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6 à table 4 人分:中くらいのサバ 2 尾、チョリソ 100g、 赤ピーマン 4 個、玉ネギ 2 個、トマトの缶詰 400g、 ニンニク 4 片、オリーブ油大さじ 5 杯、白ワイン 150cc、 ブーケガルニ、パプリカ、 塩、コショウ 1

● サバのリエット

頭とはらわたをとってから二つに筒切り。塩、 コショウし、パプリカ粉をまぶしつけておく。 ソトゥーズやココット鍋にオリーブ油を大さ じ 3 杯とって弱めの中火にかけ、まず玉ネギを ゆっくりと炒めていく。透き通って柔らかくな ったら、押しつぶしたニンニクと赤ピーマンを

30 分ちょっとたつと、タマネギやピーマンが とろけてソースのようになっているだろう。チ ョリソも入れたので、辛味のアクセントもきい ている。ここへサバを加える。中火に戻し再沸 騰してきたら、また弱火にし、フタをして 15

けれど、今,サバがおいしく安いので、今度も バスク風にサバ料理。でも今回はパイ生地を作

で作ったらソースがかなり余ったので、あわて

分ける。玉ネギはみじん切り。チョリソは 5 ミ

ら最高だけれど、かなりこってりした味なので

て近くの魚屋に出かけてサバを買ってきて、そ

リほどの厚さに輪切り。サバは中くらいがいい。 ガメー種の赤なども合う。 (真)

bcd de la cuisine -12

違って高い温度で魚や肉を炒めても焦げないし、保 存もきくので、まとめて作っておくといい。 *  の作り方 : 少なくともバター 250 グラム を用意。切り分けてから鍋にとり、湯せんにかけ溶かして

いく。ごく弱火、絶対にかき混ぜないこと。すっかりとけ たころに表面に白い泡(カゼイン)が浮かんでくる。これ をスプーンで丁寧にすっかりとりのぞいたら、冷蔵庫で保 存する容器に静かに注いでいく。底に沈んでいるかすが入 らないように気をつけたい。これが 。 ● clouter

「くぎを打つ」という意味。レシピでは「clouter un oignon」とか「oignon clouté」という形で登場。 タマネギ 1 個、丸ごと皮をむいたものに丁字を刺す こと。丁字は香りが強いので多くても 2 本で十分。 肉を長く煮込む時などに入れる。

1er décembre 2011 OVNI 710

して、柔らかくなったバターと生クリー ム大さじ 1 杯を加え、フォークを使って サバをほぐすようにしながら、全体を混

パセリをたっぷり振りかける。付け合わせは、

ワインはバスク地方のイルレギの白があった

」。不純物をのぞいた澄ましバター(インド料

える。最後に、これらの素材のつなぎと

サバにソースをかけてあげましょう。きざんだ

が、面倒ならそのままを幅 1 センチほどに切り

理ではギーと呼ばれる)のことで、普通のバターと

小さじ 2 杯、レモンの搾り汁半個分を加

深さです。

poulet basquaise をエスパス・ジャポン料理教室

だコンソメ。レシピによく出てくるのは「 

りにしたエシャロット 2 個、マスタード

ぜ合わせ、塩、コショウで味を調えれば

のなら、こんがり焼いてから皮をむけば一番だ

それと一緒に不純物を凝固させてからこせば、澄ん

冷めたサバの腹骨をとり、手で大まか にほぐしながらボウルにとる。みじん切

できあがり。細かく切ったシブレットや

てもいい。じつはこの一品、チキンのバスク風

スープなどを「澄ます」こと。卵の白身を加えて

て柔らかくしておく。

う偶然のおかげ。サバのみそ煮のような味わい まずソース作り。赤ピーマンは手間をかける

● clarifier

有塩バター   を 100 グ ラム、小さく切り分けてから室温に置い

分から 20 分ほど煮込めばでき上がりだ。時々

って空焼きする必要もないし、オーブンがなく

A

ウ。ふたをして中火にかけ、沸騰して 2 数時間置いておく。

とを忘れないようにしたい。

のソースで煮込んだら、おいしかった! とい

身を重ならないように並べ、塩、コショ

マト、ブーケガルニを加え、塩、コショウして

きやすいので、木のヘラで絶えずかき混ぜるこ

703 号でサバとピペラードのタルトを書いた

ット 2 個を加える。ここにサバのおろし

分ほどたったら火から下ろし、そのまま

マンの甘みがあるせいもあり、鍋の底にくっつ

Maquereaux basquaise

ム大さじ 2 杯、みじんに切ったエシャロ

加え、5 分ほど炒めたら、白ワイン、缶詰のト フタをし、弱火に落として煮込んでいく。ピー

〈チキンのバスク風〉を応用してサバを調理。

中くらいのサバ 4 尾を三枚におろす。 底広の鍋に、白ワイン 250cc、生クリー

おいしいソースをからめて食べられるようにご はんが一番。レモンを添えましょう。

ゾラの胃袋 ̶ 12

アネットなどの香草、レモン、軽くトー ストした田舎パンなどを添えれば、アペ リチフのお供に最高! 残ったら冷蔵庫 で保存。3、4 日は持つ。 ● ガメー種の赤ワイン

11 月 17 日はボージョレ・ヌーヴォー の解禁日だった。パリでは以前ほどの活 気はなくなったが、ワイン好きはカフェ のカウンターに並んで、「赤い果実の風 味がたまらない」、「その風味がくどい」、 「今年はいつものよりこくがある」など

情熱的な画家が主人公の『制作』(1886 年)。この作

と、ああやこうや言いながら味わう。こ

品には、画家の友人である作家のサンドーズ家の食卓 が何度か登場する。そこには若い独り者の芸術家たち

のボージョレの赤ワインは、ガメー種の

が集い、シンプルな料理、そしてパンをたっぷり食べ

ブドウから作られている。ボージョレ地

て満腹になり、安ワインに水を混ぜたものを飲んでは、

方の花こう岩質の土がこのブドウに適し

大いに語り合う。「貧しいながらも、彼はいつも仲間と

ていて、フルーティで上品なワインが生

分けあう一種の煮こみ料理をふるまった。同じ理想を

まれる。ボージョレというと、ヌーヴォ

抱く友人が全員集まるということは、彼にとってこの

ーになってしまうけれど、モルガン、シ

上ない楽しみだったのだ。」(清水正和訳)そんな習慣

ェナス、ブルイ、サンタムールといった

はサンドーズが結婚してからも続くが、メニューは年

ボージョレの名酒たちもぜひ味わいた

を経るごとに変化を遂げていく。例えばある日のメニ

い。ヌーヴォーにはない、落ち着きとこ

ューは「牛の尻尾のポタージュ、岩ホウボウの網焼き、

くがある。他にもリヨネ、サンプルサン、

茸をあしらったフィレ肉、イタリア風ラヴィオリ、ロ シアの山ウズラ、トリュフのサラダ」 皮肉なことに、サンドーズ家での食卓が豊かに彩ら

オーヴェルニュなどの地方でもガメー種 ゾラも、まさにサンドーズのように、つつましい暮 らしをしている若い頃からよく仲間たちを家に招いた。

れるのに比例して、その集まりからは昔のような活気

「一行も書かない日はなし」をモットーに、書斎にこも

や一体感が薄れていく。かつては将来を語り励まし合

り仕事にいそしむストイックな日々の中、何よりの楽

った仲間たちの道は少しずつずれていき、集まっても

しみは食、特に友人たちとの会食だったという。友愛

勝手にそれぞれの思いを話すだけ。かつてのような会

に対して信仰に近い思いを抱いていたというゾラだが、

話は成り立たない。心づくしの料理やめずらしいリキ

『制作』でモデルにされた友人たちの中には、小説のて

ュール類も芸術仲間たちの心を溶かすことはなく、サ

ん末に気を悪くした者もいたそう。ゾラには、どうや

ンドーズ夫婦はふたりで途方にくれてしまう。

ら小説で書いたことが現実になる傾向がある。(さ)

のブドウが主流。とりわけロワール川沿 岸の Gamay de Toulaine も品がよい。 ガメー種の赤ワインは、ウサギやチキ ン、子牛や子羊などの肉 料理によく合うのはもち ろんだが、ソースがこっ てりとしている魚料理と 組み合わせても、おいし く味わえる。


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