アクティベート ・ リーフ No.789
傷を隠さないで
誰にでも、傷跡の残るような経 験はあるし、それが体の傷であれ、 心の傷であれ、人に知られたらど う思われるだろうと恐れて、隠し たくなることもよくあります。傷 と言っても、恥ずかしくて隠した くなるようなことなら何でもそう です。たとえば、忘れようとして きた過去の痛み、心に抱く葛藤、 自分の体で自信のない部分なども、 そういった「傷」に含まれるわけ ですが、私は生涯を通して、傷は 隠すよりもオープンにした方が、 ずっと自由になれると学んできま した。恥ずかしく思う必要はない と知った、そんな傷の一例をあげ たいと思います。 もう何年も前のことですが、私 はある大学で、学生たちを前に演 奏したことがあります。演奏が終 わると、観客の一人が私のところ に来て、いいプログラムでとても 楽しめたと言ってくれました。そ して、思いがけないお願いをされ たのです。 「ちょっとサングラスを 外してもらえませんか。目が見た いわ。 」 私は物心ついた頃から、外出し たり人と会ったりする時には、い つもサングラスをかけているので す。目が見えないのを恥じてはい なかったけれど、全く見知らぬ人 から目を見せてほしいと言われた
スティーブ・ハーツ
HIDING THE SCARS のは初めてでした。少し動揺しま したが、自分にこう言い聞かせま した。 〈別に大したことじゃないさ。 それに、この人と会うことはもう ないだろうし。〉 サングラスを外して、どんな反応 があるだろうと身構えました。何 分も待ったような気がしましたが、 実際にはほんのわずかだったこと でしょう。そしてついに、彼女が こう言いました。 「きれいな目です ね。隠すことなんてないのに。 」彼 女とは二度と会うことがなかった けれど、その言葉を忘れたことは
ありません。 それから数年後、ネット経由で ある女性を紹介されたのですが、 それが今のガールフレンドです。別 の町に住んでいて、最初のうちは Google ハングアウトでチャットし て い ま し た。 そ れ か ら Skype で 通話することにしたのですが、初 回は音声のみでした。ビデオ通話 なんて、思いもしなかったのです。 次はビデオ通話をしようと彼女か ら言われた時には、そうしようと 言ったものの、やや緊張しました。 そして、ビデオ通話の前に、い