も の は 実 際 に 目 視 に て 実 行 さ れ た 人 物 形 状である。

図 5- 1. 1. 1) 実際の人物形状

58

分析


5

| 5 . 1 . 1 . 2   分 析 結 果【 人 物形状の分析】  人物検出に必要となるカメラの環境別にみた人物の見かけ上の大きさを取得し た 。 取 得 さ れ た デ ー タ は 、 手 業 に よ る 膨 大 な 分 析 の た め、 カ メ ラ 高 さ を 3250 ㎜ お よ び 4000 ㎜ の 2 種 類 に 限って分析にかける。各高さにおける、 「 何も持たない」 「手 さ げ カ バ ン 」「 肩 掛 け カ バ ン 」「 た す き 掛 け カ バ ン 」「 キ ャ リ ー バ ッ ク 」「 リ ュ ッ ク 」 の 人 物 形 状 の カ メ ラ か ら の距離別に上底 t x、下底 t y、高さ t h をグラフとして示す。

th_4000㎜

[pixel] 40

th_3250㎜

[pixel] 40

30

30

20

20

10

10

なし 手持ち 肩掛け たすき

0

1

2

3

4

5

th_4000㎜

[pixel] 200

6 [m]

0

キャリー リュック 1

150

100

100

50

50

1

2

3

4

5

th_4000㎜

[pixel] 200

6 [m]

0

3

4

5

6 [m]

th_3250㎜

[pixel] 200

150

0

2

なし 手持ち 肩掛け たすき キャリー リュック 1

2

150

100

100

50

50

4

5

6 [m]

th_3250㎜

[pixel] 200

150

3

なし 手持ち 肩掛け たすき

0

1

2

3

4

5

6 [m]

0

キャリー リュック 1

2

3

4

5

6 [m]

図 5- 1. 1. 2- 1) 人物形状算出グラフ

59

分析


5

こ の グ ラ フ か ら 読 み 取 れ る事柄を下記に示す   ・ 人 物 の 頭 部 を 取 り 囲 む 寸 法 で あ る た め、 所 持 す る も の の 有 る 無 し に 関 わ ら ず ど     の 「 歩 行 タ イ プ 」 で あ っ て も 本 来 は 各「 カ メ ラ か ら の 距 離 」 に お い て ほ ぼ 同 じ     値 で あ る は ず で あ る 7 m 以外ではほぼ同じ値であることがわかる。また、「カメ     ラ か ら の 距 離 」 と 線 形の関係がることが見て取れる。   ・ 歩 行 時 の 足 下 の 寸 法 を 意 味 し て い る た め、 所 持 物 が 異 な る「 歩 行 タ イ プ 」 ご と     に 値 に 違 い が あ り 、 また「カメラからの距離と線形」の関係がある。   ・ 所 持 す る 物 に 影 響 を 受 け ず、 い ず れ の 歩 行 タ イ プ で も 各 カ メ ラ か ら の 距 離 に い     て は 同 じ 値 で 、 カ メ ラからの距離と線形の関係も見て取れる。   こ れ に よ り 、カ メ ラ か らの「距離」「高さ」に応じた線形式を算出することで、人 物 形 状 を 求 め る 取 得 す る こ と が で き た。 今 回 は 高 さ 3250 ㎜ に お い て 取 得 さ れ た 人 物 形 状 の 式 を 用 い て 人 物 検出アルゴリズムを使用する。使用される式は下記に示す。

図 5- 1. 1. 2- 2) 人物形状算出式

60

分析


5

| 5 . 1 . 2   分 析 2 【 単 数 の 感度分析】   人 物 検 出 を 行 う 上 で 、 最 も 基 本 的 な 単 数 の 人 間 検 出 の 感 度 分 析 を 行 う。 分 析 は 対 象 は 実 験 1【 人 物 形 状 の 抽 出 実 験 】 を 対 象 と す る 。 こ こ で は 、 人 物 形 状 を 特 定 す る た め に 用 い た 映 像 に、 再 び 人 物 検 出 ア ル ゴ リ ズ ム を 使 用 す る 形 と な る。 そ の た め、 人 物 形 状 の 確 か ら し さ で は な く、 ア ル ゴ リ ズ ム そ の も の の 手 順 が 正 し い か を 確 認 す る 分 析 と な る 。 そ の た め 、対象は【人物形状の抽出実験】のなかではずれ値の少なく、 被 験 者 の シ ェ イ プ に 狂 い のないものを使用する。

| 5 . 1 . 2 . 1   分 析 方 法 【 単数の感度分析】   分 析 は 実験 1【人物形状の抽出実験】において、歩行やその振る舞いが平均的であっ

た被験者の映像に対して行い、カメラからの距離が 5,6,7,8,9,10 の 6 通り、カメラ高さが 4000 ㎜ ,3250 ㎜ ,2500 ㎜の 3 パターン、合計 18 の単独歩行を対象とする。歩行映像に 対して、人物検出アルゴリズムを使用しする。歩行は単独であるため、映像上に映る人物 は常に 1 名となるが、これに対するセンシング結果を分析する。   分 析 は 1 フ レ ー ム あ た りにアルゴリズムが正しい人数を検出した割合を求める。 つ ま り 、 そ の 割 合 が 100 に 近ければより精度が高いことを示す。

| 5 . 1 . 2 . 2   分 析 結 果 【 単数の感度分析】   分析結果を如何に示す。どの数値もきわめて 100 に近い結果となった。これにより、単 人数の人物検出において高い精度を持つことがわかる。そして、本アルゴリズムの正当性を 確かめることができた。

図 5- 1. 2. 2) 単数の感度分析 精度

61

分析


5

| 5 . 1 . 3  分 析 3 【 複 数 の 感度分析】  重なって写っていない人間は、これまで報告した分析 2【単数の感度識別】により十分な 精度で識別できる。そこで、実験 2【群衆行動の再現実験】によって取得された映像のうち、 複数の人間が重なって写っている部分を抜き出し分析対象とした。

| 5 . 1 . 3 . 1  分 析 方 法 【 複 数の感度分析】  自由歩行以外では、対象とする実験映像のフレームごとに実際に写っている人数と、人物 識別システムによって識別された人数との差を誤差とし、その誤差を実際に写っている人数 で除すことで誤差率とした。自由歩行における誤差の度合いの算定方法については、後述す る。なお、実験映像のフレームごとに写っている人数は、画像から目視により計測した。  自由歩行に関してはフレームごとに、実験で得られた映像に写る群集の人数をカウントし、 人物検出アルゴリズムによって識別された人数を取得し両者の相関を算出した。対象として、 実験 2【群衆行動の再現実験】にて行われた、自由歩行の再現映像を用いて分析を行う。

62

分析


5

| 5 . 1 . 3 . 2  分 析 結 果 【 複 数の感度分析】  以下に示す自由歩行以外のグラフは、縦軸に誤差率、横軸に分析の対象パターン、また 3 種類のカメラに写る映像を、それぞれ高さ 2500 ㎜(L)、3250 ㎜(M)、4000 ㎜(H)と して示している。  ・一方向流再現   図 5-1.3.2-1 の左側に示したグラフが一方向流のグラフである。実験において得られた   14 個の実験映像を、5 人、10 人、20 人、30 人の 4 パターンごとに誤差率を平均した。   5 人が群集となって進行する場合の誤差率は、どのカメラでも 40% 程度で 5 人を 3    人として認識し、10 人以上になると誤差率は 60% 程度となる。群集の数が増えると、   それに比例して誤差率は上がると当初予想していたが、30 人という多人数の群集でも   12 人程度と認識できているのは、多人数になると人間同士の間隔が多少広がり、人間   を認識する機会が増えるためであると考えられる。  ・交差流再現   図 5-1.3.2-1 の右側に示したグラフが交差流のグラフである。交差流実験で得られた 8   個の実験映像を、5 人、10 人、15 人、20 人ずつの交差させた人数の 4 パターンごと   に誤差率を平均し示している。   5 人ずつが交差する図の「10」での誤差率は 40% 程度と低く、「20」でも 50%、それ   以上では 60% となる。10 人ずつが交差する場合でも、半分程度の人数として把握でき   ているのは、交差流の場合は正面からのぶつかりであるため、お互いが避けることにな   り、人間同士の距離が多少広がるためであると考えられる。

図 5 -1 .3 .2 - 1) 複数の感度分析 精度 左が一方向流 右が交差流

63

分析


5

・交錯流再現   図 5-1.3.2-2 の左側に示したグラフが交錯流のグラフである。交錯流実験により得られ   た 10 個の実験映像を、交錯させた 2 人、4 人、6 人、8 人、10 人の 5 パターンごとに   誤差率を平均した。4 箇所から発進する図の「16」では誤差率は 50% 程度で、ある程   度の識別ができている。 4 方向という複数の発進地点からの交錯であるため、人同士   が安全を見越しそれぞれの距離を取ったため、多少低い誤差率となったと考えられる。  ・対向流再現   図 5-1.3.2-2 の左側に示したグラフが、対向流のグラフである。実験で得られた 8 個の   実験映像を、対向させた 2 人対 3 人、5 人ずつ、10 人ずつ、15 人ずつの 4 パターンご   とに誤差率を平均し示している。カメラ L では多少誤差率は低いが、おおむねどの人数   パターンにおいても誤差率は 50 %程度で、群集の人数の半分の人数を認識できてい   る。対向流の場合は、群集の人数が多 くなった場合でも、すれ違う際に人間間の距離   が多少離れるため識別しやすかったと考える。  ・層流再現   図 5-1.3.2-2 が層流のグラフである。層流実験で得られた 6 個の実験映像を、左右に配   置した人数である 1 人、3 人、5 人の 3 パターンごとに誤差率を平均した。人数のパター   ン間での誤差率の差は少なく、安定して人数を識別している。層流は奥行き方向に群集   の形状が伸びるためだと考えられる。

図 5-1 .3 .2 - 2) 複数の感度分析 精度 左が交錯流 右が対向流

図 5- 1. 3. 2- 3) 複数の感度分析 精度 層流

64

分析


5

以下に示す自由歩行再現のグラフは、自由歩行時における画面内に映り込む人数と検出さ れた人数を比較したものになってる。実人数に対して 3 種類のカメラに写る映像を、それぞ れ高さ 2500 ㎜(L)、3250 ㎜(M)、4000 ㎜(H)として示している。  ・自由歩行再現   下記に示す 5-1.3.2-4 より 5-1.3.2-4 のグラフは、自由歩行実験において得られた 6 個   の実験映像と各カメラ高さで検出されたものとを比較しているが、その数値の推移は検   出結果と実人数とで関係を持っていることが伺える。グラフの変動は全体的に、検出人   数の数が実人数を上回ることが多いが、比較的安定して人物を検出することができる。

人数

45 40 35 30

実人数

25

H : 4000 M : 3250 L : 2500

20 15 10 5 0

30

70

110

150

190

230

270

310

350

390

430

470

510

フレーム数

図 5-1 .3 .2 -4 ) 群衆再現実験における実人数と検出人数 S ample1 人数

45 40 35 30

実人数

25

H : 4000 M : 3250 L : 2500

20 15 10 5 0

30

70

110

150

190

230

270

310

350

390

430

470

510

フレーム数

図 5-1 .3 .2 -5 ) 群衆再現実験における実人数と検出人数 S ample2

65

分析


5

人数

45 40 35 30

実人数

25

H : 4000 M : 3250 L : 2500

20 15 10 5 0

30

70

110

150

190

230

270

310

350

390

430

470

510

フレーム数

図 5-1 .3 .2 -6 ) 群衆再現実験における実人数と検出人数 S ample3 人数

45 40 35 30

実人数

25

H : 4000 M : 3250 L : 2500

20 15 10 5 0

30

70

110

150

190

230

270

310

350

390

430

470

510

フレーム数

図 5-1 .3 .2 -7 ) 群衆再現実験における実人数と検出人数 S ample4 人数

45 40 35 30

実人数

25

H : 4000 M : 3250 L : 2500

20 15 10 5 0

30

70

110

150

190

230

270

310

350

390

430

470

510

図 5-1 .3 .2 -8 ) 群衆再現実験における実人数と検出人数 S ample5

66

分析


5

人数

45 40 35 30

実人数

25

H : 4000 M : 3250 L : 2500

20 15 10 5 0

30

70

110

150

190

230

270

310

350

390

430

470

510

フレーム数

図 5 -1 .3 .2 -9 ) 群衆再現実験における実人数と検出人数 S ample6

次に先ほどに示した自由歩行における、検出人数と実人数との相関を、カメラの位置ごと に示す。実験映像によって相関は異なるが、R2 = 0.6 程度の相関を示している。今回実験で行っ た自由歩行は、実際の駅での群集流動を再現するもので、このように現実に近い群集におい てもある程度の人数を識別できることを示している。

0.9 0.8 0.7

sample1

0.6

sample2

0.5

sample3

0.4

sample4 sample5

0.3

sample6

0.2 0.1 0

0.61

0.44

0.57

H : 4000

L : 2500

M : 3250

average

図 5-1 .3 .2 -1 0) 群衆再現実験における実人数と検出人数 平均重相関系数

67

分析


5

| 5 . 1 . 4   分 析 4 【 単 数 の 位置分析】  分析 2【単数の感度分析】および、分析 3【複数の感度分析】によって、人物検出アルゴ リズムの映像上に映る人物にオクルージョンが発生した場合もある程度の精度を示すことが わかった。そこで、次に検出された人物をアフィン変換することで、XY 座標を取得する精 度を検証・分析する。分析は再び単数の検出から始める。この分析 4【単数の位置分析】では、 映像上に映る人物1人に対して、精度をもった XY 座標を取得できるかを明らかにする。

| 5 . 1 . 4 . 1   分 析 概 要 【 単数の位置分析】  分析の対象としては、分析 2【単数の感度分析】の時と同様に実 験 1【 人 物 形 状 の 抽 出 実 験 】 で 取 得 さ れ た 映 像 の う ち、 比較的ノイズやムラのない映像を用いる。以上の条件 を満たし、「何も持たない」状態の対象 1 名の映像を人物検出アルゴリズムにて検出する。 検出されて得られた XY 座標が、実際の XY 座標とどの程度のさを持つか比較する。  なお比較対象である実際の XY 座標については、被験者が等速歩行をしていることから歩 行開始時の座標より、歩行速度と時間をかけることで距離を算出、座標へと変換している。 実験は歩行空間を往復するため、実際の座標は歩行開始時と終了時において同座標である。  この実座標と検出された XY 座標とを 1 秒間に 10 フレーム間隔で、距離の差を算出する。 算出された距離の誤差を頻度分布として示す。誤差が少ない範囲での頻度が高ければ、正し い XY 座標を取得していることとなる。  また、対象となる歩行映像は分析 2【単数の感度分析】と同様に、カ メ ラ か ら の 距 離 が 5, 6, 7, 8, 9, 10 の 6 通 り 、 カ メ ラ 高 さ が 4000 ㎜ , 3250 ㎜ , 2500 ㎜ の 3 パ タ ー ン、 合 計 18 の 単 独 歩 行 を 対 象 とする。

68

分析


5

| 5 . 1 . 4 . 2   分 析 結 果 【 単数の位置分析】   下 記 に 【 単 数 の 位 置 分 析】における、検出座標の誤差を頻度分布として示す。頻 度 分 の レ ン ジ は 0- 500, 500-1000, 1000-1500, 1500-2000, 2000-2500, 25003000, 3000 ㎜ 以 上 と 7 つ のレンジとなる。図を見るとわかるように比較的に低い レ ン ジ で 収 ま っ て い る こ とわかる。

22

5000mm

H : 4005

56 29

M : 3255

55

12

L : 2505

6000mm 7000mm

50

L : 2503

48

8000mm

7

8 1 33

10

27 42

14

34

M : 3250

7

28

L : 2500

7

26

0%

10%

20%

5 2

11 6 3 4

27 11

7

8 8

55

30%

40%

50%

6 16

60%

11 6

47

34

0-500 500-1000 1000-1500 1500-2000 2000-2500 2500-3000 3000-

4 4 2 4

16

45

H : 4000

4 15

41

17

L : 2501

5

32 45

13

M : 3251

2

42

28

H : 4001

7

48

57

M : 3252

4 3 32

32

62

H : 4002

6 3 5

57

M : 3253

4

5 2

61

L : 2502

8

43

24

H : 4003

5

33

50

L : 2504

9000mm

14

62

M : 3254

5 4 4 6

57

H : 4004

10000mm

9

70%

80%

6 90%

5

10 100%

図 5- 1. 4. 2- 1) 単数位置の誤差頻度

69

分析


5

次 に 各 レ ン ジ の 範 囲 は そのままにして、カメラの高さによって、頻度を平均した 値 を 示 す 。 こ こ か ら わ か る事柄は、カメラの高さが低くなるにつれて検出される位 置 座 標 の 精 度 は 低 下 す る ことである。これは、アフィン変換を行う上で、より高い 地 点 か ら 見 か け 上 の 位 置 を取得して変換した方が、精度が高くなるためだと考えら れる。

43

H : 4000

41

34

M : 3250

41

21

L : 2500 0%

10 18

39 20%

19

40%

60%

2 4

10 80%

100%

0-500 500-1000 1000-1500 1500-2000 2000-2500 2500-3000 3000-

図 5 - 1. 4. 2- 2) カメラ高さ別の単数位置の誤差頻度

こ れ ら の 結 果 か ら 単 数 の人物を検出した際に、カメラからの距離とカメラ高さ別 に 平 均 誤 差 を 可 視 化 し た グラフを下記に示す。グラフの円の部分は検出された X Y 座 標 の 誤 差 を 大 き さ で 示 したものとなっている。グラフの横軸が実際の寸法となっ て い る た め 、 円 の 重 な り が多い区間が最も誤差が大きいと言える。

単数平均誤差 [mm]

カメラ高さ

H 4000mm

868

475

476

476

1231

558

M 3250mm

742

544

533

577

1119

1158

L 2500mm

1051

899

604

843

1537

1445

カメラ距離 5000mm

6000mm

7000mm

8000mm

9000mm

10000mm

図 5- 1. 4. 2- 3) 単数位置の誤差のみえる化

70

分析


5

| 5 . 1 . 5  分 析 5 【 複 数 の 位置分析】  先の分析 4【単数の位置分析】によって、単数の人物を人物検出アルゴリズムをもちいて XY 座標に変換する際の分析を行った。次にこれが、複数人数でかつオクルージョン発生時 にいかなる精度を持つかの検証・分析に入る。

| 5 . 1 . 5 . 1   分 析 概 要 【 複数の位置分析】   こ の 分 析 で は 、 人 物 が 重なり合う状態で移動を行い、かつ実際の位置座標が把握 さ れ る 状 態 で な け れ ば 行 けない。そのため実験 2【群衆行動の再現実験】によって得ら れた一方向流の映像を使用する。これは、一方向流が常に人間が固まりとなった状態で歩行 するため、常にオクルージョンが発生した状態での映像が取得できる。また、一方向へと等 速歩行して実験空間を横断するため、群衆の歩行速度から固まりの大まかな一座標を取得で きるためだ。ここで取得される位置座標とはあくまで、人間の固まりの中心の座標であり、 個人個人の座標取得を行うことではない。そのため、取得される位置座標はフレームがごと に単数となる。これに対して、検出される位置座標は歩行者の数によって変動する者である。  取得された位置座標と検出された位置座標との差を比べることで複数人物のオクルージョ ンに対する座標誤差を算出する。

71

分析


5

| 5 . 1 . 5 . 2   分 析 結 果 【 複数の位置分析】  分析結果を次ぎに示す。【単数の位置分析】におけるレンジ間隔は 500 ㎜であったのに対 して、今回は群衆の固まりとの座標誤差をみるため、レンジ間隔を 1000 ミリと増加させた。 また、範囲を 0-1000,1000-2000,2000-3000,3000,4000,4000-5000,5000 ㎜以上と増やし

8000mm

9000mm

10000mm

ている。結果は低いレンジのものがほとんどという結果となった。

H : 4002

52

44

4

M : 3252

52

45

2

L : 2502

51

H : 4001

38

26

62

M : 3251

32

L : 2501

34

H : 4000

12

60

7

50

41

M : 3250

15 49

50

L : 2500

20%

8 43

40 0%

73

41 40%

0-1000 1000-2000 2000-3000 3000-4000 4000-5000 5000-

6 11 7

60%

80%

100%

図 5- 1. 5. 2- 1) 複数位置の誤差頻度

各 レ ン ジ の 範 囲 は そ の ま ま に し て、 カ メ ラ の 高 さ に よ っ て、 頻 度 を 平 均 し た 値 を 示 す 。 こ の と き 、【 単 数 の 位 置分析】にみられたカメラの高さによる優位さはみられ ない結果となった。これは、オクルージョンによってカメラ高さに関係なく均等に 誤 差 が 発 生 し た た め と 考 えられる。

40

H : 4000 M : 3250

45

L : 2500

42 0%

20%

51

8

49

5

43 40%

60%

11 80%

100%

0-1000 1000-2000 2000-3000 3000-4000 4000-5000 5000-

図 5- 1. 4. 2- 2) 高さ別の複数位置の誤差頻度

72

分析


5

更に、カメラからの距離とカメラ高さ別に平均誤差を可視化したグラフを下記に 示す。グラフの円の部分は検出された XY 座標の誤差を大きさで示したものとなっ て い る 。 平 均 さ れ た 誤 差 は こ の よ う に 可 視 化 す る と【単数の位置分析】に比べて大き なものとなっていることがわかる。

単数平均誤差 [mm]

カメラ高さ

H 4000mm

1035

1342

1258

M 3250mm

977

1214

1060

L 2500mm

1135

1256

1450

6000mm

7000mm

カメラ距離 5000mm

8000mm

9000mm

10000mm

図 5- 1. 4. 2- 3) 複数位置の誤差のみえる化

73

分析


5

| 5 . 1 . 6   人 物 検 出 ア ル ゴリズムのまとめ  以上の分析 1【人物形状の分析】、分析 2【単数の感度分析】、分析 3【複数の感度分析】、 分析 4【単数の位置分析】、分析 5【複数の位置分析】を行うことで、今回開発した人物検出 アルゴリズムを検証・分析を行った。下記にそれぞれの分析によって得られた事柄をまとめ る。   分析 1【人物形状の分析】から得られた事柄  ・人物検出を行う上で必要不可欠となる、人物の形状を取得するための分析であった。こ   れによって、リアルタイム上で PC 処理が少ないアルゴリズムの実現を迎えることがで   きたと言える。  ・目視による人物形状の判断という膨大な時間がかかる処理を実際に行うことで、CG 上   では再現することができない人物の細かな所作に対応した。また、今後プログラムを用   いて人物形状を増やす際、その確からしさをはかる指標となる。  ・人の移動負荷を考慮して、荷物料別に人物形状を取得したため、検出された人物の分類   が行うことができる。 分析 2【単数の感度分析】から得られた事柄  ・人物検出プログラムが単数の人間を高い精度で検出することを明らかにした。  ・また、人物形状を抽出した映像に対して検出を行うことでアルゴリズムの論理が正しい   ことを精度が証明した結果となった。 分析 3【複数の感度分析】から得られた事柄  ・画像処理による人物検出を行う上で、大きな課題であるオクルージョンにどの程度対応   したものかを明らかにした。結果、その都度都度に多少の誤差はあるが自由歩行を模し   た映像に対して相関を持つものであった。  ・複雑な処理を行うことなく、オクルージョンにある程度、対応した画像処理技術として   扱えることを明らかにした。 分析 4【単数の位置分析】から得られた事柄  ・人物を検出するのみでなく、その位置座標をどの程度の精度でアウトプットするかを明   らかにした。  ・高い頻度で座標の誤差を押さえられることがわかった。  ・カメラ高さによってその精度が変動することを明らかにし、今後カメラ設置おける基準   として扱うことができる。 分析 5【複数の位置分析】から得られた事柄  ・複数の人間の固まりを座標化する際の、精度を求めた。

74

分析


5

| 5 . 2   Relea s e モ デ ル の 分析 | 5.2.1 分析方法   実 測 調 査 に て 取 得 さ れ た、たまプラーザ駅コンコース内における利用者の座標と、 監 視 カ メ ラ が 撮 影 し た 部 分 的 な 情 報 か ら 放 出 さ せ た、 利 用 者 の 存 在 確 率 と が ど の 程 度 の 精 度 を 持 つ の か を 明 ら か に す る。 ま た、 そ の 精 度 を 挙 げ る た め に は、 モ デ ル を ど の よ う な パ ラ メ ー タ 設 定にすることが望ましいかを分析・検証する。  方法として、部分的に取得された利用者の位置座標から空間全体へと放出される 存 在 確 率 の 分 布 を 記 録 し 、全体の利用者分布と比較することで精度を求める。   分 析 す る に あ た り、Rel e a s e モ デ ル の パ ラ メ ー タ 設 定 を 定 義 す る 。 Rel e a s e モ デ ル 使 用 に お い て 考 え ら れ る、パラメータとしては下記の 4 点がある。   1. 撮 影 領 域 の 大 き さ 設 定   2. 移 動 確 率 を 導 く 角 度 設定   3. 撮 影 範 囲 以 外 へ の 移 動方向を求める前フレーム参照の間隔設定   4. 撮 影 範 囲 で の 出 入 り を判断する判定領域設定   今 回 は 予 測 結 果 に 大 き く 影 響 を あ た え る で あ ろ う、「1. 撮 影 領 域 の 大 き さ 設 定 」 と 「 2. 移 動 確 率 を 導 く 角 度 設 定 」 に 焦 点 を 定 め る。 そ の 理 由 と し て、「1. 撮 影 領 域 の 大 き さ 設 定 」 は 今 後 、 建 築 空 間 へ 監 視 カ メ ラ を 導 入 す る に あ た り、 そ の 映 像 か ら 行 動 調 査 を 行 う 上 で の 有 効な設置箇所、設置範囲を明らかにするためである。また、 「 2. 移 動 確 率 を 導 く 角 度 設 定 」 に お い て は、 本 モ デ ル に お け る、 存 在 確 率 予 測 の 重 要 な ポ イ ン ト と な る た め だ。   分 析 は 、 空 間 を 目 衆 生 に 分 割 す る こ と で モ デ ル に よ っ て 放 出 さ れ た 500 ㎜ 四 方 の 存 在 確 率 を 分 割 さ れ た メ ッ シ ュ 内 で 捉 え る。 こ の メ ッ シ ュ の 切 り 方 に よ っ て 予 測 精 度 が 大 き く 変 化 す る と 考 え ら れ る た め、 分 析 の パ ラ メ ー タ と し て メ ッ シ ュ の 間 隔 も パ ラ メ ー タ ー と し て 扱 う 。結果として、扱うパラメータは「撮影領域の大きさ」と「移 動 確 率 を 導 く 角 度 」、「 分 析におけるメッシュ間隔」の 3 つのパラメータを用いる。

75

分析


5

| 5 . 2 . 1 . 1   パ ラ メ ー タ 設定  【 撮 影 領 域 の 大 き さ 設 定 】   撮 影 領 域 は 一 般 的 な 監 視 カ メ ラ を 使 用 す る の 空 間 を 想 定 し て い る。 本 実 測 調 査 に お い て は 、それぞれ改札口が 2 箇所、同じく階段付近も 2 箇所として検出領域をもうけて いる。改札口付近と階段付近との行動の変化を考慮するために、「改札」「階段」の 2 つをパ ラメータとして取り入れる。この2つの空間に対してどの程度の撮影領域を持たせることが、 全 体 予 測 へ と つ な が る か 分 析 す る。 撮 影 領 域 と し て は、 一 派 的 な 公 共 建 築 空 間 の 天 井 高 を 考 え 、そ の 範 囲 を 4000 ㎜、6000 ㎜、8000 ㎜四方の 3 パターンをもうける。   よ っ て 、撮 影 領 域 の パ ラ メータ設定は「改札」と「階段」の 2 つに、それぞれ 3 パター ン の 領 域 設 定 を 行 う た め 、合計 9 パターンのパラメータとなる。

図 5- 2. 1. 1) パラメータとなる撮影領域

76

分析


5

【 移 動 確 率 を 導 く 角 度 設 定】   こ れ は 、 R e le as e モ デ ル が 部 分 的 に 取 得 し た 人 物 が そ の 後、 移 動 す る で あ ろ う 移 動 範 囲 を 決 定 す る た め の 角度であり、その値が少ないほど移動する範囲が狭くなる。 撮 影 班 以 外 で の 利 用 者 の 蛇 行 や 衝 突 回 避 な ど を 考 慮 し、 角 度 を 5 ∼ 30 ° の 各 5 ° ず つ 、 計 6 つ の パ ラ メ ー タ を利用する。  【 分 析 に お け る メ ッ シ ュ 間隔】   本 モ デ ル に よ っ て 放 出 さ れ る 確 率 は 500 ㎜ 四 方 に 記 録 さ れ る。 こ れ は、 人 間 の 存 在 す る 面 積 を 1500mm 四 方 と 仮 定 し た 場 合、 こ れ を 確 実 に 分 解 し 存 在 確 率 を 放 出 させるためだ。メッシュの設定はこれとは反対に確実に人間がメッシュ内に入る大 き さ で あ る 必 要 が あ る 。そ のため、今回は 1000 ㎜ , 2000 ㎜ , 3000 ㎜ , 4000 ㎜ , 5000 ㎜ , 6000 ㎜ , 7000 ㎜ , 800 0 ㎜ , 9 0 0 0 ㎜ の 計 9 パ タ ー ン の メ ッ シ ュ の 切 り 方 で 分 析 を行う。 こ れ ら パ ラ メ ー タ 設 定 に よって、 【 撮 影 領 域 の 大 き さ 設 定 】 9 パ タ ー ン と【 移 動 確 率 を 導 く 角 度 設 定 】6 パ タ ー ン【 分 析 に お け る メ ッ シ ュ 間 隔 】9 パターンとなり、合計 486 通りの分析パターンを生む。

77

分析


5

| 5.2.2 分析 | 5. 2 . 2 . 1   R e l e a s e モ デル分析 1【相関係数】   単 相 関 ・ 重 相 関 係 数 を 用 い る。 空 間 座 標 に 放 出 さ れ た 存 在 確 率 の 値 と 実 際 の 利 用 者 分 布 を 蓄 積 さ せ る こ と で、 2 つ の 量 的 デ ー タ( 変 数 ) 間 の 相 関 関 係 を 検 証 す る。 多 数 の 変 数 相 互 間 の 相 関 係 数 を 一 括 し て 求 め る 場 合 E x c el 分 析 ツ ー ル か ら 「 相 関 」 を 利 用 す る 。 そ の 結 果 を 以 下 に 記 す。 縦 軸 に 相 関 係 数、 横 軸 に 場 所 に お け る 撮 影 範 囲 の 大 き さ べ つ に 角 度 を もうけている。

0.8

0.7

0.6

0.5

1000㎜ 2000㎜ 3000㎜ 4000㎜ 5000㎜ 6000㎜ 7000㎜ 8000㎜ 9000㎜

0.4

0.3

0.2

0.1

KS8KD8_Th25

KS8KD8_Th15

KS8KD8_Th05

KS8KD6_Th25

KS8KD6_Th15

KS8KD6_Th05

KS8KD4_Th25

KS8KD4_Th15

KS8KD4_Th05

KS6KD8_Th25

KS6KD8_Th15

KS6KD8_Th05

KS6KD6_Th25

KS6KD6_Th15

KS6KD6_Th05

KS6KD4_Th25

KS6KD4_Th15

KS6KD4_Th05

KS4KD8_Th25

KS4KD8_Th15

KS4KD8_Th05

KS4KD6_Th25

KS4KD6_Th15

KS4KD6_Th05

KS4KD4_Th25

KS4KD4_Th15

KS4KD4_Th05

0

図 5- 2. 2. 1) パラメータごとの相関係数

こ れ よ り 、 R e l e a s e モ デルはセルの大きさが大きいほどにその相関が高くなるこ と が わ か る 。 そ れ は セ ル が大きくなる二つ入れて誤差が減っていくからと考える。 ま た 、 ど の 【 撮 影 領 域 の 大きさ設定】においても【移動確率を導く角度設定】が大 き い ほ ど に 相 関 数 が 上 昇 する傾向に見られる。一番大きな要因としては【移動確率 を 導 く 角 度 設 定 】 が 30 に近いほどに高い相関を得る。

78

分析


5

| 5 . 2 . 2 . 2   R e l e a s e モ デル分析 2【標準偏差】  空間座標に放出された存在確率の値と実際の利用者分布の 1 メッシュごとの差を 算 出 さ せ る 。 算 出 さ れ た 差 の 集 合 体 に 対 し て、 そ の 標 準 偏 差 を 求 め た も の を 下 記 に 示 す 。 メ ッ シ ュ 数 が あ が ればあがるほどに母数が増加するため、偏差は小さくなる。   そ の た め 、 標 準 偏 差 で は セ ル 内 で の【 撮 影 領 域 の 大 き さ 設 定 】 お よ び【 移 動 確 率 を 導 く 角 度 設 定 】 の 推 移 をみることとなる。

450

400

350

300

1000㎜ 2000㎜ 3000㎜ 4000㎜ 5000㎜ 6000㎜ 7000㎜ 8000㎜ 9000㎜

250

200

150

100

50

KS8KD8_Th25

KS8KD8_Th15

KS8KD8_Th05

KS8KD6_Th25

KS8KD6_Th15

KS8KD6_Th05

KS8KD4_Th25

KS8KD4_Th15

KS8KD4_Th05

KS6KD8_Th25

KS6KD8_Th15

KS6KD8_Th05

KS6KD6_Th25

KS6KD6_Th15

KS6KD6_Th05

KS6KD4_Th25

KS6KD4_Th15

KS6KD4_Th05

KS4KD8_Th25

KS4KD8_Th15

KS4KD8_Th05

KS4KD6_Th25

KS4KD6_Th15

KS4KD6_Th05

KS4KD4_Th25

KS4KD4_Th15

KS4KD4_Th05

0

図 5- 2. 2. 2) パラメータごとの標準偏差

R e l e a s e モ デ ル は 【 メ ッ シュ間隔】の大きさが大きいほどにその偏差が高くなる こ と が わ か る 。 セ ル 数 が 増加することで差をもとめる総数が増加するためと考えら れ る 。【 移 動 確 率 を 導 く 角 度設定】に関しては傾向は見れないが、【撮影領域の大き さ 設 定 】 に お い て は 階 段 付近で、4000 ㎜四方を検出したときに偏差が高くなる傾 向がある。

79

分析


5

| 5 . 2 . 2 . 3   R e l e a s e モ デル分析 3【単位面積あたりの誤差率】   単 位 面 積 あ た り の 誤 差 率 で は、 偏 差 と 同 じ に 空 間 座 標 に 放 出 さ れ た 存 在 確 率 の 値 と実際の利用者分布の 1 メッシュごとの差を算出させる。算出させた 1 メッシュに お け る 誤 差 が 、 総 メ ッ シ ュ 数 あ た り ど の 程 度 の 重 み を 持 つ か を 調 べ た も の と な る。 下 記 に そ の 算 出 結 果 を 記 す。 標 準 偏 差 と 同 じ く、 メ ッ シ ュ 数 が 増 加 す る ほ ど に、 そ の 母 数 が 増 え る そ の た め 、メッシュ間の推移は考慮しないものとする。

400

350

300

250

1000㎜ 2000㎜ 3000㎜ 4000㎜ 5000㎜ 6000㎜ 7000㎜ 8000㎜ 9000㎜

200

150

100

50

KS8KD8_Th25

KS8KD8_Th15

KS8KD8_Th05

KS8KD6_Th25

KS8KD6_Th15

KS8KD6_Th05

KS8KD4_Th25

KS8KD4_Th15

KS8KD4_Th05

KS6KD8_Th25

KS6KD8_Th15

KS6KD8_Th05

KS6KD6_Th25

KS6KD6_Th15

KS6KD6_Th05

KS6KD4_Th25

KS6KD4_Th15

KS6KD4_Th05

KS4KD8_Th25

KS4KD8_Th15

KS4KD8_Th05

KS4KD6_Th25

KS4KD6_Th15

KS4KD6_Th05

KS4KD4_Th25

KS4KD4_Th15

KS4KD4_Th05

0

図 5- 2. 2. 3) パラメータごとの単位面積誤差

結 果 は 分 析 2 【 標 準 偏 差 】 の 際 と 変 わ ら ず 、【 メ ッ シ ュ 間 隔 】 の 大 き さ が 大 き い ほ ど に 、 そ の 誤 差 が 高 く な る こ と が わ か る。 理 由 も 同 じ く、 セ ル 数 が 増 加 す る こ と で 差 を も と め る 総 数 が 増 加 するためと考えられる。【撮影領域の大きさ設定】において も 階 段 付 近 を 4000 ㎜ 四 方で検出したときに誤差が高くなる傾向がある。

80

分析


5

| 5 . 2 . 1 . 4   R e l e a s e モ デル分析 4【総人数あたりの誤差率】   総 人 数 あ た り の 誤 差 率 で は、 偏 差 と 同 じ に 空 間 座 標 に 放 出 さ れ た 存 在 確 率 の 値 と 実際の利用者分布の 1 メッシュごとの差を算出させる。算出させた 1 メッシュにお け る 誤 差 が 、そ の と き の 総人数あたりどの程度の重みを持つかを調べたものとなる。 下 記 に そ の 算 出 結 果 を 記 す。

400

350

300

250

1000㎜ 2000㎜ 3000㎜ 4000㎜ 5000㎜ 6000㎜ 7000㎜ 8000㎜ 9000㎜

200

150

100

50

KS8KD8_Th25

KS8KD8_Th15

KS8KD8_Th05

KS8KD6_Th25

KS8KD6_Th15

KS8KD6_Th05

KS8KD4_Th25

KS8KD4_Th15

KS8KD4_Th05

KS6KD8_Th25

KS6KD8_Th15

KS6KD8_Th05

KS6KD6_Th25

KS6KD6_Th15

KS6KD6_Th05

KS6KD4_Th25

KS6KD4_Th15

KS6KD4_Th05

KS4KD8_Th25

KS4KD8_Th15

KS4KD8_Th05

KS4KD6_Th25

KS4KD6_Th15

KS4KD6_Th05

KS4KD4_Th25

KS4KD4_Th15

KS4KD4_Th05

0

図 5- 2. 2. 4) パラメータごとの単位人数誤差

結 果 は 分 析 1【 相 関 係 数 】 の 際 と 同 じ く 、【 メ ッ シ ュ 間 隔 】 が 9 0 0 0 ㎜ の と き に 誤 差 が 最 小 に な る こ と が わ か る。 そ し て、 メ ッ シ ュ が 増 加 す る ご と に そ の 値 は 大 き く な る。 メ ッ シ ュ が 4000 ㎜ 間 隔 以 内 の 場 合 は、【 移 動 確 率 を 導 く 角 度 設 定 】 と【 撮 影 領 域 の 大 き さ 設 定 】 に よって、誤差が変動する。

81

分析


5

| 5 . 2 . 2   R e l e a s e モ デ ル のまとめ   以 上 の 分 析 1【 相 関 係 数 】、分析 2【標準偏差】、分析 3【単位面積あたりの誤差率】、 分析 4【総人数あたりの誤差率】を行った。本モデルは移動の可能性に乗っ取った存在確率 を空間上へ放出させることで成り立たせる。そこでは、画一的な評価手法がなく、多角的に 分析を行った。以下それぞれから読み取れた事柄を記する。 分 析 1【 相 関 係 数 】   ・ 座 標 上 の 人 数 と 、 存 在の確率との相関係数では、メッシュ空間が広がるほどに     そ の 評 価 が あ が り や すい傾向にある。最も相関を出した結果は改札、階段とも     に 8000 ㎜ 四 方 で 検 出し、角度 θ を 30 に設定したときであった。   ・ 角 度 θ の 変 化 に よ っ て、その値が大きく影響される。θ が大きくなるほどに     相 関 も あ が る 傾 向 に あった。 分 析 2【 標 準 偏 差 】   ・ メ ッ シ ュ 数 が 増 加 す ることで差をもとめる総数が増加する、メッシュの区切り     方 を 含 め た 評 価 を 行 うことはできないが、【撮影領域の大きさ設定】および【移     動 確 率 を 導 く 角 度 設 定】を行う評価手法となる。結果として階段付近の検出範     囲 が 4000 ㎜ の 場 合 、偏差が大きくなる。 分 析 3【 単 位 面 積 あ た り の誤差率】  ・【 標準偏差】の場合と同 様 に メ ッ シ ュ 総 数 が 増 加 す る こ と で 差 を も と め る 総 数 が     増 加 す る 。そ の た め 、 【 撮影領域の大きさ設定】および【移動確率を導く角度設定】     を 行 う 評 価 手 法 と な る。結果として階段付近の検出範囲が 4000 ㎜の場合、誤   差が大きくなる。 分析 4【総人数あたりの誤差率】  ・4 0 0 0 ㎜ 間 隔 以 内 の 場合は、【移動確率を導く角度設定】と【撮影領域の大きさ     設 定 】 に よ っ て 、 誤 差が変動する。よって、メッシュ間隔を 4000 ㎜以上にす     れ ば 、 パ ラ メ ー タ に よる誤差に傾向がみれらないといえる。

82

分析


5

| 5 . 3  分 析 ま と め 人物検出アルゴリズムは  ・単数の人間を正確に検出することができる。  ・複数のオクルージョンが発生した映像においても、ある程度の精度で人物を検出するこ   とができる。  ・複数のオクルージョンが発生した映像においても、人物の位置情報をある程度の誤差を   出しながらも算出することができる。 Release モデルのパラメータ設定は  ・階段付近を撮影範囲とする場合、4000 ㎜以上を範囲として設定する必要がある。  ・分析の際の、メッシュ間隔を 4000 ㎜以上とする。  ・放出させる角度 θ は 30°とする。  以上、人物検出アルゴリズムと Release モデルとを組み合わせることで、リアルタイム利 用予測システムを完成させることができる。

83

分析


6

ケーススタディ

実証検証

6.1

結果

6.2


6

| 6 実証検証 | 6.1 概要  これまで、本研究にて開発を行ったリアルタイム利用予測システムを実際の建築空間にて 使用する。今回の使用は監視カメラが実際に設置してあり、且つ全体を俯瞰することができ ない空間において、監視カメラの部分的な映像を用いることで全体の利用状況を把握するこ とができるかを検証する。リアルタイム利用予測システムは本研究によって開発された人物 検出アルゴリズムと Rlease モデルを組み合わせたものを使用。  実際に、リアルタイム利用予測システムを使用するための実証検証の場所・日時は下記に 示す。 ■実証場所および実証日時 実 証 会 場 : 品 川 駅 内 部 コ ンコース 実 証 日 時 : 2011 年 11 月 24 日 ( 木曜日 )  7: 00-17: 00

図 6- 1- 1) 実証概要

図 6- 1- 2) 品川平面

85

まとめ


6

まとめ

| 6.2 設定 | 6.2.1 使用箇所の設定   駅 構 内 に お け る 監 視 カ メラの映像を、転用することは叶わなかったため、空間内 に 監 視 カ メ ラ に 見 立 て た カメラを設定した。カメラ機種は S o nyHD R-S R8 を使用す る 。 本 シ ス テ ム を 使 用 す ることで、全体予測を行う空間はカメラの数の関係上、コ ン コ ー ス 内 の 半 面 ほ ど を 設定する。カメラ設置箇所は、監視カメラとほぼ同一とし、 改 札 口 周 辺 と 階 段 付 近 、 またコンコース内の開けた空間に設置した。

図 6- 2- 1) 検証範囲

86


6

| 6.2.2 人物検出アルゴリズムの設定  人物検出アルゴリズム部分において、予測検証に用いる映像にすべて対してアフィン変換 を行う必要がある。そのため、各映像において 4 点の基準点を定め、基準点おいて地面から 垂直方向に 1700 ㎜地点における、映像上の位置を取得する。取得された数値を用いること で、映像上に映る人物の頭部の位置から実際の XY 座標を算出する。各基準点、および地面 から垂直方向 1700 ㎜の座標は下記に示す。

I

G H

J

E

F D

K

N O P

Q

R

C

M

L S T

B

A

図 6- 2- 2) アフィン変換のための基準点

表 6- 2- 1) アフィン変換のための基準点 a X

b Y

X

c Y

X

d Y

X

Y

A

25480

65800

22680

65800

25480

69800

22680

69800

B

15960

60300

12660

60300

15960

62600

12660

62600

C

245700

34600

22680

34600

245700

38200

22680

38200

D

12680

33400

8680

33400

12680

36600

8680

36600

E

26280

20600

24680

20600

26280

23800

24680

23800

F

15080

22200

12230

22200

15080

24500

12230

24500

G

5100

6000

2700

6000

5100

10800

2700

10800

H

3100

12800

0

12800

3100

15600

0

15600

I

25780

3400

22580

3400

25780

7000

22580

7000

J

35880

15000

32680

15000

35880

18200

32680

18200

K

47880

8600

44680

8600

47880

11000

44680

11000

L

47880

19400

44680

19400

47880

22600

44680

22600

M

55310

15000

52110

15000

55310

18200

52110

18200

N

64910

16600

62910

16600

64910

18200

62910

18200

O

64910

21400

63310

21400

64910

24600

63310

24600

P

64410

27800

61710

27800

64410

31000

61710

31000

Q

55310

34370

52110

34370

55310

37570

52110

37570

R

48680

37400

45480

37400

48680

39800

45480

39800

S

39080

31000

35880

31000

39080

34200

35880

34200

T

43480

43970

39080

43970

43480

47170

39080

47170

87

まとめ


6

| 6.2.3 Release モデルにおける設定  Relase モデル部分において、監視カメラの撮影領域を設定する必要がある。それは研究手 法に示したように、監視カメラが撮影している範囲内においてその範囲外へと移動した利用 者を特定するために、判定領域を用いる必要があるためだ。  撮影領域の設定は当初、Release モデル分析によって明らかにされた、階段付近の撮影領 域㎜四方と改札付近の撮影領域㎜四方を予定していたが、取得された映像に映る範囲がそれ ぞれで異なり、撮影領域を満たすことができない映像が存在した。そのため、今回はアフィ ン変換に使用した基準点を監視カメラの撮影領域として利用する。これは、アフィン変換の 基準点となりうる地点は映像上において必ず映し出される点であるためだ。下記に今回使用 した、監視カメラそれぞれに対する撮影領域を示す。

図 6- 2- 3) 検証領域

また、移動確率を算出するにあたり設定する θ に関しては、Release モデル分析によって 高い数値が得られた θ=30°を使用する。

88

まとめ


6

まとめ

| 6.3 結果  リアルタイム利用予測システムの実働結果を示す。結果は時系列上に取得される監視豆ら 映像から 1 秒間隔に全体の利用状況をアウトプットするものとなっている。その際、コンコー ス内の混雑度に差があった時間帯におけるアウトプットを記録する。混雑度においては、空 間内を目視することにより、その時々の混雑度を記録した物を使用する。下記に記載する表 は、10:00 ∼ 12:00 の間において空間内の混雑度を記録したものになる。   表 6- 3- 1) 混雑時 記録時間 混雑大 開始

混雑中 終了

開始

混雑小 終了

開始

終了

10:49

10:51

10:39

10:41

10:29

10:35

11:10

11:13

10:52

10:56

10:47

10:49

10:59

11:01

11:01

11:04

10:56

10:59

11:21

11:23

11:15

11:18

11:26

11:28

11:27

11:30

11:24

11:26

11:30

11:32

これにより、「混雑度が高い時間帯」  を 11:25 ∼ 11:35    「混雑度が少ない時間帯」を 10:25 ∼ 10:35    「どちらでもない時間帯」を 10:50 ∼ 11:00  とした。これは品川駅のようなターミナル駅において、お昼時になる程にその利用者が増 加する傾向と一致するためだ。1 秒ごとのデータを記載することは紙面の関係上、不可能で あったため、5 秒間隔で取得されたデータを資料編に記載する。ここではそれぞれの混雑度 における撮影開始時間から 5 分たった時点でのリアルタイム予測結果を示す。放出される色 の違いは人物形状の違いを表す、青から赤に近づくほどに移動負荷が高い状態になる。また、 色は重なることで混ざり合い空間の利用状態をリアルタイムに示すものとなる。

何も持たない

手提げカバン

肩掛けカバン

たすき掛けカバン

キャリーバック

リュック

図 6- 3- 2) 放出される色区分

89


6

図 6- 3- 3) 混雑度小 5 分経過

図 6- 3- 4) 混雑度中 5 分経過

90

まとめ


6

図 6- 3- 5) 混雑度大 5 分経過

結果をみると、混雑大の予測結果が混雑小や混雑中に比べて、全体の色が濃くなっている ことがわかる。これは放出された人数が多いことであり、混雑具合である。また、放出され た色分布によって空間上のどの空間が頻繁に使われているかなどが読み取ることができる結 果となった。ケースステディの結果、実際の建築空間においてリアルタイム予測システムが 使用可能ということが明らかになった。

91

まとめ


7

まとめ

考察

7.1

展望

7.2


7

参考文献

| 7 まとめ | 7.1 まとめ  本論文で明らかになったこと、可能になったことは以下に示す通りである。  ■ 人物検出プログラムによるリアルタイムセンシング   ・人物形状を手動で取得することで、カメラの高さとカメラまでの距離に応じた人物形    状を求める式を明らかにした。   ・検出人数の感度分析を行うことで、単人数に対して高い精度を持つことがわかった。    また、複数の人間が重なり合うオクルージョンに対しても、その時々の誤差は存在す    るが確からしい結果を算出するができた。   ・検出座標のの位置分析を行うことで、単人数および複数人数のオクルージョンが発生    した映像に対して、誤差の範囲を押さえた検出結果を示すことがわかった。  ■ Release モデルによる全体予測   ・Release モデルによる部分的な空間情報から全体の人物の存在確率を明らかにした。   ・相関係数、標準偏差、単位面積誤差率、単位人数誤差率と多角的にその精度の分析を    行うことで、それぞれの分析に沿った精度を示すことができた。しかしながら、本モ    デルの精度を測る絶対的な評価手法を取得することは叶わなかった。   ・分析によって異なる精度の結果を算出したが、改 札 口 付 近 と 階 段 付 近 に お け る 撮       影 領 域 の 大 き さ 、 移 動 確 率 を 導 く 角 度 θ、 分 析 を 行 う 際 の メ ッ シ ュ 間 隔 を 特       定 す る こ と が で き た。  ■ リアルタイム利用予測システムによる空間把握   ・本研究の目的である、監視カメラの映像を用いた空間全体の利用実態を明らかにする    システム開発をおこなった。結果、品川でのケーススタディでみられたように、全体    の利用実態を算出することがわかった。   ・人物の形状からある程度の分類を行い、予測を行うことで空間全体の使われ方リアル    タイムにを知ることが可能とわかった。

93


7

参考文献

| 6.2 展望  前述の通り、リアルタイム利用予測システムのセンシング部分、シミュレーション部分、 それぞれの分析を行い、精度を明らかにすることで、システムを稼働させるに至った。今後 の展望は、以下に示す通りである。   ・センシングを行う上で、手作業によって明らかにした人物形状であるが、より多くの    人物のタイプ別で分析を行うことで、より高い精度で検出を行うことができると考え    られる。人物タイプが増加することで、最終的にシステムが算出する空間利用実態も    よりバリエーション豊かとなる。   ・Release モデルの精度を取得するために、多角的に分析を行ったが、まだまだ不十分    な点が多かった。例えば、Release モデル分析 2【標準偏差】では、パラメータと    なるメッシュの区切り方によってその精度が、大きく変動してしまうものであった。    そのためメッシュの区切りを含めた評価を行うことができず、部分的な評価にとど     まった結論となっている。差の偏差を求める際に、その母数を考慮した分析手法を用    いることで絶対的な評価手法の取得につながるものと考える。     ・リアルタイム利用予測システムを実際に使用することで、部分的な情報から全体の利    用予測がリアルタイムで行えることを実証したが、その精度を求めるまでにはいたら    なかった。また利用実態として、検出された人物形状によって人間タイプを分類して    いるがその確からしさは、人物形状分析、感度分析および位置分析から間接的に示さ    れている。これを直接的に検出タイプ別に分析することが必要となる。

94


7

参考文献

謝辞   本 研 究 は、 本 当 に た く さ ん の 皆 様 の 協 力 に よ り 、 な ん と か 書 き 上 げ る こ と が 出来ました。   な に よ り も 、 渡 辺 先 生 に 感 謝 の 意 を 表 し ま す。 渡 辺 研 究 室 の 自 由 で メ リ ハ リ の あ る 研 究 ス タ イ ル は 、 と て も 充 実 し て お り、 す ば ら し い 仲 間 と 巡 り 会 え る 機 会 を 与 え て く れ ま し た。2 年 間 と い う 短 い 期 間 で あ り ま し た が、 毎 日 が と て も 充 実 し た 密 な る も の で し た。 な に よ り、 こ の つ な が り を 大 事 に し て い き た い と 考えております。先生の指摘はいつも的確で自分が思いもつかなかったことに 気づかせてくれました。その都度、先生への尊敬の念は大きくなっております 。誠にありがとうございました。   ゼ ミ や 研 究 を 支 え て く だ さ り、 プ ロ ジ ェ ク ト に も 誘 っ て 頂 い た 林 田 先 生 に は い つ も ご 迷 惑 ば か り お か け し て い ま し た。 そ ん な 私 に 根 気 づ よ く 付 き 合 っ て い た だ き 、 本 当 に 感 謝 し て お り ま す。 林 田 先 生 か ら は 様 々 な こ と を 学 ば せ て い た だきました、研究のこと、社会と向き合う姿勢、数えたらキリがありませんが、 自 分 の 中 で 最 も 大 き な こ と は「 と り あ え ず や っ て み る 」 と い う 姿 勢 で す。 こ れ の お か げ で 、 こ の 2 年 間 様 々 な こ と を 学 べ た と よ う に 思 い ま す。 今 後、 何 か 恩 返しができたらと思います。   ま た 、 ゼ ミ は 異 な る も い つ も や さ し く 見 守 っ て く だ さ っ た 夏 子 さ ん。 夏 子 さ んが研究室に来るといつも、明るく、笑い声が生まれていたような気がします。 図々しく、ゼミ旅行にも参加させていただきまして、ありがとうございました。 こ う き 君 と の 触 れ 合 い は 本 当 に 楽 し か っ た で す。 自 分 が 研 究 室 に 入 っ た と き に は、 理 科 大 の 方 へ 行 か れ た 遠 田 さ ん も、 よ く お 話 を さ せ て い た だ き ま し た。 遠 田さんが研究室に残されていったシステムやプログラム構成はどれも洗練され て お り 、 機 材 係 と し て 、 と て も 助 け ら れ ま し た。 こ の 場 を 借 り て 感 謝 の 意 を 伝 えられたらと思います。   授 業 や ゼ ミ で お 世 話 に な っ た 良 三 先 生 は い つ も お 若 く、 勝 手 な が ら あ ん な 人 生 を 送 り た い と い う 人 生 の モ デ ル で あ り ま し た。 い つ ま で も 元 気 で、 楽 し い 先 生でいてください。   菊 地 さ ん に は HP や 機 材 の こ と な ど で 様 々 な ご 意 見 を 頂 き ま し た。 色 々 と 至 ら な い 後 輩 で す み ま せ ん で し た。 馬 淵 さ ん と は、 よ く 座 る 机 が 隣 り で、 い つ も You Tu be を 眺 め る 馬 淵 さ ん を 眺 め て い ま し た 。 お 話 し 相 手 に な っ て い た だ き あ り が と う ご ざ い ま し た 。 ガ ッ キ ー さ ん に も 子 供 コ ン ペ の 際 な ど、 大 変 お 世 話 に なりました。

95


7

参考文献

同 期 の 皆 さ ん に は 、 本 当 に 感 謝 し た ら し 尽 く せ な い と 思 い ま す。 あ り が と う と、これからもひとつ仲良くお願いします。   そ し て 卒 業 さ れ た 先 輩 方、 西 さ ん、 坂 田 さ ん、 オ カ タ ツ さ ん、 田 名 網 さ ん、 奥津さん、ジマさん、皆さん優秀で、それでいて楽しく、バランスがとれていて、 人間として尊敬しております。皆さんと出会えて本当に良かったと思います。   プ ロ ジ ェ ク ト で 一 緒 の 後 輩、 ハ ム は 気 が よ く て、 実 験 合 間 の 探 検 に 付 き 合 っ てもらったりと、とても楽しかったです。ハムがいてくれたおかげで、プロジェ ク ト が 楽 し く 、 そ し て 円 滑 に 進 ん だ と 思 う の で す。 色 々 助 け て く れ て あ り が と う ご ざ い ま し た 。 キ ン 肉 マ ン の 曲 は 職 場 で も 活 用 し て く だ さ い。 他 に も 後 輩 さ んたちには助けられてばかりだったように思います。しっかり者のよごちゃん、 こんにちわピヨヒコ、マックロモコミチ、高血圧な茂庭、よく気が付くもえちゃ ん、 ト ラ ン ペ ッ タ ー な あ や か ち ゃ ん、 ひ た す ら 歩 い た セ イ ジ、 く ま の 筆 箱 の な り た く ん、 ハ イ テ ン シ ョ ン な モ エ ミ ー 。 旧 行 動 ゼ ミ で は 、 優 秀 な 野 D や 楽 し い チ ャ ン ス ガ 、 や る 気 の ジ ョ ン、 パ ー プ ル シ シ ョ ー な ど 本 当 に 楽 し い 上 に 優 秀 な 後 輩 達 に 恵 ま れ 、 と て も 有 意 義 時 間 を 過 ご す こ と が で き ま し た。 い つ も 何 か と ギ リ ギ リ に な っ て し ま う 自 分 で、 家 族、 友 人、 知 人、 本 当 に 色 々 な 人 に 支 え ら れ て き た と 実 感 し ま す。 こ れ か ら 少 し ず つ で も 恩 返 し が で き た ら と 思 い ま す 。 皆様、本当にありがとうございます。

96


8

参考文献


7

参考文献

■ 研究文献 1)wikipedia(情報化社会の項目を参照)   http://ja.wikipedia.org/wiki/ 2)2010 年代のスマート・ユビキタスネット社会を視野においた情報システム系の研究   諏訪敬祐   東京都市大学環境情報学部紀要 11 P 65-72 2010 年 3)Intellectual Capital」   Leif Edvinsson & Michael S.Malone  日本能率協会マネジメントセンター 1999 年 4)google(ロゴマークの使用)   http://www.google.com 5)facebook(ロゴマークの使用)   http://www.facebook.com/ 6)apple(ロゴマークの使用)   http://www.apple.com/ 7)twitter(ロゴマークの使用)   http://www.twitter.com 8)大紀元(ジャスミン革命に関する記事)   http://www.epochtimes.jp/ 9) アルジャジーラ(インド革命に関する記事)   http://www.aljazeera.com/ 10)総務省(u-japan 政策について)   http://www.soumu.go.jp/ 11)Smart House: The Coming Revolution in Housing   Smith Ralph Lee 1888 年 12)顔領域抽出を目的とした肌色モデルと肌色領域抽出   川戸 慎二郎、鉄谷 信二   信学技報 MVE21-38 P 143-148 2001 年

98


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参考文献

13)Haar-like 特徴を用いた Particle Filter による人物追跡   持木 怜、甲藤 二郎   2007 信学全大 K-12-5 2007 年 13)楕円体モデルを用いたリアルタイム人物追跡   加藤 博一、中澤 篤志 、井口 征士   情報処理学会論文誌 , Vol.40, No.11, pp.4087-4096 14)頭部検出器と多視点カメラを用いた人物検出方式の検討   田口 進也、田中 昭二   情報処理学会研究報告 CVIM 2008-7-10 2008 年 15)Abs 手法を用いた店舗内における人物の検出   岡部 亜梨子、安倍 満、小沢 慎治   気学会論文誌 CVol.127 No4 P 506-512 2007 年 17)複数仮説化周期歩行モデルに基づく床センサネットワークを用いた実時間複数人物追跡 ,   電子情報通信学会論文誌 D 情報・システム J90-D(6) P 1555-1567 2007 年 18)粗い距離画像を用いた高速ビンピッキング視覚システムの構築   梅田 和昇   精密工学誌 60(6) P 858-862 1994 年 19)レーザスキャナを用いた群衆の追跡及び流動の可視化   帷子 京市郎、鈴木 智之、中村 克行、趙 卉菁、柴崎 亮介、仲川 ゆり   情報処理学会 CVIM158 2007 年 20)スリッパ型 RFID リーダによる歩行行動追跡   遠田敦、林田和人、渡辺仁史   日本建築学会計画系論文集 第 630 号 P 1847-1852  2008 年 21)GPS を用いた水辺での行動の研究 : 中国の住宅団地における水景施設での歩行実験   李 早、宗本 順三、吉田 哲、唐 ペン   日本建築学会計画系論文集 73(630) P 1665-1673 2008 年 22)駅構内における群衆歩行シミュレーションモデルの研究   阿久 澤   中央大学大学院理工学研究情報工学専攻修士論文 /2008

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参考文献

23)建築空間における歩行のためのシミュレーションモデルの研究 その 1 ∼ 5   岡崎 甚幸、松下 聡   日本建築学論文報告集 NO.283 1979 年 NO.284 1979 年 NO.285 1979 年    NO.299 1998 年 NO.302 1981 年 24)個別要素法を用いた被災時の避難行動シミュレーション   清野 純史、三浦 房紀、八木 宏晃   土木学会論文集 No.591 Ⅰ -43 P 365-378 1998 年 25)アルゴリズミック・デザイン   日本建築学会 2009 年 26)複雑系入門   井庭、福原 19982 年

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