第 0 章 はじめに
はじめに 「お前の部屋、汚いなぁ。 」 友人のそんなひと言がこの研究のはじまりのはじまりだった。 僕は、無類の片付け下手である。床一面に散らかった服や書類を 掻き分ける日々を送り、友人がウチに遊びに来る時だけ、とても 汚い部屋から「とても」が消え汚い部屋となる。 どうすれば、僕は小ぎれいな部屋で日々を送ることができるのだ ろうかと、ほんの少しだけ天井を仰ぎ思案した。 あっ! 「捨てずに大切にしているか、蔑ろにしているのかよくわからん モノたちが床一面にあんのに、なんで上部空間には電球以外何 もないんやろ?」 「収納を上部空間にもっていくことで、床はすっきりして、夢の 小ぎれいな部屋に住めるんちゃうかな。 」 この瞬間、僕は「吊り収納」をテーマに、卒論を書いていこうと 決意した。天井を見上げた僕に感謝だ。 こんな些細なきっかけではじめた論文であったが、日に日に吊り 収納の未来予想図が頭の中で濃く更新されていくことに、よろこ びを感じる。 ワンルームマンションでもいいじゃないか! 片付け下手でもいいじゃないか! モノを捨てられなくてもいいじゃないか! だって、「吊り収納」があるのだから。
そんな明日を願って。
住宅での吊り収納の密度と高さにおける居住可能水準の決定