ARCHITECTURE PORTFOLIO / Ryo Hayasaka

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Miyagi University Ryo Hayasaka


Contents

001 002

3 年後期施設設計製図 C 設計課題 「都市建築のデザイン -Sendai Morphology- 」

「本町二丁目地区における都市建築デザイン」 学内機関紙掲載作品 / 学内優秀作品

第 11 回ダイワハウスコンペティション 課題テーマ - 呼吸する家 -

「津脇の家」

3年前期施設設計製図 B 設計課題 「商店街に建つ地域図書館分館」

「地下に根ざした都市型図書館」 第 4 回大東建託賃貸住宅コンペ 課題テーマ - 賃貸住宅の公 -

「私と出会い、 公をつくる。」

003

「A.P.C. ブランドビル」

「宮城大学平岡善浩研究室」 2年前期設計製図Ⅱ設計課題 「仙台市郊外に建つ独立住宅の設計」

008

「陰 (隠) と陽のある家」 学内機関紙掲載作品 / 学内優秀作品 / 学内選抜者公表会選出作品

写真の被写体 ・ 色彩情報と感情情報の関連の研究 ~日常携帯するカメラで撮影された写真の特徴について~

005

007

2 年後期施設設計製図 A 設計課題 「BRAND × BUILDING」

建築設計 ・ まちづくり ・ コミュニティデザイン系研究室

004

006

1年後期設計製図Ⅰ設計課題 「3.6m×3.6m×3.6m―建築空間を模型で考える―」

「髭のエントランス」 学内優秀作品 / 学内選抜者公表会選出作品

「卒業研究」

009




001

3 年後期施設設計製図 C 設計課題 「都市建築のデザイン -Sendai Morphology- 」

「本町二丁目地区における都市建築デザイン」 学内機関紙掲載作品 / 学内優秀作品


学内機関紙掲載作品 / 学内優秀作品

「本町二丁目地区における 都市建築デザイン」

001

3 年後期施設設計製図 C 設計課題 「都市建築のデザイン -Sendai Morphology- 」 用途

自由設定 敷地 仙台市青葉区本町二丁目エリア 課題概要 都市建築という概念は、 ①道路などの公共スペース ②建築敷地内のオープンスペー ス ③敷地の中の建築空間 から構成される。 道路は、 地区の各建築敷地に繋 がるようにシステム化される。 敷 地 が 道 路 に 接 し て い な け れ ば、 建築にたどり着けない。 次に、 敷地の中のオープンスペー スを使って住空間への日当たり、 避難路、 環境アメニティを確保す る。 建築空間について考えるの は無論だ。 本課題では、 この空 間概念を使って本町 2 丁目地区 の課題を見つけて、 最終的に地 区の問題解決のための建築プロ ジェクトを提案する。 地区の調査はグループで行い、 プロジェクト提案は個人で作成す る。 制作期間 約 3 ヶ月

道路幅員 8m 以上 道路幅員 6m 以上、 8m 未満 道路幅員 4m 以上、 6m 未満 道路幅員 4m 未満 指定避難所 消火栓 井戸 緊急通報器 木造住宅 災害時危険度大 災害時危険度中 N

食料品製造業

不動産仲介業

その他製造業

運輸業

飲食業

電気・ガス業

商品小売業

教育学習支援業

飲食料小売業

不動産賃貸業

衣類・小物小売業

住宅

その他小売業

空地

生活関連サービス業

業種不明

医療業

オフィス

娯楽業

官公庁その他

0 10

S=1:2000 100 50

06 本町二丁目地区における都市建築デザイン


phase:1

共同製作者 白井浩太 松下瑞季 中村くるみ 竹村佳晃 宮田真帆

phase:1では、詳細な地区分析の手法を学ぶ。

1990 年~ (築 25 年以下)

P

1984 年~ 1989 年 (築 25 年~築 31 年) ~ 1983 年 (築 32 年以上)

文献・古地図による歴史調査

2018

NHK 新仙台放送会館運用開始

2015

地下鉄東西線開業

2013

仙台本町変電所竣工

1999

元寺小路の電線地中化、高質舗装などの街路整備

駐車場

P

P

P P P

1993

本町商店街振興組合の設立、法人化

1987

地下鉄南北線開業

1977

新仙台駅開業

P P

P

P

1998 P P P

1952 1948

P P

P

P

P

地区内の道路整備が行われ、叉路が生まれる

1984

P

P

P

P

P P

仙台市電全線開通

P

P P P

P

定禅寺通、広瀬通、勾当台通、愛宕上杉通の道路整備が 1946

行われ、大通り沿いに高層建築物が建設される

1945

仙台大空襲

1926

仙台市電開業

1887

仙台駅開業

1868

仙台藩廃藩により、寺院が次々と撤退 商人の町へ

P

P

P

P

P

P

P

P

1964

P P

1946 P

P

1601

城下町の防衛戦としての寺院の設置 1928

本町二丁目主要業態構成 業務

物販

駐車場 サービス 飲食

14%

13%

12% 12% 11%

住宅 学校/病院

7%

6%

本 町 二丁 目 世 帯 の 家 族 類型

その他

25% 単独 209 世帯

中央二丁目主要業態構成 16%

39%

5% 5%

15%

2%2%

核家 族 非親族 その他親族 三世代 63 世帯 10 世帯 8 世帯 3 世帯

16% 本 町 二丁 目 年 齢 構 成

2500000

40 30

2000000

生産年齢人口

高齢人口

年少人口

20

1500000

10 1000000

0

500000

※仙台市青葉区本町 2 丁目 14−26 公示価格より

本町二丁目地区では、 個人経営を中心とした家具店や昔な がらの商店 ・ 飲食店などの歴史的町並みに、 NHK や変電 所など新たな機能を持った建築物がいくつか建設されている。 また現在、 平面駐車場として活用されている土地が多く、 仙 台市中心部の中でも割安な駐車場が多いことで知られてい る。 これらの駐車場 ・ 老朽化した建築物 ・ 敷地には、 今後新築 や建て替えによって新たな機能が挿入されるものと思われる。 しかし、 道路幅員が狭いことから、 小さな区割りのまま個人 向けの住居や店舗が建設されることが予想される。

常 住 地に よ る 1 5 歳 以 上 就 業 者 数 と 労 働 状況

-10

0

そこで、 私たちのグループでは立て替えやリノベーションによっ て、 これからの町並みの変化を受け止め、 現在この町で飲 食店や商店を経営する人々 ・ コミュニティと共存し、 相互に 関連し合える場の提案が必要であると結論づけた。

-20 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015

公示価格(円/㎡)

前年比変動率(%)

自宅で従業 162 人

自宅外の自区で従業 42 人

自市内の他区で従業 県内他市町村で従業 他県で従業 17 人 3人 2人

本町二丁目地区における都市建築デザイン 07


phase:2

共同製作者 大柴卓也 鈴木悠平 鈴木悠 太齋琢斗

phase:2では、以下の4つのプロセスを経て、各開発手法のメリット・デメリットについて学ぶ。

Site:1&2 集合住宅4

1 2 3 4 08 本町二丁目地区における都市建築デザイン

Site:3

個人住宅1 集合住宅3

集合住宅1 集合住宅2

Site:4

個人住宅1

小規模開発 小規模設計には建設工事や増改築などのメリットがあるが、道路斜線制限と隣地境界線か らの後退距離の両方を各建物で考慮する必要がある。 採光確保のためにセットバックさせることで建設できないスペースが生まれ、敷地全体を効 率よく使うことが困難である。

集合住宅

中規模開発 中規模設計には、 間取りや開口部の設定に関しゆとりを持って行うことができるが、 小規 模設計と同じく道路斜線や採光取得時の隣地境界線からの制限を考慮する必要がある。 また、集合住宅であることから、プライバシーや環境に配慮した設計を行うことが重要となっ てくる。

複合施設 (居住・飲食店・クリニック)

ファブラボカフェ

大規模開発 小規模立て替えや中規模立て替えと比べて、 採光にともなう隣地境界線を考慮する必要 がなくなり、 設計における自由度が増した。 敷地全体を使うことができ、 セットバックをすることで、 高層にすることができ、 多くの住 戸をつむことができる。 大規模立て替えは地域への貢献度がほかの二つと比べて大きくなっており、 住む人々だけでなく、 周辺環境等を考慮する必要がある。

リノベーション 元々の建物を使うため制限あり設計の自由度は低い。 また、 躯体自体は変えないため、 コストは比較的低い。 建物自体は変えないため、 周辺への影響は低い。

Site1&2:850 ㎡ Site3:2000 ㎡ Site4:450 ㎡


phase:3

共同製作者 大柴卓也 鈴木悠平 鈴木悠 太齋琢斗

13500

phase:3では、敷地分析に基づいた設計案の提案を行う。 4500

4500

4500

アクセス路

チャレンジショップ

2700

対象敷地は、 古くからの家具店が建ち並ぶ元 寺小路 (通称家具の街通り) 沿い、 五叉路 に面した小さな角地とした。 隣に建つベルツビル 2F には、 現在本町商店 街振興組合がテナントとして入居している。 Aʼ

本提案では、 未来の本町二丁目をつくりあげていく核となるような小さな建築物を 設計した。 本町二丁目地区の中心に位置するこの建築物は、 本町商店街振興組合が入居す る 「まちづくりオフィス」 と、 これから本町二丁目地区での新規事業を考える人々 が一時的に入居する 「インキュベーションオフィス」 の機能を備えている。 2 つの機能が混ざり合い、 恊働することで今まで以上に結束力が強く、 各店舗が 個性を発揮できるような 「本町商店街」 がつくられるのではないかと考えた。 さらに、 これから本町二丁目地区を盛り上げていく人々がより多くの経験を積んで育 ち、 羽ばたいていけるような仕組みとして、 新規事業者が試験的な販売を行い、 地域の人々との交流を育むことができる 「チャレンジショップ」 空間を配置した。 また、 誰もが自由に使える大きなピロティを配置し、 街と建築が多くの接点を持ち、 人々のコミュニティが育まれるような空間とした。

1F 平面図 S=1:300

テラス

インキュベーションオフィス

それぞれの店舗が個性を発揮しながら、 現在の地域組織を形成している。 現状の本町二丁目地区に対し、 新しく個性を持った人々が 入居してくる。 0

3

15

新しくこの地域に入ってきた人々と、 昔からこの地域に慣れ親しむ人々とが うまく調和し、 新しい形の本町二丁目地区を つくりあげていく。

4500 2000

2000

4500

14000

5000

30

GL

2F 平面図 S=1:300

S=1:300

6

外観パース

4500

4500

Site

16200

ピロティ

4500

A

テラス

まちづくりオフィス

まちづくりオフィス インキュベーションオフィス

ピロティ

チャレンジショップ

A-Aʼ断面図 S=1:300

3F 平面図 S=1:300 本町二丁目地区における都市建築デザイン 09



002

3年前期施設設計製図 B 設計課題 「商店街に建つ地域図書館分館」

「地下に根ざした都市型図書館」


「地下に根ざした都市型図書館」

002

3年前期施設設計製図 B 設計課題 「商店街に建つ地域図書館分館」 用途

図書館 敷地 仙台市青葉区一番町 4-5-13 現ボウルサンシャイン他 課題概要 仙 台市青葉区一番町の 商店街 に、 市民図書館分館を計画する。 近年、 公共図書館の利用が活発 化している。 その一因に、 高齢 者が日中過ごす場としての図書 館の利用が考えられ、 今後の図 書館計画に際して、 図書の貸し 借りだけでなく、 「滞在機能」 の 考慮が求められる。 また、 IT 技術の発展と普及に伴 い、 電子書籍の利用が盛んになっ てきた。 このことは、 図書館の 本来の機能である情報の集積と 発信に関して、 情報伝達の手段 が電子メディアに移行することに なり、 閲覧室のあり方に影響する ことが考えられる。 このような背景をもとに今後の図 書館のあり方を検討、 提案する。 制作期間 約 1 ヶ月半

12 地下に根ざした都市型図書館


宮城県 図書館

勾当台公園駅

定禅寺

白石市 図書館

オフィス

仙台三越

国分町

図書館

大崎市 図書館

地下街

登米市 図書館

加美町 図書館

図書館

国分町

広瀬通駅

国道

塩釜市民 図書館

周辺施設利用者が、~のついでに図書の貸 し借りを行う図書館

県内図書館の「ハブ」としての機能 各図書館の蔵書が、ブックモービルを介して行き交うハ ブ図書館

4号

商店街

一番町

アクセスの良さと、 周辺機能の豊富さのため、 この図書館は朝の通 勤時に、 会社の昼休みに、 買い物のついでに、 飲み会の前に、 ~し ながら、 の 「ながら利用」 が中心的な利用のされ方となるのではない だろうか。 また、 新たに開業する地下鉄東西線の影響で、 地下鉄利用者の増加、 仙台の地下街の発展が予測され、地上から、地下からの 「ながら利用」 が見込まれるのではないか。

名取市 図書館

角田市 図書館

商店街

商店街と地下街の人の流れ、仙台市 の二つの動線の結節点となるような 図書館を設計する

住所:仙台市青葉区一番町 4-5-13 用途地域:商業地域 建蔽率:80% 容積率:600%

の流れ

の人 商店街

仙台市営地下鉄一日平均利用者数の推移 300000

れ 人の流

新たな人の流れ

地下街

250000 200000 本は数百年、 数千年もの間、 人類にとって最も貴重な情報

150000 100000 50000 0人

地下鉄南北線

地下鉄東西線 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 12 月の地下鉄東西線の開業によって、 仙台の地下街は更なる発展を 遂げるのではないだろうか。 地下街が発展することを想定し、 将来的に地下からのアクセスができ るようエントランス空間を設けている。 地上からも、地下からも、仙台市民が 「~しながら」 図書館を利用する。

源であった。

しかし、 本がカタチを失っても、 図書館の機能はなくならない

石や粘土板、 動物の毛皮、 骨、 紙など形を変えながらも本

だろう。

は様々な情報を伝えてきた。

きっと、 世の中すべての本が電子データに変わることもないだ

しかし近年、 情報端末の発展によってついに本は、 物理的

ろう。

なカタチを失い始めてきた。

未来の図書館は、 本という伝達手段ではないとしても、 情報

この新しい変化は、 図書館建築にも大きな影響を与えるので

発信の拠点としての機能を保持しているのではないだろうか。

はないだろうか。

地下に根ざした都市型図書館 13


43200 14400

7200

7200

7200

7200

ドライエリア

7200

7200

入口

事務作業室

児童図書

28800

機械室

キャレル

エントランス

A

カウンター

レファレンス

エントランス

AV コーナー

7200

トイレ

カフェ

打ち合わせ室

28800

テラス

更衣室

幼児図書

7200

事務・受付

BM 車庫

4000

荷解き室

3200

イベント・セミナールーム

キッチン

7200

ドライエリア

7200

収納

7200

7200

7200

7200

7200

43200

ブラウジング

閲覧コーナー

オープンスペース

トイレ

N N

国分町

1F平面図 S=1:300

7200

7200

開架図書

BF 平面図 S=1:300

一番町商店街

南側立面図 S=1:300 0

3

15 6

14 地下に根ざした都市型図書館

S=1:300 30


テラス

カフェ

エントランスホール

5000

一番町商店街

AV コーナー

閲覧コーナー

地下 ブラウジングコーナー エントランス

地下街 7500

キャレル

5250

GL

2250

国分町

地下図書エントランス付近から図書館フロアを見渡す

5000

商店街側からオープンスペースを見る

A-Aʼ断面図 S=1:300

地下に根ざした都市型図書館 15



003

2 年後期施設設計製図 A 設計課題 「BRAND × BUILDING」

「A.P.C. ブランドビル」


「A.P.C. ブランドビル」

2 年後期施設設計製図 A 設計課題 「BRAND × BUILDING」

003 用途

小売店舗 敷地 仙台市青葉区立町 26 課題概要 仙台市中心街は、 東北エリアに おけるファッションの中心地となり つつある場所である。 本課題は、 ある実在の企業が 自社ブランド製品やサービスを 東北エリアに展開する拠点とし て、 「BRAND × BUILDING」 を設置することを想定した設計課 題である。 課題では、 以下の 3 つのテーマ を課す。 ①「BRAND」 のイメージを表出 する 「BUILDING」 であること。 ②街に対し明確なコンセプトを持 つ 「BUILDING」 であること。 ③環境 ・ 構造 ・ 動線などが統合 した 「BUILDING」 であること。 制作期間 約 1 ヶ月半

18 A.P.C. ブランドビル


広瀬川

仙台市民会館

「ブランドの顔」 としての建築物の役割。 ブランドビルは、 広告塔としての役割を担っている。 対象敷地 (現在飲食店) 用途地域 : 商業地域 建蔽率 : 80% 容積率 : 500%

モニュメント性

敷地は仙台の文化の中心地である、 定禅寺通り沿い。

せんだいメディアテーク

インターネットで、 安く、 早く、 なんでも手に入る時代に、 この場所に 「BRAND × BUILDING」 を建てる意味とは。

宮城県民会館

「商品を買う」 という一連の行為自体の販売。 体験としての購買行為が求められている。

購買ストーリーの販売 仙台三越

定禅寺通りのケヤキ並木は、 仙台の特徴的な景観を生み出している。 都市の小さな緑地として、 雨の日には自然の傘として、 冬には光の宿り木として 屋根のように、 仙台市民を優しく包み込んでいる。

地下鉄南北線勾当台公園駅

しかし同時に、 ケヤキ並木は排気ガスさえも閉じ込めてしまってはいないだろうか。 勾当台公園

錦町公園

A.P.C. ブランドビル 19


均質な広い空間

緩急のある空間 12000

都会のオアシス。 地上よりも、 空気がきれいな空間。 L 字型の床を、交互に重ねてみると 吹き抜けを通して、 お客様の動きを感じながら働く。

空間に差異が無く、どこま でも似たような商品が並ん でいるように感じられる。 商品を購入・販売するのに 効率的な空間。

空間に差異が生まれ、場所 により陳列される商品にも 変化が生まれる。 商品を購入するストー リー・経験を販売する空間。

屋上庭園 ELV

25000

オフィス

トイレ

トイレ

試着室 メンズフロア

ELV

天井高の低い落ち着いた空間。

アトリウム

ELV

レディースフロア

7000

試着室

トイレ

A.P.C. のこだわりであるデニムの紹介、 採寸、 販売。

RF平面図 S=1:300

従業員の憩いの場。

モデル控室

ランウェイ

A

18000

4F 平面図 S=1:300

0

3

15

天井高の高い非日常の空間。 3F 平面図 S=1:300

2F 平面図 S=1:300

2000

エントランス

7000

3000 Aʼ

四季折々、 姿を変えるケヤキ並木を背景に、 季節物の商品を陳列する。

6

18000

ELV

ギャラリー

4000

トイレ

倉庫

ELV

2000

12000

8000

4000

2000

5F 平面図 S=1:300

1F 平面図 S=1:300

新作発表の際には、 ファッションショーが行われる。

ケヤキを背景に、ショッピング 20 A.P.C. ブランドビル

S=1:300 30


屋上庭園パース

3F ショッピングフロアパース

0

1

10

20

2000

2000

エントランスパース(ファッションショー開催時)

21000 2000

6200

9700

800

800

6200

6200

800 2700 800

3500

3500

5

S=1:200

A-Aʼ断面図 S=1:200 A.P.C. ブランドビル 21



004

2年前期設計製図Ⅱ設計課題 「仙台市郊外に建つ独立住宅の設計」

「陰 (隠) と陽のある家」 学内機関紙掲載作品 / 学内優秀作品 / 学内選抜者公表会選出作品


学内機関紙掲載作品 / 学内優秀作品 / 学内選抜者公表会選出作品

「陰 (隠) と陽のある家」

2年前期設計製図Ⅱ設計課題 「3.6m×3.6m×3.6m―建築空間を模型で考える―」

004 用途 専用住宅 敷地

仙台市泉区寺岡 課題概要 仙台市郊外の住宅地において、 三世代が住まう独立住宅を設計 する。 世代によってライフスタイルの異 なる家族が快適に暮らせること、 時間の経過と共に成長していく家 族に対応すること、郊外住宅地の 良好な住環境の保持に配慮する ことが要求される。 「すまい」に必要な空間の機能と スケール、それらを構造(木造)を 含めてどのように構成し、「くらし」 を実現できるようにするかをスタ ディしていく。 制作期間 約 1 ヶ月半

24 陰 (隠) と陽のある家


Villa Savoye / Le Corbusier 20世紀最高の住宅と言われるサヴォア邸で は、 近代建築の 5 原則と呼ばれる 「ピロティ、 屋上庭園、 自由な平面、 水平連続窓、 自由 な立面」 が高い完成度で実現された。 コルビュジェの提唱したピロティ空間を、 現代 の住宅に取り入れることで、 新しい住宅像を描 くことはできないだろうか。 敷地

ピロティを取り入れた設計手法 手法①:上層を持ち上げると(下層をくり抜くと) N

寺岡中学校

住所:宮城県仙台市泉区寺岡5丁目1−23 用途地域:第一種低層住居専用地域 建蔽率:40% 容積率:60%

1

2

外に閉ざされた住宅

模型写真(鳥瞰)

下層部分に中間領域が生まれる 下層部分とピロティの関わりが弱い

手法②:上層を 90 度回転してみると

外観パース

1 外に閉ざされた住宅

2 ひだのように表面積が増加し、 中間領域が生まれる 下層部分とピロティの関わりが強い

模型写真(東側立面)

もし、 現代の住宅に手法②によって 1F 部分と関わりの強いピロティ空間が生まれ たとき、 それは家族や近隣住民の繋がりを生む豊かな空間となるのではないだろうか。 構造模型による構造の検討 陰 (隠) と陽のある家 25


井戸端会議が開かれたり、 ゴルフクラブの手入れをしたり、 自由な半外部空間。 14000

14000 3000

5000

3000

6000

5000

3000

3000

子供部屋。

物置 A

ホール 7000

LDK

トイレ

A

夫婦寝室

子供B

子供A

クロー ゼット

トイレ

2000

6000

13000

N 洗面脱衣室

一家団欒の場。

1F 平面図 S=1:100

夫婦の部屋。

0

2F 平面図 S=1:100 S=1:100 5

1 3

風呂

4000

老人室

おばあさんの 1 人部屋。

配置図 S=1:200

26 陰 (隠) と陽のある家

5000

5000

3000

玄関


泉区寺岡の住宅街の一角。東と南に開けた角地で、西側には平屋の一軒家。北側には二階建ての家屋が建っている。 東から昇る爽やかな朝日と、日中の南からの豊かな日光。 また、それとは逆に太陽の光から逃れる、日陰となる風通しの良い落ち着いたピロティ。 太陽光のたくさん入る「陽」の空間と、日陰となる閑かな「陰」の空間。 そして、家族それぞれが趣味や勉強、睡眠など個人の自由な時間を過ごす「隠」の空間。 陰(隠)と陽、2つの住空間を重ね合わせることで、豊かな住宅が生まれるのではないだろうか。

東側立面図 S=1:100

0

S=1:100 5

1

2000

3

子供室A

子供室B 8500

夫婦寝室

3000

トイレ

LDK

GL

南側立面図 S=1:100

1000

3000

ピロティ

1000 500

トイレ

A-Aʼ断面図 S=1:100 陰 (隠) と陽のある家 27



005

1年後期設計製図Ⅰ設計課題 「3.6m×3.6m×3.6m―建築空間を模型で考える―」

「髭のエントランス」 学内優秀作品 / 学内選抜者公表会選出作品


学内優秀作品 / 学内選抜者公表会選出作品

「髭のエントランス」

1年後期設計製図Ⅰ設計課題 「3.6m×3.6m×3.6m―建築空間を模型で考える―」

用途 (任意設定)

005

ライブハウスのエントランス

敷地 (任意設定) 仙台のとあるライブハウス

課題概要 建築空間は様々な要素から成り立 つ。 「3.6m×3.6m×3.6m」 の立方体 は何もしなければ単なる箱にすぎ ないが、 そこで過ごす人の行動、 時間の流れ、 外部とのつながり方 を創造し、 建築的な操作を加える ことで建築空間として成立する。 建築空間として操作する際には、 以下の3点に着目しながらスタ ディを行う。 ①光 ②機能 ③環境 また、 3次元の空間を模型でスタ ディすることがこの課題のもう1つ の意図でもある。

制作期間 1 ヶ月半

30 髭のエントランス


あるライブハウスのエントランス。

壁一面の 「髭」 には、 アーティストたちのピックが埋め込まれる。

壁一面に、 インディーズバンドのフライヤーが何層にも重なっている。

魂ともいうべきピックが光の中に浮かび、 このライブハウスの

雑多でありながらも、 活気のある風景。

歴史を伝える。

歴史が折り重なる風景。

あれ ... ?今日のライブハウス、 ここで合ってるのかな ... ?

既存のライブハウスは、都市の隙間にひっそりと佇むように存在している エントランス空間は観客を捌く場としての機能しか持たない

あのライブハウス前集合で!

ライブハウスが都市の中で主張を始めたら、ランドマークとして機能する 音楽の街、仙台の新たな顔となる 髭のエントランス 31


36

00

ライブハウス

ロッカー

A’

階段

ステージ

フロア

00

36

A ロッカー

「髭」が照明としての役割も果たす。 S=1:50 3

0.5 1

3600 2250

150

900

450

GL

32 髭のエントランス

1000 150

150

A-Aʼ断面図 S=1:50

3600 GL

1000

GL

3600

3600

入口

2450

2300

150

3600

2300

3300

3600

150

150

平面図兼ライブハウスとの位置関係図 S=1:50

1150

0

入口側立面図 S=1:50

側面立面図 S=1:50


でこぼこの階段を、自由なルートで昇り降りする。

階段を踏むと、光ったり、音が鳴ったり。

初期イメージスケッチ

穿たれた小さな孔から光が洩れる

アクリル棒を差し込み、光を拡散させる

髭のエントランス 33



006

第 11 回ダイワハウスコンペティション 課題テーマ - 呼吸する家 -

「津脇の家」


「津脇の家」

第 11 回ダイワハウスコンペティション 課題テーマ - 呼吸する家 -

私たちが考える 「呼吸する家」 とは、 生命観溢れる住宅である。 「生命観」 とは、 人や自然の 「生」 と 「死」、 両者を観ることである。 南三陸町住民は、 自然の恩恵を享受するとともに、 自然の恐ろしさを肌で感じ、 「生」 と 「死」 を常に意識している。 彼らは、 自然の二つの顔を理解している。

自然の二面性を理解した上で、 人間は自然の脅威に抗うことはできない。 人間も自然のサイクルの中の一部であり、 自然と共生しなければならない。 今、 被災地では高台移転や大規模造成によって多くの自然が失われている。 私たちは、 南三陸町に自然の顔色をうかがいながら生活をする住宅の提案をする。

用途 家 (戸建てや集合など形式は問 わない) 敷地 (任意設定)

006

南三陸町沿岸部

課題概要 人が空気を体内に取り込みそれを 吐くことを繰り返す 「呼吸」 は、 生命の基本です。 「家が呼吸する」 ととらえたとき、 それは一体どんな建築になるので しょうか。 本コンペでは、 さまざまな意味で 「呼吸」 をとらえ、 その場所での 生命観の溢れる家の提案を求め ます。

制作期間 約 2 週間

共同製作者 吉川由梨

36 津脇の家


宮城県本吉郡南三陸町沿岸部 宮城県南三陸町をはじめ、 被災地では津波 から逃れるための高台移転や防潮堤の建設が 行われようとしている。 津波の恐怖から逃れるため、 人間の力で自 然の力に対抗しようとしている。 高台移転 ・ 防潮堤建設には、 賛否両論様々 な意見が存在し、 盛んにに議論が行われてい る。 そこで、 柔道のようにやわらかく、 津波の力 を受け流すことができるような建築を考えること はできないだろうか。

第 2 の地層としての住宅の屋根の活用

波に流されることを前提とした住居コア

自然の大地を第1の地層として、住 宅の屋根を人々が自由に往来できる 避難経路となる第 2 の地層とする。 人々は、災害時だけでなく屋根を新 たな山並みとして活用する。 海を臨み、豊かな自然と対峙する生 活。

海に生きる者は、家具・家財が流さ れることを覚悟している。 津波に流されることを前提として住 宅のコアを設計する。 もし家が波にのまれても、コアを頼 りに新たな生活を始める。

椿は大地を包み込むように深く根を延ばし、 力強く自生する。 椿は塩害にも強く、 東日本大震災では他の木々が津波に流され、 海水で枯れ果てる一方で、 椿は強く根を張り続けた。 椿は沿岸部において、 山を駆け上る避難路として使われる。 人々は椿を伝い、 椿を手綱として、 高台へと逃れる。 私たちは椿に倣い、 人々が 「生きる」 住宅の提案を目指す。 津脇の家 37



007

第 4 回大東建託賃貸住宅コンペ 課題テーマ - 賃貸住宅の公 -

「私と出会い、 公をつくる。」


「私と出会い、 公をつくる。」

第 4 回大東建託賃貸住宅コンペ 課題テーマ - 賃貸住宅の公 用途

賃貸住宅

かつて人々は暮らしを成り立たせるために、 住空間を取り巻く関わり合いを余儀なくされていた。

敷地 (任意設定) とある住宅街

007

課題概要 大勢の人が集まる空間には 「私 (プライベート) と公 (パブリック)」 が常に存在します。 賃貸住宅だけでなく、 広い意味 で社会全体が 「私と公」 から成り 立っていると言えます。 賃貸住宅における、 賃貸住宅な らではの私と公のあり方を、 さぐっ てみたいと思います。 賃貸集合 住宅において、公 (お おやけ) の場に対してどのような 問題に意識を向け、 どのような解 決を導き出しているのか、 プレゼ ンテーションしてください。 制作期間 約 2 週間 共同製作者 大谷直輝、 吉川由梨

40 私と出会い、 公をつくる。

しかし現代、 情報技術や経済の発達により 個人の生活が各々で完結するようになった。

「賃貸住宅」 という住空間においても 人々が集まり暮らしているにも関わらず、 住民間の関わりが希薄である。

一方的に 「公」 の場を提供するのでは無く、 人々が持つ意思の現れである 「うごき」 を誘発し、 賃貸住宅における新たな関わりを生み出す。

そこに価値ある 「公」 が生まれていく。


ハード・ダイアグラム 用途の異なる 4 棟のコアを配置

住居の場所を自ら選択して住む

退居すると住居は減築される

ニーズに合わせてコアの層は増える

居住者自らが分散されたコ アを元に、自由に住戸の場 所を選択する。

退居し空き家となった住戸 は、解体され空き地となる。 廃材は次の住戸の建材とし て再利用される。

居住者の増減に伴って、コ アの数や種類が変化する。

与えられる「公」から自分たちで作り上げていく「公」へ

公 公

風呂・キッチン・ダイニング・ ワークスペース・ラウンジ 等の生活に必要な機能をコ アとして分散配置。 いろ

私の交わりによる公の発生

いろ

いろ

人はそれぞれの私を持つ

いろ

様々な私を持った人が住む

いろ

私と私がぶつかる所に いろ

様々な公が生じる

従来の賃貸住宅 賃貸住戸と外部環境との往来動線が交わ らない。

多くの人が交わると、

いろ

様々な私を持った人が通過する

いろ

いろ

私と私が重なり、公が生まれる

平面図兼配置図

いろ

一つの公となる

分散型コアと選択型住居 居住に必要な機能が分散されているこ で、暮らしの中で複数の動線が交差する。 獣道のように、人々の歩く動線が道とな る。 私と出会い、 公をつくる。 41



008

建築設計 ・ まちづくり ・ コミュニティデザイン系研究室

「宮城大学平岡善浩研究室」


Closet Bath Balcony

Toilet

PS

Entrance

Bed Room

全体イメージと素材の検討

Kitchen 床 カバノキ

天井

長押

壁紙(白)

幅木

アンティーク

アンティーク

ホワイト

ホワイト

窓側壁 壁紙(白)

メニューマトリクス表の作成による採用アイデアの検討 Menu Matrix 床

Scale

バンブー

天井 パイン

長押  メープル

幅木 パイン

窓側壁 壁紙(緑)

床 マカッサル

天井

長押

マカッサル

マカッサル

幅木 マカッサル

窓側壁 壁紙(白)

Necessity

「宮城大学平岡善浩研究室」

建築設計 ・ まちづくり ・ コミュニティデザイン系研究室

実測により作成した平面図

床 ヒマラヤスギ

天井 トネリコ

長押  トネリコ

幅木 トネリコ

「南三陸さとうみファームプロジェクト」 飼料としてワカメを活用し羊を飼育するさとうみファームが 「南三ラム」 のブランド 化を図り、 食産業学部、 事業構想学部を有する宮城大学と協働しラム肉のブラ ンド化から加工、販売、レストランの経営などを目指す現在進行中のプロジェクト。

窓側壁 壁紙(白)

床 バンブー

天井

長押

トネリコ

ローズウッド

幅木 ローズウッド

窓側壁 ローズウッド

宮城大学平岡研究室

担当教員 平岡善浩教授

研究室メンバー M1 : 1 名 B4 : 10 名 B3 : 12 名 (2016年8月現在) 進行中プロジェクト

008

地域 ・ 都市 ・ 農山村リサーチ系 ・ 仙台経済界 ・ 南三陸町地域調査

完成品①(壁面自在棚)

完成品②(玄関収納棚)

完成品③(マグネット壁)

現況写真・パース

コミュニティディベロップメント系 ・ 福島県石川町野木沢プロジェク ト ・ 岩出山まちづくりミーティング ・ 大和町誌連載 ・ 寺岡、 紫山地域力創造支援事 業 建築 ・ インテリア系 ・ 山一地所リノベラボ ・ 春日町リノベ―ション ・ 木町通リノベ―ション

44 宮城大学平岡善浩研究室

「山一地所 × 宮城大学リノベラボ第 2 弾」 賃貸住宅の新たな付加価値を求め、 企業側が宮城大学に提案を持ち掛け実施 されたプロジェクトの第 2 弾。 泉中央のある単身向け住宅において、 壁一面の自在棚や極小スペースを活かし た下駄箱、 マグネット壁など小規模ながらも暮らしに役立ついくつかのリノベーショ ンアイデアが実現された。

寄木地区自然環境調査

さとうみファームの様子


アイデア平面図①(春日町)

アイデア平面図①(春日町)

岩出山まちづくりミーティングスケジュール 第1回 9月7日

第2回 9 月 28 日

第3回 11 月 9 日

第4回 11 月 30 日

第5回 12 月 21 日

第6回 1 月 25 日

第7回 2 月 22 日

第8回 3月7日

第9回 3 月 28 日

第 10 回 4 月 11 日

ヒアリング 岩出山地域の 将来に向けて

まちなか点検に でかけよう

( ワークショップ )

( フィールドワーク )

評価・点検

まちに必要な事 自分たちの役割

他の地域の取組 を見てみよう

( ワークショップ )

( 事例紹介とワーク )

改善

岩出山まちづくり 臥牛プロジェクト 岩出山さくら祭り 岩出山さくら祭り 岩出山さくら祭り 岩出山さくら祭り 臥牛プロジェクト春の陣 臥牛プロジェクト春の陣 臥牛プロジェクト春の陣 臥牛プロジェクト春の陣 春の陣 アクションプラン 企画会議 1 企画会議 2 企画会議 3 企画会議 4 ( ワークショップ ) 実施計画

計画

実行

実施計画

キッチン

付 丁 公

模型写真

現況平面図(木町通) 晩

丁 トイレ

公 園

宮城大学

A

倉庫

キッチン・ 事務スペース

通 り E

倉庫 B

岩出山まち歩きマップの作成 竹灯籠ワークショップの様子

「春日町 ・ 木町通リノベーションプロジェクト」 山一地所との協働プロジェクトであるリノベラボの評判を聞き、 ある大家さんが持 ちかけてくださったプロジェクト。 ビルに挟まれた小さくて古い木造建築物のリノベーションと、 マンションの 2 部屋 のリノベーションを行う。 現在進行中のプロジェクト。

城山公園(岩出山さくら祭り)

ワークショップで作成した竹灯籠

プロジェクションマッピングの様子

春日町リノベーションプロジェクト現況写真

春日町リノベーションプロジェクト模型写真

C

木町通リノベーションプロジェクト現況写真

集合写真(岩出山さくら祭り) 生活に必要な機能を集約した家具の提案(木町通)

「岩出山まちづくりミーティング ・ 岩出山さくら祭り」 宮城大学が中心となり、 若者が活発な町、 岩出山の新しいまちづくりを掲げて行 われたプロジェクト。 10 回にわたるまちづくりミーティングを通じて、 未来の岩出 山のあり方についていくつもの意見が飛び交った。 まちづくりミーティングの成果第一弾として、 春には岩出山さくら祭りが開催され た。 岩出山さくら祭りでは、 宮城大学サークル bits によるプロジェクションマッ ピングや、 平岡研究室による竹灯籠ワークショップも開催された。

打ち合わせ現状パース(木町通)

打ち合わせ現状パース(木町通)

宮城大学平岡善浩研究室 45



「卒業研究」

009

写真の被写体 ・ 色彩情報と感情情報の関連の研究 ~日常携帯するカメラで撮影された写真の特徴について~


「卒業研究」

写真の被写体 ・ 色彩情報と感情情報の関連の研究 ~日常携帯するカメラで撮影された写真の特徴について~

指導教員 平岡善浩教授

009

研究概要 総 務 省 の 調 査 で は、 「平 成 26 年における情報通信端末世帯保 有率は、 携帯電話または PHS が 94.6%、 ス マ ー ト フ ォ ン が 64.2%に達した。」 とされており、 カメラ機能が広く一般に普及して いる。 日常的にスマートフォンの カメラを利用する人も多いだろう。 かつて写真は、 成人式や結婚式 など思い出を収めるフォーマルな ものであった。 しかし、 カメラの一般化によって、 私たちは心の機微に対応した写 真を撮影するようになった。 写真 に、 ハレとケの概念が生まれたと 言うこともできる。 カメラが人間の生活に、 身体に、 密着していくにつれて、 写真が持 つ情報も変化してきた。 カメラの 一般化により私たちが日常的な風 景をどのように捉え、 感じている のか、 写真から情報を得ることが 可能となったのだ。 スマートフォンで撮影された写真 が持つ様々な情報を分析しその傾 向を把握することが、 本研究の 目的である。

48 卒業研究

収集した52枚の写真(調査期間2016年6月25日~2016年7月9日)

情報通信端末の世帯保有率の推移 研究の対象と方法 研究対象は、 情報端末を日常的に携帯する 20 代以下の男女とし、 専用の掲示板を作成して写真データといくつかのアンケート調査を行った。 「なんとなく撮った日常の写真」 の回収とアンケート調査 (回答数 : 延べ 52 人) アンケート項目 ・ 性別 ・ 年齢 ・ 職業 (学科) ・ 感情 (喜び、 悲しみ、 好奇心、 愛しさ、 リラックス、 シェア、 感動の計 7 種) 写真から抽出した項目 ・ 被写体 (3 つ) ・ 色彩 (メインカラー、 サブカラー①、 サブカラー②) ・ 各色彩の彩度 ・ 各色彩の明度 ・ 写真内の消失点の有無

100.0

80.0

スマートフォン 60.0

ワンセグ対応携帯電話

40.0

20.0

タブレット端末 0.0 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26


KJ法による被写体要素のグルーピング(被写体群の抽出) No.

構築物

建築物

乗り物

建築要素

雑貨類

飲食物

動物

植物

水面

空・天体

その他

1

高架

体育館

飛行機

階段

テーブル

アイス

2

電柱

建物

バイク

天井

時計

ケーキ

草原

3

電波塔

店舗

いちご

プール

4

道路

民家

自転車

ポスター

飲み物

植栽

太陽

5

信号機

蛇口

バケツ

ラムネ

水槽

6

フェンス

エアコン

ごはん

草むら

7

ガードレール

廊下

タオル

たまご

田んぼ

8

照明

靴下

とんかつ

校庭

9

照明器具

椅子

生ハム

10

冷凍庫

11

釣竿

12

南京錠

13

カラーコーン

14

オブジェ

15

提灯

2% 18%

16%

2% 6%

73種

シェア

1

2

5

0

4

0

1

建築物

1

1

8

1

4

2

2

乗り物

0

0

0

1

0

0

2

建築要素

0

1

7

3

1

2

2

雑貨類

1

1

4

3

1

3

0

0

0

0

0

2

1

3

飲食物

3

0

0

2

0

0

2

動物

1

0

0

0

0

1

0

植物

1

0

3

0

5

1

3

水面

0

0

0

0

1

0

4

空・天体

2

1

5

0

6

1

6

その他

0

0

1

0

1

0

0

総数

29%

19%

R

G

B

FF0000

255

0

0

3

0

好奇心 0

愛しさ 1

リラックス 2

シェア 1

4

2

FF8000

255

128

0

1

0

7

3

7

2

2

3

FFFF00

255

255

0

0

0

0

0

1

0

0

4

80FF00

128

255

0

0

0

1

0

0

0

3

5

00FF00

0

255

0

0

0

0

0

0

0

0

6

00FF80

0

255

128

3

0

2

0

1

0

3

7

00FFFF

0

255

255

0

0

5

0

2

1

2

8

0080FF

0

128

255

2

0

3

0

3

2

5

9

0000FF

0

0

255

0

0

0

0

0

0

0

10

8000FF

128

0

255

0

0

0

0

0

0

0

11

FF00FF

255

0

255

0

0

0

0

0

0

0

12

FF0080

255

0

128

0

0

0

0

0

0

0 10

13

000000

0

0

0

2

3

16

6

8

6

14

808080

128

128

128

3

1

8

2

3

3

1

15

FFFFFF

255

255

255

1

2

3

0

3

0

3

総数

156

抽出した写真の色情報 (面積の大きい色上位 3 色) を日本色研配色体系 (PCCS) による色相環 (しきそうかん) を 30°ずつに切った 12 色と無彩色 3 色の計 15 色に分類し、 感情とのマトリクス表を作成した結果、 黒 ・ オレンジ色と 好奇心 ・ リラックスの関連が強いことがわかった。

好奇心

愛しさ

リラックス

シェア

感動

0

2

9

2

6

3

3

2

11%~20%

3

0

1

0

2

0

2

3

21%~30%

0

0

0

1

0

2

0

4

31%~40%

0

0

1

1

0

0

0

5

41%~50%

1

0

2

0

1

0

1

6

51%~60%

0

0

1

0

0

0

1

7

61%~70%

0

0

0

0

1

0

0

8

71%~80%

1

0

0

0

0

0

2

9

81%~90%

0

0

0

0

0

0

0

10

91%~100%

0

0

1

0

0

0

2

総数

52

メインカラーの彩度と感情のマトリクス表を作成した結果、 彩度の低い 色 (明度0~10%) と好奇心・リラックスの関連が強いことがわかった。

明度

喜び

悲しみ

好奇心

愛しさ

リラックス

シェア

感動

0%~10%

0

0

0

1

3

1

1

喜び

2

11%~20%

0

1

4

1

1

2

3

悲しみ

3

21%~30%

0

0

5

0

0

0

1

好奇心

4

31%~40%

0

0

0

0

2

0

0

5

41%~50%

0

0

0

0

0

0

0

6

51%~60%

1

0

2

1

1

1

2

7

61%~70%

0

0

0

0

0

0

1

8

71%~80%

1

0

2

1

1

0

1

9

81%~90%

3

1

2

0

0

1

2

10

91%~100%

0

0

0

0

2

0

リラックス 感動

8%

写真を撮影する際の感情に着目すると、 好奇 心、 感動、 リラックスの順で多く、 情報通信 端末のカメラ機能は好奇心を抱いた際に利用 されることが多いことがわかった。

感動

悲しみ

0%~10%

1

シェア

色彩情報と感情情報のマトリクス表(数) 悲しみ

4%

喜び

1

メインカラーの明度と感情情報のマトリクス表(数)

愛しさ

被写体群と感情のマトリクス表を作成すると、 建築物と好奇心の組み合わせ が多いことがわかった。 このことから、 建築物は人々に好奇心の感情を与えることの多い被写体群で あることがわかった。

カラーコード

動物

10%

10%

120

1

飲食物 植物

11%

感動

構築物

喜び

13%

感情情報の割合 21%

リラックス

建築要素

各 被 写 体 群 の 数 は、 空 ・ 天 体、 建 築 物、 建具類の順に多く、 これらの被写体群がフォ トジェニックであることがわかった。

被写体群と感情情報のマトリクス表(数) 愛しさ

乗り物 雑貨類

3%

5%

好奇心

建築物

11%

収集した写真には 73 種の被写体要素を確認することができた。 これらの要素を KJ 法によってグルーピングした結果、 「構築物、 建築物、 乗り物、 建築要素、 雑貨類、 人、 飲食物、 動物、 植物、 水面、 空 ・ 天体、 その他」 の 12 種類の被写体群 に分類することができた。

悲しみ

彩度 構築物

11%

4%

喜び

メインカラーの彩度と感情情報のマトリクス表(数)

被写体群の割合

総数

0 52

メインカラーの明度と感情のマトリクス表を作成した結果、 明度が中程 度 (30~50%) の写真はほとんどないことがわかった。 また、 好奇心の感情は明度11%~30%の色彩と関連が強いことがわ かった。

研究結果から得られた最もフォトジェニックな風景 被写体 : 建築物、 空 ・ 天体、 建築要素 感情 : 好奇心 写真内の消失点 : あり メインカラー : 32,32,32 彩度 : 0% 明度 : 13% サブカラー①: 64,64,64 彩度 : 0% 明度 : 25% サブカラー②: 96,96,96 彩度 : 0% 明度 : 38%

これは分析結果を元に作成した最もフォトジェニックな風景である。 好奇心を喚起する建築物、 空 ・ 天体、 建築要素の被写体群を用いて一点透視のパース ペクティブを描いた。 色彩は黒を中心にブレーキランプや繁華街のネオンに赤を用いた。 最もフォトジェニックな空間は、 私たちの身近に潜んでいた。 卒業研究 49


早坂 涼

50 プロフィール

1994.05

宮城県仙台仙台市に生まれる。

2001.04

仙台市立太白小学校入学。

2007.03

仙台市立太白小学校卒業。

2007.04

仙台市立山田中学校入学。

2010.03

仙台市立山田中学校卒業。

2010.04

宮城県仙台南高等学校入学。

2013.03

宮城県仙台南高等学校卒業。

2013.04

宮城大学事業構想学部デザイン情報学科入学。

2016.07

宮城大学事業構想学部デザイン情報学科空間デザインコース 4 年。

2017.03

宮城大学事業構想学部デザイン情報学科卒業予定。




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