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早稲田大学理 工 学部建築学科 平成 4年 度

卒業論文

意匠辞書 の考 え方 に関 す る研 究 一 ゴシック様式 の窓の立面 における形 の関連 と合成 について一

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指導 :渡 辺

仁史 教授

G9D157‐ 2 彦坂 守洋 G9D160‐ 1 福井 力 G8D177‐ 4 溝測 健


目次

1.研 究 目的

… … … … … …… … … … … … … … … … … … … … … … … …

1

2.研 究背景 … …… … …… …… … …… … … … … … … … … … … … … … … 2

…… … ……… …… … … … … … …… … … … … … … … … 3 3.研 究 内容 … …。 3-1.W.ミ ッチ ェル他 の「 デザ イ ンにおける多重 レベ ルの分析 と最適化」及 びマ ッ

キ ン トッシュ上 の アプリケ ーシ ヨン「 トップダウン」 をふ まえて…………… 3-2.研 究方法 と作業手順

…… ……… … … … … … …… …… …… … … … … … 4

3-3.本 意匠辞書 の動作結果 の例 ¨:… …… 3-4.ト 3-5。

3

… … …… … … … … … …… … … …… 5

レース した窓…………………………………………………………………… 9

・。 ……………………………………………………………………………………………… 13 窓 の創作 ・

4.考 察 ¨… … … … … … …… … … …1… … … … … … … …… … … … …… … 22 4-1.意 匠辞書 の使用感想 について…… … … …… … … … … …… … … … … … 22

42.ClarisCADで の作業 について…………… …… … …… ………… … ……………… 23

5。

4-3。

作業道具 (マ ッキ ン トッシ ュの各 ソフ ト)に ついて… … … …… … … … 24

4-4。

現代建築 へ のデザ イ ンの応用 について…… … … …… …… … … … ………… 27

4‐ 5。

…… … … ……28 従来 の歴 史学 的分類 について … … … … … …… … … … …

結論 5‐

… … ……… … …… … … … … … … … …… … …… … … … … … … … 31

1.意 匠辞書 の長所

5‐ 2.問

5‐ 3。

。 …・……………… … … ………・……………… … ………・………・31

題点 ……・…………………………………………………………………¨¨……………・……32

今後 の課題 ・展望 … … … … … … … … … … … …“… … …… … … … 133

あ とが き 。謝辞・…………………………………………………………………………36 参考文献・付録 …… … … … …… … … … … … … …… … … … …… …… … …37

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研 究 目的

1。

従来 の建 築意匠 に関す る研究 は、主 に建築史研 究室 において分析 と評価 の範囲内の み におい て行 なわれ ることが多 かった。膨大な研究結果 が蓄積 されているに もかかわ らず、 それ らは創作 とい う実際 の設計活動 の場 です ぐに利用 で きるかたちで用意 され ていない。 なぜな ら、言語 の文法 にな らって全体 か ら部分 へ と要素 に分解す る ような 研究 で終 わ っている場合が多 く、評価 を行 な うには適当か もしれないが、統合 す る作 業 の方 が主 である実際 の設計活動 のプロセスがほとんど考慮 されていないか らである。 そ こで本研究 では ゴシツク様式 の窓 の立面 のデザ イ ンを考 えるケ ースを想定 し、マ ッキ ン トッシュ上のハ イパー カー ドとい うソフ トウェア を利用す ることで、 そ のデザ イ ンにお い てす ぐに利用 できるような、形 の情報が提供 できる ことを示す。具体 的 に は特定 の構造

*注

1)の

中 を自在 に動 きまわる ことがで き、任意 の形 の情報 を選択 で きる

ことを目的 とす る。 尚本 システ ムはハ イパーカー ドの特性上、必要 な形 の情報 を後 か ら自由に付加・ リンクさせる ことがで きるので、設計者個 人 にカスタマ イズ した形 の 辞書 を構 築するこ とも可能 で ある。

デザインプロセスの考え方

分子構i8の ように見遭 事:ら

注 1)本 研究では、右図のような 分子構造モデルを考えた。

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精員 と して得 られ ●立 l● 的層層 ●■ (ツ リー tttC,テ ス )

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2.研 究背景 建築 における形 の階層構造の分析結果 を、実際の設計活動 に利用出来ないだろうか、 とい うのが今回の研究 の動機 であつた。 まず、W.ミ ッチェルの「 トップダウン」

*注 2)

に注 目 した。 しかし、 トツプダウン形式 のみのデザイ ンステップ とい うのは形 を一義 的にしか決 めることしか出来ないのではないか? われわれは形 をもっと多義的 に考 え てはいないか。分析 した各階層 について、それをいろいろな方向ヘ トップダウンや ボ トムア ップをさせ ることによってより実際 のデザイ ンプロセスに近 い システム をつ く りだせないだろ うか? まず、多方 向ヘステップできる道具 としてハイパーカー ドを利用す ること。階層構 造 は結果 として構築 され るものであ り、 デザインの過程 で他 の階層構造 を参照するこ とはあっても、既 にある階層構造 にのっかってデザイ ンをしているのでは決 してない こと、が基本的な条件 となる。

注 2)マ ッキ ン トッシ ュ上で形 のつ なが りの学習 をする ことがで き、建築学科 の学生 の教育用 にも 使用可能 なプログラム。

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3。 研究 内容

3-1。

W.ミ ッチェル他 の「デザイ ンにおける多重 レベルの分析 と最適化」及 びマ ッキ

ン トッシュ上のアプリケーシヨン「 トップダウン」 をふ まえて 「 トップダウン」 アプリケーシヨンにおいては、既 に階層構造が設定 されていてそ の階層構造 の中をある規則 に従 ってしか動 くことがで きない。それゆえデザイ ンを 「 トップダウン」で行 なう場合、制約が上位 の階層 から下位 の階層へ と伝達 され蓄積 されるため、 より下位 の階層 にい くにつれ選択 できる幅が少 な くなってい く。 もし下 位 の階層 において制約違反がなされた場合、階層 をさかのはつて違反が起 きない よう に上位の階層 を設定 し直すことがで きるがその調節 を試行錯誤す る必要があ り、 この 部分調整が大変困難 とされている。

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3-2.研 究方法 と作業手順

1.資 料 を探 し、 トレースす る窓 の例 を集 める。

2.窓 の例 をcraris CADを 用 いて トレースす る。 3.ト レース (あ る いは創作 )し た窓をパー ツに分 ける。

4.窓 やパー ツの形 のつなが りを分析、 グル ービングす る。 5。 分析

をふ まえた新 しい窓 の創作。 その際、 トレース したパ ー ツの補 正 をした り新

しくパー ツを作成 した りす る。

6.3∼ 5の 作業 をClarisCAD内 で繰 り返 しつつ もグルー プどうしのつ なが りのス トー リー を考 え、 グルー プをハ イパーカー ドのス タックに文 寸応 。 7.ス トー リーの構成 を推敲 しなが ら

のス タック同士 の リンク。 8.動 作試験 をして何 か トラブルが あ れば前 の作業 を繰 り返す。何 も問題が なければ完成。

スタツクどうものリンク

図 3-2-1作 業 のフローチャー ト 早稲田大学理工学部建築学科

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3‐

3.動 作結果 の例

ここではほんの一 部 ではあ るが、本 システ ムの動作 の流 れをパー トレーサ リー、 プ レー トトレーサ リー について 3通 りの例 を示 した。例 1は 柱 間 の本数 を決定 してか ら 窓 を完成 させる方法、例 2は 最初 に窓枠 を決 めてそれか ら柱 間や細 か い デイテ ール を 入 れて完成 させ る方法、例 3は 完成 した窓をいろいろなパ ターンか ら見 る方法 であ る。

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夕Jl

例 :パ ー トレーサ リー、プ レー トトレー サ リー

Firs

:'tep

ここ をク リックす る と次 の カ ー ドに移 る 柱 間 2本 の 窓 をク リック

勒 パ ター ン

1

ク リ ック

(パ ー トレー サ リー

)完 成

窓 (プ レー トトレー サ リー)完 成

structureを クリックす るとFirst Stepに 戻 る

-6-


夕J2

例 :バ ー トレー サ リー 、 プ レー トトレ 「

サ リー

クリ

First Step

柱 間 を一 つ選択 す る

ノク デ ィテ ー ル を一つ 選択 す る

窓 (プ レー トトレー サ リー)完 成

V デ ィテー ル を一 つ 選択す る

を クリックす る とFirst Stepに 戻 る 窓 (バ ー トレーサ リー)完 成

-7-


夕J3

例 :バ ー トレー サ リー

First Stepま

右 上 のボ タ ンを ク リック

バ ー トレー サ リー の 男Uパ タ ー ン 1

バ ー トレーサ リー ル を ク リック

矢印を ク リック 1

パ ー トレー サ リー の別 パ ター ン 2

このポ タ ンをク リックす る と次 の カー ドに移 る

デザイ ンの 異 なる同 パ ター ンの 窓 この ボ タ ン をク リックす る とFirst Stepに 戻 る

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様 々 なデザイ ンの 円形 デ イテー ル


4.ト レース した窓

以下 に本意匠辞書作成 のための基本 デー タとなる窓を トレース した もの を全 て提示 す る。合 わせ てグルービングしたパー ツの例 も提示 す る。

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3-4-1.ト レー ス した窓 の コ レク シ ョン

ダブ ル ウイ ン ドウ

イ ンターセ クテイング トレーサ リー

10-

ジ ュ オ ミ トリカ ル トレー サ リー

恩︶

バ ー トレーサ リー

プ レー トトレーサ リー

レティキュレイ トトレーサ リー


フラ ンボ ワイヤ ン トレー サ リー

フ ロー イ ン グ トレー サ リー

― トレーサ リー 1

ケ ン テ ィ ッシ ュ トレー サ リー

11-

パーペ ンデ ィキ ュラー トレーサ リー 2

フ イ ッシ ュ プ ラ ダ ー トレー サ リー


3‐ 4‐

2.グ ル ー ビ ン グ した パ ー ツの例

-12…


3‐ 5。

窓 の創作

3-5-1.窓 の分析 と分類

トレース した窓 について、 それぞれ の形態 の構成 を独 自に分析、分類 した。 ここで は、 トレース した プ レー トトレーサ リーか らフィッシュプラダー トレーサ リー の各 窓 を、 おお まかに 5つ の型 に分類 し (図 3-4‐ 1)、 それ にのっ とって窓 を創作 す る。分 類 の際、注 目したのはパー ツの配置構成 と足 (柱 )の 数 であ る。以下 に窓の 5つ の分 類 を示すが、 これはあ くまで も我 々独 自の分類 で あ りこの分類 が従来 の歴史学的分類 と同 じか どうかは分 からな い

(む

しろ関係 ない と言 ったほ うが よい)。 もち ろんほか

にもい ろい ろな分類 が考 え られ る し、 それに沿 って新 しい窓 も創作 で きる。以下 に示 す のは窓 の分類 の一例 で あ り、 これが絶対 とい うわけではない。各個人 がそれぞれ独 自の分類 によって独 自の新 しい窓 を創作す ることが、本意匠辞書 の 目的であ るか らだ。

1型

1-a型

"・

プ レー トトレーサリーのように、それ以上分割す ると窓ではな くなるよう

な窓の最小単位 で足 が 3本 の もの。 1‐

b、

1-c型 …例えばフローイング トレーサ リーやパーペンテイキュラー トレーサ

リー 1の パーツの構成 に注 目してみれば、両脇下部のパーツの構成 はその部分 だけで 1つ の 1-a型 の窓 を構成 し、また中心部 のパーツ構成 はその 1-a型 の窓のパーツ構成 と似 ていることに気付 くと思 う。そ こでこれらの窓 を 1-a型 の発展形 とみなし、足が

5本 の ものを 1-b型 、 6本 の ものを 1… c型 とした。 トレース した 1‐ a、

b、

c型 の

窓が、別 のバ リエーシヨンに発展 (退化)し たらどうなるのかを類推 して新 しく窓を 創作す る

(図

3-5-2)。 もちろん足 の数 を 7本 、 8本 … とふやして 1型 のバ リエーシ

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13-

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ョンをふ やす こ ともで きるが、今回はそれについては触 れていない。

・ 2型 …イ ンターセクテイング トレーサ リーの構成 は、一見 じつ はそ うではな く、違 った構成 をしてい る (図

3‐

1-b型 の窓 に思 えるが

5-3)。 そ こで この タイプの窓を

別 の型 に して分類 した。 フレームに注 目し、その数 を増減 させ ることによ りい ろいろ なバ リエー シヨンが考 えられ る。

・レティキュレイ トトレーサリーのように、それ以上分割すると窓ではなく ・ 3型 ¨ なるような窓の最小単位で足が 6本 のもの。 ここで も1型 のようにいろいろなパ リエ ーションが考えられるし、窓の最小単位 について も 1-a型 や 2型 のほかに足 の数によ っていろいろと考 えられるが、今回はそれについては触 れていない。

・ 4型 …パーペ ンテイキュラー トレーサリー 2の ような、 1型 、 2型 、 3型 の窓の 合成型

(図

3‐ 4‐

4)。

・ 5型 … フイッシュプラダー トレーサ リーでマル形 のパー ツの部分 に注 目 し、 これ を他 のマル形 のパー ツにかえてみた らどうなるかで窓 を創作す る。

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1‐

1‐

・例 :プ レー ト、 バ ー ・ a型・

(柱

b型・・。 例 :ジ ュオ ミ トリカル 、1_c型・¨ 例 :フ ロー イ ング、

パ ーベ ンテ ィキ ュ ラー 1、

3本 )

パ ーベ ンテ ィキ ュ ラー 2の 左右

ケ ンテ ィッシ ュ (1‐

6型 …例 :イ ン ター セ クテ イ ング

(フ

レーム に注 目。 ここには例 と して柱 が 4∼

6本 の もの を示 す。)

4型 …例 :パ ーベ ンテイキュ ラー 2

フランポワイヤン、パーペ ン (柱

a型 の 発展 型。柱 6本 )

a型 の発展型。柱 5本 )

・ ・例 :レ ティキ ュ レイ ト、 3型・

テイキ ュ ラー2の 中心上部

(1‐

(1型 、2型 、 3型 の合成型 )

6本 )

5型 …例 :フ ィ ッシ ユ プ ラダー (マ ル形 の パ ー ツ に主 眼 )

-15-

3‐ 5‐

1窓 の分 類


◎ プ レー ト

(1_a型 )

フ ロー イ ング (1‐ c型 )

濡気撼

綸∪

1‐

1‐

a型

パ ーベ ン ティキ ュ ラー 1(1‐ b型 )

1‐

図 3-5-21型 の 窓 の バ リエ ー シ ヨン … 16-

c型

b型


几 図 3-5‐ 32型 の 窓 もしインターセクテイング トレーサリーを 1… b型 の窓とすると、その基本形となる 1‐ a型 の窓 はA図 のようになるだろう。 しかしこれを 1‐ b型 に発展 させてもB図 のようにならずにC図 のよ うになってしまう。

3型

1‐

図 3-5-4パ ーペ ンテ ィキ ュ ラ ー トレー サ リー 2の 分解

-17-

c型


3‐

5-2.創 作 した窓 の コ レ ク シ ョン

No.2

No.4

No.3

-18-


No.6

No.8

-19-


No.10

No.11

-20-


※創作 メモ

No.1… バー トレーサ リー

(1‐

a型 )が 、 1‐ b型

に発展 したらどうなるのかを想像 して創作。

No。 2… 同 じくバー トレーサ リーが 、今度 は 1‐ c型 に発展 したらどうなるかを想像 して倉u作 。

No。 3… ジュオ ミ トリカル トレーサ リー 1‐

(1‐

b型 )が 、

c型 に発展 した らどうなるかを想像 して創作。

No。 4… ケ ンテイッシュ トレーサ リー

(1‐

b型 )

の基本 単位 となる 1‐ a型 の窓。

No.5… 3型 の窓。 レティキュレイ トトレーサ リー を 土台 に、十 字型 のパーツに注 目。対称性 を無視 してみた。

No.6、

7、

8… 2型 の窓で柱 が 3本 の もの。柱 間 にも

パー ツを配置 してい る。

No。

1¨ 9。・。

b型 の フレー ムだけを利用 し、中心 に

両 は しとは違 う感 じのパー ツを配置 した。

No。 10・・:No。 No。

2、

No。 3の 窓か ら、 4型 の窓を創作。

11… 5型 の窓。 レティキュレイ トトレーサ リーの

マル形 のパー ツを使つ ている。

No.12… 2型 の窓で柱 が 6本 の もの。 い ろいろな マル形 のパー ツを使 ってい る。

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4。

4‐

考察

1.意 匠辞書 の使用感想 について

キーボー ドの操作 な しでデイス プ レイ上 のポタンをマ ウスでク リツクす る とい う操 作 だ けでデ ー タを見 ることがで きるので、簡単 で操作性 は良 い と思 う。 しか し、 スタ ックは同時 に複数見 る ことがで きても、同 じスタックに入 つているカー ドは同時 に見 るこ とがで きないのが欠点 で あ る。 また、 デザイ ンプ ロセスの過程 で前 のス タックに 戻 つた ときに前 に選 んだカー ドが最初 に出 て こないこ とが あ る。当初 はワー プ ロの変 換 の ように一度選 んだカー ドが 一番 上 に くるようなシステ ムを考 えたが、実現 させる こ とはで きなかったのは残念 で ある。 同 じ窓で も人 によって評価 や捉 え方 が異 なるので、私 たちが製作 したシステムの階 層構造 か らはみ出す こともあ るが、本 システ ムはハ イパー カー ドを利用 してい るので、 辞書 の中の情報が不足 していて も必要 な形 の情報 は後 か らで も自由 に付加 した リリン クさせる こ とがで きる。 よって、辞書 はあらゆ るユーザ ー に対応 で きるが、設計者 の 個人的 な ものになるだろ う。

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4-2.ClarisCADで の作業 について

や り慣 れて くるにつれ複製 や反転 などの機能 を多用するようになるが、複製時や反 転時 に嬌正できない微小 なずれが生 じる。そのため図面がい ささか不正確 なものにな ることがある。また線 を短 くす る時、ナイフと言 うコマン ドで切 るわけだがそのとき に も微小 のずれが生 じる。それをできるだけ抑えるために画面 を最大限 に拡大 してカ ットすればよいのだが、画面 を拡大 させた時注 目している場所 とは違 う場所 を中心 に 拡大 されるのでたいへ ん不便 であり、元 の作業 に戻 るため画面 を縮小 させた時 も同様 のことが言える。そ して図を移動 させるときマ ウスで動 かすのは大雑把過 ぎる しカー ソルで動 かすのは少 ししか動かないので、 これも作業がおそ くなる原因 となっている。 次 に作業が進み画面 の情報量が多 くなった時、 データにノイズが入 り既 に入力済みの 情報が書 き換えられ た り、新 たな情報が勝手 に入力 されていた りす る。 しか もそれら のデー タは書 き換えることができないのでそのことに気 づかず にセープしてしまうと 始 めからや り直 さなければならない。 これを防 ぐためにはセープする前 に画面 の全体 を表示 しおかしな所がないかどうかを確 かめてからセープをすることであ る。最後 に 作業全般 を通 して言 える事だが、アプリケーシ ヨンが飛 んでしまって リス ター トしな ければならないこ とがよくある。そのためこまめなセープが必要 とされるが、先 ほど の理由 とあいまって大変面倒 くさい ものとなっている。また始 めの うちは こまめにセ ープできるが作業 に集中しはじめるとセープす ることなどは頭 のなかから消え去 って しまい数時間作業 した後に飛 んでしまい、そ こでセープすればよかったと後悔するこ とも多 々ある。以上の様 なマイナス要因があるがそれを補 って もあ り余 る操作性 のよ さは評価 できる。例 えば対象物 の移動 。回転・反転・複製 。拡大・縮小 ◆などは多少 の不都合 はあるものの人間の手 より素早 く正確 な作業 を可能 としている。

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4-3.作 業道具 (マ ッキン トッシュの各 ソフ ト)に ついて 4-3-1ハ イパー カ ー ドについ て

ワー プ ロで文章 を書 くように、窓がデザイ ンできたら… とい うことで始 めた本研究 だが、実際ハ イパ ー カー ドの中だけで窓の創作 をす るのは無理 である。それに近 いシ ステムをハ イパー カー ドで作 りだす ことは理論的 には可能 だが相当 にスク リプ トを駆 使 せ ねばな らず、それで実際 に操作 しやす い形 で動 いて くれ るか どうか も疑間 である。 一番 の問題 はハ イパーカー ドが図 をラスタ型で保存す ることにある

(ベ

クター型 で保

存 す る ことはで きないこ とはないが、かな りの手間がかかる)。 もともと窓をパーツ に分 け る作業 自体 、窓全体 を"一 枚 の絵 "と して保存す るハ イパーカー ドでは困難 であ るのに、 デー タとしてハ イパーカー ド内 に登録 してあるパー ツがその まま使 えず、拡 大、縮小 、書 き直 しや、新 たにパー ツを作 らねばな らないこ ととが多 い創作 の際 に、 ラス ター型で形 を保存 してい るハ イパーカー ドでは とてもキ レイかつ正確 に描 くこと などで きない。ハ イパーカー ドに登録 されてい る形 の情報 をカ ッ トア ン ドペー ス トす るのみ でパーツに分 けた り、窓 を創作 した りす ることは無理 なのだ。結局 の ところ実 際 にパ ー ツに分 け て分析 した り窓 を創作す る作業 はClarisCADで 、 とい うことになる。 しか しなが ら、ハ イパーカー ドが全 く使 えないわけではない。 トレースや創作 をした 窓やパ ー ツの数 が増 えるに したがって、その分析結果 や形 の情報 を効率 よ く、分 か り やす い形 で登録 し、検索 で きるようにす るため、そ うい う能力 に長けてい るハ イパー カー ドを用 いたシステムが必要 になるか らである。現在 にお い て最 も有効的 な意 匠辞 書 の利用法 は、 まずハ イパ ー カー ド内で参考 にしたい形 の情報 を検索 し、検索 した形 を実際 のデザ イ ンに利用 したければその形 がはい っているClarisCADを 開 き、ClarisCAD でデザ イ ン した ものを新 たなデー タとしてハ イパーカー ドに登録 してゆ くことで意匠

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辞書 を充実 させ、次 なるデザ イ ンの参考 にしてゆ く、 とい うことになる。 しか しこれにも問題 はあ り、例 えばClarisDa餞 からPICr Dataへ の変換 の煩雑 さがある。 ClarisCADの ベ クター型 の 図 をラス ター型 に変換 してPhotoShopで 読 み取 り、ハ イパー

カー ドにペース トす る作業 はかな り面倒 であ る。 これ も結局 は図 をラスター型 で保存 す るハ イパ ーカー ドに問題 が あるわけで、ClarisCADで 描 いたベ クター型 の図 をそのま ま保存 して くれ るようなソフ ト、 もっと言えば、ハ イパーカー ドのようなデ ー タベー ス作成能力 とClariscADの よ うなデー タの編集能力 を合 わせ持 った統合 ソフ トの登 場 を 期待 した い。

4-3-2 ClarisCADに つ い て あ 建 築 を志 す者 が 、 そ の初 期 の段 階 にお い て必 ず避 け て通 れ な い もの に"ト レー スリ ` る。 プ ロが 設計 した もの や、過去 の名建 築 の 図面 やデ イテ ール をそ の まま模 写 す るこ とで製 図法 や建 築 デザ イ ンの技法 (あ る い はデザ イ ン にお け るセ ンス )を "手 で おぼえ て "修 得 しよう とす る もの で あ る。今 回、ClarisCADを 用 い て 窓 を い くつ か トレース し

たが、手 で描 く以上にデザ イ ンに対す る理解が深 まったように思 う。楽 に トレース し ようと思 い、窓のパーツや構成 などの相似性や対称性 に注目 し、拡大、縮小、反転、 回転、複製等 を多用 したのだが、それがかえって窓の形 のつなが りに対する分析 を手 で描 く以上 にロジカルに行 なっていたことになっていた。 しかも手 で描 いた場合、描 くまでの苦労が身 になることがあって も、描 いた図面 はただの"絵 "で しかないが、Clar isCADの 場合 は描 いたものをデザイ ンの"素 材"と して利用することがで きる。今 回もト

レース した窓のパーツを利用 してさまざまな独 自の窓 を創作 した。またClarisCADは そ の場 のアイデアや直感 を手 で描 く以上に短時間にしか も正確 に形 にで きるので

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(と


に今回のゴシックの窓のような曲線 の多 い図 に有効)、 例えば、意匠辞書 に登録 した 形 の情報

(つ

ま リデザインの素材)を 用 いてClarisCADで デザイ ンすれば、エスキース

等 のデザインの初期段階においてかな りのスピー ドア ップが期待 できる。そのほかClar isCADは 平行定規 や ドラフターでは容易 に描けない ような線 を引けるツールが豊富 にあ

り、ClarisCADの ようなデザイ ンシステムが普及すれば建築のデザ イ ンにどのような変 化 が生 じるかなど、興味 は尽 きない。

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4-4。

現代建築へ のデザインの応用 について

今回の研究では、 トレース したゴシック様式の窓のパーツを用 いて、新 しいゴシッ ク様式風 の窓を創作 するまでにしか至 らなかったが、 トレース したパーツを全rく 別の 様式 の建築

(例

えば現代建築)へ の意匠に使 ってみ るとい うこともで きる。それも、"

窓"や "開 口部"と いった機能的、構造的な意味にとらわれず に、 トレース したものをた だの形 とみなし、例 えば平面 や立面の形 に利用するとかすれば面 白い。実際、意匠辞 書 のデータが入 つているClaris CADを 開けば、そのようなことは容易 にできる。 また意匠辞書 の考 え方で、身の回 りにあるいろいろな形 を トレースし、 デザイ ンに 利用すれば面白いのではないか。例 えば、「マ リリンモンローのボデイーライ ン

(別

・ ・)は 美 しいので、あ に富士山の形でも海辺 で拾 った貝殻 の形 でも何 でもよいのだが・ のラインをデザインに使 ってみたい」 と思 ったら、マ リリンモンローの 自分 の好 きな ポーズ (映 画のひとコマでも、一枚 の写真 で もよい)を スキャナーで読み取 り、Claris

CADで トレース し、形 のデー タとして意匠辞書 に登録す るのだ。 こうすることで、 ま た新 たなデザインが うまれる可能性 がある。

早稲 田大学理工学部建築学科 … 27-

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4‐ 5。

従来 の歴史学的分類 について

窓のグループ化 アー チ とともに生 まれた開 口部 の形 は、方形 の基部 とアーチの頭部 とに分 け て観察 す るこ とがで きる。 アーチ窓 には入 らないが、頭部 が三角形 の もの、 また フラ ットア ーチの よ うに全体 が方形 の ものなどあるが、一般的 には半円アーチ または尖頭 アーチ である。 窓 の基本 的な単位 を ヨーロ ッパ 中世 についてみれば、 まず この二つの種類 を 考 える必 要があ る。そ して この ような単位 が、単独 で壁面 にあけ られる状態 か ら、次 第 にグル ー プ化 して い く姿 が歴 史 の中 に見 られる。 このような単位 が一対 となって隣 り合 う場合、 まだその間 に壁 の要素 が残 っている もの も散見 で きるが、それ らは次第 に統合 しようとす る。 いわゆ るカップルウィン ドウとダブル ウィン ドウとの境界 はは つ きりしないが、後者 は前者 よ り結合 の度合 いが深 まったもの と考 えて よいで あろ う。 この ダブ ル ウィン ドウが さらにひと回 り大 きな半円アーチの中 に組み込 まれて行 くと、 窓のグル ー プ化 が次第 に展 開 されてい く。窓のグルー プ化 は初期 キ リス ト教 の時代 に かな り広範 囲に行 なわれ、上述の形式 のダブルウィン ドウが一つの独立 した窓 のよう に扱 われる ようになった。 また、 この ような形 の窓 は、大 きなアーチ と小 さなアーチ とに囲 まれた部分 のデザイ ンに注 目が集 ま り、時代 が下 がつて ゴシック時代 の トレー サ リーの芽生え を示 す ことになる。特 に初期中世 のイギ リスでは、 ラ ンセ ッ トウイン ドウ (尖 頭 アーチ窓)が 三連 または三連 とな り時 には七連二 まで重 なる例 を見 ること がで きる。 ミンデ ンのカテ ドラルの窓な どはこの好例 だが、多 くの窓が横 に連 なる時 は窓全体 の規模 は小 さくなってゆ く。窓が横 に連な る形 は、言 い方 を変 えれば窓が縦 に分割 されることで もある。窓 の一 つ一つの部分 が細長 くなることは、 ラ ンセ ッ トウ ィン ドウの形 を発展 させる ことにもなる。三連 の ラ ンセ ッ トウィ ン ドウで中央 部分 が

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大 きければ、その全体 にひ と回 り多 きなラ ンセ ッ トをかけやす い し、 二連 のラ ンセ ッ トウィ ン ドウに、 ひ と回 り大 きなラ ンセ ッ トを次 か ら次 へ か けていけ ば多 重連 のラン セ ッ トウィ ン ドウを作 っていける理由であ る。 トレーサ リーの展 開 窓のグルー プ化が次第 に進行 して くると、その頭部 に当然変化 が生 まれて くる。そ の変化 の一 つ はデザ イ ンとして頭部 の形 をで きるだけ無理 な く関係 づ け よう とい う意 図であ り、他 の一 つ はこの部分 か らも採光 をはか りたい とい う意図で あ る。初期 の ト レーサ リーは、一枚 の石 の プ レー トを大 きなアーチ と小 さなアーチ との間 に埋 め込 む ことか ら始 まったが、そのプ レー トに採光 のための孔 が穿 たれた。 この孔 の形 は内部 か ら見 れば光 の形 で ある。 これ らの トレーサ リーには、 シャル トルの建築家 たちが行 なった ように、二連 の尖頭 アーチ窓の上 に、小 さなバ ラ窓を埋 め込 んで よ り多 くの光 を採 り入 れる形 の ものが挙 げ られ る。 しか しここでは まだ トレーサ リー と窓 とが うま く結合 して いない。 これに比べ るとランスのカテ ドラルの トレーサ リー はバ ラ窓の位 置 に六 つ の フォイルを もった形 が埋め込 まれている。 ラ ンセ ッ トアー チ とそれ らは、 かな リー体化 して骨格 をつ くってお り、 トレーサ リー としての形 を成 している と言え よう。 トレーサ リーの発展 の後 を辿 ってみれば、前 に触 れた ようないわ ゆ るプ レー ト トレーサ リーか ら骨格 の構成子 をつ なげて形成す るバー トトレーサ リー と呼 ばれるも のに変化 してい く。 このように窓の頭部 の形 が、全体 として関連 しあ った ものになっ てい くと、 そ こに様 々 なバ リエーシヨンが生 まれて くる。幾何 学的構成 か らフラ ンポ ワイヤ ン式 の ものへ移行 してい く過程 には、その背後 に技術 的 な裏付 けが必要 で あ つた と考 え られ る。 これによってつ くられた光 の綾織 りは、中 にはめ込 まれたステ ン ドグ ラス とあい まって、 ゴシック建築 の内部空間 に、 いわゆ る非物質化 を作 り上げるのに、

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おお い に役 立 つこ とになる。 また トレーサ リーの部分 にあけ られた開口部 の葉型 は、 その葉 の枚数 によって、 トレフォイル、 クワッ トロフオイルなどと呼 ばれるが 、 それ らは当初 のシンメ トリカル な形 か ら トレーサ リーの音5分 としての変形 を受け る。つ ま リー つ 一 つが独 立 な形 でな く全体 の中に次第 に埋没 してい く。ネ ッ トトレーサ リー、 フイッシュブラダー トトレーサ リー、ケ ンティッシュ トレーサ リーなどと名 づ け られ た ものは、多 かれ少 なかれそ の類 である。一方 これ らの トレーサ リーの形 を地 方別 に 眺 めてみるのも面 白い。その点 ヴェネチアの建築 には各地域 の特徴 をもった混合例 が 多 く見 られ る。パ ラツツオ・ 力・ ドーロの運河 に面 したファサ ー ドの トレーサ リーは、 尖頭 アーチの交錯 の ようにも見 えるし、十字型 をした トレーサ リーの連続 のよ うにも 見 えて、その両義 的性格 は現代 の建築 にも影響 を与 えてい る。 またポル トガルのバ タ ラの回廊 や、アルカラのビシ ヨップパ レスの窓 ように、強 い太陽の 日射 を受け て、外 部 では効果的 な陰影 を、内部 では快 い 日陰 を作 って くれ る豊かな表現 の ものが 目をひ く。そ して これ らの ものの中 に、 ムーア人 の造形 の影響 をはっきりと読 み取 ることが で きる。 以上

参考文献 6)。 「空間 の演 出・窓」pp19-pp24よ り

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5。

5‐

結論

1.意 匠辞書 の長所

5-1-1.何 の役 に立 つ か

1)ハ イパーカー ドの特性 を活 か し、 これ をベースに自分 のカー ドを付 けカロえるこ とによって 自分個人 の意匠辞書 を作 る事 がで きる。

2)独 自の分析結果 や創作 をデー タとして客観的 に見 ることがで きるので、 自分 の デザ イ ンに対す る好 みや癖 を客観的 に評価 で きる

(ま

た評価 してもらうこ と もできる。

3)過 去 の歴史上 のデザイ ンや自分が今 まで設計 したもののデザ イ ンを検索す るの に便禾Uで 、そ こか ら設計 の時 のデザイ ンの"ヒ ン ト"を 得 た り、 デー タの意 匠 をそのま まデザ イ ンの素材 として使用 で きるので、 エ スキースなどデザ イ ンの初期 の段 階 にお けるス ピー ドア ップが期待 で きる

5-1-2.オ

リジナ リテ イー

ミッチ ェル氏 の よ うなシステムを作 らな くて もハ イパーカー ドで簡単 にで きる。彼 の言 つて い ることは、階層構造 を前提 にしていること自身が暗 に トップダウ ン方式 の みが可 能 で あることを指 し示 してお り、 ボ トムア ップ方式 とはあ くまで も階層構造 を 前提 としたボ トムア ップ方式 である。 しか し本 システムのフッ トワー クは分子構造 の

ように全方位的であ り、 どこか らはじめてどの方向へ もデザイ ンのための探索 をする ことができる。

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5-2.問 題点

1)元 の意匠辞書 にカー ドを付 け加 えて発展 させるわけだが、同 じスタック内のカ ー ドは一度 に一枚 しか開けな いため、望 む様 なものを作 るためには リンクを考 えなが らス タックを沢山作 らなければならないため大変手間がかかるもの となってい る。そ して発展 した意匠辞書 はあ くまで個人的 な物 で しかないので普遍性 は全 くな く、その 機能性 はその個人 のデザインに対す る理解 の深 さに依存 して しまうだろう とい うこと も問題 で あ る。

2)実 際 の設計活動 において、意匠辞書 はあ くまで も道具 の一 つであ り、それを作 ること自体 が 目的 ではない。個人が 自らの辞書 をカスタマ イズす る際、手軽 にできる ことが理想 的だが、現在 のマ ッキ ン トッシュの環境 では一つ のソフ トで意匠辞書 を作 ることがで きないので、 どう しても時間がかかつて しまう。 また、 トレース し、分析、 創作 す るClaris CADの 作業 が意匠辞書 を作 る うえで も、形 のつ なが りをを理解す る う えで も重要だが、そればか りや つてい る と自己満足的 な世界 に陥 り、実際 の設計活動 に支障 をきたしかねない。 しか し、 トレースす るヌ 寸象 を増 や さないこ とには意匠辞書 は充実 せ ず、実際 の設計活動 に役立 たない。 この矛盾 した状況が問題である。

3)全 方位的な システムなので どこか ら始 めてどこで終 わって もいいのだが、ある 程度 ス トー リーの始点 と終点 を決 めておかない とリンクの仕方 が非常 に複雑 にな り使 いず らくなる。

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5-3。

今後 の課題・展望

5-3-1。 今後 の課題

今回はゴシック様式 の窓の立面 の形 とい う、比較的形 のつなが りが分析 しやすい対 象 についての研究 であ り、 ゴシツク様式 の窓のような形 をデザイ ンす る際 にお いて、 意匠辞書 のようなシステムや考 え方が役 に立つこ とをこれまで述べ て きた。今後 の課 題 としては、例えば現代建築 の窓のような四角 ばか りの意匠についても意匠辞書 は作 れるのだろ うか、意匠辞書 には対象 とす る範囲によって向き不向きが あるのではない か、 とい うことが挙 げ られる。 しか し今回示 したかった、表現 における"編 集"と いう 考 え方 (表 現 とい うものは、過去から現在 までつながる歴史 の中で"す でにある もの" を集 めて、独 自の解釈 で分析 ・批評 し、それを独 自の方法 で構成、編纂 した結果 に過 ぎない とい う考 え方)が 、現代建築 において全 く通用 しないわけではない。例 えば好 きな作家 に影響 された作品 を作 るということも、その作家 の作品 を自分 の中で独 自に 批評 し、それを独 自の方法 で"編 集"し た結果 に過 ぎない。今回の意匠辞書 は、その"分 析 。批評"と

"編 集"の 方法が ゴシック様式の窓に向いていたとい うことである。現代建

築 に向いた "分析 ・批評"と "編 集"の 方法 とはどのようなものか、そ してそれを活用で きるハイパーメデイア とはどういうものかが今後 の課題 になる。

5-3-2.形

のつ なが りを学習 で きるCAI効 果へ の期待

今 回、意匠辞書 を作成す る過程 を通 して、従来 の意匠学的、構造学的な学問体系 と は違 った形 の分析方法 を知 る ことがで きた。意匠辞書 を作 る一連 の過程

(ト

レース、

創作、 リンクなど)を 、建築 を学 んで いる人達 に体験 してもらえば、形 のつ なが りや、 デザ イ ンの プ ロセス を学習す る うえでかな りの学習効果 が期待 で きる。

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5-3-3.Morphを 使 ったデサイ ンの展望

最近、Gryphon Sbftware Corp.か ら、MoFphと い うソフ トが発売 された。 これは、始 め と終 わ りの絵 の イ メージ と、 どの部分 を重 点的 に変化 させた いかを指定 す れば、絵 が変形 してゆ く過程 の作業 を自動的 に処理す るソフ トで ある (図

5‐

3-1)。 このソフ

トはプ レゼ ンテー シ ョンの分野 にお いて活用 されるだろ うが、 デザ イ ンの分野 におい て も示唆す る ものが あ る。例 えば絵が変化 して い く過程 の一部 をと りだ してどんな形 になっているかを分析 し、そ れを実際 のデザイ ンに利用す るとい った可能性 が考 えら れる。変化 の過程 も、 どの部分 を重点的 に変化 させたいかの指定 を変 えれば い ろいろ な変化 のパ ターンが考 えられ る。つ ま り、Start hageと End lmageの 形 のつ なが りの解 釈 の個人差 によって、 いろい ろな形 を見 いだす ことがで きる。形 の分析 にお け る新 し い方法 として注 目 したい。

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End Imege

Start Image

Starc lmegeで 絵 のでどこを重点的 に変化 させたい か ドッ トで指定 し、

線分 で結 び、End hegeに 対応 させる

MOrphに よって絵 が 変形 してゆ く過程

図 5-3‐ l Morph

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あ とが き・謝辞 短 い間 で したが なん とか書 き終えることがで きました。最初 の頃 は コンピュー タに 不慣 れな こともあ って窓一つ トレースす るのに四苦八苦、それか らは夢 にまで 窓 のま んだら模様 が出て くる苦悩 の毎 日で どうなる ことか と思 い ました。 まだまだ完 壁 とは 言 えない今 回のシステムで す が、いうか、 どこかで、 だれかの役 に立 つこ とが あれば 幸 いで あ る 最後 にこの論文 の作成 に ご指導 くださった渡辺先生 、 いつ も時間 どお りに三人集 ま らな くて大変 ご迷惑 かけた西谷 さん、笠井 さんに深 く感謝 とお佗 びを申 し上 げ ます。 1992.H。

12(木 )13:50徹 夜明けのCAD室 にて

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G9D157‐ 2 l G9D160-1

福井 力

G8D177‐ 4

溝測 健

渡辺仁 史研究室

彦坂守洋


参考文献 ・付録

1)保 坂陽 一郎著「空間 の演出―窓

デザィンヴォキャプラリーとしての展開」、彰国社、 1984

2)大 谷和利著「HyperCardビ ギナーズガイ ド」、 ビジ ネスアスキー、1990 3)川 崎和男監修 ・ イーエ クスデザ イ ン編 「Craris

CAD Perfect Manud」

、 ビジ ネスア

スキー、1991

4)大 重美幸著「す ぐに使 えて便利 なハ イパー トーク

四次元イ ンデ ックス方式」、

日本実業出版社 、 1989 Milton Tan著 ・Ychuda E.Kalay編 「P五nciple Of

5)Robin S.Liggett o Williarn Jo Michell・

Computer― Aided Design:Evaluaing and Predicting Design Perfo.11lannce;15 Multilevel

Andysis And Opdmization of Design pp.251∼ pp.269」 、A Wiley―hterscience Publication John Wileyそ %Sons,Inc.、

1992

6)保 坂陽一郎著 「空間 の演出 。窓

デザ イ ンヴォキャブラ リー としての展開」、彰

国社、 1984

7)秋 山嘉彦 ・鯛天材樹 「建築画像 の特性 を生かすメディアに関す る研究」、早稲田 大学理工 学部建築学科 1991年 度卒業論文 8)Wluiarn J.Mi“ heu著 IThe Logic ofArchitecm":Design,Computadon,and Cognition」

The W Press、 1990

9)ロ

ジャー・H・ クラー ク他著、倉 田直道 ・倉田洋子訳 「建築 フオル ムコレクシ ョ

ン ー造形思考 とタイポロジーT」 、集文社

<ソ フ ト> ・ Top Down

早稲 田大学理工 学部建築学科

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渡辺仁 史研 究室


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早稲田大学費T学 部鶴議学科

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渡辺仁典研究室


参 考 文献 5) Robin S.Ligge■ 。Wil五 am Jo Mitchel1 0 Milton Tan著 ・ Ychuda E.Kal■ 編「 Principle of Comp uter‐ Aided

Design:Evaluating and Predicting Design

d Optimization of Design pp.251∼ Sons,Inc.、

pp。 269」

Perfomannce; 15 Multilevel Analysis An

、 A Wiley― Interscien∝ Pubhcadon John W通 ey&

1992

上 記 の文 献 の翻訳 。 「 デザ イ ン にお け る多 重 レベ ル の分 析 と最適化 」

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清初仁史研究室


デザインにおける多重 レベルの分析 と最適化

1

デザイ ンにお ける多重 レベルの分析 と最適化 ロビン輩 リグ ッ ト カリフオル ニア大学 ロスアンゼルス校大学院 建築・ 都市計画学科 カリフオルニ ア州 ロス アンゼルス

ウイリア ム●8ミ ッチ ェル ミル トン=タ ン ハーバー ト大学大学院 マ サチ ューセ ッッ州 ケ ンプ リツジ

この文書 では知識 に基づ くコンピュータ支援 によるデザインのシステムについて議論する。そのシステムとはあらゆ る レベルでの分析 の能力を備 えてお り、 レベルからレベルヘ のデザインの変化 に対する制約 を自動的 に伝達するような システムである。またそのシステムは、異なったレベルでの最適化 の形式 と解決案 を支援 している。すなわち、適当に 制約 された従属 的な最適化の問題の連続 したものを解 いてい くことで、ある解決案 に近づ くことが ことがで きるような システムである。理論 と実践 が議論 されてお り、小住宅の計画のデザイ ンについての適用 の細かな一 ケースス タデイも 不 されている。

トップダウンとボ トムア ップのデザイ ン

我 々はみんな何 か大 きくて複雑 なものの うまい扱 い方を知 っている ものだ。例 えてい うと分類 と規則、すなわち部分 の合成 として全 体 を見 た り、部分 を分けて扱 つた りする。そ してある部分 が あまりに も大 きす ぎるな らば、その手続 き を繰 り返す ので ある。街 は街路 を骨組み とした近隣から成 り立 っているし、近隣 は建物 を含 み、建物 は壁や床 から成 り たって い る。 また壁や床 は レンガ等 の、明かにより下位 の構成要素か ら造 られてい るのである。そ して我 々は都市計画 家か ら建築家、固体物 理学者、 さらにその他 もろもろに至るまでその分野 に沿 った全 ての専門家 を有 しているのである [デ イス トラ

1989].

デザ イ ンは抽象的な階層 にお ける仕事で ある ことが多 い。例 えば、包括的な概念 を細部へ と トップダウンさせる手続 きであった り、 具体的 な細部か ら広範 囲 にわたる組織的なアイデアヘ とポ トム アップさせる手続 きであつた り、あるい は二つ 間 の何 らかの結 び付 きのなかでの手続 きであつた りする。 トップダウンのデザイ ンでは制約 はより下位の抽象的 な階層 へ と伝達 される。 つ ま り、上位 の組織的な決定が下位 の細部 にわたる問題を制約 す る。 しか しポ トムアップデザ イ ンでは、制約 は上位の抽象的な階層 へ と伝達 される。 つ ま り、細部 についての決定 が上位 の組織的な問題 を制約する ので ある。 トップダウンのデザイ ンでの特徴 的な難点は、広範囲にわたる組織 的な決定 がその決定 に至るまでの細部の デザイ ンをかな り制約するおそれがあるとい うこと、 したがって潤足 のい くよ うにや り終 える ことは不可能だ とい うこ とである。逆 にポ トムアップデザ イ ンでの特徴 的な難点は、 より下位 の要素 と満足 のい くような広範囲にわたる組織化 を産み出す よう確立 された従属 的なシステ ム とを結 びつける ことが不 可能だ と分 かるか もしれな いこ とである。 進行 中のデザ イ ンヘ の分析手続 きの適用 と関連 した難点がある。 トップダウンのデザ インでは、初期段階 において構


2

デザインにおける多重レベルの分析と最適化

造的 。精力 的・ 集約的な分析 プログラム を使 うことは不可能か もしれない。なぜな ら、そのプ ログラムは まだ確定 して い ない細部 についての情報 をイ ンプッ トとして必要 とするか らである。逆 に、 ポ トムアップデザ イ ンでは分析 プ ログラ ムは まだ確定 していない文脈 についての情報 (確定 している道路等)を 必要 とするので使用不可能か もしれない。 難点 は最適化 の手続 きが用 い られるときにもまた表出する。上位の変動 および全体 的な制約 と客観性 の総計 を条件 と した最適化 問題 の定式化 は、陳腐 な解決 に しか いたらず、あ るいは悪 くすると全 く適切でない解決 に至るように制約 さ れた、 よ り下位 の問題を産み出すかもしれないのである。逆 に、個 々に最適化 された下位の シス テ ムの結 びつ きは最適 化状態 か らはかけ離れたある包括的な解決 を導 くか もしれないのである。

(こ

れは公的関心の肥 大化 と個人 の客観性 の

肥大化 を調和 させるとい う有名な問題 に関連づ けられ る。)

構文的 レベル

抽象的階層 の概念 は生成文法の概念 と密 に関連づけられる。そのような文法 はデザインの探求 に対する領域を明確 に す るだけでな く、その領域内の個々の対象へ ある構造をあてはめる。単純 に叙述 している文 を生成するような句構造の 文法 は、例 えば、図1に 示 されたような文 に階層的構造をあてはめる。単語 は句 の中に収められ、単純な句 はもつと複 合的な句 の 中に収められる。同様に、古典建築の文法的規則 も図2:こ しめすように古典的オー ダーヘ階層構造を割 り当 てる。つ ま り、古典的建築の要素は従属的集合 の中に収められ、単純な従属 的集合 は もっと複合的な従属 的集合の中に 収 められるのである。

`

ある文法 は全体を形づ くるためにどのように部分をまとめるかという規則 の集合 として表現される。 もしそれらの規 則 が上位の従属的システムのデザインをよ り下位 の従属的 システムの特定 された配置の中へ と再構成する方法を物語 つ ているならば、つまり意味を持 ったある柱 を柱台 と柱軸 と柱頭 との結 びつ きの中へ と再構成するならば

(図 3)、

それ

らの規貝Jを あてはめることはデザインを トップダウン方式へ と導 くであろう。 もしそれ らの規則 がより下位 にある従属 的 システムをより上位にある従属的シテムの中へ と寄せ集める方法 を物語 つているならば、つ まり柱軸 は柱台の上へ置 かれる ものであ り柱頭 は柱軸 の上へ置かれるものであるとい うことならば

(図 4)、

それらの規則 をあてはめることは

デザイ ンをポ トムアップ方式へ と導 くであろう。 建築 の形 の言語を特定す るのに使われた「形態言語

[ス

タイニ イー 1980]」

:ま

、それらの言語が生成するデザイ ン

ヘ いつ も単純 なツリー構造をあてはめるとはかぎらない。そ して、それらの言語 は必然的にデザインを トップダウン方 式 やボ トム アップ方式へ と導 くのではない。 しかし言語 の規則 はデザイナーが見 つけたい方法を反映 しているだろう。 もしもデザ イナーがはっきりと定義 された抽象的階層の中で上下に移動 したいならば、そのような階層を産み出す規貝1 に従 うのは適切である。 もしも「形態言語」 によって寄せ集められた部分 がパ ラメ トリックな対象ならば、規則 の適用 はPと い うパ ラメータの集合 とともにCと いう制約 からなるシステムの集合 を産み出すのである。それぞれの制約 はP という従属 的集合の中の n行 列の関係 である。デザイナーはパ ラメータにその制約 が満足 させられるような値 をあては めなければならない。一般的 に、「形態言語」 によって特定 された言語における異なったデザインはパ ラメータと制 約 のシステムを異なった状態で有 しているであろう。 これ らのシステムの うちのい くつかは実行 できる解決を有 してい るかもしれない し、い くつかはそうでないかもしれない。


デザインにおける多重 レベルの分析 と最適化

図説 (縮 尺 1.5:1)

図 1 句構 造 の文法 によって文 へ割 り当 て られた階層構造

エンタテジチ ュア

1麟t

ダー ド キャ ップ

アー キ トレープ

図2 古典的オー ダーの階層構造

意味的 レベ ル

構文的規則 によって確定 された階層構造 は独断的で無意味 なものか もしれないが、それらの階層構造 は現 に存在 して いる。我々はそれらの階層構造を概念的階層 として、意味的 レベルを加味 した構造 として扱 う傾向がある。別 のレベル では、我々は形 を他 の種類 の特性、つ まり行動・機能 。関連性 とは異なった種類の対象 として区別する。例 えば構造躯 体 を考えてみよう。抽象度 の高いレベ ルでは我 々は単純な線 で躯体を描 き、基本的には線状 の空間要素の集 まりとして 見 るであろ う。そ して我 々はこれ らの躯体要素がまとめるべ き建物組織 の中の正 しい場所 にあ り、荷重を伝 え、適切な 方法で空間を分断していることに関心 を持 つだろう。抽象度 の低 いレベルでは我々はそれらの躯体を、引張 り・圧縮 。 座屈に抵抗できるような鋼材 のウェップ・ フランジ・ プ レー トの集まりとして見 るかもしれないであろう。そ してそれ らの躯体が張力 や曲げ力を許容範囲内に収めつつ も、材料 の使用 を最小限にするような形状や寸法を持つているという ことに関心があるかもしれないであろう。 さらに、 もつと低 いレベルでは我々は材料科学者 の立場を取 って合金鋼 の微 小構造に焦点を合わせるか もしれないだろう。


デザインにおける多重 レベルの分析 と最適化

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フイ レッ ト アス トロガル シ ンタチ ャー

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鶴 白 帥

き ・ ‘ ュ 彙 封 興 、 ャ . . . ¨ 一 一 す ” 神 ﹁ 一 . = , ﹁   一 一 椰 . ﹁ 一 ﹁ 一 一 ﹁ 一 一 一 ﹁ 一 ¨   ﹁ ﹁ ﹁ 一 一 一 一 一 一 一 一 .

図3 構文的なデザイ ンの トップダウン式洗練 に対するルール

贅蓋式イヒ

躯体 は全ての レベルで作用 しなければならない。つまり、躯体 は正 しい場所 において支えることを用意 しなければな らない。 このためには、ウェップ 。フランジ・ プ レー トは張カヘ適度の抵抗を用意 しなければな らない し、またこのた めに材料の徹小構造は適度 の強さを発揮 しなければならない。それぞれの レベルにおける実用性 と機能的適切 さの評価 基準 は制約 として表現され うる。デザイナーはそれぞれの レベルにおいて、部分の適当な組織化 とこれらの部分のパラ メータに対する実用 的値 を見 つけなければならない。 しか しその ことは構造的要素の配置 に関心 を持 ち、分子的構造 に ついて考えているような建築家 の助けにならないのである。そ して新 しい合金の発見 に関心がある材料科学者 は建築的 空間の組織化 にあま り注意を払 う必要がないのである。言 いかえれば、 うまく構築された抽象的階層内でも異なったレ ベルにおける従属的問題 は互 いに無関係 に扱 うことがで き、そ してふつ うはそうあるべ きだとい うことである。同じこ


5

デザインにおける多重レベルの分析と最適化

とが同 じレベルにおいて並立な従属的問題にもあてはまる。つまり、言うならば外装 のシステムは支えるべ き構造躯体 のミク ロな.レ ベルでの細部の知識 なしにふつ うデザインされうるのである。デザイ ン上の問題を、自主独立の従属 的問 題 から成 ってお り問題解決 のや り方 において重要な効力をもたらす階層内へ と仕切 り込 んでいることがたびたび指摘さ れてきた

(ア

レクサ ンダー 1967、 ミッチェル 1990、 サイモン 1981、 サスマンとシーレ 1980)。

しか しなが ら、抽象的階層内の従属的問題はふつ う完全 に独立 とはかぎらない。 デザインの解決が従属 的 システムの うちのい くつかのために確立 された時、これ らの解決は残 りの従属的 システムのデザインによって満足 されねばならな い制約 を伝 えるのである。うまく構築された階層内では、比較的少ない制約が従属 的 システムの境界を越えて伝達され て、伝達 の通路がうまく定義 されているとい うことがポイン トとなっている。 このように他 の解決を複雑 にしているよ うな側面的効力をある従属 的問題 の解決は結果 として期待 しないだろうし、歓迎 しないだろ うとい うことはある程度あ りえないこ となのである。それにもかかわらず、制約 はまさに蓄積するのだ。 トップダウンのデザイ ンにおいて上位の 従属的問題 はある程度制約 されていないことが多 い。 しかし下位 の従属的問題 は正確 に決定 された文脈に合 うようデザ イ ンされねばならない従属的 システムとして、 よりきつ く制約 されているとい うことが分 る。 ボ トムアップデザイ ンに おいては下位の問題 はゆるく制約 されている傾向 にある。 しかしより高 いレベルの従属的システムを形づ くるために従 属的システムをまとめて適合 させるような問題は レベルが低 くなるにつれて困難になるのである。

制約の双方向的な伝達

このように トップダウンとポ トムアップのデザイ ン戦略の強さと弱 さは補足的である。だから継続 して レベ ルからレ ベ ルヘ移動する ことは普通慎重である。一―絵全体を考えることもあれば、デイテールに焦点をあわせることもある。‐ その結果、異なる レベルでの要素 と従属的 システムが互いにうまく適合するようしだいに調節 され得 る。二つの方法 ―‐ の戦略 の価値 はパ ラデイオの住宅のデザイ ン例 によって うまく図説されている

(図 5)。

パ ラデイオの図面から明なこ

とは彼 が トップダウン方式で慣習的にそのデザ イ ンをや り終えたことである。_… …平面 と立面の調節 の非常 にラフだが 意味のあるスケッチで始まり、その後 これ らの スケッチをくり型 と柱頭 のデイテールヘ と洗練するに至っている。反対 に、パ ラデイオが建築のオーダーに対する正確 な比例の規則 に従 つてお り、ある意味 で建築的なオーダーの選択

(ト

カナ式、 ドー リア式、イオニ ア式、 コリン ト式、あるいはそれらの折哀)が 全体のデザインをコン トロール していたこ とも我々は知 つている。つ ま り特定のオーダーの選択が一貫 して伝達 されるような基本的な定義 の規律を確立 したのだ。 これはジレンマ を生み出す。 もしパ ラデイオの住宅のデザイナーが純粋な トップダウンの戦略 にしたがえば、利用 でき る空間へ望 ましい柱 を合わすのは不可能だと分かるかもしれない。 しか しもしデザイナーがオーダーを選ぶ ことによっ て作業を始め、その後全体的 な組織へ とポ トムアップする作業を行なうなら、欲求 される計画を満足 しかつ満足 のい く 立面の折哀 を生成するという選択 は乏 しい。 より良い戦略は低 いレベルヘ正 しく降 りて分割 しオーダーを選ぶ ことによ つて始 めること、その後最上の レベルに上が り戻 って残 りのデザインを トップダウン方式でや り終えることである。一 ¨ただし、絶えず始めのオーダーの選択によって確定 されつづけている寸法 の制約 を忘れないようにである。 これは従 属的システムと細部 の トップダウン的な調整 という利点を与えるが、 ポーチと柱 が結局 は全体 の計画 に合 わせ られねば ならない時に全 く困難が起 こらないであろうということを保証する。一般 にデザイナーは抽象的階層 の中の色 々な レベ ルにおいてデザインを決定す る健 を結ぶに至ることができ、その後で始めの決定 によって確定 した制約の枠組み内で他


デザインにおける多重レベルの分析と最適化

6

の決定 を満 たそ うと戻 れる必要 がある。 この種 の過程は制約 の双方向 の 自動的な伝達を支援 する コンピュータエイディ ド=デ ザ イ ン=シ ステムによって援護 される。___言 い換 えると、 より高 い レベ ルのデザインの変動 を制約するよう確 定 されたより低 い レベルの細部 についての情報 を使用 し、 よ り低 い レベルのデザイ ンの変動 を制約 す るよ う確定 された より高 い レベルの組織的な決定 についての情報 を使用するとい う ことである。

抽象的階層 におけるデザインのための トップダウンの使用

あ らゆる レベ ルの分析 と最適化 とレベルか ら レベ ルヘ の双方向 の制約伝達 は、我 々が成 し遂げまた教育 で広 く使用 さ れてい る トップダウ ンとい う コンピュータ支援 によるデザインの システムによって支援 され ている

90].

[ミ

ッチェル他

19

トップダウ ンそれ自体 は、 3つ の レベ ルで表現 される。使用者 の視点か らは、 マ ウスの操作 で 制御 され、"ク リ

ックートウグザ ー"方 式 でデザ イ ンを組み立 てられる、高度 に相互作用的なグラフ イックスのプ ログラムである。プ ログ ラマーの視点か らは、階層的 に構成 されたデザ イ ンを生成するような形態文法 を特 定す るための環境 で あ る。従属 的な 構造 の レベ ルにおいては、パ スカル言語 にお いて実行 され、デー タ構造を保持 して グラフイツクス=イ ンター フェース を与 える一片 のソフ トウェア ーである。 これ らを順 に考 える。 使用者 の レベ ルにおけ るデザ イナーの仕事 は、図6に 示 される画面を見る ことである。 2つ の グラフイックのウイン ― ドウがある。一― 入力用 ウイン ドウと出力用 ウイン ドウである。出力用 ウイン ドウは線 とペ タ黒 の多角形 の合成 として 描 かれたデザインの現在 の状態 を常 に示 してい る。出力用 ウイン ドウはただ見 るだけのためにある。 つ ま り、使用 者 は 画面に表示 されるグラフイックのオブジェク トを直接選択 した り操作 できない。全 てのデザ インの相 互作用 は入力用 ウ イン ドウを通 して達成 される。 デザイナーは 2つ の基本 的な動 きを知 る必要があるだけである。すなわち細部のあまり 描 かれて いない表現 に対 する よ り細 かな表現へ の置換、そ して寸法・ 角度・色等 々のパ ラメ ー タの変動 で ある。置換 は

:

:

1

図 5 パ ラデ イオの住 宅 の 意 味 あ る立 面。 部屋 の幅 と高 さの決 定 が ポ ー チ に対 して利用 で きる空間を決めるが、 古典 的 オ ー ダ‐ を支配 す る規 貝1も 欲 求 される 空間 を決 め るざ

1 1 :


デザインにおける多重レベルの分析と最適化

7

出力用 ウイン ドウ内の置 き換 えるべ き部分 をクリックすることによって達成 される。 このクリックが置換 のオプション を示す対話用 ボックスを引 き出す (図 7)。 対話用 ボックス内で ク リックすることによりあるオプシ ョンが選択 された 時、そ のオプションは入力用 ウイン ドウの影 の 中に表示 される。その40Kが クリック されると、選択 されたオプション は入力用 ウイン ドウに表示 されている現行 パー ジ ョンのデザインの 中に置 き換 えられ、そ して対話用 ボックスは消 える。 置換 はいか なる深 さに対 して も置換 の範囲内で行 なわれる。 寸法 のパ ラメ ータの変動 は、制御パー をス ライ ドバー と一緒 に持ち出す ために出力用 ウイン ドウ内の決定 している線 上 をク リックすることで達成 される (図 8)。 コン トロールバーは名前 と操作 されて い る現在 の変数 の値 を表示 する。 スライ ドバ ーが動 く範囲 の最小 と最大 の値 はその変数 について現在分 かる制約 を表示する。αく がクリックされると、そ の変数 の現在 の値 がデー タ構造 の中へ入力 され コン トロールバ ー は消 える。常 にメ ッセ ージウィン ドウは画面の下部に 開かれている。 これは文脈的 に意味 の ある助言 と指示・ 批判 的注釈 。そ して適切な分析結果 (面 積 や原価計算 のような) とい う持続 的な流れを与 える。 もちろんそ の流 れは無視 され うるが、一一使用者 が偶然 にも流れ にバ ラ ンス を与えたと きは、常 にそこに適切な助言があるので ある。

トップダウンを用いたプログラミング

トップダウンを用 いたプログラマーは、形の知識 や要素の大きさ 。そ していかにこれ らの部品を合体 させるかという 知識 と合 わせて、興味ある型 の人工物 の従属的 システムを提えて記号化するとい う課題を持つ。言い換えれば、プログ ラマーはこの型の人工物 に対する語彙 とパ ラメ トリックな形態文法の構文的な規則 を記号化 しなければならない

[ス

イニー 1980]。 そうすれ ば、置換可能な二者択 一の部品の間での選択 と各 レベルにおけるパ ラメータに対する値の選

抽彙の最 も高い レベルに居 る

置換を始める―違い灰色の領城をタリックする トップダゥンから抜ける,最 も下0ア イコ ンをクリツクする

:

図6 入力用、出力用 と、メッセージ用のウイン ドウを持つ トップダウンの画面


デザインにおける多重レベルの分析と最適化

8

択 によって特徴 づけられた言語 の 中で、使用者 はデザインを探索 できる。 適用 をプ ログラムする第一段階 は、 デザ イ ンが組み立 てられるようなパ ラメ ータ化 された形の語彙 を特徴 づ け ること で ある。次 に、与えられ た形 に対 して置換 されるか もしれな い形 を特定す る規貝Jが 定義 されなければな らな い。最後 に、 置換 された形 によってどんなパ ラメー タの値が受け継がれるだろ うか とい うことを特徴 づ け ることによって、置換 され た形 の位置 と大 きさが置換前 の形 の位置 と大 きさに関連づ け られねばな らない。 もし複雑 なアーチ型の窓の詳細 な表現 が意味 ある立面内で単純 な長 方形 に対 して置換 されるなら、例 えばその窓 の高 さと幅は元 の長方形か ら受 け継 がれるべ きである。 原則 として この種 のプ ログラミングは多 くの異なった方式 で実行 される。 プ ログラミングの教育のため に使 われてい る トップダウンの現行 パー ジ ョンでは、 プ ログラマーはパ スカル言語 の拡張を見 る。形 はパ ラメ ータ化 された手続 き (ミ

ッチェル他 によって表 されたアプ ロー チを使用 している

[1987])に よって表現 され、そ して置換 の可能性 やバ ラ

メータの値 の受渡 しの道筋 を特徴 づけ るための設備 がある。 プ ログラマー は トップダウ ンのシェルー 使用 者 とプログ _‐

‐ へ と適用 させて い く。 ラマー によって記号化 された規則 の間 の受渡 しを与 える一片 のパ スカル言語 のソフ トウェアー‐ シェルは置換 の対話用 ボ ックス内の置換 オプションと合 わせて、入力用 ウイン ドウの中の選択可能な形 と して置換 の規

則 を形 にあたえる。そしてシェルは値 を割 り当てるのに用 い られるスライ ドバーに訴えるようにして入力用 ウイン ドウ 内で選択 されうる決定 している線 として寸法を手渡す。 シェルはデータ構造 において使用者 のデザインの決定 をもまた ・最終的 にファイルの入力 と出力 を供給 し、ユーテイリ 記録 し、出力用 ウイン ドウに現在 の状態 のデザインを表示する。 テイーを印刷す る。

分析手続 きの統合

■換を選 ど オーダーの名前か、フリ…スタイルをクリツク OKを クリツクする す る。その負 置換を承認すると―‐

図7 置換 オプシ ョンの表現


デザインにおける多重 レベルの分析 と最適化

トップダウンの初期 パー ジ ヨン

(例

えば、 ミッチェル等 に記述 されてい る様 に「 1990」 ):ま 、抽象的な形 のみを扱 つ

て い た。 つ ま り、形 を建築的要素 や従属 的 システムと して翻 訳す ること、そ してそれ らが何 を意味するかを気 にかけて お くことは使用 者 の義務 であ つた。現行 パー ジ ョンは、機能的 に翻訳 された形 を処理するように、そ して機 能的 な要求 をいかに満足 させるかについての知識を統合す るよ うに拡 張 されてきてい る。 一つの要素の機能 あるいは一つの人工物 の従属 的 システムがいかに有用 なものであれ、その要素あ る いは従属 的 システ ムは以下に示す よ うな文脈 において もの を供給するのだ。 つ まり、家 中の部屋 は床面積 を供給 し、躯体 中の柱 は支持 を供給 し、壁中の窓 は光 と空気 を供給する、 等 々で ある

[ミ

ッチェル、 1990].機 能 の レベル とは上記のよ うな供給 されたものの総計、 つ ま り床面積 の総計 。支持

の総計 。光 の総計・ 空気 の総計 ・等 々である。 一般 に機能 の レベ ルは、要素あ るいは従属 的 システムデザ イ ンの数学的 関数 としてバ ラメー タを設定 され うる。従 って例 えば矩形 の部屋 によって供給 される面積 は、矩形 の長 さと幅の関数で ある。 与えられた文脈 の 中で、要素 または従属 的 システ ムが適切 に機能す るには、以下 のような文脈 によって要求 された レ ベ ルにおいてそれが機能する ことが条件 である。 つ まり、活動性 を保 つの に十分 な床面積、あ る いは屋根 を支えるのに 十分 な支持、あ るいは居住可能な部屋 にするの に十分 な光 と空気 を供給するような文脈 である。 だか らデザイナーの仕 事 とは、抽象的な階層 において特定 の要素や従属 的 シス テ ム を処理するうちに、機能的な妥当性 が達成 され うるように デザ インパ ラメ ー タを調整する ことである。すなわち、供給 された機能の レベ ルは、要求された機能 の レベ ル と一致す るかあるい はまさっている。要求 された機能の レベ ルは他 の要素 と従属的 システムの特性 によって決められるので、要

1ず つ値を変える―パラメー ターバーの矢印をクリツクす る 1単 位ずつ値 を変える■バラ:メ

ーター′ ,一 の明るい灰色 の部分をクリックする

自由に値 を変える―スライ ドボッタス上でマウスのポタンを押 したまま移動する

UNDOを クリックする 値を承認す る-OKを クリツクする :元 の値に戻 る―‐ 図8

決 定 して い る線 の 選 択 とス ラ イ ドバ ー の 使 用 に よ る パ ラ メ

トリックな変動


デザインにおける多重レベルの分析と最適化

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素 や従属 的 システムのデサイ ンの問題 はシステムの他 の部分 の調整 によって再定義 されるか もしれな い。 このことは、 トップダウンのデザインでは、上位 の従属 的 システムについて確定 した決定が、 よ り下位の従属 的 システムによって供 給 されるに違 い ない機能 の レベ ル を定義す るとい うことを意味する。 ポ トム ア ップのデザイ ンでは、下位 レベ ルの要素 と従属的 システムについて確定 した決定 は、 よ り上位の レベルの従属 的 システ ムヘ と供給 され、遂には全体 としてシス テ ムに よって排 出されるような機能の レベ ルを定義 す る。 要素あ るいは従属 的 システムの機能的な妥当性 は、内的 に も外 的 に も適切な制約 と応諾 しなが ら達成 されねばな らな い。内的 に適切 な制約 は、内的な組織、つ ま り部品や部品の特性 と部品の関係 、要す るに要素あ るいは従属 的 システム の特別 の型 の特質 によって確定 される。従 ってそれ らは文脈 へ の適応性 を制約 して い る。例 えば、柱 はある材料 に対す る最大圧縮力が超過 されない ように、内的 に適切な制約 の もとにデサイ ンされねれ ばな らない。内的 に適切な制約 は方 法 の制約 もまた含むか もしれない。例 えば、鋼材 の量を決めると柱 を組み上 げるのに有効 であるとい うことで ある。外 的 に適 切な制約 は文脈 によって確定 される。 つ まりそれ らの制約 は内的適応性 を制約する。例 えば、柱 は収 まる間隔よ りも広 い間隔で造 られ得 ない し、あるいは柱 の荷重 を伝 え渡せる間隔 よりも短 い間隔で造 られ得 ない。 トップダウンのデザインでは、要素ある い は従属 的 システムに対する外 的に適切 な制約 は、以前 のデザ イ ンの決定 に よつて与 え られ、内的に適切な制約の様 々 な構造は、可換 な対 象 (例 えば、円、四角、あるいはI型 の柱断面)に 対する 要素あ るいは従属 的 システムの様 々な選択か ら、結果 として生 じるであろ う。 ボ トムアップのデザイ ンでは、要素ある いは従属 的 システムに対す る内的 に適切な制約 は、以前 のデザイ ンの決定 によって与えられ、外 的 に適切 な制約 の様 々 な構造 は、 より下位 の従属 的 システムをよ り上位 の従属 的 システムにいか に結 びつ けるかにつ いての様 々 な決定 か ら、 結果 として生 じるであろ う。 トップダウ ンを適用するプ ログラマーは、分析手続 きをどんな レベ ルにおける従属 的 シス テ ムに も結 びつ ける ことがで きる。 これ らの分析手続 きは従属 的 システムが変更 されるといつで も呼び出 され、それ ら は現在考慮 して い る従属 的 システムの適切性 や機能的な妥当性 につ いて

(メ

ッセ ー ジウィン ドウの中で)告 知す る。 も

し適切性 あるい は機能的妥当性 に困難な点 があれば、理由を示 しつつ それを確 定す る方法 の指示 を与 える付カロ的なメッ セ ー ジが出るよ うに診断す る規貝1も また含 まれ うる。

市駒 の下 方 へα 謎

トップダウンのプログラマーは制約 が侵害 された時、メッセージを生成す るだけでな く制約 との応諾を強 いる選択を するか もしれない。 これはい くつかの方法 で実行 できる。そのうちの最も単純 な方法 は制約 の下方への伝達 に備えるこ とである。初めに記 したように、要素 と従属的 システムが共 にうまく一致す ることを保証するために、 トップダウンの 適用 における下位 のレベルの要素 と従属的 システムのあるパ ラメータの値 は、ふつ うより上位のレベルの従属 的システ ムのパ ラメータの値 に依存 して生成される。例 えば、梁の長 さは 2本 の支柱 の間隔 に依存 して生成されるかもしれない。 従 つて支柱の間隔が広がれば、梁 は合 わさったまま自動的に伸 ばされる。 しか しながら、依存する値について内的な制 約 があるか もしれない。つ まり、 もし梁の断面 と材質が固定 されていてあまりにも長大に造 られたならば、その梁は崩 壊するだろ う。 原則的には、様 々な レベルにおける従属 的 システムのパ ラメー タは、対称的にあるいは非対称的に関連づけられてい るか もしれない。言 いかえれば、梁の長さは柱 の間隔に依存 して生成 されるか もしれない し、柱 の間隔は梁の長さに依


デザインにおける多重レベルの分析と最適化

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存 して生成 されるか もしれな い。あるいは使用 者 はまず梁 の長 さか柱 の間隔 を決 めるよ うにまか され るか もしれない。 下方へ の伝達 のアプ ローチはパ ラメー タの非対 称的な関係 に矛盾 な く依存 して いる。 つ まりより下位 のパ ラメータはよ り上位 のパ ラメー タに依存 して い るか もしれな いが、 よ り上位のパ ラメー タは決 してより下位のパ ラメータに依存 して いない。だから最 も単純な形 の トップダウンは原因が作用する方向が厳密 に固定 されるような命令 と制御 の「軍隊的」 構造 を成 しうるのである。命令 はいつ も上か ら降 りて くる。それぞれ の レベルにお いて命令 の ままに動 き、そ してさら に命令 はよ り低 い レベ ルヘ と伝達 される。最 も低 い レベ ルでは命令 が単純 に実行 されるだけだ。た とえ どんな犠牲 を払 つてで もである。 このことはデザ イ ンプロセス につ いて一つの規律 を課す ことである。 しか しそれ は明快 さと有効性 と い う点 で高得点 を得 るデザイ ンプ ロセスで ある。 次 の細部 の レベ ルヘ デザイ ンを洗練するために使用者 が可換な対象 を生成する時、 自動的 に置換す るよ うな従属 的 シ ステ ムの型 の選択 は、その レベ ルのパ ラメー タにおける内的な制約 を確 定す る。そ して より高 い レベ ルにお いてなされ たデザ イ ンの決定が外的な制約 を確 定す る。調整 のためにパ ラメー タが選択 されるとき、 スライ ドバ ーの移動範囲はこ れ らの制約 によって自動的 に決定 される。デザ イナーの仕事 は機能的妥当性 を達成するためにこれ らの制約内でパ ラメ ー タを調整することである。

評価の上方 への伝達

命令 と制御 の「軍隊的」 な構造 をもつ トップダウ ンの最 も単純 な形 は、 ユーザ ーが現在考慮 中の レベ ル より、 より下

図9 制限 の多様性 はメッセージ用 のウイン ドウ内で知 らせる。親指が下を指す シンポルは満足 のいかない制限を指 し示す。


デザインにおける多重レベルの分析と最適化

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位 の レベルでの制約 を無視 している。つまり、 より下位の レベルがどうにか して適応 し実行するであろ うということが 単 に推量される。多少な りとも明 らかにされた命令や制御の見方は、 もし満足 に実行す るのにこれらの命令が 困難また は不可能だと分 かったならば、命令がより下位 の階層 に伝達するのではな く、制約 が より上位の階層へ戻 るように伝達 されるかもしれない、 ということである。 この構造 もトップダウンを適用 する中に用意 されうる。 制約 を伝達するこのパージョンでは、ユーザ ーはパ ラメーターの調整 の試行錯誤 によって、各 レベルでの最適の従属 的 システムのデザイ ンを見 いだそ うと試みる。…… …それらのレベルには従属的システムが必ず機能するような内部構造 と文脈 との間で適当な合致がある。パ ラメーターが調整 のため選択 されたとき、いかなる外的制約 の侵害をも許さない ように、スライ ドバーが自動的 に制約 される。パ ラメー ターが調整 されるので、 トップダウンは動作結果を ジウイン ドーに)自 動的 に表示す る

(図 9)。

(メ

ッセー

制約 の結果 は現在考慮中の従属 的システムの部分 にのみ参照 され、その

部分 の部分 には参照 されない。言 いかえれば、現在 のレベルでの制約 の侵害を引き起 こすようなより下位 のレベルでの 制約 の侵害 は、抽象的な仕切 りの背後 に隠される。 もちろん、ユーザ ーはより下位 の レベルに移ることにより、常 にこ の抽象的な仕切 りを横切ることがで きる。 もし与え られた レベルにおいて適当なデザイ ンが見つか らなければ、ユーザ ーは違った内的制約を定め るため別 の型 の従属 的 システムを代用 してみることもできる し、 レベルを上げ戻 して、外的制約 をな くすためより上位のレベルの従 属的 システムのパ ラメーターを操作 してみることもできる。 もしそれらの解決案 に効果がないと分かる場合、ユーザ ー は別 の レベルヘ上が り戻 り、 この手続きを繰 り返 して、そして抽象的階層 の頂点 まで行 くことができる。全体的なデザ イ ンの問題が解決されるのは、以下の二つの状態が出会 うときである。一つは、 (抽 象的階層 の頂点 に示 される)完全 なシステムが与えられた文脈 に適合 し、全 ての機能 の要求 に応 じる状態。 もう一つは、従属 的システムのデザインが結 果的 に最 も下位 のレベル まで間違 いな く主張され続けている、つ まりすべての レベルにおいて実行が示 され、解決され ていない細部 は全 くない、とい う状態 である。

実行保持のための制約解決者の動作

命令 と制御 の序 々に明 らかにされた概念 は、 より下位 の レベルが不平 を言えるだけでな く侵害 されない「 権利」 をも って い るのだと分 かる。 したがって、命令 が上 か ら下へ と下つたとき、 この権利 によって起 こるであろう強制 に服従 せ ねばな らな い。矛盾 が生 じれば、それを調停す るメカニズムが要求 される。 トップダウ ンはそのことにつ いて も用意 が ある。 トップダウンは「厳正 に」定義 されたよ り下位 の レベ ルでの制約 と自動的 に矛盾 を解決 し慣 れた制約解決 のアル ゴ リズ ム を考慮 に入 れて いる。 さらにいかなる レベ ルのパ ラメー ター も調整 されれ ば、 トップダゥンはいつで もあらゆ る制約 と首尾 一貫性 を維 持す るよ うに他 の レベ ルのパ ラメー ター を調整 し直す。現 パ ラメー ター に対応 するスライ ドバ ー は解決 で きない侵害を産 まない よ うな範囲内 で制約 される。 もしいかなる変化 も侵害 を産むようであれば、 スライ ド バー はそ の位 置 に固定 される。 用可能 で ある。あるものは限定的だが効率的であ り、 またある ものはよ り広 現在多 くの制約解決 のアル ゴ リズ ムカ■り 範 囲で あるが効果が少 ない。それゆえ様 々 なアル ゴ リズ ムは様 々 な文脈 での使用 に対 して適切である。 トップダウンの 使用 において最 も適切な適用 は増大す る制約 の解決 であ り、それ は実行 で きる解決 の発展 を維持 しつつ、問題点へ付加 された り問題点から除去 される制約 としてその適用 を適切 に修正す る。

[フ

リーマ ン=ベ ンソン他 1990]


デザインにおける多重 レベルの分析 と最遭化

多重 レベノ 嚇

13

結局、命令 と制御 の原理は、 より下位 のレベルが権利 を持つだけでな くそれらのレベル自身の 目的を持 つているのだ と分かるかもしれない。つ ま りその仕事は、あらゆる レベルでの 目的が記述されているようなデザインと交渉すること である。そ してい くつかの適当なパ ランスが達成される。言 い換えれば、「個人的」満足 は「公的」利益 に対 して釣 り 合わねばならない。 トップダウンの最 も洗練 されたパー ジョンは、目的 とする機能が各従属 的システ ムに関連づけれる ことと、形式的な最適化手続 きの戦略が最適化 された従属的システムのデザイ ンを産み出すことを許容することによっ て、 この釣 り合 いに備 えている。 普通、従属的 システムのデザインにおいて、目的とは実行性 の程度を最大イヒすることか、内的かつ外的実行 の制約 に 従属するような機転 のきく使用 をセ 化することのいずれかである。例えば鉄骨フ レームのパ ビリオ ンが次 のような状 lヽ

況でデザインされねばならない と仮定 してみよう。鋼材 は高価 であ リエアコンに必要な電力 も高価 だが、できるだけ広 い床面積 が必要 とされ、内部空間では自然光が望ましい と考えられる。そ して全 コス トには限界 がある。 これ らの考慮 すべ き事柄 は、抽象的階層内の異なったレベルにおいて表わされ考慮 されるであろう。鋼材 の断面の細 かなデザインの レベルにおいて、目的は断面 の重量を最小化することであろう。そ して架構のデザインのレベルにおいては、使用鋼材 の総重量を最小化することで あろう。鋼材使用量の最小化 は配置計画 のレベルでは直接 の目的とはならないであろうが、 しか し配置計画の決定が支持材 の位置や鋼材断面のデザインとい うより下位 のレベルでの問題を制約す るであろう。言 い換えれば、もし架構 のデザインが初期の段階で経済的理由から固定 されれば、 このことが配置計画の可能性を制約す るだろ う。全体的な配置計画 の レベルでは、総床面積 の最大化が直接 の目的となるであろう。窓割のデザインのレベル では、内部空間の奥深 さに見合 った十分な光を与えるためデザイナーはできるだけ大きな窓を造るよう努 めなければな らない。つ まり、もしエ アコンのコス トを急激に増大 させずに床面積 を最大 にするため奥行 きのある配置計画 と低 い天 井が採用 されたなら、先 のような窓割 りは困難であろう。 しかし天丼が高 く奥行 きの短 い断面ならば、デザイ ンは簡単 であろう。最も高いレベルにおいてデザインは全体 のコス トに関わる制約を満足するよう調整 されねばならない。つま りこのようなデザインは、全てのより下位の レベルの従属的 システムに対する適切なデザイ ンを最初 に決定 し、その後 より下位の レベルの適切な制約 を侵害せず に最上位 の変数 を許容できる レベルヘ収 めるよう調整 に努 めることで行なわ れるのかもしれない。例 えて言えば、 もし自然光が好 ましくない と考えられるようにな り、あるいは鋼材 やエアコンの コス トに重要な変化があるならば、問題は複雑 な方法で再構築される。 このように最適化 された トップダウンは、複雑で多面的基準を持つ問題 に近づ く効果的な方法を用意 している。目的 は異なった レベルで分け られはっきりと分節化 される。デザイナーはこれ ら目的の相互関係 を探求することができる。 その可能性 は、意味的 レベルを合成 したりい くつかの奇妙な全体 の最適化手続 きを実行することによってではなくて、 特別 の 目的を持つ特別な従属的 システムに対す るデザインを迅速 に試 した後、他の目的をもつ他 の従属 的 システムに対 するデザイ ンのか らみ合 いを調査 することで、目的 どうしの間でよい ものに交換する。なおその上、 い くつかのレベル に様 々 な目的を置 くことの効果が探求され うる。例えば もし全体の配置計画の レベルでの目的が平面計画 の奥深 さを最 大化す る目的からそれを最小化する目的へ と変化 させられるのであれば、 より高いレベルの組織 と細部 に何 が起 こるの だろうか ?

そ して もし架構 のデザインの レベルでの目的が鉄骨仕事の量を最小化するとい う目的か ら見事 な梁間を最


14

デザインにおける多重 レベルの分析 と最適化

大化するという目的へと変わるとき、何が起こるだろうか?

例 :4喧 費初計画

トップダウンにお ける分析 の方法、制約 の伝達、そ して最適化 を図説す るため、イヽ 住 宅 の平面計画 とい う題材 が選ば れた。何年か前 にはこの種 の問題 は、 まず隣接す る欲求を満足する構造 (部 屋のパ ター ン)を 列挙 し、 さらに長さ・幅 面積 。周辺長 の ような部屋 の寸法 に対す る線 形性 や非線性、 もしくはダイナ ミックなプ ログラミングの方法 を加えるこ とで解決 され うることが示 された。そ してプ ロポー ションの制約 は満 たされ、全体 の床 面積 は最小化 された。 ェル他 1976、 ミッチェル 1977]。

[ミ

ッチ

トップダウンを適用 すると、 この種 の問題 は全 体 の形 か ら内部の配置 という微

細 な細 部へ と作 業 を下ることによって相互作用 的に解決 される。各段階で選択 しうる内部構造が置換 できる ものとして

考慮 され、そ して価値基準は制約が満 たされ経済的配置が達成 されるように定義すべ き変数へ と割 り当てられる。抽象 的な階層 におけ る個々の従属 的問題は、解決案がふつ う十分明白なうえ、使用 者が適切な選択の範囲をす ぐに探求でき るほど単純 であるということが分かる。 平面を生成するのに用 いる文法 は、図10に 図説される。始めようとする形はいかなる大 きさ・ プロポー ションにも成 りえる一個 の長方形である。長方形を垂直 に分割す るための規則 や、長方形を水平 に分割するための規則 、そ して長方

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図 10・ 長方形平面 を従属 的に分割するための規則 レベ ル1

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図H

使用者が抽象的階層を上が り戻 る時、各 レベルにおいて寸法の変数がいかに調整

されうるかを示 している単純な平面の2分 岐のツリー構造


デザインにおける多重レベルの分析と最適化

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形 を風車型 の 5個 の長方形 に置 き換え るための規則 がある。 これ らの規則 は元 の長方形 か らより小 さな長方形へ と詳細 な分析 を進 めるのに十分 である。最終的 には、大 まかな家の平面は一個 の抽象的な長方形 の代 わ りに以下 の部屋 (廊 下 ユーテ イリテ イー・ 居間・ 食堂・台所 。風 呂 。寝室)の うちのどれか一つ を置換する ことによって産 み出 される。 評価の上 方 へ の伝達 を支援 する トップダウンのパージ ョンを使用 しなが ら、 まず単純 な場合の問題 につ いて考え よう。 平面内に風 車型 がな く (つ ま り長方形 の水平 と垂直 の分割 のみ)、 そ して平面内の各部屋が、最小限許 される長さ 。最

小限許される幅 。最大限許される長さ・そ して最大限許される幅を保持 していると仮定 しよう。その階層構造は図Hに 示 されるように 2又 の樹系図 となろう。空間が次々 と分割 され部屋をあまりに小 さい長方形 に置換 しようとすれば、制 約 の侵害 メ ッセージが現 われる。使用者 は水平や垂直の壁を移動させることによって、侵害 された長 さや幅の制約を満 足 しようと試みることがで きる。もしこの操作 がその他 の部屋 について侵害するような制約 なしになされるなら、それ 以上の困難はない。 もしこの操作 が行なわれないなら、使用者 は次の レベルの抽象へ と上進でき影響のある部屋 を含む 長方形を再定義 できる。 つ まリトップダウンはこの より大 きな長方形に対 して欲求される最小 と最大 の寸法を計算する。 もしこのレベルで隣接す るい くつかの長方形内で制約 の侵害を引き起 こさずに十分な空間が造 られないな らば、使用者 はさらによ り高 いレベルヘ進み、そうすれ ば階層 の頂点 に至ることができる。 この過程 にお いて トップダウンは現在考 慮中の長方形 に対 して欲求 される最小 と最大 の寸法を常 に計算できる。 これ らの要求をいかに満足するかは常に明 らか であり、そ して使用者は全 ての部屋の長さ と幅 の要求を満足 して全体 の長 さと幅が最 も小 さい最終の平面を迅速かつ簡 単 に造ることができる。 風車型の平面

(図

12)と い う選択 はわずかにより複雑 な問題を造る。長方形空間内の長方形空間がなす単純な階層 は

図 12

風車型 の平面の調整


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図 13 従属 的 な分宙,と 面積 制限 の あ る平面 の調整

1約 が周期的 に結びつけられる。夕1え ば寸法a・ bod。 あるいはcの 変更は、寸法cを 全 くな く、長方形の大きさに関す る鮨

変 えるであろうが、bと dlこ 等 しい変更を行 なうことによって もまたcは 制約を保たれる。使用 者がもっと多 く空間を通 るために抽象的な階層を上 に戻 る場合、欲求 された結果を達成 しようと変数が選択 され変更 されるかはそれほど明 らか ではない。だか らふつう制約解決 のアルゴ リズ ムは、ある変数がいつ操作 されても他の変数 を調整することによって適 合性を維持するために用 い られ る。そ していつ変数が操作 されようとも他 の変数 を調節することによつて実現可能性を 維持 しようとし、tll約 を解決す るアルゴリズ ムを実用的 に用 いることができたとい うことは、あまり明らかではない。 しかしなが ら、 これは決 して本 質的な方法ではない。つ まりよい解決案 は試行錯誤 によって迅速に見 つけられる. 日のtll約 に加えて、部屋 について最小 と最大の床面積 の制約を内包 しようとすれば、 これ もまた間題をより複 長さと中 雑 にする。図 13は 、まず空間を次々 と分害1す るように トップダウンを動作 させ、つ ぎに低いレベルの制約を確定するた

めに複数の部屋 を複数の長方形へ宙1り 当て、さらにこれら低 いレベルの面積の制約を潤足するような方法を見つけるた めに抽象的な階層を上へ戻 る過程を図説している.こ の過程で トップダウンは各 レベルで与えられるべ き合計の面積に ついて上限と下限を計算できる。 しかしこれらは実際の最小 と最大の面積だと分かるのか分からないか曖味である。つ t/Jヽ まりそれはより低 いレベルでの実際の形と変数の定義方法に基づ くのだろう。なおも調節を試行錯誤すること力 さな

問題に良い解決案を非常に迅速に与える。 しかし大 きい問題 に対 しては非線形の制約を処理できるような制約の解決策 や最適化のアルゴリズムを加えることも有効だろう。

厳密な階層構造の制約

相互作用的な解決に対するデザインの問題を階層的に次々と分宙1す ることの有用性は今や明らかであろう。しかしな がらこのアプローチを与えない問題の類がある。道切に1諄 成された階層においては、例えば抽象的に同一レベルの従属


デザインにおける多重レベルの分析と最適化

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的 システム間で “ 水平な"制 約 の伝達 は全 くな い。 もし従属 的 システムの デザ イ ンが同 じレベルの他 の従属的 システム のデザ イン1こ 影響 を与えるな らば、それ らの 関係性 は次 のよ り高 い レベルに戻 つてその関係性 をその レベ ルで実行す る ことによって

(も

しそれが解決可能なら)解 決 される。 しか し図 14に 示 される状況が起 こ りうる。つ ま り、ある低 い レ

ベ ルの従属 的 システムのデザ イ ンが、抽象的 な階層 の大部分 を飛 び越 えてい るような関係 を持 つ他 の低 い レベ ルの従属 的 シス テ ムのデザ イ ンと相互 に作用 してい る場合である。 この場合 には、 よ り高 い レベ ルにおいてそ の関係 を解決する ことが難 しくなる。 さらに悪 いこ とには、階層 の大 きな部分 を飛 び越 えて (風 車型 の平面 に見 られるように)循 環す る 関係 があるかもしれない。 トップダウンの アプ ローチは水 平的な関係 と循環する関係 が階層 の大部分 を飛 び越 えない時 のみ効果的 に作用する。 しか しなが ら、非常 に広範囲な実際 のデザインの問題 はこの状態が保れるように構築 され うる。

トップダウンのシステムは標準 型の人工物 の迅速 で確信 あるデザイ ンを、 これ らの人工物 の材料 と構成 につ いて規則 を与 える ことで容易 にする。 これ らの規則 は全 体 にわたる組織的な二者択 一性 と低 いレベルの詳述化 の方法 をともに特 徴 づ ける。そ してそれ らは、複 数 の従属 的問題か らなる階層 に一貫 して トップダウンを作用 させるようなデザ イ ンの戦 略 を支援するよう調整 される。従属 的問題 は互 いに分割 され抽象的な柵の注意深 い展開 によって扱 い易 い大 きさに縮小 される。_¨ ソフ トウェアーの発達 にお いて高 く成功 を証 明す る技術 である。 トップダウンの初期 パー ジ ョンでは規則 は純粋 に構文的で あ った。つ ま り生成 された形 の調整を解釈 し評価す るのは専 ら使用者 にまかされていた。 ここに記 さ れてい るパージ ョンは次 の段階 に進んでお り、 デザインの自動的 で機能的な解釈 と評価 を与 える。 このことは豊富な情

図 14 抽象的な階層構造 の大 きな部分 を飛 び越 える制限


意匠辞書の考え方に関する研究 ゴシック様式の窓の立面における形の関連と合成について  

1992年度,卒業論文,清渕健,彦坂守洋,福井力

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