恐怖・不安を伴う高所ストレスに対応した建築デザイン

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6 実験 2「高所空間における恐怖・不安の増減と建築デザインの関連性の検証」

いて、3 章 1 節 1 項において「不安」として示したような「一過的な 反応」をみつける。ここで「一過性の反応」ととして認めるものは、 その区間において高所を予期し自発的に発現した反応である。つまり、 「一過性の反応」には「潜時」が存在してるので、その区間の始まり から 1 秒以降に発現したもののなかで、高所を予期し自発的に発現し たものを「一過性の反応」としてみなす。また、 「 一過性の反応」には、 「陰性波」、「陽性波」、「陰陽二相性波」の 3 種類があることを示して いた。本実験において「不安」を抽出する場合、皮膚電位活動の自発 的な変化が重要である。したがって、極性にとらわれずに「一過性の 反応」を判断する。また、「恐怖」を抽出する場合とは異なり、「不安」 を抽出する場合には注意が必要である。その注意すべき点は、取り扱 う区間の時間が長いことである。本実験は、4 章の実験 1 と比べても 廊下の長さが 10m 伸び、移動速度も 0.2m/s 遅い。したがって、廊下 の WT は 33.3 秒間と長くなり、よりいっそうどの反応が高所を予期 し自発的に発現している反応であるのかわかりにくい。そこで、 「 不安」 を抽出する上での約束事を決める。そのことにより、より適切に「不安」 を抽出することができる。その約束事とは、廊下の WT が開始してか ら 5 秒間以内に発現した反応とその連続として見なせる波形を抽出し ないことである。理由は、EV での高所恐怖の余波や、廊下の WT を 開始するとき、WT の動きだしの影響で身体が不安定になることによっ て皮膚電気活動が発生するからである。しがたって、その反応後に観 測した「一過性の反応」を「不安」として抽出する。次に、抽出した「一 過性の反応」を数値化する。4 章において、「不安」は開始位置から高 所窓際までの距離として観測された。したがって、本実験においても 同様に距離を用いる。  以上が、「恐怖」と「不安」の抽出の方法をである。したがって、こ の方法を用いて、(図 81- 図 260)までの 1 回目見下げ行動、廊下の WT の画面から「一過性の反応」を抽出し、数値化を行う。

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