病害虫

病害⾍ 2020

研究報告

最近の園芸ブームやプルメリアブームによって国内や海 外から多くの園芸品種が流通するようになりました。 それにより各地から⼀緒に病害⾍も広がりやすくなっ

ています。また、気候変動により今までに⾒かけなかっ た症状を⾒かけるようにもなっています。今回はその新 たな病害⾍の発⾒や対処法についての報告です。

病害⾍の種類 カビ類 胞⼦で空気中を漂い感 染が広がる。

害⾍

ウイルス病

葉や樹⽪、⽣⻑点を⾷

カビのような菌とは違

を刺して吸汁加害する

ことはない。

害するものや針状の⼝ ものがいる。

い樹体内に広がり治る

今年は夏が短く低気温と⻑⾬が続き、カビ類と害⾍の発⽣が目⽴ったのでそ の研究報告を⾏います。

カビ類 ・さび病、すす病、ブラックティップ、てんぐ巣病など ・感染⼒が強くいつの間にか⼤発⽣することがある。 ・成⻑が悪くなるものがある。

さび病

プルメリアの場合は何に属する病気か報告が少なく、私の⾒ 解により、さび病と分類させてもらいました。

よく⾒かけるオレンジ⾊のものは樹勢に影響を及ぼすほどの ダメージは⾒かけないですが、中には⾊の違う成⻑を阻害し て花を咲かせなくなるものがある。

状態

葉の表側は⻩⽩⾊や褐⾊の 斑点ができる。

葉の裏側も斑点状に変⾊している。 葉柄の点々は害⾍の加害痕です。

↖ ⿊っぽい点々は表⽪を破って胞 ⼦が⾶んだ跡。

こちらは点々が無いので胞⼦が ⾶び出す前。

対処⽅法 ⿊っぽい点々があるということは既に胞⼦が⾶び散ってしまっている状態 なので、⾊の悪い葉はそうなる前の時点で葉を摘み取るとよいです。すぐ にビニール袋などで密閉して処分します。

吸汁加害する害⾍が媒介、つまり原因となっている可能性があります。 ⾊の悪い葉は早めに摘み取ることを⼼がけて、感染が広がるようでしたら 適切な殺菌剤で対応します。また、媒介する害⾍が感染の原因となってい る場合があります。害⾍を駆除したら感染が⽌まった事例があります。

冬場の落葉で⼀度は終息しますが翌春再び発⽣する可能性があります。

害⾍ ・⾷害

バッタ（葉）、コガネムシ類（幼⾍が根を⾷害）、

・吸汁加害

ハダニ、アザミウマ、オンシツコナジラミ、

ナメクジ（⽣⻑点を⾷害）など

サビダニ他

ハダニ プルメリアを育てているとまずはこのハダニに悩まされることが

多いと思います。初夏の時期、新葉が縮れているとそこにはハダ ニが観察されます。種類が多く、中には成⻑を阻害する種類のハ ダニもいます。

状態

⾬の当たらない場所で増殖しや すい。葉の⾊が抜けて⽩っぽく なる。

クモの巣のような糸を出して群 ⽣する。

卵から孵化して成⾍になるまで

の期間が短いので繁殖⼒が強い 。

乾燥を好み、⾬の当たらない場 所で急激に増える。

画像の粒々は卵。⽩い点々は排 泄物。

針の⼝を葉に差し込んで栄養を 吸い上げます。

対処⽅法 ・⾬の当たる場所に移動する。 ・発⾒したらすぐさま葉を葉柄から切り取って、ビニール袋などで密閉して 処分します。感染予防にハサミは使⽤せず、⼿でちぎるとよいです。

・⽔をかけると成⾍は流れ落ちます。卵は残るのでしばらく⽔かけを繰り返 すとよいです。卵からか孵化したときに駆除して繁殖を防ぎます。 それか⽔圧をかけて卵も落とすことも効果的です。

・ハダニ⽤の殺⾍剤を使う場合は⼀種類の殺ダニ剤の連続使⽤では効き目が 無くなるので何種類かを交互に使うようにします。⼀年に⼀回限りという 注意書きがあるものもあります。注意書きをよく読みましょう。

成⾍は⽔で流れ落ちますが、卵 は残っています。

強い⽔圧をかけると卵も流れ落 ちます。

サビダニ かなり⼩さくて目で⾒つけることは不可能な害⾍で⾒落とし やすいです。

成⻑が悪く花が咲きにくくなっている原因はこの害⾍の可能 性があります。

特に梅⾬の後半に樹勢が落ちていると⼤繁殖することがあり ます。

現時点では⽇本国内のかなり広範囲で⾒かける害⾍です。

目に⾒えない存在で、なおかつ病原体を媒介しますので特に 注意が必要です。

↖ ⽣⻑点近くの新葉を顕微鏡で撮 影しています。

新葉表⾯がのボツボツしているのは吸汁加

害の跡。この他に膨らみのない⿊い点々も そうです。ティッシュなどで拭って残った 場合は加害痕で消えたらカビです。

対処⽅法 このサビダニに関してはハダニ⽤の殺⾍剤で効果がありました。

ただし、目に⾒えない害⾍はこれ以外に存在していると思われま す。

初期の対応としては⽔圧による駆除が効果的に思います。ハダニ の場合と同じ⽅法で数⽇間続けてやると効果があります。

許可を得ずに無断での複製を禁じます。 2020/11/15 修正 作者 : ⼭⼝ 誠⼀