SEENOWTOKYO MAGAZINE ISSUE04

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ISSUE04 “FLOWER”
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根本 貴史 /伊藤 里恵子

なにげない日常と イタリアの良き時代を結び 紡がれる物語

─ Millanniのブランドコンセプトを教えて下さい。

根本貴史(以下、根本) コンセプトというよりは、好きなもの を軸につくっています。ニットデザイナーの伊藤と一緒にやっ ているのですが、僕たちは長い間イタリアに住んでいて、アン ティークや骨董品を買うのが好きだったので、昔のものはよく 見るようにしています。

コートやシャツを作るにしても、「何年代のああゆう感じ」と うやりとりが多く、そこから今の素材や技術に置き換えたり、 組み合わせたりして作ることが多いですね。昔のものを参考に して、コレクションを組むようにしています。

─ どのようなソースを参照することが多いですか。

例えば60年代のワンピースを見たり、プリント図案や色使いな どの資料を見ながら、大まかにコレクションのイメージを組み 立てていくことが多いですね。ですから洋服だけに限らず、当 時の写真もたくさん見ますし、古着を買って作り方を参考にし

ゃい」と背中を押して頂きました。「修行を積んでまた戻って 来た時に、私のところで働きたかったら、また連絡ちょうだい」 と。そうして入社を遅らせる形でイタリア留学に行くことにな りました。

イタリアではミラノにあるイスティテュート・マランゴーニ (IstitutoMarangoni)という学校のマスターコースを卒業して、 その後アントニオ・ベラルディ(AntonioBerardi)というブラン ドで研修をして帰国。その後コシノさんのところで働けるよう になりました。でも働いているうちにやっぱりまたイタリアに

Millanni
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根本貴史TakashiNemoto

1982 東京生まれ

2003 文化服装学院 デザイン専攻卒業

2003 渡伊 2004 ISTITUTO MARANGONIMILANO ITALY     Masterinfashiondesign卒業

2004 ISTITUTO MARANGONIMILANO代表としてロンドン     のHarrodsショーウィンドウ展示

2004 ANTONIO BERARDI師事

2005 帰国後、

株式会社HIROKO KOSHINO INTERNATIONAL入社 2007 再び渡伊 2007 RiccioneModaItalia2007参加

2007 MAXMARALineaMax&Co     デザイナー、パタンナー就任

伊藤里恵子(ニットデザイナー)

1980 東京生まれ

2005 文化服装学院 ニットデザイン科卒業 2005 株式会社HIROKOKOSHINOINTERNATIONAL入社     ニットデザイナー就任 2008 渡伊

2009 フリーランスニットデザイナー

2009 FILOLOGICO入社

2011 Ventriloquist設立

2012 Tokyo新人デザイナーファッション大賞プロ部門受賞 2021 ブランド名をMillanniに変更

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着る人が無敵になれる服でありたい

関根 隆文 TakafumiSekine 2012年 meagratiaをスタート。 2018年よりニューヨーク、パリにて展示会開催。 2019S/SよりFashionWeekTOKYO 参加。 2019年TOKYO新人デザイナーファッション大賞受賞。 2022年 meagratiaAtelierStoreオープン。

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SEVESKIG

長野 剛識

ひねくれたデザインに秘めた、ものづくりへの想い

回の2024S/Sは2シーズン目で、白人(しろひと)って言われてい るスラヴ民族をテーマにしています。

スラヴ民族は分断や併合を繰り返してきた民族で、未だに同民 族間で戦争してるのは本当に悲しいことだし、心が苦しくなり ます。壁がなければ戦争もなかったよねっていうのを2024S/S のテーマとして“IFWEBREAKDOWNTHEWALL”にしました。 国境とかなければそういう戦争も無くなるんじゃないかってい う考え方で、コレクションを作っていくかって。

そのために色々な国の人をモデルに起用したりモデルとお客さ

んの壁を無くし、ショーの始まりは昇降ステージが迫り上がっ ていってモデルが登場して、終わりの方にステージがまた下が っていって、壁がなくなるっていう演出にしました。ステージ の花は全部見本用として使われていたサンプル生地を使用して 10種類くらい作りました。ステージ上のシーズンテーマの文字 のプロップは、廃材アルミアーティストのMetalBusshiさんに 制作を依頼しました。花とは対照的な金属のような置物で戦争 の残酷さを表現しています。

─ 長野さんにとってデザインプロセスはどのようなものですか? テーマを決めて、それについて色々と調べて文章を作って、そ の後、素材を決めて、デザインの形にするやり方をよくやって います。シーズンテーマとしているスラヴ民族の思想とか、生 活習慣とか、伝統工芸を深堀りしてコレクションに入れていま す。例えば東スラヴの民族衣装ではクロスステッチが伝統的な ので、花のクロスステッチ刺繍でデニムのダメージをリペアし

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ていくイメージで作っていたり。ダメージの部分もよく見ると 全部文字になっています。

ChatGPTに『赤いヒョウの毛皮をまとった魔女の話がスラヴに あるよ』って教えてもらって、まだAIの技術も完璧ではないの でよくよく調べると存在しない架空の話で。このChatGPTに教 えてもらった魔女の話から着想を得て、本物のヒョウの毛皮を 持ってる人に借りて高解度スキャンしたデータをレーヨンの生 地に転写プリントしました。お花のモチーフもAIに描いてもら って、その中で面白そうな一部に自分で書き足してちょっと変 えながら、柄の中に落とし込んだりしています。

─ デザインに取り入れているAI技術について教えて下さい。

プロンプト(Prompt)という文字を入力して絵を描いてもらうや り方の生成AIを使っています。AIって結局その時々の文脈に応 じて正解だろうという絵を出してくるので、上手く伝わらなか

ったり、なかなか思った通りに作れない時も多いのですが、 「赤いヒョウの毛皮をまとった魔女の話」のような、AIの勘違 い的なところも面白いなっていうのはありますね。あとはやっ ぱりAI独自の違和感が面白いですね。スラヴ叙事詩っていう作 品を描いてたミュシャっていう芸術家の絵も、人の顔のような 服だったり、目の位置がおかしかったり、馬に見えるけど馬じ ゃなかったり、AI独自の違和感を若干残して裏地に使用してい ます。多分、今の時代だからこそ出ている違和感で、10年後と かは違和感が無くなってきっちりしちゃうと思う。

だから、今こうやってAIを使うってのは面白いなと思っている んです。AIを使わないっていう人ももちろんいるんですけど、 使い方かなと。どこで自分を納得させるかっていうところもあ ると思います。人が作るものは、人が作るもので良いんですけ ど、”AIが作るもの”を作ることを面白いって思えるかどうか。 ど、”AIが作るもの”を作ることを面白いって思えるかどうか。 結局、最後は、自分でジャッジをしなきゃいけないので。そこ は、AIには多分できないですね。

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長野 剛識 TakanoriNagano

来歴

2018A/W 東京新人デザイナーファッション大賞受賞

2019A/W  MAN PARIS初参加

2021A/W 楽天ファッションウィーク東京に初参加

2023A/W 1月、6月 PFW にて alphabetショールーム展示会参加

初 RUNWAYSHOW を渋谷 PARCO ROOFTOPPARKにて発表

2024S/S 2回目の RUNWAYSHOW を東京キネマクラブにて発表

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