portfolio 2 Antoni Gaudi Memorial hall

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「アントニ・ガウディ・イ・コルネット記念館」 「尺度の構築-青海に芽生えたガウディという種子について-」


▼アントニ・ガウディ・イ・コルネット記念館 −聖堂から開かれる都市、なんと美しいことであろう。聖堂の軸よ!真実と美を担って! (J.Pijoan)

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「尺度の構築−青海に芽生えたガウディという種子について−」 設計製図Ⅱ−アントニ・ガウディ・イ・カルテット記念館

東京臨海部・青海の地にアントニ・ガウディ記念館を計画する。 ガウディに対する日本の民族性を花に例え、種子を巡る構成とした。 原寸ブロンズ像による「尺度」により、普遍的な価値観の獲得を目標とする。

課題名:アントニ・ガウディ・イ・コルネット記念館     −聖堂から開かれる都市、なんと美しいことであろう。      聖堂の軸よ!真実と美を担って! (J.Pijoan) 期間: 2016.04.08 ∼ 2016.06.08 敷地: 東京都 江東区青梅 3 丁目 東京都湾岸

学内講評作品選出



▼概略:Antoni Gaudi i Cornet

���� 年 � 月 �� 日、ガウディは、カタルーニャ州タラゴナ県レウスで生まれる。 父方は、代々銅細工師で、母親の家系も同職であったと言われている。 バルセロナ建築高等技術学校(現バルセロナ建築大学)卒業し、����年の建築家資格の取得から����年に亡くなるまでの、ほぼ��年にわたる制作活動のなかで、 建築作品はバルセロナを中心に、 イベリア半島北部に、 そしてプロジェクトは、 アフリカのタンジールやアメリカに及んだ。 代表作に聖家族(サグラダ・ファミリア)贖罪聖堂、 コロニア・グエイ地下聖堂、 グエイ公園、 カザ・ミラ、 カザ・バッリョなどがあり、ユネスコの世界遺産登録がなされている。

Antoni Gaudi i Cornet (1852~1926)

Temple Expiatori de la Sagrada Família

Cripta de la Colònia Güell

Casa Milà

Casa Batlló


▼日本のミニマリスムに対する「尺度の形成」

磯崎新:ガウディへの熱狂 ≒ ミニマリスムからの憧れ ガウディが生まれ育ち活躍したバルセロナと日本には、共通点があります。それは一口にいえば、辺境だったことです。 バルセロナはマドリードに対して、日本は中国に対して、常にそれぞれの時代の中心から離れていてるオフ・センターの 立場にありました。オフ・センターの利点はセンターの正当性に対して常にある距離を置くことで、独自のコンセプトを 組み立てる自由を保持できることです。

日本が独自に手に入れたものは、余剰を許さない禁欲的なミニマリスムだった。

一方、バルセロナが獲得したのは一種の過剰主義とでもいうべきものであった。この過剰主義という特性を典型的に象徴

するのが、ガウディの建築なのではないか、そう僕は考えています。そして日本人特有のガウディへの関心は、ともにオ フセンターであるという共通理解をしたうえでの、自分たちにかけている過剰さへの憧れではないだろうか 日本のアーティストや批評家のあいだにガウディへの関心がひろがった。

彼らはガウディの造形を、反ミニマル、日本に欠けているキッシュな毒としてとらえ、称賛したのでした。

▼ ミニマルさゆえ過剰さを渇望する日本の風土でガウディ記念館はどうあるべきか。 ▼ 表層の過剰さだけではなく、 普遍的な「尺度」を与えること。


▼敷地:青海の自然について 東京都江東区青海 � 丁目

東京臨海部を望む青海。積み上げられたコンテナの山々、寄港する船が落とす匂い。 稼働し続けるクレーンの熱。影。運搬を待つ人と物。それらを繋ぐ陸路。 物流が高度に合理化しシステム化したが、それこそが、青海における自然を生んでいる。


▼青海に芽生えた種子はいかに存在すべきか ・ガウディによる「光」に対する言説-均衡した光-

・ガウディによる「光」に対する言説-中庸の光-

「徳は中間点にある。地中海は大地の真ん中を意味する。

レウスは繊維業で発達したカタルーニャ州の愛似の都市であったが、 ハシバミの実やアーモンドの生産地として富を蓄積した時期もあった。

その岸辺には中庸の光が、45 度の光が射す。

赤い砂漠の大地、あるいはメセタ高原を特質とするイベリア半島の気候、 風土とは異なる、緑豊かな地中海性気候の大地と自然が感得される。

この光は物象を最もよく明るみに出し、形態を明確に開示する。 この強すぎも弱すぎもしない光の均衡ゆえに、この場所のさまざまな偉大な芸術文化が開花した。

後に、ガウディは自らの建築家としての資質を、このカタルーニャの自然環境に求め、 同時に地中海藝術の担い手として自らを位置づけることになる。

ガウディは地中海の均衡した光こそ、

地中海で、さまざまな事物の具象のヴィジョンが課せられる。

「常に開かれ、読むに値する偉大な書物」である自然のフォルムを、

このヴィジョンのなかに、真の芸術が休らっている。

眼前に明らかにしてくれると感じていた。

私の造形力は、感情と論理の均衡である。」

▼ 均衡した青海において 中庸の光により ガウディの種子を明確に照らすこと。


▼敷地:青海埠頭

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・青海埠頭の先端に位置する。


エントランス 駐車場入り口

▼配置図

記念館 入り口

駐車スペース

東京湾

直径≒1.6m サグラダファミリア中央身廊部原寸柱(ブロンズ像)

配置図 S:1/500

0

10

50m


▼「尺度」獲得のための記念館

・青海に芽生えた種子


▼東京湾を望むブロンズ像

〈サグラダファミリア贖罪聖堂〉 〈サグラダファミリア贖罪聖堂〉 〈サグラダファミリア贖罪聖堂〉 断面図 S:1/1500

・サグラダファミリア贖罪聖堂中央身廊部・二重螺旋柱・第一節 15m原寸ブロンズ像

平面図図 S:1/1500

内観


▼建築計画

全体構成

2F:花 日本的ガウディ

1F 事務室

�F:茎 均衡と熱狂 B�F:根 創作における作家性

カフェ

�F展示室へ

ショップ

受付

中庸の光を落とすアルミ合板 エントランス

日本に降り立ったガウディという概念は、日本人の土壌を吸い上げた「花」を愛でるようであった。

「茎」 エントランス ・ カフェ ・ ショップ

青海の均衡に対し、「茎」というカタチで、その熱量を流動させ、私達を運ぶ。

美術館を構成する最小限の設備のみで形成され、 花と根をつなぐ 「茎」 となる。

その大地に根差した「根」を理解する。その自我がブロンズ像を伝い、新たな「花」が芽吹く。

青海地区の均衡を保つため、 展示要素は2F・B1Fへ分散する。

地下部から延びる壁による動線配置とする。


展示:原寸ブロンズ像

2F

B1F

�F展示室から 展示:年譜・作品概要

展示:サクラダファミリア聖堂

カタルーニャへの窓

�F展示室から 倉庫・展示準備室

設備コアが支える

B�F 展示室へ

展示:石膏模型・原図資料

「花」 2 階展示室

「根」 地下階展示室

禁欲的な日本人により羨望された 「神話」 に仕立て上げられた 「ガウディ」 という花を再認識する。

地下空間はガウディの種子を覆う 「根」 を基底とした。

合板を伝い、地上から光が落ちる

地上部へと生える鉄の壁、 青海から落ちる光に包まれながら回廊を巡る。 網羅的な作品一覧から、 年表、 外部ファサードの表層部を理解し 地下展示と向かい、 種子と 「根」 の解釈へと進む。

最後に望むブロンズ像は、 身体スケールとなり、 新たなガウディに対する理解の 「花」 を育ませる。


▼ 1F 茎 均衡を担う。

25600mm

サグラダファミリア中央身廊部原寸柱 (ブロンズ像)

3250mm

3780mm

直径≒1.6m

11700mm

3780mm

3780mm

13250mm

美術館を構成する最小限の設備のみで構成され、 花と値をつなぐ 「茎」 となる。 地下階から延びる壁による動線配置とする。 青海地区の均衡を保つため、 展示要素は 2F/B1Fへ分散させる。

1階平面図 S:1/000

0

5

10

20m

15150mm

3780mm

mm 1480

1階平面図:茎 均衡を担う。


▼1F 微かなブロンズ像への気づき

・記念館 エントランス ブロンズ像のスケールはまだ把握できない。


▼青海における〈均衡と中庸〉

・青海は貿易機能が高度に合理化し、余剰を残さず均衡を保っている。 地上部分は最小限の機能(エントランス・ホワイエ・カフェ・ショップ・オフィス)とし、 記念館の展示要素を二分させ地上の均衡を保つように計画をした。


▼1F ホワイエ及び展示室入り口

・最小限の機能で構成される。 展示要素を二分させ、均衡を担う。


▼ 2F 花 展示室 展示:年譜・作品概要

2階平面図:花 展示室 禁欲的な日本人により羨望された 「神話」 に仕立て上げられた 「ガウディ」 という花を再認識する。 軸線は地球を周回しカタルーニャへの続いており、 遠く離れた生誕の地を望む。

網羅的な作品一覧から、 年表、 外部ファサードの表層部を 理解し、 地下展示と向かい、 種子と 「根」 の解釈へと進む。

1階平面図 S:1/000

0

5

10

20m


▼2F 展示:年譜・作品概要

・展示:年譜・作品概要 日本に芽吹いた〈ガウディ〉を再確認する。


▼青海が形成する軸線

4*5& 匯☒ꌬ 尉匯ⶓ귱哜 ┟潨 匯☒ꌬ彴㽹

・青海の形成する軸線は、 地球を周回し、カタルーニャへと通ずる。


▼2F カタルーニャへの視座

・遠く離れた生誕の地を、 青海の自然越しに感じる。


▼B1F 茎 展示室 展示:サクラダファミリア聖堂

展示:石膏模型・原図資料

3250mm

展示:原寸ブロンズ像

二階展示室から

直径≒1.6m

サグラダファミリア中央身廊部原寸柱 (ブロンズ像) 高さ≒15m 1480 mm

地下階平面図:根 種子を巡る 地下空間はガウディの種子を覆う 「根」 を基底とした。 地上部へと生える合板の壁、 青海から落ちる光に包まれながら、 回廊を巡り、 作家性に迫っていく。

最後に望むブロンズ像は、 身体スケールとなり、 新たなガウディに対する理解の 「花」 を咲かせる。

B-1階平面図 S:1/200

0

5

10

20m


▼B1F 展示室 : 根を巡る。

地下空間はガウディの種子を覆う 「根」 を基底とする。 根が這うように、作家性に迫っていく。


▼中庸の光を生む架構

・青海の中庸の光を落とすアルミ合板


▼B1F 展示室:中庸の光に照らされる

・ 地上部から落ちる中庸の光によってガウディが照らされる。 青海の均衡を想起しながら回廊を巡る。


▼展示資料

�. グエル邸 立面図 sizeA�

�. コロニア•グエル教会

�. サ•バトリョ 地階平面図 size:A�

��. 模型 サグラダ•ファミリア 身廊部の大窓の詳細 石膏 �:��

��. 側廊部の柱 模型 石膏 �:��

�. コロニア•グエル教会 平面図 size:A�

�. サグラダ•ファミリア 天井ヴォールト伏図 size:A�

��. 模型 サグラダ•ファミリア 身廊部の大窓のゲーブル 石膏 �:��

��. 中央身廊部の柱と柱頭 模型 石膏 �:��

ポーチ天井ヴォールト図 size:A�

�. コロニア•グエル教会 構造模式図 size:A� �. カサ•バトリョ 立面図・断面図 size:A�

�. カサ•バトリョ 屋階平面図 size:A�

��. 模型 サグラダ•ファミリア 身廊部の大窓 石膏

��. サグラダ•ファミリア 天井ヴォールト伏図 size:A�

�. カサ•バトリョ 地階、� 階、主階平面図 size:A�

��. 模型 サグラダ•ファミリア 側廊部の屋根の明り取り 石膏 �:�� ��. 誕生のファサードの鐘塔塔頂部分 スタディ模型 石膏 �/�� ��. 誕生のファサードの鐘塔塔頂 スタディ模型 石膏 �/��

��. 誕生のファサードの鐘塔塔頂 スタディ模型 石膏・彩色 �/�� ��. 模型 サグラダ•ファミリア 後陣部 石膏 �:��

▼ ・ 数々の試行の跡から ガウディの思想に迫っていく。

��. 側廊部の柱 模型 石膏 �:��

��. 中央身廊部の柱と柱頭 模型 石膏 �:�� ��. 柱 模型 石膏 �:��

��. 側廊部上部の枝分れ柱の基部 模型 石膏 �:�� ��. 誕生のファサードの鳩 スタディ模型 石膏 ��. 誕生のファサードの鳩 スタディ模型 石膏


▼B1F 展示:サグラダファミリア

・ 展示 : サグラダファミリア 原図や石膏模型の縮尺のある世界。


▼断面図

南北断面図 S:�/���

0

5

5

10m

・ 地下展示室から ブロンズ像と相対しながら、 地上へと上がる


▼B1F ブロンズ像と相対する

・ 原寸のブロンズを望む時に初めて 「尺度」 を獲得する。


▼15mというスケールの獲得

15m

サグラダファミリア贖罪聖堂中央身廊部・二重螺旋柱・第一節 15m原寸ブロンズ像


▼「尺度」の獲得

原寸ブロンズ像は、これまで見てきた展示から得た、 写真、文字、線、模型、物質、空間すべてに「尺度」を与える。

遠く異国のガウディに対して、 「尺度」を持って対峙する。


▼展望

「尺度」は、日本の風土に影響されない普遍的な価値観を生む。



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