Em Órbita n.º 110 Abril de 2011 (Edição Dourada)

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Em Órbita

親父の 親父の背中 Por Yoh Mizumoto 打ち上げ前日の11日、ガガーリンとチトフの2人は、 発射場の近くに設営された小屋に入った。夕刻、彼ら

発射場へ到着すると、2人はコロリョフやカマーニン

はカマーニンと共に軽い食事を取り、21時半には床に

、戦略ミサイル軍司令官・モスカレンコや国家委員会

ついた。

委員長・ルドネフらの出迎えを受けた。コロリョフは 、明らかに疲労の表情を隠せなかった…積もる不安に

ところで、彼らには就寝の段階で、脈などを測定する

加え、この頃既に、日頃の健康状態、特に心臓があま

センサーが取り付けられていた。しかも、医師団は彼

りよくなかった。

らに内緒でベッドにも細工を施し、寝返りの回数など を記録するセンサーを取り付けていたという…医者と

彼はガガーリンに、送別の言葉をかけた。写真(下)

いうのは、コワいものである(笑)。

は、そんなワンシーンを切り取ったものである。左に ガガーリン、右で帽子を被っているのがコロリョフ、

なお、ガガーリンは何と、朝まで「爆睡」していた。

中央に立ち、穏やかな表情で2人を見つめるのはモス

コロリョフは隣の小屋でベッドに入ったものの、

カレンコ。

「明日の打ち上げは、それまでのテストから考えて、

ちなみにこのシー

成功する確率は約50パーセント…」

ン、私が一番気に 入っているものの

不安だらけで、一睡もできなかったといわれる。

1つだ。なんと感 慨深い瞬間であろ

う。ガガーリンの

12日午前3時

自信に満ちた顔、

、発射場での

そして、コロリョフの不安そうな姿勢…表情は殆ど伺

作業が始まり

えないが、その横顔と頭の傾き加減、その背中に漂う

、6時には完

哀愁は、我々に彼の気持ちを想像させるには充分すぎ

了が報告され

るものを与えている。まるで旅立つ息子を見送る「親

た。7時半、

父の背中」だ。

ガガーリンら も目覚め、軽

「最初に宇宙を飛んだガガーリンは、偉大だった」長

い食事とメデ

年言われ続け、今でもそうだが、コロリョフの仕事が

ィカルチェックの後、宇宙服を着込み、移動用のバス

明らかになるにつれ、「ガガーリンよりもコロリョフ

に乗り込んだ。バスには他の宇宙飛行士らや関係者、

が偉大だった」という見方も増えてきた。

それに、全てを記録する2人のカメラマンも同席した 。

なるほど、そうかもしれない…ガガーリンを見出した のは、コロリョフだ。だが、ガガーリン無くして、コ

車中、ガガーリンは普通に振る舞い、ジョークも飛ば

ロリョフの気持ちが燃えただろうか。彼は日頃から、

し、緊張感は無かったという…ただ、物思いにふける

ガガーリンに全幅の信頼を置いていた。死ぬ直前に会

瞬間はあったが(上写真:前がガガーリンで後ろがバ

って話をしたのも、ガガーリンだった。どちらが上か

ックアップのチトフ)。

、という議論はナンセンス…この二人が出会ったとい

Em Órbita – Vol.11 – .º 110 / Abril de 2011 (Edição Dourada)

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