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歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究

Effect of Cellular Phone Useage on Recognition of Advertising Signboad during Walk

「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

Introduction

序文 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 序文

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

はじめに 私は初めて HMD[Head Mounted Display] を装着した時、心がワクワ クした。 小さな液晶パネルに情報が表示されるといった、新しい技術に感動し たのだ。

科学技術は我々の生活を大きく変えてきた。 次に我々の生活を大きく変える技術は間違いなく 「ユビキタスコンピューティングテクノロジー」だ。

ユビキタスコンピューティングとは、小型化した無数のコンピュータ があらゆるものに埋め込まれ、相互に情報通信しあいながら、我々の 生活を助けてくれる技術である。 それによって我々の生活が目に見える形であれ、目に見えない形であ れ、より多くの情報に支えられるようになるだろう。

これは遠い未来の話だろうか? 多くの人が街中を HMD を装着して闊歩する時代が本当に来るのだろ うか?

しかし、これは遠い未来の話ではない。 既に我々の多くはマイクロコンピューターと共に情報を生活空間の中 に持ち出している。 「携帯電話」だ。

携帯電話はもはや電話としての機能以上に携帯情報メディアとしての 機能を果たしている。 すでに携帯電話を情報端末として利用した多くのサービスが開始され ている。

ユビキタス・コンピューティング・テクノロジーや情報が今後どのよ うに我々の生活スタイルに影響を及ぼし、建築の姿を変えていくのだ ろうか。

技術が作る新しい未来が楽しみである。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

Index

目次 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 目次

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

   本論文の構成

   序文

   目次

   第一部 論文編 7

     1 研究目的

        1ー1 研究目的

        1ー2 用語の定義

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        1ー3 研究の流れ

11

     2 研究背景

12

        2ー1 研究背景

13

        2ー2 ユビキタス・コンピューティング

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        2ー3 携帯電話

44

        2ー4 広告看板

51

     3 調査方法

52

        3ー1 調査場所

53

        3ー2 広告看板の調査項目

63

        3ー3 アンケートによる認識調査方法

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     4 調査結果・分析

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        4ー1 広告看板全体の認識         4ー2 携帯電話使用による認識の低下      5 まとめ         5ー1 まとめ         5ー2 展望 

   謝辞    参考文献

   第二部 資料編      1 統計資料集成         1ー1 広告看板データ         1ー2 アンケート資料

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

Main Chapter

Chapter One

論文編

第一部

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

研究目的 Purpose

One

1 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 研究目的

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   1ー1 研究目的

携帯電話の使用による広告看板の認識の低下について調べ、携帯情報 メディアが周辺情報の認識に及ぼす影響を明らかにする。

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   1ー2 用語の定義

本論文中で用いる用語の定義を行う。 「広告看板」 都市空間において、社名・店舗名・商品名を広告、及び宣伝するため の看板を指すものとする。 今回はショーウインドウもこれに含める。 「携帯電話」 携帯出来る小型の無線電話機を指すものとする。移動データ通信が可 能なモバイル情報端末としても捉え、ユビキタス・コンピューティン グ社会における携帯情報メディアの一形態と考える。

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   1ー3 研究の流れ

本研究の研究手順を以下に示す(Figure:1 − 3 − 1)。 (1)予備調査

文献調査 ユビキタス・コンピューティング・テクノロジー、携帯電話、仮想現 実、広告看板、視聴覚認識のプログラムについて既往研究、インター ネットなどを使い、社会背景や今後の展望について調査する。 広告看板調査 新宿ステーションスクエア内の歩行コースから視認可能な広告看板、 全343件について詳細に調査し、その特性により分類する。

(2)本調査

アンケート調査 新宿ステーションスクエアにおいて、被験者100人で歩行実験を行 い、携帯電話使用時/非使用時の広告看板認識についてアンケートに Figure:1−3ー1

よる調査をする。

研究フロー図

結果・分析 広告看板の調査と、アンケートによる認識調査の結果から、両者の関 連性を分析する。 解析・考察 結果・分析より、携帯電話の使用による広告看板の認識の低下につい て考察を行う。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

研究背景 Background

Two

2 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 研究背景

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   2ー1 研究背景

情報社会の発展に伴い、携帯情報メディアが広範、且つ多種多様 に普及するようになった。そして今、新たに HMD[Head Mounted Display] などの新しい携帯端末の開発も進められている。

しかし、現在最も普及した携帯情報メディアである携帯電話を考えて みても、歩行中に携帯電話を使用すると注意力が散漫になり、周囲の 視覚情報の認識は低下する。それは一様な風景の空間に比べ、広告看 板が多数存在する駅前空間といった大量の視覚情報が提示されている 空間において顕著となる。

携帯情報メディアが進化し、HMD ににより目の前に視覚的に情報が 提示されるようになった場合、 我々の注意力は何も装着しない状態、また携帯電話を使用している状 態と比較してどれだけ変化するのか興味深い問題である。

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   2ー2 ユビキタス・コンピューティング

研究に先立ち、ユビキタス・コンピューティングと携帯電話について の社会背景、またそれに関する空間についての研究などに関して文献 調査を行った。

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(1)コンピュータの普及と歴史 パソコンのの普及 2003年3月現在、内閣府の消費動向調査では、全世帯におけるパ ソコン(パーソナル・コンピュータ)の普及率は57.2%を示して いる。 しかし「コンピュータ」と呼ばれているものには、様々なタイプがあ り、パソコンはその一部に過ぎない。現在世界中で使われている全コ ンピュータの中で、パソコンの占める割合はほんの2%程度というの が実態である。

マイクロプロセッサ 半導体技術の飛躍的発達でコンピュータ本体はマイクロ・プロセッ サという数ミリ角のシリコンチップにまで小さくなり、携帯電話をは じめとするさまざまな機器の機能を制御することが出来るようになっ た。2001年に世界で販売された携帯電話は3億9958万台であ り、2001年に世界で販売されたパソコンは1億2806万台であ る。またマイクロプロセッサを世の中に初めて送り出したインテル社 Figure:2−2−1 マイクロ・プロセッサの普及

の2001年11月15日のマイクロ・プロセッサ30周年記念を祝 うプレスリリースには、 「今日、自動車は平均で50個以上のマイクロ・ プロセッサを搭載しており、エア・バッグやブレーキ、エンジン、窓、 ドア・ロック、そしてクルーズ・コントロールなどの制御に使用され ています」とある。 また、「米国の平均的な家庭には(パソコンを除いて)1世帯あた り40個のマイクロプロセッサがあると言われています」ともある (Figure:2−2− 1)。

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PRO-Active Computing DARPA[Defence Advanced Research Projects Agency: 米 国 防 総 省 高等研究局 ] が研究の方向性を示すために一年半毎に開いている会 議 DARPAtech'99 で当時の IT 部長だったデビッド・テネンハウス [David Tennenhouse] の 発 表 "PRO-Active Computing" で は、 「今ま でコンピュータサイエンスは年間1.5億台のパソコンに代表される Figure:2−2−2

対話型コンピュータに力を注いできたが、年間80億個の組み込み

PRO-Active Computing

マイクロコンピュータにはあまり目を向けてこなかった」「これから の方向性は時っ世界に適応出でき、リアルタイムで人間を介さない PRO-Active Computing」だとしている(Figure:2−2− 2) 。事実 DARPA の研究はこの方向に力を入れるようになっている。 DARPA とインターネットの歴史 DARPA と は、 米 国 の 防 衛 戦 略 に 対 す る 姿 勢 を 反 映 さ せ る た め 1972年に ARPA[Advanced Research Projects Agency:米国高等 研究計画局 ] から改称した政府機関である。ARPA の内部ネットワー クである ARPANET はインターネットの母胎となった。 ARPANET は世界初のパケット交換方式のネットワークで、プロト コルの概念を打ち出した。現在最も普及している通信プロトコルの TCP/IP[Transmision Control Protocol /Internet Protocol] は1960 年代末に ARPANET で開発された。その後 DARPA が TCP/IP 実用化 の際に改良を行い、役目を終えた ARPANET は1990年に解散して いる。 DARPA に よ っ て 1 9 8 1 年 に 組 織 化 さ れ、 1 9 8 3 年 に は IAB[Internet Architecture Board] が設立された。インターネットと TCP/IP を管理をしている IAB はインターネットコミュニティ全体の 方針や、インターネットのアーキテクチュアを話し合う技術者達の組 織として ISOC[Internet SOCiety:インターネット学会 ] の技術理事会 として活動している。 DARPA 自身は研究を行わず、研究テーマを定義し、大学や民間企業、 個人などに資金を提供して計画と研究を管理している。

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(2)インテリジェント・オブジェクトとインターフェイスデバイス

インテリジェント・オブジェクト コンピュータが中に入り、機械の側が知的になって、今まで人間がやっ ていたことを機械が代行・補佐出来るようになった。このように、そ れ自身が賢くなったモノや機械のことを「インテリジェント・オブジェ クト」または「スマート・オブジェクト/シング」と呼ぶ(Figure: 2−2−3)。人が身につけているコンピュータと、周囲のモノに組 み込まれたコンピュータが相互にネットワークで繋がることで日常生 活がより便利になるという恩恵をもたらす。

Figure:2−2− 3 インテリジェント・オブジェクト

薬ビンがマイクロ・プロセッサの搭載でインテリジェント・オブジェ クトとなれば、多の薬との併用しようとした際に、副作用の危険性が あれば携帯電話や情報端末にに知らせることができる(Figure:2− 2−4)。インテリジェント・オブジェクトにより生活の「利便性」 や 「安 全性」が向上する。

Figure:2−2−4 インテリジェント・薬ビン

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実世界とのインターフェイスでバイス 具体的に、モノやヒトをコンピュータの世界と結び付ける実世界との インターフェイスデバイスには、非接触データキャリアとして非接触 IC カードや RF-ID[Radio Frequency Identification] がある。表示素子 としては電子ペーパーが実世界と親和性が高いと考えられる。 非接触 IC カード 非接触 IC カードは、大きく密着型と遠隔型に分けられる。遠隔型は 近接型、近傍型、マイクロ波型に分けられる(Figure:2−2−5) 。 現在は、遠隔型の中の10センチ程度の距離で使う近接型が乗車券や 電子マネーなどに用途を広げている。また別の分類では電池の必要な ものと不���要なものに別れる。 現在は、外部から無線でエネルギー供給を受け、取り替えの手間が必 要ない電池なしが主流である。その中でも情報と電力の転送に電磁誘 Figure:2−2−5 非接触 IC カード

導方式 [Inductive Coupling] が幅広く使われるが、密着型では静電結 合方式 [Capacitive Coupling] が使われることもある。なお、マイクロ 波型は自ら電波を出し、電池が必要なのが一般的である。 応用としては、NTT の IC カード公衆電話が1999年に世界に先駆 けてテレホンカードに非接触カードを導入したが、これは密着型を利 用している。また、JR 東日本の Suica は、2001年秋からサービ スが始まったが、近接型非接触 IC カードでソニーの FeliCa を利用し ている。これは周波数が13.56MHz で転送速度は211Kbps で ある。

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RF-ID(電子タグ) RF-ID チップは仮想世界と現実世界を結ぶリンクとしてユビキタス・ コンピューティングに欠かせない要素技術である。あらゆる商品に無 線タグを付けることができれば、ヒト向けの ETC(ノンストップ自動 料金支払いシステム)、つまり買い物カートに商品を載せて、精算ゲー トを通るだけで、お金を引き落とすシステムが可能となる。これによ り冷蔵庫の中身を認識することで料理レシピの提案したり、買い物中 に該当する商品の前で、不足している日用品を知らせてくれる買い物 PDA なども実用化できる。近未来には冷蔵庫が自動注文することも Figure:2−2−6 インテリジェント・ゴミ

可能となる。 ゴミに RF-ID タグが付いて「インテリジェント・オブジェクト」とな れば、素材や製造の過程、再利用の可能性、焼却や溶解の危険性と いった情報をゴミ自体に搭載されることになる。そうすれば、廃棄物 処理システムとの情報交換により、自動分別が可能となったり、ゴミ 箱に何を捨てたか分かれば、足らなくなった品を注文することもでき る(Figure:2−2−6)。 コンピュータを搭載したインテリジェント・ゴミ箱は、1999年 10月にロンドンにある NCR のナレッジラボが発表し、製品化はさ れなかったものの、身の回りの生活製品にコンピュータが搭載された ことによって得られる利益の具体的な提案であったので注目された。 ここでは RF-ID ではなく、捨てるモノのバーコードをゴミ箱が読み込 むといったものだったが、それによりゴミ箱がゴミの種類を認識し、 ビン類、紙類、生ゴミに自動分別したり、ユーザの捨てたゴミの履歴 の記憶から、買い物の提案をする機能を持ったゴミ箱であった。将来 的には RF-ID と融合が予想される。 MIT を中心としてプロクター&ギャンブルなどのメーカーやウォル マートなどの流通業者が協力し、全ての商品にバーコードに代わっ て RF-ID を付けようという試みとしてオート ID プロジェクトがある。 2002年からは大日本印刷が研究開発に加わった。流通する全ての 商品が個別の ID を持つので、どの流通過程に商品が何個あるのか分 かり、無駄を最小化出来るという利点がある。しかし、RF-ID の普及 には技術的な障害もあるが、コストが最大の問題であり、プロジェク トは遅れ気味である。現在 RF-ID は1ドル前後であるが、単価が高い ため全ての商品に付けることが出来ない。MIT のオート ID センター は一個5セントを目標にしており、印刷インクがアンテナとなるのが 特徴で、単価30セントで実現できるモトローラ [Motorola] の RF-ID 技術、BiStatix が有望であったが、タグにリーダライタを10センチ 位まで近付けなければならない理由と業績悪化により、モトローラは RF-ID から撤退してしまった。

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それに代わって浮上したのがベンチャーのエイリアン・テクノロ ジー [Alien Technology] の製品で、リーダライタから1メートル位の 距離でも認識できる。しかし単価5セントのためには100億個の ロットが必要で、オート ID 計画にかかわっている会社の商品は総計 5500億個であるため実現の可能性はあるが、RF-ID に500億円 以上の費用がかかる。そのため大成功か大失敗のどちらかであると言 われている。 また欧州中央銀行が2005年までに、ユーロ紙幣に偽造や不正流通 の防止のため、RF-ID を埋め込む計画を進めている。これによりお金 の履歴が追跡でき、マネーロンダリングがやりにくくなる。2002 年に EU のうち12か国がユーロ紙幣に移行し、1月には市中に 100億枚が出回り、45億枚が銀行等にある。この計画が実現する ならば、超低価格の RF-ID が実用化される可能性が高い。 電子ペーパー 液晶ディスプレイよりも紙に近いディスプレイで、紙のように高いコ ントラストと電源を切っても内容を保持できる特徴がある。その原理 は、紙の表面で半球が白、半球が黒の多数の微細なボールを制御して、 文字や図形を表示させようとしたり、細かな透明のボールに電場で制 御出来るインクを入れておき、白と黒を自由に見せたりといった試み から始まっている。ゼロックス・パークから生まれたジリコン・メディ ア [Gyricon Media] 社、MIT から生まれたイー・インク [E ink] 社を はじめ、多くの企業が研究開発している。

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(3)ユビキタス・コンピューティング

ユビキタスの誕生とマーク・ワイザー 現在ユビキタス・コンピューティングについては様々な研究がなされ ているが、現在のパソコンの基礎技術のほとんどを独自に生み出した ゼロックスのパロアルト・リサーチセンター [PARC] のマーク・ワイ ザーが1988年からユビキタス・コンピューティング=「どこにで も遍在するコンピュータ」というコンセプトで行いはじめた研究開発 に端を発する。マーク・ワイザーはネットワークで繋がれた多数の小 型コンピュータからなる統合された単一システムがあまねく世界をお おっている感じを、ラテン語の「神はどこにでも遍在する」という使 い方をされる宗教用語を用い、"Ubiquitous Computing" という言葉で Figure:2−2− 7 マーク・ワイザー

表した。ワイザーはユビキタス・コンピューティングの父と呼ばれて いる(Figure:2−2−7)。 パークにおけるユビキタス・コンピューティングの起原が示されて い る 論 文 [Mark weiser,et al.,The origins of ubiquitous Computing reserch at PARC in the late 1980s] によると、はじまりは1987年 の表示だけではなくペン入力やスキャナー入力も可能な壁面大の平面 ディスプレイの提案であった。ここから今までの黒板のように使えて、 しかもコンピュータの機能を持つ「コンピュータ・ウォール」のビジョ ンが生まれた。もう一つの起原は、文化人類学者のグループによるコ ンピュータ利用に対する観察から、コンピュータの日常の社会への実 際の組み込まれ方、及び複雑な物理的環境に対する関わり方について 生まれた考えに始まった。そして1988年はじめにユビキタス・コ ンピューティングのプログラムが創設されたが、当初はパソコン使用 の複雑さによる困難、利用者に要求される過大な注意、人々の隔絶、 机の上や日常生活に植民することによる支配など、パソコン間違いに ついての過激な回答としてしか見られていなかった。

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ユビキタス・コンピューティングと空間性 ワイザーは1991年にユビキタス・コンピューティングの原点と も い う べ き 記 念 碑 的 論 文 [Mark Weiser,The Computer for the 21st Century] を発表して、コンピュータサイエンス研究者の注目を浴びた。 その概要は、「本来のコンピュータは、私たちがその存在を意識しな い形で、生活の中にとけ込んでいくだろう。一つの部屋に数百ものコ ンピュータがあって、それらがケーブルと無線の両方のネットワーク で相互に接続されるだろう」である。 またイントロダクションは、「10年から20年先のコンピュータは どのようになるだろうか。というより、どのようなものであるべきな のかー現在のコンピュータのパラダイムを作ったゼロックス社パロア ルト研究所で、筆者たちはこのテーマと取り組んできた。その中から 『ユビキタス・コンピューティング』という新しい概念が生まれた。 これはどこにでもあるコンピュータという意味で、現在のようにコン ピュータが表に出ていて。それだけで独自の世界を作っている姿とは 違う。かつてのモータが目の前から隠れてしまったように、コンピュー タが背後に完全に隠れてしまうシステムなのである。あくまで人間 が主役なのだ」で始まっている。、少し後には、「背後に隠されたコン ピュータが相互に連絡をとりながら、あらゆる面で、人間をサポート する。それはあくまで環境であって、人間はそれを意識することもな いし、システムが人間を強制することもない新しい世界だ」とある。 ワイザーはここで個人向けコンピュータの重要性を強調しており、ま さに環境としてのコンピュータである。 また「私たちはきわめて重要な二つのこと、すなわち場所と大きさ に気がついた。人間の知覚にとって『物理的に置かれていること』ほ ど本質的なことはない。『どこにでもあるコンピュータ』は、ありと あらゆるところにあるので、それぞれが、いまどこに置かれている のかを自ら知っておかなければならない。これと比べて、今日のコン ピュータは置かれている場所や環境に関心が払われていない。もしコ ンピュータが置かれている部屋を単純に知ることができれば、人工知 能など使わなくても、人間の行動に合った適切な振る舞いをさせるこ とができる。『どこにでもあるコンピュータ』はさまざまな大きさを とり、それぞれが特定の目的に合ったものになるだろう」と指摘して いる。 コンピュータが人間の要求に答えるためには、現実の生活空間がどう なっているのかを知らなければならない。そのための重要な要素が 「場 所と大きさ」にあるという指摘である。

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ユビキタス・コンピューティング実現の試み 1988年の終わりには、パークにおいてライブボード [LiveBoard]、 パッド [ParcPad]、タブ [ParcTab] の開発計画が始まり、後者二つは、 DARPA の支援を3年間得ていた。1992年までに最初のプロトタ イプが出来上がり、1994年には所内のインフラとして使えるよう になった。 ワイザーらはユビキタス・コンピューティング実現の試みとして、 「タ ブ」という手のひら大のコンピュータ、パッドというノート大のコ ンピュータ、「ライブボード」という黒板大の共同作業用ディスプレ イ、各人が身に付けることによりオフィスでの位置を知ることができ る「アクティブバッジ」といった道具立てで、身の回りに溶け込んだ コンピュータで人々の日常の活動を支援する研究をすすめた。

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アクティブバッジ アクティブバッジは、身に付けている人の固有の認識信号を、15秒 毎に1/10秒間発する赤外線送信機のついた55×55×7ミリの 大きさのバッジである(Figure:2−2−8)。オフィスの必要な場 所にセンサを配置することにより、各人の位置を数メートル程度の精 度で、おおざっぱであるが認識する。バッジは電池一個で一年以上も つが、バッジから発せられた赤外線がセンサまで届かないとうまく働 かない。 1990年代初めに「建築内で何かを捜し出す」システムとして、ア クティブバッジが発する赤外線を、館内の随所に設置された赤外線セ ンサが読み取り、 「どの場所に誰がいるか」という情報をワークステー ション画面上のビルのレイアウトの中に表示するシステムが作られ、 Figure:2−2−8 アクティブバッジ

実際に運用された(Figure:2−2−9)。これを付けた人がドアの 前に立つと権限があれば開き、電話は自分の居場所に転送され、コン ピュータ端末はユーザの好みを知ることができる。 アクティブバッジは英国ケンブリッジの当時のオリベッティ研究所 [Olivetti Reserch Laboratory、現在は AT&T Laboratories Cambridge] だが、担当のロイ・ワント [Roy Want] は PARC へ移ってこれをユビ キタス・コンピューティング・プロジェクトに使った。プロトタイプ は1990年2月に稼働なので、建築内の位置検出システムとしては、 1988年11月に沖電気/竹中工務店が開発した個人位置認識カー ドシステムの方が早い。

Figure:2−2−9 パーソナル・ロケータ

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タブ・パッド・ライブボード タブ(Figure:2−2− 1 0)はメモやポストイット代わりのコン ピュータで、アクティブバッジも兼用する。タブを持ち歩けば必要な ファイルやプログラムを近くのディスプレイにただちに呼び出すこと ができる。タブは一人当たり数百個、パッド(Figure:2−2− 1 1) は紙のように使うノート代わりのコンピュータで机の上に必要な枚数 を広げて使うため一人当たり数十枚、ライブボード(Figure:2−2 −12)は黒板代わりに使い一人に1ー2枚という姿を想定している。 ユビキタス・コンピューティングの手始めとしてこのような3種の大 Figure:2−2−10 タブ

きさのコンピュータを、まさに身の回りのモノのようにして扱う実験 を行った。 反応するオフィス環境 ゼロックス・パークではその後「反応するオフィス環境」と称して、 環境のパーソナライゼーションを実現した。各個人のタブ(アクティ ブバッジ兼用)によりオフィスの温度や照明が個人の好みに合わせら れたり、また在室センサにより使われていない部屋の照明や空調が切 られたり、アクティブバッジとオンラインカレンダーの組み合わせに よりコンピューターが各人の不在の時間帯を見いだして、計画的な省 エネが行われるといった実験がなされた。

Figure:2−2−11 パッド

Figure:2−2−12 ライブボード

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今後のコンピュータ ワイザーのユビキタス・コンピューティングの実質的研究活動は、 1 9 8 8 年 か ら 1 9 9 4 年 ま で で あ り、"ubiquitous" と い う コ ン ピュータが実生活の空間の中にあまねく普及するというメッセージは 研究コミュニティに大きな影響を与えた。 ワイザーは1999年4月に肝臓疾患で病死したが、ワイザーの目 指した目標は今も有効である。ワイザーは、後に「静穏なテクノロジ Figure:2−2−14 コンピュータの進化

[Calm Technology]」を主張していた。晩年の1996年の論文 [Mark Weiser and John Seely Brown,the coming age of calm technology] で は、ユビキタス・コンピューティングを以下のように説明している。 まずコンピュータの時代区分を、 1.メインフレーム(大型計算機)…多くの人間が一台のコンピュー タを共有 2.パーソナルコンピュータ…一人一台のコンピュータ 3.インターネット…広域分散処理 過渡期 4.ユビキタス・コンピューティング…多数のコンピュータが我々一 人一人を共有 に分類した(Figure:2−2− 1 3)。メインフレームというのは大 型コンピュータだけを指すのではなく、パソコンであっても複数の人 間が共有していたらメインフレームであるということで、サーバをさ している。同様にパーソナル・コンピュータも、ふつうのパソコンだ けでなく、個人が所有あるいは占有していたらパーソナル・コンピュー タだという定義だ。だからコンピュータとしての携帯電話であって も、個人が占有していたらパーソナル・コンピュータとなる。クライ アントを指している。そして、インターネットは、メインフレームと パーソナル・コンピュータの要素の混在、つまりクライアントサーバ・ コンピューティングが地球規模に広がったものとし、あくまでも次 の時代への過渡期であるとしている。そして次の第4の波がユビキタ ス・コンピューティングだとしている。パーソナル・コンピューティ ングからユビキタス・コンピューティングへの移行は2005年から 2020年ごろになる。

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(4)ウェアラブル・コンピュータ

携帯電話とウェアラブル・コンピュータ 昔の電話は、単に音声情報をやり取りする機能しかなかったが、最近 ではディスプレイが付き、文字データが扱えるようになり、非常に画 期的な進歩を遂げた。携帯電話は電子メールの端末にもなっており、 現在インターネットに接続可能な携帯電話は5000万台以上ある。 近未来の携帯電話が現実世界に組み込まれたコンピュータとの橋渡し をする標準装置となる可能性が高い。 ウェアラブル・コンピュータの歴史 ウェアラブル・コンピュータについて考えてみると、ノートパソコン のように携帯可能なだけでなく、「身につけられるコンピュータ」と いうことになる。携帯電話は常に私たちが持ち歩くコンピュータだ から、モバイル(携帯可能) ・コンピュータであると同時にウェアラブ ル・コンピュータの初期段階ともいえる。ウェアラブル・コンピュー タは1965年に MIT(マサチューセッツ工科大学)のエドワード・ ソープ [Edward Thorp] とクロード・シャノン [Claude Shannon] が考 案し、1961年に試作されたルーレットの動きを予測する「身につ ける」コンピュータが最も古いとされる。ウェアラブル・コンピュー タは MIT メディアラボで有名だが、ウェアラブル・コンピュータと いう言葉は1991年に CMU(カーネギーメロン大学)の研究グルー プが作ったという。ウェアラブル・コンピュータの目標は時計やメガ ネや服の形をしていて、身につけているユーザの感覚や記憶を増強さ せることにある。Federal Express や UPS ではすでに何千人もがウェ アラブル・コンピュータを使用しており、軍でも戦闘用などに実戦配 備が予定され、さらに服の布地の中にどのようにして電子回路を埋め 込むかなどの研究も行われている。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

ヘッドマウント・ディスプレイ ウェアラブル・コンピュータにおいて、まだ開発途上であるがメガネ に小さなコンピュータを埋め込み、レンズのそばに超小型ディスプレ イを付ける試みがある。さらに、ここに小さな無線送受信機を付けれ ば、メガネをかけたままで空中にいろいろな情報を浮かび上がらせる ことも可能になる。理想はメガネのレンズがディスプレイになること だが、実現はもう少し先になるだろう(Figure:2−2− 1 5) 。 このようなディスプレイは「透過型ディスプレイ」といい、現実に見 Figure:2−2−15 ヘッドマウント・ディスプレイ

ているものが見えたまま、同時に表示装置としても活用できるように したものである。研究者の間では「頭に付けることができる」という 意味で「ヘッドマウント・ディスプレイ」と呼ばれているが、小型化 すれば「透過型メガネ=メガネ型ディスプレイ」であり、ウェアラブ ル・コンピュータに欠かせないデバイスになる。

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 研究背景

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(5)拡張現実感 [Augmented Reality]

拡張現実感 [Augmented Reality] ユビキタス・コンピューティングの世界に、ウェアラブルのデバイス を導入する研究は現実世界にコンピュータの仮想情報を重ね合わせる 拡張現実感 [Augmented Reality] という分野に発展している。実世界 (指向)インターフェイスの研究の中でも重要である。 カルマ [KARMA] コロンビア大学では外界が透けて見える透過型ディスプレイと空間位 置センサを組み合わせたものを頭に装着して、レーザープリンタの保 守を支援するカルマシステムを試作した(Figure:2−2− 1 6) 。レー ザープリンターをどのように分解したら良いかなどの情報が、透過型 ディスプレイをかけて見ると線画の虚像として、実物の上に投影され る。電子的属性を与えて現実を強化する試みとして拡張現実の古典的 研究となっている。

Figure:2−2−16 カルマ

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

デジタルデスク [Digital Desk] ゼロックス・ユーロパーク [XEROX EuroPARC} のデジタルデスクは、 現実の机の上にコンピュータ画像を上から投影し、同時にテレビカメ ラで机の上を撮影し、コンピュータに送れるシステムである(Figure: 2−2− 1 7)。このデジタルデスクはコンピュータから投影された 映像も机の上の紙の文書も読むことができる。そしてペンや手による ジェスチャコマンドに反応して処理が行える。現実の机や、書かれた 文書がコンピュータの力で強化されるという試みである。 Figure:2−2−17 デジタルデスク

カメレオン [Chameleon] トロント大学のカメレオンシステムは、手のひら大のディスプレイに 空間位置センサを装着したデバイスを身の回りのモノに近付けること により、そのモノに関する情報をディスプレイに表示させることが出 来るのものだ(Figure:2−2− 1 8)。応用としては壁に貼ってある 地図を組み合わせて、ある地域のより詳しい情報や天気などを表示さ せるアクティブ・マップ、あるいは図書館に応用したアクティブ・ラ イブラリー・システムなどが考えられた。 Figure:2−2−18 カメレオン

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(6)ユビキタス・コンピューティングと Virtual Reality の違い

正反対の概念 ヘッドマウント・ディスプレイを使って現実には存在しないものを 見るという点においては、仮想現実感 [Virtual Reality] も拡張現実感 [Augmented Reality] もコンピュータの世界に没入したようになる。 バーチャル・リアリティを体験するためには、専用のスーツやグロー ブやヘッドマウント・ディスプレイを付けて、コンピュータ世界の中 に入っていくこととなる。もちろん周りにいる人にはそのその世界は Figure:2−2−19 バーチャル・リアリティとユビキタス・コンピュータ

全然見えないのだが、当人は空中になにかモノがあり、掴むことも出 来るという感覚を味わうことが出来る。バーチャル・リアリティは、 コンピュータの仮想世界が人を包み込む体験を与えるものである。 一方ユビキタス・コンピューティングは、コンピュータが現実社会に 飛び出してくるのである。しかし、ユビキタス・コンピューティング の世界では、ほとんど何も身につける必要はない。せいぜいリモコン を兼ねた携帯電話を持つくらいである。また、普通のメガネにボタン サイズの超小型コンピュータを埋め込んで利用できるようになるだろ う。普段は普通にメガネとして使っていて、必要に応じて、コンピュー タの情報画面が現れるといった使われ方になる。 ユビキタス・コンピューティングの世界は、ごく普通の人が普通に生 活を送る中で、ほとんどその存在に気付かないまま、コンピュータに サポートされている状態になる。つまり「ユビキタス・コンピューティ ング」と「バーチャル・リアリティ」ではコンピュータの使われ方が 決定的に異なるのであり、お互いは似て非なるものである。むしろ両 者は全く逆の発想であり、正反対の概念を提案している(Figure:2 −2− 1 9)。マーク・ワイザーはユビキタス・コンピューティング とバーチャル・リアリティが反対の概念だと強く主張した。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(7)TRON プロジェクトと建築

TRON プロジェクト TRON プロジェクトは「どこでもコンピュータ」環境というビジョン を目標に、そのための新しいコンピュータ技術体系を確立するという ことを目指し、東京大学の坂村健教授を中心に1984年に始まった。 TRON プロジェクトで行われた研究開発は大変幅広く、TRON[The Real-time Operatingsystem Nucleus =「実時間 OS」] は現在、世界 で最も使われている組込 OS となっている。 ユビキタス・コンピューティングに関しては、1984年に論文 「TRON トータルアーキテクチャ」の中で、どこでもコンピュータ環 Figure:2−2−20 どこでもコンピュータ環境

境を MTRON と称し、「MTRON 規格は、インテリジェント・オブジェ クトを実現し環境制御に用いるための規格体系である。インテリジェ ント・オブジェクトとは、人間の周囲のさまざまな『もの』にマイク ロ・コンピュータを組み込んだものである。それらはマイクロ・コン ピュータの制御により能動的に動作して、人間を取り巻く環境を最適 なものにすることを目的とする」と記している。マーク・ワイザーに よる「ユビキタス・コンピューティング」という言葉が誕生する以前 なので、「ユビキタス・コンピューティング」という言葉自体は使用 していないが、マーク・ワイザーの唱えた目的と全く同じであったこ とが分かる。MTRON はその後には超機能分散システム [HFDS:Highly Functionally Distributed System] と呼ぶようになった(Figure:2− 2−20)。TRON プロジェクトにおいて、大量のマイクロ・コンピュー

Figure:2−2−21 未来の都市でのユビキタス生活

タが使われる将来の生活空間を検証するために、住宅、自動車、オフィ スなどのデザインを通じて、都市の未来像についての研究がなされた (Figure:2−2−21)。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

TRON 電脳住宅 1988年に民間企業16社の企業連合体による、コンピュータの能 力をふんだんに利用した電脳パイロット住宅の実験プロジェクトを起 こした。���の TRON 電脳住宅は1889年末に東京・六本木に完成 した。広さ330平方メートルで扉、天井、壁などあらゆる要素や設 備にコンピュータが組み込まれ、未来の生活環境を、当時の技術でで きる限り再現しようとした(Figure:2−2−22)。3年間をかけ て実際に人がすむ試験居住を含めたさまざまな実験を行い、各種デー タを取り、強調、妥協動作の研究を行った。実験後は取り壊されたが、 TRON 電脳住宅は直接施工費だけでも10億円かかっている。 電脳住宅の多数の窓は、コンピュータで制御され、自動的に開閉され るものだった。自然空調にまかせ気持ちいい風が吹いていれば、それ にあわせて風通しをよくし、外気の条件が悪くなれば閉まり、空調シ ステムに引き継ぐといった判断を自動的に行うといった判断を自動的 Figure:2−2−22 TRON 電脳住宅の内部

に行うようなコンピュータの協調動作の実験を行った(Figure:2− 2−23)。他にも検討した協調動作の例として、警報システムの情 報を照明システムに伝えて自動点灯/消灯したり、日照のデータも照 明システムだけでなく空調システムにも送るというものがあった。あ るいは音楽がピアニッシモにさしかかると、空調システムが一時的に 静音運転になる、また電話を取るとその電話機の近くの音響機器はボ リュームを絞るなど、3年間をかけて11組55人の試験居住を含め た、さまざまな実験研究が行われた。 住宅全体で主要なサブシステムでおよそ400、細かいものまで含

Figure:2−2−23 TRON 電脳住宅の窓

めれば1000個くらいのコンピュータが組み込まれていた。当時は コンピュータの性能が低かったので、ワークステーションクラスのコ ンピュータが用いられ、ネットワーク技術も未発達だったため、屋根 裏には大量のケーブルが引かれているという状態だった。しかしコン ピュータを徹底的に隠し、その存在を感じさせない、デモンストレー ションではない実用的な住宅だった。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

TRON 電脳ビル TRON 電脳ビルプロジェクトは、TRON 電脳住宅と同時期の1987 年ごろから研究が始まり、1989年には企業も参加する研究会が 作られたが、結局完成することはなかった(Figure:2−2−24) 。 TRON 電脳ビルは、コンピュータを使わない人々にとっても、コン ピュータを積極的に使う人にとっても、ビル内のすべての人々が気持 ち良く過ごせるような機能、空間デザインを提供することが基本ポリ シーに、「空間が個人に動的に適応する」「どの仕事空間も自分の仕事 になる」といった方針で進められ、多様な空間を自分の思ったような 環境にできるように考えられていた(Figure:2−2−25) 。つま り空気、光、音を、自分に合ったものにきめ細かく調整を行うことが できるようにしてあるということだ。適応型空調・照明により、空調 や照明は大部屋でも場所ごとにきめ細かく、そこにいる人が快適にな るよう制御できるよう考えられた。 人間の所在をビルが検知し、どこにいても連絡できたり、どの場所に いてもその人の好みの環境を作り出す、現在の非接触 IC カードに相 当する「スーパー ID システム」が考えられた。 Figure:2−2−24 TRON 電脳ビル

また「物流拡散」という物の格納・管理、スペースの有効利用を目指 したコンセプトが打ち出された。 さらに、「機械とのコミュニケーションの統一」をうたい、TRON で 規格したユーザインターフェースで館内を統一し、利用者が惑わない ようになっていた。

Figure:2−2−25 TRON 電脳ビル内部

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

デジタルミュージアム デジタルミュージアムは東京大学総合研究博物館で1996年より 2002年まで進められた、コンピュータ技術、デジタル技術を徹底 的に博物館に適用した、未来の博物館の研究プロジェクトである。デ ジタルミュージアムには、TRON プロジェクトの成果が多数利用され ている。 柱としては、収蔵物の持つ多様なデータをデジタルデータ化し、相互 関連を引き出すことのできるデータベースにするデジタル・アーカイ ブ。またこれをネットワークを通じて公開するバーチャル・ミュージ アム。そして実際の博物館の展示(リアル・ミュージアム)にコンピュー タ技術を適用し、リアルとバーチャルを融合させ互いに補完・強化す ることにより利用者の理解を支援している。いわば、博物館展示にユ ビキタス・コンピューティングの考えを適用したものでもある。 従来の展示では「物」の資料に「物」のパネルで解説が付けられ、利 用者はそれを読み取ることしかできなかった。さらに詳しい情報や不 明点の解説は、運良く専門家がそばにいて聞くことでもできなければ 分からないままであった。デジタルミュージアムでは実物資料から利 用者の望む情報をどんどん引き出していくことができるし、逆にその 情報から関連する別の実物資料に誘導される。 2002年初頭には東京大学本郷キャンパスにおいて「デジタル ミュージアムⅢ」が開催された。これは1997年の「デジタルミュー ジアム∼電脳博物館 博物館の未来∼」、2000年の「デジタル ミュージアム2000」に続き、デジタルテクノロジーが博物館をど う変えるのかを主眼とした展示会の3回目にあたる。 初回の「デジタルミュージアム」では、来館者に博物館用携帯端末ー PDMA[Personalized Digital Museum Assistant] を受付で貸し出し、持 Figure:2−2−26

ち歩きながら見学する試みを行った。来館者は最初に各自の属性情報

PDMA

を打ち込めば、あとは展示物に PDMA を近づけると、個人に合わせ たレベルや言語でテキストを PDMA の画面に表示する。視聴覚障害 者向けには音声を読み上げもできる。展示物と博物館用携帯端末の間 は赤外線通信が利用された。

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 研究背景

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

一方「デジタルミュージアムⅢ」では、非接触型スマートカードで ある「博物館カード」を展示全般に全面的に採用し、来館者は博物館 カードを持ち歩くだけで、過区展示で個人の趣味に合った情報提供を 受けたり、興味のあった展示を簡単にカードに記録などができるよう になっていた(Figure:2−2−27)。このカードはセキュリティ 確保のために、「どこでもコンピュータ」社会のセキュリティ基盤の ためのアーキテクチャである eTRON 技術が使用された。 博物館カードにより、博物館が一人一人の好みに変身する、パーソナ ライズド・ミュージアムである。パンフレットを購入すると博物館カー ドが一枚同封されており、設定端末に博物館カードを置いて、利用者 が自分の好みや特性を入力すると、博物館の展示がその通りに変わる。 Figure:2−2−27 博物館カード

説明端末にカードを置くと、各人の特性に従った説明を表示してくれ る(Figure:2−2−28)。また「お気に入り」を選ぶと、その展 示の内容をカードに記録することができ、案内端末に博物館カードを 置くと、各人の好みに従って、どの展示を見ると良いかお勧めを表示 してくれる。さらに、どこの展示をまだ見ていないか表示してくれる ので、再度来た時にも便利である。 もちろん、博物館カードは持ち帰ることができるようになっており、 来館の際に博物館カードに記録された展示内容は、家に帰ってから、 インターネットで博物館にアクセスするとマイホームページとして見 ることができるようにされた。これはカード一枚ごとに設定された内 容が博物館サーバに記録されていたからである。

Figure:2−2−28 カード読み取り用端末

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

   2ー3 携帯電話

本調査に先立ち、携帯電話の契約数と携帯電話の歴史について調査し た。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(1)携帯電話の普及

携帯電話契約数 日本で携帯電話サービスは、今から20年前の1979年(昭和54 年)に当時国営であった電電公社によって開始された。移動体通信機 器ということでは、1968年(昭和43年)にポケットベルサービ スが開始されていたが、双方向通信が可能な機器は携帯電話が初めて のメディアであった。今でこそ、電気店などで手軽に携帯電話機が買 えるようになったが、1994年4月に自由化されるまでは携帯電話 機はレンタル制度で、前年の1993年10月以前は10万円という 高い保証金が必要であった。 携帯電話の自由化以降、契約数は驚異的に伸びている。固定式一般電 話の場合、1世帯につき1台、近年の情報機器の発達によって、FAX やインターネットにもう1回線使用するということを考慮したとして も、多くても2台というのが一般的である。しかし携帯電話は、1世 帯に1台というわけではなく、各個人が所有するものなので、携帯電 話がある程度普及した今でも契約数は増加し続けている(Figure:2 −3−1)。

携帯電話契約数 (千台) 90000 80000 70000 60000 50000 40000 30000 20000 10000 0

契約数

'96.01 '98.01 '00.01 '02.01 '03.09 1996年1月 1998年1月 Figure:2−3−1 携帯電話契約数

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

携帯電話の歴史 1970 年

1986 年

大阪万博へ携帯電話試験機出展

1986.6 ・100 形 ( 改良形電話機 ) 販売開始

1979 年

1986.7

1979.12

・200 形 (JMPS) 売切開始

東京地区アナログ大都市方式サービス開始 【セルラー方式自動車電話サービス開始】

1986.8 ・自動車電話用 FAX 販売開始 1986.9

1980 年

電話番号「040」追加

1980.11

1986.10

大阪地区自動車電話サービス開始

・300 形 (SMPS) 販売開始

ダイヤルロックサービス開始 1987 年 1981 年 1981.8 日曜・祝日割引の開始

1987.4 ハンディタイプの携帯電話 II 形販売開始 【携帯電話サービス】 ・携帯電話 TZ-802 型

1982 年

120mm 42mm 180mm

1982.1

質量約 900g

名古屋地区自動車電話サービス開始

充電時間約 10 時間 連続通話時間約 60 分

1984 年

連続待受時間約 6 時間

1984.3 アナログ中小都市方式 ( 全国広域サービス ) 開始

1988 年

1984.10

1988.5

硬貨投入式自動車電話機販売開始

アナログ NTT 大容量方式 (HICAP) サービス開始

国際通話サービス開始

( 東京 23 区 )

国際ダイヤルオペレーター開始

秘話サービスの開始 101 型、201 型大容量移動機の販売 ( 東京 23 区 )

1985 年

・新形ショルダーホン販売開始

1985.4

・自動車電話 (101 型 )

電電公社民営化、NTT に

・ショルダーホン (101 型 )

1985.9

1988.11

NTT、肩掛けタイプのショルダーホン発売開始

・202 型販売開始

【ショルダーホン導入】

1988.12

・ショルダーフォン (100 型 )

携帯電話から国際通話サービス開始 ( 個別契約 ) 〔日本移動通信 (IDO) サービス開始〕( 東京 23 区 ) 大阪地区アナログ大容量方式サービス開始

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

1989 年

1993 年

1989.2

1993.3

アナログ大容量方式携帯電話販売開始

首都圏で 800MHz PDC デジタルサービス開始

自動車電話の転送でんわサービス開始

【デジタル方式サービス開始】

・携帯電話 TZ-803 型

( 首都圏:東京を中心とした 30km のエリア )

・自動車電話 (203 型 )

留守番電話サービス開始

・ショルダーホン (203 型 )

・デジタル・ムーバ N 発売 (TZ-820B)

1989.3

・デジタル・カーホン 発売

・走行中充電型アナログ大容量ショルダーホン

・デジタル・ショルダーホン 発売

販売開始

1993.4

1989.3

・ムーバ N 発売 (TZ-804 後期型 )

東海地区大容量方式サービス開始

1993.7 NTT ドコモ、全国の地域9社に分社

1990 年 1990.5 101 型 ( カラー電話機 ) 及び 102 型 ( 前面ダイヤル電話機 ) の売切開始

1994 年 1994.4 「お買上げ制度」の開始

1990.7

お買上げ専用ムーバ(ムーバ II)販売開始

携帯・自動車電話のキャッチホンサービス開始

・ムーバ N ll 発売 (TZ-805 前期型 ) デジタル 1.5GHz PDC サービス開始

1991 年

お買い上げ方式

1991.4

・デジタル・ムーバ 1.5G N 発売

超小型携帯電話「ムーバ」発売開始

ドンドンコールサービス開始

【ムーバサービス開始】

ドコモ関西・東海、800MHz PDC サービス開始

・ムーバ N 発売 (TZ-804 前期型 )

1994.5 ドニーチョサービス開始 ( アナログ方式 )

1992 年

1994.9

1992.3

ドコモ中国、800MHz PDC サービス開始

度数表示サービス開始

1994.10

1992.5

ドコモ関西・東海、1.5GHz PDC サービス開始

ムーバ秘話サービス開始

ドコモ北海道・東北・九州、800MHz PDC サー

1992.7

ビス開始

NTT ドコモ、NTT から分社

1994.11

NTT 移動通信網 ( 株 ) 営業開始

・アナログ方式レンタル専用ムーバ Pv2 発売 クイックナンバーサービス開始 グループレートサービス開始 1994.12 ドニーチョサービス開始 ( デジタル方式 )

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「歩行中の携帯���話使用による広告看板認識に関する研究」

1995 年

1997 年

1995.1

1997.1

ドコモ北陸・四国、800MHz PDC サービス開

・デジタル・ムーバ N152 HYPER 発売

・デジタル・ムーバ P301 HYPER 発売 DoPa 対

1995.4

アクセスナンバーサービス開始

1997.2

ダイレクトナンバーサービス開始

データレートサービス開始 ( デジタル 1.5GHz)

デジタル・ムーバ HYPER の発売開始

1997.3

【デジタル・9600bps 高速データ通信サービス】

DoPa( ドゥーパ ) サービス開始

・デジタル・ムーバ N ll HYPER 発売 (TZ-822B)

800MHz PDC・28.8Kbps パケット通信サービス

・ムーバ N ll 発売 (TZ-805 後期型 )

( 企業 LAN 接続のみ )

1995.5

1997.4

三者通話サービス開始

電話番号に (020) 追加

1995.7

PHS 32K データ通信サービス開始

関東、北海道で PHS サービス開始

PHS PIAS ネットサービス開始 (InfoSphere)

1995.8

PHS きゃらメールサービス開始

・デジタル・ムーバ N lll HYPER 発売 (TZ-831)

・Libretto モバイルパック販売開始

1995.12

・サテライト・ポータブルホンD衛星携帯電話機

デジタル・ムーバ 101 HYPER シリーズ販売開

発売

・デジタル・ムーバ N203 HYPER 発売

ハーフレート機

1997.5

・デジタル・ムーバ N101 HYPER 発売

フリーナンバーサービス開始 10 円メールサービス開始

1996 年

1997.6

1996.1

伝言ボックスサービス開始

電話番号に「080」 「090」追加

ショートメールサービス開始

1996.3

・モバイルZ 販売開始

【衛星移動通信サービス開始】

・デジタル・ムーバ N153 HYPER 発売

1996.4

1997.8

・デジタル・ムーバ N151 HYPER 発売

D( ドライブ ) モードサービス開始

・デジタル・ムーバ N102 HYPER 発売

データ系直収サービス開始

・デジタル・ムーバ N103 HYPER 発売

DoPa インターネットサービス開始

1996.9

・Mobile Gear for DoCoMo 販売開始

電話番号に (010) 追加、(040)(090) 廃止

1997.11

1996.10

電話番号に (040) 追加

PHS との接続開始

・デジタル・ムーバ P205 HYPER 発売

・デジタル・ムーバ N201 HYPER 発売

重さ約 79g、体積約 78cc で当時世界最小・最軽

1996.12

・デジタル・ムーバ N202 HYPER 発売 .

1997.12

・ デ ジ タ ル・ カ ー ホ ン DoCoMo by

・コニーちゃんのポケットボード発売

NIPPONDENSO ND801 発売 .

アナログ方式新規受付終了 (NTT 大容量方式 )

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

1998 年

1999.3

1998.1

アナログ方式サービス終了

・デジタル・ムーバ N206 HYPER 発売

・デジタル・ムーバ N501i HYPER 発売

1998.2

1999.4

・ピーターパン 販売開始

PHS 64K 本格サービス開始

・INTERTop for DoCoMo 販売開始

・PHS 内蔵携帯電話ドッチーモ SH811 発売

1998.3

・ポケットボードピュア ( ピュアブルー ) 販売開

モバイルQサービス開始

漢字ショートメールサービス開始

・デジタル・ムーバ P601ev 発売 ハイグレード

・デジタル・ムーバ N301 HYPER 発売 DoPa

モデル

対応

1999.5

・ デ ジ タ ル・ カ ー ホ ン E401 HYPER 発 売

ぷりコールサービス開始

DoCoMo アプリケーションカード対応

・デジタル・ムーバ N601ps HYPER 発売

1998.4

1999.6

FAX ばんサービス開始

・Doccimo N811 発売

VALUE-MAIL 販売開始

1999.7

・デジタル・ムーバ N206s HYPER 発売

おはなしプラス BIG サービス開始

・モバイルF 発売 800MHz デジタル

いちねん割引サービス開始

1998.8

ビジネス割引サービス開始

・デジタル・ムーバ N301 HYPER 発売 DoPa

1999.10

対応 .

PHS 64K エリア拡大 ( 東京 23 区・横浜市・川崎

1998.9

市全域 )

おはなしプラス M・L サービス開始

・デジタル・ムーバ P601es 発売

セレクフォンサービス開始

(愛称:らくらくホン)

NTT ド コ モ の 国 際 電 話 サ ー ビ ス「WORLD

1999.11

CALL」開始

最新の音声符号化技術ハイパートークを採用し

1998.10

208 シリーズから対応

・デジタル・ムーバ N302 HYPER 発売

【ハイパートーク開始】

1998.11

・デジタル・ムーバ N208 HYPER 発売

・デジタル・ムーバ N207 HYPER 発売

・デジタル・ムーバ N208s HYPER 発売

・DoCoMo by SHARP SH601em 発 売 E-MAIL

・パケット無線機内蔵メール端末 メッセージウェ

機能

ア エクシーレ 発売

1998.12

1999.12

NTT パーソナルグループから PHS 事業を引き

・デジタル・ムーバ F502i HYPER 発売 日本初カ

継ぐ

ラー液晶端末 ・DoCoMo by Sony SO601ps 発売 ぷりコール対

1999 年

応携帯電話

1999.1

番号通知お願いサービス開始

携帯・PHS の番号が、10 桁から 11 桁に変更

iモード契約数 300 万台突破

1999.2

ドニーチョ新規受付の終了

【iモードサービス開始】 ・デジタル・ムーバ N207s HYPER 発売 ・CASSIOPEIA for DoCoMo 発売 迷惑電話ストップサービス開始

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 研究背景

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

2000 年

2001 年

2000.1

2001.1

どこ Navi サービス開始

・ぷりコール対応デジタル・ムーバ P651ps 発売

2000.2

Java 技術をベースにしたiアプリの提供開始

料金自動案内サービス開始

【iアプリ開始】

・デジタルカメラ搭載のメール端末キャメッセ

2001.2

プチ 発売

・メールチャット端末メッセージウェア エクシー

・デジタル・ムーバ N502i HYPER 発売

レ II 発売

・Doccimo( ドッチーモ ) N831 発売

2001.3

2000.3

・デジタル・ムーバ N503i HYPER 発売

iモード契約数 500 万台突破

2001.4

・デジタル・ムーバ P502i HYPER 発売 初のカー

・デジタル・ムーバ N210i HYPER 発売

ナビ対応

2001.7

・デジタル・ムーバ D601ps 発売 ぷりコール

エリア関連コンテンツを簡単に検索できるiエリ

対応携帯電話

アを提供開始

・サテライトホン DoPa N21 発売 衛星パケッ

2001.8

ト通信サービス対応端末

携帯情報端末と非接触 IC カードを利用したモバ

2000.4

イル e- コマースのフィールド実験を開始

・パルディオ 623N 発売

・デジタル・ムーバ N503iS HYPER 発売

2000.6

2001.9

・デジタル・ムーバ F502it HYPER 発売 Fの

・ムーバ F671i 発売

カーナビ対応 502

(愛称:らくらくホン II)

・Super Doccimo SH821i 発

売 初

superDoccimo

・PHS ブラウザホン パルディオ 641P 発売 2001.10

・デジタル・ムーバ N209i HYPER 発売

【FOMA サービスを提供開始】

2000.7

・スタンダードタイプ FOMA N2001 発売

・デジタル・ムーバ N158 HYPER 発売

・ビジュアルタイプ FOMA P2101V 発売

・Super Doccimo N821i 発売

・データタイプ FOMA P2401 発売

2000.9

・FOMA Mobile Card N2 発売

・デジタル・ムーバ N502it HYPER 発売

2001.11

2000.12

FOMA の動画クリッピングサービス iモーショ

・DoCoMo by Sony SO502iWM 発売 メモリー

ン 開始

スティック対応

・スタンダードタイプ FOMA N2002 発売 2001.12 ・Bluetooth Ver1.1 搭載 PHS パルディオ 633S 発 売 ・ムーバ N211i 発売

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 研究背景

42


「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

2002 年

2003 年

2002.2

2003.1

・ブラウザホン パルディオ 642S 発売

iショットサービス対応携帯電話機が全国で 500

iモードユーザの位置情報取得機能オープンi

万台突破

エリアの仕様公開

・スタンダードタイプ FOMA N2051 発売 カメラ

2002.3

搭載

・ビジュアルタイプ FOMA D2101V 発売

2003.2

2002.4

FOMA サービスエリア拡大

・ルータ機能内蔵 FOMA 端末 FOMA F2611 発

関東甲信越で人口カバー率が約 97%

全国での人口カバー率が約 89%

2002.5

2003.3

iモード及び DoPa(9600bps・デュアルサービ

・ムービータイプ FOMA P2102V 発売

ス ) におけるパケット通信の高速化

腕時計型 PHS リストモ開発

パケット通信速度を下りのみ最大 28.8kbps に

2003.4

高速化

PHS 定額制サービス @FreeD(アットフリード)

・ムーバ N504i 発売

提供開始

2002.6

・ムーバ N211iS 発売

カメラ付き携帯電話で静止画を送信できるi

・ムーバ N251iS 発売 カメラ搭載

ショットサービス開始

2003.5

・ムーバ SH251i 発売 iショット対応

腕時計型 PHS リストモを専用サイトで発売

・スタンダードタイプ FOMA P2002 発売

i ショットサービスの機能を拡充→画像表示拡大

・ブラウザホン パルディオ 641P-II 発売

DoCommerce サービスの開始

2002.7

2003.6

FOMA 端末と 800MHz デジタル方式対応端末

・FOMA N2701 発売 カメラ搭載

対応のデュアルネットワークサービスの提供開

FOMA 国際ローミングサービス WORLD WING

の提供を開始

公衆無線 LAN サービス Mzone を提供開始

FOMA に よ る ク ラ イ ア ン ト 認 証 サ ー ビ ス

・M-stage visual 対応新機種 PHS ビジュアルホ

FirstPass を提供開始

ン Lookwalk P751v 発売

2003.7

・ テ レ ビ 電 話 対 応 PDA 一 体 型 端 末 FOMA

・ムーバ N505i 発売 カメラ搭載

SH2101V 発売

・FOMA N2102V 発売 カメラ搭載

2002.8

2003.8

・ムーバ R692i GEOFREE II 発売

メロディコールサービスを開始

耐水機能を搭載したiモード 対応携帯電話機

2003.9

2002.9

成田空港にお客様窓口を新設

・DLP サービス対応端末 Posiseek R 発売

FOMA 用小型基地局を開発

・ビジュアルタイプ FOMA T2101V 発売

全国での FOMA 人口カバー率が約 96%

2002.10

2003.10

・ムーバ N251i 発売

・ムーバ N252i 発売 カメラ搭載

2002.11

FOMA 契約数が全国で 100 万契約突破

・ムーバ N504iS 発売 カメラ搭載

遠隔ダウンロードによるソフトウェア更新システ

2002.12

ムの運用開始

J-phone が W-CDMA 方式の第 3 世代携帯電話

ソニーと NTT ドコモ FeliCa 事業に関する合弁会

サービスを開始

社の設立合意

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

   2ー4 広告看板

本調査に先だち、屋外広告看板についての条例と利用価値似ついて調 査した。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(1)東京都屋外広告物条例

禁止区域 東京都屋外広告物条例に基づき禁止区域が指定されている。

●第1種・第2種低層住居専用区域、第1種・第2種中高層住居専用 区域、緑地保全地区、美観地区、風致地区 ●保安林地区、自然公園の特別区域 ●国、または公共団体が管理する公園、緑地、運動場、動物園、植物園、  河川、堤防敷地、橋台敷地 ●古墳、墓地、火葬場、葬儀場、社寺、仏堂、教会の境域 ●官公署、学校、図書館、美術館、病院、公会堂の建造物とその敷地 ●道路、鉄道などの路線用地とこれらに接続する地域で、知事の定め る範囲内にある地域 ●その他、知事が指定する地域(東京国際空港用地、新宿副都心地区) 禁止適用の除外 東京都屋外広告物条例第5条、第8∼9条により、禁止区域内でも規 定の適用されない広告物がある。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

許可基準 広告塔・広告板 ■土地に直接設置するもの 広告物の上端は地上 10 m以下であること。ただし商業地域内に設置 する。 自家用広告で自分の氏名、名称、店名、商標を表示する場合は 13 m 以下。 道路上空に突出するものは、道路境界線からの出幅を 1 m以下とする。 広告物の下端は、歩道上では地上 3.5 m以上(道路境界線から出幅が 0.5 m以下の場合は 2.5 m以上)、歩車道の区別のない道路上では 4.5 m以上であること。 ■建築物の屋上を利用するもの 木造建築物に設置するものの場合、高さは地盤面から 10 m以下であ ること。 鉄筋コンクリート造、鉄骨造の建築物の屋上に設置する場合、高さは 地盤面から設置するまでの高さの 2/3 以下で、地面から広告物の上 端までの高さは第1種、第2種準住居地域内では 33 m以下、それ以 外の地域では 52 m以下であること(地盤面から広告物の上端が 10 メートル以下のものは除く)。 建築物の直接垂直面から突出して設置しないこと。 建築物の壁面を利用するもの 地盤面から広告物の上端までの高さが、第1種、第2種準住居地域内 では 33 m以下、それ以外の地域では 52 m以下であること。 壁面の外郭線から突出して表示しないこと。 窓、開口部をふさいで表示しないこと。ただし広告幕は除く。 表示面積の合計は当該壁面面積の 3/10 以下であること。 広告物一面の表示面積は、商業地域では 100 m 2 以下、商業地域で は 50 m以下であること。 広告幕、表示期間が7日以内のものはこの規制を除外される。 建築物の一壁面に内容が同じ広告物を表示する場合、広告物の間隔が 5 m以上であること。 建築物から突出する形式のもの 地盤面から広告物の上端までの高さが、第1種、第2種準住居地域内 では 33 m以下、それ以外の地域では 52 m以下であること。 道路境界線からの出幅は 1 m以下で、当該建築物からの出幅が 1.5 m以下であること。 広告物の下端は歩道上では地上 3.5 m以上(道路境界線から出幅が 0.5 m以下の場合は 2.5 m以上)、歩車道の区別のない道路上では 4.5 m 以上であること。 広告物の上端が当該広告物を表示する壁面の上端を越えないこと。 広告物などの構造体が鉄板などで被覆して露出していないこと。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(2)屋外広告今晩の価値

屋外広告屁の関心度 屋外広告関心度は30%でラジオ広告を上回る(Figure:2−4−1) 。 各種広告媒体への関心度

テレビ広告

31

新聞広告

39

23

雑誌広告

34

18

交通広告

10

屋外広告

8

ラジオ広告

4 0

33

22

22

13 20

40

60

80

(%) 関心がある

どちらかといえば関心がある Figure:2−4−1 各種広告媒体への関心度

屋外広告への関心度 屋外広告���30代の関心が高い(Figure:2−4−2)。 屋外広告への関心度(性・年齢別) 全体

29

男性20~29歳

26

男性30~39歳

39

男性40~49歳

24

男性50~64歳

29

女性20~29歳

29

女性30~39歳

55

女性40~49歳

女性50~64歳

22

18

0 10 20 30 40 「関心がある」、「どちらかと言えば関心がある」をごうけいしたもの

50

60

Figure:2−4−1 屋外広告への関心度

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

広告の印象 無意識に接している広告看板にも「興味があるもの」や、 「必要なとき」 は意識的に注目され、印象にも残る(Figure:2−4−3)。

屋外広告の印象 33

無意識のうちに見聞きしている

22

いろいろな種類・タイプの広告がある

20

印象に残る

18

いつでも見ることができる

12

楽しめる広告が多い

0

10

20

30

40

(%) Figure:2−4−3 屋外広告の印象

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

屋外広告への接触シーン 屋外広告は、生活の様々なシーンでよく見られており、特に外出時の 歩行中は8割以上の人が注目している(Figure:2−4−4)。 屋外広告への接触シーン 34

通勤・通学・買い物時などの車窓から

41

18

出張・旅行の列車の車窓から

39

32

クルマが渋滞で動けないとき

42

28

クルマが交差点で信号待ちしているとき

44

26

クルマの助手席・客席に乗っているとき

45

15

出張や旅行先でクルマを利用して居るとき

33

16

自分でクルマを運転しているとき

27

13

クルマで高速道路を走っているとき

26

22

普段通勤・通学・買い物で歩いているとき

41

14

自分の近所で散歩しているとき

34

21

出張や旅行先の街を歩いているとき

41

15

出張や旅行で駅や港、空港に降りたったとき

37

12

空港およびその周辺

33

出先で急に必要なものができて、お店を探すとき

51

30

外出先で食事をしようとしてお店を探すとき

52

29

45

自分の所在地を確認するとき

32

23

人と待ち合わせをしている間

45

28

地下鉄・地下街から地上に出て来たとき

0

10 よく見る

38

20 時々みる

30

40

50

60

70

80

90

Åì

Figure:2−4−4 屋外広告への接触シーン

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

屋外広告の SSL 効果 屋外広告看板における効果性はマス媒体とは異なる独自の特徴があ る。(Figure:2ー4ー5) 1.スケール効果 [Scale] 屋外広告は他の広告媒体に比べて物理的に大きいため、スケールによ る強いインパクトを与えている。 2.サブリミナル効果 [Subliminal] 掲出期間が長く、かつ通勤・通学などにより、その屋外広告に定期的 に接触する機会が多いため、無意識のうちに記憶されている。潜在意 識への刷り込み効果(サブリミナル効果)である。 3.ランドマーク効果 [Landmark] 道路案内のサインに役立てられたり、都市景観を構成する重要な要素 である特性は屋外広告の独自性である。

●屋外広告は大きいものが多く、  存在感を感じさせる(47%)

Scale スケール効果 ↓ インパクト・イメージ醸成

S スケールによる インパクト

●屋外広告は繰り返し見ているので  記憶に残りやすい(53%) ●無意識のうちに見聞きしている(33%)

Subliminal 反復浸透効果 (サブリミナル) ↓ 情報浸透・イメージ定着

●屋外広告を目印にして、お店や  ビルの場所を探す(56%) ●なんとなく都会らしさを感じ  させる(45%)

S 長期出稿による サブリミナル効果

L Landmark ランドマーク効果 ↓ 誘導・購買行動

直接的情報提供・ 行動喚起

Figure:2−4−5 屋外広告の SSL 効果

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

調査方法 Method

Three

3 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2003年度 卒業論文 調査方法

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

   3ー1 調査場所

(1)歩行コース

本研究では JR 新宿駅東口、新宿ステーションスクエアに歩行コース を設定した。

Figure:3−1−1 歩行コース

(2)サンプル広告看板 (1)で設定した歩行コースにおいて視認可能な広告看板343件を 調査対象とした。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

   3ー2 広告看板の調査項目

サンプルとして用いる広告看板の調査項目と、基準について以下に示 す。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(1)設置場所

ビル頂上設置 ビルの頂上に設置されている広告看板。高い位置にあり、遠くからで も視認出来るサイン的な役割も持つため、街中で見かける他の広告看 板に比べて巨大なものであることが多い。また簡単に取り替えること が出来ないので、大企業の企業名や定番の商品についての広告といっ た遷り変わりの激しくない内容の看板であることが多い。(Figure: 3−2−1)。

Figure:3−2−1 ビル頂上設置

ビル壁面設置 ビルの壁面に設置された看板。多くのテナントが入ったビルの場合は そのテナント自体の名前についての広告看板であることが多い。しか し、ビルのテナントが少数の場合は、そのテナントに関する情報の補 足など、補助的な役割を果たすこともある(Figure:3−2−2) 。

Figure:3−2−2 ビル壁面設置

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

ビル壁面垂れ幕 ビル壁面に垂れ幕として掲げられている看板。設置されている場 合に比べ取り替えが容易なため、商業用ビルのセールについての告 知といった、移り変わる短期的な内容の広告看板であることが多い (Figure:3−2−3)。

Figure:3−2−3 ビル壁面垂れ幕

ビル横設置 ビルの横に突き出して設置された看板。多くのテナントが入ったビル において、そのテナントの名前を示した広告看板として小規模なサイ ズで複数設置されることが多い。角度・大きさなど、視認性があまり 良くないので、面した歩行通路を歩く歩行者、ビルの訪問者にテナン トの存在を意識させる目的である性格が強い(Figure:3−2−4) 。

Figure:3−2−4 ビル横設置

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

窓看板 ビルの窓部分に表示されている広告看板。ビルに入っているテナント が既存の窓を利用し、広告看板としているため、ほとんどがそのテナ ント名である。ビル横看板と併用し、同じ内容を重複させることでサ ブリミナル効果を高め、広告の効果を高めようとしているものが多い。 (Figure:3−2−5)

Figure:3− 2 −5 窓看板

ショーウインドウ ビルの窓部分に商品を展示したスペース。商品を陳列することで広告 効果を高めている。定期的に移り変わるようなファッション関係のテ ナントに多く見られる。歩行者の目を引くようにレイアウトなど工夫 がされている。(Figure:3−2−6)

Figure:3−2−6 ショーウインドウ

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

ビル一階部分 ビルの一階部分に設置されている広告看板。様々な内容のものがある が、基本的テナントのエントランスにおいて、そのテナント名につい ての広告看板であることが多い。面した歩行通路の歩行者の視線から 一番見やすい。広い範囲に広告効果を持たない。 (Figure:3−2−7) 。

Figure:3−2−7 ビル一階部分

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(2)照明方法 ネオン ネオン管による照明方法。(Figure:3−2−8)

Figure:3−2−8 ネオン

内照式 プラスチックの広告看板の中に光源を設置し、その透過光を使用する 照明方法。(Figure:3−2−9)

Figure:3−2−9 内照式

スポット 外付けのスポットライトから広告看板を照射する照明方法。(Figure: 3−2−10)

Figure:3−2−10 スポット

なし 照明なし。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(3)主要使用色

広告看板において主に使用されている色について、以下のように分類 した。              ・白

             ・青

             ・赤

             ・黄

             ・緑

             ・黒

             ・シルバー

             ・茶

             ・水色

             ・紫

             ・ピンク

             ・オレンジ

             ・ベージュ

             ・ボルドー

             ・グレー

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(4)高さ

広告看板の歩行コースからの見かけの高さを3段階で分類し、調査し た。(Figure:3−2−11) A High:高い Figure:3− 2 −11

B

高さ

Middle:中間 C Low::低い

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(5)大きさ

広告看板の歩行コースからの見かけの大きさを3段階で分類し、調査 した。(Figure:3−2−12)

A Big:大きい B Figure:3−2−12

Middle:中間

大きさ

C Small:小さい

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

(6)距離

広告看板の設置されている建築物と歩行 k ーストの距離を3段階で分 類し、調査した。(Figure:3−2−13) A Near:近い Figure:3− 2 −13

B

距離

Middle:中間 C Far:遠い

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

   3ー3 アンケートによる認識調査方法

歩行実験後、被験者に歩行コースから視認可能な全広告看板343件 に関する認識状況について、アンケート調査を実施した。

3.覚えていない

2.見たことがある

1.よく覚えている

001.MYCITY ロゴ

アンケート用紙には各広告看板の名称、写真が提示されており、その 隣に広告看板に関する認識を

1.よく覚えている

2.見たことがある

Figure:3− 3 −1

3.覚えていない

アンケート記入フォーム

の3段階のうち、該当するもの1つにチェックをつける形式とった (Figure:3− 3 −1)。

歩行実験は2003年10月17日、18日、24日、25日、26日、 27日の6日間実施し、携帯電話使用50人、携帯電話非使用50人、 計100人の広告看板認識状況についてサンプルを収集した。

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「歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究」

調査結果・分析 Result

Four

4

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歩行中の携帯電話使用による広告看板認識に関する研究