NichigoPress (NAT) Nov. 2019

Page 69

2019年11月 69

コラム

Web版

旦那は オージー 第60回

パズル

コラム

ポップ登美子 ◎北海道札幌市出身。オージー の夫と2人の子どもと共にノーザ ン・テリトリーに在住中。本紙コラ ムの他にも、 「地球の歩き方」海 外特派員などでのフリーランス・ ライターや日本語ガイド、日本語 教師としても活躍中

-SUDOKU-

の前で怒られていた息子。走るのが遅く、 毎年運動会でびりっけつでも、とても楽し そうに走っていた息子。いつまでも成長が 遅くて、3歳になっても自分の名前を言え なかった息子。当時は北海道に住んでい 「専門家の診断 14歳の息子は成長期である。半年前は たため、3歳児健診では、 私より背が小さくて身長が160センチもな を受けてください」と言われたくらいだっ かったのに、今では175センチ近くもある。 た。だけれども、今ではすっかり普 通に 半年で15センチも伸びてしまった。顔も既 しゃべれるようになった息子に、母として に少年というよりは、青年のように長く、あ は嬉しいとしか言いようがない。 ごが尖がってしまって、 「一体これは誰?」 昔を思い 返すと、小 4になっても靴ひ という感じになってしまった。私は息子の もを結 べず、いつもマジックテープの 付 いた靴を履いていた(いくら教えても、 成長が嬉しい反面、戸惑っている。 オーストラリアに移住した9年前は、私 「ムズカシイ」と言って、結局できなかっ の背中におんぶされていた息子。写真も た)。自転車にも乗れず、小5でようやく 残っているが、顔が丸くて赤ちゃんのよう 乗 れるようになったくらいだった 。いつ で、とても愛らしかった。現地の小学校の まで経っても華 奢で、太ももは私の腕く 準備クラス(プレスクール)に入学できる らいの太さしかなかった(私の腕が太 過 ぎるのか?)。それが、 年齢だったが、5歳なの あっという間 に大 きく にまだオムツを履いてい なってしまって、嬉しい た ため 、入学 を 断られ ような 悲し いような 複 た息子だった。でも私が 雑 な 気 持ちになって い 「一緒に通学して息子の る。 面倒を見ますから、ぜひ あと何年かすれ ば す 入学させてください」と てきな彼 女を 連 れてき お願いして、入学させて て、「 結 婚したい!」と もらった。 言うんだろうな。その時 かんしゃく持 ちで、 は、息子の選んだ恋人を 駄々をこねると私をたた 喜んで迎えたいと思う。 いて、クラスの先生に皆 イラスト=たこり(Web: takori.go-jin.com) 【 前 回まで のあらすじ】極 寒 の 北 海 道 から、オーストラリアへ家族4人で移住。 オージーの夫との一風変わった日常生活 を綴っている。

日本でもオーストラリアでも大人気の数独。以下のルールに従って解いてみてく ださい。正解はP83に掲載。

2 5 4 3

5 1 6 8 7

6 7 1 4

第66回 がんばる ワーキング・ホリデー・メーカーにフォーカス

みんなの「ワーホリ・ダイアリー」 オーストラリアで夢や目標に向かってがんばる人を毎月紹 介。

逆輸入される写真家を目指して

1992年まれ・山梨県出身 専門学校を卒業後、インテリア・コーディネーターとしてインテリアの 販 売に携わる。旅 先で 海 外の人と意 思 疎 通 ができなかったことを きっかけに、2017年11月に来豪。ブログやSNSが人気になり、ツイッ ターのフォロワーは5,000人以上。現在は、SNSを通して依頼を受 け、フォトグラファーとして活動(インスタグラム: @_k.taa)

中澤さんは、1日で海外で生活することを 決めたほど、決断力と行動力がある人だ。 しかし本人は「行動力がありますねって言 われる間は、だめだと思っています。結果を 出していたら、その過程である行動力は褒 めないと思います。その結果を褒めますよ ね。だから、まだまだです」と語った。大胆 に行動しているようで、物事を冷静に考え ている中澤さんらしい答えだった。 インテリアの販売職で順調にキャリア を積んでいた中澤さんに転機が訪れた のは3年前のことだった。当時は、直属の 上司との人間関係に悩み、病院に通うほ ど精神的に追い詰められ、日本での働き 方に納得できないまま日々を過ごしてい たという。そんな時、気分転換に訪れた 石川県のホステルで、海外の旅行者たち と出会った。当時の彼は全く英語が話せ ず、会話は全てホステルのスタッフを通し てのものだった。その時のもどかしい経 験が、それまで抑えられていた彼の感情 を揺さぶった。 「せっかく海外から日本に旅行に来てく れているのに、何も話せないことが悔し くて、英語を話せるようにならないといけ ないと強く思いました。そう考えた時に、 日本の働き方だとか周りの目を気にする 雰囲気にも、ずっと違和感を感じていた ので、一度仕切り直したい気持ちが溢れて

2 1 9 3

8

6 3 8 6

9 7 5 8 4 パズル制作/ニコリ

ルール説明 ①空いているマスに、1から9までの数字のどれかを入れます。 ②タテ列(9列あります)、ヨコ列(9列あります)、太線で囲まれ た3×3のブロック(それぞ れ9マスあるブロックが9つありま す)のどれにも1から9までの数字が1つずつ入ります。

インタビュー

中澤紘大さん

学び

数独

急成長していく息子

今回登場のワーホリ・メーカーは?

Web版

Web版

リビング

きて、もう海外に行っちゃおうと思いまし た。その日のうちに、海外に行くことを決 めました」 1年後の2017年11月、中澤さんはブリス ベンで暮らし始めた。 仲間がいるから挑戦できる 自由を求めて来豪した中澤さんだが、 全てが順調というわけではなかった。 「来たばかりの頃は英語が全然話せなく て、コーヒーすら注文できませんでした。 今では笑い話ですけど、語学学校のクラ ス分けテストは0点でした。」 語学学校に4カ月間通った後、セカン ド・ビザ を 習 得するために、クイーンズ ランド州のイニスフェイル のパ パイヤ・ ファームで働き始めた。パーティー好きな 欧米人との共同生活についていけなかっ たり、上司からの指示が理解できず、何 度も諦めようかと思ったという。 そんなファーム生活が終わりに近づい た頃に始めたのがブログだった。最初は 旅の思い出を書き残すために始めたが、S NSを活用して周知し始めると、閲覧数は どんどん増えていった。旅先でブログの読 者から声を掛けられたり、ツイッターやイ ンスタグラムを通して、ワーキング・ホリデー (WH)中の生活について悩んでいる同世 代から相談も受けるようになった。そうし てさまざまな世代の人や異なる目的を持 つ人たちと出会う中で、自分の価値観や 考え方が変わっていくのを感じたという。 「人のことを否定的な目で見なくなりま したね。昔は『いい歳なんだから、やめよ うよ』って思うようなタイプでしたが自分 より年上の新しいことに挑戦している人 に出会ったり、SNSで自分を応援してくれ る人と話したりする中で、挑戦していいん だって思うようになりました」

WHで出会った仲間たちと

そして、中澤さんもこれまで心に秘めて いた新しいことに挑戦する。20歳のころか ら趣味で続けていた写真撮影の技術を生 かして、今年6月から本格的に撮影の依頼 を受けるようになったのだ。SNSの写真を 見た人が撮影依頼をしてきたことがきっか けになり、多い時には月の半分が撮影日に なるほど依頼を受けている。日本でカメラ マンのアシスタントとしても働いたことも あったが、当時は仕事がつらく、写真が嫌 いになると思い諦めていたという。 「日本だと下積みが必要だと思っていた のですが、やり方次第で写真を仕事にでき るなと思うようになりました。ツイッター やブログを通して自分を応援してくれる人 たちのおかげで、自分ももっと頑張らない といけないなと思い挑戦しました」 ビザの期限が残り少ない中、学生ビザで オーストラリアに残るか、他の国に渡航す るか悩んでいるという。しかし、いずれにせ よ海外で活躍し、いつか日本に逆輸入され る写真家を目指して、経験を積んでいきた いと話す。 「WHの間に同じ時間を共有したいと思 える仲間を見つけて欲しいです。それが きっと一生の仲間になると思うので。仲 間が応援してくれるから、僕らは頑張れ るのだと思います」 ネットやSNSが発達して人との出会い 方は変わっても、いつの時代も人生を変 えるのは人なのだ。


Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.