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メクチルダの神秘的経験

Reissue by ainoki.jp

2010


メクチルダの神秘的経験

目次 はじめに

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メクチルダ小伝

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メクチルダの神秘的経験

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(一)大天使の助け

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(二)大天使ガブリエル

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(三)大天使ミカエル

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(四)大天使ラファエル

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(五)大天使との旅

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(六)苦しみに逢った時にも

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(七)聖母の7つの喜びのロザリオ

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(八)「いつもそなたの母」

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(九)祈りへのこたえ

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(一〇)謙遜と己れを捨てること

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(一一)神のものになろう

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(一二)見舞いの前の祈り

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(一三)人間的な慰め

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(一四)イエス様の苦しみと死とに

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(一五)神のために苦しむ

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メクチルダの神秘的経験

はじめに 天使の中には悪い天使もいます。私たちが悪魔と呼ぶ のがそれです。「神は、罪を犯した御使たちを許して おかないで、彼らを下界におとしいれ」(2ペテロ2:4) とあるように、神に背き人をも神に背かせようと、あの 手この手を使う誘惑者、撹乱者です。 天使の出現やその告知は昔のことで、今はそんなこと はあり得ないとか、そういうことは神話、伝説、お伽話 にすぎないとかいう人がいます。ところがこの現代 に、天使を見、天使と語り、天使に言いつけ、またその助 けを得た、聖人のような徳の高いメクチルダという女 性が生きていました。 3


メクチルダの神秘的経験

彼女はアシジの聖フランシスコのように手に傷痕を もっていました。多くの在俗、聖職の人々は彼女から 霊的指導をうけました。彼女の生涯は忍苦に終始し、 「もっと長生きさせ、もっと苦しませて下さい」と心か ら祈ったということです。 彼女は生前その神秘的経験を、日記・書簡に書き記しま した。この文の原本は1935年11月に、フレデリック・ フォン・ラーマというドイツ人神父が、彼女の生涯とお びただしい日記・書簡を資料として、それらを精選編集 して書いたパンフレットです。 これを読まれる読者の方が、霊的な助けを与えられる よう祈っております。 本誌は、「愛の樹」グループ愛の会の前身、神奈川エクレシア・イ エス・キリストの家が発行していた、『聖地・愛の泉』のトラ クト12号(1994年2月刊)、13号(同年5月刊)および、第70号 (1994年7月刊)に連載された、「メクチルダの神秘的経験」を再 録したものである。メクチルダの生涯とその言葉は、私たちに とっても貴重なメッセージであるが、残念ながら、入手困難 で、インターネットにおいても、触れることができない。その ため、再録という形でお届けするものである。 2010年6月5日 「愛の樹」グループ愛の会 代表/牧師 愛川英雄 4


メクチルダの神秘的経験

メクチルダ小伝 メクチルダは1879年、ドイツのミュンヘン市のセント ルイス小教区に生まれました。幼くして、憐れな人の ために苦難を耐え忍ぼうという望みを神から与えられ ました。早くもその苦しみがやって来ました。それは 母から嫌われたことです。メクチルダが生れた時、そ れがもとで母は死の危機におちいったためでした。 邪険な母は「わたしの目の届かないところに消えてし まいな、この命とり奴!」と、度々どなりつけました。 父は信心深く、メクチルダを可愛がりました。彼女に は父は聖人のようにみえました。 4才の頃、メクチルダは悲しみの聖母の絵を見て、その 様子がいたましくてなりませんでした。母が外出する と、椅子を台にして、描かれた聖母の眼や頬に手を伸ば し、涙をふきとろうとしますと、不思議にも涙が消えま した。ある日、「イエス様、このふきとった涙で盲目の 子を治して下さい」と祈り、その子の眼にハンカチを当 てるとその子は見えるようになりました。

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メクチルダの神秘的経験

5才の時、彼女はすべてを神にまかせ、人の愛や情を求 めない決心をしました。神はメクチルダをけなげに思 し召されたのでしょう。彼女の守護の天使はもとよ り、大天使も見えるようにして下さいました。 メクチルダはよい教育を受けました。きれいなアルト の声をもち、その歌に街ゆく人は足をとめて聞きほれ るほどでした。神のみ摂理で、霊的指導力に優れたレ デンプトール会の一神父が、彼女の聴罪司祭になりま した。この神父は大変厳格で、メクチルダが時おり、特 別に守護の天使に導かれることがあるとわかると、彼 女の少しの慢心や自愛心を戒め、深い謙 と、己れを打 ち捨てるように導きました。 メクチルダの手記から、神の恩恵が大であればあるほ ど、自分がどんなにつまらないものであるかを益々強 く感じるという実感がよくうかがわれます。 彼女の姉妹が奉仕修道会に入会しました。メクチルダ も修道女になりたかったのですが、聴罪司祭は、神の御 旨は結婚にあると言いました。 この神父にはメクチルダの召命は受苦と試練であるこ とがよく見通されていたのです。その頃、彼女は在俗 6


メクチルダの神秘的経験

修道会「われらが心の元后聖マリアの会」に入会 し、"十字架のマグダレナ"の修道名を受けました。 聴罪司祭のすすめどおり、1895年5月、彼女は結婚し ました。16才でした。 ところが夫は品性劣り、まぎれもない暴君でした。気 まぐれで強情、思いやりなど全くなく、かえって妻を苦 しめることに快感を味うという悪魔的な男でした。 結婚する年に彼女は両親とともにレーゲンスブルク (南ドイツ、ババリア州)に移住していましたから、新婚 第1年はこの町で過ごすことになりました。日記にこ う記してあります。 結婚生活第1年は、まことに心の挫け折れる思いで した。十字架像の前に脆き、涙ながらに祈りまし た。「救い主イエスよ、み旨により結ばれた我が夫 は、真向うから私の頭を打ちすえます。悲しくて なりません。でも主が大司祭アンナの前で頬を打 たれ給うたことを思い出し、私はよろこんでこら えています。しかし主よ、これを耐え忍ぶことに よって何をお恵み下さいますか」。 7


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すると十字架の御像が動くのが見えました。そし て心打つ声がして、はっとしました。「いとしいわ が子よ」という言葉でした。思わず私はとなえて いました、「ああ、釘打たれ給うたわが愛する主 よ!」と。 この時以来、私はどんな 試練も虐待もよく耐え忍 ぶことが出来、しかも不 満も悪意も全くおこらな いようになりました。こ のことを聴罪司祭に話す と、彼は私をたしなめて 言いました。「お前の信 仰は何と薄いことか。お 前の愛はなんと浅いこと か。イエス様があのよう な意外な方法をとられた というのに」。 結婚して4年目(1898年)の8月、夫はビュルテンベルク の町に職を得ました。そこの家では 神に棄てられた 巣 と呼んでよいほどでした。その小教区の司祭は雑 事にかかわることが多くて、メクチルダの霊魂に心を 8


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配ることはありませんでした。「ほかに聴罪司祭をさ がしなさい」と、レデンプトール会の神父から勧めら れました。 1899年1月1日、メクチルダはこの神父に便りを書き ました。 イエスのみ名により新年を迎えます。神父様が申 されましたように、今年は多くの厳しい試練の年 になりましょう。 その試練は、先ず夫の不誠実から始まりました。彼は 不身持ちなある女性と親しみはじめたのです。その 上、彼はメクチルダを酷使し、体力の限界以上の仕事を させました。1日に2、3時間しか睡眠のとれない日が 幾日も続きました。そのため彼女は病気になり、死を 待つばかりになりました。小教区の司祭も心配してく れず、告解もない日々が重なりました。ただ医師のみ が唯一の頼みでした。 やがて危機は去り、死は逃れました。しかし彼女の身 体は、もう以前の状態ではありません。結局、結婚生活 はメクチルダのゴルゴダへの道でした。この試練をこ えた時、レデンプトトール会の神父から手紙が届きま した。 9


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あなたは、始めは神の恵みに気が付かないでしょ うが、立派な指導司祭がみつかるでしょう。この 神父は神の御旨によるもので、大変すぐれた方で す。 この予告が実現することになりました。メクチルダの 新しい霊的指導者となったのはフィッシャー神父でし た。フィッシャー神父はメクチルダにもう一つの名を つけました。それは アンチラドミニ 即ち 神の婢 (ひ) でした。彼女に神の召命であることを心に刻みつ けさせるためでした。 年とともにメクチルダには苦しみが増え、特に憐れな 霊魂の為に苦しむことが多くなりました。しかし彼女 はいつもこう言っていました。 私は何の功もない者で、高慢そのもののような女 です。私は自分の為に祈ったり、苦しみを軽くし て下さいと願っても決してきき入れられません。 しかし人の為に祈ると、不思議にも必ず神は聴き 入れて下さいます。

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人のために の中には、彼女の夫もふくまれていまし た。彼女は熱心に夫の回心を祈りつづけていました。 メクチルダの最初の聴罪司祭は、彼女に先立ち、1906 年、天に召されました。しかし導き役は終ったのでは なく、その後いく度もメクチルダに現れ、言葉を交して います。 1907年2月27日、彼女はこの神父にたずねました。 「神が私をお召しになるまでどれ位の月日がございま しょうか」。神父は答えました。「お前がもっと小さ くなり、幼子のようになったら、その時はすぐに来る」 と。 1919年9月、彼女の霊的娘に送った手紙にこう書いて います。 本当にすっかり疲れ果ててしまいました。私には よくわかります。 その年の11月、 もう重体の病人です。今日は午後少し眠れまし た。夢で私の神父様に会いました。神父様は、「も 11


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うすぐだよ、もうすぐだよ」と喜ばしそうに申され ました。「それはどういうことですか?」と尋ねま したが、ただ「もうすぐだよ、もうすぐだよ」とおっ しゃるだけで、すーっと消えてしまいました。 1919年11月21日、再度、病者の塗油の秘跡を受けま した。「死は神の賜物として頂くのですよ」とフィッ シャー神父が諭すと、メクチルダは微笑をたたえてこ ういいました。 やっとその時がきたのですね。とてもうれしうご ざいます。神様は私の魂を、天国のような慰めで 一杯にして下さいました。 それから10日後の主日、教会ではミサの最中、十字架 のマグダレナ、神の婢、メクチルダは面に深い喜びをた たえながら息を引き取りました。枕もとの夫に「これ が定めですのね」と言い遺して。40才でした。 メクチルダが遺した日記には多くの興味をひく事柄が 記されています。小さな十字架(苦しみ)、重い十字架や 試練、特別な神の賜物、恩恵などです。

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子宝に恵まれなかったことは彼女にとって重い十字架 でした。その代わりたくさんな霊的子どもに恵まれま した。 特別の賜の中に、同時双身(バイロケーション)ともい うべき、自然を超えた能力がありました。遠い所にい る霊的子どもの世話をするために、守護の天使によっ て彼女の分身が、かかえ運ばれてゆくということで す。1914年の大戦中、彼女は時々、西部戦線の野戦病 院に現れて傷病兵の世話をしましたが、帰郷したこれ ら兵士は、メクチルダが到底、前戦で働ける体力の持主 でないととを知って、その不思議さにおどろいたもの でした。 メクチルダの手の傷痕も、神から与えられたもので す。これは生涯、秘密にしておくようにと天使から命 じられたととで、誰も知らず、ただ聴罪司祭だけがこれ を認めていました。 彼女の夫の回心のための祈りは、夫の死の間際で実り ました。夫から虐待、酷使され、病身とされながらも夫 を愛した20数年間の生活は、まさしく神のみ旨であ り、試練でした。これに耐えぬき、夫のために祈りつづ け、ついにそれが聴き入れられたのでした。 13


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メクチルダの神秘的経験 (一)大天使の助け

私の神秘的経験を記しておこうとする時、必ず大天使 が傍らにいて、書き残してよいものと、公にしてはいけ ないものの注意をしてくれます。 ある時、私の霊的子どもから長文の手紙が送られてき ましたので、これからはもっと短く書くように返事を 出そうとしますと、大天使が私に言いました。「受難 忍苦の誓いを忘れたのですか」。私ははっとして眼を 上げ、十字架をじっと見つめながら思いました。イエ 14


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ス様はどんなにひどい苦しみでも、私のために耐え忍 ばれたではないか、これからはもっと忍耐しよう。 (二)大天使ガブリエル

大天使ガブリエルはマリア様が、「私は主のはしため です」と返事をなさった時、非常に喜んで丁寧に頭を 下げました。 聖母が従姉妹のエリザベトを訪問された時、おふたり で生まれる赤ちゃんのためにお布団をつくられまし た。マリア様が細い針目で上手に縫われる時、私はガ ブリエルがマリア様のお手伝いをしているのを見まし た。 エリザベトはマリア様が上手に縫われるのを見て、大 へん感心していました。おふたりは屋外で腰をかけて おられました。その辺にはオリーブの木やシュロの木 が植わっていて、小鳥や蝶々もとんでいました。新鮮 な空気の本当に平和なところで、まるで楽園のようで した。 牧場にいる羊飼いに、救い主がお生れになったことを 告げたのはガブリエルでした。また、3人の博士をベ 15


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ツレヘムに案内したの も、聖家族がエジプトに お逃れになった時、一緒 について行ったのもガ ブリエルでした。ガブ リエルはイエス様の人 性の保護者でした。イ エス様がゲッセマネの 園で血の汗をお流しに なった時、イエス様をお 慰めしました。 聖母が���に御子イエス様にお会いになった時、ガブリ エルもそこにいました。 イエス様の御臨終の時にも、ガブリエルは色々と手伝 いました。 御復活の時にも、御昇天の時にも、イエス様のそばにい ました。 ガブリエルの美しさは本当にすばらしいものです。い つも司祭の祭服をまとい、アルバとストラをつけてい ます。そして百合の花をもっています。

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ガブリエルは聖霊の特別なお使いで、特別に聖霊に対 する信心を行っている人や、司祭たちを守って下さい ます。また、観想者の取り次ぎをして助けて下さいま す。司祭は特に説教する前、この大天使に祈らなけれ ばなりません。また、霊的あるいは肉体的の苦しみを 忍ぶ人も、この大天使に祈るなら助けられます。 聖母に対する信心を深めたい人は、必ずガブリエルに 祈った方がよいのです。生存中度々この大天使に祈る 人は、臨終の時に慰められます。 そして、その霊魂を天国の女王、聖母の御許にかかえて 行って下さるでしょう。 (三)大天使ミカエル

大天使ミカエルは、軍人の服装 をして、手にいつも刀と をも ち、天の御父のそばに立ってい ます。その美しさは形容しき れないほどです。ミカエルの 部隊の天使たちは皆軍服を着 ています。 この大天使たちは、殉教者や、 17


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神のために苦しみを受ける人の心を強めるための天使 です。 殉教者の守護の天使の手伝いをするため、神はこの大 天使たちを、その殉教者たちのそばにおつかわしにな るのです。そのため殉教者たちは、最も苦しい時にも 少しも心を動かさず、その苦しみを耐え忍ぶことが出 来るのです。 この大天使たちはいつも信者が苦しむ時、大いに助け て下さるのに多くの人は、天使たちの御恩を忘れてし まうのです。 (四)大天使ラファエル

大天使ラファエルは痛悔者と告白する人のパトロンで す。ラファエルに祈る人はいつでもよい聴罪司祭を与 えられます。ラファエルは、色々のつらい時によく助 けて下さる天使です。夫婦の方も特別、この大天使に 祈るなら助けて下さるのです。 この大天使の服装は、いつも帯をしていて手に を もっています。

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(五)大天使との旅

夕方になって、灰色の衣服をまとい、巡礼者の をもっ た大天使が現われると、メクチルダは旅に出ることに なっています。それは天使が彼女の身体を易々とかか え上げ、運んでいくのです。それを聞いて驚く人に彼 女はこう答えます。 それは説明のしようがありません。ただ私の天使 が大きな灰色の外套を、頭から足まですっぽりと かけて、丁度濃い雲で包むようにして私をかかえ 上げ、一緒に飛び立つのです。 先週は毎晩ベルギーに行きました。臨終の3人を 回心させ、病者の塗油の秘跡を準備しなければな りませんでした。 (六)苦しみに逢った時にも

大きな苦しみに った時、私は天使たちに私を忘れな いようにと願います。すると私の守護天使が輝いて現 れ、寝台によりかがみ、いい含めるように私に告げま す。

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メクチルダ、あなたは独りではありませんよ。夜 となく昼となく私が見守っていますよ。あなたの ため息を数え、涙を拭きとり、あなたの祈りを神様 に捧げています。また、私の兄弟で、大天使ガブリ エルの仲間の一人が、いつもあなたの側にいて、ど んなに辛いことがあっても、それに堪えられるだ けの力を、あなたに添えていますよ。 その時、私のその大天使が現れ、慰めて言いました。 心からイエス様を愛しているということがわかる のは、ただ苦しみを通してだけです。挫けてはい けません。 (七)聖母の7つの喜びのロザリオ

ある日、十字架の前に跪き、聖母が苦しみを感じられた ことを黙想し、御母の御心の中を偲んで涙にくれてい ました。 すると突然、室内にかぐわしい香りがただよい、部屋は 明るく光に満ち、大天使ガブリエルが現われました。 そして、「あなたの涙に祝福あれ」と言いました。 20


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私は大天使の眩しさに 眼 を つぶ って し ま い ま したが、しばらくして目 を開けると、美しく優し い聖母のお姿が眼にう つりました。大天使ガ ブリエルは私の方をむ いて言いました。 聖母と一緒に苦しみ なさい。そうすれば 聖母と共に喜ぶこと が出来ます。聖母の 7つの喜びのロザリ オを唱えたことがありますか。時々これを唱えて ください。このロザリオは大きな喜びを与えま す。あなたの霊的子どもたちに、これを唱えるよ うにすすめなさい。聖母は子どもたちを愛し、い つもその側にいると教えなさい。 (八)「いつもそなたの母」

大天使ガブリエルは聖母マリアに仕える第一の、そし て最高の任務と特権をもつ天使です。私はこのみじめ 21


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な罪人を、永遠のみ言の御母に捧げるように、この大天 使に頼みました。大天使は私の手をとり聖母に頼んで 下さいました。私は聖母の御足許に跪きました。する と聖母はやさしく私を見つめ、静かに声をかけられま した。 わが子よ、そなたを知らずにおれませんでした。 愛さずにおれませんでした。そなたは神の子、私 のイエスの傷痕をもっているからです。私は今も これからも、いつもそなたの母ですよ。

(九)祈りへのこたえ

今日午前3時、大天使ラファエルが質素な巡礼姿で現 れました。威厳ある顔立ちに優しさがあふれでいまし た。私はひどい呼吸困難に苦しみ喘いでおりました が、ラファエルが私の胸に手を当ててくれましたので 急に楽になり、心から礼をのべました。そして私の聴 罪司祭のフィッシャー神父と、もう一人のある神父の 病気について、ふたりを助けるよう願いました。する とラファエルは微笑みながら言いました。

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フィッシャー神父に ついて願う事柄は、や がて好転しましょ う。しかし、それは神 父の試練であって消 えることはありませ ん。主はそれを取り 除き給わないからで す。 悩みごとや試練には、 神がどうしてもお取り上げにならないこともある のです。それはその人々の祈りが絶えることをお 望みにならないからです。苦しみながら完全に神 におまかせし、絶えず御助けを求めることは、神の み心にかなうことだからです。 神は無限の慈悲、あわれみそのものです。祈りに こたえないように見えても、必ずお報い下さいま す。神は想像できないほどの恩恵を下し給うので す。試練の値うちは、はかりしれません。それは、 この世で最も大きな神の賜物、恩恵です。しかし 人間はそのことを覚りません。理解していませ ん。 23


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(一〇)謙遜と己れを捨てること

「神の僕と呼ぶ一神父が困っています」と、大天使ラ ファエルに告げました。すると大天使は言いました。 この神父の不幸は、謙 でないこと、自分の魂の深 い傷を、同僚の神父に打ち明けないことにありま す。 彼は2つの点で誤っています。思い過ぎで疑い深 く、現代の多くの司祭がそうであるように、サタン のとめどない暗示に耳を貸しています。 もうひとつの点は、貴重な純金を、価値のない鉛と 交換しているのに気付いてないことです。友人神 父や霊的指導者に対して、盲目的なほどに、卒直、 淡白さがありません。これは完徳の道をふさぐ大 きなさまたげです。 謙 と己れを捨てること以外に、この障壁を破る ことは出来ません。 この神父は悌子をかけて、この壁を越えようとし ましたが無駄でした。壁を完全にうちこわし、石 24


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の上に石が残らない程にしなければ、どんなに心 の平安を求めても無駄です。 (一一)神のものになろう

今朝お告げの鐘が鳴る少し前、私の大天使が諭すのを 聞きました。 あなたの願いはただ一つ、全く神のものになろう、 というのでなければなりません。無益な良心の 索はしないように。思いも仕事も皆、神の子とし て始め、また終えるように努めなさい。 「三つ目に言われたことはとても難しいことです。絶 えず心を配っていなければなりませんから」と私が申 しますと大天使はこう答えました。 何でも神のためにすれば難しいことはありませ ん。心がこの世のことにとらわれていないなら、 神がお住みになります。心を全部創造主にさしあ げなさい。そうすれば神は、神の愛を凡てあなた に下さいます。 昨日、大天使が言ったことは、次のとおりです。 25


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総告解が真面目に、よく準備されて行われたもの なら、これを決して繰り返してはなりません。そ れは不必要であるばかりでなく、時間の浪費で す。神のきびしい正義を考えないで、無限の慈愛 を考えなさい。 (一二)見舞いの前の祈り

病人を見舞って2階から降りてくると、階段下に私の天 使が立っていました。そして私に言うのです。 病入を見舞っても喜ばれなかったからといって、 そんなにしおれることはないでしょう。あなたは 病人を見舞うのは、病人が愛しいからだけでなく、 神を愛するからでしょう。人を訪ね話をする時に は、その前に次のように祈りなさい。 「神様、私は今から訪問しお話を交えますが、喜ば しいことがあろうと、辛く厭なことがあろうと、ど ちらも気にいたしません。ただあなたを崇(あが) め、あなたにお仕えするだけです」と。

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(一三)人間的な慰め

今日午後、また気がふ さいでしまいまし た。 どこへ行っても反発 と悪口と苦渋ばかり です。大天使を呼ん で助けを求めると、す ぐに現れてこう申し ました。 この世の慰めを 求めている限り、この世に死ぬことは出来ませ ん。人間的な慰めを捨てたという、かつての思い に徹しなければなりません。 心からそうしたいのでしたら、一切の人間的な慰 めや楽しみを取り上げ給うよう、神様に願わねば なりません。厳しい試練の日が近づいています。 今言ったことを忘れないように。

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(一四)イエス様の苦しみと死とに

今日は肉体的苦痛がはげしく、今までになかったほど です。それを私の大天使につぶやいてしまいました。 すると、 と大天使は言いました。 つぶやかずに神様に感謝しなさい。受難の聖週間 が近づくにつれて苦しみはもっと増すでしょう。 イエス様の苦しみと死とに一致して耐え忍びなさ い。 むしろ苦しみが大きくなることをイエス様に願い なさい。そうすればすぐにその願いはきき入れら れて、あなたは祝福され、人から羨やまれるでしょ う。そんなにも苦しむことが許され、そしてそれ が出来るからです。 (一五)神のために苦しむ

夕食後自室にこもって、9つの階級の天使たちを崇め るために、主祷文を9回となえました。ふたつ目の主 祷文は大天使のためでしたが、ふと私についている大 天使のことを思いました。すると突然この天使が現れ て語りました。 28


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「あなたは祈りながら、 あゝつかれた。間もなく5月 が来る。そうすれば天国の安息にはいれる と思いま したね。折角、神様が苦しみをお与えになったのに、そ んなに軽々しく一生を終えたいとは何としたことで す。われわれ天使は神のみ心とはいえ、神のために苦 しむことが出来ない者です。 私たちが人間をねたましく思うことがあるとすれば、 それは人間は神のために苦しむことが出来るが、われ われ天使はそれが出来ないということです。」 「すぐ教会に行って、一生を大事に思わなかったこと を、神にお赦しを願いなさい。苦難は神の賜物です よ。あなたの霊的指導者も、あなたが早くこの世を去 りたいという願いを認めていません。次の金曜日告解 の時に、忘れないで、 神の恵みを大切にしませんでし た と言いなさい」。 私は力をふりしぼり、体を引きずって教会へ行きまし た。涙ながらに祈り、赦しを願い、これ以上大天使をは らはらさせることのないよう祈りました。大天使は姿 をあらわしませんでした。 私は十字架のイエス様を仰ぎながら、私の大天使に次 のように伝えて下さるようにお願いしました。 29


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「私は罪を悔んでいます。弱い私を憐れんで下さい」 と。するとイエス様はほほえみながらうなずかれまし た。 私はイエス様の御肩に、自分の頭をもたせかけたくて 仕方がありませんでした。その時私はわかりました。 私の無気力の罪深さと、苦しみから逃げようとするこ との間違いが。イエス様は私共罪人を贖うためにどん なに苦しもうとされたか、み旨に従って忍耐強く苦し みに耐える魂は、どんなに神に深く愛され、恵まれると かということも悟りました。そして、 苦しもう とい う晴々とした強い望みで心が一杯になりました。も し、み旨なら喜んで長生きしようという気になりまし た。 「イエス様、長生きさせて大いに苦しませて下さい」 と、十字架の救い主に申し上げました。主は優しく私 を見つめられました。するともう磔けられたイエス様 ではなく、復活されたイエス様に変わっていました。 私はしばらく目が開けられませんでした。 イエス様の右手が上がると、今にも火が消えそうな短 いロウソクを持ったひとりの丈高く美しい天使が現れ ました。私が「どうしてそんなに短いロウソクをもっ 30


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て熾天使がお現れになったのでございますか?」とお 尋ねすると、主はやさしく答えられました。 「もうすぐ死ねると思って、お前は今日喜んでいたね、 このロウソクはお前の一生を表わしているのだよ。早 く消えてほしかったのだね」。 大天使に聴きますと、「私は���なたの聴罪司祭ではあ りません。彼にたずね、その指示に従いなさい」と答 えました。 今日、家を出ようとすると非常に美しい天使が眼の前 に立っています。レビ人の服装をし、手を斜十字に組 んで胸に当て、祈るように眼を天にあげています。 神々しい美しさにみとれて、 何の用事でここヘ と口 をきくこともできませんでした。でもどことなく親し みがただよっています。 私はこの天使をよろこばせようと、「めでたし聖寵み ちみてるマリア、主おんみとともに……」と唱え始め ました。すると天使は手を広げ、静かにやさしく用向 きを告げます。 31


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「私は非情な苦しみに遭っている人に、神様から派遣さ れた天使です。今あなたを訪ねましたが、次は神父に、 それからフィッシャー神父に遣わされます。 気落ちしないで、来たるべき苦しみを感謝しなさい。 平安であれ」。と言って天使は消えました。 おわり

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