. 人々は、神に従うことは隷属することだと考え、ニムロドの勧告に従い、疲れや怠けも忘れ塔の建設に熱心に取り組んだ。そして従事する人々の数の多さから、誰が予想するよりも早く、その塔は高くそびえ立った。非常に厚く頑丈に建てられたため、その高さはむしろ小さく見えるほどであった。焼きレンガででき、水で流されないよう、瀝青からなるモルタルで固められた。 神は彼らの狂気の沙汰を目にしても、彼らを破滅しようとは考えなかった。それというのも、前回の罪人たちの破滅によっても彼らが賢者となることはなかったからである。しかし神は彼らに多様な言葉を話させ、彼らを混乱のもとに陥れた。言葉の多様さゆえに、彼らは互いに意思疎通ができなくなってしまった。塔を建てた場所は今ではバビロンと呼ばれており、これは以前には彼らが意思疎通できていた言葉の混乱を指すものであるが、ヘブライ人は混乱をバベルと呼ぶからである。シビラもこの塔と言葉の混乱について、このように語っている。「全ての人間が一つの言葉を話していた時、人びとのなかには、天まで登ろうとするかのように高い塔を建てようとした。しかし神々は、突風をおこしその塔を倒壊し、人々にそれぞれの言葉を与えた。それゆえ、都市はバビロンと呼ばれるようになった。」 バビロンの地方にある、