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ベトナム新建設法 実務ガイド

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ベトナム新建設法 実務ガイド

建設許可不要=手続不要ではない 工場新設・増築・改修で押さえたい要点

2026.7.1改正予定内容の概要

この資料の見方

法改正の背景説明に留まらず、発注者・工場側が実務上どこを確認すべきかに焦点 を当てています。

特に、許可免除、着工通知、図書整備、地方窓口確認、後監督対応の5点を軸に整 理しました。

対象 経営者/工場長/総務/設備/EHS/支援者

論点 許可免除/行政対応/役割分担/地方差/記録管理

2026年4月末時点の公開情報ベース

新法の骨格

国家の事前関与を一部減らしつつ、発注者側の説明責任とデータ管理を重くする方向です。

施行タイミング

可決:2025/12/10

原則施行:2026/07/01

一部先行:2026/01/01

3つの方向性

1 重複審査の整理

FS審査や建設許可の重なりを見直 し、案件によっては着工前の行政 タッチポイントを減らす考え方。

一言でいうと

「前裁き」を減らし、「自社で説明し、後で確認に耐える」制度へ。 建設許可だけを見るのではなく、案件ルート・通知・証跡まで含めて管理する 必要があります。

2 責任の再配置

設計・施工・発注者の責任境界を 明確化し、国家審査の一部を民間 側の説明責任へ移す方向。

3 デジタル管理

国家建設情報システムやデータベ ースを前提に、登録・自己開示・ 後確認を進める考え方。

実務での見方

まず「予算額」ではなく「法的ルート」で切り分ける

工場新設/増築/倉庫/内装改修のいずれでも、先に確認したいのは次の3点です。

1.FS審査対象か

2.建設許可ルートか

3.許可免除+着工通知ルートか

制度改正後は、このルート判定がプロジェクト管理の入口になります。

何が軽くなり、何が残るのか

「全体として楽になる」と見るよりも、外部承認と社内準備を分けて考える方が実務的です。

軽くなる可能性があるもの

建設許可そのもの

案件によっては許可取得が不要になる可能性。

残る/重くなる可能性があるもの

着工通知

許可免除でも通知が必要になる案件が多い。

重複する国家審査 前段の外部承認ステップが整理される可能性。

添付図書・説明資料 実質的に許可申請に近い資料整理が必要な場合あり。

会社能力証明の形式負担 更新・維持の事務負担は下がる方向。

消防/環境/構造確認 工場改修では特に触れやすく、切り離しにくい。

許可発給待ち時間

一部案件では工程短縮の余地。

後監督と記録管理

着工後から使用開始までの証跡整備が重要。

実務上の結論

大型案件の一部は軽くなる可能性があります。

一方、工場改修や増築では「許可待ち」は減っても、「社内で説明できる状態を作る負担」は残る、 もしくは増える可能性があります。

「許可不要」でも行政対応不要ではない 特に既存工場の改修では、軽微かどうかの判断と地方窓口確認が重要になります。

着工前の見方

工事内容を整理

新設/増築/内部改修/保守を分ける

影響範囲を確認

用途・機能・構造・消防・環境・インフラ接続

残る主な確認事項

許可証がなくても残りやすいもの

着工通知の要否 添付図書の内容 紙提出の要否 地方窓口との事前相談 消防・環境・構造の適合説明 工業団地管理委員会との役割確認 施工中の掲示・是正対応 引渡し・使用開始までの証跡保管

法的ルートを判定

許可必要か、許可免除+通知か

窓口を確認

省市当局/工業団地管理委員会/消防等

図書と記録を準備

通知、添付図書、現場掲示、写真・検収記録

誤解しやすいポイント

内部改修でも、避難動線変更、設備容量変更、増床、配 管・ダクト更新などは、構造・消防・環境と切り離しに くい場合があります。

「軽微そうだから大丈夫」ではなく、判定メモを残す運 用が安全です。

結論 許可不要=説明不要ではありません。窓口確認は前段で入れておく方が安全です。

案件タイプ別に見る負担の変化

「何の工事か」によって、負担の増減はかなり逆方向に動きます。

シナリオ

大型工場新設 (専門審査済みルート)

前段手続 社内負担 実務上の見方

減る可能性 増える可能性

既存工場の増築 設備増強を伴う改修

案件次第 増える可能性

許可や重複審査は整理されやすい一方、設計 レビューと通知準備を自社で持てるかが差に なります。

構造・消防・環境との交差が多く、免除判断 よりも説明材料の整理が重要です。

内部改修 (Art.43(h)候補)

ゼネコン/設計者

EHS・品質管理

限定的に減少 横ばい-増加

形式負担は減少 説明責任は増加

許可待ちは減っても、なぜ軽微なのかを示す メモ、通知、図書整理は残る可能性がありま す。

証明書中心から、自己開示データ、担当者資 格、同種実績、証跡管理力の勝負になりやす いです。

読み替えポイント

「制度が緩いか厳しいか」ではなく、

外部承認の減少分を、社内体制・外部業者・記録管理で吸収できるかどうかで負担感が変わります。

誰がどこまで負担するのか

ゼネコンに広く任せるほど管理は楽になりますが、発注者責任が消えるわけではありません。

役割分担の見取り図

主なタスク

案件ルート判定

通知・許可図書の準備

構造・消防・環境の適合確認

地方窓口との事前確認

施工・現場管理

竣工図書・検収記録の保管

契約前に決めたいこと 通知・許可支援の範囲 図書提出の責任 当局・工業団地との窓口 竣工図書の納品形式

実務メッセージ

「どこまで投げるか」は管理のしやすさを左右します。

ただし、最終的な投資判断・ルート判断・記録保管は発注者側で見える化しておく方が安全です。

プロジェクトの進め方はこう変わる

建設許可中心の管理から、ルート判定-通知-後監督まで含む管理へ。

従来イメージ

計画

設計

国家審査

建設許可

着工

検収・使用開始

注意したい点

計画

新法後に重要になる流れ

法的ルート判定

設計レビュー

許可または免除確認

着工通知

着工

記録管理

後監督対応

検収・引渡し

後監督は、許可案件だけの話ではなく、通知案件にも及ぶ可能性があります。

前段の許可負担が減っても、施工中の掲示・是正・検収・引渡し・使用開始までの記録管理は引き続 き重要です。

発注者側の体制を見直す

建設法対応を法務だけの仕事にしないことが、施行後の混乱を減らします。

ありがちな現在地

現場・設備担当に寄りがちな運用

・工事内容を現場判断で整理 ・必要そうなら後から許可確認 ・ゼネコンへ見積と施工を依頼 ・図書保管は案件ごとに散在 ・地方窓口は必要時に都度確認

組み込みたい標準議題 法的ルート

許可/免除/通知の どれか

消防 ・避難 ・設備 ・当局対応

施行後に寄せたい形

社内ゲートを持つ運用

・着工前にルート判定 ・法務/設備/EHS/総務で確認 ・ゼネコンの支援範囲を契約で明確化 ・建物単位で図書・履歴を整理 ・地方窓口確認を着工前条件にする

環境

排気 排水 設備変更との関係

データ/記録

通知図書 竣工図書 保守記録の保存先

留意したほうが良い点

制度対応を建設会社任せにしすぎると、後で誰も全体像を説明できなくなる可能性があります。

「誰が判断し、誰が残すか」を先に決めることが、いちばん効きます。

施行前に整理したいチェックポイント

まずは、予定案件・改修内容・外部業者・地方窓口の4つを揃えて見える化します。

1 予定案件

・進行中/予定工事を一覧化しているか

・新設/増築/内部改修/保守を分けているか

・許可必要/免除候補/判定保留を仮分類した か

2 改修内容

・用途変更はないか

・機能変更はないか

・構造に影響しないか

・消防/環境/インフラ接続に影響しないか

3 外部業者

・ゼネコンは通知支援まで可能か

・設計者は法令適合性を説明できるか

・消防/EHSコンサルの役割は明確か

・竣工図書の納品範囲は定義済みか

4 地方窓口

・省市当局の窓口はどこか

・工業団地管理委員会の関与はあるか ・オンライン提出か、紙提出も必要か ・後監督の実働部門はどこか

最低限の運用ルール 免除判断を口頭で終わらせず、1案件1枚で判定メモを残す。 通知・図書・記録の責任者を決める。

地方確認を着工前ゲートに入れる。

今後も追うべき論点

制度の方向性は見えてきていますが、実務は政令・通達・地方運用で固まります。

優先して追う文書

追跡リスト

・建設活動管理に関する政令 ・能力・国家データベースに関する政令 ・品質・施工・保守に関する政令 ・建築物級別に関する通達 ・使用中建物の安全評価に関する通達 ・各省市の許可・通知・秩序管理案内 ・工業団地管理委員会の運用案内

最後のまとめ

押さえておきたい5点

・許可不要でも行政対応不要とは限らない ・前段が軽くなっても後監督は残る可能性 ・工場改修は構造/消防/環境と切り離しにくい

・ゼネコンにどこまで投げるかで管理しやすさが変わる ・地域差はあるが、法は一本。窓口確認は個別に必要

結論

制度変更の本質は、

「許可を取ること」から「説明できる状態を作ること」へのシフトです。

注意書き/免責

本資料は2026年4月末時点で確認可能な公開情報をもとに作成した一般的な整理です。

個別案件の許認可取得、法的判断、行政判断を保証するものではありません。 実案件では、最新の政令・通達・地方当局・工業団地管理当局の案内を必ず確認してください。

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