NichigoPress (NAT) Apr.2018

Page 23

2018年4月 23

PR

頼れる弁護士 インタビュー 2018

Web版

マネー/法律/不動産

H&H LAWYERS H&H 法律事務所

林由紀夫氏 オーストラリアで日本人弁護士として30年以上のキャリアを持つ林由紀夫氏はシドニー の中心地マーティン・プレイスに弁護士事務所「H&H LAWYERS」を構え、日系企業や個 人に法的アドバイスを提供している。同所の企業理念や弁護士という立場からさまざまな 事件に巻き込まれてしまった際の注意点などを伺った。

――ご自身の経歴と貴社の紹介をお願い します。 弁護士になったのは、1979年です。フ リーヒル・ホリングデール&ページ法律事 務所で12年にわたりパートナー弁護士と して勤めた後、96年に今の事務所を立ち 上げました。当初は弁護士2人で始めた 事務所も、今では10人の弁護士が 在 籍 し、日本語での対応ができる弁護士も4 人おります。取り扱い範囲も多岐にわた り、商業取引、企業法務、移民法、刑事 問題、不動産取引、知的財産法など、各 分野にそれぞれ 専門の弁護士が在籍し ています。特に刑事事件については、元 NSW州検事のカン弁護士が事務所の一 員となってから、取り扱い案件が増えてき ました。 ――主にどのような案件を扱っていますか。 基 本的には商取引・企業法務が専門 ですので、主に企業合併・買収(M&Aな ど)、ジョイント・ベンチャー契約作成、 一般契約書作成などの仕事が多いです。 これに加え、雇用法、不動産開発などの 案件も扱っています。 ――4月号から弊紙で法律相談のコラム を書いて頂くことになったのですが、そ の抱負をお聞かせください。 法律 相談のコラムを通して、離婚、ビ ザ、相続、刑事問題など、読者の皆様に とってより身近な法律について、少しで も知識を広めて頂ければ良いと思ってい ます。その一環として、今、最も伝えたい 「刑事事件に巻き込まれたらどうするの か?」ということについてお話ししたいと 思います。 まず、もし被疑者あるいは被告(以下: 被 疑 者)として刑事 事 件に 巻き込まれ 警察より事情聴取を受けるような場合に

は、原則的に「黙秘権」を行使すべきで す。というのも、非常に残念なことに、被 疑者が黙秘権を行使しなかったために、 後々ベストな形での弁護ができなくなっ たというケースが 過 去に幾 つもあった からです。黙秘権の行使とは、警察に対 し、名前・住所・生年月日以外のことにつ いて、一切、話さないということです。と かく日本人には、 「警察に協力しないと、 ひどい目に遭う」と思いがちの人が多い ようですが、警察は被疑者に不利となる 供述を引き出して、裁判で有罪を勝ち取 ろうとするのが、現実です。極論すると、 被疑者として刑事事件に巻き込まれてし まった場合、警察は「あなたの敵」であ ると思ってください。また、できるだけ早 い段階で、刑事 事件専門の弁護士に相 談することも重要です。弁護士の立ち合 いのない状況で警察から事情聴取を受 ける場合、黙秘権は権利であり、これを 行使することにより、法的に不利な扱い を受けてはならない、とされています。ち なみに、事情聴取に弁護士が立ち会った 場合、その中で言及がされていなかった 事柄について、後日、裁判で被告が証言 すると、事情聴取の中ではその言及がな かったという理由から、 警察は、その証 ぴょう 言の信 憑 性に疑問を持たせることがで きます。 ――過去に手掛けられた刑事事件で、在 豪の皆様に教訓となるような案件はあり ましたか。 単身赴任のビジネスマンと女性とのト ラブルが過去に数件ありました。一般論 として、この国で起訴されただけで、場 合によっては会社員人生が終わってしま うこともあり得るということを肝に銘じて 欲しいと思います。起訴の段階では、有

罪が決まったわけではありません。しか し、重罪で起訴されるとたとえ保釈され たとしてもパスポートが没収されます。ま た保 釈条件として、飛行場に近づくこと すらできなくなります。従って、裁判開始 までの半年から場合によっては1年半以 上もの間、日本はもとより海外に行けなく なります。 ――刑事事件で有罪が確定すると、どう なるのでしょうか。 有罪が確定すると、その判決に対し控 訴しない限り裁判官により量刑に関する 判決が下されます。簡易裁判所などで扱 われるような事件に関しては、有罪判決 及び量刑はその場で下されます。量刑が 厳しすぎると思われた場合は、量刑につ いての控訴が可能です。将来的により大 きな問題となるのは、刑事事件で有罪が 確定すると、 「前科」が付いてしまうとい うことです。前科が 付いてしまうと、海 外旅行に行く場合のビザ申請、就職など に、言うまでもなく悪影響を及ぼします。 前科が 付くことは、その人の人生を左右 する重大問題であることを鑑み、裁判官 はその自由裁量により、有罪が確定した 場合でも状況によっては被告に前科を付 けないような判決を下すことができます。 無論、これが適用されるのは一般的には 軽犯罪に限られます。従って、この「前科 を付けない」という判決を得るというの は、オーストラリアの刑事 事件で、弁護

林由紀夫◎横浜市出身。1972年来豪。78年ニュー・サウ ス・ウェールズ大学法学部卒(法学士、法理学士)。79 年弁護士資格取得。同年ベーカー&マッケンジー法律 事務所入所。80年フリーヒル・ホリングデール&ページ 法律事務所入 所。8 4年パートナーに昇 格。オーストラ リアでの日系企業の事業活動に関し、商法の分野での さまざまなアドバイスを手掛ける。オーストラリア国内 と日本でセミナーや講演を行う他、連邦政府の対日投 資・貿易促 進代表団の一員として日豪経済関係の発展 に貢献。96年「林由紀夫法律事務所」 (2014年9月より 「林由紀夫ケン・ホン法律事務所」)開設。16年7月より 「H&H Lawyers」に社名変更

士の果たすべき大きな役割の1つなので す。 ――読者の身近に起こり得る刑事事件とし ては、どのようなものがあげられますか。 検疫・税関の問題として、海外からオー ストラリアへ入国または出国する際に、 規制されている食品の持ち込みや、多額 の現金の持ち込み、持ち出しを無申告で 行った場合は、刑事罰の対象となります。 特に多額の現金の持ち込み、持ち出しは 「絶対責任」として、ごく単純な間違いの 場合を除き、 「持ち込み、持ち出し」の事 実が立証されてしまえば罰せられます。 もう1つ、刑事 事件に被疑者として巻 き込まれた場合、在豪の皆様がお持ちの オーストラリアのビザにも大きな影 響を 及ぼす可能性があります。場合によって は、457ビザや永住権ビザであっても剥 奪されてしまうことがあります。この点、 読者の皆様も興味があると思いますの で、今月号の「何でも相談(P28)」で詳 しく説明しています。

事業内容 主に日系・韓国系の企業から、個人の相談まで幅広い法的アドバイスを日本語・韓国語で 提供する。コーポレート・企業法務・商取引全般、不動産取引全般、個人向けの遺言書作成及 び相続手続き、各種ビザ申請代行、民事・刑事訴訟など多岐にわたる。迅速で的確な対応、 最善の結果達成に定評がある。日本人向けの法的セミナーなども定期的に行っている。

法律家としてのセンスは 結果に大きな差をつけます 知的財産、商標(ロゴ、トレードマーク等)に加え、 印紙法、税法、商業取引を専門とする弁護士も加わり、 より充実したアドバイスをご提供いたします。

主任弁護士 林 由紀夫 ケン・ホン

主な取扱業務:

主任弁護士 林由紀夫プロフィール

神奈川県横浜市の聖ジョセフ・カレッジを卒業後、1972 年に 17 歳で単 独来豪。 1978 年 ニューサウスウェールズ大学より法学士及び法理学士号を取得。 1979 年 オーストラリアで初の日本人弁護士となる。 1980 年 オーストラリアで最大規模の最も伝統ある法律事務所の一つで あるフリーヒル・ホリングデール&ページ法律事務所に入所し、1984 年 パートナーに昇格。 1996 年に独立し、現在の H & H Lawyers の前身である林由紀夫法律 事務所を設立。

主任弁護士 ケン・ホン プロフィール

韓国ソウル出身。1994 年に来豪。ボンド大学にて法学士号を取得。 2004 年 NSW 州にて弁 護 士 資 格 を取 得。林 由 紀 夫 法 律事 務 所入 所。 主に商法、会社法、民事訴訟や不動産の分野で中小企業、政府関連及び 個人に対して法的アドバイスを提供。

・商取引全般 ・コーポレート ・労使関係全般 ・ビジネス売買 ・不動産取引全般 ・リカーライセンス関連

・ビザ申請代行 ・ 訴訟全般(民事・刑事) ・遺言書 ・相続 ・ 刑事事件 ・家族法 ・知的財産 ・印紙法、税法、商業取引一般

Tel: (02) 9233 1411

Fax: (02) 9223 5366 Level 5, 32 Martin Place, Sydney NSW 2000 Email: info@hhlaw.com.au http://www.hhlaw.com.au


Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.