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・シェフィールド大学では、「国際化」を進める上で、広報や教育、卒業生との連携など、実に様々な部署でそのための取組 みが行われていることが印象的だった。日本の大学では、どうしても「国際オフィス」であらゆる面での国際化を担わなけれ ばならない傾向が強いが、色々な部署がうまく連携して国際化を進めていくことができれば、国際化をより強力に推進する ことができるのではないかと感じた。 ・6 名の担当者から始まった同窓会の業務が、10 年間で 24 名のスタッフを抱えるまでになった理由はどこにあるのだろう か。業務範囲自体の拡大が主な理由であるのはもちろんであるが、拡大できる潜在力がシェフィールド大学にあったこと が大きな理由のひとつだったのではないか。同窓会の国際化についても、元々海外からの留学生を多く受け入れていたこ とと、卒業後の同窓生の活躍が同窓会組織の国際展開を加速させたのではないかと思う。同窓生のデータベースを構築 した上で、情報誌の発送、同窓生に関する大学ホームページの充実、Facebook や Linkedln を利用した広報活動等は日 本でも実施が可能であろう。即実践できそうなことはいくつもあった。また、大学にとって同窓会は金集めだけが目的では ないということを伺い、非常に興味深かった。大学と同窓生との協力関係の構築を重視しているのではないかと感じた。 2009 年に東京でも同窓会を開催したとのこと。会場は東京の英国大使館だったそうである。英国外務省も大学の国際展 開に協力していることに驚いた。 ・キャリアサービス部門が主催する学生対象の行事は、企業側がスポンサーとなって実施されている。企業側の協力によ りインターンシップやスキル開発の授業等の行事が行われていることを聞いて、大学と企業が共通認識を持って学生を育 てている印象を受けた。日本の大学でも企業と協力して人材を育成することができれば、今までとは異なる経験、知識、考 え方を持った学生を社会に送り出すことができるのではないかと感じた。また、日本でも就職に関する諸経費を企業側に 負担してもらうことができれば、学生への就職支援サービスの向上や新たな行事の開催等が実施できるのではないかと 思った。

5. 報告者所感 ・シェフィールド大学は英国国内においてラッセル・グループに属し、世界 総合ランキングでも 100 位以内に入っている大学だけあって、国際化へ の取り組みには力を入れているようだった。それぞれの部署のミッション は明確であり、大学全体が一つの方向性を目指してまとまっているように 感じた。国際化においても連携が図られており、留学生に対する入学前 広報、在学中の学習・生活サポート、卒業後の就職サポート、卒業した留 学生との協力関係の構築といったすべての段階で専門部署がフォローで きる体制が作られている。全ての業務範囲をフォローできるのは人的資 源の多さが理由なのかもしれないが、大学に働く人々の柔軟な発想(環 境変化への対応)と経営層による将来計画に基づいた施策の明確化 (Strategic Plan 2010-2015)がその大きな理由なのではないだろうか。 ポリテクニクの大学への移行、授業料の徴収、教育評価や研究評価の実施、ボローニャ・プロセスの実施等、ここ数十年 の英国高等教育内外での環境変化は、結果的に英国大学の国際競争力を高めたのかもしれない。日本の大学が変化を 好機として国際競争力を高められるかどうかは、教員による教育研究水準の向上はもちろんのこと、職員の熱意・力量に 寄るところも大きいと言えるのではないだろうか。

(報告担当:野村友里、佐藤ひとみ、古川佑子、梶野浩司)

© British Council 2012

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