Stratus Plecia - Case Study JA

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製造業

生産本部 システム課長 濱中 章徳 氏

生産本部 システム課チームリーダー

瀬戸 康平 氏

IaaSとftServerとの組み合わせで、クラウドとオンプレミス 双方のメリットを最大化するハイブリッドクラウド構築事例

コンビニエンスストアやスーパーで市販されるデザート、洋菓子の企画・製造・販売 や健康食品等の開発、食品の輸入販売などの事業を行う株式会社プレシア。同社で は、オンプレミスで運用していた基幹システム「プレシア総合情報システム(PTS)」 のハードウェア老朽化に伴い、クラウド化を実施。IaaS型クラウドサービス 「JGranz® IaaS」と無停止型サーバ「ftServer®」の組み合わせによるハイブリッドクラ ウドを採用し、運用負荷とコストを抑え、高信頼で拡張性の高いICT基盤を構築した。

業務の効率化と食の安全を支える 「プレシア総合情報システム」

株式会社プレシアは神奈川県横浜市に本社を 置く菓子、デザート類の製造及び卸業を事業の 柱とする食料品メーカーだ。パン、菓子、デザー トなど、数百種類に及ぶ自社商品一つひとつの 素材や製法にこだわりつづけ、「食」を通して健 康的で豊かな生活を届けることを理念とし、単 なる“おいしい”だけでなく、その先の“感動” へ繋げていくことを使命としている。「特に伸び ているのがスーパーやコンビニエンスストアの デザートやスイーツです。常時製造している商 品はだいたい100~200品目ですが、季節ごと に商品の入れ替わりが多く、年間の商品点数は 約1,000品以上になります。商材の賞味期限が 短く、24時間営業のコンビニに商品を提供して いることもあり、工場は24時間365日稼動して います」と、生産本部 システム課長 濱中章徳氏 は語る。

同社の業務を支えているのはICTシステム だ。以前は紙の帳票をベースに業務を行ってき たが、2010年に『プレシア総合情報システム (PTS)』を構築し、業務の効率化と食の安全を両 立している。「システム導入の検討を始めた当初 は、どこから手をつけたらいいのかわからない 状況でした。情報収集を進める中でJFEシステ ムズが食品製造業界に精通しているベンダーと いうことが分かり、受注から出荷、生産管理や商 品の企画情報まで全て管理できる基幹システム の構築を全面的に支援していただくことになり ました」と、濱中氏は振り返る。年間1,000点を 超える商品を展開している同社にとって、Excel やWordなどを中心とした“紙”ベースの業務は 限界を迎えていた。そこで同社はJFEシステム ズ株式会社の支援のもと、2010年に生産管理 システムや配合・食品法規管理システム、管理会 計システム、就業管理システム、EDI、運用管理シ ステムなどからなるプレシア総合情報システム を構築した。「事業拡大が進む中、プレシア総合 情報システムのおかげで業務の効率化ができて います。現在は、グループ企業8社もプレシア総

合情報システムを利用しています」と、濱中氏は 続ける。プレシア総合情報システムは、同社のみ ならずプレシアグループ全体を支える重要なシ ステムとなっているのだ。

コスト抑制・運用性・可用性・ 拡張性を求め、クラウド化を検討

プレシア総合情報システムの稼動から5年が 過ぎ、ハードウェアに起因する問題が発生し始 めた。「商品点数の増加に伴ってレシピなどの データが増え続け、システムの利用者数が急増 したこともありディスク容量が不足しました。 サーバ耐用年数も限界を迎えるため、プラット フォームのリプレースが必要でした」と、生産本 部 システム課 チームリーダー 瀬戸康平氏は振 り返る。プレシア総合情報システムはオンプレミ スのサーバ9台で構成されていた。全てシング ルサーバ構成となっていたため、障害によるシ ステムダウンも経験しているという。「実はプレ シア総合情報システムを導入した当時、システ ムが数時間程度停止しても帳票を使って業務を 継続できると考えていました。しかし、実際には 帳票では対応できず、ビジネスインパクトも少な くありませんでした」と、濱中氏は語る。同社は 「食の安全」を最重要課題として取り組んでい る。国際認証規格や厳しい自社基準を元に食品 安全マネジメントシステムのPDCAサイクルを 循環させ、品質の維持・向上および継続的な業 務改善活動を推進している。食品法規への準拠 も必須だ。事業、取引先、ユーザが拡大した同社 にとって、受注から生産、出荷および品質管理ま で全ての業務を支えるプレシア総合情報システ ムは、止めることができないシステムになって いたのだ。

そこで同社が新しいプラットフォーム基盤に 求めたのは「信頼性」と「運用性」、そして「拡張 性」の高さだ。システムの信頼性を高めるには、 冗長化が不可欠。シングルサーバに比べ、構築・ 運用・保守コストが増加するのは必至だ。「どう すれば、導入・運用コストを抑えつつ、運用性・可 用性・拡張性を高めることができるか検討を重 ハイブリッドクラウド構築事例:株式会社プレシア

ねました」と、瀬戸氏は続ける。そこでJFEシス テムズが提供しているIaaS型クラウドサービス 「JGranz IaaS」に白羽の矢が立った。「JGranz IaaSはオンプレミスよりもコストが安く、可用 性・拡張性を高めることができます。物理サーバ の購入手続きや故障のリスク、保守部品の管理 などをアウトソーシングできるため、運用負荷か ら解放される点もメリットです。クラウド移行は チャレンジですが、挑戦してみようと考えまし た」と、瀬戸氏は語る。

クラウド移行プロジェクトが 直面したDBライセンスコスト問題

ことができました。これからはエア・ウォーター 企業グループの一員として、グループ間でのシ ナジー効果を最大化し、より幅広い領域での事 業展開を支えるICTシステムの企画・運用に注 力していくことができます」と、濱中氏は語る。ク ラウドへの移行を検討する企業は増えている が、業務システムや基幹システムの中にはオン プレミスに残さなければいけないものも少なく ない。プレシアのようなハイブリッド構成とする ことで、クラウドとオンプレミスの双方のメリット を最大化しつつ、そのデメリットを最小化するこ ともできる。プレシアのハイブリッドクラウド構 築事例は、クラウド検討中の企業の参考になる 成功事例だろう。 ハイブリッドクラウド構築事例:株式会社プレシア

プレシア総合情報システムのクラウド移行検 討を進める中で、1つ問題が発覚した。「既存の データベースをクラウドに移行すると、膨大なラ イセンス費用が発生することがわかりました。 もし、別のデータベースに乗り換えるとアプリ ケーションの改変が必要となり、検証や構築の ために追加コストがかかります。この問題には 正直頭を抱えました」と、瀬戸氏は振り返る。そ こで同社は、データベースについてはオンプレ ミスで運用する方向に切り替えた。「オンプレミ スといっても信頼性や運用性を重視することは 変わりません。当社の場合、発注から出荷まで数 時間程度というケースも少なくないため、シス テムのダウンタイムが発生するとその影響は避 けられません。データベースはシステムの要。止 まらないことはプレシア総合情報システムに とって必須要件でした」と、濱中氏は続ける。そ こで同社が採用したのはストラタステクノロ ジーのftServerだった。ftServerはCPU、メモリ、 ディスク、電源などすべてのコンポーネントが二 重化され、CPUは同じタイミングで処理を実行 し、常に同期をとっている。万が一、障害が発生 すると自動的に検出され、即座に障害箇所がシ ステムから切り離され、OSやアプリケーション に影響を与えることなくシステムは稼動し続け る。障害が発生したコンポーネントはシステム を止めることなく交換が可能で、タイムラグや データのロストを回避する。シングルサーバ同 様のシンプルな運用が可能な無停止型サーバ だ。「クラスタ構成も検討しましたが、高コストに なってしまう。また、運用負荷が残ってしまう懸 念もありました。ftServerは金融系企業などに多 く採用されている高額なサーバ、というイメージ を持っていましたが、実際の見積を見ると当初

のクラウド移行予算内で収まることが分かりま した。これなら、全ての問題を解決できると確信 しました」と、瀬戸氏は語る。

ハイブリッドクラウドシステムの 導入効果

JFEシステムズの全面的な支援により、移行 作業は順調に進んだ。クラウドとオンプレミスの ハイブリッド構成となった新プレシア総合情報 システムの信頼性は大幅に向上し、運用負荷の 大幅な削減に成功した。「オンプレミスで運用を 続けるデータベースもftServerによって信頼性 が担保され、特別な運用負荷はかかりません。障 害が発生してもシステムが停止しないのが一番 のメリット。これまでは交換部品が届くまで業務 システムが止まってしまいましたが、そのような 心配をする必要がなくなりました。意識すること なく無停止運用ができる、本当に安心です」と、 瀬戸氏は語る。成長を続ける同社にとって、止ま らないプレシア総合情報システムは事業拡大を 支える大きな武器となっている。「移行前はハイ ブリッド構成にすることでパフォーマンスが落 ちるのではないかという不安もありました。し かし、実際にはパフォーマンスはむしろ改善さ れており、ユーザの使用感もこれまでと全く変 わっていません。クラウド化は大きな挑戦でした が、高信頼で拡張性の高いICT基盤を構築する

プレシア様 システム構成

Profile

株式会社プレシア

所在 地: 神奈川県横浜市港北区新横浜2-3-8 KDX新横浜ビル 設  立: 1994年10月 事業内容: ● パン、菓子類の製造及び卸業 ● デザート、洋菓子類の製造販売 ● 冷凍調理食品の製造及び卸業 ● 健康食品等の開発 ● 食品の輸入販売

従業員数: 850名(正社員・契約社員・パート社員含む) URL: https://www.plecia.co.jp

URL: http://www.jfe-systems.com/ ●システム・インテグレータ

データセンター

生産管理 システムDB

配合・食品法規 管理システム

管理会計 システム 就業管理 システム 運用管理 システム

JGranz® IaaS

構内回線接続

JGranz® ハウジング

配合・食品法規 管理システムDB バックアップ

プレシア本社、工場 グループ企業8社

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