風ゼミ 洋風

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- 洋風 -

松本 遼


- 洋風 この言葉が持つ概念やイメージについて、 具体例を挙げて分析・検討し、 その言葉が醸し出す雰囲気の要因を紐解いていく。

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CONTENTS お菓子を用いた分析

- P  4

建築から見た洋風の特徴

- P 18

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- お菓子を用いた分析 お菓子は、常に人の生活とともにあり、 文化や社会を反映して発展してきた。 お菓子を用いて分析することで、 洋風を形作ってきた要素を考えていく。 また、洋風の特徴を掴みやすくするために、 洋菓子と和菓子を比較しながら検討した。

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・お菓子の歴史(ヨーロッパと日本) 砂糖

発明:2500 年前 インド  ↓  イスラム圏  ↓  ヨーロッパ

ヨーロッパ

エジプト時代(-3000∼-200) パン+甘味源、果実、乳

後に菓子に発展(菓子の原型)

日本 紀元前ごろ 米、粟、麦 + 野生の         木の実、果実

ギリシャ時代 (-400∼-100)

リンゴ → 紀元前6

にトルコ

パン+小麦粉、獣脂、オリーブオイル、 卵、ハチミツ、果実

栗 → 縄文時代に登

(三内丸山遺跡

ローマ時代 (-200∼300) パン   菓子 :分かれ始める。 甘味:ハチミツ・果実 → 砂糖

桃 → 縄文∼弥生時

アレキサンダー大王の東征

(本格的な栽培

インドからローマに伝わる

中世 (300∼1500)

8種の唐菓子・14種の果餅

小麦粉+卵、白チーズ

→主な甘味料

(現在のパンに近いもの)

あまずら、ハチミツ、飴

砂糖 十字軍遠征によって、 14世紀にヨーロッパに広く伝わる 貴族・修道院・教会

庶民 パン

オーブン

使用料

砂糖の輸入 中国より お菓子の製造 →現在の和菓子の原型 茶道の進展 →点心としてのお菓子

お菓子

→おかし作りの発展

1341 まんじゅう→中国よりもたらされる

ルネッサンス時代 (1400∼1500) 植民地→コーヒー、カカオ、スパイス              →おかしへ 文化:イタリア

白砂糖 →ポルトガルよりもたらされる

政治:フランス ←ヨーロッパの          お菓子が集まる

ブルボン王朝時代(フランス) (1589∼1792/1814∼1830) 現代の洋菓子の核がほぼ形成される。

近代∼現代

1716 九州・四国

黒砂糖の生産

京菓子が形作られる。

フランス革命まで

お菓子は高価なもの(材料が高価) ↓ 職人は失業 ↓ 各々お店を開く→全土に広まる。

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1596 鹿児島

→和菓子のイメージの形成 1720 1780

桜餅・金つば・大福・おこし・せんべい 1804 1830 今川焼・かりんとう・最中 1923 関東大震災 →技術者が地方に分散    洋菓子が全国に普及

柿 → 奈良時代に登


6000年前

コで登場

登場

跡から出土)

時代に登場

培は明治以降)

登場

→それぞれをイメージづける要素は、  長い歴史によって形作られた土台のもとに、  近代の動きによって完成された。

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・色と形の分析(洋・和) ・洋菓子

断面

積まれた レンガ

特徴的な形 高さへの憧れ

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渦巻き型

クリーム部分

モデル

タイルの様な見た目


・和菓子

花・実・鳥など 直接的なモチーフ

→形や色は、共通するものが多い。

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・素材の共通と相違(洋・和)

クリーム

カカオ 寒天

牛乳

砂糖

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豆類

果物

穀類

水あめ


→丸める:形の形成 豆類

→固める:形の形成 カカオ

→装飾性 クリーム

→固める:形の形成 寒天

→装飾性 →固める:形の形成

果物

水あめ

→固める:形の形成 穀類

↓ 洋風の装飾性

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・素材から形への成り立ち(洋・和) ・小麦粉

・豆類

・砂糖

・いも類

・卵

・栗

・バター ・型 ・焼く

・水あめ ・砂糖

+

カカオ

砂糖 ・砕く

あんこ

スポンジ

加える

・米粉

加える

加える

・ココアバター ・砂糖 ・ミルク クリーム

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寒天

・型

・型

・切る

・冷やす

・冷やす

・割る

・切る

ショートケーキ

チョコ

羊羹

・型

・型

・へらで整える

・焼く

練り切り

落雁


→ 等分に切る →

→ 等分に切る →

・ 手作業による形成→

「洋風→   鋭角」

「      直角 和風→ 円形」

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製法による形の成り立ち → (平面):型にはめる・焼く → (平面):   を放射状にカット → (平面):型にはめる・冷やす

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お菓子の形態の成り立ち

色 形態 素材

認識

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・洋風の特有性

・素材が装飾のために表出している クリーム

果物

・製品のカットによって生まれる特殊な形

・それによって生まれる鋭角

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「鋭角」


「洋風」とは 装飾性・特殊な形・鋭角

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- 建築からみた洋風の特徴 お菓子をもとに導き出した洋風の特徴を、 建築を通して見ることで、洋風への理解を深める。

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古代・エジプト -3000 -200

「ギザの大ピラミッド」 クフ王 -2560 エジプト、ギザ

↓ 鋭角

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古代・ギリシア -400 -100

「リシクラテスの記念碑」 -334 ギリシャ、アテネ

装飾性

特殊な形

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古代・ローマ -200 300

「パンテオン」 ハドリアヌス 118 イタリア、ローマ

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装飾性

特殊な形

鋭角


中世・初期キリスト教 300 500

「ガッラ・プラキディア廟」 ガッラ・プラキディア 424 イタリア、ラヴェンナ

装飾性

特殊な形

鋭角

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中世・ピザンティン 500 1000

「サン・マルコ寺院」 ドメニコ・コンタリーニ 1063 イタリア、ベネチア

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装飾性

特殊な形

鋭角


中世・ロマネスク 1000 1200

「グエル公園」 アントニオ・ガウディ 1914 スペイン、バルセロナ

↓ 鋭角

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中世・ゴシック 1100 1500

「ノートルダム大聖堂」 モーリス・ド・シュリー 1163 フランス、パリ

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装飾性

特殊な形

鋭角


近世・ルネサンス 1400 1500

「フィレンツェ大聖堂」 フィリッポ・ブルネレスキ 1436 イタリア、フィレンツェ

装飾性

特殊な形

鋭角

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近世・マニエリスム 1500 1600

「ジュリオ・ロマーノ自邸」 ジュリオ・ロマーノ 1544 イタリア、マントヴァ

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装飾性

鋭角


近世・バロック 1600 1800

「オットーブレイン修道院」 ヨハンフィッシャー 1737 ドイツ、シュヴァーベン

↓ 装飾性

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近世・新古典主義 1700 1900

「グエル公園」 アントニオ・ガウディ 1914 スペイン、バルセロナ

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装飾性

特殊な形

鋭角


ー洋風のイメージの継承ー

刷り込まれたイメージ

過去の製品 の蓄積

作り手

洋風

新しい製品

見る人

共通点を見出す

長い歴史の中で、人々はたくさんの作品を作ってきた。 過去の作品によって無意識のうちに刷り込まれたイメージが、 新たな作品を作る過程で表出し、それを見た人は、 過去の作品と現在の作品に、洋風としての共通点を見出す。

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洋風 発行日  2018 年 9 月 24 日 著者   松本遼 監修   福島加津也 発行   松本遼 印刷   東京都市大学 福島研究室

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