TAISEI KONDO from NO BUSES, 2021 by LIFT

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TAISEI KONDO From NO BUSES, 2021 PHOTOGRAPHY BY YOHEI HAGA STYLING, EDIT & WORDS BY HIROAKI NAGAHATA SUPPORTED BY CULPOOL TAKEOUT



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「中一の時から Christopher Nemeth が大好きで、今もよく青山のお店に通っています。ちなみに今日の私服では、 小学生のころ買ってもらった Iceberg Jeans のジーンズを履いてきました」








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メルカリで購入した Marc Jacobs のカーディガン、中目黒の number3 で購入した Fruit of the Loom の T シャツ、 Gap のパジャマパンツ、ERL のソックス、レザーサンダル。







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下北沢の Mu で購入した Brooks Brothers のシャツとパジャマパンツ、何かのグッズでついてきた Fruit of the Loom の "POP" T シャツ、ERL のソックス、レザーサンダル。




NO BUSES、 無限のギターミュージック No Buses でヴォーカル兼ギターを務める近藤大彗が音楽にのめりこんだきっかけ は、高校に入ってすぐ、それまで 10 年間続けてきたサッカーを辞めたことにあっ た。小学 1 年で中田英寿に憧れて “ 何となく ” 地元のチームに入り、中学では強 豪の部活に所属していたが、最後までレギュラーに定着することはできなかった。 「中一のとき周りがみんな上手だったので、『キーパーだったら僕でもレギュラー になれるかもしれない』と安易な考えでキーパーに名乗りをあげたんですが、あっ さり友だちに技術で抜かれちゃって(笑)。練習も思ったよりきついし、でも『せっ かく続けてきたんだし』と思うと辞めるに辞められず、高校でやっと諦めがつき ました。強い意志で続けていたわけじゃないけれど、いつの間にか生活の主軸に なっていたんですよね」 部活をリタイアして時間を持て余した彼の頭に、ふと「音楽」というワードが浮 かんだ。それはかつて、専門学校に通っていた従兄弟がシド・ヴィシャスの T シャ ツをくれたことがずっと記憶に残っていたから。当時セックス・ピストルズの魅 力は理解できなかったが、この機会にちゃんと海外の音楽に触れてみようという 気になった。 それまで音楽といえば、ももいろクローバー Z か ONE OK ROCK、あるいはゲー ムの BGM( 『クロノトリガー』と『マザー』)しか馴染みのなかった彼は、さっそ く地元のツタヤへ駆け込み、当時(2010 年代前半)オススメされていた洋楽アル バムを片っ端から借りた。リバティーンズ、ミューズ、レッチリ、ストロークス ……中でも一番気に入ったのはアークティック・モンキーズだったという。 「彼らの音は基本がミニマムなんですが、その中にも色んな音楽の影響を感じさせ るところにグッときて。そこから、高校 2 年にあがってすぐギターを購入し、自 分の曲を作りはじめました。サッカーが生活から消えて本当にやることがなくて、 曲作りでもしていないと自分がダメ人間になっていく気がしたんです(笑)」 最初はミスチルあたりを真似して弾き語りの曲を作るところから始めた。彼の 中で、 「日本に住んでいる自分が海外のバンドっぽいサウンドを作る」というイ


メージが沸かなかったのだ。そんな折、彼にとってアークティックかあるいはそ れ以上に大きな意味をもつバンドが日本に現れた。2016 年に初の EP を発表した DYGL だ。彼らはファーストアルバムでアルバート・ハモンド Jr. にプロデュース を依頼した事実が示すとおり、主に欧米のギターバンドから多大な影響を受けて いる。そして 2016 年の時点で、彼らのように真っ当なガレージロックを鳴らすバ ンドは、世界中を見渡しても稀有だった。 「僕の場合、2000 年代前半にデビューしたストロークスやアークティックは後追 いで聴いていたんですが、だからこそ DYGL を聴いたときは感覚的にはドンピシャ だったんです。ある意味でめちゃくちゃ “ リアルタイム ” でした。欧米のバンド たちと当たり前に共振するバンドが日本にもいるんだ!って。邦楽ロックの枠組 みの中で洋楽から影響を受けたバンドは他にもいましたが、DYGL はそうではな かった。あの人たちがいなければ、No Buses も始まっていなかったと思います」 高校卒業後、 「洋楽好きが多いに違いない」とふんで入学した某外語大学にて No Buses を結成。入学年の 9 月、ギタリストの後藤晋也に自分が高校時代につくっ たデモを聴かせたところ、その場で「いいね、一緒にバンドをやろう」と誘われ た(ちなみに、ファーストアルバム収録の「Rat」は高校時代に書かれたもの)。 そこからベーシストとドラマーが加わり、何度かメンバー交代を経て現在の編成 に落ち着く。 「当時のバンドシーンは希望に溢れていました。DYGL の他に D.A.N. みたいなバン ドも出てきて。彼らが、 “ 海外のサウンドに共鳴しつつも日本で活動していくアティ チュード ” を教えてくれた気がしたんですよね」 No Buses の存在は、最初にアップされた『Tic』をきっかけに、メンバーたちの 予想を超えた勢いで拡散されていく。特殊だったのは、You-Tube のコメント欄 の多くが英語で占められているということ。つまり、国内のオーディエンスが「ま るで海外のバンドだ!」と大騒ぎしていた DYGL とは対照的に、No Buses の場 合は本場の人たちがノスタルジーを含んだある種の異物として注目していたのだ。 また、OK GO の MV を思い出す本人たちの激ゆるいダンスも、ネット上のバズに 拍車をかけた。 「 『Tic』ではシンプルなガレージロックがやりたかったんですが、あくまでそれは 当時の気分で、バンドの全てではない。自分たちとしては 100 パーセントじゃな い作品が一人歩きしたことで、かなりナイーブになりました。キャリアの青写真 を描いて、アルバムごとに発展していく形に憧れていたので、もっとマイペース にやりたかった。ファーストも出ていない状況で騒がれてしまったことに、正直


モヤモヤしていました」 MV と音のコントラストに関して、メンバーが相当意識的なのかと思いきや、そ れも本人たちがただ恥ずかしがり屋なだけで、「あれしかできなかっただけ」だと いう。何も狙っていないのに「狙いすぎ」だと言われたり、あるいはミーハー心 で You-Tube を観た人から誹謗中傷のコメントがついたりして、一時期彼の心は ボロボロになった。自分の音楽を聴けなくなって、You-Tube も開けなくなってし まった。当然ながら、一般の大学生にすぎなった本人は、世間のリアクションに 対して心の準備ができていなかったのだ。 しかし、楽曲を作っていくうちに No Buses の強みを言葉として理解しはじめた 彼は徐々に持ち直し、 2019 年にはファーストアルバム『Boys Loved Her』を発表。 では本人は、バンドの「魅力」を具体的にどんなものだと捉えているのだろうか? 「ギターリフと歌メロは良いものができていると思います。それと、自分が作る曲 はやっぱりどこか日本っぽい、というかそうあってほしい。欧米のポップミュー ジックは大半がリズムで引っ張っていますが、日本はメロディ(上モノ)が引っ張っ ているケースが多いじゃないですか。もちろん自分は国外の音楽から影響を受け ているので、ローを強く出すことは意識していて、王道の J-POP みたいにシャリ シャリした音にはしていない。とはいえ全体を引っ張るのはメロディであるべき だなと。そこをソリッドしすぎると、そのぶんメロディがライトになってしまって、 日本で音楽を作っている身からするともったいなく感じるんです」 2020 年に発表されたトリプル A 面シングル「Imagine Siblings / Number Four or Five / Trying Trying」で、本人が説明するそのシグネチャーはしっかり刻み込 まれている。また、同時期にラッパーの BIM と共演した「Non Fiction feat. No Buses」では、ロック以外の舞台で「欧米経由、日本発のギターロック」の可能 性を一気に花開かせた。地図の上でもあらゆる中間地点に位置していて、政治的 にも「間」をとらざるを得ないこの国のリアリティ。オリジネーターから抽出し た要素をランダムに組み合わせたときに現れる不思議な質感。No Buses は現代に おける「新しさ」を象徴している、ともいえるのではないだろうか。 さて、彼は No Buses と並行して、自身のソロプロジェクト・Cwondo でも音源 を発表している。2021 年に入ってソロアルバムも発表したばかりだ。 「バンドのファーストアルバムを出した際には、曲を作ってから世に出すまでのタ イムラグを埋めたい思いから、『すぐにセカンドを出します!』と息巻いたりして (笑) 。でも、 バンドはメンバーと共同作業するからこそ面白いものが仕上がる、じゃ


あ自分のモードを即座に反映させるのはソロでいいのかな、って気づいた瞬間が あった。例えば、 ラッパーはソロの人が多いのに、ジャンル分け隔てなく基本がオー プンじゃないですか。一方で、バンドは複数人で作るのに音楽としては内向的な ものに仕上がるから、そこが反比例していて面白いですよね。似た者同士が集ま るので、グッと一つの世界にフォーカスするといいますか。今は、バンドならで はの良さをバンドで表現したいんです」 2021 年 2 月末の時点ですでに No Buses のセカンドアルバムのレコーディングは 終えているという。エレクトロやアンビエントの要素を含んだ、多種多様なリファ レンスを取り込んだ Cwondo から、逆にバンドへ持ち帰るものも少なくないだろ う。ギターミュージックでやれることはまだあるか? 同時代性をもってこの問 いに答えられる数少ないバンドの一つ、それが No Buses である。

No Buses は 2 月 28 日(日)17 時 30 分〜開催されるオンラインフェス『CULPOOL -TAKE OUT-』に出演します!「世界との共振」を軸に選ばれた最良のラインナップ、ぜひともご注目 ください ‍🌈 【URL】https://www.youtube.com/watch?v=sCxWInjiVSo

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