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脈管疾患における トータルレッグマネジメント S

MH 誠潤会水戸病院 Vascular Unit 青柳幸江

フットケアの流れ アセスメント 異常あり

異常なし ケア・指導の決定

ケアの実践

自己管理指導 評 価

脈管疾患のフットケアを行うためには • • • • •

脈管疾患の種類 原因 症状 診察（観察）, 検査内容 治療指針の概略

を理解した上で行うことが必要。

脈管疾患にはどんなものがあるか 拡張性

動脈疾患

大動脈 脳, 頸動脈 冠動脈 腹部動脈 末梢動脈

静脈疾患

大静脈 末梢静脈 静脈瘤

リンパ管疾患 リンパ管

大動脈瘤 動脈瘤 動脈瘤 動脈瘤 動脈瘤

閉塞性 狭窄症 脳卒中, 頸動脈狭窄 虚血性心疾患 腹部, 腎動脈狭窄 末梢動脈疾患（PAD） SVC, IVC症候群 深部静脈血栓症（DVT） リンパ浮腫

脈管疾患の原因 末梢動脈疾患 喫煙, 肥満, 脂質異常, 高血圧, 糖尿病, 歯周病等

静脈瘤 長時間起立, 妊娠, 遺伝, 年齢等

深部静脈血栓症 血流停滞, 血液凝固能亢進, 静脈壁損傷

リンパ浮腫 リンパ管発育不全, 損傷, 圧迫, 炎症

脈管疾患の症状 末梢 動脈疾患

静脈瘤

Fontaine I 無症状 Fontaine II 間歇性跛行 Fontaine III 安静時痛 重症虚血肢 Fontaine IV 潰瘍, 壊死 静脈怒張、下肢の倦怠感, 浮腫, 筋肉痙攣, 発赤, 疼痛, うっ滞性皮膚炎, 色素沈着, 静脈潰瘍

深部 静脈血栓症

下肢腫脹, 疼痛, 熱感

リンパ浮腫

腫脹（浮腫）

今日からできるアセスメント ー見て、聴いて、感じてー • 視覚・・・・視診 • 触覚・・・・触診 • 聴覚・・・・聴診 • 臭覚・・・・臭診？

観察・検査 観察

末梢 動脈疾患

静脈瘤

検査

色調, 冷感, 感覚, 脈拍触知, 潰瘍, ドプラ聴診, 足関節上腕血圧比 壊死, 感染（白癬等）, QOL評価 （API）, 足趾上腕血圧比（TPI）, API回復時間, 最大歩行距離, 皮膚 （SF-36, WIQ）, 筋力, 関節可動域 還流圧（SPP）, 経皮酸素分圧 （TCPO2）, 指尖容積脈波, 下肢動 脈エコー, 血管内皮機能（FMD）, CT, 血管造影, IVUS ドプラ聴診（弁不全の有無）, 動脈 造影, DVTの有無）,空気容積脈波 色調, 感染（白癬等）, 潰瘍, 下肢周 囲径 （APG）, 静脈エコー（弁不全, 不全 交通枝, 駆血帯テスト

深部 色調, 疼痛, 腫脹, 下肢周囲径, ADL, 静脈血栓症 関節可動域, SpO2 色調, 腫脹, 感染（白癬等）, 下肢周 リンパ浮腫 囲径, 既往（手術, 外傷, 悪性腫瘍） 確認

下肢静脈エコー, 空気容積脈波 （APG）,心エコー, 静脈造影 下肢静脈エコー, 空気容積脈波 （APG）,心エコーリンパ管造影

脈拍触知

大腿動脈

膝窩動脈

後脛骨動脈

足背動脈

ドプラ聴診

Question 30歳, 女性。下肢が冷えやすいと言う。 皮膚色良好で潰瘍等はないが, 下肢の脈拍触知をしたところ 足背動脈だけが両側触れませんでした。正しいものはどれですか？

大腿動脈

膝窩動脈 1.

2.

3.

4.

5.

後脛骨動脈

足背動脈

末梢動脈疾患である。 造影検査による精査が必要。 緊急治療が必要。 後脛骨動脈が良好に触れれば問題はない。 記録しておく必要はない。

浅大腿動脈

Answer

膝窩動脈 腓骨動脈 前脛骨動脈

正答 4.後脛骨動脈が 良好に触れれば問題はない。 正常人でも約10%で足背動脈の脈拍欠損あり。

足背動脈

足関節レベルで前脛骨動脈が分岐し, 足背動脈が触れないことがある。 そのため「足背動脈触知不可」のみでは 病的意味をもたない。

後脛骨動脈

静脈瘤症例のドプラ聴診

下肢周囲径 対象疾患：深部静脈血栓症, リンパ浮腫, 静脈瘤 計測目的：浮腫・腫脹の程度, 治療効果判定, 弾性ストッキングサイズの選択 水戸病院計測部位

①

②

③

① 膝蓋骨上端から15cm ② 膝蓋骨下端から10cm ③ 足首 計測部位は施設により異なる

全身評価 下肢に現れた症状は全身の一部分にすぎない 局所に囚われないケアが大切 疾 患 末梢 動脈疾患

合併疾患

評価項目

虚血性心疾患 ECG, DSA, CAG, UCG, 運動負荷検査 脳血管疾患

肺塞栓 深部 静脈血栓症

下肢静脈エコー, D-dimer, 四肢周囲径測定

リンパ管炎 リンパ浮腫 悪性腫瘍

問診, 触診, 腫瘍マーカー 四肢周囲径測定

脈管症例のフットケアの実際

末梢動脈疾患 症状分類 Fontaine I （無症状）

主なケア リスクファクター管理 予防的フットケア（感染, 外傷予防, 免荷等）

リスクファクター管理 Fontaine II 予防的フットケア（感染, 外傷予防, 免荷等） （間歇性跛行） 理学・物理療法 運動療法

Fontaine III （安静時痛）

リスクファクター管理 予防的フットケア（感染, 外傷予防, 免荷等） 理学・物理療法 疼痛管理

リスクファクター管理 Fontaine IV 予防的フットケア（感染, 外傷予防, 免荷等） （潰瘍, 壊死） 理学・物理療法 潰瘍, 壊死部の局所処置

Question • 間歇性跛行肢の５年後の切断率は？ １． ２％ ２． ５％ ３． ２０％ ４． ４０％ ５． ６０％

Question • 間歇性跛行の第一選択とされる治療は？ １. 動脈バイパス術 ２. カテーテル治療 ３. 薬物療法と運動療法 ４. 和温療法 ５. 禁酒

TASCにおけるPAD診療のアルゴリズム 末梢血管疾患 無症状

危険因子評価

リスク除去 禁煙 LDL<100mg HbA1c<7.0% BP<130/85 ACE Aspirin or clopidogrel

間歇性跛行の評価

重症虚血肢

トレッドミル（MWD, PFWD） SF-36, WIQ

監督下運動療法 cilostazol 画像診断 改善 継続

悪化

ECHO, MR, CTA, ANGIO.

血行再建 PPI, バイパス

Hiatt WR: N Eng J Med 2001;344:1608-1621, Figure 3.

Evaluation and Treatment with Proved Peripheral Arterial Disease

心臓血管リハビリテーション

静脈瘤 ◆弾性ストッキング（20~30mmHg） ◆空気圧迫法（ハドマー, メドマー, フットポンプ）

深部静脈血栓症 主なケア 早期離床 下肢関節運動 予防症例 弾性ストッキング(15~20mmHg) （手術, 麻痺, 悪性疾患症例等） 間欠的空気圧迫法 薬物療法 静脈血栓後遺症症例

弾性ストッキング(30~40mmHg) 間欠的空気圧迫法

リンパ浮腫 複合理学療法 ◆スキンケア ◆リンパ誘導マッサージ ◆弾性ストッキング/包帯指導（30~50mmHg） ◆圧迫下運動療法 ◆空気圧迫法（ハドマー, メドマー, フットポンプ）

トータルレッグマネジメント

薬物療法

運動療法

血管内治療

バイパス手術

ご清聴 ありがとうございました