和風ゼミ
IMPERFECT BOOK 2016.4-2016.7
Fukushima Lab
『美盾十二史(みたてじゅうにし)』 「申与次郎」歌川国芳 画
目次
CHAPTER 1
和風 → 割り箸
p.1
CHAPTER 2
割り箸 → 割る
p.5
CHAPTER 3
割る → 不完全
p.9
CHAPTER 4
不完全 → 和風
p.13
CHAPTER
1 和風
割り
和風とは何かを考える
1
自分にとっての和風
割り箸
簡素な見た目に明確な使用用途、 食事を始める時には割られ、終わったら捨てられる無常さを 割り箸が備えているのではないだろうか。
2
起源を探る
箸 600 頃 飛鳥時代
遣隋使により神器として伝わる。竹製ピンセット型
710∼ 奈良∼江戸時代
竹箸が貴族の間で使われる。後に庶民にも一般化
1700 1800 江戸時代
割り箸発祥
割り箸
吉野(奈良県下市町)で樽材のスギの端材から作られる この頃はまだ貴族のみが使用し後に一般化していく
現在
建築用材の端材や間伐材から作られる 竹製や輸入が増加
3
4
割る
CHAPTER
2 和風
割り
割り箸で重要なのは割るという行為
5
割るという行為について
割り箸において「割る」という行為は、 食事の始まりを意識する瞬間である。 場面を変えるために空気を割る一本締めもある。 様々な割られるものを考えることで、 割るという行為との関連を探していく事を試みた。
6
住空間ではどうか
精神的「割る」
ドア
敷居 障子
玄関
井筒割菱 木割り 背割り 割山椒 割烹料理
not 和風
和風
鏡割り 割り箸
茶碗 鏡
物質的「割る」
様々な割るものがでてきた。 空間を割るものが多く出てきたが、 割り箸のように実際に物質を割る事で変化を生む「割る」はあまり出てこなかった。 中でも鏡割りは、数少ない割り箸に近い存在である。
7
8
不完全
割る
CHAPTER
3 和風
割り
割るという行為によって生み出される不完全さ
9
なぜ神聖なものが割られるのか
鏡割りは鏡という神聖なものを割る事で 神の加護を授かるという意図がある。 縄文時代に作られ、故意に割られた状態で出土する事が多い土偶は、 同じような意図があったと言われている。
10
近代建築以降における不完全性
欠陥…価値のない不完全 未完成 完全 不完全 補完衝動、想像力を喚起…価値のある不完全 ?
近代以降の建築の中にも いくつか意図的に不完全にされている例を見る事ができた。 しかしその全てが美しく、成功しているとは限らない
11
12
不完全
割る
CHAPTER
4 和風
割り
不完全さのもつ不安定さが和風である
13
和 風 と は 、意 図 的 に 不 完 全 に す る こ と 不完全なものが持つ揺らぎが、 日本らしい様相を容作っている。
14
Fukushima Lab 東京都市大学工学部建築学科 山田 一平
15