NichigoPress (NAT) Mar.2017

Page 51

2017年3月 51

フード&リビング

Web版

幸せワイン・ガイド

ワインの産地、ブドウ品種名などの表記は、オーストラリア連邦政府のワイン 振興団体であるワインオーストラリアの基準に合わせています。

グルメ

<著者プロフィル>フロスト結子◎日本人としての合格者はまだ 少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spirits及び日 本酒のAdvanced Certificateを取得。日本でワイン関連商社の貿 易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機 にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション 会社であるGraysOnlineのワイン部門でカテゴリー・スーパーバイ ザーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン 関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは 「とにかくおいしそうに書く」がモットー。Web: auswines.blog.jp

@オーストラリア

今月の品種:マルサンヌ&ルーサンヌ 今 月 ご 紹 介 し た い 品 種 は 、マ ル サ ン ヌ( M a r s a n n e )と ル ー サ ン ヌ (Roussanne)、フランスの北ローヌ地 方の2つの白ブドウ品種です。この2つの 品種は互いにとても似ていて、なおかつブ レンドされることが多いので、今回は例外 として一緒にご紹介させて頂きます。 双子の姉妹のようなマルサンヌとルーサンヌ マルサンヌとルーサンヌ。おとぎ話に出 てくる姉妹のような響きの名前ですね。実 際非常によく似た2品種ではありますが、 ルーサンヌの方が香りが 高く洗練された 味わいと酸を持ち、マルサンヌの方がより フル・ボディーと言われています。そして2 つのうちルーサンヌだけが、南ローヌの高 級赤ワインである「シャトーヌフ・デュ・パ プ」へのブレンドを許可されています。 だからといって、マルサンヌがものすご く劣る品種というわけではありません。1 つのワインにブレンドされた時、ルーサン ヌは酸と香りを、マルサンヌはボディーを

ロブスターや甲殻類を使った料理との相性がぴったり

与えてくれます。似ていても、やはりどこ か性格の違う2人の姉妹のようなマルサン ヌとルーサンヌ。2種が合わさることによ り、お互いを補い合ってバランスの良いワ インを生み出すことができるのです。 オーストラリアではそれぞ れ 単一品 種 の白ワインも作られていて、更にはこの2 品種に加え、もう1つのローヌの白ブドウ 品種、ヴィオニエがブレンドに追加される こともよくあります。また、先月ご紹介し た「オレンジ・ワイン」の原料に使われるこ ともよくあるようです。 どこで作られている? フランスではローヌ以外だと、プロヴァン スやラングドック・ルーション、サヴォアなど で、更にスイス、イタリア、スペインなどのヨー ロッパ各地でも生育されています。新世界で はオーストラリアの他、カリフォルニア(アメ リカ)や南アフリカなどに見られます。

トリア州ナガンビー・レイクのタービルク (Tahbilk)、ヤラ・ヴァレーのイェリング バーグ(Yeringburg)、西オーストラリア州 ペムバトンのリリアン(Lilian)などです。 中でもタービルクは1860年から続く家族 経営のワイナリーで、オーストラリアにおける マルサンヌのパイオニアであり、世界的にも 珍しい、100パーセント・マルサンヌの白ワイ ンを作る生産者としても知られています。 香りと味わいの特徴は? マルサンヌやルーサンヌの魅力は、丸みを 帯びたまろやかな味わいです。ソーヴィニョ ン・ブランやセミヨンなどの軽やかな白ワイ ンと比べると、口当たりに重みがあり、ライム やレモンといったシャープな果実味より、桃 やメロン、梨といった果肉の厚いフルーツの 味わいがあり、更にスイカズラや、フローラ ル系のハーブ・ティーのような特徴もありま す。今日は少ししっかりめの白ワインが飲み

オーストラリアの生産者は? オーストラリアでマルサンヌ、ルーサン ヌを作る生産者はビクトリア州中央部、南 オーストラリア州、西オーストラリア州の ペムバトンなど各地に点在しています。シ ラーズやシャルドネなどに比べると生産量 は決して多い方ではありませんが、ローヌ・ スタイルのワインに情熱を持った生産者を 中心に、優れたワインが作られています。 お 薦 め の 生 産 者 は 、バ ロッ サ・ ヴァ レーのトーブレック(Tor bre ck)、ビク

*今月のお薦めワイン*

たい、 でもたまにはシャルドネ以外の白ワイ ンを飲んでみたい、という時にお薦めです。 合わせたい料理 マルサンヌやルーサンヌと合わせておい しいのは、ホタテやロブスター、アサリな どの甲殻 類を使った料理や、豚などの白 い肉のグリル。和食であれば、甘エビの刺 身や、白身魚のあんかけ、イカの天ぷらな どはいかがでしょうか。もちろんワインだ けでもおいしく頂けます。 か れ ん 可 憐な双子の姉妹のようなマルサンヌ とルーサンヌ、単一品 種 でもブレンドで も、ぜひお試しください。 さて、このコラムを通じて、これまでたく さんのブドウ品種や異なるスタイルのワイ ンをご紹介してまいりました。来月からは 少し視点を変え、オーストラリアのワイン 銘醸地に注目し、それぞれの特徴などをご 紹介したいと思いますのでお楽しみに。

まろやかなマルサンヌ、ルーサンヌと夏の名残を楽しんで 梅:平日のおうちディナーに Tahbilk Marsanne 2016 Central Victoria/$17.95 Web: www.tahbilk.com.au イカやエビの天ぷらなどと 竹:BYOデートに Torbreck The Steading Blanc 2015/$37.50 Web: www.torbreck.com クリーム系のパスタ、ボンゴレなどと 松:特別な日の晩餐に Yeringberg Marsanne Roussanne Yarra Valley/$90 Web: www.yeringberg.com ロブスターなどの甲殻類、ホタテのグリルなどと

グルメ

Web版

グルメ

おうちで

本格イタリアン

イタリア料理の達人が、家庭で楽しめる 本格イタリア料理のレシピをご紹介。

イタリアでは夏の食卓に並ぶ定番のサラダです。ツナ やソーセージ、オリーブなど冷蔵庫とストック棚の残り 物を使ってサッと作れるイタリアン・マンマの味で、材料 は各家庭で異なります。ポイントは酢やレモンの酸味。 さっぱりしていて毎日でも食べたくなりますよ。 ■材料(6人分) 米................................................................ 2カップ プチ・トマト.................................................... 12個 オリーブ.......................................................... 10個 ツナ(オリーブ・オイル漬け)..........160g×2缶 ミックス野菜の酢漬け................. 1瓶(540g) 酢・油漬けアーティチョーク.......1瓶(340g) レモン................................................................1個 赤タマネギ................................................... 1/2個 塩漬けケッパー............................................1握り エクストラ・バージン・オリーブ・オイル...... 適宜 イタリアン・パセリ...........................................1束

■作り方 ①たっぷりの湯を沸かした鍋に米を入れ、12~15分くらいゆ でる。ザルを用意。 ②その間にトマトを1/2か1/4に、オリーブを1/2に刻む。 ③タマネギを薄く輪切りにスライスする。 ④塩漬けケッパーの塩を洗い流す。 ⑤米をザルにあけて、流水で冷ましながらぬめりを洗い取る。 ⑥ボールに米と②~④を加え、ツナもオイルごと投入する。 ⑦酢漬け野菜を1瓶分 投 入する。漬けてあっ た酢は、好みの味にな るよう量を調整しつつ 加える。 ⑧アーティチョーク1 瓶分を投 入し、よくか き混ぜる。漬けてあっ

Insalata di Riso 夏のイタリア米サラダ

た酢は入れない。 ⑨レモンの皮を1個分擦りお ろす。 ⑩レモン汁を1/2個 分、絞り 入れる。 ⑪香り付けのためのオリーブ・ オイルをたっぷり投入する。 ⑫刻んだパセリを加え、最後に擦りおろしたレモンの皮を振 りかけて軽く混ぜたら出来上がり。 ■食材選び&料理マル秘ポイント ◎ 米 は「 ア ル ボ リ オ( A r b o r i o )」か「 カ ル ナ ロ ー リ (Carnaroli)」のイタリア米を使用します。炊かずにゆでる ことでパラパラに仕上がります。◎トマトは色とりどりのもの

を選んでみました。大きさに応じてそれぞれ1/2か1/4にカッ トします。◎オリーブは黒い「タジャスケ・オリーブ」を。出来上 がりの味が引き締まります。◎ゆでた米は洗って粘り気をあ る程度取ります。◎野菜の酢漬けは食品店で手に入ります。 ◎アーティチョークを加えることで、よりイタリアンな味にな ります。 伊藤尚文シェフ NZの5つ星ホテルで主にワイン・サービスを担当後、2000 年よりイタリアで4年間、著名レストランやグランド・ホテ ルで経験を積む。03年アメリカズ・カップ(NZ)でプラダ・ ヨット・チームの専属シェフ。07年に東京・赤坂で「グスト エヴィーノ」開業、約6年半に渡りイタリア料理を基本にし た独自のガストロノミーを創造。15年に来豪し、メルボル ンを中心にケータリング・シェフとして活躍中(Web:www. gvcatering.com)。各種パーティー対応可。


Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.